金田一少年の事件簿 永久保存版

登録日:2015/06/01 (月) 15:34:31
更新日:2022/07/20 Wed 08:04:47
所要時間:約 12 分で読めます




「金田一少年の事件簿 永久保存版」は、1996年9月21日に放送された金田一少年の事件簿のスペシャルドラマ。
堂本剛版(第1期・第2期)の総集編を兼ねつつ、オリジナルストーリーも展開されている。
1回放送されたのみで、再放送やソフト化はなされていない。



【あらすじ】
9月18日夜8時。
「Dear 金田一一様
はじめちゃんにずっと言いたくて言えなかったことがあります。
今夜、二人きりで会いたい。
夜8時、この間花火をやった海辺で待っていてください。
絶対一人で来て。 美雪」
との手紙を受け取った一は、一人で勝又海岸の岩場に来ていた。

ワクワクしながら待つ一だったが、
その後ろから黒いコートのような服装の人物が近付く。その左手にはゴルフクラブを持っている。

一は気配を感じて後ろを振り向くが、そこを目がけて黒服の人物はクラブで一の頭部を一撃

一は倒れ、頭部から大量出血を起こし、少しして動かなくなる。
黒服の人物はクラブで一をつついて反応を見た後、そのまま逃亡し、途中でクラブを海へ投げ捨てた。


金田一はじめ…死亡




そして後日。
金田一一の葬儀が警視庁特設スタジオで営まれる。
美雪はあまりの衝撃に、葬儀会場でも茫然自失としている。

これまでの事件関係者も続々記帳していく。
速水玲香を筆頭に、最後には仮面をかぶり黒装束の「放課後の魔術師」まで。

葬儀委員長を務める剣持は挨拶の中で、
  • 一の死因は右側頭部を殴られたことによる頭部挫傷
  • 凶器は既に発見されている
  • 死亡推定時刻が9月18日夜8時頃
  • 一はかねてから何者かによる脅迫を受けており、それはこれまでの事件関係者の可能性が高い
  • すなわち、犯人が葬儀会場に集まった人物の中にいる可能性がある
などのことを説明。

その上で、
  • 葬儀の間、参列者は警察が許可した場合を除き途中退席をしない
  • 葬儀の間に起きる全ての出来事、発言をカメラで記録する
ことを参列者にお願いした。


その後、まずは一の人生を振り返る再現映像が流れ始める。

じっちゃんこと金田一耕助は初孫にべったり。
一が2歳の時、耕助は推理小説を買って与えるが、一はそれよりも女性グラビアの雑誌に興味津々。

一が5歳の頃には、耕助の事件捜査について回り、自然と推理の面白さを会得していった。
しかしこの頃、金田一耕助、突然の渡米。

寂しさでふさぎ込む一だったが、それを紛らわせてくれたのが近所に住む美雪であった。
そんなある日起きたのが「アイスクリーム伝説盗み食い事件」。
ある夏の日、美雪の家のアイスクリームが何者かに盗み食いされた。
美雪の母はそれを美雪の仕業と思い、美雪の尻を叩いてお仕置きするが、一は犯人は美雪ではないと断言。

俺が謎を解いてみせる!じっちゃんの名にかけて!

この時に名台詞が完成した。
一が冷蔵庫周辺を現場検証したところ、ゴミ箱からアイスの当たり棒が発見される。これにより「謎は全て解けた」。
一は、その日美雪の家に遊びに来ていた3人を集める。
アイスが大好きなワタルくん、ガキ大将のキンタくん、キンタくんにメガネを壊されたケンちゃん。
一は、美雪が犯人ならアイスの当たりを引き換えに行くはずで、当たり棒を捨てるのはありえないと指摘。
当たり棒を捨てたのはそれがよく見えなかったから、すなわちメガネを壊されたケンちゃんが犯人であった。

この一件により一と美雪の仲は深まり、永遠の愛を誓い合うまでになった。
しかし、一は父の転勤により引越し、離ればなれとなった。

小学生となった一は、じっちゃん譲りのマジック等でクラスの人気者となっていた。
また、小学校内で起こった数々の怪事件も解決していった。
  • 下駄箱伝説盗難事件
  • 犬神教頭落書き事件
  • 悪魔の理科室のメロディー
  • 2時限目の魔術師
  • 幽霊生徒登校事件
  • 音楽室のベートーベン事件

