バルビエル・ザ・ニードル

登録日:2015/07/01 (水) 00:06:39
更新日:2024/03/31 Sun 01:59:13
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セツコ…

セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…セツコ…

セツコォォォォッ!!


殺してやる……! それが僕の愛だよ、セツコ!





概要

ヴィジュアル系バンドっぽい化粧をした少年。
サイデリアルの特殊部隊「アンタレス」の隊長であり、「怨嗟の魔蠍」のスフィア・リアクター。
その性質上色々と極端な奴が多いスフィア・リアクターの例に漏れず、こいつも大概濃ゆい。

所有する「怨嗟の魔蠍」のトリガーとなる感情は名前の通り「憎しみ」
元々は並行世界の地球の住人であったバルビエルは、そのスフィアを手に入れるために攻めてきたサイデリアルによって母星を滅ぼされ、その憎しみによって当時セカンド・ステージ未満だったスフィアが一気にサード・ステージに到達、サイデリアルの部隊を壊滅させた。
そしてその功績を御使いに評価され、彼らに忠誠を誓った。
そのため、リアクターの中で唯一本名ではなく御使いに与えられた洗礼名を名乗っている。


人物

自分以外の全ての存在を憎む苛烈な激情家であり、性格は残忍かつ狡猾な外道。
露悪的な言動で敵を挑発するとともに、心理的な隙を付いて相手を苦しめる戦略を好む。
そのためか精神的にはリアクターの中でも特に不安定かつ神経質で、余裕を見せていたかと思えばちょっと思い通りにならなかっただけですぐにプッツンしたりする。
陽気なエルーナルーナはともかく、無感情に皮肉を言う尸空とは相性が最悪。
自身の憎悪を他人に理解されることを毛嫌いし、他者の説得に対しても「復讐は虚しいなんて下らない言葉を吐くのは許さない!」と強烈な敵意を剥き出しにする。
そして他人に自分の憎悪を理解され、憐れまれることを何よりも忌み嫌う。

総じて精神面には難があるものの、それ以上に優秀なパイロットであり、搭乗機アン・アーレスと共にZ-BLUEの前に立ちはだかる。
ただ、怨嗟の魔蠍のスフィアは憎しみを抱き続けていなければ機能せず、自然リアクターで居続ければまともな精神ではいられない。
加えて憎しみを抱き続けているのも割と厳しいのか、自分と同じく火の文明の産物であるガンダムに関しては「見ているだけで苛々する」と言いながらも、故郷の事を思い出してしまうのか憎しみを薄れさせてしまう事もある。
そして、そんな時の為にサルディアスを自分の副官として傍に置いている。
サルディアスはバルビエルの地球に攻め込んできた部隊の隊長であり、唯一の生き残り。つまりバルビエルにとっては母星を滅ぼした仇であり、最も強い憎しみを向ける相手と言える。

同時にサルディアスにとってもバルビエルは自分の部隊を壊滅させ、部下達を皆殺しにした仇であり、バルビエルをスフィアを使うだけの道具に仕立て上げることで意趣返しを目論んでおり、その憎しみを晴らして真っ当な人間に戻る事を望んでいない。
その為、バルビエルにとってサルディアスは自分の憎しみを爆発させる起爆剤であり憎しみを燃やし続けるための燃焼材となるのである。

そんな彼のスフィア、怨嗟の魔蠍のスフィア・アクトは「他者の憎しみの増幅」
心の奥に少しでも憎しみを持っている者はこのスフィア・アクトによって憎しみを増幅され、理性を失ってしまう。
更にアン・アーレスのナノマシン「サソリの毒」を併用することでより強力な精神誘導を行うことができる。
アンタレスの隊員は殆どがバルビエルによって目をつけられてスフィア・アクトで精神を破壊されており、例外はサルディアスのみ。
ギルターも最初は影響下になかったが、それは単にギルターの自分が賢いという思い込みと現実とのギャップが憎しみを育てると判断され、放置されていただけで、最終的にはスフィア・アクトで精神を破壊された。
他にもクラヴィアは努力を認められない現状への不満や、クロウの四股への怒りを増幅させられ、涼音は本来の人格であるアムブリエルを顕在化させられて自我消失の危機に陥った。


