ゴールデンカムイ

登録日:2015/06/18 Thu 01:00:00
更新日:2024/04/08 Mon 11:09:52
所要時間:約 30 分で読めます


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カント オワ ヤク サ ノアランケ シネ カ イサ
【天から役目なしに降ろされた物はひとつもない】




「じゃあ脳みそ食べろ」

(´・ω・`)


「鹿の肺だ。これも生で食べる」

(´・ω・) (・ω・`)




ゴォォォルルルルゥゥゥデェェェェンカムォォォォォイィ!!!!!

ゴールデンカムイ

G O L D E N K A M U Y


ゴールデンカムイとは、集英社の『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた漫画作品。
作者は2012年まで同誌でアイスホッケーを題材に『スピナマラダ!』を執筆していた野田サトル


目次


概要

明治時代の北海道を舞台に、隠された金塊を巡って繰り広げられるサバイバルを描く。

ひたすらに繰り広げられる人間と変態同士の生命と未来を掛けた壮絶な争い、それに伴う苛烈で過激な描写。あと読者を置いてけぼりにする唐突かつ無軌道なギャグ
一方で悠然と描かれる北海道の自然環境、その中で生活する動物達とアイヌ民族。
内臓飛び出て生皮剥がれる凄惨な戦いの翌週には、食欲をそそる料理が登場し、胃袋への負担が非常に大きい。

本作ではアイヌの文化や思想・宗教を紹介しており、語学研究者の中川裕がアイヌ語監修を務める。
北海道アイヌ協会や網走監獄も取材協力に応じている。

開始当初から数多くの賞を受賞するなど評価は高く、それまでマイナーだったアイヌ文化の知名度を大きく上げるなど文化的な貢献を果たした人気作品となった。

2017年からテレビアニメ化され、放送予定含めて5シーズンが制作されたほか、連載終了と同時にまさかの実写映画化が発表され、2024年1月19日から公開された。


ところで本作が連載されていた当時のヤングジャンプ……ページをめくったら杉元達が獣食ってるし、またページをめくったらガチヤバな喰種がもぎたてパイナップル喰ってるし、
さらにページをめくったらマーズランキング一位の変態がほぼ全裸でゴキブリ食ってるし、どんどんページをめくったら顔色の悪い博打打ちがカリカリ梅食ってるし、もっとページをめくったら美人な妹が急に縮んでポテチ食いながらゲームやり始めるし……
……『トリコ』にしろ『食戟のソーマ』にしろ、この頃の集英社、「食」に関してカオス極まりなくない?


あらすじ

時は明治末期、場所は日露戦争での勝利の熱が覚め遣らぬ北の大地――
そこには鬼神の如き武功により「不死身の杉元」と謳われた英雄の姿があった。
彼は亡き親友が故郷に残した家族のため、一攫千金を求めて北海道に来たのだが、実りのない日々が続く。
それもそのはず、北海道がゴールドラッシュに沸いたのは昔のこと。今や見る影もない。
しかしある時、英雄は砂金採り仲間の酔っ払いからまさに夢のような話を聞かされる。

「アイヌが貯めた八萬円*1の金塊がまとめて略奪された」
「金塊を盗んだ犯人は死刑囚として網走監獄に収監されたが、埋蔵金の隠し場所を暗号化した」
「暗号は同房の死刑囚の身体に入れ墨として刻まれている。全員でひとつの暗号だ」
「噂を聞いた屯田兵が囚人達を連れ出し、返り討ちに遭って全員が脱獄した」

金塊が欲しくば凶悪極まる脱獄囚を見つけ出し、殺して生皮を剥げ!
その前に過酷かつ雄大な大自然の中、競合者らとの戦いを勝ち残れ!
その前に腹が減っては何とやら! 生肉・内臓・脳味噌に目玉、文句言わずに食い尽くせ!

死を恐れぬ戦鬼・不死身の兵士、杉元佐一 咆哮す!
北の最強軍隊・第七師団、鶴見中尉 疾走す!
生きていた老獪――新撰組・鬼の副長、土方歳三 斬撃す!
北の大地の愛娘、アシ 食す!

圧倒的大自然を舞台に、燃え盛り衝突し合う命と命の生存競争!
Q.うまいか? ヒンナか?
A.アゥ、オェッ……ヒンナ……



登場人物(と動物)

杉元一行

本作の主役パーティ。道内で人口の多い小樽を中心に山林でジビエ生活することが多い。
アシパの持つアイヌの知恵のお陰で路銀には困らない。

声:小林親弘/演:山崎賢人

「人間を殺せば地獄行きだと? それなら俺は特等席だ」
「え~? だめなのぉ? 生で食べちゃだめえぇ?」

主人公。砂金で一発当てようと東京から来た元兵士。除隊後も普段から兵装で身を固めている。
日露戦争では帝国陸軍第一師団に所属し、その奮戦振りから「不死身の杉元」と称えられ、鶴見からも「鬼神の如き」と評されている。
戦死した親友・寅次の遺した妻と遺児を養うため、兎にも角にも大金を欲する。
アイヌの埋蔵金に関する噂がそれを語った本人の死によって事実だと判明し、直後に自身を襲ったヒグマ退治に協力してくれたアシパと同行しつつ脱獄囚達の行方を追い始める。
顔面から背中など全身の至る所に戦時下で負った傷跡が残っており、それが原因で第七師団に身元を特定・捕縛されたこともあるが、
日露戦争中でも発揮されていた驚異的な回復力・膂力や度胸、そしてアシパと白石の援護によって拠点からの脱出に成功している。

自分達が殺されないためには殺人も厭わないが、脱獄囚を不要に殺すつもりはない。
だが何よりも恐ろしいのはその精神性であり、後述の「辺見和雄」の様に直前まで親しく会話していた者であっても一切躊躇する事なく殺しにかかる容赦のなさ
そして「俺は不死身の杉元だ!」の合言葉と共に非常に危険な状況へも本気で突っ込む度胸を併せ持つ。
これらは日露戦争での経験から由来するものであり、いつ殺されるかわからない戦場では一切迷う事なく行動する必要性があったため、戦場ではロシア人は人間じゃないと半ば自己暗示をかけながら殺していった。
特に先述の敵対したら仲間すら迷わず殺す容赦のなさは杉元の異常性として認識されており、余りの異常性からか仲間の大半は彼の発言でドン引きし、白石に至っては土方との協力がバレたら即殺されかねないとトラウマレベルで恐怖していた(杉元は主人公である)
しかし杉元自身もそれが異常であることは察しており、この戦場へ行く事での影響に悩み苦しむのがゴールデンカムイにおける杉元のテーマの一つとなっている。
彼の死に支配されない精神力と戦いの才能はアシパも認めている。
杉元自身は年下のアシパのことを敬意を込めて「アシさん」と常にさん付けで呼んでいる。
故に彼女に危害が及ぶと怒り狂い、直接傷つけたりしようものなら当のアシパも慄く修羅の如き様相を見せる。
フチはじめアシパの親族からもアシパとの仲を公認されているというか日本語訳されていない台詞を見るに懇願されているが、自らの異常性の自覚故に親族のいるアシパを危険に巻き込むまいと一度行方を晦ましたこともある。

白兵戦には滅法強く、牛山をして組み合っただけで「このままでは殺し合いになる」と言わせるほどに柔道の心得もあるが、一方で射撃は不得手。

関東の農村の生まれで、自分以外の家族全員が結核を患って死に絶えた過去を持つ。
当時の結核に対する偏見と迫害から自分と恋仲だった梅子を守るために家を焼き、故郷を出奔した。
リスが好きだと言って食べるのを嫌がったり、拾った子熊の母親代わりになろうとしてアシパの手から必死に守ろうとしたり、第七師団から奪ったの処理を渋ったりと、意外に可愛いもの好きで動物好き。

名前のモチーフは作者の曽祖父『杉本佐一』から取られている。
実際に第七師団歩兵27連隊乗馬隊に所属し、日露戦争に出征したとか。
一方で、キャラクター像はリアル異能生存体こと舩坂弘がモデルか。

作者の曽祖父の方の「杉本」とよく書かれるが、ゴールデンカムイの登場人物は「杉」である。wiki内などで見かけたらこっそり修正してあげよう。

  • アシ*2
声:白石晴香/演:山田杏奈

「全部食べて全部忘れるな!! それが獲物に対する責任の取り方だ」
「う゛ぇろろろろごうろろろあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!」

ヒロイン。12~13歳ほどのアイヌの少女。
偶然山中で出会った杉元とヒグマ退治で共闘し、その後も同行している。
杉元が違和感を覚えないほど流暢な日本語を操り、アイヌ流の北海道での生き方を彼に教授する。
アイヌ名でほぼ通されているが、和名は小蝶辺 明日子(こちょうべ あすこ)。それを知るのは父などの一部の人間のみ。
金塊を巡る事件の遺族であったために杉元の知る話が事実だと知っており、ヒグマ退治に協力した縁やその勇猛さに惹かれ、彼へ全幅の信頼を寄せている……ので、逆に杉元が黙って自分の下を去った時は激怒した。
一人っ娘なので幼少の頃から狩猟に出かける父親に山中を連れ回され、背丈に見合わぬバイタリティと跳ねっ返りの強い性格を手に入れた。
その一方で年頃のアイヌの娘が習得するべき手芸の技能はからっきしで、フチから心配されている。
そんな心配をよそに本人はその名の通り新しい時代のアイヌを自称し、合理的思考で伝統を取捨選択することも多い。
母は彼女を産んだ時に亡くなり、五年前に金塊強奪犯に父親を殺害されて以来、天涯孤独の身。
更にエゾオオカミの遠吠えに呼応したレタが彼女の元を去ってからは笑顔を見せなくなった、と叔父のマカナックルは語るが、杉元と出会ってからは随分明るくなったとも言っている。
その叔父曰く「大人びているが、寂しがり屋のいたいけな子供」なのだという。
「父の仇たるのっぺらぼうが生きているのは埋蔵金の場所を聞き出すためであり、埋蔵金が見つかれば刑が執行される」と杉元から持ちかけられ、刺青集めに協力する。

杉元に対して度々アイヌ式の料理を披露しつつ、和人が嫌がる物事を知ってか知らずかいちいち実行する。
彼女の身に危害が及ぼうものなら、激昂した不死身の帰還兵と白くてドでかいエゾオオカミに襲われる。
普段は美少女だが、ギャグシーンでは額が伸びてヒロインとは思えないレベルの別人みたいな顔つきになる。
脳だろうが肺だろうがほぼあらゆる物を調理し美味しくいただくが、味噌だけはウンコ(オソマ)呼ばわりして一切食べようとしなかった……が、桜鍋を囲んだ際に葛藤(杉元も切なそうな顔で口パク)しながらも咀嚼し、固定観念を克服。以降は好物になった。


  • レタ
(尻の匂いを嗅ぎ合い相手の機嫌や体調を推し量る図)

アイヌにホケウカムイ(狼の神様)と呼ばれるエゾオオカミの生き残り。
雪のように白い体毛から「白い」を意味する名前を授けられている。*3
仔狼の頃ヒグマに襲われていた際にアシパとその父に拾われ、家族同然に育った。
アシパの父が殺された後も常に一緒に行動していたものの、ある夜に同胞の遠吠えを聴いてしまったために彼女を独り置いて山中に走り去った……が、彼女に対する愛情と忠誠心は今も健在である。
広大な縄張りを所有しているらしく、普段からアシパの行動を注視し、いざ彼女が危機に陥ったとなれば何処からともなく颯爽登場、たまに仔犬同然に甘えた態度を示し、誰かが来れば風のように去る。
アシパや谷垣、二瓶は「最後のエゾオオカミ」と呼ぶが、実は既に同種の他の生き残りと番(つがい)となり、子を成している。リア獣である。
ちなみにエゾオオカミ自体は政府による害獣指定により本編当時は駆逐・絶滅済みという認識。
二瓶との戦いの後、再び山の中に帰っていきアシパもこれ以上呼ばないことを決め、物語からフェードアウトした。
余談だが、アニメでのイントネーションは「カムイ」と同じ上がり調子。

