ジュラシック・パークⅢ(映画)

登録日:2015/08/12 (水) 23:23:42
更新日:2024/04/25 Thu 00:49:55NEW!
所要時間:約 21 分で読めます




未だ見たことのない世界があった…



ジュラシック・パークⅢ(Jurassic Park Ⅲ)』とは、2001年に公開された米映画。
パニック映画『ジュラシック・パーク』のシリーズ第3弾。
続編は2015年の『ジュラシック・ワールド』。


●目次

概要

前2作の監督スティーブン・スピルバーグは製作に回り、
監督は『ロケッティア』や『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』などを手掛けるジョー・ジョンストンに交代。
また、今回からマイケル・クライトンの原作から離れ、映画オリジナルのストーリーとなる。

上映時間については前2作とも約2時間だったところ、今作は1時間半とコンパクトにまとまっており、地上波放送でもほぼノーカットで放送される。
また前作までの遺伝子科学の要素は省かれ、恐竜たちがひしめく孤島でのサバイバルアドベンチャーに終始している。
更にホラー要素よりも冒険・サバイバル、更には家族愛の要素の方が高く、過去作を見なくても今作単体でも楽しめるのが特徴。もちろん、過去作も含めればより世界観が掴みやすくはなる。




物語


生きた恐竜の生息するテーマパーク「ジュラシック・パーク」の事故、及びサンディエゴを襲った惨劇から数年。
パーク本島であるイスラ・ヌブラル島と研究島イスラ・ソルナ島は、恐竜の生息する「失われた世界」と化しており、また島が属するコスタリカ当局の管理下のもと、上陸は禁じられるようになっていた。

そんな中、ジュラシック・パークの事件の生存者であるアラン・グラント博士は、実業家を名乗るカービー夫妻から、
イスラ・ソルナ周辺の飛行ツアーのガイドを依頼される。
研究資金の提供と、「周辺を飛ぶだけ」との説得と相まって、グラントはそれを了承。

しかし、ツアー当日、周辺を飛行するだけのはずだった飛行機は島へと着陸。
憤るグラントだったが、その直後森の中で恐竜に遭遇した彼らは慌て、緊急離陸の衝撃で飛行機は森の中へと墜落してしまった。

実はその8週間前、カービー夫妻の息子エリックがイスラ・ソルナ近海で、セーリング中に行方不明になっていた。
今回のツアーの真の目的もエリックを探すためのものだったのだ。
脱出不可能になったグラントたちは肉食恐竜たちの魔の手から逃れながら、島を彷徨い歩いていく。

だが、今まで見たことのない種類の恐竜たちは彼らの想像を超えていた……!



登場人物


アラン・グラント
演:サム・ニール/吹き替え:小川真司
第1作目からお馴染みの恐竜博士。
エリーとは破局したが相変わらず恐竜の研究を続けている。
ジュラシック・パークでの体験を買われて、お騒がせ夫婦の子供を探しにあの忌まわしい恐竜の島へと舞い戻ることに。
恐竜の恐ろしさについては身をもって体験済みなので、不慣れな他メンバーを統率していく。子供の扱いにも大分慣れたようで、エリーの子どもから「恐竜おじさん」なるあだ名を付けられても苦笑いで済ませられるようになってもいる。
ジュラシック・パークの恐竜を研究しないのかという問いには、「アレは遺伝子操作で作られたテーマパークの怪物だ」と答えており*1、本来の恐竜ではない(から研究しない)というスタンスを取っているほか、ジュラシック・パークで見聞きした事についても公開する気は無い。
それでも植物食恐竜の群れを見たときには嬉しそうな顔をしている辺り、なんだかんだで根は恐竜を愛しているのが見て取れる。
ちなみに前作の事件の時には特に関与してないことが明かされる。

