ウルトラマンとすごそう!クリスマス☆パーティー2010

登録日:2015/08/10(月) 19:25:22
更新日:2023/09/19 Tue 10:48:21
所要時間:約 9 分で読めます






帰ろう、ジャミラ。
俺たちの星に――。


『ファミリー劇場PRESENTS ウルトラマンとすごそう! クリスマス☆パーティー2010』は、2010年11月28日に開催されたウルトラシリーズのイベントである。
この項目では、そこで上演されたヒーローショーの内容を中心に紹介する。


◆概要

「ウルトラマンとすごそう! クリスマス☆パーティー」は、CS局『ファミリー劇場』が開催していたクリスマスイベント。

ミニコンサートとウルトラマンのヒーローショー、一足早い(※開催時期は11月)クリスマスプレゼントなど様々なイベントが目白押しだが、
その中でも2010年に開催されたものは、かつて人間だった怪獣『ジャミラ』がメインテーマとなった。

親子向けのショーだからと手を抜く事は一切なく、ジャミラの悲しい運命、
そしてそれを受けてのウルトラ戦士やレイ隊員の葛藤や奮闘が描かれている。

レイ隊員役の南翔太さんは以前から各地のインタビューで「ジャミラをパートナー怪獣として更生させたい」と推薦しており、
またイベントでも「もしペンドラゴンのクルーがいなかったらレイもあのまま暴走し続け、
ジャミラと同じ怪獣になっていたかもしれない」と語っていた。その希望が今回実現する事となった。

かなりの評判を呼んだようで、翌年(2011年)の11月3日に岐阜県飛騨市で行われた『ウルトラマン・スターライトステージ』で少しだけ内容を変えて再上演されている。

なお、ヒーローショーなので(映像作品の)公式設定と違うところが多いが突っ込まないように。


◆あらすじ

まず、入場前に子供たちに地球が描かれた紙風船がプレゼントされている。
この紙風船が、今回の物語の重要アイテムである。


最初にvoyagerのライブ、ウルトラマン80やユリアンも交えた『ウルトラマン80体操』が行われ、
その後80先生が「一所懸命」の大切さを語っていた時、突然ウルトラセブンから通信が。
セブンが捕らえた宇宙人のバトルナイザーが、あまりにも強力な存在を吸収した事で壊れてしまったというのだ。

その「強大な存在」の正体は「カオスヘッダー・イブリース」。
人間の感情を取り込み、怒りや憎しみの力で強くなった実体カオスヘッダーだ。
そして、イブリースが招集した怪獣・宇宙人の中に、「彼」もいたという情報が80にも伝えられた。

ウルトラマンと合流するため一旦その場を去る事となった80は、司会のお姉さんにバトルナイザーをレイ隊員に渡してほしい、と告げた。

「ここの皆の力が必要になる時が、必ず来る」


それからしばらく経ち、ステージ上にやって来たレイ隊員
自分の故郷・地球が描かれた紙風船をお姉さんから貰い、それを珍しそうに眺めていると、先程80から託されたバトルナイザーをお姉さんから渡された。
それをじっと眺め、胸に当てた彼は、事態の全てを察した。

「……そうか、地球の力でしか『彼』は……」

そして、レイ隊員もステージ上を去り、ウルトラマンの元へ向かった。



一方同じ頃、イブリース率いる怪獣軍団と戦っていたのは、ウルトラマンウルトラマンゼロ
既にかなり怪獣たちを蹴散らしていた彼らの前に、事態の黒幕であるイブリースともう1体、
全身にひび割れが入り、どこか悲しげな顔をした『怪獣』が現れた。

「お前たちが残りの2体か……何が何でも倒すだけだぜ!」
「待て、ゼロ!」

ウルトラマンは、その『怪獣』に攻撃を加えることが出来なかった。

だが事情を知らないゼロは逃げ出した『怪獣』を追い、その場を去ってしまう。
そして残されたウルトラマンは、カオスヘッダーの力で復活した怪獣軍団の前に絶体絶命。
だがそこにウルトラマン80が到着、彼の援護もあり何とか軍団を撤退させることに成功した。

