魔戒騎士(牙狼)

登録日:2015/05/11 (月曜日) 23:34:30
更新日:2024/03/09 Sat 22:10:27
所要時間:約 48 分で読めます





光あるところに、漆黒の闇ありき

古の時代より、人類は闇を恐れた

しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって

人類は希望の光を得たのだ


「貴様の陰我…俺が断ち斬る!」


魔戒騎士は雨宮慶太原作の特撮TVドラマ「牙狼-GARO-」シリーズに登場する架空の戦士職。
ちなみに英語ではMAKAI-KNIGHT(マカァ~イ・ナァイト)。
KAMEN RIDERみたいな感じでMAKAIは万国共通語らしい。
作中で登場する魔界語では、人界の言語に当てはめると「ナサリシチ」という発音に近い。

なお、シリーズの世界観は大別して四つに分かれる。
  • 第1作「牙狼-GARO-」から続く冴島一族が黄金騎士を歴任する世界
  • 第3作「闇を照らす者」から続く道外流牙がガロの称号を継いだ世界
  • 第5作「炎の刻印」から続くアニメ版3部作の世界*1
  • 最新作「VERSUS ROAD」の世界
それぞれ基本的に独立した世界観で、通常なら個々の世界観の行き来はできないのだが、それを包括する大きな宇宙という概念は存在している。
従って、特別篇やソーシャルゲームなどの例外的な事態においてはクロスオーバーすることもある。




●起源と歴史

厳密な時代考証は意図的に避けてはいるものの、魔戒騎士の誕生は少なく見積もっても数千年を遡る。
アニメ「炎の刻印」では中世ヨーロッパ、「紅蓮ノ月」では平安時代の日本が舞台である他、小説版でも古代ローマ時代の遺跡にガロらしき紋様の名残があるなど、世界各地にその伝承は存在したものと思われる。

古の時代より、魔界より現れて人を喰らう魔獣・ホラー。
ホラーは人の強い想念=陰我をゲートとして人間界に入り込むため、人間がこの世にいる限り決して根絶できない永遠の天敵。
人類の歴史は、即ちホラーとの闘争の歴史でもあった。

当初闇の脅威に怯えるだけの人間だったが、いつからかホラーに対抗するための叡智と技を培い、魔導力による法術を駆使してホラーを封印する存在=「魔戒法師」が誕生した。
しかし、日に日に力を増していくホラーの侵攻を法師の力のみで対処するのは困難を極めた。
そこで肉体を鍛え、より直接的な戦闘に特化した戦士が必要とされるようになったのである。

ホラーを打倒しうる屈強な戦士を選出する際には真剣による武術大会が開かれるが、それは対戦相手を殺害することを勝利条件とする苛烈な試練でもあった。
選ばれし戦士たちはホラーが嫌う物質である、ホラーの腕(肉体の一部)が噴火によるマグマと融合して凝固したものを加工し、「ホラーの爪」…別名「鋼の牙」*1という魔除の装飾品としたうえで、これを身につけて戦いに臨んだ。

ある時、ホラーの爪を矢の先に括りつけ放ったところ、当たったホラーを一撃で討滅する効果を発揮した。
これを分析して、破邪の超鋼・ソウルメタルが造られたのだった。

以降、ホラーに特効のソウルメタル製の武具を用いて戦う「魔戒騎士」という役職が成り立ち、魔戒法師は彼らを法術や魔導具等の発明品によってサポートする役目へと移り変わっていった。

この歴史の背後には人間でもホラーでもなく、両者の生きる世界のバランスを司る超存在・大魔導輪ガジャリが介在している。
そのガジャリと人類が太古に交わした契約が魔戒騎士の誕生にも密接に関わっており、騎士の鎧を授けたのもガジャリであるという記録が残っている。



●組織体制・役職


魔戒騎士は彼らの上司に当たる神官の手で運営される「番犬所」という一種のギルドに所属し、各番犬所の管轄領域内で日々の任務をこなす。
冴島鋼牙の時代ではこの管轄は東西南北に分かれているが、それより未来の「魔戒ノ花」では青の管轄など方位と異なる名称も上がっており*2
管轄の総数やどこからどこまでが管轄内に含まれるのかといった情報は未だに不明である。
各地の番犬所を束ねる更なる上位機関として、高位の神官とその直属の騎士や法師によって運営される「元老院」がある。
この元老院は魔戒騎士の最高機関とされている。

実写版シリーズは概ね各地域で独立した都市国家がポツポツと現れ始めた日本国内といった雰囲気だが、
実際には国家や人種など関係なく人の居る所にはホラーも出るのであり、魔戒騎士の活動範囲はワールドワイドである。
尤も、番犬所や元老院は街中にも複数存在する一般人の立ち入れない専用の出入り口を通った先にある異空間の中に存在しており、
距離的な隔たりはどこの入り口を使っても同じであるか、専用の隠し通路である「魔戒道」で繋がれごく短時間で行き来できるようになっている。
ゆえに居住地による便不便はあまりなく、騎士や法師たちはそれぞれが都合のいいところ(魔戒騎士/法師としてだったり、もうひとつの仕事にだったり、単に個人としてだったり)に暮らしている。

その暮らしぶりの描写はピンキリで、黄金騎士の家系である冴島家は一人で住むには余りある豪邸に執事まで雇っている。*3
足にしている大型バイクのガレージを備えた小洒落たワンルームに住み、尋常ではない量のスイーツの食べ歩きが趣味の零のように、一見すると華やかだが、逆に世捨て人のような慎ましい生活を送っている騎士も少なくない。
バラゴの場合は、父が凄腕の黄金騎士でありながら川縁の掘っ立て小屋が住処であることが小説版で語られており、称号や騎士としての技量とその豊かさは必ずしも直結しているわけではない。
また、立場上秘境である閑岱から滅多に離れない翼は、私用で都会に出かけた時に横断歩道も満足に渡れないという有様で、近代社会に適応できているのか疑わしい者も目立つ。
人ん家上がるのに靴脱がねぇ奴とか

当然ながらホラーや騎士といった存在の情報は表向きは秘匿されているが、「炎の刻印」の時代にはその秘密主義と社会との隔絶ぶりが裏目に出て、さる裏切り者が公権力と癒着した際に多くの騎士や法師が異端者の烙印を押され、大規模な魔女狩りで壊滅寸前に追いやられる憂き目を見ている。

その反省か、現代における魔戒騎士の存在は全世界の政府には(無論秘密裏かつ僅かなトップに限られるが)周知されており、ホラー討滅に関する活動も超法規的に是認され、活動資金も出ている。そういう点から、彼らは対ホラーのPKOに従事する影の公務員であるとも言える。
ただ、ホラー出現を抑制する目的もあってか「確証の取りようが無い都市伝説レベル」ならある程度一般市民に存在を晒す事は黙認されている(観月カオルの父、観月由児が冴島大河と接触できたのはこれが理由)。

また、劇中には以下のような役職・位階があることが語られている。ただし位階といっても現代では「一部のイベントの時に制度として上下関係が扱われる」程度のものしかない。従って、作中では黄金騎士も白夜騎士もそれ以外もみんな仲良くホラー相手に大立ち回りしている。


  • 「ガロ」(牙狼)
言わずと知れた黄金騎士。その名は旧魔界語で「希望」*4を意味し、魔戒騎士の最高位たる称号である。
このことからわかるように「牙狼」のような漢字表記は本来の意味とは異なる当て字でしかない。カナ表記が定着していない「紅蓮ノ月」のような例外を除き、基本公式の文書で騎士の称号はカタカナで記される

心・技・体共に優秀な騎士が過去にガロの称号を受け継いできた英霊たちに認められることによって名乗ることを許される。
その象徴たる黄金の鎧を始めとして白い魔法衣赤鞘の魔戒剣(牙狼剣)、魔導輪ザルバなどの専用の装備、そして通常の法師のみが用いる魔導八卦符を扱えるなど、様々な特権が認められている。
しかし、それでも番犬所の指令には絶対に従わねばならないし、元老院直属にまで出世するには相応の経験と実績が求められるなど、騎士としての本分は変わらない。
すなわち、これらの装備はあくまでも象徴としての名誉位階(他作品で言えば、ウルトラシリーズの「マント着用が認められている6兄弟」のようなもの)であるとも受け取れる。

魔戒騎士を志す者なら誰でも一度は憧れる栄光の称号であり、大抵の騎士は対面するだけでも居住まいを正す。
ただし、どの世代に於いてもガロは唯一無二であり、同時に2名は存在しない
時空の歪み等で複数の黄金騎士が一堂に会した時も、鎧は一揃えしかないので基本的には「全員が召還する資格を持つが、一度にガロの鎧を全身に纏えるのはその中で一人のみ」という形になる*5
実は「黄金騎士」の系譜自体はガロ以外にも存在していることが公式で明かされている。
小説ではバラゴの父親が黄金騎士であった(即ちその系譜を継ぐバラゴも闇に堕ちる前は黄金騎士)とされている。
しかし、バラゴの背景設定は映像化された際に大幅に変更されており、現在でも生きている設定かは疑問が残る。


  • 白夜騎士
第1期本編から遡る事約1000年前。
ホラー・レギュレイスが一族を復活させるため白夜の空に張る結界を、秘宝・鷹麟の矢(おうりんのや)を以て打ち破った魔戒騎士がいた。
それ以降、その騎士は「天魔降伏の儀」と呼ばれる儀式を執り行う名誉ある使命を帯びるようになった。当代では山刀翼がその称号を継承している。
かつてはホラーをも味方につけて戦っていたとされているが、これはレギュレイスの一族がいわゆる一般のホラーとは異なる起源から発した存在で、言うなれば人類とホラー共通の脅威だからである。
1000年前の時点でその鎧はあったが、白夜の魔獣を倒した以前から今のような称号&役職だったかについては不明。


  • 元老院付きの騎士
系譜や役職とは別に、元老院から直に下される指令を遂行する高位の魔戒騎士。
番犬所を通さない任務は重要かつ危険度が高いものが常であり、確実な完遂を見込める者として必然的に経験豊富・多大な功績を上げた猛者が揃う。
その一方で普及型のハガネの鎧を用いている騎士も多く、特別な称号は必ずしも必要ではない。


  • 導師
修練場で魔戒騎士の卵である子供たちに訓練を課す、「魔戒騎士の先生」ともいうべき立場の騎士。頑固でおっかないおっさんが多い気がする。
自身の系譜や技を継がせるため、息子や弟子にマンツーマンで教えを授けている場合(例えば「魔戒の花」17話など)は含まれない。
「JINGA」で登場した狼斬は弟子である紫杖から同じニュアンスで「大師」と呼ばれている。


  • 隠密の魔戒騎士
「影の魔戒騎士」「影の者」とも。特定の管轄に所属することなく、独自に行動することを許されている「魔戒の忍」ともいえる騎士たち。
通常の剣術とは別に特殊武器の扱いや札を介した法術・儀式の作法を修得しており直接的な武力による状況打開が難しい時には頼もしい存在。
「隊師」と呼ばれる指導者が元老院からの指令を受け、それを部下に伝えて指揮することで活動する。
隠密の騎士としての修業は通常の騎士のそれとは異なり、後進の育成も隊師の務めである。
極秘の使命を帯びて活動する性質上、一般の魔戒騎士よりも閉鎖的で秘密主義な傾向が強く、自身を影に生き影に死す道具と見なし、仲間にすら本当の名前を明かさないこともある。
番犬所へも最低限の頻度でしか現れず、魔戒剣の浄化は邪気を吸収する力のある魔界の獣・バルグに剣を突き立てる「月光の儀」という独自の儀式を通して行っている。

他にも、体力の衰えなどで現役を退く、才能に恵まれていた等の理由で魔戒騎士が魔戒法師に転身、あるいは二足の草鞋を履くという例もある。
Twitterによる雨宮監督のコメントによると、鋼牙を始め多少の法術には通じている騎士も少なくないらしく、全員が物理攻撃一辺倒で魔法関連がお手上げというわけではない。



●主な任務

魔戒騎士の使命は、人知れずホラーの脅威から人類を守ることにある。
その任務は直接ホラーを狩るだけに留まらず、ホラー出現の予防も含まれている。
大部分のホラーは夜間に活動するが、ホラーの現れない昼間に魔戒騎士は影に潜むエレメントの浄化・封印を行う。
具体的には管轄内をパトロールしつつ、ホラーのゲートになりそうな陰我が溜まったオブジェクトの存在場所を探し見つけ次第、影の中に溜まった邪気を剣で斬って祓う、というもの。
ホラー退治よりは遥かに安全とはいえ、零が昼間の仕事で頬にかすり傷をつけられたり結構体力を消耗しているあたり、案外ハードな作業なのかもしれない。
この日中の活動をしっかり行っておけばホラーが出現することはまず無いと言ってよく、月に3回のホラー狩りで何かしらの異常事態を疑うほどである。
ヒーロー番組だからしょうがないとはいえ数か月にわたって週一でホラー狩りしないといけないとかもうとんでもない大事である。
「GOLDSTORM翔」や「JINGA」では、悪者サイドの目線からゲートやホラーを増やすためのあれこれが描かれている場面があり、出してはすぐ斬られてなかなかホラーが増えないために黒幕もそれなりに頭を使う必要があることが語られている。

余暇は稽古をしたり悪夢に魘されたり性なる聖なる営みに励んだり魔導輪に寿命を喰われたり
霊獣ウォッチングに出かけたり(へったくそな)絵を描いたりケバブ食ったり
内職に励んだり極厚なステーキにがっつり食らいついたりしてまったりと英気を養う。
表の顔があるのでそんな暇なんか無い人もいる。