  • 白石由竹 
声:伊藤健太郎/演:矢本悠馬

「俺は『脱獄王』の白石由竹だ!」
(低体温症による無関心な表情)

刺青持ちの脱獄囚24人の内の一人で通称(自称?)「脱獄王」
全身の間接を自在に脱臼させられる特異体質の持ち主。
始めは強盗の咎で投獄されたが、しょうもなさすぎる理由の度重なる脱獄で最初の罪状より脱獄の罪の方が重くなっている。
屯田兵によって網走監獄から連れ出された死刑囚の一人で、ドサクサに紛れて脱走した。
小樽郊外の森で運悪く杉元一行の罠に掛かるも、体内に忍ばせていた脱獄道具で難を逃れ……られる寸前で杉元諸共崖から滑落し、真冬の川で凍死しかけたところを杉元と協力して生き延びた。
以後、元々命までは取るつもりもなかった二人と離れて自由を謳歌していたが、失踪した杉元の行方を追うアシパに無理矢理手を組まされる。金塊の分け前を条件に正式に仲間入りしたけれど。
その後は馬の桜鍋や鹿料理を共に堪能する仲となり、レタ防衛戦線にも参加した。
だが、牛山の追跡を境に土方にも協力を余儀なくされ……?
何故か動物によく頭を齧られ、狩猟では足を引っ張ることからしばしば役立たず扱いされるが脱出の技術は確かであり、土方や牛山相手にさらっと嘘をつく胆力も持ち合わせているため侮れない男。
戦闘力自体は低いものの牛山の額に思いっきり釘を打ち付けたり、鯉登を飛行船から蹴り落としたりといざとなれば非情な手段も厭わない精神性も。
また世俗的で博打に詳しく、一味に和人の料理を振る舞ったり意外と料理が上手い。
間違いなく杉元とアシパの仲間の一人であり、いなかったらどうなっていたか分からない場面も多々あった重要メンバーなのだが、しょうもないトラブルを起こす度に「皮を剥いで肉は臭いから捨てる」「シライシは置いていこう」などとぞんざいに扱われる。
モデルは「昭和の脱獄王」として知られる男・白鳥由栄。白石と同じく関節を自在に外せた他、牛山の如きフィジカル*4も持ち合わせた超人だったという。*5


大日本帝国陸軍第七師団

大日本帝国陸軍に実在した師団部隊にして、この漫画がモブに厳しくなっている最大の要因。
屯田兵を前身とし、日露戦争では旅順攻略戦・奉天会戦と激戦区を潜り抜けた人外魔境の猛者集団。
北海道民からは畏敬の念を込めて「北鎮部隊」と呼ばれる。
刺青人皮を得るために脱獄囚の命を奪うことに一切の躊躇がない。
陸軍最強と謳われているのは伊達ではなく、ヒグマに顔面ベロンされても戦い続けたり、臓物ブチ撒けてても戦い続けたり、片腕折られてもそのことを冗談めかした独り言吐きながらトンズラこく余裕があったりする。
フレンドリーファイアで死ぬ奴や、杉元にあっけなく殺されるような情けない奴もいるけどね。
主に話に絡むのは以下の鶴見中尉の小隊100名ほど。

軍人である為か、ボスの鶴見中尉を筆頭にお互い「苗字」+「階級」で通す事が多く、作中で下の名前が出てくる事は稀。(離脱者の尾形と谷垣、双子の二階堂は例外)

  • 鶴見篤四郎 
声:大塚芳忠/演:玉木宏

「ロシアから賠償金もとれず、元屯田兵の手元に残ったものはやせた土地だけ」
「我々の戦争はまだ終わっていない」

第七師団に所属する陸軍中尉。
激戦を潜り抜けた指揮下の兵士達には絶対の信頼を寄せられている。
奉天会戦で前頭部を砲弾に吹き飛ばされており、自身が言うには前頭葉の一部も失っている。
それ以来固定具の下から脳漿*6を垂れ流し、激情に駆られやすくもなっているが、本人は至って冷静。
甘い嘘を駆使した甘言で多くの兵士の信頼を得て配下に予め多くの師団兵を統率し、上官を始末するくらいサラッとやってのける腹黒い男。
捕らえた杉元に尋問しながら団子の串をブッ刺したり、脱獄囚の刺青人皮を着込んでいたりと奇行が目立ち、白石には内心「変態中尉」と罵られてもいる。
でも本人は情報分析に長ける頭脳派。ロウソクボリボリ。

戦争で日本政府に使い潰された人民の窮状を救うため、杉元や土方と同様にアイヌの埋蔵金を狙う。
金塊を手に入れた暁にはアメリカの最新式兵器を収集し、天然資源溢れる北海道の占領を目論んでいる。
ぶっちゃけ長期的な資金援助とのっぺら坊の誅殺を条件に杉元一派を抱き込み、殆ど同じ企みを持つ新撰組と手を組んで北海道を独立させればいいものを……。
世の中そんなに上手くいかないんだよなあ……*7

モデルは作者の父の友人、野田正宣氏*8の祖父に当たる長谷川篤四郎氏。
加えて須見新一郎や明石元二郎もモデルに取り入れられてるのではないかとの説も存在。


声:津田健次郎/演:眞栄田郷敦

「親殺しってのは……巣立ちのための通過儀礼だぜ」
「祝福された道が俺にもあったのか…」

第七師団の鶴見中尉派閥の上等兵。劇中で杉元と交戦した初の人間。
初回はどう見てもモブだったが、再登場後は死んだ猫のような目+両頬に縫合手術痕+ツーブロックのオールバック+外套装備で大幅に見た目が変わり、メインキャラの一人となる。
スコープなど無い三十年式歩兵銃で「三百メートル以内なら確実に相手の頭を撃ち抜ける」と豪語するほどの狙撃の名手で、初登場で360m先の人間にヘッドショットを撃ち込んでいる他、60m先の櫓の鐘を二連続で撃ち鳴らすほど。
ちなみに一般兵が扱うと100m先の対象に致命傷を与えることすら難しいらしいので、化け物じみた腕前である。

単独行動のすえ杉元に返り討ちに合い入院した後、鶴見中尉一派を造反したことを谷垣にチクられる前に殺すため、二階堂と共に谷垣を襲うが、鶴見にバレていたので脱走兵に。
その後刺青人皮を巡り土方組と交戦後、土方組の用心棒になり、杉元が土方と組んだ関係で以降は杉元らと行動を共にする。

作中屈指の謎多きキャラで、最終章突入時点でも未だに行動目的の全てが謎に包まれたままである。
智略に長けた鶴見でさえ腹の底が読めていない。
必要以上に関わり合いを持とうとせず、無口で何を考えているか分からないが、回が進むごとにどんどん猫化している。
具体的には、ちょうちょを捕まえようとする、手を差し出されると匂いをかいでしまう、瞳孔の開きで気分を表す、暗闇で目が光る、フレーメン反応を見せるなど。

無口の割に口調はぞんざいでプライドが高く、杉元としょっちゅう喧嘩している。
暴力沙汰への躊躇いの無さに定評がある。笑顔の時ほど射殺しようとしていたり邪魔な村人を皆殺しにしようと思っているので、最長射程距離の2.4km先まで逃げよう。
狙撃の腕の代償かステゴロ勝負は強くない。キロランケと共にアシパを連れ出し、樺太でスチェンカに参加した際は白石と仲良くノックダウンしていた。

ちなみに「不死身の杉元」並の生命力も持ち合わせており、
  1. 杉元に腕をベキべきにへし折られても声一つあげないどころか謎のギャグを言いつつ逃走する
  2. 崖に顔から落ち、顎が割れた状態で極寒の川から這い上がり、数週間意識不明の重体に陥るも復活
  3. 胸のど真ん中を撃たれるも双眼鏡に当たり無傷
  4. 左腕を撃ち抜かれるが止血だけすれば狙撃にすら支障なし
  5. 炭鉱爆発火災に奥部で巻き込まれメタンガスに飲まれるが、脱出後もピンピンしている
などなどこいつも不死身。

好きな食べ物はあんこう鍋、嫌いな食べ物はしいたけ。
モチーフはアメリカ海兵隊の伝説の狙撃手カルロス・ハスコック、及び氏をモデルとした映画『山猫は眠らない』の主人公トーマス・ベケット。
特に後者は作品内外問わず「山猫」と言及されるなどかなり意識的なオマージュが盛り込まれている。
また北海道の雪原が舞台という事もあり、“白い死神”シモ・ヘイヘも取り入れられているとするファンもいるが、尾形とも因縁深いヴァシリが「敵の銃撃で顔を負傷した雪原の狙撃兵」というモロにヘイヘを思わせる設定であるため、上記二者に比べると尾形のモチーフとしての確度は微妙なところ。

+ ネタバレ
「一度寝返ったやつはまた寝返る」という杉元の言葉通り、「のっぺら坊」と杉元を狙撃してもう一人の裏切り者とともにアシパを連れ去る。
「のっぺら坊」を仕留めることには成功するが、三十年式実包であったことと谷垣の援護、家永の手術によって杉元は生還。
杉元に「殺す」宣告を受けることとなった。南無。


  • 谷垣源次郎 
声:細谷佳正/演:大谷亮平

「コレヨリノチノ ヨニウマレテ ヨイオトキケ」
「自分を奮い立たせて戦う、それこそが勃起なのだチカパシ!」

尾形の負傷と伝言を受け、師団兵襲撃犯を追っていた四人のうち一人。階級は一等卒。
杉元とアシパを発見した後、アシパの方を追ったが、レタに右足を折られて離脱。
レタの白い毛並みに魅入られて二瓶と手を組み、杉元一行と再戦する。
元は東北のマタギの生まれで、二瓶の技量や思想に多くを学び、軍人としての自分と決別。
捕縛したアシパを人質にするが、アイヌの村周辺に仕掛けられていた矢毒の罠に掛かる。
生死を彷徨ううちに二瓶とレタの戦いも決着し、以後はアシパの村に匿われている。
村の住人に恩を返すためアイヌの狩猟や採集を学び手伝うが、自身の口封じに来た尾形・二階堂と交戦。
尾形に銃のボルトを奪われたことで反撃手段を無くしたと思われたが、アシパが家に隠していた二瓶の銃を手に入れたことで反撃を始める。
一発しか弾が装填されていない二瓶の銃で勝負を決めるため、尾形と二階堂をマタギの知識を活かせる自身のホームグラウンドである山中におびき寄せる。
二階堂を羆を駆使した罠に嵌めることで重傷を負わせ、また二階堂を助けるために狙撃を行った尾形の位置を特定、そのまま尾形も狙撃し何とか2人を退けることに成功する。
その後、おばあちゃんのもとにアシパを帰すべく、自身を慕うアイヌの少年チカパシとともに旅に出る。
二瓶の影響から「勃起」をよく口にするが、下品なはずの言葉も彼ら師弟が言うと異様にカッコイイのがなんとも。