「違う。神への冒涜だ」

ポール・カービー
演:ウィリアム・H・メイシー/吹き替え:納谷六朗
自称カービー・エンタープライズなる大会社を経営している実業家。上陸禁止の島にもコネがあるので許可が取れたと話す。
……というのは嘘で、実際はショッピングセンター内のテナントである小さなタイル塗装屋の経営者。コネ云々も真っ赤な嘘。
見た目からして頼りないヘタレ親父だが、息子のピンチに体を張る立派な父親に成長する。
ちなみにカービー社は実在しているが、塗装とは無関係の掃除機メーカーである。

アマンダ・カービー
演:ティア・レオーニ/吹き替え:渡辺美佐
ポールの妻だったが既に離婚している。
繊細な美人で、息子を探すためとあらば不仲だった元夫と行動することも厭わないなど愛情は深いが、神経質でヒステリック。
その上、考えなしに迂闊な行動に及んでは絶叫しっぱなしの、典型的なお荷物ヒロイン。
だが、あまりにもスリリングな状況の連続で流石に精神が鍛えられたのか、劇中終盤にラプトルと相対した時は怯えながらも冷静に対処する肝っ玉をみせるなど、前作のサラほどどうしようもないわけではない。
ちなみに車の運転は下手で、3年連続で1年に1台ずつオシャカにしたとか。

ビリー・ブレナン
演:アレッサンドロ・ニヴォラ/吹き替え:内田夕夜
グラントの教え子の一人で、グラントに同行し島へと向かう。ラプトルの発声器官を再現した笛を作るなど、なにげに優秀。
明るい好青年だが密かに野心を抱いており、欲望に負けて島で発見したラプトルの卵を持ち帰ろうとして一行がラプトルに追跡される原因を作り、グラントに「君はこの島を作った(インジェン社の)連中と同じだ」と静かに、しかし厳しく叱責される。
どうやら過去にも無謀なことをやらかして死にかけた経験があるらしく、それを知ったグラントに「愚か者が生き残るのは進化論に反する」と苦笑交じりで皮肉られていた。
なお、アランがエリックに「男の子には天文学者タイプと宇宙飛行士タイプがいる」と語るシーンがあるが、アランはビリーを「宇宙飛行士タイプ」と見ているようだ。
終盤ではプテラノドンに襲われるエリックを救うために身を挺して彼を庇い、姿を消すが……?

なお、スピノサウルスを見た時にバリオニクスまたはスコミムスではないかと主張したが、グラントにスピノサウルスだと訂正されている。
そのため一部ファンから「恐竜の研究者なのにスピノサウルスも知らないのか」と突っ込まれたが、前後の作品の設定を見るに、インジェン社はバリオニクスとスコミムスを創っていたと推察され、
その上で作中のセリフからビリーはインジェン社の恐竜リストを見ていたことが明らかになっていることから、この2種のどちらかではないかと連想した可能性もある。
特徴的な背びれからスピノサウルスのことが頭に浮かんでも良さそうなものだが、リストにスピノサウルスが存在しなかったことから、
リストを予め見ていたが故に、その先入観から無意識にスピノサウルスの可能性を排除していたという可能性もある。*2

エリック・カービー
演:トレヴァー・モーガン/吹き替え:北尾亘
ポールとアマンダの息子。12歳。
母親の友人のベンとコスタリカのリゾートで楽しんでいたが、イスラ・ソルナ島近海でベンと共にパラセーリング中に遭難して、島に不時着してしまう。
しかしそのまま8週間も島で独力でサバイバル生活を送り、放棄された物資などを活用しつつ恐竜から逃げる術を身につけ、更にはティラノサウルスの排泄物を集めるなどたくましい少年。
恐竜好きでグラント博士のことも著書を読んでよく知っていたため、ラプトルの群れから救い出した男が彼だと知った時には驚いていた。
ちなみに前作の主人公であるマルカムの著書も読んでいたが、{「説教臭い」「カオス理論ばっか」「自画自賛もいいとこ」とボロクソに言っていた。}