2人とも、全ての事情を知っていた。地球人であるレイしか、あの『怪獣』を救えない事を。


一方、撤退したイブリースや怪獣軍団は、地球をいつ襲うかの相談を始めた。
多くの地球人が特別だと思っているらしいクリスマスが丁度良い、と言う意見も出たが、
1か月近くも先という事でそれより前に襲撃する事に決定。

かつて自分が敗北する要因となった「優しさ=プラスの心」を、イブリースは憎み続けていたのだ。
すると、そこにあの『怪獣』を捕らえたゼロが乱入。再び大量の怪獣軍団と激闘を繰り広げ始めた。だがその時。

「やめてくれゼロ! そいつは怪獣じゃない! そいつは……地球人なんだ!」

駆けつけたレイの言葉がの意味を掴めなかったゼロだが、その悲壮な表情を見て、一旦レイと共に撤退する事になった。

そして残された怪獣軍団の矛先は、地球人である司会のお姉さんの方に。
だがそこに今度はウルトラセブンが登場。彼の活躍で、再び怪獣軍団は追い払われることとなった。

何が起こっているのか分からず心配するお姉さんに、セブンは告げた。
誰かを想う気持ちは、必ずその人を強くしてくれる。その事を地球で学ぶ事が出来た、と。


「レイを信じて、力を貸してくれ」



その頃、怪獣たちを撒いたゼロは、レイから全ての事情を聞いた。

あの怪獣――ジャミラは、かつて地球人の宇宙飛行士であった事。
事故で水の無い星に不時着した彼を、仲間たちは事故を隠すために見捨てた事。
「棲星怪獣」に変貌したジャミラは、憎しみを抱いたまま故郷に帰ってきた事。

そして、ジャミラの命をその故郷で奪ったのは、ウルトラマンである事


「あいつの傷を治してやりたいんだ。体の中にある、一番大きな傷を」

これ以上、ボロボロにひび割れたジャミラの「傷」を増やしたくない。せめて心だけでも、人間に戻せたら…。
ゼロはレイと共に、ジャミラを救い出す決意を固めた。



一方、そのジャミラはイブリースと共にステージ上から子供たちをじっと眺めていた。
彼を捨てた地球をいますぐぶち壊してやろう、と憎しみ混じりの言葉で喜ぶイブリースに対し、ジャミラは悲しげな鳴き声を返した。

人間の心を必死に保ち続けていたジャミラにイブリースは激怒。
そのまま彼を洗脳し、ただ暴れまわる『怪獣』に変貌させてしまったのだった。

洗脳強化されたジャミラを加えた怪獣軍団の前に、駆けつけたウルトラマンやウルトラマン80もは大苦戦。
そこに全ての事情を知ったゼロが、レイと共に駆けつけた。

戦いは自分たちに任せて、ジャミラの事に集中してほしいと一旦レイを引かせたゼロの前に立ちはだかったのは、
人間の心を失い、本当の『怪獣』になってしまったジャミラであった。

必死のゼロの説得もジャミラには届かず、やがてその容赦ない攻撃の前にゼロは力尽き、倒れ込んでしまった。

「俺や仲間の力じゃどうにもならねぇって事か……そりゃそうだよな……ウルトラマンが憎いか、ジャミラ……!」

その時、戦いの舞台にレイが駆け出して来た。
彼が手に持っていたのは、あの時お姉さんから貰った地球――レイとジャミラの故郷が描かれた紙風船

「思い出せ! お前はこの星の人間なんだ!」

だが、そんな彼にも怪獣軍団は容赦なく襲い掛かった。そして彼の掌の紙風船も、その手から落ちてしまった。
それでもなおレイは必死にジャミラに語り掛けた。彼は怪獣ではなく、立派な「地球人」である事を思い出してもらうために。