ただし、同級生の証言では、一は勉強に身が入らず、浮いていたともされる。

そして高校生になった一は、再び父の都合により東京に戻ることとなり、不動高校へ転入する。
そこで美雪と再会し、その後数々の事件に巻き込まれていくことになる。

※原作では、一の引っ越し云々の設定は存在しない。あくまでもここだけのオリジナル設定。

(それ以後は各事件の総集編および、各関係者の弔辞。事件に登場した怪人を集めた「怪人大図鑑」なる映像も流される)



【以下、過去の事件の犯人やストーリーについてネタバレする部分もあるのでご注意ください】


登場人物

【レギュラー陣】

演:堂本剛
美雪を装った犯人の手紙で呼び出され、頭部を殴打され死亡。

演:ともさかりえ
一の死のショックにより、茫然自失状態。
弔辞の際にも、泣き崩れて言葉が出せず、何も言わないまま壇上を後にした。

演:古尾谷雅人
葬儀委員長を殊勝に務める。
葬式中のトラブルにも冷静に対応。

演:池内万作
(原作・アニメに比べ評判の悪い)イヤミな警視。
「金田一に助けられた」という紹介を不満に思って、「一度も助けられたことなどない」と訂正。
「東大法学部卒業後、警視庁に入り、FBIで研修を受けた、今もFBIの要請で南方の島で極秘捜査に当たっている、
その為、金田一の事件の捜査には当たれない」と全然故人を偲ばない内容を述べた。
去り際に剣持警部にも「君一人の力で犯人が捕まえられるとは思えないがね」と捨て台詞を吐いた程。
ドラマ版の嫌味明智全開だったが、去り際に祭壇を振り向いた際には、どこか寂しげな表情を浮かべた。

  • 向井猛夫
演:立川政市
剣持の部下で、第1期・第2期のレギュラーの刑事。
明智警視の弔辞を「あれは弔辞じゃなくて自慢話じゃないですか」と突っ込んだ(もっともである)

演:原知宏
先に逝くなんて水臭い、ただ迎えには来ないで下さいと述べ、一の成仏を願った。お前が言うな

演:佐野瑞樹
自称・天才高校生推理作家(葬儀進行の紹介そのまま)。
いつも助けられてきた一に感謝し、今度は自分が今度の犯人を捕まえてやりたいと述べた。

演:中山エミリ
殊勝に涙をにじませながら、一への想いを告白。
父や兄を失った後も心の支えになってくれたことについて感謝の言葉を述べる。

その後、大門の弔辞を遮り、事件の日、一の現場近くで新曲のキャンペーンをやっており、
夜10時頃にドライブインに寄った際、葬儀参列者の何人かに会ったと証言。
「もしあの日会った中で名乗り出ない人がいたら、その人が犯人」と極論を述べる。

演:利重剛
事件の日、ドライブインで玲香と会った内の一人。
金田一に対してはあの時のように生き返って欲しいと願う。

  • 都築瑞穂
演:鈴木杏
いつきと共に参列。
「はじめお兄ちゃん、瑞穂をお嫁さんにしてくれるんじゃなかったの? 早く帰ってきて(ドラマ版「金田一少年の殺人」のラストで一が冗談めかして言っていたこと)」と涙ながらに述べた。

演:児島未散
葬儀会場に香典を持ってきており、会場内にこっそり紛れていることが途中で判明。

  • 鷹島友代
演:三浦理恵子
一らの元同級生かつ、墓場島殺人事件の犯人「亡霊兵士」。
裁判の結果等については不明。
一のおかげで、失いかけた人間の心を取り戻せたと感謝の言葉を述べた。

