魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's

登録日:2015/05/13 Wed 00:34:20
更新日:2024/04/06 Sat 14:32:56
所要時間:約 9 分で読めます






傷つく事は怖くない。あの笑顔を、失わずにすむのなら



『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's』は、2005年に放送されたTVアニメ『魔法少女リリカルなのはA's』のリメイク作品。
リリカルなのはシリーズの劇場版第2弾に当たり、第1弾である『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』の直接の続編となる。
2012年に全国の映画館で放映された。

制作:セブン・アークス
原作:脚本:都築真紀
監督:草川啓造

主題歌「BRIGHT STREAM」歌:水樹奈々

挿入歌「Sacred Force」歌: 水樹奈々
   「Snow Rain 〜Ver.Holy Night〜」歌:植田佳奈

EDテーマ「微笑みのプルマージュ」歌:田村ゆかり


概要

前作と同様、リリカルなのはシリーズの第2期である、『魔法少女リリカルなのはA's』のリメイクとなる完全新作アニメであり、物語の大筋は同じ。
しかし、1stが物語の主軸を掘り下げた構成となっているのと違い、こちらは物語の中心人物の八神はやてや、
闇の書に関する設定の一部に大きく手が加えられているため、やっていることは表面上は同じでも、事件裏の事情はかなり異なっている。詳しくは後述。

戦闘の演出は1stと同等かそれ以上に向上。
ドッグファイト率はやや薄れたものの、空中でぶつかり合う接近戦闘が増量されており、前作よりも強大な存在が相手ということもあってより激しい戦闘が展開される。

メカニカルにリメイクされたなのは達の防護服やデバイス形状の変化・動作も見どころ。
テレビシリーズを視聴しているとニヤリとできるデザインもある。

翌年に行われたリリカル☆パーティVにて、完全新作となる本作の続編『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 3rd Reflection』の制作が発表された。
しばらくの間は映画の続報がない状態が続いたが、『ViVid Strike!』の放送に合わせて放映時期などの情報が公開される。
時系列は本作から3ヶ月後で、『なのはGOD』の設定も使った新しいストーリーが展開される。
なのは達の防護服のデザインも一新、オリジナルの敵キャラに加え、キリエが「機動外殻」なる兵器も持ち出してくるとのこと。

なお、これに合わせて1stともども4DX化して映画館で2週間限定で再上映された。

ストーリー(公式サイトより)


死を呼ぶ魔導書と、その主に選ばれた少女。

絶望の宿命に、立ち向かうのは二人の魔法少女。

誓いを秘めた騎士たちと、想いをこめて空をゆく少女たち。

想いは一つ「信じた絆を守りたい」


登場人物

リメイク元であるA'sから登場人物は変わらない。しかし、設定の変更に伴い登場しない人物もいる。

高町なのは
CV:田村ゆかり
ごくごく平凡な小学3年生だったが、前作の事件の後も平穏な生活を続けながら魔導師として修練を重ねている。
フェイトとの再会を喜ぶが、時を待たずに守護騎士による蒐集活動に巻き込まれてしまい、愛機レイジングハートを破損、自身も負傷する。

復帰後は時空管理局の嘱託魔導師として事件解決に協力することになる。
魔導師としての技術はさらに上がっており、一度はヴィータに敗れたものの、デバイスの性能差を縮めた後は互角以上に渡り合った。
闇の書の意志との決戦では幾度も圧倒され、追い詰められるものの、その小学生離れした不屈の精神で戦い抜いていく。

フェイト・テスタロッサ
CV:水樹奈々
1stの事件の裁判を終え、友達となったなのはと会うために地球の海鳴に移住、なのはと同じ小学校に転校する。
襲撃されたなのはを助けに入るがシグナムによって返り討ちにされ、なのは同様に愛機バルディッシュを破損し、復帰後はなのはと共に事件解決に協力する。
シグナムとは戦闘を通して互いに好敵手として認め合う存在となった。

闇の書によって、自分が最も欲しかった幸せな時間を与えられるが、
姉アリシアの後押しによってその世界を後にし、『自分が今いるべき場所』へと帰る。

八神はやて
CV:植田佳奈
下半身麻痺によって車椅子生活を送る少女。異世界の遺失物『闇の書』を所有している。
闇の書の守護騎士である4人を家族として扱い、平穏な生活を送っている。
守護騎士達の行動には小さな違和感は感じているものの気付いてはおらず、身体の麻痺は日々進行していく。
そして終盤にはそれ以上の苦しみを味わうことになってしまう。
今作では以後の作品を意識した変身シーンなどが挿入された。

シグナム
CV:清水香里
闇の書の守護騎士ヴォルケンリッターの将。生真面目な武人肌の女性で、厳格さと優しさを持ち合わせている。
主であるはやてのことを深く敬愛しており、
はやての身体を蝕む麻痺が闇の書の影響だと知った時は、かつての誓いを破ってでも彼女を救うと決める。
長剣型アームドデバイス・レヴァンティンを用いたその剣技は卓越しており、
フェイトとの初戦では終始圧倒、デバイスを強化してきたフェイトを相手にしても一歩も引かなかった。

