スパイダーマン(映画)

登録日:2015/06/29 Mon 00:10:33
更新日:2023/12/10 Sun 20:23:14
所要時間:約 6 分で読めます




◆スパイダーマン




運命を受け入れろ。




『スパイダーマン(SPIDER-MAN)』は02年の米映画。
MARVEL社の人気コミックヒーローである「スパイダーマン」の実写映画化作品である。
当時、映画『X-MEN』のヒットに乗じ、人気アメコミシリーズの代表作として映画化された。
そして、感情移入しやすい平凡で心優しい高校生を主人公に据え、「スーパーパワーを身につけた一般人の苦悩」という視点から多くのファンを獲得し、全米のみならず全世界の興行収入記録を塗り替えた。
特に、今でこそ「ヒーロー映画は受けない」とされている日本でも、興行収入75億円という記録的数値を叩きだした。これは日本でのアメコミ映画の最高記録であり、『アベンジャーズ』シリーズが公開されている2015年現在でも打ち破られていない。
監督はホラー映画の名作『死霊のはらわた』シリーズのサム・ライミ。
ライミ監督はかつて『ダークマン』というダークヒーローアクションを監督しているため、ヒーロー物のノウハウも心得ている。*1



【物語】

ダサくて貧弱だが、温厚で心優しい高校生、ピーター・パーカーは、同級生にいじめられながらも優しい叔父叔母、親友のハリー、そして隣人の片想いの相手、メリー・ジェーンに囲まれる平凡だが平和な日々を過ごしていた。
そんなある日、彼は大学のラボの見学の最中、遺伝子改造された実験動物の蜘蛛に噛まれてしまう。
昏倒した彼が目を覚ますと、彼の身体は屈強な肉体となり、手首から蜘蛛の糸が出る特異な力を得ていた。
最初はそれを金儲けに使おうとしたピーターだったが、その欲が原因で叔父を強盗に殺されてしまう。
それに猛省した彼は、自らの力を人助けに使おうと、「あなたの親愛なる友人」と称した覆面ヒーロー「スパイダーマン」としてニューヨークで悪党を退治していく。
一方、ハリーの父で大企業の社長であるノーマン・オズボーン。息子想いで、ピーターとも親しい関係だった彼は、軍から圧力を受けた事で内心怯えながらも、自らの身体でまだ未完成の身体能力増強薬を使用した人体実験を行うが失敗し、その副作用として誕生した凶悪な別人格が怪人「グリーン・ゴブリン」として悪事を働き始める。
その魔手は同じ「超人」スパイダーマンにも及び、彼の大切な人達にも危害が加えられてしまう…。



【登場人物】

  • ピーター・パーカースパイダーマン
演:トビー・マグワイア/吹き替え:猪野学

主人公。
ダサくてオタクなメガネの高校生。この手のキャラに漏れず、貧弱な身体でフラッシュからいじめられている。
性格は気弱だが、心優しいごく普通の青年。
実験動物「スーパースパイダー」に噛まれたことが原因で、蜘蛛の力を身につけた超人となる。
軽業師のような身軽さ、驚異の腕力や凄まじい動体視力に加え、壁に貼り付き登る能力や手首から出す粘着性の糸により敵を拘束したりビルとビルの間を自由に渡る。さらに視力も改善しメガネ要らずに。
最愛の叔父の死をきっかけに、彼の言葉を心に刻んで、人のために自分の力を使うと決心。
自前の全身赤青タイツのコスチュームを身に纏った「スパイダーマン」としてニューヨークの平和を守る。
高校を卒業してからは、スパイダーマンとしての自分の活躍をカメラに収める、フリーのカメラマンとして働く。
隣人のMJに幼い頃から片想いを抱いており、彼女と距離を縮めようとあれこれ努力しているが報われていない。
当時、既に26歳だったが高校生にしか見えないルックスと、撮影を前に徹底したトレーニングで手に入れた肉体美も話題に。
あまりのはまり役過ぎて未だにスパイダーマンというとトビーの名前を思い浮かべる人も少なくないはず。


