ペイルライダー(ガンダム外伝)

登録日:2015/05/05(火) 00:38:19
更新日:2024/02/06 Tue 10:42:42
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機動戦士ガンダム MISSING LINK」に登場する機体。


型番:RX-80PR

MSの量産化と一定数の確保を完遂させた地球連邦軍、戦後を見据えた次世代MS開発計画のひとつとして開発された機体。


一年戦争当時の最新技術を惜しみなく投入する形で開発されており、当時のジム系で最高の性能を持つとされるジム・スナイパーⅡをベースとしているが頭部などはガンダムタイプに近くベース機の面影はあまり感じられない。
また、全身にハードポイントが設けられており、後期型ジムが使用する90mmマシンガンや、陸戦型ガンダムが使う180mmキャノン、空間戦闘時ではガンダム5号機が使用するハイパー・ビームライフルやジャイアント・ガトリングも使用できるなどジム系はおろかガンダムタイプが使用する武器まで扱えるという凄まじい汎用性を有するが、その分コストが嵩み量産化は見送られた。
しかし、その性能に目を付けた連邦軍高官「グレイヴ」によってオーガスタ研究所に引き渡され、新型システム「HADES」の実験機として運用されることになる。


この「HADES」とは、あのブルーディスティニーに搭載された「EXAMシステム」を元にオーガスタ研究所が独自に開発したシステムであるが(EXAMのデータは、アルフ・カムラ曰く上からの圧力で強引に持っていかれたらしい。)、EXAMの本質が「オールドタイプによるニュータイプの殲滅」であるのに対し、HADESは一時的に超性能を発揮できるという点に重点を置かれた感があり(EXAM同様、周辺にニュータイプあるいはそれに似た存在を感知すれば強制的にシステムが発動する点は同じ)、パイロットはその反応性に対応するため薬物投与をはじめとする人為的な強化を施されていた。
その強化は痛覚や恐怖心の鈍化は元より、不必要な思考を排除する物もあり、これが原因でパイロットだったクロエは記憶障害を引き起こすに至っている。
またこうした無理な強化に生身の人間が耐えれるはずがなく、漫画版ではクロエや彼女の予備要員も常に具合が悪くなっている描写があり、パイロットしては不適合と見ても仕方がなかった。
実際の所、この機体の場合はパイロットはパーツ扱いに過ぎず、「機体に乗せられている」と言っていい。
このような非人道的な研究開発は、後の時代でも強化人間計画などに続いていくことになる。



名前の「ぺイルライダー」はヨハネの黙示録に登場する死を司る第4の騎士であり、システムの「HADES(ハデス)」はギリシャ神話であり、死を与える死神といっていいネーミングである。また「HADES」の特性から「機体が人を操る乗り手」という意味もこめられていると言われる。




劇中での活躍

連邦軍特殊部隊「スレイヴ・レイス」を用済みとしたグレイヴの刺客としてジャブロー戦に現れ、ジオン軍特別競合部隊「マルコシアス」にも牙を剥き、戦場を混乱に陥れた。後のア・バオア・クー戦にも現れマルコシアス隊と交戦し、隊の決死の連携攻撃で無力化され、ジオン残党軍に捕獲される。


関連機体

  • ホワイトライダー
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』に登場。ちなみに初出は漫画版『ミッシングリンク』の設定資料だが、この時は文字設定のみ。
後のぺイルライダー・キャバルリーに採用された大型複合武装「シェキナー」の運用試験機で、「HADES」の最初期型というべき「ZEUS」を搭載した頭部はヨハネの黙示録第一の騎士の象徴である『王冠』のような形状に、「シェキナー」のプロトタイプは同じく『弓』のような形状になっている。

型番:RX-80RR
漫画「機動戦士ガンダム アグレッサー」に登場。名前の由来はヨハネの黙示録に登場する第二の騎士。
ジム・ストライカー装備されているウェラブル・アーマーを装着しており防御力に優れる。

  • ブラックライダー
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』に登場。初出は『プロジェクトペイルライダー』ページの開発系譜にてペイルライダー計画試作3号機として触れられたのが初。
搭載した特殊システムは「THEMIS」で、背面に第三の騎士の象徴『天秤』を思わせる電子戦装備「steelyard」を搭載、試験的な光学迷彩によってステルス性も高い半面、ビーム兵装を搭載できず近接戦闘しかできない。