魔導師にしては良い剣技を持つフェイトのことを好敵手として気にかけており、互いに友情のような感情を持つに至った。
今作ではオリジナルシーンで、リインフォースとの会話が追加されている。

以前からネタにされていたファントムフェニックスもなんかまんまになってきた。

ヴィータ
CV:真田アサミ
ヴォルケンリッターの鉄槌の騎士。見た目は小学1年生程度の少女。容姿と同じく幼い性格をしている。
はやてを姉のように慕っており、彼女との平穏な生活を誰よりも強く切望している。
鉄槌の騎士の異名の通り、鉄槌型のグラーフアイゼンによる強力な打撃を得意といている他、鉄球を用いた誘導弾も扱う。
頭に血が上りやすい性格が戦闘スタイルにも表れているが、無意味に好戦的というわけではなく、戦闘は蒐集活動の手段と割り切っている。

シャマル
CV:柚木涼香
ヴォルケンリッターの湖の騎士。おっとりとした性格の女性で、守護騎士の中では最年長(に見える)。
八神家の中では母親のような立場にあり、最もはやてのそばにいることが多い。
守護騎士の参謀を務め、戦闘では後衛からのバックアップを担当する。
ラストバトルでは超威力の直射砲シャマルビームでラスボスを一撃で消滅させる……場面を見た人がいるとかいないとか。

ザフィーラ
CV:一条和矢
ヴォルケンリッターの盾の守護獣。人の言葉を話す大きな青毛の狼。
筋肉質な人間の姿にもなれる。狼形態が本来の姿だが、今作では人間形態でいることが多い。
守護騎士の中で唯一の男性。寡黙な性格をしているためあまり言葉は発しないが、戦闘での叫びは熱い。
盾の守護獣の名の通り、防御・結界系の魔法を得意としているが、今作では徒手空拳での格闘を披露することがほとんど。
拳でナハトヴァールの結界を数層ぶち破るシーンはかなり熱い。盾の守護獣とは

闇の書の意志
CV:小林沙苗
古代ベルカに存在した遺失物『闇の書』の中に存在する管制人格。
闇の書が完成しない間は本の状態のまま姿を表せず、言葉も発せられない。
人間の姿は銀髪の女性であり、はやてと守護騎士たちの幸福を第一に考える心優しい性格。
本の姿ではやてが幼少の頃から見守っていたが、はやてが交通事故で命の危機を前に闇の書の主として覚醒した。
今作ではナハトヴァールが変化した槍射砲と呼ばれる盾付きのパイルバンカーのようなロマン武装が追加されている。
TVシリーズ以上に騎士達が蒐集した様々な魔法を自在に扱うシーンが増え、なのはとフェイトの二人を同時に相手にしてもなお圧倒した。
終盤の出番も増えている。

ユーノ・スクライア
CV:水橋かおり
なのはの魔法の先生。
前作でなのはが魔法に関わる切っ掛けとなった人物だが、今回は最終決戦以外ではほぼ裏方担当とテレビシリーズの通り。TV版との違いはミッドチルダにいる機会が多くなのはとの絡みが少ないくらい。
無限書庫にある情報を高速で処理する姿はさすが未来の司書長といったところ。
最終決戦を見れば分かるが、彼の拘束魔法はとても頑丈である。

アルフ
CV:桑谷夏子
フェイトの使い魔。狼形態は残念ながらほとんど登場せず、子犬フォームは可愛い。
初戦闘ではシャマルとザフィーラの二人を相手に敗北、蒐集される。
その後はザフィーラとの戦闘を担当。

クロノ・ハラオウン
CV:高橋美佳子
艦船アースラ所属の執務官。
11年前に闇の書の暴走によって父親を失っており、当時の彼の姿はリンディの回想で語られた。
事件担当の執務官として武装局員と共に守護騎士の捜査を行う。
最終決戦ではなのは達と合流、父の遺品とも言えるデバイス「デュランダル」を使って事件解決に貢献した。

リンディ・ハラオウン
CV:久川綾
艦船アースラの艦長を務める女性。
フェイトと地球で過ごすために休暇を取っていたが、
闇の書が事件に関わっていると知り休暇を返上してアースラの指揮を執る。
11年前の闇の書の暴走現場に居合わせており、目の前で夫と死別している。夫が残したデュランダルは彼女が保管していた。
オリジナルシーンとして、ほんの少しだが守護騎士と対峙するシーンもあり、彼女もまた魔導師であることを再確認させられる。

エイミィ・リミエッタ
CV:松岡由貴
艦船アースラの通信主任。クロノと共に闇の書事件の担当として彼を補佐する。
今回はぶっちゃけ出番は少ないものの、リンディの回想にて、学生時代のクロノとエイミィの姿が一瞬見れる。
EDではクライドの墓参りの場にハラオウン家と一緒(クロノの隣)にいるなど、この世界でもエイミィ√で堅いようだ。

プレシア・テスタロッサ
CV:五十嵐麗
フェイトの母親。前作での中心人物であり、現在は行方不明(実質死亡扱い)。
今作では闇の書がフェイトに見せた夢の中に登場する。
しかし性格は娘アリシアを亡くす前の、穏やかで優しい頃のものでありフェイトを驚かせた。
フェイトはかつてトラウマになるほど自分を虐げていた母親が何の違和感もなく娘と受け入れているという異常な状況にかなりの動揺を見せた。