ユデスキー
演:マイケル・ジェッタ―/吹き替え:佐々木敏
エリック救出のためにポールが雇った男。
自称戦争のプロ(そんなことは言っていない)らしいが、実際は小さな旅行代理店の経営者に過ぎず、(いくら銃社会の国の国民とはいえ)銃の扱いに関しては全くの素人である。
ポールに案内人として島に詳しい人間を連れてくる様に要請したのも彼である(騙して連れて来いとは言っていない)。*3
劇中中盤でラプトルに襲われて半殺しにされ、生存者を誘き出すための罠として利用された後、首の骨を捩じ切られて殺害された。

ナッシュ
演:ブルース・A・ヤング/吹き替え:辻親八
ユデスキーが雇った黒人の傭兵。飛行機の操縦も担当していた。
島に降り立った直後に森の中でスピノサウルスに襲撃され、銃で応戦したようだが敵わず、クーパーを置き去りにして逃げ出し、飛行機を離陸させようとする。
しかし、離陸した瞬間、飛行機はジャングルから飛び出してきたスピノサウルスに追突して墜落。
その後スピノサウルスに捕まり、飛行機から引きずり出された挙句、匍匐前進で逃げようとしたが、踏み潰されて食われてしまった。
胸ポケットにしまった衛星電話と共に……。

クーパー
演:ジョン・ディール/吹き替え:落合弘治
ユデスキーが雇った傭兵。強力な対物ライフルを使用する銃撃のプロ。
飛行機内では、島に着陸しようとするのを止めようとしたグラント博士を殴って気絶させた。
島に降り立った直後に森の中でスピノサウルスに襲撃され、たった一人で応戦するものの敵わず逃げ出し、
離陸しようとする飛行機の前に飛び出して止まるよう叫んでいる最中、追ってきたスピノサウルスに喰われてしまった。
彼自身にそのつもりはなかったものの、結果的にスピノサウルスと飛行機が衝突する原因を作ってしまったことになる。

ベン・ヒルデブランド
演:マーク・ハレリック/吹き替え:内田直哉
アマンダの友人の若い男。パラグライダーが得意で、イスラ・ソルナ島でのパラセーリングを企画した張本人。
パラグライダーを牽引していたボートから乗組員が消えてしまった後も冷静に対応し、牽引ロープを切り離してパラグライダーを操るが、島の奥地に不時着してしまった。
ベンが持っていたビデオカメラの映像でエリックを木に引っかかったパラグライダーから降ろしたところまでは生存を確認できたものの、本人は何らかの理由で降りられなかったらしく、後に訪れたグラント一行に白骨化した状態でパラグライダーからぶら下がっているのを発見された。パラシュートを引きずり下ろした次の瞬間にはベンの白骨死体がこんにちはするシーンはかなり怖い。
なお未公開映像によれば、降りる前にラプトルに襲撃され、命を落としたらしい。

エンリケ・カルドソ
演:ジュリオ・オスカー・メチョソ/吹き替え:楠見尚己
イスラ・ソルナ島近海での違法パラセーリングを生業にしている男。
ベンとエリックのパラセーリング中に牽引ボートが霧の中に突入した直後、他の乗組員共々、忽然と消えてしまった。恐らく恐竜に襲われたと見られる。
島の危険性を一応認識してはいたようだが、甘かったと言わざるを得ない。

エリー・デグラー
演:ローラ・ダーン/吹き替え:安藤真吹
グラントの元助手で元恋人。現在は一児の母。
旦那様は外交官で国務省に勤務しており、玉の輿に乗ったというわけ。なお、夫のコネは終盤で活きることになる。



