ロボット兵(天空の城ラピュタ)

登録日:2015/07/08 (水曜日) 11:25:00
更新日:2024/03/12 Tue 17:54:42
所要時間:約 4 分で読めます





劇場アニメ天空の城ラピュタに登場する自律型の人型ロボット。
ロボット兵は後についた通称で、劇中では「ロボット」「ロボットの兵隊」と呼ばれている。



概要

全長は3.5m、体重は不明
材質が何なのかはムスカをはじめ現代科学でもわかっていないが、設定上は形状記憶弾性ハイセラミック*1とのこと。
なるほどセラミックなら金属でも粘土でもない。*2(『ナウシカ』でもセラミックが多用されている)
また、セラミックだけの無機物ではなく有機体(生体パーツ?)も用いているらしく、半有機体ロボットらしい。

作中では戦闘用のロボットの他に、デザインが酷似した園丁用の2種類のロボットが登場しているが、設定では看護用のロボットなどもいたという。
用途によって色が違うようで、戦闘用は赤っぽく、園丁用は緑っぽい。
なお、ラピュタの内部に朽ちたロボットの中には、明らかに戦闘用とも園丁用とも形状が違うロボットがあり、映画の中でも複数の種類のロボットが存在した事が示唆されている。

頭は角の丸い三角形。
ゴーグルをつけているかのような顔面だが、目の位置(向かって右が大きい)にあるのはビーム砲の砲口である。
大きい方は着弾すると大爆発を起こす強力なビーム、小さい方は精密攻撃用の細いビーム(石壁を貫くこともできない)を発射する。
その目の間にセンサーらしきものがついていて、園丁用はピーンポーンと心地よい音を奏でる。
劇中ではその音からシータが園丁ロボットの言いたいことを感じ取ったこともあった。

上半身は逆三角形。
手は地面につくほど長いが、足はそれほどでもない。
ロボット兵の腕の外側にはトゲのような突起物が片腕8本(?)ずつ生えている。後述するが飛行用の部位と思われ、園丁ロボットにはついていない。
手足共に、キャタピラーのような折り目(継ぎ目?)があり、器用に曲げたり伸ばしたりできる。
小さな花を摘むことができるなど、精密動作性は極めて高い。

胸にはラピュタの紋章があり、劇中では飛行石から出た光を紋章に受けている。
恐らくエネルギー補給かもしくは飛行石を所持した人物を主と認識するプロセスと思われるが、詳細は不明。


劇中の活躍

発見と再起動



リテ・ラトバリタ・ウルス
アリアロス・バル・ネトリール

我を助けよ、光よ甦れ


物語開始より以前に、1体がラピュタ帝国から地上に落下して半壊しており、残骸が軍に回収されて研究されていた*3
軍の研究では再起動の見込みは全くなかったが、上記のシータの言葉と飛行石に反応し、長年の時を超えて再起動した。
シータは別にロボット兵を起動させようとしたわけではなく、困った時の"おまじない"として教わっていただけだった。

呪文の意味通り、復活したロボット兵はシータをムスカら軍から奪還すると、目からビームを乱射して要塞をあっという間に火の海にする。
転落時に片腕片脚を欠損していたため二足歩行には失敗するものの、歩みは遅いながら四足歩行で動き回り*4
  • 腕の突起の間に膜を張りグライダー状に変形させての飛行能力(片腕破損のため不完全)
  • 通常の重火器ではまるで効果のない装甲
  • ビームによる圧倒的な火力
  • 巨体そのものの体当たり
  • 信管の無い砲弾を胸に受けて機能停止しても、比較的短時間で再起動する防御力と処理能力
ラピュタ帝国の科学力の高さを象徴するとともに、ロボット兵は恐るべき兵器であることを見せつけた。


だが…
抱いていたシータを降ろした無表情の顔からは、優しさが溢れていた。
しかしシータを離して動きが止まった瞬間、ゴリアテの砲弾(信管つき)が胸に直撃してとうとう大破してしまう。

全身から火を噴き、尚もシータの背中を押すかのように手を差し伸べる姿はどこか物悲しく、涙する人も少なくない。


ラピュタにて

発見されたラピュタには、太古から今も庭園を管理しているロボットが動き続けていた。
それだけでいかに高性能なのかがわかるが、劇中で稼働していたのは園丁用の一体のみで、それ以外は機能停止しており、各部が破損した状態で打ち捨てられたものが多かった。
庭園の園丁用ロボットはたった一体で、広いラピュタ庭園を今なお管理している。
ただ、手が回りきらないのか庭園は荒れており、ロボット自身にも苔が生えてしまっている。
それでも「庭園を管理する」という命令を実行し続けている姿は、我々をなんとも言えない気持ちにさせてくれるロボットである。