劇中での行動

『連獄篇』では記憶喪失の振りをしてアドヴェント一行に潜り込み、「オリオン」という名前をセツコから貰って行動を共にしていたが、最終的に正体を現し、去っていった。
そしてこの時からセツコに対して執着を示すようになり、ヤンデレストーカーと化す。
ちなみにオリオンとは蠍座の蠍に刺し殺された狩人の事であり、このイベントは「蠍によってオリオンが殺される」という神話を再現したものだとか。


『天獄篇』でも悪辣極まりない卑劣な戦略は健在。
トウキョウ市民の憎しみを増幅させてゼロを襲わせたり、新大陸の住人を人質にして超銀河ダイグレンを奪い取ったかと思えば、その住人の憎しみを増幅させて送り返してきたりと鬱陶しい事この上ない。
また、ヒビキに対して「降伏すれば要人5人と好きなエリアを返還してやろう」と持ち掛けているのだが、よく見ると要人の安否について一切触れてない。
好きなエリアについても、敵に降ってまで開放したいエリアがどこかばらすことになる。
つまり、変換するにあたって死体になってようが廃人になっていようが契約は履行されたことになる。エリアはエリアで「テロリストが潜んでいる」とでも理由をつけて廃墟に変えても問題なし。
悩みに悩んで選んだ苦渋の決断にこそ最悪の爆弾を仕込む、というのは彼ならいかにもやりそうなことである。

ただ、ナノマシンを併用している関係上、似たような機能を持つ月光蝶やトランザムバースト相手だと効果を打ち消されてしまう。
加えて元から憎しみを抱えていない人間や、それを上回る強い意思の持ち主にも効かない。
実際ガルガンティア船団の面々はナノマシンのみとは言え「ちょっとイライラする」程度の影響に収まり、ハマーン様は完全に独力でスフィア・アクトを跳ね除けた。ぱねえ…

そして相手の感情を感知し、癒してしまう「悲しみの乙女」との相性が最悪。
ただ、バルビエルがセツコに執着しているのはスフィアの相性とは関係なく、単に惚れているだけ。それが憎しみの感情と混ざってしまっているのだ。
一度はセツコを誘拐し、手元に置いたが、元祖ストーカーによって奪還されてしまった。
うーん、とことん男運ないなせっちゃん……

ちなみに、セツコを拉致した際の台詞がこちら

セツコ…

…君は誰にも渡さない

君の存在は僕にとって諸刃の剣だ。だから…永遠に僕の傍においておく

アウストラリスにも渡さない…君は僕の中に残った最後の執着だ

それによって滅びる事になっても…僕は…君を誰にも渡さない

セツコ…君を殺したい


とんだヤンデレである。

そして、ラース・バビロンの決戦においてその愛憎を爆発させ、Z-BLUEに襲いかかるが、結局無限ではない憎しみでは勝つ事が出来ず敗北。
これ以上スフィアの力が伸びる事はないと判断したヴィルダークによってスフィアを奪われ、死亡した。
自ら洗礼名を名乗るような奴に見込みはないと最初から見切りをつけられていたため、三人の反逆の計画は明かされておらず、単にスフィアの力を引き出すだけの道具として利用されていた事には最後まで気付いていなかった*1


い、嫌だ!僕は…まだ死にたくない!

セツコ!僕を助けてよ、セツコ!

ガン・アーレス!僕を未来に導いてくれよ!僕は永遠を手に入れて太陽の輝きに…!


ただ、スフィアを失った事で憎しみから解放されたのか、その魂は超時空修復においてZ-BLUEに力を貸し、新たな地平に旅立っていった。
この時のバルビエルは落ち着いた様子で語りかけていたが、毒々しいメイクがそのままなため、アイムと並んで「お前らに言われると不安になる」とランドから突っこまれていた。






どいつもこいつも……僕をイラつかせるために生きてるのか!

だったら、消してやるよ!僕以外の全てを、このアン・アーレスの毒で!