他の何人かの師団員と同様日露戦争中に杉元とニアミスしており、カネ餅を分け与えたことがあるが、その時は妹の仇を追うことに夢中だったため戦後はすっかり忘れている。

ゲイと変態が妙に多い本作だが、本人はノーマル性癖。
その上でガチムチボディと匂い立つ色気から、胸元を露出させられたりふんどし一丁で写真を撮られたりとお色気担当になりつつある。
「このマタギ……すけべ過ぎる!!」ムッワァァァァッ

+ ネタバレ
旅の果てにインカラマッと結ばれ、一夜を共にする(初めて大人のセックスを目撃したチカパシはトラウマになった)
網走監獄の戦闘で重症を負ったインカラマッを「俺が帰るまでは死ぬな」と元気づけ、杉元たちとともにアシパと彼女を連れ去った裏切り者たちを追う。


  • 二階堂浩平、二階堂洋平 
声:杉田智和/演:栁俊太郎

「一分一秒でも早く杉元佐一をぶっ殺したい」
「ありかを吐くまで指を落とし続ければいい」

小樽の蕎麦屋に通報されて杉元の前にノコノコ顔を出してきた双子の兄弟。共に階級は一等卒。
杉元に痛め付けられたことで彼に殺意を抱き、夜間見張りや哨戒の目を盗んで拷問しようとするも反撃に遭い、遂には殺害を決行するに至ったが、洋平は彼を刺殺する寸前で銃剣を奪われ、逆にそのまま殺されてしまった。
ちなみに杉元の頭突きで歯抜けにされた挙句に腸を抜き取られた不幸な方が洋平である。
兄弟を殺された浩平は杉元に対し強い恨みを抱いており、もはや金塊よりも杉元の殺害が自身最大の目的となっている。
浩平は尾形と共に鶴見中尉を裏切り谷垣を襲撃するが、谷垣の罠に嵌まり羆に襲われる。左耳を失い頭皮をべろんと剥がされる重傷を負うも何とか生き延びるが、
裏切り計画を知り駆けつけた鶴見中尉から逃げる力は残っておらずそのまま拘束、鶴見中尉による拷問を受ける。
最初は右耳を切り落とされようが口を割らなかったが、鼻を削がれる直前に「杉元を殺させてやる」と言われたことからあっさり口を割り裏切りに加担していた兵の名前を言った。
その後は杉元らへの怨恨から度々襲撃を仕掛け、血みどろの戦いの中で片脚を斬られたり薬漬けになったりと順調に様々な物を喪っている。
この調子では身体そのものを失った人間兵器になりかねないと専らの評判。


  • 月島基 
声:竹本英史/演:工藤阿須加

「精進しますといっています(面倒臭い)」

第七師団所属の軍曹。それと鯉登の通訳担当*9
目頭から降りる真っ直ぐなしわと、鼻がほとんどないというヴォルデモート卿みたいな風貌の持ち主。
命令に忠実に従う典型的な軍人でありながら、冷静な判断力と大胆な行動力を併せ持つ優秀な人材。
真面目で実直な性格と変態や狂人揃いのこの漫画に似つかわぬ数少ない常識人だが、それが災いして鶴見や鯉登など周りの変人に振り回されがち。
後に杉元、鯉登、谷垣と共に行動することとなるが家出娘を𠮟咤しつつも面倒を見るなど良心度が上がっていったり「それ以上子守はできない」と鯉登を子供扱いしていることが分かったり非常に暗い過去と彼の深い闇が明らかになっていった。
ちなみに苗字が判明して本格的に物語で活躍を始めたのは70話であり、序盤とは言えちょっと遅めだが、初登場は13話と実は第七師団の中で尾形、谷垣と並ぶ古参キャラである。*10


  • 鯉登音之進 
声:小西克幸
「キエエエエエエエッ!!(猿叫)」
(鶴見中尉殿と同じ畳の上で申し訳ないッ 畳を掘って頭を下げたいッ)

少尉。
鹿児島県出身。レ点のような眉と褐色肌が特徴で、端正な顔立ちをした薩摩隼人。月島の相方枠。
尾形曰く、鶴見中尉のお気に入りの部下らしいが、自身も鶴見に憧れて彼のブロマイドを胸ポケットに忍ばせたり鶴見の一挙手一投足に一喜一憂するなど、少し危ない方向に突っ走った熱狂的ファン。
興奮すると早口の薩摩弁になって会話が通じなくなってしまう悪癖があり、そうなると翻訳無しで言葉を聞き取るのは不可能。
若さゆえの詰めの甘さからうっかりミスもチラホラあるなど欠点も多いドジっ子。ただし自顕流による剣術の腕に長けており戦闘力は高い。
白石と熊岸の交換のために旭川に来たという網走監獄の典獄:犬童…に化けた刺青囚人の一人の結婚詐欺師:鈴川を薩摩弁を活かしたブラフで偽物と炙り出し射殺。気球隊の試作機を強奪し逃走を図る杉元や白石を追跡し同機に飛び乗る。
自顕流による猛襲で杉元を追い込むが、アシㇼパの矢や命綱を体に巻き付けた上での白石の飛び蹴りを受け森に落下し命拾いしたものの取り逃してしまう。
その後、鶴見中尉率いる小樽での囚人狩りに参加、身のこなしの軽さを活かし、稲妻強盗:坂本慶一郎を追跡し位置を知らせる事で討伐に貢献する。
網走監獄襲撃でも看守や囚人達と激戦を繰り広げるが生還し、鶴見中尉の命で月島やアシㇼパ奪還の為に鶴見中尉と手を組んだ杉元、谷垣と樺太に渡る事となり一人の男として大きく成長を遂げていく。
モデルは終戦時の第7師団長こと鯉登行一か?

父親は海軍大湊要港部の司令官、鯉登平二少将(声:大川透)。
息子思いの父親であると同時に厳格な軍人であり、杉元との会話でアシㇼパの父親がアシㇼパをアイヌを導く人間として育てた理由を推測した。もすっ。


  • 宇佐美時重 
声:松岡禎丞
「わきまえろよ!!僕たちは鶴見中尉殿の「駒」なんだぞ」

第七師団所属の上等兵。
猿っぽい顔で左右対称に口元にあるホクロがトレードマーク。*11
そして作者直々に『作中でもトップレベルに危険な男』*12と言わしめた変態
鶴見中尉の駒として扱われることに喜びを覚えるあの鯉登少尉が可愛く見えるレベルの狂信者であり、鶴見中尉の命令には絶対忠実。
おまけに「鶴見にとって一番の人」でなければ絶対に気が済まない嫉妬深い性質で、それが原因で少年時代鶴見の目の前で友人を殺害した経歴がある*13狂犬じみた男。
彼に刃向かったり裏切った人間に対して一切の情を見せる事は無く、鶴見中尉の信頼を得た仲間に対しても空気を読まず、歯に衣着せぬ発言をする。
その為、他の第七師団メンバーからは距離を置かれている。

当初は網走監獄の内部を探るべく看守として潜入していたが、勘づかれた事で囚人をけしかけられ暗殺されそうになった為、返り討ちにして逃亡、以降は再び鶴見に合流している。
238話の精子探偵は一部読者が付いてくる事が出来ず賛否両論を巻き起こした、実際に読んでみて欲しい。読まなくても大体分かるって?いいから読め
少年時代から「武田先生」なる人物の道場に通っており、牛山も少し感心するほどの柔道の腕を持つ。


  • 菊田杢太郎
声:堀内賢雄

「てめえら全員見えてるぜ」
「いいんだよどうせ…俺は地獄行きの特等席だ」

第七師団所属の特務曹長*14
部下の有古と共に日露戦争で重傷を負った為、樺太編終盤まで登別温泉で療養を余儀なくされていた。
その為、初期からの参加メンバーである宇佐美や二階堂からは軽んじられており、二人を出し抜いて鶴見中尉に再び取り入るため行動を開始する。
斃したロシア軍将校から鹵獲した銃をコレクションする少し危ない趣味を持つなど*15やや好戦的な性格だが部下への面倒見はよく、変人揃いの第七師団の中では常識人の部類に入る。良心かと思われていた月島は一番深い闇抱えているし
服の中にいくつもホルスターをぶら下げてこれらを携行し、戦闘の際には二丁拳銃で弾を打ち尽くしたら持ち替えながら戦うというスタイルを取る。
暗闇での戦闘に備え眼帯で目を慣らしておいたり、銃撃戦の最中に敵の正体を推理するなど療養でのブランクを感じさせない用意周到かつ冷静な判断力で有古との連携で都丹率いる囚人部隊を撃破した。
尻から取り入れた水を口から吐き出す変な特技がある。

+ ネタバレ注意
その正体は鶴見中尉を監視する為中央政府から派遣されたスパイ。
彼に対する随従も演技であり、二重スパイを強要され苦しい立場に置かれる有古を自らの元に就くよう呼びかけた。

また、杉元とはお互い面識があり、杉元のことを「ノラ坊」と呼ぶ。
戦闘モード全開の杉元が相手を菊田と認識して素に戻ったり、菊田の側もここで初めて「不死身の杉元」と「ノラ坊」を同一人物と知ったような反応をしていたりと複雑な事情が垣間見えるが……?


  • 有古力松/イポㇷ゚テ
声:水中雅章

「『狩り』は静かにひとりの方がいいです」

師団内でも大柄で筋骨隆々な体格と浅黒い肌が特徴的な一等卒。菊田とは共に日露戦争を戦い抜いた戦友である。
北海道登別近辺のコタン出身のアイヌでありイポㇷ゚テ*16はアイヌ名。物静かな性格であり第七師団は珍しい常識人その3。
菊田と共に登別温泉で療養を続けていたが山奥で刺青囚人の一人である都丹を目撃し菊田と共に追跡、最終的に雪崩を誘発させる事で撃破するが、まだ息のある都丹を掘り起こし土方と遭遇し自陣営に加わるよう勧誘される。
アイヌに思い入れがある訳では無かった有古だが、父親の死因にのっぺら坊や金塊が関わっている事実を聞いた事で離反を決意。
都丹の物とは違う刺青人皮を持って鶴見中尉の元へ帰還する。
しかし鶴見中尉は先の網走監獄襲撃の際に土方の保有していた刺青人皮の大半を奪取しており……
本編で再会する事は無かったが谷垣とは仲が良かったらしく、扉絵では共にあやとりをしているむさくるしい可愛らしい姿が描かれている。


  • 和田 
声:稲田徹/演:堀部圭亮
大尉。
春には綺麗な草花の養分になります。


  • 岡田文夫・野間直明・玉井芳蔵
声:笠間淳・田所陽向・手塚ヒロミチ/演:成松修・青木健・山内圭哉

「落ち着けよクマ公」
玉井が伍長、残り二人は一等兵。
尾形が行方不明になった後、谷垣と共に調査に乗り出した。
杉元とアシリパが二手に分かれたため、元マタギの谷垣のみがアシリパ追跡に従事し他3名が杉元の追跡を再開。これが全員の命運を分けた。
橇を使用した機動力の差で杉元に追いつき拘束する。しかし不意を突いて冬眠中のヒグマの穴倉に逃げ込んだ杉元を追跡しようとし、強引に起こされ不機嫌状態のヒグマと相対する事となってしまう。
岡田は強襲してきたヒグマの一撃で顔の皮膚を剥がされた玉井の放った銃弾が頭部に命中し即死。
野間は唯一祖父の教えからヒグマの習性を学んでいたので冷静に対処しようとしたが、頭蓋骨の丈夫さを聞いていなかったために*17結局失敗し必死の抵抗も虚しく惨殺され木の上に放置される。
玉井は最初に顔面の皮膚を剥がされ一時気絶していたが、野間との闘いで疲弊していたヒグマに拳銃を全弾撃ち込み殺害。直後に力尽きて死亡する。
なお、3人共に金塊の話が真実であったら鶴見を裏切る予定だった模様。
この離反計画には尾形が関わっており、偶然にも離反の意思の有無が生死を分ける形となった事で谷垣と尾形に緊張関係が生まれることとなる。

