デスゲーム

登録日:2015/04/24 (金) 22:07:13
更新日:2024/03/06 Wed 22:43:41
所要時間:約 5 分で読めます






※イメージ画(2011年公開の映画『トゥルースorデア 密室デスゲーム』本編より引用)



デスゲームとはフィクションにおけるジャンルの一つ。死亡遊戯を題材にしたゆでたまごの読み切りをお求めの方はこちらへ。
登場人物たちが、ゲームマスターの提示するルールの下、ゲームに挑むことになると言うのが基本。
ちなみにルールが提示されずに、閉鎖空間に閉じ込められて殺し合いになったりするのは「クローズド・サークル」という全く違うジャンルなので注意。


DEATH(デス)”の名の通り、ゲームには死の危険を伴う場合が多く、グロテスクな描写や残酷描写が売りの作品も多い。
中には死を伴わない作品もあるが、それでも全財産を失うなど、たいていの場合はもし失敗したら何らかの形で悲惨な末路を辿ることになる。

その設定からスリルや緊張感が高く、だれが何の目的で行っているのかなど、サスペンス性も高い。
また、登場するゲームには様々なルールが存在し、ゲームを通しての人間模様・ドラマが大きな持ち味になっているほか、ゲームには何らかの抜け道がある場合も多く、相手の裏をかいた駆け引きや、ゲームの裏にある意図を探るなどといった推理も売りの一つとなっている。

また、その性質上、人間の愚かさや狂気、脆さなどが前面に出される作品が多く、生々しい内容になることがほとんどだが、その極限まで追い込まれた人間の心理描写も魅力の一つ。
一方で、ドロドログログロな作品が多く、いつ誰がどのように死ぬかわからない不安を常に抱き続けることから、人によって好き嫌いは非常にはっきり分かれる。
読者にとってはやや上級者向けのジャンルと言え、年齢制限がつく場合も多い。

前述の通り人間のマイナス面がテーマになる作品が多いが、友情や勇気、義憤など人間のプラス面をテーマにした作品もあり、その結末もハッピーエンド、バッドエンドとさまざまである。


参加する人間はごく普通の一般人の場合が多いが、何らかの能力者の時もある。
後者の場合はどちらかというと「能力バトル」の気が強くなり、「デスゲームもの」のくくりには入れられにくい。

古くは『魁!!男塾』の伊達臣人紫蘭の戦いで語られた 孤戮闘 など、背景として設定が存在したことはあったが、
『バトル・ロワイアル』を皮切りに『仮面ライダー龍騎』・『Fate/stay night』など2000年代よりデスゲームを主題としたメジャー作品が増加した。

勝者が敗者の能力を吸収するものや「素質のある者達を集め、殺し合わせて、最後に残った者を基に最強の戦士を造る」ものは蠱毒も参照。


ゲームは主に強制参加型と自発的参加型の2種類がある。

◆強制参加型


多数派。
何者か(規模は作品によって様々)によって強制的に身柄を拘束、または拉致されゲームに参加させられる、というパターン。
気がつくと見知らぬ空間におり、そこに現れたゲームマスターがルールを提示し、強制的にそのゲームに参加させられる、というパターンがデフォ。
ゲームの危険性などが明かされずに騙されて参加させられる場合もある。
ゲームクリアに加えて、ゲームマスターの正体を暴きそれを打倒するのも主人公の目的となる場合が多い。
また、ゲームのクリアをよしとしない快楽殺人者など、ゲームマスター以外の敵キャラクターがいる場合も多い。


◆自発参加型


危険を知りつつ、自発的に参加するパターン。
クリアすると莫大なお金や、普通なら絶対にかなわないはずの願いが叶うなど賞品を目的にゲームクリアを目指す。
稀に、復讐等の目的で最初からゲームマスターの打倒を目論んでいるパターンもある。






また、ゲームのルールやゲームマスターの意図も作品によって様々だが、大きく4つのパターンに分かれる。


1:誰も生かして返す気が無い(全滅型)


最も悪質なパターン。
特定の集団を全滅させるのが目的だったりするなど、最初から誰も生かして帰す気が無く、人が打ちひしがれ死んでいくのを眺めて愉悦することがゲームマスターの目的だったりする。
そのためクリア条件がありえないほど無理のあるものに設定されていたり、プレイヤー側が圧倒的不利となっていたり。
もしクリアした人間がいても、何らかのいちゃもんをつけて殺そうとするのがデフォ。
他の型と比較してもとにかく不条理、理不尽に振り切っており、それに対する必死の抵抗が見所。
例:リアル鬼ごっこ



