魔界塔士Sa・Ga

登録日:2015/08/17 (月) 23:50:40
更新日:2024/02/18 Sun 14:15:24
所要時間:約 8 分で読めます







せかいの まんなかにたつ とうは、らくえんに つうじている という

はるかな らくえんを ゆめみて おおくの ものたちが

このとうの ひみつに いどんでいった

だが かれらのうんめいを しるものは ない

そして いま またひとり・・・・




魔界塔士(まかいとうし)Sa・Ga(サガ)』は、1989年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたゲームボーイRPGソフト。


【概要】

GB初のRPGにして、スクウェア初のミリオンセールスを達成すると共に日本のRPG史に燦然と名前を刻み込んだ不朽の名作。
後々にまで続くサガシリーズの元祖となると共に、本作で示されたアイディアが後のRPGに与えた影響も大きい。
プロデューサーは河津秋敏
2002年にフルカラーリメイクされ、背景が追加されたバージョンがワンダースワンカラー(WSC)にて発売された。
このWSC版は、後にガラケー向けアプリ版としても配信されており、DSにてGB三部作の中で本作のみリメイクされなかったのはこれが理由と考えられる。
一方、2020年に発売された『Sa・Ga COLLECTION』ではしっかりGB版が移植収録されている。

タイトル毎に基本となるシステムを入れ替える『FINAL FANTASY』シリーズの中でも、特に変わったシステムを採用した事で知られるFF2を手掛けた河津神のプロデュース作品らしく、GB初のRPG作品にして大ヒット作となったタイトルでありながら、一般的なRPGの“それ”とは全く異質なシステムが採用されているのが特徴。

レベル制を廃止し、種族毎に成長のさせ方を変える。
武器に使用回数の制限を付ける……etc.等のリアルな視点からのシステムは、サガシリーズの“特徴”として、続編や別ハードでの後継シリーズにも引き継がれていった。
(※及び、同じ考え方から生まれたシステム)
※因みに、初代サガシリーズは『FF』シリーズの外伝という扱いであり、これは海外版タイトル“Final Fantasy Legend”からも窺える。

特徴的なタイトルは「ガ」が入ることは決まっていたというだけで深い意味はない*1*2が、ラスボスとの会話にてニヤリとさせられる言葉遊びがある。
また、基本的なストーリーは一本道ながら、上記の基本的なシステムの説明からも想像出来るようにプレイヤーによってプレイスタイルが大きく変わる公算が高く、その意味では正しく“伝説を創る”ゲームだと云える。


音楽担当は『FF』でもお馴染みの植松伸夫。
容量、音声パターンの少ない携帯機ながら、FCとも違うステレオ音声を利用した粒揃いの名曲を生み出している。



【キャラクター】

※主人公に設定したキャラクター以外は、死んだらアドベンチャーギルドで入れ替え可能である。

■にんげんおとこ
■にんげんおんな
様々な武器や防具を装備する事で強くなる金食い虫。
レベル制を廃止している為に、HPやパラメーターを上げるのもアイテムに頼る必要がある。
この為、資金の無い序盤では安いHP増強アイテムを活かした壁役兼荷物持ち程度の役割。
しかし逆に言えば“資金さえ”あれば簡単に強化が可能。
上階に上がり資金を稼ぎつつ粘れば、中盤あたりでの全能力のカンストも可能。
ただしHP増強アイテムはHP600までしか存在せず、それ以上は強化アイテムを使っても1しか上がらない。*3
防御も上がるエスパーと比較して、最終的には装備の割り振り的な意味もあってかやや打たれ弱くなる。
性別の違いは初期の装備とパラメーターのみ。尚、本作では一切魔力を上げられない。
こう見るとエスパーの劣化版のように見えるが、人間のメリットは特殊能力に圧迫されない装備欄にある。
拾ったアイテムをガンガン装備させられ、少ないアイテム欄を軽くしてくれる。
更に戦局に応じた装備換えにより、博打性の高いエスパーより安定した戦力になれるのが強み。
本作品のアイテム所持数制限は非常に厳しい為、人間が一人いると整理や管理がしやすい。