ホラー出現の折には番犬所から魔界文字で綴られた指令書が届き、それに従い魔戒騎士は討伐に赴く。
指令書を納めた封筒はは通常の赤いものと厳命を意味する黒いものとがあり、後者が届いた場合拒否は許されない。
番組の内容の都合上、(指令書の色に関わらず)大抵はちっとも嫌がることなく出かけていくが。
ただ、この指令書の中身は極めて厨2臭い抽象的で、ホラーの外見や性質の傾向と現れそうな場所は大まかにしか知らされないことがほとんど。
そのため、現地に赴いてからも地道に足で探して目星をつけた怪しげな奴にシュボシュボ魔導火を翳して廻ることになる。

探知や封印に特殊な手順が必要なホラーが標的の場合はパートナーに法師などを同伴する場合もある。
プライベートにおいて騎士たちが親交を深めているのは珍しくないが、基本的にホラー狩りは単独で行うもので、あまり騎士同士で連携して動くことはない。
これに限らず「黄金騎士の名前は知っているがどういう顔なのかは知らない」といった事が普通にあるなど、守りし者たちのネットワーク関連は異常に劣悪かつ原始的で主たる情報源が風の噂止まりのために毎度のように敵に出し抜かれまくっている*6

ホラーを斬るとその邪気は斬った剣に溜まる*7
そのため、定期的に番犬所や最寄りのアジトにある狼のオブジェに剣を挿して浄化を行う必要がある。
剣から吸い出された邪気は短剣のような形のオブジェに凝縮され、その数が12本に達した時、一括して魔界へと強制送還される。
12は魔を鎮める数字である。

一般人が触れれば文字通り100日後に死ぬホラーの返り血や邪気の類をガンガン被っているわけだが、それでころりと逝ってしまうようなら騎士など務まるわけがないので、これらに対する強い抵抗力は当然備わっている。ただし全くのノーダメージというわけではなく、定期的に浄化を行わないと心身に強い負荷がかかり、最悪死亡する危険性もある
ガロの系譜に所属している魔戒騎士は、浄化の際には歴代の黄金騎士の墓所である「英霊の塔」を訪ねる慣習があり、これは実写だけでなくアニメ版も同様*8
鎧についても同様で、浄化せずに短期間で多くのホラーを狩りすぎると鎧に喰われるきっかけとなるため、信用できる熟練の魔戒法師に依頼し、鎧を預けて浄化してもらうこともある。
この邪気による汚染の進行は潜伏的で、ある時突然ガバッと症状が出るのでなかなか怖い。



●魔戒騎士の掟

魔戒騎士の間には古より伝わる数々の厳しい掟が存在する。
しかし、彼らもまた血の通った人間ゆえに、時に悩み、掟に背いて道を誤る者も…。
実は鋼牙はほとんどの掟を破っている。まったくもって問題児である。


  • 人間社会の問題に干渉してはならない
守りし者の大原則。彼らはあくまでホラーから人間を守るのみであり、それ以外の事象には一切その力を使ってはならない。
人間同士の起こす犯罪や諍いには介入できず、ホラーを討った後も最低限のケアの後は助けた人間の人生には干渉しない。
一般人の女性と結婚して一族の身内にしてしまうならOK、といったパターンもあるが、基本的に第三者に姿を見られた場合八卦札等で記憶の改竄処置を行わなければならない。

たとえ許しがたい悪党でもそれが人間ならば手を上げることすら許されないし、ホラーに襲われていれば助けなければならない。
そのため、単純に強いだけのホラーよりも平気で他者を踏みにじる性根の腐った人間の方が対応に窮するという描写はシリーズで何度も描かれている。
ゆえに魔戒騎士は必ずしも一般的な正義の味方ではないし、物語内で悪人が絶対に痛い目を見て終わる保証も無い。
この掟は社会における正義や道徳という観念そのものが土地や時代でいくらでも変遷する代物であるため、普遍的にホラーから人類を守らんとする立場を取り続ける際にかえって邪魔になるから定められた物といえる。
魔戒の者は、文字通り「正義だとか愛など追いかけない」のだ*9

ガロシリーズの世界観では死者の霊魂ホラーとは由来の違う妖怪変化のようなモノも存在するが、それらの引き起こす超常現象被害(例えば怨霊による殺人など)に関しては無関心である。
例外的に同伴していた人物を狙ってきたオリグスバルグといった凶暴な異界の獣、意志を持ち人を害そうとする魔界に生息する植物・魔界樹蒼哭竜のように放置していれば極めて大規模なクライシスを呼びかねない存在は斬ることもあったが、そうした事態の結末は概ね非常に苦いものになる。


  • ホラーの返り血を浴びた者は斬らねばならない
人を斬る事は禁じられている魔戒騎士だが唯一の例外がホラーの返り血を浴びた「血に染まりし者」の介錯である。
ホラーの血は浴びてすぐには何の変化も起こらないが、それから100日後に気絶することも許されない激痛の中で、悪臭を放ちながら溶け崩れていく…という最悪の死が待っている。
それを知るからこそ、魔戒騎士はせめてもの情けとして血に染まった者をその場で斬るのである。
また、血に染まりし者はホラーからは最高に美味な「ドルチェ」として狙われやすくなるのでそうした意味でも危険である。
一応「ヴァランカスの実」から治療薬を作れるが、ヴァランカスの実は危険地帯である紅蓮の森のグラウ竜が保有しているため持ち出すのが困難であり、実自体も非常に長い年月をかけてホラーの恐怖を固めて作られる超希少品であるため、長い魔戒史においても上記の方法で血に染まりし者を救った前例は非常に少ない。


  • 魔戒騎士同士で争ってはならない
同じ理想の下戦う魔戒騎士の同士討ちは禁忌である。
これを行った者は理由の如何を問わず両成敗として番犬所の神官に寿命を削り取られるという制裁を受ける。
実戦形式の稽古や競技として腕比べをするサバック、闇に堕ちた騎士や法師を粛清するための戦いはこの掟には触れない。
また、シリーズにはごく稀に互いに一切の悪感情を持たず、剣を通し語り合うことで心の奥底の蟠りを解消するという極めて高潔な意図の下に魔戒騎士同士の決闘が行われた例もある。
そうした例外もあるためか、禁制でありながら本気の戦闘に突入する前の騎士同士の宣誓の所作が現代でも残っている。



●騎士の系譜・継承

魔戒騎士には一つの称号と鎧を当代の騎士から次世代の後継者に連綿と伝承していく「系譜」がいくつも存在する。
基本的には一つの系譜に鎧と称号は一揃え分しか無いため、継承は一子相伝、それもソウルメタルを扱える男子のみということになる。
ただ、必ずしも血統による世襲である必要はなく、血縁に系譜を継げる者がいない場合、養子弟子でも厳しい修練を経て先代(そして歴代の英霊たち)に認められれば後継者となれる。
逆にいかなる天才であろうと「守りし者」としての心得が備わっていなければ認められない。
後継者が指名されぬまま先代が死亡するとその系譜は空位となってしまい、最悪の場合そのまま断絶してしまう*10
「親から子へ受け継がれる想いこそが真の永遠」という信念を持つ魔戒騎士としてはそういった事態は大変不名誉なことである。童貞とかもってのほか
無論、裸一貫・自分を開祖に叩き上げで新たな系譜を打ち立てる新世代の騎士というのも次々と生まれているが、純粋な鎧の持つ力に限った場合、世代を重ねて多くの人の想いを集めてきた系譜の物の方が強くなるという面は多少なりともある。

なお、称号を次世代に譲った先代の騎士もあくまで鎧の所有権を譲るというだけで、継承以降二度とかつて自分の物だった鎧を纏えなくなるわけではない。
「炎の刻印」では同世代に黄金騎士の資格者が2名いたためにガロの鎧の所有権が短期間で何度か両者の間を行き来している。

魔戒騎士は掟ゆえに一般人と接触する機会に乏しいため、魔戒法師の女性との間に家庭を持つことが多く、男子が生まれれば幼少期から修行を始め、騎士として育てるのが一般的。
ただ、それでも先天的な向き・不向きというのはどうしてもあり、そうした適正を見定めるため、魔戒騎士を目指す子供達は修練場で4人1組のチームを組まされ、10日間寝食を共にして指導についた魔戒騎士から訓練を受ける。
この時素質が無いと判断された子供はどのような名門の血筋を引いていようと一般人としての人生を歩むことを余儀なくされるが、『脱落した子供=一般人に未来の騎士の名前という機密を知られないように、訓練の間はお互いに事前に渡された鉢巻の色で呼び合う』という決まりがある。
ただ、この試しの段階でホラーの襲撃を受けて多数の子供たちが虐殺されたり、この段階を乗り越えた後に才覚に恵まれながら修業中の負傷で志半ばで還俗した元・魔戒騎士が一般社会に中々なじめず悲惨な末路を辿るなど、まだまだ改善の余地がある制度である。

修練場から帰った後も、子供達は父とのマンツーマンの修行や親の無い子の場合、父の戦友の騎士に師事するなどして成長していく。
しかし、親が暗黒騎士になってしまった子供は系譜を継ぎ損なって騎士の道を断念せざるをえない身空になることもあり、「VANISHING LINE」のルークはそれが大きな心の傷となり長い間魔戒法師の立場を取っていた。



●魔戒騎士の能力

極限の鍛錬によって研ぎ澄まされた地力に魔導力の加護を受けた魔戒騎士の戦闘力は、まさに超人。

  • 正拳一発でブ厚い墓石を粉砕し、落ちてきた鉄骨を片手で跳ね除けるパワー
  • 小石を投げただけで相手を吹っ飛ばし、通常武器が効かないホラーやその結界を拳だけでねじ伏せ破壊
  • 目の前でコイントスされたコインを掴み取ったのに、速すぎてホラーの目でもそれに気付けない
  • 一跳びで地上数階分の高さに届くほどのジャンプ力。無論その高さから飛び降りても全く平気
  • 風よりも速く、かつ長距離を息も切らさず疾走するスピードとスタミナ
  • 殴られても踏まれても蹴られても走る列車から突き落とされても瓦礫に潰されても生身で成層圏に突入しても死なない

……と、例をあげるだけでも異常なタフネス。

毒物に対する耐性もあり、一般人ならイチコロの劇薬を飲まされても魔戒騎士ならケロリとしている。

これに先祖伝来の剣技・アクロバティックな格闘技・騎士によっては法術や暗器術のような搦め手といった諸々の技術、ソウルメタルの鎧や魔導馬の召還が加わる。
人を守ろうとする鋼の如き信念がその力を駆使する時、その強さは魔獣ホラーに対してさえ天敵となりうるのだ。

……要するに従来の特撮ヒーローでいうところの「変身」をする前から既にメチャクチャ強いのである
実写版でも大概なのだが、表現の幅に余裕のあるアニメ版ではより超人的なパフォーマンスが描きやすくなった影響で

  • 床に頭突きした衝撃で周囲の瓦礫が全部宙に舞い上がる
  • 高層ビル並みの高さの崖から蹴り落とされるのがツッコミ扱い
  • 挨拶代わりに味方に後ろからごついアメ車ではねられるけど全く堪えてない
  • 生身なのになぜか空中をホバリングした状態で高速移動している

……などのシュールギャグに片足をつっこんだ剛の者が次々と出現している。




●魔戒騎士の装備


  • 魔戒剣
魔戒騎士と魔戒法師の大きな違いは、戦闘手段に法術ではなく物理的な手段を用いることである。
魔戒騎士は「ソウルメタル」と呼ばれる魔界の金属で作られた武器を振るいホラーに直接的なダメージを与え、その陰我を祓い封印するのである*11
ソウルメタルは月の満ち欠けや揮う者の精神によって硬軟・軽重といった属性が変化する性質を持ち、まずはこれを自在に扱えることが魔戒騎士となる最低条件である。
……が、ソウルメタルを扱うには単純な膂力よりも些細なことで動じぬ強靭な精神力と固定観念に縛られない柔軟な想像力が求められる。
ソウルメタルの武具はホラーに唯一有効な頼れる武器であるが、もし不利な局面に追い込まれて「やばい、負けそう」「ウソだろこいつ強すぎる…」「ナメやがって、ブッ殺してやる」といったマイナスの感情が湧くと途端に扱いにくくなり威力も低減。
結果的に不利に不利が重なってしまう負の螺旋となってしまうので、全ての騎士にとって精神修養は非常に重要である。
劇場版「神ノ牙」でもそうした前提を踏まえて流牙が「諦めるな!」と味方に檄を飛ばす場面があった。
根性論ではなく、諦めた瞬間マジで試合終了なのだ。

通常は外観に反して凄まじく重く、切っ先を下にして落とせば石畳の床に深々と沈むように突き刺さり、心得の無い者や機械的な手段では持ち上げる事すら叶わない*12
ただ、何の修業もしていない普通の人間であっても爆発的な精神の高揚を発揮する事で一時的に振るう事が可能*13

ただし鎧同様基本的に女性は扱う事は出来ない。
「絶狼 BLACK BLOOD」では、女魔戒法師のユナが父・クロウドの形見の魔戒剣を使うために彼の相棒だった魔戒法師カインに懇願し、凄まじい苦痛と引き換えに無理矢理父の遺骨を腕に移植する事でとりあえず扱えるようにはなった。
とはいえ、身体に過剰な負担が掛かるためにあまり長時間は持ち続けられず、当然鎧も呼べない……と無理をした割にはあまりメリットのある用法とは言い難かった。
女性がマトモに扱えた描写は「元は人間だった」と思われる神官のガルム(三神官)だけである。