…要するに序盤に登場する敵モブだが、ヒグマ相手に一歩も引かない胆力を見せ、相打ちにまで持っていた事から読者達から隠れた人気を持つ。


土方一派

本作の設定では生きていたことになっている土方お爺ちゃんと愉快な仲間達。
第七師団が脱獄囚に対して容赦しないので全く以て相容れない。

  • 土方歳三 
声:中田譲治・若年時は中村悠一/演:舘ひろし

「いつだって頭数は当てにならんかった。戦力になったのは命を捨てる覚悟が出来ていた者だけだ」
「いいか 小僧ども この時代に老いぼれを見たら『生き残り』と思え」

箱館戦争で戦った旧幕府軍の侍。史実でも超有名な新撰組・鬼の副長その人。
本来の歴史では五稜郭の戦いで戦死しているが、今作では生き残り、網走監獄の囚人として収監されていた。
老いてなお剣の腕は冴え渡り、普段は飄々とした態度を取りながら、戦いとなると暴風雨の如く暴れ回る。
「いくつになっても男子は刀を振り回すのが好きだろう?」とかノリノリで言っちゃう還暦過ぎたバラガキ。
かつては樺戸集治監に投獄されていたが、網走監獄に移送された際にのっぺら坊の手で暗号の入れ墨を施され、そこでは模範囚を装っていた。
しかし金塊に目が眩んだ屯田兵に外へ連れ出された時に死刑囚の仲間達と共謀、屯田兵を皆殺しにして脱獄に成功した。
鶴見には「この世に怨みを残した悪霊」と言われている。
その後は永倉や牛山らといった仲間を集めつつ、かつての旧幕府軍勢力による蝦夷共和国構想を基に北海道の独立を目指し、その軍資金として金塊を狙う。
更には第七師団の殲滅も念頭に置いており、手始めに爆破事件の裏で銀行から多額の現金を強奪、そして愛刀・和泉守兼定を奪還した。
北海道各地で協力者を募る傍ら、かつての上司のような強力な指導者も求めており、自ら殺めることになった渋川の亡骸を見て「近藤さんの器じゃなかった」と呟く場面も。


  • 永倉新八 
声:菅生隆之・若年時は中井和哉/演:木場勝己

「人は死すべき時に死ななければ、死に勝る恥があると云います」

土方の協力者。その正体は新撰組最強剣士と謳われた男の老いさらばえた姿。
正史でも新撰組では斎藤一と共に明治まで存命している。
死んだ親戚の空き家や当座の資金、最新式の銃などを土方に提供した。
かつての副長の若々しさに驚嘆し、彼の野望を「「正気の沙汰ではない」「死に場所が欲しいのでは」と評しているが、当の土方が言うには永倉自身も昂ぶりを押さえ切れていないという。
その後も土方と行動を共にしており、往年の最強剣士らしい凄みをところどころで見せるとんでもないジジイその2。
裸眼である。眼鏡は掛けていない。実は牛山に掘られる寸前だったらしい。
ハゲていることは気にしている。


  • 牛山辰馬 
声:乃村健次/演:勝矢

「めんこい坊主だ。ホレこっちゃ来い、高い高いッ」
「女将、抱かせろ」

「不敗の牛山」の異名を持つ刺青持ち脱獄囚24人の中でも最大最強の人物の一人。
大柄で筋骨隆々、そこいらのナマクラでは刃も通さぬ強固な石頭の持ち主。額のハンペンめいたコブが特徴。
異名の由来は柔道家として10年もの間無敗であったことだが、師の妻を寝取ったために報復を受け、しかし逆に師を殺害した上に同門の弟子達に重傷を負わせたとして網走監獄に服役していた。
暴れ馬を払い足で転倒させ、羆を素手で投げ飛ばす怪物的な技量と身体能力を誇っており、最強の名に偽りはない。

定期的に女を抱かねば精神が不安定になり、誰彼構わず襲い掛かってしまうらしく、本編初登場時も娼館に入り浸っていたところを土方に突き止められる形であった。
なお、基本的には女が好きだが極限まで飢えると男だろうと老人だろうと誰でも良くなるらしい。

――と、ここまでだけだと脳筋で危険な強姦魔のような印象を受けるかもしれないが、実のところ作中でも上位に入る程の人格者
普段は非常に穏やかな性格であり、江渡貝邸の例の作品を見て引いているなど感性もまとも。
女性好きではあるが、(極限状態・泥酔状態など特殊な状況でない限りは)抱く前にはきちんと相手の合意を得たり娼婦を買うなど常識的な手段を取っている。容姿だけで態度を変えるなどもってのほか。
子供にも優しく、成人男性に対しても別に辛辣になるわけではない…とまさに紳士。
だからといって優しすぎるということもなく、目の前の娼婦に裏切られたことに気付いた際には激怒し投げ飛ばしていた。

金塊の分け前を求めて土方に服従するが、彼の底知れない恐ろしさに魅入られてもいる。
牛山を追う白石の気転と二瓶の犬・リュウの活躍で新撰組の拠点の位置が割り出されるが……
ある切っ掛けで杉元達と意気投合して会食し、杉元を男として大いに気に入る(性的な意味ではなく)
アシパには「男を選ぶときはチンポで選べ」と教え、彼女(と読者)から「チンポ先生」と慕われている。
なお海外で訳された際には「チンポ先生」は「Professor Penis」だとか。

モチーフは「鬼の牛島」の異名を持つ伝説的柔道家「牛島辰熊」。


  • 家永カノ 
「『同物同治』というのをご存知ですか?」
「体の不調な部分を治すには食材となる動物の同じ部位を食べるのがいいという考え方です」

札幌でホテル「札幌世界ホテル」を経営する美貌の未亡人――になりすました老齢の男
名前も偽名であり本名は「親宣 (チカノブ)」。
「最高の自分」に執着した医者で、「同物同治*18」の考えで美しい人間を殺して食い、美しい部位を我がものとする殺人鬼。
やっかいなことに妄想だけでもなく、美しい声の女を殺してその喉を食った結果、自身のしわがれた声が美しく変化している。今の姿も数多の人間を殺してその部位を集めて得たようだ。
ちなみに、胸板やイチモツは男のままであるため、自身の性別そのものにコンプレックスがあるとか変えたがっているというわけではないようだ。

ホテルにやってきた牛山や杉元一派を襲い、牛山の肉体やアシパの瞳を奪おうとするも敗北。
牛山からは「抱かせろ」と気に入られており、燃え落ちるホテルからも救われて土方一派に加わる。
チンポ先生の嫁。ジジイだけど。

網走監獄の戦いで第七師団に捕まった後は同じく捕まった負傷者の治療に努め、医者としての本分を発揮。医師としても普通に名医レベルの技量と知識を備えていた。
なお頭部に重傷を負った杉元を手術した際には彼の脳をつまみぐいしたらしく、妙にアシパを気にかけるようになってしまった。脳を食われて生きてる主人公って……
+ ネタバレ
谷垣の子を身籠ったインカマッの診療をする中で自身の「完璧」の基準は下の子を妊娠中に亡くなった母であることを吐露。
谷垣と共に身重の身体で脱走するインカマッを命がけで守り、血飛沫が奇しくも聖母子画のような後光を描いた構図で息絶えた。

モチーフは同様の手口で犯行に及んだアメリカの猟奇殺人鬼「H.H.ホームズ」。また、動機からエリザベート・バートリーの要素も入ってるとの意見もあり。


  • 都丹庵士 
声:水島裕
「確かにあんたからは人殺しのニオイがぷんぷんするもんな」

囚人時代に硫黄山の苦役によって失明し数人の囚人とともに逃亡した盲目の老人。
盲目になってからは耳に頼っており、下駄の音に似た舌を鳴らした音を反響させ、音を拾うことで周囲の状況を把握している。
屈斜路湖で盗賊の親玉として強盗を繰り返し、モーゼル銃を武器として杉元らを襲撃する。
悪人だが刺青囚人の中では比較的話が通じる男であり、アシパの説教に対して素直に耳を傾けたり、仲間と認めた相手に対しては反応に困る盲人ジョークを飛ばす事も。
杉元とは別の意味で不死身。途中から土方らと行動を共にし、ちゃっかり最終決戦まで生き延びている。

モチーフは映画『盲目ガンマン』の主人公「トニー・アンソニー」。『神聖モテモテ王国』のファーザーにも似てるが気にしない


  • 門倉利運 
声:安原義人
「この事件は 迷宮入りだ!!」
「謎は深まった!!」

網走監獄の看守部長。仕事へのやる気は殆ど無く、上司の犬童からは「キンタマの伸びきった腑抜けタヌキ」
「役立たずと辞書で調べたら門倉が出てくる」等と散々な評価をされている。
その正体は土方の内通者。父親が土方と共に戦った旧幕府軍であり、脱獄囚に対して無関心で無能な男を装う事で集団脱獄の後も看守部長の座を保ち続けていた。
ただ有能かと言われるとそうでもなく基本ボンクラな男である、たまに漢を見せる事もあるけど。

また、彼を語る上で欠かせないのが異常なまでの悪運。
野焼きが飛び移って自分の家だけ炎上したり、中学生の時自分だけ肥溜めに落ちたり基本ツイていないのだが、生命の危機に関しては別であり、何度か死にかけてもその度に不可視の何かに護られてる様な奇跡が起こり助かっている。カドクラスイッチ。
+ ネタバレ
実はこの男こそが24番目の刺青暗号の持ち主で、集団脱獄が起こった後に背中に掘られた。
しかも土方にとって金塊の隠し場所へ至る最後のヒントが掘られたもので、この刺青が無ければ金塊の発見はもっと遅くなっていた。


  • キラウ 
声:前野智昭
「疑って悪かった もっと飲んでくれ小熊ちゃん」
「そんないい加減じゃ失敗するぞ門倉」

釧路近辺のコタン(集落)に住むアイヌの青年。目深に巻いてる鉢巻がトレードマーク。
姉畑支遁の蛮行を谷垣の仕業と誤解した事で捕縛するが杉元達の活躍(?)によって誤解が解け和解。
しかし翌日蝗害が発生しコタンに大打撃を受けてしまう。*19

食い扶持を稼ぐ為に釧路のニシン漁場に出稼ぎに来ている所を土方一派と遭遇、寝床を紹介したり土井新蔵の捜索に協力したりしてるうちになし崩しに土方一派に加入*20、最終章まで付いてきている。
作中に登場するアイヌが実はパルチザンだったりパルチザンの子供だったり軍人だったり神通力持ちだったりする中で逆に珍しい一般のアイヌであり、アイヌ知識の解説や通訳以外は基本門倉と共に賑やかし担当。可愛い
土方一派の中では唯一、幸いにも敵と対面して逃走したり揉み合うといった直接的な戦闘を強いられる場面に遭うことはなかった。