【その他】

  • 永井美奈子
演:永井美奈子
日本テレビアナウンサー(当時)。葬儀進行を務める。
突然のハプニングが起きようと常に冷静。

  • 雨宮良造
演:河原さぶ
「放課後の魔術師」の扮装で、その通り記帳していた人物。
学園七不思議殺人事件時の不動高校用務員。
その時に犯人を刺殺したため逮捕され、懲役8年の実刑判決を受けて服役していたが、
昨年の春に脱獄して行方不明となっていた。一の死を知り、最期の別れを告げるために参列したという。
結局逮捕され、外へ連れ出された。

  • 綾辻真理
演:黒沢あすか
雪夜叉伝説殺人事件の犯人「雪夜叉」。
4人を殺害した罪で無期懲役の判決を受け服役中。
ドラマでは殺害数は「5人」の筈だが、ミスかどうかは不明。
やけに判決が軽い気もするが、死刑囚にしてしまうと流石に外に連れ出せないと判断してのことだろうか。
殺人については深く反省していること、殺人など望んでいなかった・幸せになってほしかったという母の想いは一の言う通りだったと思うことを述べた。

  • 大門優作
演:湯江健幸(現・湯江タケユキ)
雪夜叉伝説殺人事件に登場した俳優。
弔辞を遮られ、玲香にドライブインの発言をされる。
事件当日、現場近くでロケがあり、ドライブインには帰りに寄った。
犯行時刻の8時頃は出番が無く、一人で買い物に行っていた。

  • 紅亜里沙
演:国生さゆり
悪魔組曲殺人事件の犯人「御堂秀一郎の亡霊」。
未だ裁判中で判決は出ていない。
獄中から「悪魔組曲」を発表し、話題になっているという。
一のおかげで、御堂秀一郎の愛を理解できたとして感謝の言葉を述べた。

  • 御堂優歌
演:松本恵(現・松本莉緒)
悪魔組曲殺人事件の登場人物。
「殺人者には必ず呪いが訪れるわ」の言葉と共に高笑い。
…本当に一の死を偲びに来たのかこの人?

  • 速水雄一郎
演:長谷川初範
タロット山荘殺人事件に登場した玲香の養父で故人
御堂優歌の高笑いの後、突然会場内の照明が乱れ、モニターに顔が映し出され、炎に焼かれながら映像出演
生前の行いのために地獄に落ち、業火に焼かれているため「熱い」らしい。
死後の世界からは地上で起こった全てを見渡すことができ、一を殴った犯人も知っているが、
死後の人間が地上の事件に関与するわけにはいかないため名前を言う事はできないらしい。
ただし、会場内にいる犯人に向けて「たとえ地上で罪を逃れられても、死後の世界では必ず罰を受ける」、
だから名乗り出ろと厳命。
自身の生前の罪については深く後悔している様子。
その後、「お父さん」と呼びかける玲香に対し、
「私はお前のお父さんなんかじゃない!ただの卑劣な犯罪者だ…」と言い残し、消えていった。

  • 滝下間太郎
演:河崎健男
タロット山荘殺人事件の人物。
一には別に感謝していないが、玲香に再び会えたことを喜び、一が恐らく即死だったことを「君らしい最期」とのみ言って去った。

  • 辻健二
演:竹下宏太郎
タロット山荘殺人事件の人物。
一の死を予知できなかったため、一の事件後にタロット占いはやめたという。
事件の無い世界は退屈だろうが、ゆっくり疲れを癒やしてほしいと一を偲んだ。

  • 和久田春彦
演:相島一之
怪盗紳士の殺人の人物。
一がいなければ殺人犯の汚名を着せられていたと述べる。
事件当日、ドライブインにいた一人。8時頃は現場から1時間以上離れた東山公園で待ち合わせをしていた。
その際、公園前の屋台では外人の集団がおでんを食べて大騒ぎしていたという。
結局待ち合わせの相手は来ず、退屈な時間を過ごしていた。

  • 小宮山吾郎
演:徳井優
怪盗紳士の殺人の人物。
一に対して、「短い人生ではあったが、祖父の名声を立派に超えられた」と評価。
今は蒲生家の執事を辞め、故郷の八戸で絵の勉強をしている。

  • 兵頭鳴実
演:篠倉伸子
異人館ホテル殺人事件の犯人「冥界の道化師」。
裁判の結果等については不明。
花蓮のため、償いの人生を歩んでいくと宣言。

  • 雪村剛三
演:河原崎建三
異人館ホテル殺人事件の人物。異人館ホテルオーナー。
ドライブインで玲香と会った一人。
事件当日は海岸沿いにオープンしたホテルの視察をしており、8時頃は東山公園付近で起きた事故の渋滞に巻き込まれ、
車の中でイライラしていた。
















【以下、事件の真相。ネタバレにご注意ください】

















そして出棺。
黒ずくめの人物4人が踊りながら登場。一の棺を火葬炉へ運び出す…









ちょっと待った!