先に述べたように最初に生まれたソウルメタルの武具は弓矢であるが、現在はガロを含め細身の直剣が基本装備として普及している。
騎士によっては片刃刀や日本刀に似た形状を振るう者、双剣・槍・弓・斧などの特殊な武器を使う者もいる。
これらの武器は劇場版「神ノ牙」での哀空吏や猛竜のようにモデルチェンジしたり、「DRAGON BLOOD」で双剣にワイヤーを内蔵した零のようなカスタマイズも可能で、黄金騎士の使う赤鞘の魔戒剣も全シリーズを通して細かく造形やオプションが変更されている。

騎士が鎧を纏うとそれに合わせて得物の魔戒剣も大幅に形状が変化し、一本の剣二刀流仕様の双剣になったり、逆に二丁の手斧一本の大斧に変わるケースも見られた。


  • 魔法衣
魔戒騎士が身に纏っている特殊な加護を受けた衣服。彼らの異常な打たれ強さの一因でもある。
ただし、単純な衝撃に強い反面「刺突や斬撃に弱い」という明確な弱点がシリーズを通して描かれており
トゲの生えた触手を伸ばしてくる系の攻撃や、一般的に流通しているクロスボウの矢で射抜かれるなどしてあっさり致命傷を負い、即死してしまう騎士も相当数いた。
鋼牙もまた、同様の攻撃で魔法衣の上から肩を貫かれて深手を負った事がある。
厳密には第4期でマユリの着ている黒いドレスも魔法衣であることからわかるように、騎士に限らず法師や人型魔導具などの身に着けている衣類はほぼこれと言って良い。

騎士の場合は特に装飾を施されたロングコートが目を引くが、これらは外部からの物理・魔力両面のダメージを軽減するほか、
裏地は魔界に通じておりドラえもんの四次元ポケット的に剣を始めとする諸々のアイテムを収納して持ち運べる上に、収納した物を自由自在に出す事が可能。

どう考えても目立つだろそれ!といったデザインのものばかりだが、人目を避ける隠れ蓑的な機能も持たされており、一般人には違和感を持たれることが無いと「JINGA」で説明されている。
また、道外流牙の世界観では魔法衣ひとつで様々な衣装に偽装が可能な変装ツールとしての役目も持たされている。
ライダースジャケットを幾度かはたくと元のロングコート状に戻ったり、地味な清掃員の扮装から一瞬でいつもの衣装に早変わり、といった描写もあった。

一般的な色は黒が多いが、最高位であるガロの称号を持つ者は特別製の白い魔法衣を身に着けている。
こちらは鎧と違って代々同じものが受け継がれているというわけではなく、大河・鋼牙・雷牙の魔法衣はどれもデザインが異なる別物である。
また、流牙はシリーズを通して黒いまま、レオンは前半後半で異なった魔法衣を纏っているなど、世界観によってガロの称号を持つ騎士にも個人差はある。
長い裾を翻して繰り広げられる激しく、スタイリッシュなアクションはシリーズの見所のひとつ。

なお、当初は魔戒騎士の服装をコートで統一する予定はなかったらしいが、
龍崎駈音役の京本政樹氏がバラゴとしての演技に取り組む際、「魔戒騎士=ロングコートを着ている」という印象を強く持っていたため以降のシリーズでも定番化したという経緯がある。
アニメではこの縛りが若干緩くなっており、雷吼は騎士としての活動を除くと「不断着」と称される着物姿のシーンが多かったり、バイクに乗るシーンの多いソードなどは丈の短い白いライダースジャケットを着ている他、そもそも上着を来ていない場面も多い。


  • 魔導輪
魔戒騎士が身に着けているソウルメタル製のアクセサリー。
「魔導輪」というのは指輪の形状をしたものを指し、それ以外にもペンダントヘッドやブレスレット、変わったところでは手鏡の中に映っているというものもある
性別の概念があり、男性人格の者は「○ルバ」、女性人格の者は「○ルヴァ」という名を持つ。
彼ら名前はザルバは「友」、シルヴァは「家族」、ゴルバは「掟」といった具合に旧魔界語に由来しているが
あくまで契約を結んだ相手からもらった物であり、真の名前は不明である。パチンコ版「絶狼」ではシルヴァの本体が「狼幻竜」の名で登場した。

独立した自我を有しているが、それは中にホラーの魂が封印されているため
本体は魔界で封印され眠りに就いており、いつでも魔戒法師に頼んで本体に魂を戻す事が許されている。
ゆえに魔導輪は意識を移した端末に過ぎず、魔道輪自体が破壊されても本体が死亡・消滅はしないが
器が壊れることで過去の記憶が失われてしまうことがある*14
長年この記憶喪失は絶対の物と思われていたが、「VANISHING LINE」では一度魔導二輪ごと大破したザルバが元の記憶を維持したままカムバックしている(運が良かったのか技術革新による進歩かは不明だが)。

ザルバのようなホラーは魔戒騎士の討滅対象である「プリズンホラー」とは異なり、魔界から出ることなく人間界側と交わした約定に沿って生きている、「人間に対して友好的なホラー」である。
ゆえに全幅の信頼をおいても良い存在であり、暗に「魔導具を所有する魔戒騎士はなんだかんだで味方」という
ややメタ的な法則もある時期までは存在していたのだが、
暗黒騎士となっても魔導二輪を動かすために魔導輪を所持していたとされるナイト*15
悪意あるホラーが騎士を間近で監視するためにあえて魔導輪になりすましていた「JINGA」のような展開も
近年になって確認されるようになった。一体何を信じて戦えばいいんだ……?

立場や思想は違えど人間の魂を喰らうホラーの性は変わらないため、魔導輪を装備する騎士は彼らを使役する代わりに
ひとちくびんひと月に一度、一日分の寿命を彼らの糧として与える」という契約を交わす必要があり、契約の日(例えばザルバの場合は新月の日)には仮死状態に陥ってしまう。
基本的にただ働きはしないドライなスタンスで、身につけた者が死にかけていようと未契約状態では何もしない。
僅かとはいえ寿命を削る行為であるためか、「闇を照らす者」の世界においては既に時代遅れのシロモノという認識が一般的になってしまっている。

本来はこのようにホラーは人間の魂のほんの一欠片でも食べさせてもらえればそれ以上の食事は必要がないため、「プリズンホラー」が人ひとりを丸々食ってしまうのは自身の欲求を満たす行為以外の何者でもない。
「死んで当然の人間を食ってやっている」などの詭弁を吐く者もいるが、そうした人間の生殺与奪を握った気になり尊厳を踏みにじる下劣な習性を持った者は元は同族である魔導輪も侮蔑している*16

主な役目は討伐対象のホラーが放つ邪気の探知やホラーとしての自分の知識の提供を行う事などのサポート業だが、時に魔戒騎士の相談役になったり、魔導火を吐き出して攻撃したりとその用途は様々である。
日夜、ホラーとの孤独な戦いを続けている魔戒騎士にとっては最も身近なパートナーであり、その関係性はただの道具に留まらず、家族のような絆を育んでいる騎士もいる。
なお、魔導輪の中でもザルバはガロ専用の特別製であり、他の騎士が持っていても意味を持たない。
これは、ザルバがそういうアイテムとして造られたからではなく、ザルバ本人が最初に知り合った魔戒騎士が偶々ガロで、その絆を尊重しての配慮という面が大きい。


  • 魔導火
魔界の炎。これを携帯するために用いる掌サイズのジッポライターのような魔導具をひっくるめてこう呼ぶ。
ライターからは数千度を越える超高温の炎を放ち、常人やホラーが触れれば一瞬で消し炭になる。
このため、ホラーに向かってぶっかけることで即席の火炎放射器として使う事もできる。
人の眼前に翳すと瞳孔に浮かんだサインで相手がホラーかどうかを見抜くことが出来る探知機の役割を持つ。
他にも番犬所からの指令書を燃やす事で空中に書面の内容を投影したり、鎧の装着時に身に纏うことで必殺の技「烈火炎装」を放つこともできる。
また、特殊な薬と併用する事で、魔界騎士でもホラー等の邪気の篭った傷を浄化して治癒する事が可能(本来は傷の浄化治癒は魔戒法師が魔導筆と魔導火を用いて行う。炙られても苦痛は全くない)。
扱いにはかなりの熟練が必要のため、全ての魔戒騎士が魔導火を十全に使いこなせるわけではないが、極めれば自分の燃やしたい物だけをピンポイントに焼き尽くし、他には全く被害を出さないといった芸当も可能。
ホラー狩りに伴い、消費した分は番犬所にある。
そこで補充する際は種火を介する必要があり、番犬所によってその色が異なる(鋼牙の所属する東の番犬所ならといった具合)。

ライターが発明される以前の時代を描いた「炎の刻印」では、魔導火にあたるアイテムとしてガエル法師が発明したとされる「魔導ベル」という魔導具を使用。
人の目の前で鳴らし、瞳孔が血の色のように輝くか否かでホラーを探知している。「音」を媒体にするので広範囲にも使用可能。
「炎の刻印」から4年後の「DIVINE FLAME」では、予算と製作期間が増えたのか実写版よろしく瞳孔にあのサインが浮かび上がる。
「紅蓮ノ月」では、雷吼の従者・金時が背中に携えた二振りの棒を打ち鳴らすか壁や地面に擦り付けて火花を見せることで火羅(ホラー)を探知する。
こちらは何かと使い勝手が悪く、金時が同伴していないと雷吼は目の前の人物が火羅かを判別できない上に、咄嗟に行いにくいために確認を怠ってしまい「この時火花を出していれば火羅を見逃さなかったのに…」という場面もかなり多かった。


ソウルメタル製の鎧。
「ガロの鎧」のように騎士の称号とセットで呼ばれる。
それぞれの系譜に受け継がれる一点物の他に、「ハガネ」と称される大部分の騎士が身に着けるデザインの共通した普及型が存在する。
ハガネもソウルメタルであるので、装着している騎士が精神的に成長すれば独自の形態や色彩に進化していき
特異な形状をしている現在の称号持ちの鎧もそれに至るまでの時間は千差万別であってもガロを含めて全てハガネから派生したものである*17
即ち、黄金騎士ガロというのは意図的に一から作られた物では無く、自然発生した物が定着して伝説を築いた存在なのだ。
その証拠として「鋼の咆哮」で語られる伝説では形状は現代のそれとほぼ同じだが黄金ではなくハガネと同じ鈍い金属色だった頃のガロが描かれている。
「妖赤の罠」によれば鋼牙も零も最初に用いていた鎧はハガネだったとのこと。

基本一人に授けられる鎧は一着だが、資格が有ると認められたなら系譜同様複数の鎧を継承することも可能*18
共通して顔を覆う仮面に「狼」の意匠を持つが、これは太古の昔ホラーに立ち向かっていった黄金の狼の伝説から由来している。
絶対的なまでの防御力を誇り、程度の低いホラーならば触れただけで甚大なダメージを与えることも可能な攻防一体の武装である。
また、「絶狼 DRAGON BLOOD」で零がやったように多少の損傷は纏った騎士が意識をそこに集中することで瞬時に復元することができる
耐久力を超える過大なダメージを受けた場合、基本的に鎧の装着は解け、ある程度の装着者へのダメージを漸減した上で魔界に戻るのだが「炎の刻印」ではガイアの鎧が完全に近い状態まで粉砕されるケースが示された。
しかしダメージを受けた鎧も再召還すれば修復されており、後日談ではガイアの鎧も復元したうえパワーアップまで遂げている

また、魔戒剣同様ソウルメタルの精神に感応して変化する性質を有しており、騎士やその周りの人々(生死は問わない)の
強い想いに反応して大幅な変形・強化現象が起こることもある。
この変化はあくまで偶発的な事象であり、自身の意思で自由自在に制御できるパワーアップ形態というわけではない。
ガロ翔やガロ陣のように「永続的な能力強化」の場合は以後はそちらが基本フォームにあたる姿となる(仮面ライダーBLACK RXが自力で仮面ライダーBLACKに戻れないようなもの)。
ただし、アニメ版でガロの鎧は同一の存在であるにも関わらず時代ごとに全く異なる形状に変化しており、永続的といってもその形態を獲得した代の騎士にしか扱えない可能性は高い。

普段は人界に存在せず、魔界で魔天使と呼ばれる親人類派のホラーの一種に管理されており、まるで何かのサナギかインゴットのような待機形態をとっている(「RED REQUIEM」で一瞬だが確認できる)。
魔戒剣で空間を円形に裂く召還の陣を描くことによって鎧は魔界から召還される。
そのまま前身に纏う他にも、
  • 手入れのために鎧だけを素立ちの状態で出現させる
  • 腕や足といった身体の一部だけに鎧のパーツを装着して戦闘する
  • 顔だけ生身で身体に鎧を纏った「牙狼座の黄金聖闘士」めいた格好にもなる
……など、使い方も多岐。

ソウルメタル(厳密にはその原型)の正体は「ホラーの爪」という人界の溶岩とホラーの死骸が混ざり合った物質であり、ソウルメタル製の武具をその身に纏って戦うのは擬似的にホラーの力を宿して戦うことに通じる両刃の手段である。
この鎧が人界に留まっていられる時間は99.9秒。それが鎧を纏っての戦闘時間の限界であり、この時限を越えると鎧に魂を食われてしまう。
例外的に真魔界やホラーの作り出した異空間等この世ならざる場所では装着時間に制限は無くなる。
一旦鎧を返還して再度纏うことでタイムリミットをリセットすることも可能だが、フルに戻すにはそれなりのインターバルが必要である。
鎧を扱うのに必要である騎士の魔導力の源は月の光であるため、魔戒剣の刃に月光を吸収させることでソーラー充電の如くタイムリミットを回復させることもできる。