登場恐竜

当時の学説を反映しており、恐竜の体表がシリーズ中最も色彩豊かになっている。

スピノサウルス
今回初登場の肉食恐竜。背中の大きなヒレが特徴。
T-レックスに代わる大型恐竜として、キービジュアルに採用されるなどプッシュされている。

インジェン社のリストに入っていないため、どのように出現したのかは不明だったが、後にマスラニ社が秘密裏かつ違法に制作した種であったことが判明した。

体長13.3メートルと、ティラノサウルス以上の巨体を持ち、大きく鋭い鉤爪で相手を切り裂き、大きな顎で敵や獲物を噛み砕く、イスラ・ソルナ島の頂点捕食者。
劇中では、若い雄のティラノサウルスと激戦を繰り広げた末、その首の骨をへし折って勝利している。
水陸両生で、陸上だけでなく水中から敵を襲い、双方の意味で一同を苦しめた。
ただ、その戦闘力に反して頭は良くないようで、飛行機内に閉じ込められたアラン達を引きずり出そうと適当に飛行機をひっくり返したり、
アラン達を追うのに夢中になって木やフェンスの隙間に顔を突っ込んだりと、劇中では微妙に間抜けな行動が目立つ。

なお、後の研究では魚食性で恐竜を捕食することはあまりなく、機会があれば口にしたくらいだろうという説が有力視されているため、
本作のスピノサウルスは、スピノサウルスのDNAをベースに他の肉食恐竜のDNAが組み込まれたハイブリッド〈キメラ〉恐竜ではないかという推察がされている。
ちなみに顎の咀嚼力でいうとT-レックスには及ばないが、体重ではスピノサウルスに軍配が上がるかもしれない。
ティラノサウルスの最近の推定体重が最大9t以上、または別の計算方法において上下側のデータ (9.5~18.5t) にエラーがあるため、その中間値の14tとされている。
対して、スピノサウルスの体重が体長12~14m強クラスでエラー無しでおそらく12~21t弱あったのではないかとする説が出されており、
この説に則れば、スピノサウルスに軍配が上がる可能性がより高くなる。

しかし、後の研究で後脚が短すぎてギリギリ二足歩行出来ている状態だったらしいことや、同時代・同地域のカルカロドントサウルスに襲われていた痕跡も発見されており、
ホームグラウンドの水辺ならともかく、陸上でT-レックスを相手にしても勝ち目は無かっただろうと推測される。


ヴェロキラプトル
ご存知、恐竜の中のハンター。
恐竜の中でも高い知能を持っていることで定評があるが、
今回は仲間同士の会話や罠を使って敵をおびき寄せる人語を喋る(「アラン!」)など、頭と統率力の良さに拍車がかかっている。
そして終盤、グラントとの知恵比べが繰り広げられる。*4
今作ではオスとメスで体表の色彩に性差が存在する。
また、制作されていた頃には羽根が生えている恐竜としての側面も言われ始めていたこともあり、オスの頭頂部には小さなトサカのような羽毛が確認できる。

プテラノドン
肉食の翼竜。前作ラストでチラ見えしたが、今回満を持して本格登場。
谷底に巣を作り、無数の群れで上空から鋭いくちばしで獲物を狩る。
ラプトル以上に数の暴力で厄介な存在。

なお、40kgはある少年をぶら下げて飛んでいたが、骨格などから推定される体重は最大で20kg程度。10歳以下ならギリギリいけるかもしれないが、それ以上の年齢の人間を掴んで作中のように軽々飛ぶなんて無理だろう。
そもそも飛行スタイルも気流を捉えて滑空するアホウドリスタイルなので、あの環境で力強く羽撃いていた本作のプテラノドンはファンタジーの住人に近い……のかも。

この点もちゃんとパンフレットでは解説されており、「実際にはプテラノドンは人間を捕まえたまま飛ぶことはできません、勘違いしないように」というやはり映画の余韻ぶち壊しな解説がしっかり書かれている。
公式で主人公補正宣言されてる奴その2
また名前の由来が「歯のない翼」であるにも関わらず、劇中に登場した個体の口内には歯が生えている。当然ながら本作を見た学者陣からは総ツッコミを食らっていた。

