カルト(映画)

登録日:2015/08/23 (日) 16:00:00
更新日:2024/04/02 Tue 06:00:37
所要時間:約 5 分で読めます





カルト……
宗教団体の一種。邪悪な神を崇拝し、反社会的活動を行う団体をカルトと定義する。




『カルト』は2013年に公開された日本のホラー映画。
監督・白石晃士の得意とする、手持ちカメラを使ったドキュメンタリー風の作品となっている。
白石監督自ら「クトゥルフ神話に着想を得た」と発言しており、実際に和製クトゥルフものとしての評価は高い。
7月20日の劇場公開に先駆けてノベライズ版も発売されており、マイナーな出版社からの発売なので入手は難しいかもしれないがそちらも併せて読めばより作品を深く理解できる。
基本的な流れは前作『ノロイ』に近いのだが、本作を象徴するキャラクター・ネオ(仮名)の登場後は、ガラリと空気が変わる。


あらすじ


とある心霊番組への出演を命じられた三人の女性タレント。
軽い気持ちで心霊現象に悩まされる依頼人親子の下を訪れた彼女たちだったが、想像を絶する恐怖体験に見舞われ、次第に追い詰められていく。
そして、除霊を試みた霊能者までもが霊に敗れ、命を落としてしまった。
この事態を打開するため、最強の霊能者と称される一人の男が呼び出される――。


登場人物

※作品の性質上、ネタバレを多く含む。閲覧には注意されたし。

  • あびる優(ノベライズでは「長門弥生」)
今回の撮影に参加したタレントの一人で、まとめ役。テレビ番組で過去の犯罪歴をカミングアウトし、問題を起こしたことで知られる。
勘がよく、以前の仕事では撮影中のスタッフの頭に鳥の糞が落ちることを予知したと言う。
ネオ(仮名)によって、生来の勘のよさはあびる自身の霊感によるものと判明。終盤はそれを利用した霊探知機の役割を任される。


  • 岩佐真悠子(ノベライズでは「細川すみれ」)
心霊スポットで失神した経験を持つタレント。
霊に憑かれやすい体質らしく、撮影中もたびたび除霊してもらっている。
除霊前に肉や魚を食べてはいけないと言われたにもかかわらずハンバーガーを食べたせいで霊に襲われたり、度重なる怪異にパニックを起こして逃げようとしたせいで霊に襲われたり、トラブルメーカー的な面が目立つ。
芸能界でのキャリアはそれなりに長いが、あびる共々ネオ(仮名)には「知らない」と一蹴された。
かつては護星天使のマネージャーを務めていたらしい。


  • 入来茉里(ノベライズでは「勢多香澄」)
後のポワトリン。今回の撮影に参加したタレントの中では最年少。
小学生の時、スプーンを曲げたことがあると語る。
若さゆえか、当初は霊現象に対してふざけ半分に接していたが、次第に事態の恐ろしさを実感して神経をすり減らしていく。
やがて番組を降りたいと発言、一足先に東京へ戻ったが……。
実はかなり強力な霊能力の持ち主。その力に目をつけた“カルト”に捕らえられ、生霊として操られてしまう。


  • 谷口陽子
番組のディレクター。
終盤はネオ(仮名)の頼みで、美穂と朋絵の秘密を解くための証拠を探す。


  • カメラマン
恐るべき霊現象がメンバーを襲う中、懸命にカメラを回し続けるスタッフの鑑。


  • 雲水
今回の番組を企画するにあたり、除霊のために呼び出された霊能者。太めの中年男性。
取り憑いた霊を祓うために行う動作(「スーッ」と息を吸い、印を切って「セイッ!」)が妙に癖になると視聴者の間で評判。
スーッ、セイッ!を繰り返しても効果がないと判断すれば即座に物理的手段に切り替える頭の回転の速さも見せる。
風水的な観点から対策を試みるが、怪異の本質を見誤っていたため解決することはできなかった。


  • 龍玄
雲水をもってしても事態を解決できなかったために呼び出された、雲水の師匠。精悍な体つきの年配の男性。
携帯電話越しにも除霊を行える高い霊能力の持ち主。
また、本人も弟子と同じくスーッ、セイッ!の使い手である。