ソウルメタルは、基本はホラーの死骸から調達されるため希少(大抵のホラーは斬れば跡形も無く消滅してしまう)。
極めて例外的なケースだが、ホラー・ゼドムが放出する魔導ホラーのプラントを用いて同等の物質を創り出すなど、人工的に精製する手段も一応は存在する。

こうした制限からホラーが出現したからといって軽々しく召還は出来ない、まさに魔戒騎士の切り札。
雨宮&横山監督曰く、ガロにおける鎧の召還はいわゆる「変身」ではなくウルトラマンのスペシウム光線に相当するニュアンスを持つとのこと。
纏う時は決める時なのだ。

なお、鎧に加工されたソウルメタルは女性が触れると体が砕け散ってしまうため、「女性の魔戒騎士」なる存在は絶対に有り得ない。
ただしソウルメタルそのものが女性NGなのではなく、「鎧や剣に加工された物は女性では扱えない」という事である(魔導輪などの装身具もソウルメタル製だが、こちらは特に女性が所持したり装備しても問題は無い)。

魔戒騎士を象徴する装備品であり、黄金に輝くガロの鎧は人々の希望の光であるが、
一方でメタ的な視聴者の感想を含めて「やっぱ鎧がなきゃダメでしょ…」という考えに至ってしまう者もかなり多く、映画「月虹ノ旅人」における雨宮監督の提示した物語のコンセプトも
鎧というアイテムに固執し、依存してしまった者VS鎧に拘らず守りし者としての魂を重んじる者の戦い」であり、鎧を巡る確執はシリーズでも永遠のテーマの一つなのだといえる。


  • 魔導馬
通算100体のホラーを討滅する偉業を成し遂げた魔戒騎士が、自らの内なる魔界で課せられた試練を乗り越えることで得られる大いなる力。
魔導輪と同じく遥か太古、魔戒法師が動物の死骸に獣系ホラーの魂を封じ込めることによって誕生した魔戒騎士の使役獣。
その作成は常に危険と隣り合わせであり、失敗作の魔戒獣に食い殺された魔戒法師も少なくないとされる。

轟天をはじめとしたそれらは主人に対して非常に忠実で、時に移動手段として戦場を疾駆し、時にその蹄音によって魔戒剣のソウルメタルを変質させる力を発現する。
時空を超える力を持っているため、魔界へ突入・離脱が自由に可能であり「薄墨桜」では九国(現在の九州)~京の都を短時間で移動するために、袴垂が魔界経由で魔導馬を駆って距離を稼ぐという型破りな応用を見せた。

1期の公式サイトでは跳躍力に優れているが「空を飛ぶことはできない」とわざわざ名言されていたが、アニメでは魔戒騎士の鎧共々空中を蹴って疑似的な飛行が可能になっているほか、本来馬の肉体構造上できない相手と対面した状態をキープしての逆走
ホバークラフトのように水上を疾走するなどかなり芸達者になっている。

先に述べたとおり、エレメントの浄化・封印を抜かりなく行っていればホラーの発生は抑えられるため、熟練の騎士でも100体単位のホラーと戦い続けるのは稀であり、TV版では魔導馬を召還できる騎士は非常に少ない。魔導馬持ちの騎士というのはかなりの手練れの証である。
アニメ版は未熟で若い騎士が主人公のケースが多い関係上、TV版では登場が見送られるケースが多いのだが、「炎の刻印」は本編の4年後である「DIVINE FLAME」、「紅蓮ノ月」は後日談である「薄墨桜-GARO-」でTVで登場した主要魔戒騎士全員が魔導馬を所有している。

なお、一部の魔戒法師が使役している「号竜」「羅号」、パチンコ作品の特別映像で流牙・哀空吏・猛竜が騎乗する翼竜のような姿の「飛流」、「紅蓮ノ月」で星明が火羅・雷獣を素体に新生させた魔戒獣(名称不明)なども、原理的には魔導馬と同じ物である。


  • 魔導二輪
近未来を舞台とした「VANISHING LINE」にのみ登場したバイク型の乗り物。
「VANISHING LINE」の時代は魔導馬が存在しない設定となっており、代わりにこの魔導二輪が登場する。
これはそもそも舞台が未来に移った象徴として「大型バイクに跨るガロ」というビジュアルを押し出したいという制作陣の想いとソードのガロはガタイがでかすぎて従来の轟天に乗せるとサイズが合わないという現実的な問題を解決するための措置とのこと。
元の轟天がどうなったのかについては一切説明されていない。が、スタッフが雨宮監督に相談した結果返ってきたのは
「第0話にあたるエピソードを作って、そこで轟天を破壊する」というものだった。原作者なのに酷過ぎる。

契約魔導具とのリンク機能がある魔導二輪を所有しているのはソードとナイトの2名のみだが、ルークもチョッパーバイク型の自走機能がついた魔導具に乗っているほかジーナの愛車も同系列の技術を用いて製作されている。
起動するためのキーは魔導輪ザルバで、燃料は魔導火となっている。また、走行はソードの操縦の他、ザルバ自身の意思で自走も可能。
基本は陸路での運用を主眼に置いた設計だが後部ブースターのジェット噴出で一時的に空中へ飛び上がれるので勾配のある地形でもある程度対応可能。
跨った状態でソードが鎧を召還すれば、魔導二輪にも鎧のような外装パーツが追加される。
この状態の魔導二輪には「ホラーを討滅する戦闘能力」が与えられており、タイヤによる巻き込みや、両面サイドから現れる巨大なマニピュレーターに配された鋭い爪による猛攻は大型ホラー顔負け。一般的なホラーはろくな抵抗もできずに蹂躙されるのみである。
ソードの魔導二輪はザルバが特攻したことで一度失われてしまうが、再度開発されより大型化した2号機で終盤合流して完全復活。
エルドラド内で最終進化を遂げた後は鎧を纏っている場合に限り、走行時に赤い炎を常に噴出していた。
ヘルマンやベルナルドなどの魔導馬のように、「空中を渡る」ことはできない模様。
また、「DIVINE FLAME」の魔導馬のように水上を駆けることができるかどうかは不明。



●魔戒騎士の文化

長い歴史の中ホラーと戦う術を模索する過程で、副産物として独自の文化が生まれている。

  • バルチャス
チェスや将棋に似たマインドゲーム。対戦者はに分かれ
盤面に墨絵を描いた掌大の駒を並べて戦う。

  1. 自陣の駒を敵陣の駒に重ね、立てる。
  2. 次に双方念を込め、思念による戦闘を行う。
  3. 負けたほうの駒は破壊される。
  4. 1~3を繰り返し、敵陣の駒を全て破壊し尽した方が勝ち。

…というのが大まかな流れ。通常の戦術論にプラスしてイメージファイトによる精神力・武術のセンスも試されるため、「バルチャスを制する者こそ最強の魔戒騎士の資質あり」という格言がある。
言うなればかつてとんねるずがラスタとんねるずにおいての人気企画であったジャイアント将棋*19のごとく力勝負で勝てば王手をかけてきた駒を返り討ちにできる将棋といったところか?脳筋育成プログラムじゃねぇのコレ
騎士に限らず法師も嗜む遊戯。たまに互いの寿命を賭けてガチでやりあうこともある。闇のゲームかよ。
なお、翼はバルチャスが苦手らしい。ていうかゲーム全般弱そう
「月虹ノ旅人」ではサイズの小さな盤と少ない駒を用いた簡易的なものも登場し、こちらは駒が残っている状態でも勝敗が決定するいわゆる「詰み」要素が見られ、早期決着が望める作りとなっている。
監督曰く名前の由来は「バトル+チェス」の造語とのこと。


  • サバック
言うなれば魔戒騎士版天下一武道会。
東西南北、各管轄から集まった腕自慢の騎士たちが7日間をかけて己の技量を競い合い、最強の魔戒騎士を決める武道大会。
「最強の魔戒騎士が見たいか~~~~~~!?」
「そ れ っ て ガ ロ じ ゃ ね ?」
…というツッコミを防ぐためかガロは参加できないという決まりになっている。
元々サバックはホラーの始祖を初めて倒したガロの称号を持つ黄金騎士に敬意を表して開かれる大会であり、ガロはそれを鑑賞する側であるため参加しない。
上で「一部イベントでは(称号の)上下関係が扱われる」と書いたのはこういう扱いを指す。
また、そもそも魔戒騎士の最高位「黄金騎士ガロ」の称号を持つ騎士は別格であり、サバック優勝者ですらこの称号を持つ者には敵わないという話もある。

その原型は魔戒騎士の始祖である戦士たちの血塗られた選抜儀式であるが、時代が進んだことで意味合いが「ガチンコ腕比べ」に変化し、競技としては格段に洗練されている。

全試合はタイマンのトーナメント形式。
選手は本来の武具であるソウルメタル製の魔戒剣ではなく、支給された鉄製の武具で戦う。
真剣勝負ではあるものの、相手に一滴でも血を流させればその時点で勝負アリ。
鎧および魔戒獣の召喚、各種魔導具の補助的使用は原則禁止。
ただし魔導筆や魔導具の力を借りずに使うなら法術の使用も合法である*20
優勝者は一度だけ「死人の間」で自らが会いたいと願う故人の魂に会うことが許される。

いつホラーが出現するかもわからないのに有能な騎士が本来の管轄を留守にしてしまったり
ソウルメタル製の剣を「単に使わない」のではなく「完全に手放して預けてしまう」ため
会場で何か起こった時参加者全員が無力な烏合の衆と化してしまうなど
ツッコミどころが多すぎるのだが、「蒼哭ノ魔竜」で再度開催された時は改善されていたのだろうか?


  • 鐘斬り
魔戒騎士を目指す子供たちが修練場での訓練の仕上げとして全員参加で臨む、バスケとラグビーとチャンバラを折衷させたようなチームスポーツ。
4人1組のチーム同士が戦い、相手の陣営に据え付けられた鐘を手に持った剣で斬るか敵を全員倒せば勝ち。
訓練の大一番ということもありヒートアップのあまりかなり過激な乱戦が起こることもある。
これまで練ってきた純粋な地力とチームワークを試すための競技であり、法術を使えば反則負けで最下位確定である。
勝利への執念よりも気高さが重んじられるのだ。



●魔戒騎士の闇

人知れず闇を斬る誇り高き男たちというイメージの陰で、魔戒騎士もまた多くの闇を抱えている。

魔戒騎士が人間界で鎧を装着していられる時間は99.9秒、それを超えてしまうと騎士は逆に鎧に心と魂を喰われてしまう。
その過程で鎧は巨大な怪物のような姿に変形し、圧倒的な力を揮い暴れまわる理性無き破壊の権化と化してしまう。これを心滅獣身と呼ぶ。
戻すには魔戒剣で反転してしまった腰の紋章を強く突き鎧を外部から強制的に解除する以外に方法はない。

スペクタクルの中心に主人公がいないと…という事情ゆえ黄金騎士なのに心滅してしまうというパターンも多く、
  • 怒り狂い力を求めた結果心滅する道を選んでしまった鋼牙
  • 不可抗力で鎧のタイムリミットを強制的に進められた結果心滅させられた雷牙
  • 精神攻撃で自身の身に秘められた力が制御できなくなり心滅してしまったレオン
  • なんか鎧が勝手に心滅して持ち主を守っていたらしい雷吼(!?)
……と禁忌の割には結構頻繁に出てくる現象でもある。
かつては鋼牙を心滅から救った零も、「DRAGON BLOOD」では残念な決断を下してしまう事となった。

一方で大河・ゴウキ・ソードといったマッチョ組の安定感は流石。
一見未熟で荒削りな雰囲気の流牙も実はシリーズを通して心滅に陥ったことは一度もない。

怒りに我を忘れ力に取り込まれる心滅獣身はいかに強大であっても所詮未熟な精神の証左でしかなく、過去には、レオンのようにガロの称号を剥奪された者もいる。闇に光を齎すとはいえ、やはり魔戒騎士は毒を以て毒を制す存在なのである。


  • 最大の禁忌・暗黒魔戒騎士
心滅獣身のさらに先にある禁断の境地、それが暗黒魔戒騎士である。
ホラーの始祖・メシアが力有る者を惑わし暗黒の道に導く為に作った「闇の魔導書」に記された秘術に基づき、
強靭な精神力(野心や欲望でも構わない)を持った魔戒騎士が自身を喰らおうとする鎧の力に逆に打ち克つことで
鎧を構成する金属が「ソウルメタル」から「デスメタル」に反転、闇に堕ちた魔戒騎士である暗黒騎士が誕生する(この時点で系譜は抹消され、前身に関係なく称号は暗黒騎士に統一される)。
暗黒騎士は心滅獣身の強さはそのままに、圧倒的な力を意のままに制御出来るうえ、タイムリミットをとうに超克しているために鎧の装着時間に制限が存在しない
また、通常なら魔界に送り返す以外対処法の無いホラーを喰らうことで己の力に変換できる。
これを「陰我吸囚」(いんがきゅうしゅう)と称する。

