東京メトロ銀座線

登録日:2015/08/11 Tue 01:02:00
更新日:2024/02/29 Thu 09:28:40
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東京メトロ銀座線(ぎんざせん)は、浅草駅から渋谷駅までを結ぶ、東京地下鉄(東京メトロ)の鉄道路線である。鉄道要覧では「3号線銀座線」。
路線のラインカラーはオレンジ、路線記号は「G」である。


概要

日本はもちろんアジア・オセアニア地域で初めて開業した地下鉄路線で、最初に開業した浅草~上野間は1927年と実に100年近い歴史を持っている。
1941年9月と太平洋戦争前の時点で全通しており、そこから見ても既に80年以上経っている。
建設については、当時の技術面の関係で道路を掘り下げて線路を下ろし、上から蓋をするという開削工法で作られている。
そのためか、ほぼ全線が地下の浅い位置に建設されていて地上への出口が近い駅が多い。

トンネルは建設費を抑えるために断面積が小さく、電化方式も第三軌条方式*1が採用されている。
日本初の地下鉄ということもあり、将来的な予測が難しかったという事情はあったものの、開業当初はこれでも十分な輸送力を持っていた。
しかし、人口が増加しただけでなく体格も大きくなった現代においては、この「小さいこと」が輸送力不足を招く事態に……。
地上の路線に比べて設備を大きくするのも難しいため、バイパスとなる路線(半蔵門線)を作るなどして対応している。

日本の地下鉄では珍しく、廃駅や使用停止された「幻のホーム」が複数存在するのも特徴のひとつ。

運行形態

上記の通り1編成当たりの輸送力が小さいため、かつては日中でも3分間隔(1時間20本)という高頻度の運転を行っていた。
平日ダイヤの朝ラッシュは2分間隔での運転で対応しているが、やはり元の車両が小さいため混雑が激しい。
輸送能力が半蔵門線の半分くらいなのを本数で補っていた格好だったが、2022年夏ダイヤではまさかの減便。両線が並ぶ表参道駅で、日中時間帯は双方とも5分間隔となった。
……が、やはり混雑が悪化したようで、2023年4月29日から4分間隔に増発された。
時間帯問わず基本的には全線通しの運転だが、朝夕ラッシュ時には入出庫の関係で上野発着の列車がある。

使用車両

前述したトンネル断面積に合わせるため車両の規格も小さく、長さが16m級で幅2550mm、3扉車の6両編成である。
また、この小ささは車両への冷房設置も難しくしており、初めて冷房が搭載された車両が登場したのは1990年と意外にも平成になってからである。

2000形までの旧型車はポイント通過などの際に第三軌条から車両が離れ、一瞬だけ停電する「瞬間停電」がよく起きており、それに対応した予備灯が車内に設置されていた。
こち亀」ではこの瞬間停電でビビるかビビらないかでお上りさんを見分ける、と紹介されたこともある。

現行

  • 1000系
銀座線現行の主力車両で、2012年に登場。
車両が小型のため、01系にはワンマン運転や昇圧に対応した機器が搭載できないことから置き換えのために登場した。
かつて走っていた1000形車両をモチーフにした、レトロ調のデザインとなっている。
車体がレモンイエロー、屋根がチョコレート色と明るい色になっているが、これは塗装ではなくカラーフィルムを貼り付けたラッピングである。
見た目こそレトロだが、車内は液晶ディスプレイ2~3台搭載、照明や前照灯もLEDとなっているなど設備は現代技術がフル活用されている。
本形式はレトロ感を演出させる観点および狭軌・架空電車線方式車両との識別も兼ね、あえて「1000系」にしたという経緯がある。
登場当初は従来の基準に倣い、車両番号の百のケタを号車に合わせていた関係で6号車は1600形と称していたが、2015年6月から順次「1000形」に改められた。
最後に製造された2編成は1000形の外観・内装により近づけられた特別仕様車となっており、前述した瞬間停電を再現するギミックが装備されている。乗れたらラッキーかも。


画像出典: Wikipedia

過去

  • 1000形
1927年の東京地下鉄道が建設した浅草~上野間開業時に導入された車両。
地下でも目立つように明るいイエローに塗装された車体が特徴。
難燃性には重点が図られ、当時としては珍しい全鋼製車体となった。
車内に網棚を設置していない、間接照明の採用など、内装でも新機軸が多数導入されている。
トップナンバーの1001号が廃車後神田の交通博物館に展示されていたが、1986年の地下鉄博物館開業に合わせて同館に移転し、開業当時の姿に整備しなおされた。

  • 100形
東京高速鉄道が建設した渋谷~新橋間開業時に導入された車両。
1000形よりも丸みを帯びた車体で、塗装はクリームと緑のツートンと1000形に比べるとオーソドックスな仕上がりとなっている。
戦後、一部の車両は丸ノ内線方南町支線用として同線に転属している。
1968年に全車運用を離脱したが、2両が中野車両基地の入換車として1981年まで使用されていた。
そのうちの129号車はカットモデルとなったうえで復元され、地下鉄博物館に展示されている。