2:クリア条件が誰かを殺す、あるいは見殺しにすること(競争型)


最も戦いが激化するパターン。
例えば、「最後に生き残れるのは一人だけ」など、生き残るためには他のプレイヤーを蹴落とさなければならない。
必然的にプレイヤーの中ではあの手この手で熾烈な争いが行われることになり、ドロドロの殺し合いに発展する。
所謂「戦わなければ生き残れない」であり、おそらくもっとも多いパターン。
最終的な生存者は選ばれし者として新たな境地に至る……のだが、途中からこれ以上殺し合わなくて済むように主人公が裏口を探り始めることも多い。抗えるか否かは作品次第。
例:バトル・ロワイアル



3:ゲームマスター側が積極的に殺し合わせようとする(半競争型)


戦いが激しい上記に対し、こちらはとにかく鬱屈した雰囲気が漂う。
ルール上は誰も死ななくてもクリアできるが、誰かを殺す、あるいは出し抜くことで報酬が得られる、より安全なクリアが狙えるなどの条件が出されており、プレイヤーの間で争いや殺し合いが起きるように誘導しているパターン。
この場合、プレイヤーの心は疑心暗鬼にあふれ、誰も信じることができないような空気に陥り、結局、殺し合いへと発展する。
また、プレイヤーの間で結束が強まってしまうと上記のような事態が起きなくなってしまうので、プレイヤーの中にゲームマスター側の人間が紛れ込み、疑心暗鬼の空気を意図的に作る、という時もある。
例:インシテミル



4:GM側に殺し合わせるつもりが無い(協力型)


死の危険をともなう、が、それだけ。まあだけと言うのも妙な話だが。
プレイヤーは一丸となってゲームのクリアを目指す。
基本的に主催者VSプレイヤーの構図となる。
他のパターンに比べてプレイヤーは基本的に全員クリアを共に目指す仲間であるという意識が強いためか、プレイヤー間で争いやいさかいはあっても、それが深刻なレベルにまでは発展しないものも多い。
ただし、長期化して慣れてくるとこれも快楽殺人者が現れたりそうでなくとも「今の方が快適」などの理由で現状維持を望む者が現れる場合もある。
ゲームの内容もゲームマスター側が全力でプレイヤーを殺しにかかっている場合もあれば、そこまで理不尽を強いられない場合もあり、難易度も様々。
作品によってはドロドログログロ感が薄いものもあり、物足りなさを感じる人もいるかもしれない。逆に言えば、このジャンルの中では取っ付きやすいということでもあるか。
仮にもデスゲームである以上、どんなにライトな作風でも犠牲者ゼロというのはそうそうないが。
例:ソードアート・オンライン*1



総評

物語の性質上、初回にインパクトのある話を持ってきやすく、掴みはかなりやりやすい。
反面、暗い作品は好き嫌いがはっきり分かれるので、一定数の読者をいきなり失うことも覚悟しなければならない。
また、物語の型がある程度決まっているので独自性を出しづらく、「なんかどっかで見たことあるような作品」になってしまいやすいという欠点もある。
他にも、作品の性質上どうしても人の命が軽くなりがちなので、その分キャラクター付けや心理描写、ゲーム描写は他のジャンル以上に重要になってくる。
特にキャラ付けは大事で、きちんとしておかないと「なんかよくわからんモブみたいなキャラが次々死んでくだけの話」になってしまう。
こうなると、初動の勢いの分だけ失望感も大きくなり、評価を一気に落としてしまいがち。
したがって、導入のお手軽さに反して完結までには並ならぬ引き出しが要求され、作る側にとっても案外上級者向けのジャンルと言えるかもしれない。
だからこそ、心理描写や駆け引きが精巧に描かれた上質なデスゲーム作品は、読めば読むほど続きが気になり、人の心を掴んで離さない。




追記・修正はデスゲームをクリアしてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • デスゲーム
  • ジャンル
  • フィクション
  • 小説
  • 漫画
  • ゲーム
  • 残酷
  • 理不尽
  • お前も、お前も、お前も!俺の為に死ねっ!!
  • 蠱毒
  • バトルロワイアル
  • 戦わなければ生き残れない
  • 死のゲーム
  • 騙し合い
  • 裏切り
  • 疑心暗鬼
  • 心理戦
  • 駆け引き
  • 上級者向け
  • 推理
  • ギスギス
  • 狂気
  • 命懸け

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月06日 22:43
添付ファイル

*1 ただしデスゲームは作品の主題ではない。