英国面

作成日:2015/06/02 Tue 22:04:15
更新日:2024/04/15 Mon 15:37:48
所要時間:約 25 分で読めます





「第三善を戦場に送れ。次善は間に合わない。最善は遂に完成しない」
――イギリスの物理学者・レーダー開発者
ワトソン・ワッソ



概要

英国面(British Side)とは、イギリス特有の変態的表現方法、或いは傾向の一つである。
元々は某所の軍板で生まれた言葉であり、イギリス製兵器の珍妙さを一言で表す言葉として生まれたものである。
その珍妙さも多岐に渡り、
  • そんな発想普通しねーよ!
  • これって問題ありまくりじゃないか?
  • その見た目どうにかならんのか?
  • どうしてここまで凄まじいちゃぶ台返しをするんだ
  • まともなもん作ったと思ったら使い方が変だった、何を言ってるのかわからないと思うが(ry
…など、様々である。
ただし、そんな英国のキテレツな発想が世界をガチで変える例もあったりするから侮れない。
日本の言葉にナントカと天才は紙一重、って言葉があるしね。

主に「実用性・性能を求められる極限環境」である兵器に出やすいが、民生品や文化でも英国面が炸裂することがある。

こんなキテレツな発想すんのは英国しかねえよ、と言いたいところだが、
海外にも紅茶とマーマイトに毒されたような発想する奴らがたまーに出るから油断できない。
良く上がるのがナチスドイツであろう。だが彼らのそれは似て非なるモノである。
相違点は、ある課題について「イギリスは変態な発想で解決する、ドイツは変態な技術で解決する」ところ。
共通点は、「そうやれば解決するのはわかってるが、普通やらねぇよ」を本気でやらかしてしまうところ。

ちなみに英語圏にもほぼ同等の意味の「British Sense」/「British Humor」という言葉があるそうで。
だが明らかにユーモアで済まされないようなぶっ飛んだものも少なくないがまあ気にしないでおこう。

根底にあるもの

飽くまで素人の編集者の独断と偏見であるという前置きを付け加えたうえで書かせてもらうと、
いわゆる英国面が発生する根底には「特定の目的に文字通り全ステータスをぶち込む」という点があるのではないかと思う。
「英国製兵器は一点特化、特定の目的に強い」と度々評されることがあるが、
これは言い換えれば「ある目的に特化するという思想で設計開発されている」ということでもある。
例を挙げるならば、
  • トールボーイ・グランドスラム→「一発で目標物を破壊する」
  • サラブレッド→「競馬で速く走って勝つ」
  • ピールP50→「街中での下駄代わりのクルマ」
  • ハンドレページ・ヴィクター→「高高度からの核攻撃」
  • ロールス・ロイス RB162→「リフトエンジン用小型ジェットエンジン」
  • リライアント・ロビン→「バイク扱いで維持費の安いクルマ」
  • ドレッドノート→「艦隊決戦」
というように、明らかに特定の目的に全ステ振ったような設計思想のものが目立つ。
それも他国であれば「バランスや扱いやすさを考慮して、これ以上はやめておこう」と躊躇するポイントを通り越してしまう。
その結果、奇妙な外見や或いは極端で癖の強い特性が発現する…というのが英国面の正体であろう。
但しその分、目的にピッタリ嵌れば下記のように全世界レベルで革新をもたらしてしまう爆発力を秘めている。

英国面の例

以下、紳士の所業の数々を挙げる。

発想の時点でアレなやつ

英国的な発想で生まれた紳士のアイテムの数々。
航空母艦・ライフル銃・VTOL機などその分野の先駆けとなった、あるいは新ジャンルを確立してしまったものもあるが、
あまりにブッ飛んでいて時代の徒花止まりのものも幾つもある。


何らかの問題を抱えているもの

発想としては光るものがある…が、何らかの洒落にならない欠陥を抱えてたり運用に難があったりそもそも実用化自体が叶わなかった者達。


個性的な外観のもの

英国紳士的なセンスのデザインの持ち主たち。
これらがかっこ良く見えてきたらあなたも立派な英国紳士。


どうしてそんな使い方をするんだ

比較的大人しめのものを作っても、使い方でやらかす事もある。
最後の最後まで気は抜くな。


ダイナミック仕様変更

初号機とは完全に別物になった?
仕様変更の内容が予想の斜め上すぎる?
だがそれがいい。


必要なときに間に合わなかったもの

イギリスだって毎回変態なものばっかり作っているわけじゃない。
ちゃんと性能もデザインも使い勝手も優れたものも生み出している。
でも出てくるのが遅すぎる?アーアーキコエナーイ。