  • 2000形
昭和期の銀座線を代表する車両で、細身の車体にオレンジ一色の塗装が特徴。
全車本形式という編成は少なく、中間車に戦後から高度成長期にかけて製造された他形式と混結して運用されていた。
これらの旧型車はデッドセクション通過時に車内照明が消えて非常灯が点灯しており、それにビビるかビビらないかでお上りさんかそうでないか区別ができるとも言われていた。
同時に扇風機も止まったらしいので、夏場は大変だったかもしれない。

1993年に全廃後、一部の車両が銚子電鉄と日立電鉄に譲渡された。

  • 01系

画像出典: Wikipedia

1983年にデビュー。
前述の旧型車の置き換えによるイメージアップを目的とした車両で、その後営団に各線に登場する「0X系列」の第1弾となった。
銀色ベースの車体にオレンジと細い白黒帯のラインカラーが施されている。
車内に案内表示器やドアチャイムなど当時では珍しい設備が多く搭載されており、その最新技術が評価され1984年のローレル賞を受賞。
半分以上の編成は非冷房で登場し後に冷房改造が実施されたが、平成以降の増備車は冷房設置で登場した。
2007年には開業80周年で1000形イメージのラッピング車両が走った。


画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録

1000系の導入に伴い、2017年3月10日に引退した。
引退後は第1編成3両が中野車両基地に保存されているほか、東京大学柏キャンパスにさよなら運転で使用された01-630が、01-129のカットモデルが地下鉄博物館にそれぞれ保存されている。
一部の車両は熊本電気鉄道に譲渡され、同車の01形として運用されている。


駅一覧

駅ナンバリングは終点の渋谷駅が基準となっているが、ここでは起点駅である浅草駅から紹介する。

  • G-19 浅草
都営地下鉄浅草線東武スカイツリーライン乗り換え。起点駅。
浅草寺や雷門などがある東京下町の代表的観光地である浅草の中心駅。
東武鉄道の駅があるEKIMISEへの連絡通路には、昭和時代の面影を残す地下商店街がある。
また、発車メロディに瀧廉太郎の『花』が使用されている。

  • G-18 田原町
浅草地区の西部にあり、東本願寺(東京本願寺)が近い。
そのためか、仏壇や仏具を扱う店が周辺に多い。
浅草六区およびつくばエクスプレスの浅草駅もこちらが近い。

  • G-17 稲荷町
近くにある下谷神社の「稲荷」が由来で、旧町名も下谷区南稲荷町であった。
台東区役所本庁舎の最寄りでもある。

  • G-16 上野
日比谷線、JR東北新幹線上越新幹線宇都宮線高崎線上野東京ライン山手線京浜東北線常磐線京成本線(京成上野駅)乗り換え。
JRは北の玄関口と呼ばれるターミナル駅。
発車メロディに森山直太朗の『さくら(独唱)』が使用されている。
上野検車区への分岐線があり、ここから入出庫が行われる。
なお、この上野検車区は地上と地下に車庫があるが、なんと第三軌条方式にもかかわらず踏切が存在する
通常の踏切と違って線路に入ると感電する恐れがあるため、電車が通る時以外は線路側が封鎖されているという軌道遮断式となっている。

  • G-15 上野広小路
元々は単独駅だったが、都営地下鉄大江戸線上野御徒町駅開業に伴って日比谷線仲御徒町駅、JR御徒町駅と3駅が同一駅扱いとなった。
「松坂屋前」という副駅名を持っており、実際渋谷方面ホームの改札を出るとすぐ同店の入り口がある。

  • G-14 末広町
一見何も無さそうな駅に見えるが、位置的には秋葉原電気街の北端とも言える位置にある。
そのため、店によってはJR秋葉原駅よりも近い場所にある駅となる。

  • (G-幻) 万世橋仮停留場
東京地下鉄道時代に神田川下の掘削工事が長引くのを想定し、仮の終点駅として設置された乗降場。
1930年1月から使用されたが、隣の神田駅までの路線が開通した1年11ヶ月後に廃駅となる。遺構そのものは今も残り、たまにクローズアップされる事がある。
ちなみに駅ナンバリングは東京メトロの1000系スペシャルサイトが出典。

  • G-13 神田
JR山手線・京浜東北線・中央線乗り換え。
オフィス街となっていて居酒屋や金券ショップなどが多く並ぶ。
発車メロディに美空ひばりの『お祭りマンボ』が使用されている。

  • G-12 三越前
半蔵門線、JR総武快速線(新日本橋駅)乗り換え。
半蔵門線とは改札外乗り換えで、ちょっと距離がある。JRは遠い。
名前の通り三越本店の最寄り駅で、三越が全額負担して開業させた駅である。