外観に大きな差はないが、内部のコンピューターで使い分けているのかもしれない(腕の突起がないので飛行能力がオミットされているのはわかる)。
または、お手伝いも戦闘も両方こなせる万能ロボットなのかもしれないが、劇中では明言されていない。
ただしムスカの命令で格納されていた残存ロボット兵が出撃していく最中、彼だけは庭園の管理を続けており
ラピュタと共にロボット達も崩壊していくシーンでも、成層圏に登って行くラピュタの庭園を普通に歩いている。
もしかしたら自律スタンドアローン型、独立した特殊な存在なのかもしれない。

また、大樹の墓のそばには外見上の破損が一切なく、直立した状態で機能停止しているロボット兵が一体おり、パズーとシータが機能停止していることに気付かず近くに寄って行くと言う場面もあった。
足が地面に埋没しており、機能停止してから相当な年月が経っている事を伺わせているが、実はこれでもまだ最近の方らしく、大樹に寄り添うように眠ったロボット兵達は完全に周囲と同化してしまっている。
最期まで役目を果たしながら、機能を停止してしまったその姿は物悲しさを感じさせる。

脅威

ラピュタから落ちてきてシータを救ったロボット兵。
気の遠くなるほど昔から庭園を守り続けているロボット兵。
現存するのはこの二体だけかと思われたが、そんなことはなかった。

ラピュタの内部には四肢を折り畳み蛹のような状態で待機している大量のロボット兵が眠り続けており、王家の紋章が刻まれた飛行石を手にしたムスカの命令により一斉に目覚める。
中破した一体でも要塞を火の海に変えたロボット兵、それの大量起動はまさにかつてのラピュタ帝国の恐怖を目の当たりにさせる。
経年による異常や破損、サビすら見当たらず、四つんばいで素早く這い回って兵士たちを蹴散らしていく。
更にはスロープから次々と空中投下され、蟲の大群のように飛び回ってゴリアテを撃沈させる姿を見せてくれた。
相変わらずの頑丈っぷりである。

ただし高度なセンサーはないのか、それとも経年劣化のせいなのか、大破したタイガーモス号に隠れていたドーラ一家には気づかない一面もある。


最後


シータとパズーが滅びの呪文を唱えたことでラピュタが再び眠りにつくと、同時に機能を停止して自壊。要塞部分と共に落下し、その多くは海に沈んでしまった。
ただし、ラピュタ上部の庭園部分は崩壊せず、庭園のロボットも何事もなかったかのように、動物と戯れながら歩いていた。
庭園に住む友達と共に、庭園を管理するという命令を実行し続けるのだろうか…




セリフが一切ない無機質なロボットでありながらも、ジブリ作品の中でも高い人気を得ている。
三鷹の森ジブリ美術館には等身大のロボット兵がたたずんでおり、ちょっと壊れた姿が素晴らしくファンなら涙ものである。
ただ、結構でかいので違う意味で泣いてしまう子供たちもいるとか。

なにはともかく、とりあえず写真とっとけ!



余談

宮崎駿が製作した『ルパン三世(2ndシーズン)』の第155話(最終回)『さらば愛しきルパンよ』には、そっくりなロボット兵が登場し、ラムダと呼ばれていた。
こちらの元ネタは1941年版アニメ『スーパーマン』の一篇『ザ・メカニカル・モンスターズ』に登場したロボット13号機だと言われている。
実はこのラムダの方が先に登場しており、宮崎駿が「気に入っていて一度ルパンで使ったけど、どうも心残りがあってもう一度使ってみた」という事だそう。




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最終更新:2024年03月12日 17:54

*1 色々種類はあるが大雑把にいうと無機物を焼いたもの

*2 余談だが、セラミックの語源はギリシャ語の『粘土を焼き固めたもの』からと言われ、陶磁器なんかも一種のセラミック。

*3 小説版では地元民に「悪魔の骨」と呼ばれ、持て余されていたのを、軍が高値で買い取っていったと語られている。

*4 終盤に登場した完全な状態のロボット兵は、四足歩行でかなり俊敏に走り回っていた。