美城常務

登録日:2015/7/26 (日) 00:29:00
更新日:2023/09/18 Mon 05:03:40
所要時間:約 11 分で読めます





クライアントが最初に会うのは、アイドルではなく君だ。
身嗜みには細心の注意を払うように。


美城常務は、アニメ版『アイドルマスターシンデレラガールズ』の登場人物。
声:田中敦子


人物

2ndSeasonから本格的に登場する、長身と黒系統のスーツを着こなした、いかにもキャリアウーマンといった風貌が特徴の女性。下の名前は不明。
346プロダクションの常務で、アイドル事業部統括重役に就任し、武内Pなどの所属プロデューサーを始めとする社員たちの上司となる。
苗字や現会長の娘である事から、創業家出身であると思われる。
今西部長とは旧知の仲のようで、彼からは親しげに話しかけられたり、忠告を受けたりする場面も。

バリバリのキャリアウーマン然とした雰囲気とは裏腹に詩的な言い回しをすることが妙に多い。
そうした発言は一部視聴者や出演者から「ポエ務」とネタにされる。むしろ、大人にしては夢を見すぎている。

「デキる女」(未央談)と言う第一印象に違わずその仕事ぶりは有能その物であり、彼女の就任したアイドル事業部は急成長を始める。
アイドルを見る目はかなりの物があり、そして本人もそれを自覚・自負している節がある。
アイドルには「かつてのトップアイドル達が持っていたようなスター性」を求めている。
言わば「お城のお姫様」(と言っても深窓の令嬢系)のような「クールな高級路線」である。
視聴者からは「『日高舞の再現と量産化』を目指しているのではないか」とも考察されていた。

そのお眼鏡に適ったアイドル達にはスタッフ・美術・イメージ戦略を全力でバックアップし、その判断力と企画力は劇中でも高い完成度を誇っている。
僅かな時間練習を見ただけで新ユニット(後述)の可能性を見出したり、新人であろうが才能を感じれば大舞台への抜擢を行うなど果断で自身の判断に迷いがない。
発掘してきた才能自体のレベルも高く、アイドル間の相性も悪くない。

打つ手なしと判断した場合には早々に問題部分を切り捨てるが、自分の主義に真っ向から反対した部下に対してはその態度を咎めつつも、
「成功すればそれでよし、失敗すれば自分の正しさが証明される」との考えで、明確なプランを出してきた人物にはとりあえずのチャンスを与える。
言うことを聞かない人間を冷遇・排斥するようなこともしない。そんなことをするよりは次のプランを試した方がよいと考えているのかもしれない。

しかし自身の方針にそぐわないバラエティ色の強い関連番組に対して事実上の妨害に等しいテコ入れをしたり、
それを受けたお笑い的要素電波キャラを含むアイドルの所属部署が路線変更を検討しかける流れに向かったことも。
また気さくなタイプとは言い難く、言動が端的かつきつくなりがち。自分の理想を押し出し過ぎるきらいもある。
(スカウトされた大槻唯曰く 「いきなり来るとかマジビビるよねー」

この様に、人心掌握を含めた長期的・対人的な面に関しては、有能と描かれているとは言い難い。
作劇上「常務の新体制とその麾下アイドルvsシンデレラプロジェクト」的な側面は存在しているものの、武内PやCPは346プロ内の孤立勢力ではなく、
むしろ明確な対立者がCPというだけで、常務に追い立てられる形となったり路線変更を強いられた事に不満を持つ者こそあれ、
直属のアイドルや関係者以外では(能力や実績こそ評価されているが)従う者が多いという明確な描写は見られない。
常務体制に批判的でない者の多くは新人や常務によって見出された者など、美城常務の新体制移行後の者が殆どである事は、やはり特筆すべきだろう。

総合すると描写的にもメタ的にも「スカウトマン・仕掛け人」としては決して無能ではなく間違いなく有能だが、「育成者」ではない感がある。
尤も、商品を見る目と経営能力が問われる企業幹部(常務)なんだからむしろ当然ではあるのだが。