ティラノサウルス・レックス
肉食恐竜の王者(……のはず)。若い雄の個体で、スピノサウルスの前に現れ一対一の勝負を挑む。
1と2の時とは異なる個体。体色も緑色。
大型肉食恐竜同士の迫力ある闘争は今作のハイライトシーンの1つであるが、結果は多くの恐竜ファンの議論の的となった(後述)。
前作のジュニアという説があるが、実際のところは不明。

ブラキオサウルス
大型雷竜。長い前脚と鶏冠のある頭がトレードマーク。
出番自体は少ないものの、そのスケールで恐竜の雄大さを存分に魅せつけてくれる。

アンキロサウルス
背中を硬い骨板で覆われている鎧竜の最終進化形。有名恐竜だが、シリーズではこれが初登場となる。
ラプトルの縄張りとなっている森を力強く悠然と歩く姿は、肉食恐竜とのチェイス続きで疲れた視聴者の心を癒してくれるがものすごく出番が少ない
なお、こいつもスピノサウルス同様インジェンのリストに無い違法制作された恐竜である。

コンプソグナトゥス(コンピー)
人間と比べても非常に小さな獣脚類。前作では集団で獲物にまとわりついて食い殺す怖い肉食恐竜だった。
今作では出番は少なく、森の中で羽虫を追っかけるなど、当時の学説で提唱されていた習性に近い行動を見せている。
しかし、エリックからは危険な動物と認識されているようなので、襲われたことがあったのかもしれない。

パラサウロロフス
長い鶏冠が自慢の草食恐竜。
一作目から皆勤なのに影の薄い奴ら。

コリトサウルス
シリーズ初登場の割にすごく影が薄い
よーく注意してみるとパラサウロロフスの群れに混じっているのがわかる。
スピノサウルス、アンキロサウルスと同じく、インジェンのリストに無い違法制作された種である。

ステゴサウルス
前作に引き続き登場。

トリケラトプス
ティラノ、ラプトルと並んでシリーズ皆勤賞。今回もメインストーリーには絡まないものの名脇役っぷりを見せる。

ケラトサウルス
こちらも初登場の、角をもつ中型肉食恐竜。
衛星電話の着メロに引き寄せられてグラント一行の前に姿を現し、一行をギョッとさせる。
しかし、自らの目の前にあった排泄物がスピノサウルスのものだと臭いで察し、この場にいるのは危険と判断してそのまま去っていった。
ちなみにT-レックスのCGモデルを流用して造形されているため、実際のケラトサウルスとは細部がやや異なる。
これもリスト外の違法制作された恐竜である。




その他の動物



オウム
エリーに飼育されていたジャックという名のオウム。
オウムらしく人語の物真似ができるようで、グラント博士が自分の名前を覚えさせようとしたが喋ってくれなかった。
未公開シーンでは、アランとエリーがラプトルのコミュニケーション能力について議論している時に「うそつけ!」と煽る喋るシーンが存在する。

羽虫
恐らく双翅目*5と思われる昆虫。
ブンブン羽音を立ててベンの死体にたかっていたり、コンプソグナトゥスに食いつかれたりしていた。
ちなみに劇中のジャングルのシーンは、その大半が屋内セットで撮影されているため、この様な虫に悩まされることもなく快適だったと出演者は語っている。


島を脱出するために川下り中のグラント一行が、何かに追われて水面近くを慌ただしく群れで泳いでいるのを見つけ、異常を察知することができた。
ちなみにグラント博士が言っていた「ボニタス(Bonitos)」とは「ボニート(Bonito)」の複数形。英語でカツオ類を意味する単語である。




登場アイテム



衛星電話
ポールが所持していた黄色い衛星電話。
通信衛星を介して辺鄙な孤島からでも通話可能であり、島を脱出するためのキーアイテム。
前作に登場した肩掛けカバンの様な衛星電話に比べてかなりコンパクトなサイズになっており、「乱暴に扱うな」と言われていたのが馬鹿馬鹿しくなるくらい頑丈である。
着メロはカービー塗装タイル店のメロディとなっているが、物語中盤で恐怖のメロディと化す。

