阿原半兵衛(東京喰種)

登録日:2015/08/13 Thu 02:34:56
更新日:2020/09/09 Wed 23:05:53
所要時間:約 8 分で読めます





この世界にはある“闇”がひそんでいる

彼らはヒトと同じ姿で群集にまぎれ
狩りを行い…

「ヒトを喰らう」
彼らの名は「喰種」


…そして――
その「喰種」に対抗できる存在が
そう! CCG(喰種対策局)に所属する我々――


「喰種捜査官」なのです








「敵におしりみせちゃダメですよ」

「すみません おびき寄せたのち 無限に切り刻んでやろうかと思ったのですが…」

「言い訳しない」




阿原半兵衛 二等捜査官
Belonging Unit:「CCG」13区支部 鈴屋班
Partner:鈴屋什造
Quinque:[鈴屋班共通日本刀型](?赫 -Rate/?)




人物像


石田スイ作『東京喰種』とそのの続編『東京喰種:re』の間の出来事を綴る『東京喰種[JOKER]』の語り手。
腰下辺りまで伸びた艶やかな黒の長髪と痩身長躯が特徴的な男性捜査官。
能面を思わせる顔立ちと瞳が描かれない白目、そして190センチもの恵まれた体格により、黙っていれば相当な威圧感を醸し出すが、至って温厚かつ臆病な小動物じみた性格がそれらの尽くを打ち消している。

ただし捜査資料の分析・作戦のブリーフィングなど、デスクワークに関しては有能に卒なくこなす。
会議中に駄菓子を食べたがる什造に、片手間にプリンをプッチンしてスプーンで口元へ運ぶのもお手の物。


体格に似合わぬ臆病さは彼の言動や思考にも現れており、喰種との戦闘になれば背を向けて逃げ出すわ、追い詰められて何も出来ずに「しんなり」するわ、喰種が起こした捕喰現場の検証には及び腰になって全身をくねらせるわ、痴漢の現行を目撃しても犯人の逆ギレや冤罪を恐れて一歩前に進めないわ……と、本作内でも盛り沢山。
彼のその様をパートナーの什造(当時上等階級)が評して曰く、捜査官には「『ぜんぜん』向いてない」

半兵衛は自身の肝っ玉の小ささの原因を「父親が自分を守って負傷したこと」に起因するものと考えている。
彼の幼少期、阿原父子は喰種に襲われたことがあり、身を挺して半兵衛を守った父親は両脚を失ってしまった。
何も出来なかった歯痒さと、父のような被害者を一人でも救いたいとの想いが彼を喰種捜査官の道へ進ませたが、いざその道に入ると、「私を殺すのは私の勇気かもしれない」という不安が彼の身体から自由を奪うのだった。

身体能力を発揮さえすれば戦闘面での活躍も見込めるだろうが、如何せん精神力が皆無なせいで戦果は挙がらず。
半兵衛はそれに対して「せめて鈴屋先輩の十分の一でも勇気があれば」と独白でぼやく日々。
それでも何とか歴戦の超一流捜査官である什造に必死についていき、どうにかこうにか二等階級に昇進する*1までやってこられた半兵衛だったが、本作の敵対勢力「スカルマスク」の集団との対決を通し、自分自身が喰種捜査官になった理由を見つめ直しながら、捜査官として成長していく。


対「スカルマスク」

当時、東京13区では髑髏の仮面を被った喰種集団・通称「スカルマスク」による捕喰事件が相次いでいた。
夜半の市街地でいつも通り情けなく逃げ惑っていた半兵衛は、什造の加勢でいつも通り九死に一生を得る。
いつも通り腰を抜かして「しんなり」していると、什造は彼に軽く叱責を加える。

「CCG」13区支部でも半兵衛は、同じ鈴屋班所属の同僚・水郎にからかわれても返す言葉もなく、せいぜい「おびき寄せる作戦のうち」と強がりを言うくらいしか出来ない。
喰種捜査官になっても大きいだけの図体を持て余し、自分より二回りも小さな先輩に守られてばかり。
せめてパートナーの什造の勇気の、ほんの一欠片でも自分にあれば……

その後、会議中に発生した捕喰事件の現場検証でも情けない姿を晒していた半兵衛だったが、什造が発した「ここでの犯行は『スカルマスク』のボスによるもの」との言葉を頼りに、ボスの身長や行動から見て取れる年齢層、そして現場に残っていた香水の匂いについて独自にプロファイリングを行う。
道中、満員電車内で肥満体の男が十代ほどの少女に性的危害を加えているのを持ち前の視点の高さから察知……したは良いものの、少女を痴漢から助けるべきか否か葛藤している間に、彼にも気付かれず同乗していた什造がそこへ割って入る。*2


電車を降りた痴漢を「“鉄臭い”から」と什造は追い掛け、半兵衛もそれに従う。
何故痴漢を止めなかったのかと問う什造に、半兵衛は自身の臆病さと捜査官になった理由を語る。
そして幼い自分が父の立場になっていたら、自分の勇気が身を滅ぼすことになったら……と死への恐怖を吐き出す半兵衛に、什造は彼のヘタレさを貶しながらも激励を送るのだった。
しかし程なくして「スカルマスク」の襲撃が発生。
狙われていたのは先程痴漢を働いた肥満の男だった。

メンバーを率いて現れた「スカルマスク」のボスに相対し、腰を抜かす半兵衛を置き去りにして什造は「13's ジェイソン」を発動、瞬く間に雑魚を殲滅するが、あと一歩のところでボスにクインケを弾き飛ばされてしまう。
わざとらしくボスに追撃される什造を助けるべく、兵衛は無我夢中でボスを仕留めた。
什造は部下の奮起を促すべく意図的に自らの身を喰種の攻撃に晒したのだった。