コンビを組まされた門倉に対しては少しぞんざいに扱うが、共に賭け事に興じたり瓦礫に埋もれたと聞いて号泣する等仲がいい。


  • 奥山夏太郎 
声:羽多野渉

「油問屋の刺青人皮と稲妻の刺青…どっちも手に入れてやるッ」

元は茨戸のヤクザ、「日泥一味」の若衆の一人であったが抗争によって日泥組が壊滅した後、用心棒だった土方に憧れて土方一派に加入。
土方に認められたいが余り独断行動を起こしてドジを踏む事もあるがガッツは本物。
作者曰く「地味だけど殺す気になれないクリリン枠」との事。事実目立った活躍こそほとんどないものの五体満足で最終決戦まで生き延びている。
彼が登場したり活躍したりするエピソードが何故かアニメだとピンポイントでOVA送りにされたりカットされたりする不遇な子。


のっぺら坊と脱獄囚

のっぺら坊と、彼に金塊の在処を示す地図を刺青という形で刻まれた24人の囚人たち。
その実態は、一癖二癖どころか癖しかない変態や狂人の見本市である。
名前やキャラクターモチーフは実在する人物や殺人鬼が大半。

  • のっぺら坊 
声:東地宏樹
「アシパ…」

本作の元凶。
五年前にアシパの父親含むアイヌの男衆を惨殺し、金塊を根こそぎ奪い取った。
他の脱獄囚曰く「顔がない」男で、自身は脱獄できないよう看守に片足の腱を切られている。
道内に隠した金塊の在り処が判明しない限り網走監獄内で生かされているのだが、在野の仲間に情報を伝えるべく同房の死刑囚らの身体に暗号の入れ墨を彫った。事件に関わった役人達が金塊欲しさにそれを隠蔽していたため、被害者の遺族であるアシパでさえ杉元に教えられるまでのっぺら坊のことを知らなかった。
のっぺら坊は入れ墨の死刑囚に「成功したら金塊の半分をやる」「小樽へ行け」と脱獄を指示していた。
しかし実際のところ入れ墨は囚人を殺して剥ぐことが前提になっており、元より全員を生かしておくつもりもなかったようだ。
今のところ与えられた台詞は「アシパ…」の一言のみ。
作中の描写や周囲の人物の発言から、その素性はアイヌの振りをしたロシアのパルチザンにして、アシパの父親ではないかと推察されている。
+ ネタバレ
正体は大方の予想通り、アシパの父親ウイルクだった。
網走監獄で彼を見つけた杉元は、彼がアシパと同じ青い瞳であることと彼女のマキリを見た時の反応から父親であると確信した。


  • 白石由竹、土方歳三、牛山辰馬、家永カノ、都丹庵士
上述の通り5人共刺青持ちの脱獄囚メンバーの1人である。


  • 後藤竹千代 
声:青山穣/演:マキタスポーツ
杉元に入れ墨の脱獄囚とアイヌの金塊について話した人物。
泥酔して妻子を刺殺した経緯で網走監獄に収監されていたが、同じく泥酔して杉元に上記のことを話してしまい、口封じのために杉元を襲うも、反撃された上に逃げた先でヒグマに殺されてしまった。
死後は杉元の手で刺青人皮となる。
名前はファンブックで判明。


  • 笠原勘次郎 
声:山本兼平/演:島津健太郎
「脱獄囚は目立ちやすい小さな集落でなく人口の多い場所に潜伏するのでは」という杉元の見立てにより、小樽で聞き込みをしていた彼らを追って森に入り、彼らの仕掛けた罠に掛かった。
入れ墨が自分らの皮を剥いで繋げなければ無意味だという事実を知らず、脱獄した囚人らが突然殺し合いを始めたことに恐怖し、命からがら逃げ出したという。
アシパが入れ墨を書き写す途中で尾形に射殺された。
フルネームはファンブックで判明。


  • 津山睦雄
通称、三十三人殺しの津山。
白石からも恐れられた凶暴な刺青囚人の一人…なのだが、本編開始時点で既に鶴見中尉に殺害され、めでたく彼の部屋着となっている。
捕らえるまでに第七師団から3名もの犠牲者を出している辺り、非常に凶悪な強さを誇る囚人だったようだ。
名前はファンブックで判明、モチーフは津山事件と犯人の「都井睦雄」と見られる。


  • 二瓶鉄造 
声:大塚明夫

「一発で決めねば殺される 一発だから肝が据わるのだ ビビッておっ立ちゃ負けよ」
「猟師の魂が勃起する!!」

山中で行き倒れていた谷垣を拾い、狩猟に同行させていた老練の猟師。口癖は「勃起!!」
単発式の18年式村田銃を愛銃とする谷垣の故郷やアシパの村でも有名な熊撃ちの達人。
一度入山すればその山から熊の姿が消えるほどの活躍により毛皮商人からは「冬眠中の羆もうなされる悪夢の熊撃ち」と謳われている。
「感情は匂いとなって身体から発せられる」という持論の持ち主で、作中では杉元や谷垣の殺気立ちやすい気性、マタギの「木化け」、遡ればレタがアシパの窮状を察知したことなどからそれが証明されてもいる。

本人も今までに斃してきたヒグマは200頭を超えたと語り、経験に裏打ちされた技量を持つ。
ヒグマの生態を個性ではなく習性で熟知し、顔を見るだけで性格や生き残った場合の後の傾向を推量することもできるが、逆に一度も仕留めたことがなく予測もできないオオカミとの戦いには、猟師魂と執念を燃やす。
曰く「俺はヒグマより獲物に執着する」

数年前、道内の猟師を殺して獲物を奪う無法者が二瓶を狙った際、二瓶は逆に盗人を三日掛けて一人ずつ撲殺。
最後の一人も警察の制止を振り切って縊殺し、その罪で逮捕された。
自身は元から金塊に興味などなく、脱獄した理由は「山で死にたいから」だった。
そしてレタを狙う谷垣と手を組み杉元と交戦。
アシパを人質に取るなどして獲物を追い詰めていったが、突如出現したレタの嫁によって喉笛を噛み切られ致命傷を負う、やはり女は恐ろしいとボヤきながらも、最後の狼と戦えた事を満足しながら逝った。
刺青人皮は杉元達の手に渡ることになる。
元妻帯者で、15人の子供と女房とは絶縁状態。ヒグマも人間もメスの方が恐ろしいとは本人の談。
二瓶が飼っていたアイヌ犬のリュウはその後、杉元一派について来た。

外見上のモデルは作者の前作「スピナマラダ!」に登場した二瓶利光。顔がそっくりだが子孫だったりするのかは不明。
設定面では実在の猟師「山本兵吉」及び同人物をモデルとした『熊嵐』の登場キャラクター「銀オヤジ」がモチーフと思われる。

中の人は性欲を持て余す犬使いを演じている。


声:関俊彦

「ああ……この人に殺されたい 」
「よし この人を殺そう だって僕が求めていたのがこの人ならば 僕なんかに殺されたりしないはずだ」

これまで日本各地を放浪し、100人以上の命を奪ってきた連続殺人鬼。
彼にとって殺人は息をするのと同じであり、そんな残忍な経歴をおくびにも出さないほど一見人当たりが良く、礼儀正しい男なので白石が伝えるまでは杉元も気付けなかった。

幼少の頃に実家の裏山に棲息していた大猪に弟を生きながら食い殺されて以来、
その弟の絶望した目と弟の死に物狂いで必死に抵抗する光景に魅せられた結果、その光景を思い出す度に性欲が混同した強い殺人衝動に駆られるようになり
「強大な何者かによって必死に抵抗しながらも無残に殺されたい」「でもその相手を殺したい」という破綻しきった破滅願望と殺人欲求を抱えて凶行を繰り返している。
発作を起こした際は「誰でもいいからブッ殺したくなる」とは本人の談。
殺した相手の身体に「目」の字を刻み込むのが特徴で、弟の死の瞬間や己が相手に殺される瞬間を妄想して性的興奮や絶頂を覚える筋金入りの狂人。

現在は鰊漁を営む「ヤン衆」の中で生活しつつ、人知れず同業者を殺害している。
マカナックル達が追い立てた鯨の出現で海に転落し、杉元に救出されるが、自分を助けてくれた彼に人殺し特有の気配を感じ、自ら杉元に惨殺されたいがために杉元の殺害を妄執するようになる。
作者曰く「最も気に入っている」「モチーフは自分

モチーフはおそらくアメリカの殺人鬼「ヘンリー・リー・ルーカス」。


  • 宝井哲夫
登場時点で故人。
茨戸のヤクザが所持していた刺青人皮。暗号の秘密を知った若山によって脱獄した後すぐに殺害されたが、若山が金塊の捜索を諦めた事で博打の借金のカタにしてしまったとの事。
これを巡って土方一派と尾形百之助はヤクザを巻き込んだ大規模な抗争を繰り広げる事となる。
フルネームはファンブックで判明。


  • 若山輝一郎  
声:銀河万丈
「だいたいよぉ!男娼と寝るなんて便所に行くようなもんじゃねえか」

苫小牧での競馬で八百長を指示していたヤクザの親分。
赤毛の羆の兄弟に追われ逃げ込んだ民家でキロランケ達が最初に遭遇した初老の男。
仕込み杖で杉元の銃剣の刃の部分を両断する程の使い手。
部下の仲沢達也(声:田中秀幸)と恋愛関係にあり、劇中ではラブコメじみた壮大な痴話喧嘩を繰り広げる。
同性愛者で浮気性で冷酷な悪人だがそれでも刺青囚人の中では常識人の範疇に収まる人。
それゆえ他の狂った刺青囚人に振り回されがち。

モデルは座頭市で有名な日本の俳優「勝新太郎」あるいはその兄の「若山富三郎」。
「輝一郎」は、遠山の金さんなどでお馴染みの俳優「若山騎一郎」からだろう。
当然ながらモデルと推測される方々はゲイでもなければヤクザでもない。


  • 鈴川聖弘
声:楠大典
「暴力で人から何かを奪うような 野蛮な脱獄囚と一緒にしないでもらいたいね」

食えない言動で他人を翻弄する詐欺師で、変装の達人。
アメリカ軍大佐になりすまし、富裕層の女性に対する幾つもの結婚詐欺の咎で服役していた。
脱獄後は政府の高官に扮して樺戸集治監を訪れ、内部から多くの囚人の脱獄の手引きをした。
樺戸集治監近くのアイヌのコタンを襲い男を全員殺害、女は脅して妻役としてコタンを乗っ取る。
自身は「村長・レタンノ エカシ」を名乗り、他のアイヌに扮した囚人らと共に、訪れる旅人の寝込みを襲い殺害しており、熊岸には偽札作りを命じていた。

モチーフは同様の手口で犯行に及んだ結婚詐欺師の日本人「クヒオ大佐」(本名は鈴木和弘とされる)。


  • 船橋荘六
登場時点で故人。
脱獄した後に夕張で炭鉱夫として暮らしていたが事故で死亡する。
死体は第七師団が江渡貝くぅぅんを誘き寄せる為にエサとして使われた。
フルネームはファンブックで判明。


  • 坂本慶一郎
「オレは稲妻だぜ 奴らの弾より速く走ってみせるさ」

「稲妻強盗」との異名を持つ強盗。
強靭な健脚で一日に約200キロ走り続け逃げ切る伝説を打ち立てている。
脱獄の道中、“蝮のお銀”の異名を持つ女盗賊と知り合い夫婦関係となり、その後銀行や郵便局を襲うことで夫婦は反権力の象徴として世間の注目を集めていた。
小樽にて土方の部下を従え賭場を襲撃し刺青人皮を手に入れようとするが、鶴見中尉率いる第七師団に建物ごとを包囲され、脱出を果たすにも鶴見中尉に機関銃で銃殺される。
お銀もその直後に鯉登によって首を刎ねられ、彼の刺青人皮は第七師団の手に渡るが、二人の忘れ形見である赤ん坊は第七師団に保護された後フチに預けられた。