パラグライダー
違法パラセーリング会社「Dino-Soar」の所有するパラグライダー。赤いパラフォイルに会社のロゴと電話番号が描かれている。
劇中冒頭でベンとエリックがイスラ・ソルナ島近海でのパラセーリングに使用し、島の森の中に不時着して(ベンの死体付きで)木に引っかかっているのをグラント一行に発見された。
パラグライダー自体に破損は少なかったことから、脱出の役に立つかもしれないと回収され、プテラノドンに攫われたエリックを助けるためにビリーが使用した。

ビデオカメラ
アマンダ所有のビデオカメラで、恐竜を撮るためにベンがパラセーリングに持ち込んだ。
島に不時着したパラグライダーのすぐそばに落ちていたのをグラント一行が発見し、ベンとエリックに一体何があったのかを知ることができた。

アインホルン20mm無反動ライフル
クーパーが島に持ち込んだ架空のライフル。モデルとなった銃はおそらくバレットM82A2対物ライフル。
デモンストレーションとして、恐竜に見立てたスクラップの小型飛行機を吹っ飛ばし、その絶大な威力を見せつけた。
まともにくらえば大型の肉食恐竜でもひとたまりもなさそうだが、島でスピノサウルスと相対したクーパーが数発発砲した音が聞こえたものの、
目立ったダメージは見当たらず、追われて逃げてきたクーパーはもう銃を持っていなかった。
実際の所、ハンターでもない傭兵上がりの男が、視界の悪いジャングルで急に出くわした初めて見る全長13.3mの怪物の急所を冷静に狙うこと自体無理があったのだろう。

研究施設の電話機
ポールが廃棄された研究施設の受付と思わしき場所で見つけたボロボロの固定電話。
前作で島の電力は地熱発電によって直接賄われていると言われていたので、もしかしたら通話可能かもしれないとアマンダが手に取ったが、さすがにダメだった。

自販機の菓子
ポールが見つけた研究施設の食品自販機内にあった袋菓子。価格は25セント。*6
ビリーが自販機のショーウインドーを飛び蹴りで叩き割って入手した。
自販機が放置されてかなりの時間が経っており、正直消費期限もへったくれもない状態であろうが、サバイバル中では貴重な食糧である。
ちなみにポールは動いてもいない自販機にちゃんとお金を入れて買おうとしていた。

M18発煙手榴弾
エリックがラプトルに囲まれたグラント博士を助けるために使用したガス弾。
インジェン社が残していった遺物からエリックが回収したもので、対猛獣用の催涙ガスが封入されている。
殺気立ったラプトルをも退散させる程の威力があるが、残念ながらグラント博士を助けるために使用したのが最後だった。

T-レックスの小便
エリックが三角フラスコに入れて所持していたティラノサウルスの排泄物。
小型の肉食恐竜はその臭いに怯えて逃げ出すため、猛獣除けとして効果を発揮するが、スピノサウルスは縄張りを荒らされたと判断して寄ってくるので一長一短。
ちなみにエリック曰く、入手方法は聞いてほしくないらしい……。

ラプトルの鉤爪
エリックが所持していたヴェロキラプトルの後肢の巨大な鉤爪。
第1作目でグラント博士がよく手の上で弄んでいたのはこの鉤爪の化石である。
まさかエリックが生きたラプトルを狩猟して剥ぎ取ったわけではないと思われるので、恐らく死体を見つけて剥ぎ取ったものであろう。

信号拳銃
輸送用ボートに備え付けられていた、救難信号弾を発射する拳銃。
ボートを襲撃したスピノサウルスに向けてグラント博士が発砲するも、所詮武器ではないため、スピノサウルスの表皮にあっさり跳ね返されてしまう。
しかし、辺りには破壊したボートから漏れ出した燃料用ガソリンが充満しており、それに信号弾が引火して、スピノサウルスの周囲を火の海に変えてしまった。
ちなみにボートの燃料タンクからガソリンが漏れ出しているシーンはしっかり映されているものの一瞬であるため見逃しやすいのか、グラント博士が撃ったのは小型ナパーム弾であると記述された資料も一部に存在する。