喰えば喰う程その強さは際限なく高まっていき、1000体のホラーを吸囚し、メシアと一体化した時、究極の存在となると言われている。

永きに渡る魔戒騎士の歴史の中でも闇に堕ちた騎士は幾人もいたらしいが、番犬所から粛清を請け負った追っ手(後の世の「闇の狩師」こと闇斬師か)の襲撃を躱しきれず、誰一人として成功したものはいない。
また、「炎の刻印」に登場した暗黒騎士ゼクスの場合、堕ちた魔戒法師メンドーサが心の中の隙をさらけだした魔戒騎士ベルナルド・ディオンに術をかけて転生させるという手順を取っており、正規の暗黒騎士とは成り立ちが異なる。
「VANISHING LINE」のナイト=クリストフェル・ハーデンは更なる力を求めた結果、禁断の魔導書に手を出したという実写版のバラゴに近い背景を持っているが、この魔導書はメシアではなく高位のホラー・キングが手頃なしもべを支配下に置くために仕掛けた罠である。
そのため、ナイトは闇の力を手に入れて強くなったものの、キングの支配に組み込まれ自由を失ってしまっている。
いずれにせよ、この状態になった魔戒騎士は最早ホラーも同然であり、元の人間に戻ることはできない
さらに死ぬとデスメタル化した剣や鎧も完全に消滅し、系譜は永久に断絶してしまう
……しかし、第1期でバラゴから抜け落ちたキバの鎧は封印された後も魔界の奥底で息を潜めており、ふとした契機で逆襲を開始することがあった。


  • 魔戒法師との確執
魔戒騎士は魔戒法師の実戦での決定力不足を補うべく誕生したのだが、これを「法師は騎士に劣る貧弱な下働き」と曲解し驕り高ぶる風潮は、残念ながらどの時代の騎士の間にも少なからず存在している。
一方で一部の法師の中にも元々「守りし者」だったのは自分達というプライドや単純に騎士の増長を許せないという反感から、魔戒騎士の横暴な態度に強く反発する向きはあり、水面下では大なり小なり険悪な緊張状態が常に続いている。
「MAKAISENKI」では謎の法師「赤い仮面の男」 の暗躍であわや魔戒陣営が騎士と法師に二分されての戦争になりかけたことも。
もちろん、相手に適切な敬意を払っている騎士や法師も存在しているが、全体から見れば少数派らしい。


  • 魔戒騎士の道から落伍してしまった者に対するアフターケアの杜撰さ
騎士の系譜・継承の項でも触れたが、暗黒騎士に堕ちたわけではなく単純に力量不足で選定から弾かれてしまった者、怪我などによって一線を退くことを余儀なくされてしまった者に対して、その後の生きる糧を得る手段を与える(早い話が失業したあとの再就職先を探す事)などのサポートは騎士達を統括する機関であるはずの番犬所からさえもされず、いきなり一般社会の中に放り出される。
候補者の中には幼い頃から騎士になるための鍛錬を積んでいたために世間から隔絶された生活を送っていた者が多く、一般教養に乏しい者も珍しくない。*21
そんな中で苦しいながらもなんとか自力で生計を立てている者もいるが、中には騎士の道から落ちこぼれたコンプレックスからホラーに憑依されてしまうほどの陰我を抱くに至る者までいる。もう普通科高校あたりまでの教育課程は修練場の必修科目でいいんじゃねぇかな…




●魔戒騎士の系譜 -シリーズに登場した魔戒騎士-


黄金騎士・牙狼(ガロ)の称号を受け継ぐ、記念すべき第1期「暗黒魔戒騎士篇」及び第2期「牙狼-GARO- MAKAISENKI」の主人公。
寡黙で冷徹な孤高の剣士であったが、ヒロイン・御月カオルとの心の交流を通して守りし者として戦い続ける固い信念に目覚め、成長していった。
「変身せずとも超強い!」という新たなヒーロー像を打ち出し、以後のシリーズの流れを生み出した存在。
雨宮監督曰く全ての魔戒騎士像の基準にあるのは鋼牙で、それ以外は彼の派生形とのこと。
シリーズ開始から10年以上が経った今なお圧倒的な人気を誇り、パチンコで主役作品「冴島鋼牙」が作られるほど。
映画「月虹ノ旅人」では一時的に息子である雷牙の下に帰還。実の父・大河と共に親子三代の因縁に決着をつけるべく奮闘した。


銀牙騎士・絶狼(ゼロ)の称号を持つ、どの系譜にも属さない謎の魔戒騎士。
大の甘党で無邪気な笑顔がチャームポイントの飄々とした少年だが、その裏には冷徹な闘志を秘めている。
当初は誤解から鋼牙を家族の仇と付け狙っていたが、幾度もの死闘を経て、無二の戦友となるに至っている。
以降のシリーズでも活躍を続けるが、魔戒騎士の宿命ゆえにやるせない痛み・悲しみを背負うことも多かった。
単独でのスピンオフ作品も制作され、現在では名実共に鋼牙狼シリーズもう1人の主人公といっても過言ではない。
なお、涼邑零というのは偽名であり、全てを失う前の名は銀牙。奇しくも彼が駆る魔導馬と同じ名である。


鋼牙の実父にして先代・黄金騎士ガロ。幼い鋼牙をバラゴの凶刃からかばったことでその命を落としてしまう。
一般にはホラーとの戦いで犬死したと伝わっており、これを引き合いに出されて侮辱されると、普段はそれほど感情を表さない鋼牙も激昂する。
死してなお、その魂は英霊として鋼牙を見守っており、幾度となく彼や孫にあたる雷牙の危機を救う。
月刊コミックガムで連載していたコミカライズ作品「牙狼-GARO THE BIBLE-」では実質的な主人公を務め、生前の圧倒的な強さを見ることができる。
「月虹ノ旅人」では終盤、英霊の塔の力を借りることで限定的に実体を得て復活。鋼牙・雷牙と共に宿命の決戦に臨み、往年の強さを遺憾なく発揮した。


第1期「暗黒魔戒騎士篇」の全ての元凶。暗黒騎士・(キバ)の称号を持つ。
鋼牙の父・大河の一番弟子にして友人だったが、自身の陰我を振りきれず、究極の力を求めて闇に堕ちた男。
表の顔として心理カウンセラーを営んでおり、TVに出演したりヒロインであるカオルが思い悩んだ時には親身にアドバイスを送るなどしていたが、その目的はカオルをメシア復活の贄とするためであり、ずっと彼女を付け狙っていた。
普段の知的なナイスミドルな姿も、各地の有力な魔戒法師を殺害して奪い取った「变化の秘薬」の効能による物で、秘薬の効果が切れると死に際の冴島大河に刻まれた「必殺の呪印」の傷がついた、人ともホラーともつかない醜悪な容貌が浮かび上がる。
その実力はシリーズ最強と公式で雨宮監督にも認定されている別格の存在。
永らく潜伏していた分、暗黒騎士としての本性を表してからの登場期間は短いものの、その存在感から悪役でありながら鋼牙らにも並ぶ人気を誇る。
Vシネマでスピンオフ主役作品「呀 暗黒騎士鎧伝」を持つほか、小説版では内面が大きく掘り下げられている。


初登場はTVSP「白夜の魔獣」。
白夜騎士・打無(ダン)の称号を持つ魔戒法師の隠れ里「閑岱」の守護者。本来は法師の家系の出身であるため、法術にも明るい。
かつて強大な魔獣・レギュレイスを封印した英雄の称号を受け継いだことに強い誇りを抱いており、年若いが非常に厳格な性格の騎士。
当初は外界からの来訪者である鋼牙達に対しても強硬な態度を示していたが、レギュレイス討伐での共闘を経て彼もまた良き友となった。
彼と鋼牙、零を当代最高峰の実力者として「三騎士」と総称する場合もある。
基本隠れ里である閑岱の外に出ないのにいつの間にか魔導馬召還の資格を得ていたという地味にとんでもない偉業の持ち主。
山本氏が後に声優の道に入ったことも相まって、再登場するたびに異様に声がカッコ良くなっていく。
後年の氏へのインタビューでは「この先よぼよぼに歳を取ってもやる時はやる感じの騎士になっているのではないか」とのこと。


  • 五道アキラ
小説版「妖赤の罠」に登場。
灼熱騎士・夜射刃(ヤイバ)の称号を持つ謎多き魔戒騎士。
流線形の女性的なフォルムの真紅の鎧を身に纏い、鎌型の魔戒剣・紅蓮斬を振るう。
登場タイミング的にはシリーズでもかなり早期に位置するキャラクターなのだが、実写で登場させるためには都合2名のキャストが必要など制約が多いせいで出しどころが難しいというのがネック。
後に鎧装着後のみが「CR 魔戒決戦牙王」に登場し、映像として動く姿はこれが初となる。


  • ケンギ(演・津田寛治)
映画「RED REQUIEM」や「桃幻の笛」などで登場する魔戒騎士。漢字では「剣義」と書く。
女魔戒法師・烈花の父親にして、幼少期の鋼牙に修業をつけてくれた恩人でもあったが、強大な力を持つ使徒ホラー・カルマの前に敗北し命を落とした。
早く一人前になりたいと焦る鋼牙に「お前の時代が来るのはこれからだ」、と真の強さはそれに相応しい時間をかけて培われていくという真理を諭す、厳しくも優しい男だった。
横笛を吹くのが好きで、烈花が時折奏でている英霊たちへの鎮魂歌は彼が教えた物。
津田氏の好演が非常に印象に残るキャラクターだが、撮影時期を同じくする「闇を照らす者」で同氏がケンギとは真逆の
人間の醜悪さ・無様さを煮詰めたような外道をこれまた大熱演してしまった為、どうにも真っ直ぐ「良い人」と観づらい悩ましさがある……。


第2期で新たに登場した騎士。当初は「阿門法師の再来」と称される若き天才魔戒法師として鋼牙の活動をサポートしていたが
その実態は閃光騎士・狼怒(ロード)の称号を受け継いだ系譜の有る元老院直属の魔戒騎士。
騎士の戦技と法師の知識という天に二物を与えらえたスーパーエリートだが、当人は至って温厚で謙虚な好青年。
同じ顔を持つ双子の兄・シグマとの確執が「MAKAISENKI」終盤の縦軸となっていく。
後日談にあたる「魔戒烈伝」では自分と同じ騎士と法師の能力を併せ持ったユナを固辞されるのを見越したうえで、
あえて元老院に勧誘しこれを激励するなど一回り頼もしくなった部分が描かれている。


雷鳴騎士・破狼(バロン)の称号を持つ壮年の魔戒騎士。
かつて鋼牙が修行していた修練所の教官で、彼に魔戒騎士としての心構えを説いた。
鬼教官として子供たちからは恐れられていたが、その実弟子想いで厳しさと優しさを兼ね備えた人情味のある人物。
ワイルドな風貌とは裏腹に言動も紳士的だが、「魔戒烈伝」の登場回ではホラーに大しては慈悲もなく斬り捨てる、非常に冷酷な一面を見せるなど多面的な雰囲気の持ち主でもある。


称号を持たない一般の魔戒騎士が召還する鎧の名称。漢字では「鋼」と書く。
現存する魔戒騎士の大半がこの姿となり、第2期の中盤で登場した多賀城信義(演:田中要次)も身に纏っていた。
称号を持つ鎧と比べると装飾が少なく、一般的なプレートメイルのような簡素なデザインが特徴。
牙狼剣とほぼ同型の魔戒剣を装備しており、色が金・銀・銅の3種類であるが、力や騎士としての格の違いがどういった関係なのかは不明。
ギャノンとの最終決戦で援軍として大量に現れ、ギャノンが召還した無数の号竜人と衝突を繰り広げながらも鋼牙達をサポートしていた。
「炎の刻印」では乱心した魔戒騎士マルセロが召還する形で登場。こちらは実写よりも狼顔がわかりやすいデザインをしている。


第3期「闇を照らす者」及び第六期「―GOLDSTORM― 翔」の主人公。命名は雨宮監督によるもの。
黄金の輝きを失った漆黒のガロの鎧を継承せし若き魔戒騎士。
戦い方や精神面でまだまだ未熟な面が目立つが、どんな苦難にも決して諦めないそのひたむきで泥臭い熱さは鋼牙から培われてきた「戦士としては完璧であるが、冷徹で孤独なダークヒーロー」という牙狼の主役イメージを良い意味で破壊した。
第6期では「闇を照らす者」での戦いを経てより「守りし者」としての自覚と威厳が増しており、歴代主人公の中でもより正統派ヒーローなキャラクター性が強くなっている。
シリーズ中最初に「鎧の永続的なパワーアップ」を果たした人物だが、これは流牙だけのガロを作ってやりたいという雨宮監督の想いによるところが大きい。
第11期「ハガネを継ぐ者」で、2シリーズを担当した鋼牙を抜いて歴代最多数のシリーズの主人公となった。
今や魔戒騎士としてはベテランの域にまで達しており、創磨を始めとした称号を持たない騎士達を導く役割を担う。


流牙と共に戦う炎刃騎士・(ゼン)の称号を持つ若き魔戒騎士。
当初は好色でチャラチャラした性格だが、やる時はやる…とみせかけて、割と隙だらけという流牙とは違う方向性でちゃんとしろよお前……という体たらくであった。
しかし池田氏の体当たりの演技と抜群の身体能力を活かしてのアクションは非常に鮮烈であり、魔戒騎士には珍しく喜怒哀楽のはっきりした性格も相まって応援したくなるキャラクター。
映画「神ノ牙」ではヘアスタイル・魔法衣・得物を変えて舞い戻る。
咄嗟の油断で鎧を奪われてしまうという失態を演じてしまうも
そこからおつりがくる程の生身バトルで群がる敵を薙ぎ倒し、成長の程を見せつけた。


流牙と共に戦う天弓騎士・牙射(ガイ)の称号を持つ若き魔戒騎士。
魔戒騎士の名門・楠神家の出身で、そのプライドの高さから流牙や猛竜と衝突する場面も多い。
一見そつのない優等生的な雰囲気だが実のところ
「自分が確実に活躍できる場面でないと動かない」
「不安材料が残る状況ではもっともらしいことを言って二の足を踏む」
……という悪癖があり、
ベクトルこそ違えど彼もまた他の若者とそう変わらない弱さを抱えた未熟者であり、
それを振り切ってあえてバカになってみることで一皮剥けるのがみどころ。
「神ノ牙」では装備を一新して遠近両面での戦闘力が激増している他、3期ではほとんど触れられなかった実家にいた頃について匂わせる描写がある。