  • ぺイルライダー・キャバルリー
型番:RX-80PR-2
漫画版に登場。ぺイルライダーの量産検討機であり、これまでの試作機群の運用データを元に開発されたぺイルライダーの完成形とも言える機体。
コスト削減のためハードポイントは廃されているが、元々の性能が高いためあまり問題になってはいない。
「HADES」も一部デチューンされたままだが搭載されており、リミッターが設けられているなど安全性が考慮されているがそれでも暴走の危険性は残されており、また完全に制御するにはやはり薬物の使用が推奨されるなど危険性は変わらずである。

ハードポイントを廃した代わりにジャイアント・ガトリング、メガ・ビーム・ランチャー、ミサイルランチャーを内蔵した大型複合武装「シェキナー」を装備しており汎用性の維持およびデッドウェイト化を避けている。
なお、この武装はヘビーガンダムのフレームランチャーを彷彿とさせる。ちなみにこの武器は試作1号機であるホワイトライダーの運用データから作られたらしい。

漫画版でアンティータムに潜入したスレイヴ・レイスの手によって奪取され、彼らの戦力として運用されることになる。


「キャバルリー」とは騎士団の意味。




  • ペイルライダー・デュラハン
型番:RX-80PR-3
漫画版に登場。未完成のまま放棄されていたキャバルリーを完成させた機体。
「HADES」はデータが失われていたため搭載していないほか、シェキナーも持っておらず他機体から流用した装備で補っているが、機体の基本スペックはキャバルリーと同等。



  • ペイルライダーDⅡ
型番:RX-80PR-4
Web企画『アナハイム・ラボラトリー・ログ』に登場。
実機もパーツもデータも失われたペイルライダーだが、基本スペックの高さに目を付けたティターンズが独自にパーツを製造し、さらにUC.0084に合わせリニアシートの搭載などの改修を施した上で復元した機体。
アレキサンドリア級重巡洋艦「アル・ギザ」第7MS隊に配備され、所属不明のMS部隊の迎撃に発進するが…


  • トーリスリッター
ネオ・ジオンの手に渡ったペイルライダーに近代化改修を施した機体。インコムやトライブレード、ハイパーナックルバスター等ジオン系の武装を装備し、解析できなかったHADESを搭載する頭部を除いてほぼ新造に近い形で魔改造を施されている。そのため機体サイズは元の状態からかなり大型化した。

元々なんでもありだったペイルライダーからさらにやりたい放題されたことで「ぼくのかんがえたさいきょうのもびるすーつ」と呼ばれてしまうことも…。


  • ヴィンセント・グライスナー機
漫画版に登場するペイルライダーの改修機で、ゲームにおけるトーリスリッターと異なった形でのペイルライダーの最終到達点。
主にゲルググやその系列機からパーツを流用している。

立体化

ゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』の豪華版特典として、HGUCのペイルライダーが付属していた。
その後プレミアムバンダイだが商品展開がそれなりにされている。陸戦重装備仕様、空間戦仕様、ぺイルライダー・キャバルリーが発売し、一部のみだがメッキ加工やクリアーカラーもあるなどやけに優遇されている。
後にDⅡやトーリスリッターまで発売した。
ゲーム特典を起点として展開したガンプラのプレイバリューとしては可動域や拡張性は優秀そのもの。作品の不人気さに反してプラモの評価は高いため、年間プレバンランキングでは上位の常連である。


他ゲームへの出演


機動戦士ガンダムバトルオペレーション2

スタッフに出典であるサイドストーリーズに関わった人物が多いため、優遇されているとプレイヤー間では噂されている。
実際の所発展機がやたら収録率が高い傾向はあるものの性能的には「使いこなせば強い」と言うポジションが多く、誰が乗っても強い的な位置ではない。
収録率に関しては、おそらく版権調整がしやすいのとモデリングの使い回しがしやすいと言った事情が考えられる。
デュラハン/DⅡを除くいずれの機体も中央ボタン押し込みによる[HADES]等のシステム発動により一定時間、耐久性を犠牲に火力と機動力を上昇させるスキルを持つ。
以下コスト順にざっくりとした説明。

