北陸新幹線

登録日:2015/04/23 (木曜日) 01:42:00
更新日:2024/03/21 Thu 11:50:38
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北陸新幹線とは、高崎駅から長野駅金沢駅を経て敦賀駅までを結ぶ、JR東日本JR西日本の高速鉄道路線である。

【概要】

起点は高崎駅となってはいるが高崎発着列車はなく、すべての列車が東京駅まで運転される。
高崎~上越妙高間がJR東日本、上越妙高~敦賀間がJR西日本の管轄となっており、新幹線では唯一、管轄エリアがJR2社にまたがる唯一の路線である。

電化方式は全線交流25000Vだが地域によって周波数が異なっており、軽井沢以東と糸魚川駅構内は50Hz、糸魚川駅構内を除く軽井沢~敦賀間は60Hzとなっている。
その為、走行する全車両が50Hz/60Hz対応となっている。
同じように周波数の異なる地域を通る東海道新幹線の場合、周波数変換所を設けて全線を60Hzに統一している。
最高速度は260km/hとなっているが、信越本線でも難所であった碓氷峠を通る安中榛名~軽井沢間は30‰の急勾配が続く為、この区間は210km/hに制限される。
とはいっても200km/hで峠を駆け上がるのは無理らしく、峠を登る下り列車は170km/h程度が限界らしい。


【簡単な歴史】

整備新幹線のひとつとして、北陸地方活性化と東海道新幹線の代替も兼ねた「北回りの新幹線」として計画された。
しかし、オイルショックなど様々な要因が重なり、1988年には高崎軽井沢間のみフル規格で建設し、軽井沢長野間はミニ新幹線という計画に変更された。
糸魚川~魚津間、高岡~金沢間についても建造物を新幹線、線路は在来線規格のスーパー特急方式の計画となった。
ところが、1998年に長野オリンピック開催が決定して計画は一転、軽井沢~長野間もフル規格での建設に変更し、1997年10月に高崎~長野間が暫定開業。
最初は「長野行新幹線」という名称となったが、下りと上りで呼称が違ったりと不統一な部分が見られた為、結果として「長野新幹線」で統一された。
その後、長野~金沢間もフル規格による建設が決定し、長野から先の区間も工事を開始。
2015年3月14日に延伸開業を果たした。

一方、2019年10月に発生した台風19号の影響で大きな被害を受けることに…。
千曲川決壊により長野新幹線車両センターが浸水し、電気設備や車両設備などが被災してしまった。
特に浸水した車両の大量廃車(後述)に伴う運用変更が頻発し、これによりE4系の引退が1年延びることになった。

その後金沢~敦賀間の延長工事が進められ、2024年3月16日に開業した。


【列車愛称】

○かがやき

北陸新幹線最速種別で、主要駅のみ停車し全車指定席となっている。
東京~金沢間を最速2時間25分、東京~敦賀間を最速3時間8分で結ぶ。
元々はJR発足直後に登場した長岡~金沢間を結ぶ速達型の特急の愛称として使用されていたもの。
「はくたか」登場に伴い一旦廃止となったが、新幹線で久々の復活となった。

○はくたか

東京~敦賀間で運行されるが、長野~金沢間の区間列車もある。
越後湯沢駅を始発とし、北越急行ほくほく線を経由して金沢まで結んでいた特急「はくたか」の名を引き継ぐ形となった。
なお、国鉄時代は「はくたか」は上越線経由で上野~金沢間を結ぶ特急の愛称であったため、北陸と一番縁の深い愛称と言えよう(そのため列車愛称公募では第1位を獲得している)。
グランクラスは一部列車はシートサービスのみとなる。

2016年3月25日までは大宮~長野間ノンストップ便もあったが、ダイヤ改正で高崎を通過する列車は軽井沢には必ず停車し、逆に軽井沢を通過する列車は高崎には必ず停車するようになった。
定期列車は上越妙高~敦賀間が各駅停車となるが、一部の臨時便は糸魚川や黒部宇奈月温泉を通過する。

○つるぎ

富山~敦賀間で運行される列車で、敦賀駅で特急「サンダーバード」「しらさぎ」に接続する。
立山連峰の富山県にある山が列車名の由来で、かつては大阪~新潟間を結んでいた寝台特急の愛称でもあった。
当初は富山~金沢間と走行距離が短かったためか、乗り換え時間などを考慮しても大阪・名古屋方面から富山への所要時間は新幹線開業前と比べてあまり変化してなかったが、敦賀への延伸後は最大約30分の短縮を実現した。また、以前は8~12号車(グランクラス含む)には乗車できなかったが、敦賀開業に合わせて全車に乗車可能となった。
「北陸と関西を結んだ列車として馴染み深い」というのが選定理由だとか。
グランクラスはシートサービスのみ。