実は電車内でボスの正体に目星を付けていた什造は、前回の暗敷通りでの捕喰事件現場に残っていた「香水と同じ匂い」がしたのだと明かし、死体から髑髏の仮面を剥ぎ取る。
そこに横たわっていたのは痴漢の被害に遭っていた少女。
半兵衛はただただ驚愕のままに、捜査官として初めて駆逐した喰種の遺体を眺めることしか出来なかった。


後日、たまたま用事があって訪れた病院で什造と偶然出くわし、先日殺されかけていた痴漢とも再会する。
会釈して去る痴漢の後姿を見ながら、利き手一本という大きな代償を払わせてしまった、と自責の念を口に出す半兵衛に、什造は「立って歩く足があるだけマシだ」*3と励ましと取れる言葉を掛けた。

その帰り道の途中、什造は半兵衛に対する評価を「『あまり』向いてない」に改める。
彼は先輩のその言葉を「褒め言葉」として捉え、喰種捜査官として一歩前進したのであった。




追記・修正の際はしんなりせず、きちんと最後までやり遂げましょう。










以下、ネタバレ注意












切 断 失 礼




【鈴屋什造の右腕的存在でいたい――】
阿原半兵衛 二等→一等捜査官(75期)
21(5/21生)男 Blood type:O
Height:190cm Weight:79kg
Quinque:[銀髑髏](羽赫 -Rate/A)/[鈴屋班共通日本刀型](?赫 -Rate/?)
Honors:木犀章、ベストパートナー章(自己評価)
Lifework:鈴屋先輩の身の回りのお世話




人物像

[JOKER]時から一層痩身の青年となって再登場。長髪長身白目は相変わらず。
激務に追われて痩せたのかと思いきや、彼の身長と体重からBMIを計算すると至って普通。
引き続き什造班の構成員と准特等になった什造のパートナーを務め、何から何までサポートに徹する。
やたらと手の掛かる什造の世話も苦もなくこなし、その姿を眺めては微笑ましく思う日々。

資料管理を一手に請け負っており、彼がいなければ捜査が滞るほど什造班になくてはならない存在となった。
おまけ四コマでは病欠のため副班長・半井から心無い罵倒を飛ばされてガチ泣きしていた。
什造を班長に戴き、毒舌の半井恵仁・宇宙妄想狂の御影三幸・オタク趣味の環水郎に囲まれたクソッタレな職場で苦労しているようだが、連携と統率の取れた班内で本人は非常に充実している。


臆病風に吹かれていた[JOKER]の頃より一転、什造のパートナーとして培った胆力に相応の振る舞いを見せる。
什造とは深い信頼関係を結んでおり、プロフィールに互いのことを記すなど非常に睦まじい仲。
半兵衛自身も什造の右腕的存在でありたいと常に思っており、振り回されることも本望な模様。
とは言え小心さを完全に克服しきったわけではなく、本編に出ないところで什造を心配しまくっている。

他の捜査官が忌避しやすいハイセやクインクス班に対しても、什造が懐いている件からとても友好的に接し、暇が出来た際に不知と才子を食事へ誘い、病床の篠原を紹介することもあった。
しかし、まさかクインクス二名と食事をした際、たらふく食った挙句奢らされるとは思っていなかったらしく、予想外の事態に「神秘的展開…!!」と静かに動転し、そのまま硬直していた。

彼の成長に[JOKER]を読んだことのある多くのファンが「半兵衛……立派になって……」と感慨に浸り、おまけ四コマの臆病さが転じて苦労性になった彼を見て「半兵衛……強く生きろ……」と微笑んだ。

余談だが、所有しているクインケ[銀髑髏]は赫子のタイプやその名称からほぼ間違いなく「スカルマスク」の赫包を用いたものと思われる。やはり、初討伐の相手かつ、元々「痴漢されていた少女」として出会った相手なだけに、思い入れがあるのだろうか。
そんな[銀髑髏]だが、劇中では使用された様子がない。なんでだ。


オークション編

ハイセに三千円を返して困惑させる什造の背後に控える形(回想)で初登場。
特徴的な細長いシルエットで丸わかりだっただけに、読者らの期待が膨らんだ。
そして期待以上に成長した彼は、やはり期待以上の活躍を成し遂げてゆく。

「ナッツクラッカー」案件に関する捜査会議では(什造が遅刻していたことも相俟って)クインクス班二名の不在を咎めることなく、什造とハイセの駄菓子を巡る交流に頬を綻ばせつつ、三人の合流後には再度説明を行うなど殊勝に振る舞う。
そしていよいよ発令されたオークション掃討作戦にて、六月と潜入する形で先行した什造の元へ他の班員達と共に駆け付け、愛機「13's ジェイソン」を届ける。

ビッグマダムの駆逐作戦で鈴屋班は華麗な連携により瞬く間に敵を追い詰める。
半兵衛はマダムの巨大な赫子を切断するという技量の冴えすら見せ、また什造の耳をそっと塞いで、標的が死の間際に浴びせ掛けた罵声が敬愛するパートナーの耳に入らぬよう配慮。
作戦終了後、他の班員らと並んで特別功労者に認定され、一等捜査官に昇進した。

その後も「シャトー」でのクリスマスイベントに参加したり、六月と什造のデブリーフィングに付き添ったりと、登場する機会には中々に恵まれている。
人一倍大柄で、人一倍臆病な、人一倍優しい苦労人に幸あれ。




「wiki籠り先輩、追記・修正ごっそーさんです」

「ごちッス」

「!?」


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最終更新:2020年09月09日 23:05

*1 「CCG」の喰種捜査官の最下階級は三等

*2 什造もよく痴漢行為に遭うらしい。仕方ないね

*3 什造は篠原特等の見舞いに来ていた模様