人間の心を本当に忘れちまったのかよ!? 違うだろ、ジャミラ!
もう一人には絶対にしない! 迎えに来たんだ!
だから頼む! 戻ってくれ!!」

そして、ジャミラを想うのはレイやウルトラ戦士だけではなかった。
司会のお姉さんも、そして会場の子供たち(そして親御さんたち)も皆、ジャミラの名前を必死に呼び続けたのだ。


やがて、ジャミラの様子が少しづつ変わりだした。暴れるのを止め、大人しくなり始めたのだ。
そしてレイの手から落ちた紙風船をそっと拾い上げ、じっと見つめ始めた。まるで、自分の故郷を懐かしむかのように。
ジャミラの洗脳が解かれ、とうとう人間の心が戻ったのである。

ところが、次の瞬間。

「黙れ!!」

イブリースの一撃が、ジャミラの体を吹っ飛ばした。
怒りの叫びをあげるレイを尻目に、イブリースはジャミラの故郷・地球が描かれたあの紙風船を踏みつぶそうとする!
だが、間一髪のところでそれを拾い、イブリースから守る者がいた。

「何があっても守ってみせるぜ……こんな風にな!」

倒れていたはずのウルトラマンゼロが、蘇ったのだ!

そして怪獣たちの拘束から逃れたレイは、ゼロから『地球』を託され、ジャミラの元へと去って行った。


そしてステージ上で怪獣軍団の前に立ちはだかったのは、ゼロ、マン、80、そして合流したセブン。
ジャミラをただの怪獣として扱い、何度も苦しめた事を絶対に許すことは出来ない、と言うウルトラマンの言葉と共に、ついに最終決戦が始まった。

数で圧すイブリースたちだが、子供たちの大声援をバックに戦うウルトラ戦士たちには敵わない。


「なんだ、この声は……この心は……!」
「プラスの心。地球の言葉で、『愛』と呼ばれているものだ」

かつてコスモスとの戦いで敗北する要因となった、「優しさ」に繋がる心である。
たかが小さな力だ、とその心の強さを認めようとしなかったイブリースだが、既に勝敗は決定していた。
愛の強さを知らないイブリースに、勝ち目は無かったのである。

そして、ウルトラ戦士の力の前に、とうとうイブリースと怪獣軍団は倒されたのであった。



全ての決着がついたステージ上に、レイが戻ってきた。
彼の手元には、80から託されたバトルナイザー。

そこに映し出されていたのはジャミラ。彼はこの中で、体と心に刻まれた傷を癒す事になったのである。
ウルトラマンは、レイに感謝の言葉を述べた。

どれだけ強い能力を持っていても、ウルトラマンの力ではジャミラを救う事は出来なかった。
彼はずっと、地球から仲間が迎えに来るのを待っていたのだ。

それが、心だけでもジャミラを「棲星怪獣」でなく「人間」に戻す、たった1つの方法だったのである。


「彼を想う気持ちは、貴方たちだって同じです。ウルトラマン」


そして、一所に地球へ帰ろう、と言うレイの握るバトルナイザーから、ジャミラの応える声が返ってきた……。



◆余談:その他のジャミラ救済(?)エピソード


  • 怪獣バスターズ
初代のジャミラとは別人のジャミラが登場。
主人公たちに救助され人間の背丈になっても元の姿に戻れず絶望しきっていたが、
主人公の仲間であるカネゴン『友達』だと言ってくれた事に感銘を受け、そのまま主人公に協力する事となった。
他の面々(主人公に協力する宇宙人や怪獣たち)とも仲良くなっているようで、皆優しくしてくれると嬉しがっている。

擬人化と言う手段で無事人間(ただし美少女)の姿に戻る事に成功。
しかし水も弱点ではなくなったがトラウマは未だに残っており、風呂に入る事を嫌がり騒動を巻き起こしてしまった。


また、これら以外でも美女と波打ち際プールで遊んだり、CMでお洒落に着飾ったり、
人間の姿に戻れなくてもジャミラはすっかり故郷の人々と(少々不安だが)幸せな生活を満喫しているようである。


ジャミラを仲間として迎えてくれる人、追記・修正お願いします。

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最終更新:2023年09月19日 10:48