アン・アーレス


全高:24.2 m
重量:81.4 t
BGM:怨嗟のサバト

バルビエルの乗機。
青いダンゴ虫みたいな形状の巨大な多目的ナノマシン制御システム「ブランダイ」に人型の機動兵器がくっついているかなりアンバランスで歪な外観の機体。
四肢や胴、首は包帯で覆われておりどことなくボロボロに見える。
また外見面では怨嗟の魔蠍がサード・ステージに達した事により緑の結晶でできた巨大な棘顔を突き破るように左顔面から生えているのが大きな特徴。

元々の名称は「ガン・アーレス」
火の文明の機体の象徴である「ガン」を冠する機体であったが、御使いに忠誠を誓ったバルビエルはその名を捨て去り、新たに今の名称を付けた。
元々は火器で戦っていたらしく、本体のロボット部分には随所に接続部らしきソケットがある。勇者ロボ的に追加パーツや装甲があったと考えられるが詳細は不明。
ブランタイから放つ「サソリの毒」と呼ぶナノマシンと「怨嗟の魔蠍」のスフィア・アクトと合わせることで非常に強力な精神誘導が可能であり、戦闘においても見かけに反した高い機動力とナノマシンと合わせて相手を幻惑。
スフィアの事象制御により、細身の外見に反してパワーと耐久力も地球の特機に引けを取らない。

背部のブランダイは展開することでサソリ型のメカに変形するが、足とハサミに該当するパーツがない。そのため実際の変形時は次元力で足りないパーツを構成する。
また、この時サソリの頭はアン・アーレスから見ると背中側になるため、本体はサソリの毒針として尾の先に上下逆さまで接続されることになる。
顔から生えた棘はこの形態の際の蠍の毒針として機能する。

なお、
  • アンタレスが保有する量産機シャウラスがブランダイをベースに設計されている
  • 回避や被弾モーションの際、人型の部分がブランダイに引っ張られているかのようにガクガクと動く
  • そもそも陸戦メカにもかかわらず足がちゃんと接地せず踵が宙に浮いている
などの特徴から、人型部分は武装を扱う為のユニット兼他者を欺くためのダミーで、アン・アーレス本体は背中のブランダイなのではないかという説もある。

名前の由来は言うまでもなくさそり座アルファ星アンタレス。
恐らくバルビエルが自身の洗礼名と同じくさそり座を象徴するものとして付けたと思われる。
ちなみにサイデリアルの保有するリアクト・マシンの中ではぶっちぎりで小さく、尸逝天、プレイアデス・タウラと揃い踏みしている場面を想像するとかなりシュール。


武装

  • ノキサス・ブロッサム
MAP兵器。
ナノマシン「サソリの毒」を広域に散布し、ナノマシンによって敵を蝕む。クラヴィア曰く「毒の華」
隣接マスが穴だが、最大射程が異様に長くSPダウンの効果がある。
後半はバルビエルのエースボーナス「攻撃を命中させた相手のSP-10」が加わり、さらに厄介さが増す。

  • クルス・シックル
左手に装着されている鎌のような三つ刃のナイフ。アン・アーレス唯一の携行武器。
次元力の力で刀身を鎖鎌や鞭の様に変化させ、振り回すことで斬撃を飛ばし離れた相手をも切り刻む。
連獄篇でクラウヴィアが搭乗している時は、スキャフォード・エッジは使用できない。


必殺技

  • スキャフォード・エッジ
クルス・シックルを次元力の力で鎖鎌や鞭の様に変化させて振り回しながら切り刻み、次元力で射出したクルス・シックルを背後から突き刺す。
そうして動きを止めた相手の頭上に、スフィアの力で具現化させた『サソリの紋章が刻印された巨大機械』の歯車の中にクルス・シックルを使って引き摺り込み、歯車の回転に巻き込みながら解体・爆散させる。
なお攻撃終了後は自動でクルス・シックルはアン・アーレスの手元に戻っていく。


  • ジ・エンド・オブ・デスぺア
憎しみを贄に、アン・アーレスは笑う…
黒い黒い毒の霧が包む…!
憎悪の(サバト)、絶望の輪舞(ロンド)…!そこに捧げられる供物は、君の魂だ!