○あさま

東京~長野間で運行。
かつて上野~長野間を結んでいた特急「あさま」を引き継ぐ形で、高崎~長野間暫定開業時から設定されている。
グランクラスはシート(ry


【使用車両】

現在の車両

○E7系・W7系
長野~金沢間開業に合わせて製造された車両で、E7系はJR東日本、W7系はJR西日本の所属となっている。
ただし、E7系は延伸開業前に「あさま」として営業運転を行っている。
12両編成で東北新幹線用のE5系同様、グランクラスが連結されている。
整備新幹線の制約もあり、最高速度は260km/h*1となっている。
外観上の区別はロゴマークの文字(E7系:EAST、W7系:WEST)と車両番号の文字の色(E7系:緑、W7系:青)程度でしかできない。

2019年10月に発生した台風19号の影響で千曲川が決壊し、長野新幹線車両センターに留置されていたE7系8編成、W7系2編成が浸水していまい、当該編成は全て廃車することになってしまった…。
最初に作られたF1編成ですら2013年11月27日新製なので6年未満、被害に遭った中で一番新しいF18編成に至っては2015年10月26日新製なので4年未満と非常に短い活躍しか出来ずに終わることに…。

*2


過去の車両

○E2系0番台
高崎~長野間暫定開業時に導入された車両で、JR東日本所属。
8両編成で、開業当初から「あさま」のみで使用された。
営業運転では東京~長野間の運転だったが、試運転では黒部宇奈月温泉まで入線している。
路線の関係で最高速度は260km/hでE7系・W7系と同じだが、設計上は東北新幹線で使用されている1000番台と同じ275km/hで運転する事は可能。
2016年3月以降は臨時の「あさま」のみの運用だったが、2017年3月31日をもって臨時運用も終了した。

*3

○200系
長野までの先行開業にあたり、12両編成1本だけが周波数変換に対応するように改造された。
編成番号から「F80」と呼ばれていた。
あくまで長野オリンピック輸送の支援が目的で暫定改造されたもので、五輪終了後には元の状態に戻された。

○E4系
全車二階建ての二代目「Max」。
軽井沢始発の上り「Maxあさま」が設定された実績がある。
8両編成2本が碓氷峠の急こう配に対応、もう2本が急こう配に加えて周波数変換に対応していた。
だが、「乗客を乗せた状態では碓氷峠の急こう配を登れない」と判断され下り列車への充当はなかった。
E2系の増備が進んだことや、最高速が低いことなどから3年しか使用されなかった。

【駅一覧】

東京~大宮間は東北新幹線、大宮~高崎間は上越新幹線参照。運転系統は上越新幹線と別であるため、列車運行上は東京~高崎間も「北陸新幹線」として案内される。

高崎
上越新幹線・高崎線上越線両毛線吾妻線信越本線八高線、上信電鉄上信線乗り換え。
群馬県第2の都市で北関東の交通の要所。県庁所在地の前橋市はライバル。
上越新幹線とはここで分岐する。

○安中榛名
JR東日本エリアでは唯一の単独駅。
駅前に商業施設がない上に更地(というより田んぼ)も多いという新幹線の駅とは思えない、いわば秘境駅のような雰囲気。
というか秘境駅の生みの親である牛山氏の最初の著書「秘境駅へ行こう!」でも紹介されてしまったほど何にもなかった。
駅利用者も1日平均乗車数267人と、東北新幹線のいわて沼宮内駅に次いで少ない。
熊谷や本庄早稲田と違い、かつては「はくたか」が停車していた実績がある。

軽井沢
しなの鉄道しなの鉄道線乗り換え。
長野県最東端の駅。
別荘や避暑地として有名な場所で、新幹線の駅としては最も標高の高い940mの位置にある。冬場のホームはかなり寒い。
駅構内に通過専用線はないが急カーブがあり、通過列車も100km/hの制限がかかる為ホームドアが設置されていなかったが、2017年に通過列車のある2・3番線にホームドアが設置された。

○佐久平
小海線乗り換え。
当初は小海線との接続駅設置の予定はなかったが、請願駅として新幹線開通に合わせて開業した。
駅周辺に大型店舗やマンションが建設され、駅のなかった頃とは一変して急成長した。
その代わりに小諸が…。
更に駅名を巡り、小諸市と佐久市が「佐久小諸」か「小諸佐久」にするかで大モメになった。
結果、当時の長野県知事が仲裁に入り「佐久平」になったという逸話もある。
ちなみに佐久市の代表駅はここではなく、小海線の中込駅である。

○上田
しなの鉄道しなの鉄道線、上田電鉄別所線乗り換え。
長野県第3の都市・上田市の中心駅で、「信州の鎌倉」とも呼ばれる城下町。

長野
信越本線、篠ノ井線飯山線、しなの鉄道しなの鉄道線・北しなの線長野電鉄長野線乗り換え。
長野県の県庁所在地かつ県内最大のターミナル。
開業当初の終着駅で、全列車が停車する。
因みに善光寺御開帳の1936年に合わせて作られた旧駅舎(3代目)は仏閣型の日本風デザインで有名だった。
しかし、1998年の長野オリンピック開催が決まり、新幹線開通時に4代目の新駅舎が完成した事により取り壊されてしまった…。
保存要求も受け入れられなかったらしい…。
当駅はJR東日本と西日本の境界駅ではないが、全列車停車駅のため乗務員はここで交代する。