態度や発言で損をすることが多い点は、武内Pと似た者同士と言えるのかもしれない。
そしてアイドル達を自分の手でトップに立たせようとするあまり、手法が強権的になっている(早い話、アイドル達の事を考えているようで考えていない)など、
想いが一方通行気味な所も、過去の彼の話と被るところがある。
というより、一見して対照的な2人が目指すところは結局のところ同じで、「アイドルを輝かせること」という一点に収束する。
アイドルの個性を生かした路線を好むプロデューサーと、確固としたイメージ戦略へのアイドルの適応を求める常務。
要はやり方が違うだけであった。

アニメ版『アイドルマスター』では徹底して(原作以上に悪辣な)悪者にされてしまった黒井社長の前例から、
彼女に否定的な視聴者は「常務は敵」「常務vsCP」という印象・先入観を強くしすぎて抜け出せていないことが多いと思われる。
本作が童話「シンデレラ」が下敷きになっているという面を鑑みれば常務に与えられたロールはさしずめ意地悪な継母であり、その意味では仕方ないとも言える。
しかし劇中で武内Pが気付いたように、彼女もまた、自らの理想を追い求めているだけなのだということを意識すれば、
彼女に対する印象もほんの少し、変わってくるかもしれない。



劇中の活躍


アニメ版において

初登場は1期13話からだが、この時はカメオ出演、顔見せといった扱いであり本格的な活躍は2期1話(通算14話)から描かれる。

ニューヨークの関連会社から帰国した後、シンデレラプロジェクトの控え室に現れ、
武内P及びニュージェネレーションズに上記の言葉と「頑張りなさい」と労いの言葉をかけるなど、優しい一面を見せた。

そしてエンディング後のラストシーンにて現在動いている全てのプロジェクトを解体し一旦白紙に戻す事を決定し、視聴者に大きなインパクトを残した。
所属アイドルや武内Pなどから、346プロダクションはキャラの濃さに定評があるようだ

続く2期2話(15話)ではPの「一人一人のアイドルの個性を伸ばしていく」という方針では(理解を示しつつも)効率が悪いと断じ、
「仕事の規模、その仕事の成果に見合うアイドルを回す」事への転向及び、346プロのブランドイメージを確立するためと理由が語られた。
このとき、いの一番に反対したのはその実績を認めていた武内P。思えばこの時から美城常務の受難は始まっていたのかもしれない……

また、優秀な人材は素直に評価するらしく、高垣楓に対して小さなライブハウスのイベントの代わりに、より大きな特番の話を持ってくるなど彼女なりの気遣いを見せる場面も多い。

とはいえ、上述の決定が視聴者及びアイドル達に悪印象を与えてしまった事は否めず、実際15話では当然の如く、困惑するアイドル達の姿が多く描かれており、
楓さんについてもライブハウスでのイベントは自身のデビューとなる思い出の地であるため「ファンと共に歩んでいきたい」という想いを伝え特番の話は断っている。
(その際、「向いている方向が違う」という的確な言葉を残している)
そのためか、視聴者からの評判は早くも賛否両論気味である。

上記のように常務の活動方針は視聴者のみならず、劇中人物からしても困惑や否定が見られる部分がある。
全プロジェクトの解体を宣言した所にしても「待ってください!」と明確に発言したのは武内Pのみだが、他のプロデューサー等からも納得や賛同の声は上がっていない。

方針に合わないアイドルの路線変更に関しても、彼女らの担当Pに武内Pから連帯を提案した際には協力的だということが語られている。
「常務の方針に逆らえないと非協力的である」とか「常務にも一理あるので従うことにした」といった描写はない。
城ヶ崎美嘉木村夏樹など、楓以外のアイドルでも方針変更やユニット結成を一時は受けかけるが、結局は反発または企画流れになる局面があった。

また「美しい城の姫」というイメージ戦略方針を伝える場面にあっても、やはり時代に逆行するかのようだという否定的印象を企画会議の他のスタッフに抱かれている。
もっとも、その方針の元に作られたクローネの編成自体は特に問題なく進み、完成度や客入りのレベルは高い。企画力そのものはやはり有能なようである。
結成予定だったバンドも他のメンツは星輝子や松永涼など音楽的な能力はきっちりとしたもので、蹴られた理由は常務の提案する曲だけを歌うという方針との対立から。
上からのお仕着せで歌うというのはロック的に合わなかったのだろう。いわゆる音楽性の違いによる解散。