モチーフは明治時代の強盗犯「坂本慶次郎」とアメリカのカップル強盗「ボニー&クライド」。


声:堀秀行
「おとなしくしなさいッ 大丈夫ッ 大丈夫だからッ 大好きだからッ 待ってーッ!」

あちこちで家畜を殺して回って牧場主に見つかるとその人間に大怪我を負わせた末に逮捕された元学者。
動植物やアイヌ文化に対する見識は本物で、脱獄後に北海道の動植物学者を名乗っていた。
その本性は動植物が好きすぎて動物や樹木とセックスすることを好み、相手も鹿だろうと樹だろうと鮭だろうと鶏だろうとお構いなしなガチすぎる変態。
しかしセックスした後は相手の動物を殺害したり樹木を切り倒そうとするなど猟奇殺人(?)者としての顔も持つ狂人。
最終的な目標はヒグマとのセックス。
そのためにはヒグマの糞を嬉々として笑顔で自らに塗りたくり*21、ヒグマの仲間と思わせるべく自ら生きたトノサマバッタも食らうド変態である。
その所業は自然や動物を穢すのと同義であり、アシリパやアイヌの人々に明確な敵意を抱かれている。

強烈すぎる変態性から「変態ムササビの跳躍!」「すごーい!彼は変態けものフレンズなんだね!」などと煽り文が書かれることになった。
そして終盤では念願のヒグマとのセックスに成功。
その胆力と情熱の果てに目的を果たしたことで、杉元から「やりやがったッ!!姉畑支遁すげエッ!」と興奮気味に讃えられた。
…が、熊とのセックスで力を使い果たしすぎたのか最終的には満足気に腹上死した。熊が可哀想だよ……。

元ネタは『シートン動物記』で有名な「アーネスト・トンプソン・シートン」とムツゴロウさんこと「畑正憲」。
当然ながら元ネタの人たちはここまで変態の狂人ではない。


  • 岩息舞治 
声:三宅健太
「絵や歌や文書や踊りなんかで自分を表現するのと同じ事 私はこいつで誰でもぶん殴るのです」
「はあッ☆」

樺太の在留ロシア人の村に潜伏し、賭けスチェンカ場を根城としていた脱獄囚。
屈強極まりない肉体と坊主頭に反して目だけが少女漫画の女の子のようにパッチリ開いて異様にキラキラしている不気味なビジュアルが特徴。おまけに時折語尾に「☆」が付く。
「暴力=己を理解して貰うための唯一の方法」「歓声は自分が肯定される瞬間」と捉えて日々誰も彼も殴って暴力に明け暮れていた危険人物。マゾっ気もある。
人生の殆どが監獄暮らしでありながら暴力が賞賛される監獄という世界を好んでおり、自身の境遇には何の後悔も抱いていない。
暴れた場合牛山の力で漸く取り押さえられたという馬鹿力の持ち主で、殴り合いならば牛山にすら勝ったこともある高い戦闘力の持ち主
コミュニケーション手段が暴力という事を除けば思慮深く優しい紳士であり、様々なことがあって自暴自棄になり暴走した杉元に「許してあげなさい。貴方は頑張っているじゃないですか。そんなにボロボロになるまで」とキラキラとした目で諭した。其の後バーニャだったが。
彼に対処したのが杉元や月島軍曹という金カムでは穏やか系の面子だったため、刺青を書き写す+逃亡しろで逃がされた。
作中でも珍しい最後まで生き延びた囚人の一人。後に杉元らが立ち寄った灯台に住む老夫婦の娘スヴェトラーナと共にロシアで大冒険を繰り広げるとの事。スピンオフ?聞かせて…

モチーフはイギリスで最も危険な囚人と言われる「マイケル・ピーターソン」。
ピーターとはギリシア語の「石」「岩」に由来し、Sonは英語で息子、と一際捻った名前。
また偶然なのか劇中で行っていたダブルラリアットのモチーフ元と思われるマイク・ハガーのアナグラムにもなっている。


  • 土井新蔵 
声:清川元夢・若年時は小野大輔

「列に並べ この「人斬り用一郎」を殺したい奴なんぞたくさんいる」

コタンに流れ着き、アイヌの女性と結婚した男。
今は老いさらばえた皺だらけですっかりボケた老人であるが、その正体は幕末期に何人もの政府要人を暗殺し、「人斬り用一郎」の異名を持った名の知れた剣客。
過去の恨みから妻を攫われたため、その報復で誘拐した和人を殺害し網走監獄に収容。
妻が病気で余命いくばくもないことを知ると妻を看取るため脱獄を果たし、無事妻を看取った愛妻家。
自身への恨みから襲い掛かってきた遺族を見た途端一瞬で冷徹な人斬りの貌と化し、容易く刺客を圧倒したアグレッシブな老人。

モチーフは「人斬り以蔵」として知られ、「土井鉄蔵」の偽名を用いたこともある幕末四大人斬りの一人「岡田以蔵」。


  • 関谷輪一郎  
声:加瀬康之

「俺は運を見るのが好きなんだ 運の悪いやつを殺してきたのさ」

ストリキニーネ、青酸カリ、ヒ素、フグ毒など多様な毒物の知識に長け、「試練」を騙り運任せで30人を毒殺してきた元家畜獣医の連続殺人鬼。
運悪く落雷によって娘を失ったトラウマと元々の信仰心から「人間の運」に対して狂気的な執着を抱き凶行に走るようになった。
肉体こそ常人並だが知能と洞察力に長け、相手の目線の動きや行動から相手の意図を読み、一時は土方と牛山を知恵だけで戦うことなく戦闘不能にして生き埋めにするなど、脱獄囚の中ではトップクラスに頭がいい。
金塊に対しての執着はなく、寧ろ金塊を狙ってくる相手の運を試すことに執着した変わり種。

監獄内でも看守の目を盗んで自分の房の食事の1つに毒を盛り運を試すなど凶行に走っていたが、脱獄後は北海道の阿寒湖のほとりで刺青人皮を餌にして土方一派を狙う。

モデルとされるのは
  1. イギリスの毒殺魔「グレアム・ヤング」(顔立ち)
  2. 埼玉県愛犬家連続殺人事件の犯人の夫婦(硝酸ストリキニーネを使用、夫の名字が「関」根)
  3. トリカブト保険金殺人事件の犯人「神谷力」(計画犯罪、トリカブトとフグ毒によるトリック、名字が神「谷」)


  • 松田平太 
声:石田彰

「親父も次郎ニイも嵩ニイもノリ子姉ちゃんも食われてしまった…俺がウェンカムイを連れてきたから」

「道東のヒグマ男」と恐れられていた連続殺人鬼。通称「平太師匠」
ぎょろ目の小柄な男性で、アイヌの煙草入れとヒグマの毛皮を持ち歩いている。
砂金獲りの名人で、その技術と豊富な知識・経験で砂金獲りだけで1日50円を稼いだこともある達人。
一見気さくかつ温厚な性格だが、実は自身のほか家族三人分とウェンカムイ*22の合計5人分の人格を内包している多重人格者。
普段は一人芝居しながら妄想の中で家族との生活を営み、ウェンカムイ状態になるとヒグマの毛皮を被ってヒグマさながらの怪力と食人衝動に苛まれ通り魔的には犠牲者を惨殺しては捕食してきた。
ウェンカムイ化した状態であれば囚人の中でも上位に位置するフィジカルの持ち主であり、素手で杉元の腕を圧し折ってみせている。

彼の一連の行動は他の囚人とは別種の狂気であり、絵面は完全にホラー。
とはいえ本人的にはウェンカムイの存在はトラウマであり、(己の中の)ウェンカムイに恐怖と憎悪を抱いており、己の凶行自体には負い目を感じている被害者であった。


  • 海賊房太郎 
声:関智一
「子供をたくさん作って俺の家族の国を作るんだ 良いだろ?」

本名: 大沢房太郎(オオサワ フサタロウ)
55件の強盗殺人や多数の傷害、放火、窃盗を犯した凶悪犯であり、人を水中に引き込み溺死させ金品を奪い取る手口から『監獄の海賊』『海賊房太郎(カイゾク ボウタロウ)』と呼ばれる様になった男。
大柄な体格のワイルド系イケメンで豪気な性格と高いカリスマ性の持ち主。
足のサイズが36cmもあり、手の指の間には水掻きがヒレのように発達、水深200mを30分間潜水し続けられる超人的肺活量を持つ素潜りの達人。
脱走後は配下を率いて石狩川を根城に活動し、刺青人皮に頼らない方法でのっぺら坊の金塊を探しており、東南アジアに自分の王国を作るという野望を抱いている。

モチーフと見られるのは囚人として水揚げ作業に従事していた実在の人物「大沢房次郎」。


  • 上エ地圭二 
声:檜山修之

「きっと「最高にガッカリした顔」の「男の子を殺せば」 モヤモヤは消えるんだ」

額に「大悪」の文字*23を刻むなど全身にオリジナルの奇怪な刺青を刻んだ道化じみた三つ編みの男。
「期待していた人の残念がる顔やがっかりした顔が見たい」という欲望に取り憑かれた虚言癖持ちで、がっかりした表情を浮かべた男児を殺すことに執着し殺し続けてきた連続殺人鬼。
牛山曰く「悪魔」

破綻気味な性格は監獄でも変わらず、度々他の囚人に嘘をついて騙したことで怒りを買っていた模様。
脱走後は飴売りに扮して北海道各地を転々とし、標的である少年を攫って殺し続けてきた。
「刺青をめぐって争う人の失望した顔が見たい」いう短絡的な動機で全身の刺青を上書きして判別不能にし、ビール工場の火災に乗じて煙突の天辺で披露する凶行に出た。
…が、そもそも終盤の時点で必ずしも全ての囚人の刺青人皮が必要ではなくなっており、争奪戦メンバーからは全く興味を持たれなかった。
失望させるどころか見向きもされなかったことで逆に自分が失望し、地団太を踏んで煙突から転落。その最中にガラスに映った「がっかりした自分の顔」*24に喜びながら死亡した。

モデルは同じく父親の異常な教育によって精神に異常をきたした殺人鬼「ジョン・ウェイン・ゲイシー」。


  • マイケル・オストログ 
声:三上哲

「素晴らしい やっぱり女性は一人で子供産めル」

初の外国人枠にして本編に登場した最後の刺青囚人。
50代ぐらいの白人男性だが本名不明。
10年前日本に密入国して横浜で遊女を惨殺し網走監獄送りになった連続殺人鬼であり、日本最初の外国人の死刑囚。
その正体はイギリスを騒がせた連続殺人鬼『ジャック・ザ・リッパー』本人。
娼婦の息子という生い立ちへのコンプレックスから自身を「処女から生まれた神の子である」と錯誤、断罪を名目に娼婦を殺害した極度の処女厨。だが「聖水」と称してを遊女を殺害した場所でオナニーして精子をぶち撒けてた変態でもある。
ナイフを凶器としているが窮地になると精子を目潰し代わりにぶっかけてくる何とも相対したくない囚人。*25

脱走後は札幌に潜伏したがロンドンを想う余り「札幌に自分の聖地を作る」という欲求に駆られ暴走。
札幌をロンドンに見立て、遊女を狙ってロンドンで行った凶行と同じシチュエーションで4件の連続殺人を繰り返した。

モチーフは実際の切り裂きジャック事件の容疑者「マイケル・オストログ」(ただし、事件と同時期にフランスで投獄されていたため、切り裂きジャックではなかったことが現在判明している)。