東西線、都営地下鉄浅草線乗り換え。
漢字が同じ大阪の「にっぽんばし」とは違い、読み方は「にほんばし」である。
「高島屋前」という副駅名の通り、日本橋高島屋S.C.最寄り駅。
大手企業の本社も多い他、東京証券取引所も近い。

  • G-10 京橋
「明治屋前」という副駅名を持つ。
実はJR東京駅八重洲口は、丸ノ内線の東京駅よりもこちらの方が近い。京葉線東京駅も割と近い。

  • G-09 銀座
丸ノ内線・日比谷線・有楽町線(有楽町線のみ銀座一丁目駅)乗り換え。有楽町線とは地上経由での乗り換えとなる。
副駅名として「三越・松屋前」とか「松屋・三越前」と案内される。
三越前があるのに紛らわしい。
銀座の繁華街の中にあって、非常に賑わっている。
また、発車メロディに高峰秀子の『銀座カンカン娘』が使用されている。

都営地下鉄浅草線、JR東海道線横須賀線・山手線・京浜東北線、新交通ゆりかもめ乗り換え。
昔からサラリーマンの街として有名で、再開発された汐留口には日本テレビや電通を始めとした大手企業の本社が多い。
構内には開業時に東京高速鉄道の折返しホームとして建設されたいわゆる「幻のホーム」が現在も残存しており、電車の夜間留置などに利用されている。
機動警察パトレイバー』の劇場版二作目では、このホームからテロリストの居る埋立地へと元第二小隊の面々が出向いていった。*2

  • G-07 虎ノ門
日比谷線(虎ノ門ヒルズ駅)乗り換え。
単独駅だった頃から利用者が非常に多く、銀座線内単独駅では最多、東京メトロ全体でも東西線東陽町に次ぐ2位だった。
一部の官公庁やアメリカ大使館、虎ノ門ヒルズなどはここが最寄り。

  • G-06 溜池山王
南北線・丸ノ内線・千代田線(丸ノ内線・千代田線は国会議事堂前駅)乗り換え。
銀座線で唯一戦後にできた駅で、南北線延伸に合わせた1997年に開業している。
建設時に港区と千代田区の境界上に駅が出来たため、駅名で対立して両地区の地名を合わせた谷町線方式の駅名となった。
この駅には01系の部品を再利用したサントリーの自動販売機が設置されているので探してみよう。

  • G-05 赤坂見附
丸ノ内線・有楽町線・半蔵門線・南北線(丸ノ内線以外は永田町駅)乗り換え。
2層式のホームになっていて、銀座線浅草方面⇔丸ノ内線池袋方面、銀座線渋谷方面⇔丸ノ内線荻窪方面が対面乗り換え可能。
この構造を生かしてか丸ノ内線との連絡線があり、検査での回送のほか、団体専用などで直通列車が運用された実績もある。但し車両規格の関係で直通は銀座線からのみとなっている。

  • G-04 青山一丁目
半蔵門線、都営地下鉄大江戸線乗り換え。
神宮外苑やオフィスの他、外国の大使館(ドイツ、カナダ、イラク、カンボジア)も多い。

  • G-03 外苑前
半蔵門線が並行しているが、銀座線にしか駅がないため単独駅である。
青山一丁目と同じく神宮外苑最寄りで、神宮球場や国立競技場、秩父宮ラグビー場はこちらの方が近い。

  • G-02 表参道
千代田線・半蔵門線乗り換え。
半蔵門線とは対面乗り換え可能で、隣の渋谷駅から直通する東急田園都市線との実質的な乗換駅でもある。
周辺は表参道ヒルズなどオシャレなお店が多い。
元々は神宮前駅と言う名称だったが千代田線開業に伴い現名に改称。半蔵門線の開業時にホームを浅草寄りにずらしている。
神宮前駅時代の旧ホームは今も車内から遺構が確認できる。

  • G-01 渋谷
副都心線東急東横線・田園都市線、JR山手線・埼京線湘南新宿ライン京王井の頭線乗り換え。
東京副都心のひとつで、東急百貨店の本店や109、渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエアなどがある若者の街の中心駅。
周辺の地形により、銀座線で唯一地上にホームがある。しかも渋谷駅の中では最も高い。
かつては東急百貨店の3階に駅が存在したためお上りさんが最も困惑する存在だったが、再開発に伴いホームが東寄りの明治通り上に移転した。
ちなみに『ガメラ3』では、ギャオス・ハイパーがガメラに撃墜され駅に墜落した上に、トドメの一撃を放たれ駅は壊滅したのだった……。


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最終更新:2024年02月29日 09:28
添付ファイル

*1 走行用の二本のレールとは別に、それに並行して給電用の第三のレール(第三軌条)を敷設する方式。一般的な架空電車線方式に比べて低コストで景観にも良いというメリットがあるが、一方で給電にレールを用いる構造上騒音や離線が生じやすいという欠点がある他、高速運転にも向かない欠点もある方式である。

*2 ただし実際のものとはだいぶ違う。というか駅名標以外はすべてでっち上げだとのこと。