幸運のバッグ
ビリーの所有する年季の入ったボロボロのバッグ。
かつてパラグライダー中の事故に遭った時、このバッグのおかげで命拾いしたことから、ビリーは幸運のバッグとして大切にしている。
前作に登場したサラの「幸運のリュック」は身を挺して持ち主を守ったのに対し、ビリーのバッグは一行に災厄をもたらすアイテム災厄を打開するアイテムの両方を収める混沌の器となった。

ラプトルの卵
ビリーがラプトルの巣から盗んだ2つの卵。災厄をもたらすアイテム
これによりグラント一行は卵を取り返さんとするラプトルの群れに、縄張りを越えて執拗に追い回されることとなった。

ラプトルの共鳴腔のレプリカ
ラプトルの頭骨化石のスキャンデータを元に原形復元機(所謂3Dプリンタ)で再現したラプトルの共鳴腔のレプリカ。災厄を打開するアイテム
笛の様に吹くことでラプトルの発声を真似ることができ、グラント博士が使用して、限定的ながらもラプトルとの意思の疎通に成功した。

グラント博士の帽子
グラント博士が被っているインディ・ジョーンズも御用達のソフト帽(インディ・ジョーンズ・ハット)。
実は第1作目でも被っていたが、T-レックスの鼻息で吹き飛ばされて失くしている。
今作でもプテラノドンに追われて川に飛び込んだ際に失くしてしまったが……。




乗り物



1987年型フォードF-250
グラント博士が乗っていた、ドアに「モンタナ州立大学ロッキーズ博物館」のロゴが入ったピックアップトラック。
実は今作のためだけに作られた劇用車ではなく、今作のテクニカルアドバイザーを務めたモンタナ州立大学ロッキーズ博物館の学芸員である、古生物学者ジャック・ホーナー氏の所有する実在の車である。

哨戒機
劇中冒頭で島の上空を飛行していた小型飛行機。エンリケが双眼鏡で確認し、警戒していた。
島に船舶や航空機が近寄らない様にコスタリカ政府が哨戒させているが、安全を確保するために高空を飛行していることもあって、エンリケの違法パラセーリングボートを発見できなかった。

パラセーリング用牽引ボート
Dino-Soar社所有のモーターボート。ベンとエリックを乗せたパラグライダーを牽引した。
しかし、パラセーリング中に霧の中に突入した後、妙な振動を起こし、霧からでた時には船体上部がボロボロになった状態で、乗組員は一人残らずいなくなっていた。
ベンとエリックは牽引ロープを切り離して脱出したが、ボートは暗礁に勢いよく乗り上げて航行不可能になってしまった。

ビーチクラフト・スーパーキングエア モデル200
ビーチ・エアクラフト社*7製の双発ターボプロップビジネス機。機体記号はN622DC*8
イスラ・ソルナ島に向かうため、ポールがチャーターした。ナッシュとユデスキーが操縦席に座る。
本機が恐竜の群れの上空を飛行するシーンは今作のハイライトシーンの1つである。
一度は島の小さな飛行場後に着陸するも、スピノサウルスに追われて離陸しようとした際に追ってきたスピノサウルスと追突してしまい、ジャングルの中に墜落した。
なんとか乗っていた全員は無事だったものの、飛行機を降りる間もなくスピノサウルスの追撃を受けてしまった。

放置トラック
インジェン社が島を放棄した際に一緒に放置されたのであろう大型トラックで、沼に半分沈みかけた状態になっている。
島に不時着したエリックはこのトラックの荷台を隠れ家にして2ヶ月間生き延びた。