  • 尊士(演・倉田保昭)
流牙たちを指揮する魔戒法師・符礼とかつては旧知の仲だった凄腕の魔戒騎士。
過去に行ったゼドムの魂を沈める儀式で法師達の警護に当たっていたところ、金城滔星の卑劣な策略によってゼドムのプラントを埋め込まれ、魔導ホラーに変貌してしまう。
シリーズでは非常に珍しい「本人に精神的な落ち度が一切無かったのに敵になってしまった」人物。
流牙、猛竜、哀空吏が3人がかりで戦っても全く寄せ付けない圧倒的な実力を見せ付けたが、この戦いでの挫折が彼らを心身ともに大きく成長させ特に流牙からは尊敬の念すら抱かれていた。
(サイ)にも似た二振りの剣を得物とし、魔導ホラー態は騎士の鎧と骸骨が歪に融合したかのような姿をしている。
厳密には元・魔戒騎士のホラーという分類であるが、人間だったころの記憶が僅かに残るという魔導ホラーの特徴からか「黄金騎士も地に墜ちたもんだな…」と普段の慇懃なキャラクターとは違う反応を見せたり、床に刺さったままの牙狼剣を抜こうとしたが上手くいかず機嫌を悪くするなど、
そこはかとない「騎士らしさ」が感じられる描写も見られた。


第四期「魔戒ノ花」の主人公。
初出は意外と早く、小説「鋼の咆哮」でゴンザから昔話を聴いている少年は彼である。
第一期の主人公・冴島鋼牙と御月カオルの息子で父からは強さを、母からは優しさを受け継いだ、歴代最強となる可能性を秘めた新世代の黄金騎士。
4期の時点ではまだ素質は高いが成長途上、といった雰囲気であったが、映画「月虹ノ旅人」では魔戒騎士としての経験と風格を大幅に増した状態で登場。
祖父・大河、父・鋼牙と共に現在のガロの系譜を受け継ぐ者としての使命を果たすべく立ち上がった。


影に生き、影に消えゆく宿命を背負った幻影騎士・吼狼(クロウ)の称号を持つ。
黒装束に刀・手裏剣に似た暗器「円参」など、騎士というよりはニンジャめいたモチーフが強め。
任務一筋・無機的な雰囲気を漂わせてはいるが、実際は負けず嫌いで意地っ張り、ちょっぴりナルシストなお年頃。
肝心なトドメを雷牙に持っていかれることが多いのが悩みの種だったが、「月虹ノ旅人」では雷牙不在の状態でマユリやゴンザを守って大活躍。
意識不明の雷牙を蘇生させる儀式を単独で執り行い、渾身の一撃で決戦の舞台となった牙城の結界を破壊するなど、TV版の不遇が嘘のようなMVPぶりを見せている。


邪骨騎士・義流(ギル)の称号を持つ魔戒騎士にして、クロウの所属する隠密の騎士たちのリーダー(隊師)。
熟練の剣技に加え札を媒体にした法術など、あらゆる手段で相手を効率よく無力化する老獪なスタイルで戦う。
彼の恋人を想う心が「魔戒ノ花」の一連の事件の元凶となってしまった。
「魔戒烈伝」ではその後罪を償うために収監されたことが明らかになり、新たな影の騎士の隊師にクロウを任命した。
「月虹ノ旅人」では本人こそ登場しないものの、ここ一番の場面でクロウの脳裏に浮かんだのはエイジだった。


第5期にしてシリーズ初のアニメ作品「炎の刻印」の主人公。年齢が判明している中では、恐らく史上最年少の黄金騎士。
呪われた生い立ちがトラウマとなっており、それが引き金となって大きな過ちを犯してしまう。
一時はガロの称号と鎧を剥奪されるというどん底にまで落ち、以降も過酷な運命に見舞われながらも、真の守りし者として再起。
宿敵メンドーサとの戦いを終えた後も、「明日を繋ぐ」信念の元に戦い続けている。
当初はややナーバスでぶっきらぼうなところもあったが、多くの出会いを通し懐の深い騎士へと成長していった。
4年後の物語である「DIVINE FLAME」では、魔導馬・ゴウテンを所有している。

鎧の種類も、黒コート時代と白コート時代で能力や見た目が異なる他、
  • 炎を操る三つ首の形状をした特殊な心滅獣身
  • 絶影騎士ゾロの鎧と同時召還した双烈融身
  • 先代すべてのガロの意思を受け継いだ天剣煌身
……など派生形態も豊富。
ただその一方で、他作品の黄金騎士と比較すると戦績はあまり良いとはいえず、オルビエのキマイラことアンフェル、伝説の魔獣ことブラッドムーンや使徒ホラー・マンドゥーラなどの主要の強敵はもう一人の主人公であるアルフォンソが討滅している。
TVにおけるラスボスのメンドーサ・アニマ吸収体もまた、前代未聞の不滅能力故に双烈融身ガロの力をもってしても討滅不可で、母が授けた炎の刻印によって魔界で永遠に焼き続けることになる。「DIVINE FLAME」にてサー・ヴェヌスを討滅したことで、ようやくまともな戦績を得たといえる。
ドラマCDで時空を超えてルークと邂逅した際は彼を「君」、と呼びかつての余裕の無さはどこにもない。
落ち着いて優しげな態度で導いており魔戒騎士として円熟の境地に至った感がある。


絶倫騎士絶影騎士・ゾロの称号を持つ魔戒騎士。
鋼牙狼シリーズの零の流れを汲む、銀色の鎧に双剣を操る騎士。かつては「ロベルト」と名乗っていた。
第1話の時点で既に銀色の魔導馬・ゲツエイを所有しているベテラン騎士。
病的なまでの女好きで全裸が正装とも言うべき色ボケ親父だが、父として、また師匠として優しく、時に厳しくレオンを見守っている。
騎士としての実力は全シリーズでも屈指の強さであり、普段はちゃらんぽらんだが決める時は決める。
演じた堀内氏曰く「今のお父さん像としては一番かっこいいタイプ」のイカしたオッサン。
TV版の終盤で壮絶な最期を遂げるが、後日談「DIVINE FLAME」では意外な形で再登場を果たす。


ヴァリアンテ王国の王子で、レオンの従兄にあたるもう一人の主人公。
世間知らずな面もあるが、父母の愛を受けて培った「己の身を顧みず民を守る」王族としての信念は本物。
師・ラファエロとの修行を経て、彼から堅陣騎士ガイアの称号を受け継いだが、一時期はレオンからガロの称号と鎧を剥奪。ガロの後継者としてヴァリアンテ国を守っていた。
民間人からひと月足らずで一端の騎士としての技量を身に着け、二つの称号を同時に継承など、歴代黄金騎士の中でもブッ飛んだ天稟の持ち主。
そして昼は政務・夜はホラー討伐とシリーズでもぶっちぎりで多忙な魔戒騎士である(そもそも忙しくなるような副業持ち自体が珍しい)。
そんな激務生活にもかかわらず、4年後の物語である「DIVINE FLAME」で鎧は「堅陣騎士ガイア剛」にパワーアップ。
レオンと同様に魔導馬・テンジンを所有している。王子凄い!


先代・堅陣騎士ガイア。レオンの祖父である先代ガロの盟友でありヘルマンやベルナルド、アンナの師匠でもあった。
通称「鬼ひげ」。ヘルマンは辛い鍛錬からよく逃げていたらしい。
病に冒されて残り僅かな命を燃やし、アルフォンソを一人前の騎士へと鍛え上げた恩師。
最期はガイアの鎧と魔戒騎士の使命を弟子に託し散ったが、その魂は英霊となりアルフォンソを見守っている。
強さは本物だったが世知に疎いというレオンの祖父を補佐するためか、魔戒騎士にしては珍しく世渡り上手。
世間知らずなアルフォンソにとってはそういう方面でも頼もしい師匠であった。


シリーズで数えて2人目の暗黒騎士・ゼクス。かつては翠瞑騎士(すいめいきし)ゼクスの称号を持っていた。
ロベルト(ヘルマン)やアンナの朋友で彼らと同じくラファエロの弟子だったが、堕ちた魔戒法師メンドーサの策略による「魔女狩り」に踊らされるヴァリアンテの兵士に絶望。
心の中の隙を衝かれてメンドーサの誘いに乗ってしまい、その術によって闇の騎士へと新生した。
前身の頃から魔導馬も既に所有しており、名を穿角(センカク)という。
レオンの前に出現し、圧倒的な実力差を見せつけるが、実体はレオンのライバルと言うよりもヘルマンの旧友であり好敵手という趣の強いキャラクターで、レオンとはそれきり再会せぬままサンタ・バルド城でヘルマンと激突、雌雄を決する事になる。
ヘルマンに敗れた後は正気に戻り、薄れゆく意識の中で「自分の剣の継ぎ手を探してほしい」とヘルマンに懇願。
ヘルマンもまた、彼に「絶対に見つけてやる」と会話を交わしたものの、闇に堕ちた魔戒剣は肉体と共に消滅しゼクスの系譜は断たれてしまった。


バラゴを主人公としたスピンオフ「呀-KIBA- 暗黒騎士鎧伝」に登場。
当時の西の管轄内では最強の魔戒騎士で、絶狼に似た白銀の鎧と二刀流の剣技に加え、
水・風・雷といった自然現象を自在に使役し、死してなお相手の精神に干渉する玄妙な法術を操る実力者。
闇に堕ちたバラゴの粛清に向かうが敗北し肉体を失ったものの、前述の術により死後もバラゴの精神に入り込み精神世界で幾度となく剣を交える。
その本来の目的は、バラゴが見失った心の光を取り戻させることにあったのだが…
実は系譜的には零の兄弟子に当たる。
ちなみに声を演じた井上和彦氏は『ゼイラム2』『人造人間ハカイダー』など、過去に雨宮監督が手がけた特撮作品にも出演している。
呀出演時はスーツが制作されたがその後バロンに改造されたため現存していない。


  • 獣身騎士・戯牙(ギガ)
初登場はパチンコ作品「魔戒決戦牙王」。緑色の重厚な鎧に身を包み巨大な戦斧「獣身斧」を揮うパワーファイター。
当時は情報がほとんど開示されない謎の騎士だったが後に第六期「―GOLDSTORM― 翔」に逆輸入され、秋月ダイゴ(演・脇崎智史)が持つ称号として登場。
ガロの鎧と共にデザインに若干のマイナーチェンジが施されている。
一見すると荒っぽいように見えて態勢を崩してから斬る・鎧の召還と攻撃を同時に行うなど極めて少ない手数で効率的に戦う熟練騎士。
ソウルメタルの力で空中で複雑な機動を描いて敵を斬り捨てたり、意念を集中させることで単独で武器を巨大化させると思いのほか技術の引き出しが多い。
ギガのスーツが「神ノ牙-覚醒-」で改造・流用される都合から残念ながら以降の続編では戦闘要員としては参加できなかった。


  • 鷹皇(おうこう)騎士・王牙(オウガ)
「魔戒決戦牙王」に登場する正体不明の魔戒騎士にして、「知る人ぞ知る」シリーズ最強の魔戒騎士。
見た目はマントを羽織った純白の騎士で、体躯は通常の騎士の鎧の倍近い巨体……というこの時点からして人間を完全に辞めている見た目をしている。
最強無比を標榜し、現在の若き魔戒騎士たちの実力を計り知るために各管轄より選ばれた八騎の魔戒騎士を招集し、名誉ある武闘会「魔戒決戦トーナメント」を開催した。
その正体は元老院の玄武議長(一部メディアでは「妖赤の罠」に登場した朱雀議長とされているが完全には明言されていない)。
ハッタリ重点のパチンコ版とはいえ、必殺技「大凰激烈」(だいおうげきれつ)太陽系を召還して吹っ飛ばすなど出る作品を間違えたような演出を引っ下げて暴れまわり、
雨宮監督へのインタビューでは(ガロが位階としては最高だが)
「強さで言ったらオウガの方が上かもしれない」とまで言わしめた、まさに最強無比の魔戒騎士。
これまではパチンコ限定のキャラクターかと思われていたが、「月虹ノ旅人」において、黒幕の手によって切り札として“意外な形”で登場する事になる。
これによって暗に最凶最悪のあの暗黒騎士すら認めざるを得ない存在という事が示されるなど、その最強無比ぶりはとどまる所を知らない。
多分ポジション的には某光の国の伝説の超人とかと一緒。


  • ジンガ(演・井上正大)
第六期「―GOLDSTORM― 翔」、劇場版「神ノ牙」に登場。
伝説の魔城・ラダン復活を目論む、闇に堕ちてホラーとなった元・魔戒騎士。
人間態は銀髪の青年。ホラー態・神牙は第一期に登場した魔獣装甲コダマを思わせる、騎士に近い姿をしている。
かつての志は失われ、完全に自我はホラーのものと化しているゆえ「どこまでも純粋に邪悪」。
と称される程悪魔的な性格をした超危険人物であり、こいつと関わったら最期、確実に不幸のどん底に墜ちて破滅するといっても過言ではない。
ガロ以外のキャラなら大体手玉に取って余裕で勝てる悪の主人公補正を持っている存在。
黒鞘の魔戒剣を得物とし(ホラーに憑依された際にデスメタルに反転したと思しき描写がある)、その剣技と体術は流牙、ダイゴという名のある称号を持つ魔戒騎士2人を、一度に相手取っても圧倒できるほどの技量を誇る。
剣技はもちろん、演じた井上氏がテコンドーの有段者であることから足技を主体とした体術に秀で、作中では幾度も流牙とスタント無しの死闘を演じた。