アリシア・テスタロッサ
CV:水樹奈々
フェイトの姉。正確にはクローン元であり、遺伝子上は同一人物と言える。
プレシアと同じく、闇の書が見せた夢の中に登場し、この夢の中では本物の姉妹である模様。
姉ではあるが容姿はフェイトより小さく、明るい性格・左利き・受け継がれなかった魔力資質など、フェイトとは正反対の人物。
この夢はフェイトの記憶を元に作られているため、このアリシアの人格もフェイトの記憶に眠るかつての自分(アリシア)が再現されたもの。
戸惑うフェイトに最初こそ夢の中に残るように諭すものの、フェイトの意志を聞き、姉として彼女が本当にいるべき場所へと送り出した。

リインフォースⅡ
CV:ゆかな
リインフォースの次代として作られた新たなユニゾンデバイス。
本作は、「事件の2年後、彼女の知る夜天の魔道書の物語」として位置づけられている。
本作では以後の作品準拠の声優が担当している。(TV版ではⅡも初代と同様の小林沙苗さんが担当していた)
ナハトヴァールはゆかなさんが担当している。

テレビシリーズからの変更点

映画の尺に収める都合か、いくつかの設定に変更点があり、細かい変更箇所はあるが大きな点は以下。

  • 闇の書の防衛プログラムの設定 ⇒ 防衛プログラムに『ナハトヴァール』という名称が付く。

  • 仮面の男の暗躍 ⇒ グレアムが関与していないため仮面の男は登場せず、守護騎士のリンカーコアを奪うのはナハトヴァールの役目に。また、TV版と異なりリンカーコアを抜かれても守護騎士達は消滅しない。

  • デュランダルの出自 ⇒ TVアニメではグレアムが用意していたものだが、今作ではクライドが闇の書への対策として発注していたデバイスということに。そのため最初に持っているのもグレアムではなくリンディ。

  • 闇の書の意志から防衛プログラムの分離⇛TVアニメではなのは単独のエクセリオンバスターで分離していたが、劇場版ではフェイトとなのはの協力技『ブラストカラミティ』*1に変更。
    これに伴いフェイトの脱出タイミングも変更されている。

  • 八神家にて ⇒事件が一通り終わった後、ヴォルケンリッターがいないところではやてがなのはとフェイトの前で泣き崩れるシーンが追加された。
    (こちらも漫画版からの逆輸入シーン。)

  • ラストシーン ⇒ TV版とは異なる次作に繋がるように変更。要はロリコン歓喜。

TVアニメ版では闇の書に因縁のある時空管理局の提督グレアムが闇の書を確実に封印するために事件の裏で暗躍していたが、
今作ではグレアムは行動を起こさない(そもそも因縁がない?)ため、デュランダルはグレアムではなくクロノの父クライドが用意していた。
闇の書への因縁はクロノとリンディが受け継ぐ形となったため、事件に仮面の男の介入はない。

防衛プログラムが闇の書の暴走の原因であることはTVアニメ版でも言われていたが、
今作ではナハトヴァールという名称が付いたことにともなって暴走の原因という要素が強調されている。
TVアニメ版ではグレアムの策略で強引に暴走状態へと導かれたが、今作ではナハトヴァールによる防衛行動が引き金となっている。


劇中劇

1stの項目でも言われていることだが、
本作はTVシリーズの中で制作され公開された劇中劇という設定が一部の媒体で明かされている。

劇場版公開前後のりりかる歳時記や一部の特典ドラマCD、アンソロジーが顕著であり、なのは監修の空戦機動が云々とか制作秘話的なエピソードもある。
しかし、上記した漫画やドラマCDの中にはメタな話題が出ていたり、
加えて本筋の物語の中で映画の話題が出たことはないため、本当に劇中劇であるのかは判別しにくいところ。
特典ドラマCDによれば劇場版設定の平行世界もちゃんと存在している。

ちなみに映画の構成が管理局に関するやや後ろめたい部分をカットしたようにも見える内容であるため、
一部の視聴者から「管理局によるプロパガンダ」とか言われることがあるが、
そんな設定は存在しないため注意。あくまでそれは一部の考察・妄想の類である。


余談

放映初日が土曜であり3連休だったことも重なってか、全国での興収は3日間で約1億5000万という成功を収める。
しかし、実はキャラクターグッズ等の物販の売り上げはそれを上回る約2億3000万を記録するという珍事が起きていた。

なのはシリーズのファンは以前よりコミケなどでグッツを買いすぎで財布が空になる、
「なの破産」「フェイ倒産」という俗語ができる程に熱心なファンが多いことで有名だったが、
間に1stを挟んでいたとはいえTVアニメ第3期以降やや下火に見えていたところに再びファンの底力を垣間見ることになった。



追記・修正は怖くない。あの項目を、失わずにすむのなら


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最終更新:2024年04月06日 14:32

*1 元々漫画版であった技だが、逆輸入された