棺から起き上がる一。そう、彼は死んでいなかった。
殴られて気を失ったのは事実だが、わずかに急所を外れていたため、しばらくして意識を取り戻した。
そこで剣持にのみ連絡し、二人で犯人を炙り出す罠として、この偽の葬式を仕組んだ。

葬式の撮影は実は記帳の時から行われていた。
それによると、記帳が右手だったのに、献花が左手だった人物が滝下、いつき、小宮山の3人。
しかしこれは、後ろから右側頭部を殴られた=犯人は右利きだと思い込んだことによるもので、
犯人だと疑われないために左利きのふりをしただけ。これは人間の自然な心理で、これだけでは犯人だと断定できない。

凶器は左利き用のクラブであった。だが、一が偶然振り返ったために右側頭部に当たってしまった。
剣持はその点を伏せ、右側頭部を殴られたとだけ言い、また凶器は発見されていると述べた。
凶器から犯人は左利きだと分かるため、実は右利きのふりをするのが正解であった。それを知るのは犯人だけ。

つまり、記帳は左だったのに献花は右でした人物。それはただ一人。





お前に僕の苦しみが分かるか~!
お前なんか死んでしまえばいいんだ!
死んでしまえ~!死ね!




  • 和久田春彦
一を殺害しようとした犯人。

記帳と献花が違う点は、ただ緊張しただけと言い訳。
しかし、東山公園のアリバイの件は、雪村の言った事故について触れなかった(「退屈な時間」と言っていた)ことから、
公園に前もってビデオカメラを仕掛け、公園の出来事を撮影していただけであったと推理された。
事故は、カメラの死角で起きたため、その発生に気付けなかったのである。

それを指摘されると一気に豹変し、自分が犯人だと認める。
ラベンダー荘で、些細な罪(絵画泥棒)を一に暴かれたため、弁護士から伯父・蒲生の遺産相続権は失われたと宣告され、
仕事を探し、働かなければならなくなった。
更には、別荘を買ってやると約束していた婚約者から嘘つきとののしられ、婚約破棄までされた。
そのため一のせいで人生が狂った、それが動機だと言うが、極めて身勝手で自業自得な経緯でしかなく、完全なる逆恨みである。

上記の捨て台詞を叫んだ後、警察に逮捕され連行されていった。

美雪の筆跡をまねたり、一と美雪が花火をやった事を知っていたりなど、手口が意外と巧妙で陰湿。


  • 剣持勇
偽葬式の共謀者。ここまでやって犯人が見つからなかったら大問題のため、実は途中まで不安だった。
ただし、一の発言によれば結構乗り気だったとか。

  • 怪盗紳士
実は黒装束(目の周辺のみ露出)でずっと警官の横に立っていた。黒幕をバックに立っていた(いわゆる「木遁の術」のつもり?)。
剣持に「今回も捕まえてくれなかった、せっかくだから香典を全部もらっていく」という手紙を送る。
それを見た剣持と向井は外へ向かうが…
この時、受付前にいた黒装束の怪盗紳士とぶつかっている
しかし剣持はそれが怪盗紳士だと気付かず、そのまま外で出て行った。

  • 七瀬美雪
偽葬式まで仕組んだ一に憤慨。

しかし、最後の台詞はほとんどプロポーズのようなもの。

離さない。絶対離さない


【余談】
既に問題視されていたのか、異人館村殺人事件のシーン使用は無い。
また、怪人が登場しなかったせいか、首吊り学園殺人事件についても出てこない。


追記・修正は偽の葬儀で自分の死を欺いてからお願いします。

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最終更新:2022年07月20日 08:04