古のカン(MtG)

登録日:2015/06/15 Sun 04:01:16
更新日:2024/03/13 Wed 10:09:26
所要時間:約 11 分で読めます








※この項目はMagic the Gatheringのタルキールブロックにおける重大なネタバレを含みます







あの燃え立つ門。

彼は扉を開けた。

その中に歩み入った。

そしてそれは彼を過去へと導いた。彼をここへと導いた。

ここ、古のタルキールへ。龍たちのタルキールへ






古のカンとは、タルキール覇王譚から1280年前(運命再編の時代)に『タルキール/Tarkir』次元に存在する5つの氏族を率いていた指導者たちのことである(現代のカンについてはこちらを参照)。この時代のカンは、氏族同士では争わず、龍との生存競争のリーダーとして戦っている。
カード的には、現代のカンが3色だったのに対し、古のカンはカードそのものは単色+能力コストは残り2色の混成マナ・シンボルをコストに含む、と言う違いがある。
これは、「2色氏族中心のタルキール龍紀伝と組み合わせやすい」かつ「3色氏族デッキの統率者としても使用できる」ようにする目的で設定されたもの。


Daghatar the Adamant / 不屈のダガタール (3)()
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
警戒
不屈のダガタールは、+1/+1カウンターが4個置かれた状態で戦場に出る。
(1)(黒/()(黒/():クリーチャー1体と、2体目のクリーチャー1体を対象とする。その前者の上に置かれている+1/+1カウンターを1個、その後者の上に移動する。
0/0

運命再編の時代におけるアブザン氏族のカン。
4マナで実質警戒持ち4/4と非常に良好なマナレシオである。
混成マナ・シンボルをコストに含む能力はクリーチャーに載せられている+1/+1カウンターを移し替える能力。死亡する自軍クリーチャーに置かれているカウンターを他の自軍クリーチャーに移したり、相手クリーチャーの+1/+1カウンターを奪えたり結構器用。このカード自体に+1/+1カウンターが載っているので腐りづらいのもポイント。墓地にいる間は0/0として扱うのも見逃せない。ただし、警戒持ちのため覇王譚時代のカンである《先頭に立つもの、アナフェンザ》との相性はあまりよくない。
登場時のスタンダードでは硬化した鱗とのシナジー等が期待できるものの、同マナ域に優秀なサイやドラゴンが居ることもあり結果は残せていない。

ストーリー上では何と真っ先に龍に降伏してしまった。不屈とは一体。
しかしこれは氏族を生かすための最善の策を模索した末での彼なりの苦渋の決断であり、決して自分勝手な行動ではない。
実際、ほとんどのアブザン氏族は彼と共に降服の道を選んでいる。

一部、彼のやり方に反対した連中はレイハンという女性将軍を「アブザンのカン」として抵抗勢力を築くも、後述するカンの会談の場において彼女は他のカンと共闘するもその戦いで死亡、抵抗勢力の滅亡は決定的となった。

レイハンはタルキールブロックではカード化されなかったが、統率者2016でカード化された。

Reyhan, Last of the Abzan / 最後のアブザン、レイハン (1)(黒)()
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
最後のアブザン、レイハンは+1/+1カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。
あなたがコントロールするクリーチャーが1体死亡するか統率領域に置かれるたび、それの上に+1/+1カウンターが1個以上置かれていた場合、クリーチャー1体を対象とする。あなたはそれの上に+1/+1カウンターを同じ個数置いてもよい。
共闘(両方が共闘を持つなら、あなたは2体の統率者を使用できる。)
0/0

死亡しても+1/+1カウンターを他のクリーチャーに引き継げる能力を持つ。+1/+1カウンターを多用するデッキならば彼女の能力を最大限に生かせるだろう。
ダガタールとは能力の役割がある程度共通しているため相性はいまいちだが、ダガタールと違い覇王譚時代のカンである先頭に立つもの、アナフェンザとの相性は抜群。
共闘を持つ点はストーリーを知っていると泣ける。