  • メリー・ジェーン・ワトソン
演:キルスティン・ダンスト/吹き替え:岡寛恵

メインヒロイン。愛称は「MJ」。ピーターの隣に住んでいる、赤毛が特徴の学園のマドンナ。
基本的には優しい性格だが、自分の事を「クズ」呼ばわりするクズな親に育てられた為、愛情に飢えている。
女優になるのが夢だが、オーディションには落選し続け今はカフェのウェイトレスで働いている。
高校時代はフラッシュと付き合っていたが、粗暴な彼に嫌気が差したのか、卒業式で自ら別れを切り出し破局。卒業後はハリーと交際を開始。
しかし今度はグリーン・ゴブリンから自分を助けてくれたスパイダーマンに一目惚れしてしまう。おまけに余計に話を引っ掻き回す始末。
そのため、ファンの中ではアメコミ映画のヒロインの中でも最悪の尻軽女として悪名高い。本作唯一の欠点と挙げる人も少なくない。一応、原作でもハリー→ピーターの順で交際相手が変わっているのだが、原作では大学からの登場なのを映画では高校以前からの知り合いとしてしまったが故に無駄に男性遍歴が増えてく結果になってしまったといえる。…次回以降のはフォロー出来ないが。とはいえ、メイおばさんが病院にいると知った際は誰よりも早くお見舞いに来たりと、根っからの悪人というわけではない。
ちなみに雨の中、逆さ吊りになったスパイダーマンとのキスシーンは本作最大の名シーンである。


演:ウィレム・デフォー/吹き替え:山路和弘

ピーターの親友・ハリーの父親で、大企業オズコープ社の社長。
権威高い科学者でもあり、自ら技術開発を進めていた。
プライドは高いが、一人息子のハリーを溺愛し、科学好きのピーターに対しても家族同然の様に接するなど心優しい父親でもある。
軍から圧力を受けた事で、開発した身体能力増強薬を、自分の身体に投与し、身体能力を強化させるが、その副作用で誕生した凶悪な別人格に身体を乗っ取られてしまう。
そして、別人格は自ら開発したマスクと装甲スーツとグライダーを身に纏った怪人「グリーン・ゴブリン」として、契約を打ち切った軍上層部や自分をクビにした会社の役員を殺害、更には罪もない一般人や子供にまで手を出し始めたりと、ノーマンの私利私欲を(彼の許可無く強引に)満たす為だけに暴れ回る。(ちなみにゴブリンに乗っ取られている間、ノーマンの記憶は無い。)
そんな中、自分の邪魔をしてきたスパイダーマンを同じ超人として仲間に誘うが拒絶されたことで憎しみを抱き、彼の心を砕こうと卑劣な策を講じる。中盤ではスパイダーマンの正体が息子の親友のピーターだと気づく。ゴブリンは「死んでしまいたいと思う程の苦しみをピーターに与えろ。」と言うが、当然ノーマンは反対。しかし結局はゴブリンに逆らう事が出来ずに再び乗っ取られ、彼の身内のメイおばさんやMJを襲い始める。終盤ではスパイダーマンをほぼ一方的に殴り続け調子に乗り、煽りまくるが、その時の発言でスパイダーマンを本気で怒らせてしまい、形勢は大きく逆転。最期はノーマンの人格に戻ったフリをしてスパイダーマンを油断させてる間に背後からグライダーで刺し殺そうとするが、スパイダー・センスでその罠に気づかれてしまった事で回避され、自らが刺されてしまい死亡したが...?


  • ハリー・オズボーン
演:ジェームズ・フランコ/吹き替え:鉄野正豊

ピーターの親友で、オズボーン家の御曹司。
大金持ちのお坊ちゃんだが、気取らない性格でピーターにも気軽に接する。
素行が悪く問題行動ばかり起こしたため、退学続きになった過去がある。
父ノーマンを敬愛しており、彼が情緒不安定になってもなお、支えようとした。
ピーター同様、MJに好意を抱いており、そのためピーターには密かな対抗心を抱いている。
卒業後はMJと交際するが、次第に別の男=スパイダーマンやピーターを想うようになった彼女に、不安を抱くようになる。
終盤、ある決定的な場面を目撃したせいで、その後の一生を狂わされることに…。

別の世界ではニューヨークのストリートギャングだった。


  • ベン・パーカー
演:クリフ・ロバートソン/吹き替え:勝部演之

ピーターの叔父。
両親のいないピーターに、父親のように、時に厳しく、時に優しく接してきた。
力をつけて得意になっていくピーターに「大いなる力には、大いなる責任が伴う」と厳しく接し、彼と喧嘩になってしまうが、その夜、ピーターの増長が原因で逃がした強盗と鉢合わせしてしまい、撃ち殺されてしまう。
彼の死はピーターに深い傷を残し、彼をスパイダーマンとしての道へと突き進む起爆剤となる。