10周年記念作品「魔戒烈伝」において、パートナーであるアミリとの出会い、魔戒騎士だった頃の姿が描かれた。
「神の牙」の異名で呼ばれ、魔戒法師達の間でも名の知れた優秀な騎士だったようだが、自信家で口が悪いのは人間の時からあまり変わっていないらしい*22
その後、井上氏は舞台版のプロデュースも手ががけるなどシリーズとの関わりを深めていき、2018年10月よりジンガの単独スピンオフ「神ノ牙-JINGA-」が放映。
劇場版「神ノ牙」のラストからの続編として御影神牙(みかげじんが)という名で転生した設定となっており
新たに影煌騎士・狼是(ローゼ)の称号と鎧が与えられた。


  • 彪旺牙(コオキ)(演・君沢ユウキ)
舞台「神ノ牙-覚醒(メザメ)-」に登場した魔戒騎士の青年。蒼天騎士・斬虎(ザンコ)の称号を受け継ぎし者。
コオキはTV版「-GOLDSTORM-翔」で登場したダイゴの兄弟子檜葉セイジの直弟子でありそれゆえか斬虎の鎧も
ギガに形状や色彩、斧を用いて戦うスタイルが似通ったものとなっている*23
二丁の小型の手斧を軽やかに操りズーラの谷の魔獣クアッドを単身殲滅するなど若くして実力的にも太鼓判を推された戦士であり
性格も明朗で爽やかな熱血漢。弟分の見習い騎士テッカンにも慕われている。
かつて未熟だった頃に想い人の魔戒法師那月(ナツキ)の窮地を前に何もできず、そこをガロ(流牙)に救われたことで
黄金騎士に対しては僅かな嫉妬と対抗意識を抱いており、その蟠りがナツキを巻き込んで彼を無謀な行動に走らせ…。
…結果論ではあるが続く劇場版「神ノ牙」においてジンガが復活した元凶は彼とナツキと、それに指令を下した番犬所である。


  • 狼斬(ろざん)(演・高杉亘)
「JINGA」に登場。主人公である神牙が獲得した「ホラーに憑依された人間を元に戻す能力」の真贋を確かめるため
番犬所に召集された凄腕のエリート魔戒騎士。紫杖(しじょう)という弟子がおり、彼を始め周囲の人間からは「大師」と呼ばれている。
魔戒槍を武器に戦う歴戦の達人で、突きの余波だけで低級ホラーを消し飛ばし、魔戒騎士とホラーが交戦した現場で思念を集中させることでその場にいた騎士や法師の特徴や技量まで読み取ってしまうほか、
基本身内以外には広く知られていない御影一家を襲った悲劇について短期間に調べをつけるなどただ強いだけでなく刑事や探偵のようなスキルにも秀でた騎士。
また、一見強面だが基本社交スキルに乏しい魔戒騎士には珍しく冷静な視点と紳士的な態度を併せ持ち、
ホラーの挑発に対しても全く動じず殲滅に移行するなどメンタル面での水準が非常に高く描かれているのが印象的なキャラクター。
……どう考えても称号持ちとしか思えないのだが、尺と予算の問題からか、ラストまで鎧を召還する場面は無いまま退場するという幕切れには不満を感じる視聴者も多かった。


  • 雷吼(CV・中山麻聖)
第七期兼アニメ第二期「紅蓮ノ月」の主人公。「らいこう」と読む。
モデルは史実の人物「源頼光(みなもとのよりみつ)」で劇中でもそのような扱いとなっている。
平安の世に現れた火羅(ホラー)を討滅する若き魔戒騎士。
藤原道長の政治的圧力に負け、魔戒騎士としての使命を放棄してしまった実家に母共々追放され、以降寄る辺ない身の上からガロの後継者になったという波乱の半生の持ち主。
ゆえに歴代の黄金騎士では最弱と言って良いくらい実力は振るわないが、そうした自分の身の上に腐らずに愚直なまでの正義感と『全ての人を守りたい』と願う姿勢を持った勇敢な青年。
前半は星明の術がないとザルバの封印が解かれず鎧召還もままならない体たらくだったが、中盤でついに自力で封印を解除することに成功。鎧も武者の大鎧を思わせる牙狼・陣へと変化した。
本来破滅に一直線の害毒でしかない心滅を身を守るために発動させたり、その経験で既に心滅を克服していたり
不可解な現象がその身に何度も起こっているのだが、それについての説明は劇中では一切されていない。
ちなみに最も身近なところにいる異性がよりによって星明だったためにやや女性不信の気があり、本編・後日談ともに童貞である。
TV版の時点では魔導馬の召還資格を得ていなかったが後日談「薄墨桜-GARO-」では魔導馬の轟天を所有している。


  • 藤原保輔(ふじわらのやすすけ)袴垂(はかまだれ)(CV・浪川大輔)
「紅蓮ノ月」に登場する魔戒騎士。史実における藤原保輔は強盗などの凶悪な所業に手を染めて本邦初の切腹で死んだ罪人とされている。
元は名門・藤原南家出身の次男として生まれ、京の治安を守る検非違使だったが放免の女性・小袖との離別を経て義賊「袴垂」を名乗る*24
後にひょんなことから袴垂のことを聴き知った元藤原家の大盗賊・天戒丸/藤原時忠から白蓮騎士・斬牙(ザンガ)の称号を継承される。
真面目で朴訥としたお坊ちゃんからワイルドでやさぐれたべらんめえ口調のお頭にイメチェンした上に知らぬ間に魔戒騎士になっているという慌ただしいキャラクター。
しかもTV版最終回ではラストでこれまで一緒に戦っていたのに何の前触れもなく唐突にその場からいなくなっているという不遇な扱いを受けている。
雷吼同様に本編で魔導馬は所有していなかったが、「薄墨桜-GARO-」で銀色の魔導馬・レッカを所有。
そして、九国の地から都へ魔導馬を走らせて3日かかってしまうところを、魔導馬で魔界を直接突っ切ることで1日もかからず都へ戻るという荒業を披露した。


  • 常若(ときわか)(CV・宮野真守)
雷吼のお供である怪力の童子、金時のかつての姿。モデルは頼光配下の武士にして、童話の金太郎が成長した姿である坂田金時。
二丁のマサカリを操る魔戒騎士で、鎧はシルエットのみが分かっており(TVシリーズのギガに似ている)名前やデザインは明かされていない。
この鎧は常若が師から受け継いだ物だが、纏うと数年分だけ身体が若返りその間の記憶を全て失うという性質を持つため、実戦では迂闊に使うことさえできないという異常に厄介な代物。
結局現在の金時は魔戒騎士としての力や記憶を大部分失った常若の成れの果てといえる。
その分生身ではかなりの強さを誇っており、料理も上手い。得意料理は兎鍋。
実は雷吼の従者となる前の時点でその母である玉櫛とは知己であり、彼女を守るために今の記憶と姿をあえて手放し鎧を纏い、現状の金時の姿となったという経緯があった。
…しかし、金時は十年近い年月を経ても一向に子供の姿から成長する兆しが見えず、彼がまた常若の姿に戻れるかは杳として知れない。


  • ダリオ・モントーヤ(CV・萩原聖人)
劇場版「DIVINE FLAME」に登場。
バゼリア国根付きの魔戒騎士で、黒曜騎士ゼムの称号を持つ。一つ目の魔導馬・ライメイを所有している
刀傷で両目の光を失い、それをバンダナで隠している盲目の騎士だが、長槍でレオンを襲った死人を易々と討滅するほどの腕を持つ。
愛の力は無敵で奇跡を起こすという、定番の言葉の暗黒面を全身全霊で体現した業深き男。
最期の最期まで「自分は愛する者のために戦う守りし者だ」と言い切る狂気や目的達成にかける行動力と執念は凄絶の一言に尽きる。


  • ゴウキ(演・棚橋弘至)
10周年記念作品、新日本プロレスとのコラボレーション企画「阿修羅」に登場。
太古の昔に黄金騎士の称号を継いでいたとされ白い眼のガロの鎧を持つ、筋骨隆々の巨漢。
身の丈ほどもある武骨な意匠の魔戒剣を振るって戦う豪快な男だが、たとえ戦闘中でも美しい花を傷つけてしまうことを躊躇う程の優しさも併せ持つ。
ホラーとの戦いで傷を負った自分を助けてくれた兄弟の長女・レンを救うため、彼らの故郷を滅ぼしたホラー・ザルギン(演・真壁刀義)の居城へと乗り込むが、その圧倒的な力で劣勢に立たされ、牙狼剣を失ってしまう。
しかし、かつて魔戒法師達が人々を護る願いを込めた女神像の力と兄弟達のゴウキを思う心によって新たな形態「天翔牙狼」を発現。
渾身のハイフライフローによって己の肉体を牙狼剣に変え、ザルギンを討伐した。
鎧を身につける前の方が強そうとかいっちゃいけない
作品の性質上、長らく「実在する牙狼継承者の経験がおとぎ話になった」「子供に語り聞かせるおとぎ話として創作された(実在しない)」双方の解釈ができる。
少し不思議な騎士であったが、「牙狼〈GARO〉ぴあ HISTORY BOOK」の掲載記事によると過去に実際に活躍した騎士であるらしい。


第9期兼アニメ第3期「VANISHING LINE」の主人公。
近未来都市・ラッセルシティでホラーを討滅する魔戒騎士。前述のゴウキに負けず劣らずのゴリマッチョ屈強な肉体の持ち主。
明るく豪快なナイスガイで、何やら思い詰めたような雰囲気の持ち主が多い魔戒騎士の中では異色の存在。
私生活は大食いで女好き、特にお姉ちゃんのおっぱいを見て御参パイ御参拝する癖があり、とある回ではヒロインのソフィにおっぱいについて力説して*25
「キモい」などとドン引きされる場面もあった他、参拝中に「最低」「人間やめれば?」とボロカスに言われる始末。

しかしザルバに「最強のガロだ」と断言させるだけの圧倒的かつ説得力に満ちた強さを有しており、ホラーを徒手空拳で押しまくり、普段の戦闘は拳が7で剣が3くらいのバランスで完全勝利してしまうために「ゴリラ」「魔戒騎士GORI」「お前ソード(剣)じゃなくてフィスト(拳)に改名しろよ」「魔戒武闘伝GAROガンダムなど揶揄と賛辞が半々になった評価を得ている。
特に黄金騎士ですら手痛い敗北を覚悟しなくてはならない暗黒騎士との激突を3度行い3度とも勝ち越しているというのはファンの語り草。加減しろ莫迦ッ!!
ただし第1話で大規模な破壊を起こし、巻き込まれた民間人も出すなどルークに「やりかたが雑すぎる」という趣旨の批判も受けているように魔戒の者としては決して完璧な人物というわけではない。

黄金騎士になりたての頃に、ホラーの策略で引き起こされたシグナスラムテック社爆発事故で妹である「リジー」を失っている。
今のソードからはとても想像できないが、その時は食事すら喉を通らないほど意気消沈していた。
この一件後、妹の存在を忘れ去られるものにしないため、体を鍛えながら日夜ホラーとの戦いを続けてきた。
一般人の少女ソフィを守るため魔導二輪状態のザルバがナイトへ特攻し爆死した悲しみから、その残骸たる魔導輪を取り込んでガロの鎧を新たなる形態へと進化させた。
進化前と比べ、鎧はより鋭角的なデザインとなり、ボリュームもアップしている。
変化は外見だけではないらしく、ナイトはこれを「パワーアップ」と呼んでおり、実際ザルバの特攻で少なくないダメージを負っていたとはいえ、進化後の戦いでソードはナイトに一切の反撃を許さず圧倒している。つまり、ただでさえ強いソードの鎧が更に強化されたことになる。
因みに、大破したザルバと魔導二輪は導きの地で復活し最終決戦前に復帰しており、真のエルドラド内でキングの支配から解き放たれた後に魔導二輪共々更にパワーアップ。しかも、これまでの作品の双烈融身や天剣煌身のような一時的なものではない。もうやだこのゴリラ。
一作品の中で、二度も永続的なパワーアップを果たしたのは、現時点ではソードのみである。

ラスボスに相当するエルドラド・キング討滅後も「久々に疲れた」程度で済ませ、脱出時点でも無傷で元気。万全の状態で乱入した最終形態の暗黒騎士ナイトともそのまま戦いほぼノーダメージで勝ってしまうほどに強い。
劇中でソードがピンチに陥ったのは、エルドラド内でビショップの爆弾からソフィを守った時とキングの絶対性質に一時支配された時、そしてレディ・ビオラに貞操を奪われかけた時くらいである。

ブルーレイBOX2発売記念トークの際に、久保監督は
ソードが強すぎて、思わず鎧を着せるのを忘れるほど。中には鎧を纏っていない状態で勝利して話が終わっていることに気づいて後から鎧を装着させる展開に変えたものもあった」と述べている。
更にソードはナイトとの最終決戦時に「あんたほどの力があれば、俺と二人で魔界へ乗り込んで全てのホラーを討滅することもできただろうに」と言っているが*26、異常なまでの強さを作中で存分に見せつけているので、実際にできそうな気がする。
ソードと言うのは通り名のような物で、他のレギュラーメンバーに通常時の名前とは別の本名が公式HPで紹介されているのに対しソードはそれが明らかになっていなかった。
後に妹の台詞でファミリーネームが「ランバルト」であることが明かされている。加えて、DVD・BD発売記念イベントにて本名が「ヴィルヘルム・ランバルト」と判明した*27