■エスパーボーイ
■エスパーギャル
人間よりひ弱な設定だが超能力を使える種族で、イラストでは亜人やミュータント風のイメージ。
唯一、戦闘によりパラメーターがアップする種族であり、特殊能力にも枠を取られるが、
人間と同じくアイテムや武器も装備出来る他、パラメーターの強化も可能。
超能力(特殊能力)の他、○○の書を利用した魔法攻撃によりグループ攻撃にも優れる。
初期パラメーターは低い……が、戦闘さえ繰り返していれば案外と直ぐに強くなってくれる頼れる仲間。
ただし、能力の上がり方はランダムのため博打性は強く、能力も強制入れ替え制。
尚、本作では“人間よりひ弱”と云う設定はどこへやら、粘っていれば全能力がカンストしてしまうことも。
このように、本作の時点ではエスパーの“特徴”を無視した設定がされてしまっていた。
因みに、特殊能力について戦闘終了時に獲得したかどうかの表示が一切されない為に、一々とステータスを開いて確認しなければない。
しかも続編のサガ2のように「一番下の能力だけ変わる」という仕様もまだなかった。
この為、折角覚えていた強力な特殊能力が、戦闘後には問答無用で消えてしまっている事も(※WSCからは改善)。
さらにサガ2なら後半は強力な特殊能力が手に入りやすいが、本作はその辺が完全にランダム。
ラスボス手前で「テレパシー×2、ボディアーマー×2」などという酷い構成になる事もザラにある。
4つも特殊能力で装備欄が圧迫される為、終盤に全身防具を入手するまでは防御に不安が残る。
一方、素の防御力が上がっているのなら割り切って中盤で購入出来る高い属性防御効果を持つドラゴンメイルのみでもいいかも。
また、特殊能力欄と装備欄はそれぞれ4つで独立しているので、装備品で能力欄を埋めるといったことはできない。

■モンスター
本作独自の魅力ある種族で、パラメーターアップや装備の概念すら無いが、
敵の落とした肉を食べる事により、別種のモンスターに変身(強化)していく。
変身には規則性がある為、闇雲に変身しているだけでは有効な活用が出来ないので注意。
ただし肉を食べて変身するとステータスが全回復するので、能力や武器に使用回数の制限の多い本作では最も継続戦闘能力が高い。
初見プレイでも一匹入れておくと何かと助かる。尚、一部モンスターは攻撃手段がない者も。
基本的には敵として出てくるモンスターと同種に変身するが、一部のモンスターや最強クラスのモンスターは変身専用となっている。
その特性上、安定した戦力とするには変身法則知識が必須になる。
知ってさえいれば育成に手間もかからず有用なモンスターで固めたパーティーで比類なき強さを発揮できる。
そのためタイムアタックにおいても重要な種族となる。
尚、普通のRPGの感覚からすれば弱いモンスターしか出ないエリアで弱いモンスターの肉しか食えない内は弱いモンスターにしかならないと思われがちだが、前述のエスパーの成長同様に時間はかかるだろうが変身の法則さえ知っていれば一階の時点で準最強と呼ばれるランク12〜13モンスターまで変化させることが可能となっている。(条件は細かく記さないが、17〜18回の食い合わせにより変身可能。)
真の最強ランクであり変身専用のランク14モンスターのみは“真の最上階”に至る道に登場するボスモンスターの肉を食う必要があるために通常の攻略中は実質的にここで打ち止めとなる。
そして、このランク12以上の準最強クラスになると特定の食い合わせをしない限りはもうランクは下がらないので、HPが減ろうが特殊技が減ろうが、肉さえ食べれば別の強力なモンスターになればいいだけという無双状態となれてしまう。
……流石に、高い耐性を持つボスキャラ(特にラスボス)に関しては最強クラスとはいえども、どのモンスターでもいいということは無くなるが、通常戦闘では非常に役に立ってくれる筈。



【塔が繋ぐ世界】

※詳細は当該項目を参照。

塔の各階層にはそれぞれ別世界が広がっており、
特に第1、第5、第10、第16階はしてんのう(四天王)と呼ばれるあくま(悪魔)が守る特別な世界になっている。
彼ら四天王は魔王アシュラの命令により支配する世界をも越えて、塔により繋がれた世界全般に戦乱を齎しているらしいが……。

■第1階
げんぶ(玄武)が支配する大陸世界。
楽園の扉を開く力を持つ、鎧、を英雄の像から奪った3人の王様がいがみ合っている。
玄武という魔物が楽園への扉を封じたというが……?