  • ペイルライダー・キャバルリー
350コスト汎用。地上宇宙ともに出撃できるが適正は持たない。
シェキナー[ビーム]がこのコスト帯では威力・射程面で眼を見張るものの、静止撃ちかつ高ヒート率と強みと弱みがはっきりしている性能。
シェキナー[ガトリング]が命中しやすさこそあるもののそれ一本では通用しない威力とよろけ値。
加えて格闘武器も連邦汎用サーベルではなく、モーションが独特なビームジャベリンなので、如何にビーム兵器を当てていくか乗り手の熟練が試される機体。

  • ペイルライダー[陸戦重装備仕様]
400コスト汎用。地上専用で地上適正持ち。このコスト帯にしては副兵装が豊富でいずれも良くも悪くも癖が強い性能。
ただし主兵装が手数に不安のあるロケット・ランチャーや全体的に力不足な陸戦型ガンダム用ビーム・ライフル辺りしか持てない他、耐久は若干平均を下回る。
HADES使用時の機動性に振り回されず、豊富な副兵装を如何に効率よく回していけるかで評価が変わる。

  • ペイルライダー[空間戦仕様]
400コスト汎用。宇宙専用で宇宙適正持ち。
若干耐久が低めなものの宇宙近接戦闘に必要なスキルを一通り備え、宇宙環境に慣れたプレイヤーにとってはかなり扱いやすい機体に入る。
主兵装が格闘コンボに繋げやすいハイパーバズーカor450コスト並の性能なハイパー・ビーム・ライフルなのも嬉しい。
ただ初心者が陥りがちな罠として副兵装のジャイアント・ガトリングがある。
確かに射程とDPSに優れる兵装ではあるが、静止撃ちに加え始動にラグがあるため本来は運用にかなり癖*1がある。
なのでそれ一本に頼ると「味方に負担を押し付けて後ろでガト垂れ流してるだけ」と言った立ち回りになりがち。
前述の通り宇宙戦熟練者*2には好まれる基本性能でありながら地雷行動も目立つため、それら判断が付かない野良ではマッチング時点で避けると言う人もいる。

  • ペイルライダー・デュラハン
400コスト強襲。地上宇宙ともに出撃でき、地上適正持ち。2020年ハロウィンイベント報酬。
本体の耐久性能は並なものの、ジム・ガードカスタムから持ってきた大盾により実戦では決めて高い耐久性と耐よろけ性能を誇る。
特にGシールド内蔵ガトリングが、本体は盾の後ろに隠しつつ高DPSと高よろけ値により遠距離から敵支援に圧をかけられる便利性能。
主兵装で選択可能なハイパー・ビーム・ライフルは元々450コスト機の持ち物なのでそちらもコスト比で強力。
総合して一時の400コスト強襲は本機の1強状態であったが、流石に調整を食らってしまった。

  • レッドライダー
400コスト強襲。地上専用かつ地上適正持ち。
耐久のデュラハンならこちらは格闘火力特化。特にヘビーアタックから炸裂するツヴァイ・ハンダーの一撃は汎用機と言えどただでは済まない。
ただしFFしやすかったりカウンターには無力だったりと、それ一本に頼り切ると活躍しづらい。
高レートで活躍する本機はどちらかと言えば、マシンガンによる蓄積よろけや3種格闘によるコンボ・駆け引きに優れ、
殆ど足を止めずに汎用を翻弄しながら支援機を切り刻むスタイル。

  • ペイルライダー(VG)
450コスト汎用。地上宇宙ともに出撃できるが適正は持たない。
その成り立ちから、ペイルライダー系列でありながらジオン系の主兵装が装備できる。
初期主兵装は専用のビーム・マシンガン。副兵装のビーム・ガンと切り替えながら撃つことでオーバーヒートを避けつつ蓄積よろけをばら撒けるのが特徴。
ただし蓄積よろけはよろけタイミングの把握に熟練を要するため、特徴的かつ高性能な下格闘へのコンボが難しい。