  • ナイト(CV・浪川大輔)
本名「クリストフェル・ハーデン」。高位のホラー、エルドラド・キングの配下である「三剣」の一人である暗黒魔戒騎士。
かつては震鳴騎士ボルグの称号を持ち「最強の白銀騎士」の異名で称賛されていた猛者だった。
しかし、表向きの感情の起伏に乏しいためにその危険性が長年見過ごされてきただけで実はひたすらに「超人的な力を得て、それを揮って強い敵と心行くまで戦い続ける」という修羅の如き闘争心だけを内に秘めていた恐るべき戦闘狂
よって、それ以外の事柄には徹底的に無関心で、「弱き人々を守るために戦う」という魔戒騎士の本義すら眼中に無く、邪魔だと思えば妻子であろうと平然と斬り捨て、民間人を物の弾みのような感覚で淡々と殺す。ソフィーの育ての親のシスターの息の根を止めたのも彼の仕業。
魔戒騎士の力を用いる事にもブレーキが存在せず、従来の暗黒騎士が力量とは関係なく秘密裏に計画を進めるためにあえて力を見せる場面を見極めていたのに対し、
戦い自体が目的であるナイトは大都市のど真ん中で暴れまわりビルを倒壊させるなどの凄まじい規模の被害を出している。
強さはさておき迷惑度でいえば歴代最悪の暗黒騎士。

力を求め続けるあまりふとしたことで手にした禁断の書に秘めたる欲望を解き放たれ、妻であるアデレート・ハーデンを殺害し闇に堕ちる。
その後はキングの指輪の能力による支配に縛られクイーンやビショップと並ぶエルドラド三剣、そしてガルエデン社のセキュリティ部門統括としてソードたちの前に幾度も立ちはだかった。
指輪の主となったマーティンに会社の重役と言う表向きの立場でエルドラド三剣が自己紹介する際、他2名がスーツ姿であったのに対しそんな茶番に興味がなく、協調性も持っていないナイトだけがコスプレ不審者丸出しの魔法衣姿だった。
そのため、視聴者からは暗黒警備員ナイトという愛称で呼ばれていた。
描写は徹底してシリアスな悪漢なのだが、どこかユーモラスな一面も持っているシリアスな笑いの提供者でもある。

実は魔戒法師ルークの実父にして、母であるアデレートの仇でもあるが、親子対決の機会こそあったものの強者にしか興味がそそられないナイトからすれば、息子のルークは貧弱なカスに過ぎず、再会した時の感想は「まだ生きていたのか」と冷淡なものだった。
逆に破格の強者であるソードには熱烈なラブコールを送っており、何度となく刃と拳を交わしているが、実はガロに勝てた試しが一度も無かったりする。
最終回、先にキングが倒されたことでその呪縛から解放され真の力を出せるようになり、ソードとの真剣勝負に臨むが結局敗北。
牙狼剣を突き刺されながらいとおしげに刀身を撫でて、黄金騎士であるソードの真の強さを称えながら満足げに消滅していった。
この時、愛用の魔戒薙刀も同時に消滅しているためボルグの系譜もまた断たれたことになる。
暗黒騎士に堕ちる以前からなのか、作中の修練の成果によるものなのかは不明だが、真のエルドラド内に乱入した際には
禍々しいトライクのような形状の魔導二輪(三輪?)とそれを起動させるための魔導具を所有していることが判明した。

ある意味最初から最期まで自分の満足いく形の行動しかしていない人物。
ホラーに憑依されながらも弱者を襲わず剣士の誇りを忘れなかった猪狩重蔵と異なり、ただひたすら周囲を顧みず暴れ回った末に己が望みが叶い、ある意味勝ち逃げに等しい退場を遂げた狂戦士でもある。


記憶を消去する媒体に雨を用い、大都会であるラッセルシティのホラー絡みの怪事件を事後処理して廻ることから「雨男」の異名を持つ青年。
二丁拳銃による乱射乱撃やライフルを用いた狙撃を得意とするガンナータイプの魔戒法師で、その実力は若くしてホラーとも五分に渡り合えるほど。
実はナイトがかつて守りし者だった時に設けた実子。
本来なら次代の震鳴騎士ボルグの称号を継ぐはずが、父が闇に堕ち、愛する母を惨殺した過去の心の傷から魔戒騎士の道を断念し、「騎士の技を修めながらそれを使えずにいる守りし者」だった。
その影響で他者との接触を避ける、ある意味魔戒の者としては模範的なスタンスで活動していた。
しかし、凶刃を揮う父との再会と完全な敗北、そして人を守れなかった無念といった経験をバネに徐々に更なる境地に成長していく。

「こいつどうせ中盤で騎士に復帰するんじゃねーの?」という大部分の視聴者の予想を裏切り、本編では魔戒剣を扱うことはあったが終始魔戒法師としての立場を貫き通している。
騎士としての雄姿を見せたのは実に最終話のエピローグ、本編より1年後のワンカットのみであった。
銀色に二刀流、エネルギー流動経路の色は水色、と伝統の銀牙騎士ゼロポジションとボルグの特徴を折衷して近代的に洗練させたような雰囲気が特徴*28
通常時は従来の銃器に加えて折り畳み式の魔戒剣を使い、鎧を召還してからは1本の剣が変化した双剣を操って戦うという戦闘スタイルを選択した模様。
ラッセルシティからは管轄が異動になったようで具体的な赴任先の情報は無い。

劇場版「薄墨桜-GARO-」3週目入場者特典のクロスオーバーCD3「心闇」では、鎧の名前が「ゼロス」であると判明。
白銀と二刀というスタイルから、レオン・ルイスは亡き父・ヘルマンの絶影騎士ゾロの鎧を連想しており、父親絡みのトラウマから敵の術中に嵌ってしまった様子にかつての自身を重ね合わせる。
そして、その心の闇を祓うためにあえて誤解を解くために説得することは避け、真剣勝負でその剣を真っ向から受け止めることを選択した。
制作陣曰く、ルークはレオンと同系統のキャラクターであるとのこと。
銀髪褐色のわかりやすいイケメンであるため女性ファンに人気があり、顔の下半分が長い襟に覆い隠されたコート姿は『細かい表情を描かずに済むので作画が楽』とスタッフにも有難がられているとか…。


  • 空遠世那(演・松大航也)
GARO -VERSUS ROAD-」の主役の1人であり、群像劇となる本作の主人公。
しかしその素性は魔戒騎士どころか正義感が人より少しだけ強いという以外は普通の大学生の青年であり、身体能力はボクシングを嗜んでいるため常人より優れている程度で騎士にとって必須となる剣の扱いなど以ての外。ハッキリ言ってしまえば歴代ぶっちぎりの最弱主人公である(これに関しては同作の他のキャラクターも同じことが言えるが)
親友の星合翔李から聞いた「クリアすればどんな願いでも叶うゲーム」という「GARO -VERSUS ROAD-」への招待状となるVRゴーグルが届いた事から「望む物全てと最強の称号「ガロ」」を賭けた、過酷な戦いの運命へと引きずり込まれる事となる。


  • 葉霧宵刹(演・丸山智己)
「GARO -VERSUS ROAD-」の主催者の1人。
魔戒騎士を思わせる黒いロングコートを身に着け、別室のモニターでゲームの参加者を監視している。
その発言の節々にも魔戒騎士でしか知り得ない情報が垣間見えるが…?


  • 白羽創磨(演・中野温)

「ハガネを継ぐ者」に登場。
まだ称号のない「ハガネ」の鎧を纏う若年の魔戒騎士。
法師のコヨリ、ムツギと共に舞台となるクレアシティを管轄している。
若さ故の自信過剰なのか、黄金騎士である流牙に対しても不遜な態度を崩さず、1人で街を護る事に固執している。
その背景には3年前に失踪した父・ゴドウが関係しているようだが...?
設定上では魔戒閃騎から存在していた「ハガネ」が初めて独立したキャラクターに採用された。

  • ゴドウ(演・萩原聖人)

先述の創磨の父。光斬騎士・斬冴(ザンゴ)の称号と白色の鎧を持つ。
ムツギ法師と共にクレアシティを管轄する魔戒騎士だったが、3年前に失踪。
それ以前に流牙と面識があったようで、自身の奥義・閃光剣舞を伝授している。




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最終更新:2024年03月09日 22:10

*1 冴島鋼牙の名はここから取られている

*2 漫画版では「東の番犬所」名義なので青=過去作の東という認識でも良いようである

*3 「魔戒騎士ってちゃんとした職業でもないのにどうしてこんな豪邸に住んでるの?」という問いに、冴島家は表向きは巨大な財閥を運営しており鋼牙はそのトップ…という裏設定が語られたという話もあるが、真偽は不明

*4 ちなみに同じ意味を持つ旧魔界語に「バラゴ」「ヤリュバ」などがある。ホラーの世界のくせに妙に希望の概念が細かい…

*5 冴島大河やレオンの祖父などの故人が当代とは別にガロの姿で出現したり、アニメやコミックでは全時代の牙狼が鎧を着て馳せ参じるような場面もあるが、一種の演出であるとも読み取れる。また、パチンコ版の映像では当代の騎士である鋼牙が鎧を所持したままであるためにそこから先の未来が変わってしまい、雷牙がガロになっていないという描写もあった

*6 一応「闇を照らす者」では莉杏が術の力で社会のトップシークレット級の情報をあっさりハッキングしてみせたり、「VANISING LINE」でもソードがスマホをスイスイ操作したりしており、情報社会に適応できていないわけではないのだが…

*7 「VANISHING LINE」のソードのように剣を使わず肉弾戦ばかりしていると身体に直接邪気が溜まるため、非常に危険である

*8 何故か場所も時代もバラバラのどの作品でも地続きで歩いて行ける不思議な場所である

*9 歴代の敵役も愛ゆえに道を踏み外した輩が結構な数おり、一途な愛情の暗黒面というものが繰り返し描かれている。「死んだ恋人」とか裏切りフラグ以外の何物でもない

*10 ガロの系譜も例外では無く、結構な頻度で「長い間現れることがなかった~」と説明されるケースがある

*11 厳密には現世で活動するための仮初の器を破壊することで剣にその魂を封じ込め、再度元いた世界に送り返す…という手順であり、ホラーを斬るといっても本質的にはそのホラーを抹殺しているというわけではない

*12 これを逆手にとってホラーにわざとパスして重石にするなどという芸当も可能

*13 第1期最終回では心が奮い立っていたゴンザが零の魔戒剣を両手で持っていた

*14 「神ノ牙」でジンガが魔界と人界を行き来する過程でホラーは記憶を失くしてしまう、といった旨の発言をしており本体から再度作った器に意識を移す際にも同じ現象が起きている可能性もある

*15 スタッフのTwitterによると言葉を全く発さないらしい。それでサポートとかできるのか?

*16 魔界側にもこうしたヒエラルキー意識が根付いており、舞台「神ノ牙-転生-」では人間界に興味の無い魔獣人という種族が一般的なホラーを「下獣」と呼んで蔑んでいる

*17 パチンコ「冴島鋼牙」では特殊映像の一部に「もし雷牙がガロを継承しなかったら」という未来像が映っており、その時の雷牙は金色に染まり部分的な装飾が異なるハガネといった風情の鎧を纏っていた

*18 無論身体はひとつなので、片方が遊んでいるこの状態はあまり望ましくは無い。しかし炎の刻印のラストバトルでは意外な展開が…

*19 K-1創成期のスター選手であったアンディ・フグや組長の二つ名でお馴染み藤原喜明などの格闘系スポーツ選手を集め将棋の駒に見立てそれを使い将棋を指し勝敗を異種格闘技戦で行うと言うモノ

*20 厳密には術の使用はルールで禁止とはなっていないが暗黙の了解で使わないという扱い。「蒼哭ノ魔竜」でのレオの発言が小説の後にルールが改められたのか単にレオが「明文化されてない手段なら使っても良い」という勝負論の支持者だからなのかは不明

*21 横断歩道すらまともに渡れない翼が良い例

*22 しかし「GS翔」内の回想では落ち着いた大人っぽい雰囲気で話すシーンもあり、結婚して妻子持ちになったことで人間が丸くなったようである

*23 メタ的にはギガのスーツを改造して作ったため。額に短い角が生えている・瞳の色が違う・鉤爪のついた腕が左右逆等の差異がある

*24 小袖は火羅と化した後に斬られたのだが、実はこの顛末を保輔は全く知らない。また盗賊になったのも貴族社会への鬱憤晴らしが動機で魔戒騎士とは全然関係がなかったりする

*25 無視されて独り取り残されても壊れたテープのように同じ演説をしていた。正直、怖いです……

*26 さらっと言っているが魔界にはザルバのような良心のあるホラーも大勢住んでおり、そんな事をするのは明らかな協定違反である。地味に危険人物である

*27 イベント終盤のクイズ第4問目の内容が「ソードの本名は?」。選択肢はA.ヴィルヘルム・ランバルト、B.ベルナルド・ランバルト、C.ロベルト・ランバルトとなっており、Aのヴィルヘルムが正解であるとされた。ソード役の関はAを、ルーク役の島崎はCをそれぞれ勘で選んでいた。このイベントはBlu-rayBOX2の特典映像に封入されており、現状でソードの本名を確認できるのはこれのみ。

*28 実は過去篇にあたる「炎の刻印」の絶影騎士ゾロの当代の伝承者にする、という案もあった模様。また、フェイス部分の意匠は堅陣騎士ガイアにも似ている