■第3階 らくえん
の恵みだ!みんな何もせずダラダラしている。

■第4階 じごく
神の罰だ!みんな悪魔に強制労働させられている。

■第5階
せいりゅう(青竜)が支配する海洋世界。
世界の大半がになっており、洞窟や浮島を利用しなければ陸地を行き来出来ない。
元は平和だったが、青竜が竜宮城から竜王様を追い出してしまい荒廃したらしい。

■第7階 せきぞう
石像というかしゃちほこ。塔の内部が多次元世界だと教えてくれる。

■第9階 びょういん
四匹の悪魔を支配する大悪魔が居るとか……。

■第10階
びゃっこ(白虎)が支配する空中世界。
雲の上に世界があり、陸地(?)はグライダーを利用しなければ移動出来ない。
他の世界とは違い、白虎が直接的に攻撃を仕掛けており、それに対抗するレジスタンスが組織されている。
名曲「涙を拭いて」が初登場した。

■第13階 タコ
干魃に喘いでいる。

■第14階 こうずい
洪水被害を受けている。

■第16階
すざく(朱雀)が支配する荒廃した都市世界。
いきなりボスである朱雀が通常出現する事にトラウマを抱えたプレイヤー多数。
(しかも攻撃がまともに通じない上に、倒しても延々と出てくる)
雰囲気は勿論、攻略手順も割と面倒くさい屈指の難所である。
……原発都市東京
アキバやシンジュク等の地名が……。

■第18階 会社
魔王アシュラの破壊した世界で商売繁盛!

■第19階 核シェルター
……プレイヤー屈指のトラウマイベント
核爆弾が手に入る。

■第20階 資料室
何者かが収集している、過去の冒険者達の失敗の記録。

■第21階 老人
広い世界に、たった一人で住む老人が“神”より託された聖剣エクスカリバーを守っている。

■第23階 楽園の扉
“何者か”により呼び寄せられた、大魔王アシュラ(阿修羅)が待ち構えている。
果たして、扉の先に待つとは……?



【主な登場人物】

■むらいちばんのびじん
鎧の王に求婚されているが、盗賊の脅しに悩んでいる。
姿はまさかのモンスター(スライム)。
「あ、あなたがむらいちばんのびじん!?」

■だいじん
盾の王に仕えているが……怪しい。

■ろうじん
海洋世界の離れ小島に住む事情通の老人。

■ジャンヌ
白虎と対立するレジスタンスのリーダー。
最愛の妹を探している。

■ミレイユ
ジャンヌの妹(双子)。
白虎に捕らえられているらしいが……。
元祖スクウェア三大悪女の一人だが、終盤では反省し、それまでの行動を悔いている分ただの数合わせマシな方とも。

■さやか
主人公達が助けた総長の妹。

■そうちょう
ゾク(暴走族)の頭。
朱雀と対立する、ゲームでも屈指の漢。

謎の男
主人公達の行く先々に現れては、助言を与えて行く紳士。
果たして、その正体とは……。
カラー版にて、黒いシルクハットに白いタキシード姿と判明。
「これも いきもののサガか」



【余談】

  • ゲーム中の台詞が未だにネタにされる位に荒く、魅力的である。
    これは少ない容量の中で苦しんだ結果との事だが、その独特の言い回しこそがゲームの独特のテンポになっているのも確かである。

  • 基本はシンプルながらプレイヤーによりスタイルが変わるのが必至で、何度も遊べる仕様になっている事が人気の秘密であろう。
    また、ラスボス“かみ”のインパクトも凄まじく、システム、シナリオ両面が後代のゲームに与えた影響も大きい(※因みに“神殺し”はあの『女神転生』シリーズよりも早い)。

  • 多くのバグが見つかっているが、大半がクリアーの助けになる有用な物である為、寧ろプレイヤーからは愛されている。
    特に有名なチェーンソーのバグは本作の代名詞となっており、リメイク版では他のバグは直されても正式に“仕様”として取り入れられた。





でもさ この こうもくもよくなったんじゃない?

みんなで ついき しゅうせい したもんな!

いこう!

どこへ?

おれたち の こうもく へ!!




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最終更新:2024年02月18日 14:15

*1 “伝説”を意味する語として扱われるサガ(古ノルド語の散文詩に由来するアイスランド語で、転じて創作に於けるタイトルとして流用される様になった。)ではないことを示すため中黒が入っている。

*2 https://dengekionline.com/elem/000/000/988/988659/

*3 しかし、逆を言えばHPが600を越えた後はHP200を利用しても着実に1ずつ上げられるということ。資金を稼いでからHP200を買いまくり、根気良く使い続ければHP999にする事も可能。ただし所持制限(共有アイテムは8個で埋まる)の厳しい本作で約400回の作業はなかなかの苦行なので、パラメーターを上げるという確固たる意志が無いと実行するのは(気力的な意味で)難しい面も。