  • ブラックライダー
450コスト強襲。地上適正持ちかつ地上専用機。
アクティブ・カモによる光学迷彩は結構強烈で発動中は歩行の土煙くらいしか見えなくなるレベル。
わずか15秒間だけとは言え、その間相手支援や護衛汎用に与える負担はかなりもの。
武装の種類が多くコンボ火力も高い一方で基本性能自体は抑え気味なため正面きっての殴り合いは苦手であり、
奇襲に成功するかどうかで戦果のムラが激しい。
同コストの強襲機と汎用機は21年後半から性能インフレ気味だが、その中では奇襲前提とは言えついて行けている方。

  • ホワイトライダー
450コスト支援、地上適正持ち。
最大の特徴は試作型シェキナー[メガ・ビーム]で、チャージ中に移動可能なロマン砲。
チャージに30秒かかるが直撃すれば同コスト汎用の6~7割は吹き飛ばす高威力。
後述の調整で再使用可能までの時間が90秒から70秒に短縮されたが、それでも再発射が容易とは言えないため、一撃必中が求められる。
試作型シェキナー[メガ・ビーム]以外の武装がイマイチ主力には届かない性能で、総じて同コストのインフレからは置いて行かれがちだったが、2022年4月に性能が調整され多少改善傾向にある。
なおシステム[ZEUS]発動中はメガ・ビームのチャージ時間が6秒に短縮される。

  • ペイルライダーDⅡ
450コスト支援、宇宙適正持ち。
スキル『複合武装システム最適化』によってシェキナーに分類される兵装同士では切り替え時間が大幅に短縮される。
比較的優秀な足回りと高い火力が持ち味。
また同コストに出撃可能なペイルライダー(VG)やペイルライダー・キャバルリーとぱっと見のシルエットが似ているため
うまく汎用機に紛れ込めば敵の強襲からマークされにくいと言う地味なアドバンテージが有る。
もっとも相手にアイザックが居た場合や熟練強襲乗りには余り通用しないが。

  • トーリス・リッター
650コスト汎用。地上宇宙ともに出撃でき、宇宙適正持ち。
使い勝手の異なる即よろけ3種を持ち、ダメージ軽減やよろけ軽減のスキルも備える高性能機。
それでいて蓄積よろけやDPSでも優秀な武装を備え、650コストのインフレに一役買っている機体。
同コストの武装構成がシンプルでとにかく近接戦を押し付ける格闘機ジ・Oに対し、全7種に及ぶ豊富な武装を回しながら状況に応じて射撃も格闘もこなす万能機と言った位置づけ。
環境的には高コストは射撃戦になりがちで、三周年で追加されたカスタムパーツ「サイコフレーム」対応武装を2つ持つ等追い風。
余談だが見た目こそ一年戦争時のペイルライダーを踏襲しているものの、モデリングも含めて第3世代MS相当に大型化している。
同コストに並んでいるジ・Oやキュベレイが横に広いため細身に見えるが、決して第1世代MS並のヒットボックスと言うわけではない。



余談

前述の通り本機の初登場はジャブロー戦になる。が、本来このジャブロー戦は連邦軍の初の本格量産型MSジムのロールアウト時期にあたる。
そしてペイルライダーのベース機であるジム・スナイパーⅡはジム・コマンドのフレームを流用したと言う設定であり、このジム・コマンドは上述のジムの運用データを元に再設計した機体である。
つまりジムの運用データを元に再設計したジム・コマンド*3のフレームを流用したエース向けカスタム機ジム・スナイパーⅡをベースに改造したペイルライダーがそれらの基礎となったジム(それも初期の生産型)と同時期にすでにロールアウトしている
と言う訳のわからない事態になっている。
まあガンダム外伝作品のこの手の矛盾は今に始まった事ではないのだが…。*4



追記・修正はHADESを発動させてから、お願いします。

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最終更新:2024年02月06日 10:42

*1 "待ち"戦術だと強いが追撃戦で出遅れる、遮蔽物が多い場所だと射線切られると何もできない、咄嗟のカットには向かない、他武装からのコンボが繋げづらいetc

*2 誰が呼んだかスペースノイド

*3 これから運用する機体の運用データって?

*4 そもそもジム・スナイパーⅡの開発自体が「一年戦争末期」と設定で明言されているので、ペイルライダーの出撃が単純に早すぎる。そのためファンからは「試作機の試作機を流用したのでは?」「その時は外装こそそれっぽいが中は違うのでは?」というトンデモ説すら出てきている。