○飯山
飯山線乗り換え。
飯山市の中心駅で、駅舎は新幹線開業に合わせて移転している。

○上越妙高
えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン乗り換え。
元は「脇野田駅」というごく普通の駅だったが、新幹線開業に合わせて移転してきた。
JR東日本とJR西日本の境界駅となっているが、当駅終着の定期列車はない*4

○糸魚川
大糸線・えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン乗り換え。
糸魚川市の中心駅で、駅と日本海との距離が400m程の近い位置にある。
駅には大糸線で活躍したキハ52などが展示されている糸魚川ジオステーションジオパルが併設されている。
世界的にも珍しいヒスイの産地である。

○黒部宇奈月温泉
富山地方鉄道本線(新黒部駅)乗り換え。
フル規格の新幹線の駅としては北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅と並び一番文字数が多い。*5
なお、駅は黒部市の中心からは東に3km程離れた位置にある。

○富山
高山本線あいの風とやま鉄道線、富山地方鉄道本線(電鉄富山駅)・富山市内軌道線・富山港線乗り換え。
富山県の県庁所在地&第1の都市で、全列車が停車。
JR貨物富山機関区がある北陸貨物の拠点。

○新高岡
城端線乗り換え。
高岡市の中心街は隣の高岡駅にあり、当駅からは1.5㎞ほど離れている。

金沢
七尾線IRいしかわ鉄道線、北陸鉄道浅野川線(北鉄金沢駅)乗り換え。
石川県の県庁所在地&第1の都市である金沢市の代表駅。
東口にある木造の「鼓門」はとにかく目立つ。けど中心市街地から少し離れている。
金沢城や兼六園の最寄駅でもある。

○小松
IRいしかわ鉄道線乗り換え。
駅から少し離れた広場にはかつて北陸で活躍した489系のボンネット車両が有志保存会の手によって展示されている。
小松空港/航空自衛隊小松基地の最寄り駅でもあり、南側の駅前には小松製作所の博物館もあるなど、「乗り物の町」と言って差し支えないバラエティを誇る。

○加賀温泉
IRいしかわ鉄道線乗り換え。
北陸本線時代は近接する大聖寺と動橋の特急停車駅争奪戦の結果、両者の中間にあったことからその座を漁夫の利のような形で獲得し、今や新幹線停車駅に。

○芦原温泉
ハピラインふくい線乗り換え。
あわら市の中心駅で駅名でもある芦原温泉、東尋坊の玄関口。

○福井
九頭竜線(越美北線)、ハピラインふくい線、えちぜん鉄道勝山永平寺線、福井鉄道福武線(福井駅停留場)乗り換え。
福井県の県庁所在地・福井市の中心駅。
新幹線開業に合わせ、西口が大規模な再開発が行われた。

○越前たけふ
武生インターチェンジ付近に出来た安中榛名と並ぶ北陸新幹線では数少ない単独駅。
今後は駅前に村田製作所の工場が建設予定。
計画時の仮称は「南越」駅だったが、最終的に現駅名に決定。それに伴い、同じ読み方だった福井鉄道福武線の「越前武生」駅は「たけふ新」駅に改称された。

○敦賀
北陸本線小浜線・ハピラインふくい線乗り換え。
延伸開業により2024年3月16日から終点駅となった。
新幹線ホームは3階となっているが、高さがビル8階相当の24mで非常に高い上、在来線との乗り換えコンコースも約200mの長さで遠い。
2024年1月に行われた模擬訓練では、最短乗り換え時間8分の想定のところ13分かかるという結果が出ている。


【今後について】

敦賀~京都間は小浜線東小浜駅付近を通過する小浜・京都ルートが採用され、京都新大阪間は学研都市線松井山手駅付近を通過する南回りルートとなった。
ルート制定に際しては湖西線の経営分離が示されているが、滋賀県を通らないのに経営分離はおかしいと反対している。


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最終更新:2024年03月21日 11:50
添付ファイル

*1 営業最高速度自体は275km/hで走行が可能。最高速度が275km/hの上越新幹線内、東北新幹線直通の臨時列車や新幹線車両センター入線時には、275km/hで走行している。

*2 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/train/1092/CSC_0843.jpg 日時:2016/01/12

*3 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/tec/e2d.jpg 日時:2016/01/12

*4 始発列車は平日限定で長野行きの列車がある。

*5 ミニ新幹線では山形新幹線で同じ文字数のかみのやま温泉駅とさくらんぼ東根駅がある。