アイヌの人々

蝦夷地に古来から住み、秩序正しい社会生活と狩猟文化を営んできた原住民。
アシパのコタン(村)に住む者らは新しい物好きで好奇心旺盛、杉元にも好意的。
だが、そんな彼らの中にも和人と正面から敵対しようとする考えの持ち主もいた。

本作を描くための取材時にとあるアイヌの人から言われた「被害者のアイヌはもうたくさん。強いアイヌを描いてくれ」は本作の骨子の一つといえる。


  • アシパのフチ 
声:一城みゆ希/演:大方斐紗子

「スギモト ニパ タン マッカチ エトゥン ワ エンコレ」*26
(サッサッ)(ウンウン)

本名:ススポ
アシパの母方の祖母。亡き夫が村長だったので今でも身分が高い。
「トゥレンペ」という一人につき一柱の憑き神をほんの少し見ることができるらしい。
曰く、杉元には非常に強力な守り神が憑いているという。
家に匿った谷垣からは「おばあちゃん」と実の祖母のように慕われている。
後に第七師団から託された赤ん坊を育てることになる。


  • マカナックル 
声:斧アツシ
「アイヌが争いのために川を汚すなんて絶対にあってはならない」
「あの砂金は魔物が憑いている呪われたものだったのだ」

アシパの母方の叔父にあたる。杉元に非常に好意的なナイスガイ。
北海道の広い範囲を行動し、最近では鯨漁にも出掛けている。
濃い眉と髭と顔を持つ、如何にもアイヌ男児といった人物。白秋です……
オソマの父。すなわち糞親父


  • オソマ 
声:朝井彩加/演:永尾柚乃
「シンナキサ

マカナックルの娘。アシパの従妹にあたる。
物怖じしない性格で、父親によく似た器量の持ち主。顔が濃いとも言う。
谷垣の嫁候補その1。


  • キロランケ 
声:てらそままさき

「俺は同じ国から来た人間として責任を感じる」
「最後まで見届けたい」

アシパの父の友人のアイヌで、元第七師団(鶴見中尉とは別の小隊)の工兵でもある。
爆発物のエキスパートで、馬を愛する好漢。妻子持ちで別のコタンに家を持っている。
通称キロちゃん。
アシパの父の詳細を知っていたり、彼の周りのスパイの話になると意味深な演出がされることなどからどう考えても「のっぺらぼう」のスパイなのだが、あからさまに怪しすぎて逆に違うんじゃないかと言われたりしている。
デブ専。

+ ネタバレ注意
正体はやはりスパイであり裏切り者……だが、所属勢力は「のっぺらぼう」とは違う別の組織。
もう一人の裏切り者とともにアシパを樺太に連れ去ったことで杉元から「殺す」と宣告を受けた。南無。
尚、怪しい言動のうちアシパと最後に会った時期が台詞ごとに一定しないように思える件については特に深い意味はなかった模様。


  • インカラマッ 

「わたし傷のある男性に弱いんです」

杉元達が苫小牧勇仏のコタンで出会った占い師の美女。
その占いは良く当たると評判で、実際に他人が知りえないことを言い当てたり、競馬の勝ち馬を確実に当ててみせた。

苫小牧で杉元達の前から姿を消した後はアシリパのコタンに訪れ、
アシリパの周りに裏切り者がいる事をフチに告げる。
こうして谷垣はアシリパをフチのもとへ帰すための旅に出る事となり、インカラマッも何か目的があるらしく谷垣に同行した。

アシリパの父親を知っている素振りを見せたり、裏では鶴見中尉と繋がっているなど謎の多い女性。
アシパの父にアイヌの習慣を教えたと証言しているが、アシパからは父の証言と矛盾すると疑われており、
金塊を巡る殺害現場の状況から「のっぺらぼう」はアシパの父ではなく、キロランケのことをアシパの父の仇と糾弾しているが、情報の出所が鶴見中尉のためどちらが真相とも判断しかねる。

+ ネタバレ注意
金塊はアシパには必要のないものであり、アシパを保護できるのは第七師団だと判断し、鶴見中尉に情報を流していた。
網走監獄にてキロランケの裏切りを掴み、ダイイングメッセージよろしく己に突き立てられたキロランケのマキリを死守。
家永の尽力により生存し、谷垣との子宝を授かりフェードアウトする。
それ以外の谷垣への思慕やアシパ親子への親愛の情に特に嘘はなく、占いが当たる理由にも種も仕掛けもなかった。
アシパの父との証言の矛盾に関しては、単に妻以外の女性の友人の存在を娘に言いたくなかったものと思われる。


その他

  • 娼館のおっちゃん
小樽の娼館で番頭を務めている大男。杉元らの事情は知らないが、快く協力する。
ただし喧嘩となると大きな図体を生かせず、アシパ・杉元・牛山に黒星を喫している。
娼館で生まれたため、親や姉妹同然の娼婦達に暴力を加えられるのが許せない正義漢。


  • 寅次と梅子 
声:内匠靖明・未登場/演:泉澤祐希・高畑充希
杉元の幼馴染夫婦で、彼が金塊に懸ける情熱の原動力。梅子はかつて彼と恋仲だった。
寅次は杉元には一度たりとも勝てたためしがないけれども、二人は親友の間柄であった。
結核とそれに伴う偏見から梅子を守るために杉元は身を引き、寅次に彼女を託したが、後の日露戦中に互いに陸軍の兵卒として再会、夫婦の間に子供が生まれたことなどを喜ぶも束の間、寅次は帰らぬ人となる。
その死に様は凄惨で、杉元は故郷に指先の骨しか持ち帰れず、稀に悪夢にも現れる。
また梅子は眼を患い、杉元が寅次の遺骨を届けに来た時にはほぼ視力を失っていた。


  • 渋川善次郎 
声:新垣樽助
最近になって樺戸集治監を出所した盗賊団頭首。
土方とも面識があり、手下を集めて小樽近郊に潜伏中との情報を得た新撰組に襲撃される。
樺戸にいた頃から土方の本性を見抜いていたが、手も足も出す暇もなく瞬く間に殺された。
新撰組の使者からアイヌの埋蔵金を知るものの、土方を亡き者にしようとしたのが運の尽き。

  • 武之助 
声:相馬康一
渋川の配下。牛山に高い高いされて天井裏のネズミーランドへ他界他界。

  • トーマス 
声:梅津秀行
第七師団へ銃を提供する武器商人。
アイヌの金塊の実在については懐疑的。

  • 有坂成蔵 
声:島田敏
陸軍中将で武器開発の第一人者。長年の兵器開発で耳が遠く、会話が怒鳴り気味になる。
鶴見中尉の頼みで二階堂に義足と義手を製作してあげた。
元ネタは実在した陸軍中将有坂成章。作中でも言われた「有坂銃」という呼び名も実在する。

声:内田雄馬
_人人人人人人人_
> 江渡貝くぅぅん <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


  • ヴァシリ・パヴリチェンコ  
声:梅原裕一郎

「フンフン オガタフンフン」

日露戦争へ従軍経験もあるロシアの国境警備兵で凄腕の狙撃手。絵が上手い。
元はロシア国内で指名手配犯中のキロランケが国境侵入するという情報に従って部隊と共に待ち構えていたのだが、同行していた尾形と狙撃の勝負になり持久戦へ突入。
一昼夜を微動だにしないまま過ごした後、尾形に先手を取ったつもりが罠に引っ掛かり逆に狙撃されてしまう。ただ運が良かったのか、頬を貫通する重傷に収まった。
その後は部隊や国境警備からも離れ、単独で尾形を追跡する。敷香で白石を餌に誘い出そうとするも巡り合えず、杉元と交戦の末に利害が一致している事を確認し、彼らについていけばいずれ尾形と巡り合えると判断し同行する。
勝手についてきた立場ではあるが、作中随一のトリックスターである尾形への抑止力となっているのは違いなく、最終盤まで尾形の方も常に脅威として認めていた。
ちなみに杉元や白石からは「頭巾ちゃん」と呼ばれている。しかしこの頭巾は尾形から受けた負傷を隠すためのもので、一度口元を見せた時には白石が酷く怯えていた。


  • ソフィア・ゴールデンハンド
声:斉藤貴美子・若年時は湯屋敦子

「やさしい男嫌いダヨ みんな死ぬカラ」

ロシア人の女性革命家。
アシパの父親であるウイルクやキロランケの元同志。
反体制ゲリラ組織の指導者で、現在は樺太のアレクサンドロフスクサハリンスキー(亜港)監獄に収監中。
元はロシア上流階級の裕福な家庭で育った令嬢であったが、やがて革命活動に身を投じ、ウイルク達と出会う。
かねてより外部のキロランケと連絡を取り合っており、物語終盤で監獄内の同志達と共に監獄を脱獄した。
ウィルクやキロランケと行動を共にしていた頃は芯の強そうな美女だったが、現在は物理的に強そうな(っていうか実際に岩息と互角に殴り合い歓喜させる程強い)女傑に変貌している。


  • 長谷川幸一 
声:中野泰佑
ウラジオストクの郊外で写真館を営んでいた日本人。妻のフィーナ(声:Lynn)と生まれたばかりの娘オリガの3人暮らし。
日本語を習いに来たと言うウイルク・キロランケ・ソフィアの3人組の日本語講師を引き受け、交流を深めていった。
+ ネタバレ注意!
ウイルクら3人が訪れてしばらく経った頃、ソフィアの言葉遣いやウイルク・キロランケの手配書を見て彼らが活動家であることを知り、妻を実家に帰しウイルク達にも出ていくよう促す。
しかし時を同じくしてロシアの秘密警察が「日本人のスパイを捕まえる」ために来訪、そのまま銃撃戦へ発展する。
激しい攻防の後、木に隠れていた警官を撃ったソフィアが直後に見つけたのは銃弾を受け倒れ伏していたフィーナとオリガだった。
その時にはオリガは既に死亡し、フィーナも虫の息であった。
ウイルク達を逃がした長谷川は息も絶え絶えなフィーナに語り掛ける。
Мое имя не Хасэгава Коити.(私の名前は長谷川幸一ではないんだ…)

А кто же ты?(あなたは誰なの?)”という妻の最期の問いに長谷川は眼鏡を外しながら
「鶴見篤四郎」
と本当の名を名乗った。
そして妻と娘の遺体を寝かせた写真館に火を放ち、ロシアを後にした。

ちなみにアニメではこの名乗りも中野氏が演じている。


  • マンスール
最終決戦にて土方側へ援護に来たソフィア率いるパルチザンの一人。ソフィア折り紙付きの砲兵らしい。
土方とは別行動を取る門倉が286話で急に頼りにし、急に登場した。いつ頃門倉と知り合いになったかはまったくの不明。*27
誰?ねぇ・・・誰なの 怖いよおッ!!
そして函館山の観音像の裏に隠されていた68ポンド砲を使い、2km先で艦砲射撃を行っていた駆逐艦を2隻撃沈するという大金星をいきなりぶち挙げた。
右も左も分からない土地で骨董品級の大砲を使い、双眼鏡すらない目測にも拘わらず初撃でいきなり至近弾、1回の軌道修正で命中というチートにも程がある砲撃の腕には読者も困惑する一方となった。
その後残りの2隻も撃沈し、役目は終えたとばかりに沈みゆく本艦による反撃を受け、右手を欠損する重傷を負い退場した。