全体攻撃。
ブランダイ左右のユニットからナノマシンの塊である光球を放って炸裂させ、敵に穏やかな楽園の幻影を見せる精神攻撃により動きを封じる。
その後幻影を引き裂いて現れ、サソリ型に変形したブランダイで捕獲したところを毒針になっている左目のクリスタルで貫き、「怨嗟の魔蠍」が生む次元力を直接流し込むことでパイロットごと内側から敵を爆散させる。
気力低下の特殊効果つき。アン・アーレスは地球製のリアクト・マシンなので定冠詞がつく。

なお幻影のカットの際に唐突にバンビが出てくる演出が非常にシュールという声もある。
地味にカットインが2種類存在しており、オリジナル系の中ではかなり豪勢。


余談

前述の通り彼の力の源は絶え間ない憎悪だが、仮面を被って欲望が抑圧された状態のストラウスは明らかにスペックダウンしているので、サードステージであろうと源が必要なはずである。
しかし、憎しみの源としてそばに置いている相手はそもそも今現在自身が忠誠を誓っているサイデリアルの士官である。はたして、すでに雪辱を果たした彼にZ-BLUEを退けるだけの憎悪を抱けるのか非常に疑わしい。
そもそも憎悪が必要なのは彼自身であり、Z-BLUEの憎悪を煽る必要性は全くないはずである。作中でこのちぐはぐさは特に解説されなかった。

だが、ある観点から見ると彼の内面について別の可能性が出てくる。
まず重要なのは、故郷を跡形もなく破壊されたことで一切の過去がなく、本来の名前を捨てたことでスフィアリアクターとして以外の自分を持たず、それから繋がる未来が何もない状態だということ。
即ち、過去も現在も未来も持たない「スフィアリアクターではない」彼は、ありとあらゆる世界の中でいかなる存在より意義のない存在といえる。「生ゴミ」や「石ころ」にさえ名前はあるというのに。
とすると、存在が許されたこの世の全てこそが妬ましく羨ましい、憎悪の対象と考えることができるのである。これならば、恒常的にサードステージを維持できる憎悪を確保することができるだろう。
根拠の一つとして、アウストラリスが彼の憎悪の対象が一人に収束していないことを仄めかしている点も挙げておく。
さらにこの想定で行けば彼の内面は相当な卑屈であり、他の存在に近づきたいが眩しすぎて近づけないと思われる。だからこそ、近づきたい存在から自分に近づいてきてもらう、つまり自分と同じく憎悪に染まってもらいたいのである。

簡単に言うと彼の憎悪を煽る言動は、彼なりのコミュニケーションといえる*2
また、オリオンの名前で呼ばれることを嫌がったのも、名前を受け入れてしまうと憎しみの根源が喪失し、過去も未来もないのに存在しなければならなくなるため、容易には許容できなかったと考えられる。

全て仮定に過ぎないが、そうであるならば、彼は憎悪に身を焦がす忌まわしき狂人ではなく、何物にもなれず泣き喚く「ただの人間」が歪んだ成れの果て、と考えることもできる。
なお、こういうメンタリティの人に「憎い気持ちは分かる」「助けてあげたい」とか言うとおそらく切れる。実際セツコはこれを両方やって話を打ち切られた*3


セツコ!僕の項目を追記・修正してくれよ、セツコ!!

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最終更新:2024年03月31日 01:59

*1 憎しみの方向が真の仇の御使いではなく、八つ当たり同然に世界に向かったのがそもそもの間違いであり、「その憎しみが敵に向けば俺の同志になれた」と残念がられていた

*2 ELSやフェストゥムもそうだが、コンタクト困難な相手に対しては在り様に近づくか近づけるのが簡単な対話方法

*3 前者は復讐するのは過程に過ぎず復讐を果たすことが目的の人とは真逆であり、後者の場合は鬱屈したメンタルに対する優しさは見下しととられる場合がある、ということで気持ちが分かっていませんと暴露しているのと同義。