軍法持用・金烏玉兎釈迦ノ掌

登録日:2015/10/03 (土) 8:00:00
更新日:2023/07/27 Thu 13:58:16
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「対局始めじゃ。先手はあんたらに譲っちゃる」

「少しゃあ俺を楽しませてくれぇよ」






◆概要

軍法持用・金烏玉兎釈迦ノ掌(ぐんほうじよう・きんうぎょくとしゃかまんだら)とは『相州戦神館學園 八命陣』の登場人物、壇狩摩の使用する邯鄲の夢である。
創法の界を中心に3種以上の夢を複合した 五常・急ノ段。
その能力は「敵と味方を自らが作り上げた異空間のゲームに巻き込む」というもの。



協力強制の条件は相手が「これから行われる勝負が何らかのゲームである」と認識すること。
この条件を満たす為に狩摩は勝負の際に将棋盤を模した通路を自分の陣地の前に創界し、相手にゲームのイメージを持たせる。
また、条件が整いゲーム盤への移行する際は、この通路での行動によってゲームのルールや自分たちの動きが決まる。

目の前の状況を分析し相手の意図を推理しようと頭を回転させる人間ほど「これは俯瞰で見れば将棋盤であり、これから対局が行われる」とアタリをつけてしまうため、賢い人間ほどこの急段に嵌りやすいという性質がある。



そして形成される創界は、駒となった人間が戦う戦闘の舞台となる盤面の世界と、指し手となった狩摩と相手側の一人が盤面を見下ろし大将棋を行う世界の二つに分かれることとなる。







○盤面の世界

駒に当て嵌められた者は、その駒の動きに対応した動きの場合は機敏に、それ以外の動きは極端に鈍くなる。
例えば桂馬に当てられた者は空間を超越した攻撃、飛車であれば前後左右への無尽の機動力など。
逆に歩など弱い駒に当てられると大きく能力を制限されることになる。
「成り」のルールも存在し敵陣への侵攻と共に強化される。駒は指し手の意志のままに動かされる傀儡ではなく、両者の意思と思考が混ざり合った特殊な動作として表れる。
そのため駒は指し手を信じ二人の意志と行動を合致させることが重要で、それにより有利な補正を受けることができる。

指し手はそれぞれ王将に当て嵌められ、取られると敗北する。





○指し手の世界

指し手の世界では、将棋盤を互いに挟んで大将棋が行われる。この世界では夢を含めた武力の行使は不可能。
指し手からはどの駒に仲間が当たるかわからないが、もしも味方に割り当てられた駒が損害をこうむれば、その分だけその駒に当たる人間は回復不能のダメージを受けてしまう。つまり、一つしかない駒が取られてしまえばその時点で味方は死亡してしまう。
そのため迂闊に捨て駒を増やす打ち方はできなくなり難易度は上昇する。
ただし、相手から同じ種類の駒を事前に取っておけば復帰することが可能。

そして狩摩の打ち筋は熟練ながら型に嵌らない代物であり、盤面の鬼面衆の三人は当然この戦場の理に慣れているため、神祇省にとっては一方的に有利な戦場となっている。










◆対抗手段

そもそもはその条件からして、敵をゲーム空間に誘う下準備が必要な「待ち」の戦法しか取れないので使いどころが限られる夢である。
そしてその状況を用意したとして「なんだこの通路は?鬱陶しいぞ」といった具合に意図を推理せず直進し問答無用で首を獲りに来る馬鹿相手では条件を満たすことができない。

百鬼空亡のようなまともな知性を持たない存在なども論外。
























◆真の能力

しかしこの急段の真の質の悪さはそんなものではない。実はこの急段にはもう一つの協力強制が存在する。

それは「壇狩摩がこんな型に嵌った行動をするはずがない」と両者が思っている事で成立する。というかゲーム空間の創界にもこの条件を満たしている必要があるので、陣地で行う通路の準備の前に狩摩は相手の心理にそういう意識を刷り込むように布石を打つ。
vs戦真館では自身が行った戦真館を建てた土地の真っ当で綺麗すぎる風水図面を根回しし、「あの奔放な壇狩摩がこのような優等生じみた図面を書いたのか?印象がかみ合わない」といった具合に疑念を持たせることで条件を達成した。
その効果とはなんと「勝敗が決定した瞬間、敗者が負けを認めていなかった場合、勝者を殺すことが出来る」というもの。
簡潔に言えば「ゲームに勝った?悪いけどウチのシマじゃ今の対戦ノーカンだから。というわけで死ねェ!」をリアルでやらかす技。
現実でやった場合問答無用でリアルファイト待った無しである。



反則どころかゲームの根本から揺るがす所業であるが、両者に「壇狩摩がこんな型に嵌った行動をするはずがない」という協力強制が成立している以上このような型破りもまた成立してしまう。
ゲームに負けたからといってそれを受け入れて敗北することこそ型に嵌っている訳である。

釈迦ノ掌は、ゲームの決着が着いた瞬間、敗者の側に創界を構築している力が流れ込む仕組みになっている。
そして敗者が負けを認めていた場合その力はそのまま敗者を攻撃するが、負けを認めていなかった場合、その力は強化に回される。その力の後押しがあれば無条件の急段の使用すら可能、勝った側が殺されてしまうという逆転現象が起きる。
発動条件が複雑で偏屈な分その強制力は急段の中でも群を抜いており、型に嵌ってしまえば両者の力が乗っている以上抵抗することは不可能に近い。

つまり勝とうが負けようが笑うのは壇狩摩ただ一人。
ゲームのルールに囚われている限り、相手は釈迦の掌で転がされる猿のように翻弄されるしかない。



……ただし逆に言えば、相手がこのからくりに気付いた上で負けた場合、術者の狩摩さえも成す術は無くなってしまう。
簡単に条件が達成できるくせに一度嵌ってしまえば相手に一切の抵抗を許さず全てを奪い尽くす反則急段と比べれば、自分の命も天秤に預けている分いくらか公平な夢と言えるかもしれない。














◆詠唱




『三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝』

(さんごくそうでんいんようかんかつほきないでん)


――急段・顕象――


『軍法持用・金烏玉兎釈迦ノ掌』

(ぐんほうじよう・きんうぎょくとしゃかまんだら)







◆元ネタ

元ネタは鎌倉時代より軍略をまとめた実用書『軍法侍用集』

詠唱の元ネタは安倍晴明が編纂したとされる占術の専門書『三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集』の題名からだと思われる。
略称は『金烏玉兎集』

金烏は太陽に棲むとも太陽の化身とも言われる三本足の金の烏であり、太陽を象徴する霊鳥。
玉兎は月に棲むとも言われるウサギで、月を象徴する。
金烏玉兎集という名は気の循環と日月の運行によって占う陰陽師の秘伝書であることを示している。

大将棋は平安時代に遊ばれた古将棋の1つ。駒数65枚の大規模な将棋(一般的な将棋は20枚)。詳細は個別項目へ。
鎌倉大将棋とも呼ばれる。








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最終更新:2023年07月27日 13:58