Shu Yun, the Silent Tempest / 沈黙の大嵐、シュー・ユン (2)()
伝説のクリーチャー — 人間(Human) モンク(Monk)
果敢(あなたがクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、ターン終了時まで、このクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。)
あなたがクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、クリーチャー1体を対象とする。あなたは()()(/)を支払ってもよい。そうしたなら、ターン終了時までそれは二段攻撃を得る。
3/2

運命再編の時代におけるジェスカイ氏族のカン。
果敢とクリーチャー以外の呪文を唱える度にクリーチャー1体に二段攻撃を付与する能力を持つ。
青のクリーチャーとは思えない非常に攻撃的なクリーチャー。
スタンダード環境内では《英雄の刃》を装備して《タイタンの力》を唱えればあっという間に20点のライフを削り取ってしまう。モダン以下なら《ひずみの一撃》とのコンボが凶悪。こちらもひずみの一撃が反復(手札から唱えた場合、追放することでマナコストを支払わずに次のターンに唱えることが出来る能力)持ちなので、返しのターンまでにシュー・ユンが生き残ることが出来れば一瞬で相手のライフを0にできる(このコンボを危惧してひずみの一撃の再録が見送られるほどである)。

このように非常に強力な能力を持つが、このカード登場後のスタンダードにおける青ではコントロール系デッキが活躍しているためあまり見かけない(一応青白英雄的で採用されることはあるらしい)。上記のひずみの一撃とのコンボもあって、モダン以下の環境で注目を浴びたが、こちらもまだ実戦レベルのデッキは登場していない。

ストーリー上ではダガタールの降伏に衝撃を受け、5氏族によるカンの会談を開催して龍との対決の打開を試みた。
しかし会談の場を(誰かさんのせいで)龍に襲撃されたことによりその目論見は失敗。
龍にカンが敗れることが決定的となったことでカンの歴史が龍に葬られることを悟り、歴史を書物に封印する。
そして龍王オジュタイと交渉を行い、龍殺しの戦士全てと自分の命と引き換えに氏族の助命を願い、了承したオジュタイの氷のブレスによって死亡した。
自身を含む戦士達の命と名誉、そしてジェスカイという氏族の歴史全てと引き換えに、彼は氏族の皆の命を守ったのである。
……まさかジェスカイ道を乗っ取ったオジュタイ自身も1280年を経てジェスカイのカンフーに染まりきってしまうとは、彼も想像できなかっただろう。


Tasigur, the Golden Fang / 黄金牙、タシグル (5)(黒)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) シャーマン(Shaman)
探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、(1)を支払う。)
(2)(/)(/):あなたのライブラリーの一番上から2枚のカードをあなたの墓地に置く。その後、対戦相手1人が選んだあなたの墓地にある土地でないカード1枚を、あなたの手札に戻す。
4/5

運命再編の時代におけるスゥルタイ氏族のカン。
探査と墓地肥やし+相手が選択した墓地のカードをサルベージする能力を持つ。
見た目のマナレシオは6マナ4/5と並だが探査でマナコストを軽減することが出来る。
このカードが出たスタンダードの環境では《サテュロスの道探し》や未来のカンである《血の暴君、シディシ》など墓地肥やしが充実しており、ほとんどの場合で実質1マナ4/5である。
墓地のカードをサルベージする効果は相手に選択させるため一見弱そうに見えるが、このカードには上述の通り探査が備わっているため、相手の選択肢を限定できる。スタンダード環境内では占術土地が存在するため墓地に落ちるカードもある程度制御できる。

このように非常に優秀なマナレシオに加えて、それを実現している探査がサルベージ効果とよく噛み合っているため強力なカードとなっている。
スタンダードではアブザンミッドレンジやシディシウィップを初めとした黒を含む多くのデッキで活躍している。モダン以下の環境でも墓地肥やしとの相性の良さからドレッジ系デッキで採用され、結果を残している。探査や4/5というP/Tがかのタルモゴイフのソフトメタになっているのも採用される理由だとか(タルモのP/Tは4/5になる場合が多いため)。