  • 病院に現れた謎の人物
重傷で入院した二階堂浩平を元気づける為に鶴見中尉が招いた人物……が入る前に病室に入り込んだ人物。鶴見ですら素性を一切知らない。
当然二階堂はこの奇妙な闖入者を怖がり、満面の笑みで迎え入れてしまった鶴見もさすがに驚き*28「誰だお前!!あっちへ行けっ」と追っ払った。
アニメでは結構強めに吹っ飛ばされている。一応怪我人なのに……
ちなみに原作でもアニメでも「素敵な足をもらえてよかったネ!」のシーンでちゃっかり左端にいる。
元ネタは作者のデビュー作「恭子さんの凶という今日」でたかし君の病室にやはり突如現れた人物。結局誰なのかはまったくの不明。
モブの中でも一際異彩な存在感を放っていたせいか、2018年に行われた総選挙では二瓶鉄造より一つ上の23位にランクインしてしまった。


  • アザラシ
俺はアザラシ 海のパンサー
俺は泣かない 何があっても
もしも俺が泣くならば それは別れの時だろう
バキッ
ア゛ア゛ア゛~~~~~~ッ


  • エゾナキウサギ
ハッと出会って 貴女だけについていくー
今日も 運ぶ 戦う 増える。
そしてー 食べられる。 


  • シマエナガ
ふいいいいい~~
ごめんなさいごめんなさい…


用語解説

アイヌ民族の信仰における神のこと。
アイヌの人々は身の回りの事物や自然現象に神が宿るという汎神論の元に生活している。
彼らはカムイを「神の国からアイヌの世界に役に立つため送られてくるもの」と考えており、カムイが何度でも自分達の世界に来てくれることを祈って、感謝の儀礼を捧げる。
余談だがカムイの愛称は現在函館本線の特急列車の愛称にも使用されているが、実写映画公開に合わせ車両の一部を金色にラッピングした編成が登場している。

  • ヒンナ
「うまいか? ヒンナか?」(アシパ)
「ふぅ~~こいつはヒンナだぜ」(杉元)
食事に感謝する言葉。アイヌはこの言葉を食べながら言うのが習慣になっている。
長くアシパと行動を共にした杉元の口癖にもなった。
間違えられやすいが「美味しい」という意味ではないので注意。

  • イオマンテ
アイヌは猟で子熊を捕まえると、村に連れ帰って大切に育てる。
高位のカムイであるキムンカムイ(熊の神様)の子供を育てるのは名誉なこと。
そして大きくなったら村をあげて盛大な祭りを執り行い、子熊を神々の国へ送り返す。
この熊送りの儀礼を通じて神々にこちらの世界が楽しい場所だと伝え、カムイの再来訪を祈る。
広辞苑にも載っている。古事記には載っていない。いいね?

  • シサ
「クトゥラ シサ オハウ オ シ オマレ ワ エ」(アシパ)
アイヌ語で「和人」を意味する。つまりは日本人である。
日本人は汁物にウンコを入れて食べるとか偏見まみれ。

  • ストゥ(制裁棒)
「ヤダなにその変な棒!」(杉元)
悪事を行った者を叩いて成敗するための棒。
家によって様々な形状がある。
乱用は許されない。乱用は許されていない。

  • チャ
「ばあああああッ!!」(杉元)
「ばああああああ」(白石)
トドマツの葉先。栄養があり、山での疲労回復に用いる。
枝ごと採って火で炙り、白湯に入れて飲んでも良し。
生で噛むには春先の新芽が適している。
ちなみに真冬のフチャは松脂臭くて物凄く苦い。

  • オソマ
「食べていいうんこなんかねーし!!」(杉元)
うんこのこと。味噌は決してオソマではない。
上記のオソマちゃんが女の子なのにうんこ呼ばわりされているのはアイヌの風習ゆえ。
小児に病魔が近寄らないよう、わざと汚い名前で呼んでいるのである。
ちなみにアシパは「エカシオトンプイ(祖父の尻の穴)」、チカパシは「興奮した一物」すなわち勃起だった。
当wikiで紹介されている兄弟の熊狩りに登場する幼い兄弟の名前もこのような意図ということになる。

  • 味噌
「うわぁ、ウンコ食べて喜んでるよこの男」(アシパ)
日本人の心。豆に米や大麦などの麹と塩とを混ぜて作られる発酵調味料。
アシパにはオソマだと思われていた。何故かフチは平気。

  • ゴールデンカムイ
鶴見が提唱する、文字通り黄金に宿るカムイ。
北海道の地に昔から存在していながらアイヌの伝統には姿を現さない、人に禍を齎す悪神(ウェン・カムイ)の一柱。
醜悪かつ狂暴で、眩いほどに美しく、人を惑わし、触れる者全てに死を齎す、黄金色に輝くカムイ。

アシパごはん

アシパが提供するアイヌ料理。

  • チタタ
「出ましたチタタプ!!」(杉元)
「我々が(チ)刻む(タタ)もの(プ)」の意で、肉や内臓を叩いて刻んで挽肉状にしたもの。繊維を巻き込まないよう、まな板ではなく切り株の断面を使う。
リスやウサギを丸ごとチタタにしたものや、鹿の気管のチタタ・セウリなど。
本来は生のまま食べるのがアイヌ流だが、お上品な和人の杉元が食べやすいよう野菜やキノコと一緒に肉団子のつみれ汁にして出されることが多い。でも時には普通に生でも食べる。
アシパはチタタだけでなく脳みそや目玉をそのまま食べさせようとするので、それに付き合っていた杉元も何だかんだで生肉に慣れてきてしまった。
作中では「チタタプ」と連呼しながら刻むのがお馴染みになっているが、実はこれはアシリパ独自の作り方のよう。
北海道で野生生物を生食と聞くと現代人はエキノコックスを想像するが当時の北海道にはエキノコックスは進出していない。
アニサキスやサナダムシや他の有害細菌自体はあるので生で食っても平気とは言わないが。

  • オハウ
「汁物」の意。
各種チタタやカワウソの肉を入れたり、カジカで出汁を取ったりする。
杉元から見れば日本人好みの鍋物によく似ており、度々味噌を投入してアシパをドン引かせる。
当のアシパも馬肉の桜鍋で味噌の美味しさに陥落したが、相変わらず味噌のことをオソマと呼んでいる。

  • カワウソの頭の丸ごと煮
「あ……」「は……」「あ……」「は……」「あ……」(全て杉元)
カワウソの頭を煮込んだ料理は非常に美味とされ、頻繁に食べられていた。
皮を剥がされたカワウソの顔面とご対面してフェイス・トゥ・フェイス。


ニヘイゴハン

二瓶が提供するジビエ料理。

  • 熊の心臓焼きましたッ
うまい!! 噛めば噛むほど血の味がするッ。
新鮮な心臓は猟師だけの特権だな谷垣よ!!

  • 熊の血の腸詰
小腸を裏返し、雪で洗い、熊の腹腔に溜まってプルプルになった血の塊を詰める。
血の味がしてうまいッ!! 精がつくから気をつけろ?
屋根をブチ破って小屋を破壊するなよ? 勃起!! ぬははは。

ツルミごはん

  • 和田大尉の指
吐き出した。不味かったらしい。

  • 杉元の寿命のロウソク
ボリボリしそこねた。串団子にするところまではうまく行ったのに。



扉絵

不定期に扉絵で展開されるシリーズ。一つは登場人物の所持品を解説したもの。
もう一つはアシパと野生動物の微笑ましい触れ合いや互いに生命を託し合った相棒のようなナウシカっぽいというかジブリ臭のする関係が描かれたツーショット。
しかしながら後者が出現する話はその野生動物を調理し胃袋に収める食事回である。
容赦なく食べます。一片も残さず血となり肉になります。表紙詐欺です。

とある回では獲物をかける罠に別行動していた白石がひっかかるオチがありました。
それで次の回の扉絵はこのアシパさんと白石でそんな感じの扉絵でした。
白石もまた美味しくいただかれてしまうのか!! 嘘嘘。人間食べ(殺し)たら地獄行き。
「白石は食べられないので刺青人皮を剥がして~~」とかアシパさん冗談言ったけれどね。




「おいwiki籠りぃプラグインずれてるぞちゃんと直せッ」

「もう疲れちゃった」

「なにぃ? お前ッ」

「事前に調べる作品への理解」
「内容の面白さ 演出の味」
「全て項目の糧となる情報だ」
「ちゃんと追記してちゃんと修正しろ!!」
「それが私達にできるアニヲタwiki(仮)への最大の貢献だ」

「もしまたwikiが消えちまっても」
「めいでんだけはwikiを忘れないでいてくれるかい?」

「ああ? wikiが消えたらあ?」

「ヒンッ!! 消えるなアニヲタwiki!!」

「ヒンッ!!」

「アニヲタは永遠だッ!!」

「永遠だってさ。めいでんちゃん、ほらほら項目読みな」

「ふむふむふむふむ」

「追記・修正! よろしくーうッ」

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最終更新:2024年04月08日 11:09

*1 現代の価値で8億円相当

*2 「新年」「未来」の意。アイヌ語の表記に倣い、「リ」は小文字。日本語の文法にない他の小文字表記も同様である

*3 要するに野原家の飼い犬と同じ名前である。

*4 齢40を過ぎてなお腕が水平になる位置まで米俵を持ち上げたとか

*5 ちなみに、脱獄の理由はシンプルに「収監された刑務所の中で自分だけ人間扱いしてもらえなかったから」であり、最後に収監された刑務所ではちゃんと一般囚としての扱いをされたこともあって、脱走自体を放棄、模範囚として刑を終えている。

*6 自身曰く「汁」がよく垂れる。そのたびに布などで拭いている。

*7 新撰組の案では北海道に移民を迎えることが必要であり、大日本帝国軍人である鶴見としては危険分子になり得る者を増やすことは受け入れ難い

*8 同じ苗字であることがきっかけで知り合っただけで、血縁関係は無い

*9 鯉登に耳打ちされたことを鶴見に口頭で伝えている。鯉登は「鶴見に対して標準語が話せなくなる」のであり、月島への耳打ちの際には標準語で話せている可能性が高く、実際は通訳と言ってよいかは微妙なところである

*10 後述の和田を殺害した男

*11 後に鶴見中尉が潜入失敗のおしおきとしてホクロに落書きして棒人間にした所、それが大変気にいったらしく刺青にした

*12 公式ファンブックより

*13 この件は「鶴見の乗ってきた馬に蹴り殺された」という事にされた

*14 現在でいう准尉の立ち位置で、鯉登少尉と月島軍曹の間に位置する。

*15 これは他人が使っていた物を身に着けると持ち主の強さを取り込めるという菊田の考えによるもの、いわばゲン担ぎ

*16 意味は煮立たせる

*17 祖父自身がヒグマに殺されたらしいので最初から知らなかったとも思われる

*18 本来の意味は、身体の悪い部位と同じ箇所を食べると良いと考える民間伝承。肝臓が悪い時に豚のレバーを食べるなど。

*19 キラウシはこれを姉畑の行いをカムイが許さなかったと解釈している、十中八九そうだと思われる

*20 一応、土方らから正式に雇われていることが説明されている

*21 ただしこの行為はヒグマの嗅覚を誤魔化すカモフラージュとして有効な手段でもある。当然ながら興奮しながら糞へとダイブし、喜びながら全身に塗りたくる必要は全くない

*22 人喰いのヒグマ

*23 正確には「大」ではなく「犬」なのだが、点が下にずれているため「大悪」と読める

*24 及び最後の刺青囚人の最期がこんなんでがっかりした読者の顔

*25 ちなみに精子は目に入ると結膜炎を始めとした様々な感染症を引き起こす危険性がある

*26 何て言っているのかは単行本第二巻末参照

*27 終盤ほとんど行動を共にしていた筈のキラウシですらその存在を知らなかった

*28 おそらく作中で一番驚いている