因みに、原作第一話では上記の台詞はアメコミでらお馴染みの地の文(ナレーション的なもの)内の言葉であってベンが発したものではなかったのだが、映画の大ヒットもあってか現在はコミックでもベンから贈られた言葉として扱われるようになっている。


  • メイ・パーカー
演:ローズマリー・ハリス/吹き替え:谷育子

ピーターの叔母。
ベンと共にピーターに母のように接してきた心優しい老婦人。
夫の死を乗り越え、自立していくピーターを温かく見守る。


  • J・ジョナ・ジェイムソン
演:J・K・シモンズ/吹き替え:立川三貴

ニューヨークの大手新聞社「デイリービュークル」の編集長。
見た目の原作再現度が抜群に高い
部下を顎で使いまくる鬼編集長だが、奥さんには頭が上がらない。
スパイダーマンを胡散臭く感じ、一連の事件は彼の自作自演だと決めつけ、彼のバッシング記事を書こうと躍起になり、「スパイダーマンが犯罪をする写真」を欲しがる。
ゴブリンにデイリービューグルを襲撃され、スパイダーマンのカメラマンを問い詰められるが、ピーターを守るために「写真は郵送で送られてくる」と嘘をつくシーンはなかなかの漢。


  • デニス・キャラディン
演:マイケル・パパジョン/吹き替え:斉藤志郎

ピーターが挑戦した闘技場に押し入った強盗。
賞金をくれなかった腹いせにピーターによって見逃されるが、その直後ベン叔父さんを撃って車を盗んでしまう。
その後、追跡してきたピーターと乱闘になった末に転落死する。
ピーターのその後の人生を大きく変えた原因である。


  • フラッシュ・トンプソン
演:ジョン・マンガニエロ/吹き替え:大森はじめ

高校時代のMJの彼氏。
屈強なジョックスで、ピーターをいじめていた。
蜘蛛の力を得たピーターにフルボッコにのされた挙句、性格の粗暴さが目立つようになり卒業と共にMJにあっさりフラれた。


  • スタン・リー
……また出てるよ!



【シリーズ一覧】




【余談】

  • 本作の特報は上映2週間で上映禁止となったいわくつきのもの。
    • それは「ヘリで逃走する銀行強盗犯が世界貿易センタービルのツインタワーに張られた蜘蛛の巣に捕えられる」というもので、この直後911同時多発テロ事件が発生したため幻の特報となった。

  • 監督候補には『ターミネーター』や『アバター』のジェームズ・キャメロンも挙がっていたが、製作会社間の法廷闘争やマーベル社の倒産といったゴタゴタが重なり降板。下記のスパイダーウェブ体内生成設定も、元はキャメロン氏の立案だったとか。

  • コミック初期は今作と異なり、ウェブはピーターが発明した特殊素材を特殊な装置で発射する設定となっている*2が、これはライミ監督が「高校生にそんな発明出来るとは思えない」と考えたため。
    「次回作『2』でピーターが元気なくなると発射出来なくなって恋愛に燃えるとドピュッっと出てきたからアレの暗示じゃね?」なんて邪推もあるのだが

  • ピーターがクモの糸を出そうとしているシーンで「シャザム!」と叫ぶお遊びシーンがある。

  • 決戦の場となった橋は、原作でピーターの最初の恋人、グウェン・ステイシーの最期の舞台となった場所である。

  • ピーターが食堂でMJの転倒時にトレーで全てのランチを受け止めるシーンはCGではなく、トビー・マグワイアが156回ものリテイクの末に成功させた本物の映像である*3




これから何が待っていようと僕は、人生を受け入れる。

そしてこの言葉は二度と忘れない。

『大いなる力には、大いなる責任が伴う―――』

僕に授けられた力は、僕を一生呪い続ける。

―――僕が誰かって?


僕は、スパイダーマン



追記・修正には大いなる責任が伴う―――

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最終更新:2023年12月10日 20:23

*1 というか、実は『死霊のはらわた』シリーズが『2』以降、一気にダークファンタジー物に傾倒していったことも解るように、実はホラーで有名になっただけで元々はヒーロー物が大好きな監督だったりする。

*2 アメコミでもピーター自身の特殊能力だった時期もある。

*3 トレーには接着剤が塗られている。