このようにカードでは大活躍しているタシグルだがストーリーではネタまみれ。
ひとことで言うと「軟弱なバカ殿」
  • 初登場では茶色の斑点が気に食わなかったのかバナナを潰して召し使いに投げつけるという珍妙な行動を披露。

  • 「私は黄金牙だぞ?」

  • 毒殺未遂事件発生後、明らかに信頼度0の悪魔の話を信じて部下を犯人扱いする。

  • その部下が犯人でないとわかったにもかかわらず、逆ギレして部下を処刑。

  • 悪魔「あ、毒殺未遂の犯人、実は俺(笑)」

  • 悪魔にそっぽを向かれたことで、ナーガの屍術なしでは部下のアンデッドたちを制御できないことが発覚。

  • 氏族の未来を左右するカンの会談に「護衛は最小限に」と言われたにもかかわらず十数人もの護衛を引き連れて登場

  • 実はその会談の情報を自分だけが助かるためだけに龍たちにリークしてた(他の氏族を売った)

  • そして龍が襲撃すると、真っ先に逃げ出すというヘタレっぷり。

  • しかし結局シルムガルに捕まってしまう。

  • この期に及んで自分こそが玉座を約束された人物であるとシルムガルに主張するが、黄金の鎖に繋がれてシルムガルお気に入りのネックレスにされてしまう(確かにお前は「最高の地位(ネックレス)」を約束された者であった(ゲス顔))

  • 1280年後もシルムガルのお気に入りの座は変わらず、ミイラとなって彼の首にぶら下がっている。

かくしてついたあだ名が「黄金バナナ」「ネックレス」である。
海外では上述にちなんでタシグルネックレスを自作したファンもいるんだとか。
このようにストーリーでは情けないの一言に尽きるタシグルだが、歴史が改変されなければスゥルタイの歴史の中でも屈指の強大な軍勢を率いてたらしい。
一人のドラゴンヤンデレフェチの手によって歴史に名を残すほどの自分の功績がなかったことにされたのを彼が知る由もないのは幸か不幸か……。


Yasova Dragonclaw / 龍爪のヤソヴァ (2)()
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
トランプル
あなたのターンの戦闘の開始時に、龍爪のヤソヴァよりもパワーの小さい、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。あなたは(1)(/)(/)を支払ってもよい。そうしたなら、ターン終了時までそれのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時までそれは速攻を得る。
4/2

運命再編の時代におけるティムール氏族のカン。
トランプルと戦闘開始時に自身よりもパワーが小さい相手クリーチャーのコントロールをターン終了時まで奪う能力を持つ。
3マナにして4/2トランプルと非常に良好なマナレシオを持つ。
混成マナ・シンボルをコストに含む能力も素でパワー3以下と広範囲のクリーチャーを奪うことが出来る。
ただし、現在のスタンダードで活躍しているクリーチャーの多くは軒並みパワー4以上だったり、疾駆持ちだったりしてコントロールを奪えない場合が多いため過信は禁物。
登場当初はナヤアグロなどで活躍していたが、タルキール龍紀伝発売後は上述のパワー4以上のクリーチャーや疾駆持ちクリーチャーが活躍し始めたため姿を消してしまった。
未来のカン同様、ティムールのカンはどうも環境と噛み合わないらしい……。