  • ネオ(仮名)
龍玄の紹介で呼ばれた、極めて強力な霊能者。黒ずくめのスーツに金髪、左手だけに黒い手袋という見た目。
性格は傲岸不遜。「神とか仏とか、バカバカしいよな」と平然と言い放ち、年上と思しき龍玄のことも「龍くん」と馴れ馴れしく呼び、ちょっとしたことですぐに怒る。
タレントの女性陣に対しても辛辣な態度は崩さないものの、なんだかんだで彼女らを助けたりしているので非情ではない。また年少ということもあってか、美保に対しては比較的穏やかな態度で接する。
頑なに本名を名乗ろうとせず、ネオという名前も適当な思いつきで映画『マトリックス』から取ったもの。
黙っていればホストかチンピラかといった風体だが、心霊手術を行ったり、蝋燭のような道具で怪異を消滅させたり、呪詛返しまでやってのけるなど、霊的な事柄に対する知識と技量は龍玄を遥かに凌駕する。
その強大な力と勘の鋭さを総動員して、クールに怪異を徹底的に追い詰める姿は本当にカッコいい。
「じゃあシャアとかならいいのか」「俺は俺を信仰してるよ」「猫の足だニャー」など、名言も多い。
というかぶっちゃけ、後半の主役である。
本来なら足掻きようがなく蹂躙されるしかない怪異を軽々と倒していく、色んな意味でホラー映画の掟破りな存在。ジェイソンが殺戮劇を繰り広げる中で突然、セガールが乱入してくるようなモノである。
「あの、テレビに出てません?」「出てねえよ」
誰かに似てるって言われたことない?」「似てねーよ、誰にも!(半ギレ)」
朋絵のちょっとした質問からその正体を怪しみ、谷口に頼んで金田家の情報を集めさせる。
上述の龍玄への馴れ馴れしい態度や能力に加え、左手から『神』の一部とは対照的な光り輝く毛糸玉のようなモノを発して相手を取り込むこともでき、ネオ(仮名)自身も人間ではない可能性がある。


  • 金田美保
依頼人。幼い頃は病気がちで、何度か生死の境をさまよったことがあった。
そのため「向こう側」とのつながりが強く、“カルト”が崇める『神』を呼び出すためのゲートとして利用されてしまう。
“カルト”の呪術によって、本当の母に関する記憶を消されていた。


  • 金田朋絵
依頼人。美保の母。度重なる霊現象にすっかり参っているらしく、疲れたような面持ち。
それでも美保を守ろうと気丈に振る舞っている。
……というのは演技で、そもそも美保の母親ではない。
正体は“カルト”の一員。制作会社に映像を送ったのは、自分たちが崇める『神』が現世に現れる瞬間をカメラに収めさせるためであった。
ネオ(仮名)の力を目の当たりにした時「どんな信仰を持っているのか」「どういう力なのか」と不用意に聞いたことや、金田家に家族の写った写真が一切ないことを気付かれ、怪しまれる。
ネオ(仮名)に正体を暴かれ本性を見せるも、ネオ(仮名)と『神』の対決のどさくさに紛れて逃走した。


  • 隣家の姉妹
メンバーの様子をひそかに探っていた不気味な姉妹。
赤いドレスの姉と、いかにも狂人といった風体の妹。
やはり“カルト”の一員。『神』の降臨を邪魔する霊能者たちを呪いによって始末していた。
ネオ(仮名)によって家を追い出されたかに見えたが、『神』を降臨させるために再び戻ってくる。
その後、ネオ(仮名)の呪詛返しを受けて他の信者ともども逃げていった。


  • 謎の影
美保に憑りつく悪霊と思わしき謎の存在。
触手のような黒く細い体に醜悪な人間らしき顔が張り付いているというおぞましいモノで、そもそも悪霊というカテゴリーに入るかも怪しい存在。
言葉を全く発さないものの、極めて凶悪な性質を持ち、雲水の体内に潜り込んで呪い殺したり、龍玄は事故に遭わせた挙句、入院中の所を襲い殺すなど、敵対者に対しては一切の容赦をせず、執拗に攻撃する。
また分身を生み出す性質を持ち、黒いミミズ状の化身やクモのような体に犬の首がくっついた化身を生み出し、メンバーを襲った。
体の一部を他者の頭部に植え付け、記憶を改竄する能力まで持ち合わせている。
その正体は“カルト”が崇める神。
雲水や龍玄を殺した個体を含め、作中登場しているモノは異界に住む神のほんの一部である。
“カルト”の目的はこの神の本体を現世に呼び出し、世界を滅ぼすことである。




ただの心霊現象と思われた事件の裏側に潜んでいた、おぞましい真実。
罪のない人々を利用し傷つけ、邪悪な目的を達成しようと企む者ども。
世界さえ揺るがす危機が迫る中、ネオ(仮名)は不敵に笑う――








カ ル ト







スーッ……(追記・修)セイッ!


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最終更新:2024年04月02日 06:00