メタ視点ではプロジェクト解体の決定により「アイドルたちが原作ゲームにあるいくつかの別ユニットへと再編成されるのでは?」と考察する視聴者も多かった。

そして、第20話では渋谷凛神谷奈緒北条加蓮からなるユニット『トライアドプリムス』を擁する、プロジェクトクローネを始動する予定であることが明らかになった。

トラプリなど常務プロデュースのユニットは視聴者のみならずアイドルたちからも評判はよく、凛はかえってそのため板挟みになったほどである。
ニュージェネレーションズが嫌な訳ではないが、TPのメンバーと歌う事も楽しいし新しい発見もある。どちらを優先すればいいのか……。
常務に反感を持っているCP内で、常務案により作られたユニットと仲良くしていいのかという精神的なしこりもあり負荷は大きかった。
元からの方針(NGというユニット)があったのに常務の方針からプラスのものを得た例外の凛は、ある意味特殊な立ち位置だったのである。(これ自体は常務の責任とかではないが)

しかし、プロジェクトクローネは初お目見えイベントでもある『オータムフェス』メンバーが体調不良に。
この時、美城常務は(クローネの総責任者としてではなく)常務取締役の立場を優先していたために、クローネの側へ着いていなかったために現場は膠着、トラブルになりかけてしまう。
この時、Pたちやシンデレラプロジェクトの助力により事なきを得、彼(女)らに決して低くない評価を下すことになる。

しかし物語終盤、不調となった*1島村卯月は常務から厳しい評価をされることになった。
立ち直る事はないだろうと言われ、Pは立ち直る事を信じて待つように頼む。また、ここで今西部長からも諭されたことで強引な首切りをすることはなかった。
この意見の食い違いの後に卯月は復活を遂げ、常務は自身の評価を覆した実例を見ることとなる。

その後、Pの企画していたイベント『シンデレラの舞踏会』にプロジェクトクローネのメンバーが参加することを許可。
舞台裏での武内Pとのポエムバトル対話もあり、現場で最も明確に対立的だったPへの評価の変化とある程度の和解を果たす。

しかし完全に認めたり掌返しをした訳ではなく、根本的な信念は変化していないようである。

そして、季節は巡り春。
美城プロにはシンデレラプロジェクト2期生の企画を動かす美城常務――否、昇進した美城専務の姿が。
シンデレラプロジェクト1期生ことシンデレラガールズが美城専務や武内Pをはじめとする関係者に見送られ、ステージへ向かう所で、物語はエンディングを迎えるのであった。


ゲーム版において

モバマス本編には未登場(そもそもアニメ版の設定逆輸入自体がかなり少なく、明確にパラレルワールドとされていると思われる)であるが、
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『スターライトステージ』には登場している。
(アニメ版コラボを除けば)初出はイベント「LIVE Groove Visual burst」(LiPPS初登場の時のイベント)におけるイベントコミュ内。
・・・といっても、この時は「フレデリカが彼女らしきモノマネを披露する」にとどまり、本人は登場せず。
本人の登場はそれからしばらく後、イベント「絶対特権主張しますっ!」より。
このイベントよりミッション要素にイベント期間中限定の物が登場したのだが、その案内役(直接の依頼人?)を彼女が務めることになった。
ちなみにおそらく連絡のたび*2に「専務の美城だ」と発言するため、少なくともアニメ2期スタートの時期より昇進しているのは確実である。
デレステPが専務と呼んでくれないのに辟易しているのだろうか
あまりにも突拍子過ぎたのか現在では「君に仕事を頼みたい。悪くない内容だと思うのだが受けてくれるか?」に変わっている。
特に比較的容易な条件で微量とはいえスタージュエル*3(と、ゲーム内アイテム)を毎日プレゼントしてくれるため、
「(それだけの結果を出す必要があるとはいえ)飴をくれる上にガシャを回す手助けをしてくれる、やさしい上司」と新しい解釈をするプロデューサーも。
総選挙の期間中には達成報酬に投票券も追加された。
別に日雇いというわけではないはず。
その日のミッションを全て達成すると「有能すぎるのも困りもの」と言われるので手腕はある程度買われている模様。

余談

ちなみに担当声優の田中敦子氏は当初「アイドル役のオファーが来た」と勘違いしたとか。






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最終更新:2023年09月18日 05:03

*1 その上、彼女のフォローをする他メンバーの負担が無視できなくなっていた

*2 メタ的に言えば期間限定ミッションのページに入るたびに

*3 いわゆるガシャ石