ストーリーではサルカンが過去のタルキールに降り立った際に初めて出会った人物の一人。
サルカンは龍と戦って勝利する彼女に深い感銘を受けるが、龍を失った結果、生きるためでなく私欲のために戦うようになった氏族を見てきたサルカンと、今実際に龍に苦しめられているヤソヴァでは最後まで考えが交わることはなかった。
偉大なる龍」が見せた「ウギンを殺せば龍の大嵐は止み、タルキールに平和が訪れる」という都合のいい未来の幻視を鵜呑みにしてしまい、ウギンが敗北する一因を作ってしまうという大ポカをやらかしてしまう(結局ウギンはサルカンによって一命をとりとめたが)。
公式では明言されていないものの、彼女は消滅した歴史における「龍を失い戦乱がはびこるタルキール」を生み出した戦犯だったのかもしれない・・・
もっとも、そのことは(歴史が改変された後の)彼女自身も理解しているようで、会談の場には護衛なしで登場し、他のカンから断罪を受ける覚悟で会談に臨んでいる。

ちなみにその名前から、プロプレイヤーヤソこと八十岡翔太がヤソヴァデッキを組むことを周囲から期待されまくり、最終的にヤソヴァコントロールを組んで公式サイトにレシピを上げていた。
曰くたまたま組んだデッキに最終的にヤソヴァが入っただけとのことだが……。
その後、タルキール・ブロックにおいて黒青コントロールが隆盛し黒青使い筆頭のヤソも黒青コンでプロツアーに参戦。
結果として残念ながら彼がプロツアーでヤソヴァデッキを使うことはなかった。


Alesha, Who Smiles at Death / 死に微笑むもの、アリーシャ (2)()
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
先制攻撃
死に微笑むもの、アリーシャが攻撃するたび、あなたの墓地にあるパワーが2以下のクリーチャー・カード1枚を対象とする。あなたは(/黒)(/黒)を支払ってもよい。そうしたなら、それをタップ状態で攻撃している状態で戦場に戻す。
3/2

運命再編の時代におけるマルドゥ氏族のカン。
先制攻撃と攻撃時に自分の墓地のパワー2以下のクリーチャーを攻撃した状態でリアニメイトする能力を持つ。
黒赤のアグロ系デッキでは軽量クリーチャーが使い捨てにされる場合が多いためリアニ対象には事欠かない。
タフネスが2のため毎ターン蘇生効果を使うには少々貧弱に思えるが、このカードは先制攻撃を内蔵しているため戦闘にはある程度強い。
スタンダードではマルドゥアグロやラクドスアグロでの採用が真っ先に考えられるが、《女王スズメバチ》や《生ける伝承》とのコンボも注目され始めている。特に生ける伝承とのコンボでは高打点のクリーチャーで殴りつつ、黒い精神隷属器こと《最悪の恐怖》や《時間への侵入》を唱えることが出来るため、決まればそのまま勝負を終わらせることが出来る。

部下のことを思いやれたり、シュー・ユン主催の会談に真っ先に駆けつけたり、その際「護衛は最小限に」との指示にちゃんと最小限の二人で来たり、
龍の襲撃で会談が終了した後もこの先氏族全体が生き残るためにはどうすればいいかを考えたりと弱冠19歳ながら上に立つ者の資質は十分備えている。
…聞いてますか兜砕きさん?

なお、肉体的には男性だが、性自認は女性。公式記事での三人称にも常に彼女(she)が使われている。

また、彼女の部下「翼番いのジェイガン」も人気が高い。
龍との戦いに明け暮れるマルドゥの中でも異端の男で、マルドゥで黒でオークでありながら「自分の戦功より仲間の命を優先する(マルドゥでは功績を主張しなければ名前も得られない)」「戦闘能力自体は龍を単独で倒せるほど高い」「アリーシャに正面から意見を述べられる程度には胆力もある」「そんな彼を仲間の皆が強者と認めている」という強さも人徳も兼ね備えたまさにパーフェクトオーク。だから聞いてますか兜砕きさん?
カードとしてはアンコモンの非伝説クリーチャー「戦いの喧嘩屋」が彼だとされている。
赤または白の味方がいればパワーアップし、アリーシャの蘇生効果にも対応していると実に彼らしい優秀なカード。



「アニヲタwikiの未来は書かれざるもの」

 彼女は言った。

「追記・修正しよう、共に。いつの日か、一つずつ」

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最終更新:2024年03月13日 10:09