輸送用ボート
島の川岸に着けてあった小型ボート。船体に小型のオリを搭載していたことから、インジェン社はこの船を小型恐竜の島内輸送に使用していたと考えられる。
当然ながら、放置されてかなりの時間が経っており、船体はボロボロであったが、浸水もなくエンジンも起動する等、状態が良かったため、グラント一行はこのボートを使って川を下り、海岸へ出ることにした。
しかし、途中で水中からスピノサウルスの襲撃に遭ってしまい、グラント一行は積んであったオリの中に逃げることを余儀なくされた。

AAVP7A1
劇中終盤にグラント一行の救助に現れたアメリカ海兵隊の水陸両用兵員装甲輸送車。

SH-60 シーホーク
救助されたグラント一行を収容したアメリカ海軍の艦載ヘリコプター。
ヘリの中には思わぬ先客が……!



余談

  • スピノvsティラノの戦闘について

映画が公開されてからずいぶん経つが、当時も今もこの結果に納得しない声は少なくない。英語でのスレとかを覗いてみると、それはもう…。
「この映画がラジー賞にノミネートされたのは、ティラノが負けたからだ!」なんて陰謀論チックな感想を持つ人までいる (前作もノミネートされているのに)。

なお、映画の制作にも携わっていたジョン・ホーナー氏やニザール・イブラヒム氏およびポール・セレノ氏という恐竜研究界の重鎮は、2001年発売の海外版のDVDや2014年発売のナショナルジオグラフィックで、このように述べている。

「恐竜のヤバさのレベルをサイズ準拠にして言うなら、肉食恐竜ではスピノサウルスが一番。ティラノサウルスはスカベンジャーだった可能性もあるが、スピノサウルスはプレデターだった。」

「スピノサウルスが一番大きい獣脚類だから目玉恐竜にした。」

「スピノサウルスが水中生物&四足歩行だった可能性も挙がってきたし、他の捕食者との戦闘が起こっても、映画での描写とは全く異なるものになるかもしれない。」

「大型の捕食者同士は、お互いに避けていたという可能性が高いね。スピノサウルスが上陸しても、他の獣脚類などとドンパチやらなかったと思う。」

「もし戦ったら、最初に強力な噛みつきが決まった方が勝利するだろう。」

「そもそも、ティラノもスピノも、棲んでた時代も大陸も全く違うんだがね。」

上記の通り、ティラノの圧勝を願う?意見もあるが、近年でもスピノの大型個体が良い結果を残すだろうという説に賛成する意見もある。

そもそも、ホームグラウンドが全く異なる生物同士の強さ議論はナンセンスである。
陸と空ならまだしも、水中と陸上だと、例え波打ち際や浅瀬に場所を設定したとしても、両者が本来のポテンシャルを平等に活かせる訳ではないのだ。


「僕の見立てだとWiki籠りには2種類いる。新規作成タイプか追記修正タイプだ」


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最終更新:2024年04月25日 00:49

*1 実際、本シリーズに登場する恐竜・古生物は、恐竜の遺伝子にカエルなど別種の遺伝子も混ぜ合わせたキメラ生物であり、この見方は正しいとも言える。

*2 背びれに関してもインジェン社の恐竜には本来存在しない特徴があることも少なくない事から、リストにない恐竜を連想するまでには至らなかったのではないかとも考えられる。

*3 もっとも、かつてイスラ・ソルナ島を訪れた人間を連れて来ようとしても、イアン・マルカムをはじめ、あのローランド・テンボであっても二度と来たがらなかっただろうが。

*4 『ジュラシック・ワールド』の小説版によると、グラントはこの時の経験をまとめた報告書を提出しており、次作におけるラプトルの研究活動に生かされたようである。

*5 要はハエの類

*6 アメリカの自販機やコインランドリーは25セントコイン(通称QUARTER)しか受け付けていないものも多い。

*7 現ホーカー・ビーチクラフト社

*8 Nはアメリカの国籍記号、数字は登録番号、DCは商用及び自家用機を意味する記号。