その他

英国的なセンスが炸裂しているもの。


歩く英国面なお方たち

英国面という概念を擬人化したかのような、強烈な個性あふれる愉快なお方たち。


英国面で世界を変えてしまった

変態ということは、裏を返せば「誰も思いつかなかった新しい方法をとった」ということでもある。


イギリスじゃないのに英国面







関連項目

  • 変態兵器 - 英国面…だけではなく、いろんな意味で変態と呼ぶしかない様々な実例。
  • 米国面 - かつての植民地の場合。英国面とは対照的に「(比較的)まっとうな方向からアプローチするが、その一方で合理性や量産性などを優先して雑…もとい簡略化を大幅に行う、資源と財力に物を言わせる力押し」という点が英国面とはまた違った魅力(?)。



「撃ち方やめ!」
「お茶と訂正・追記の時間だ!」

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最終更新:2024年04月15日 15:37

*1 ただ、一応検討レベルであれば日本やアメリカもほぼ同一コンセプトの爆弾(砲弾?)を言い出してはいるのだが、「実験しなくても結果は明らか」として試作まで進めなかった。逆に何で実験まで漕ぎつけたんだ英国。

*2 1t以上で大型爆弾と言われる

*3 一個完成させるのに1か月かかる、特注の爆撃機が必要、高コストすぎるため作戦中止で投下しなかったときはそのまま持って帰る(普通の爆弾は適当なところを見つけて捨てて帰る)為無駄な燃費がかかるなど

*4 普通は「発信元をGPS座標として記憶し、レーダー波が止まったらとりあえずそこへ飛ぶ」「妨害電波を受けたらその受信源へ飛んで先に妨害を潰す」形。例えばアメリカのAGM-88 HARMなど

*5 黒部峡谷鉄道とか三岐鉄道北勢線とか

*6 ただしこれについては反証となりそうな文献もある

*7 空軍は初飛行した1951年に採用と配備を決めていたが、よりにもよってその翌年に航空ショーで展示飛行中に空中分解して墜落、乗員や地上の人々含め29名が死亡・60名が負傷という大惨事を起こしてしまった(ファーンボロー航空ショー墜落事故)。原因は機体前縁部の設計不良であり、この事故を受けて空軍は採用をキャンセル、ヴィクセンの競合機で採用競争に敗れたグロスター・ジャベリンを採用した。

*8 類似の経緯を辿った英軍機としてホーカー・シーフューリーなどが存在する。こちらもヴィクセン同様空軍だけがキャンセルして海軍向けだけになってしまった。

*9 『0080ポケ戦』ジム寒冷地仕様のマシンガン。元々OVA三部作は実在ミリタリモチーフが結構多い

*10 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイアフラッシュ、2016年9月22日閲覧

*11 ただしF1レギュレーションは「バランスブレイカーの抑制」「安全性確保」の2つの観点から割としょっちゅう改定されているのだが

*12 あのB-29でも最大搭載量は9000㎏弱

*13 もちろん英国の車検基準。海外ではおそらく通らない国も多いと思われる

*14 例えば黎明期のHONDAの参戦と3年目の優勝。その後レース・一般販売共に大メーカーに成長するのはご存知の通り

*15 当然だが第二次世界大戦におけるロングボウでの戦果は彼のものが唯一である

*16 ちなみに本邦からは2005年にHONDAが初の日本から選出。のちにトヨタ自動車とMazdaも経験

*17 WW2の戦車の場合、多くは何がしら犠牲になった部分があったり、「バランスは良いがあくまで重戦車であり、運用性は悪い代物」だったりした

*18 1回目の提出した次の返事で「いくらなんでも屋根のある建築物扱い以外はできない」と言われた、とされることもある

*19 現在でも日本国内一部の保存機がこれで動いている。ただ当時はこの用途よりも「火気厳禁の工場における貨物・貨車の受け渡し」の需要が大きかった

*20 本線は当然、工場内線でも準備や操作がはるかに簡単なバッテリー式電気機関車が広まった

*21 砲撃するとコマみたいに高速回転し、被弾するまで止まらなくなる

*22 フィアット社のSUV。Aピラー下のハイビーム用ライトやDピラーの丸角、変な形のバックライトなど珍妙なデザインで「歴史上最も醜い車」に選ばれた。しかも非力で重いのでMT専用という弱点まで抱えている