豊肥本線

登録日:2015/04/22 Wed 17:30:00
更新日:2024/04/23 Tue 17:16:31
所要時間:約 7 分で読めます




豊肥本線(ほうひほんせん)は、熊本駅から大分駅を結ぶJR九州の鉄道路線である。
世界でも有数の大型カルデラである阿蘇カルデラを始めとする観光地を通る為、「阿蘇高原線」の愛称が付けられている。


概要

名前の通り大分(のうち豊後)と熊本(肥後)を結び、久大本線と共に中九州を横に結ぶ重要な路線である。

同じ九州の横を結ぶ久大本線と比べると、熊本への通勤通学路線として熊本~肥後大津間は1999年に電化されているなど少し優遇されている。
またややこしい事に路線名を見ると「豊肥」…つまり大分が起点となっており国土交通省監修の鉄道要覧でも大分起点となっている。
しかし、JR九州では逆に熊本起点となっており、ねじれが生じている。
今項では運転系統上に合わせて熊本起点で説明する。

山間部を走る路線のため、台風や大雨等の災害による運休が頻繁に発生している。
2016年4月に発生した熊本地震の影響で土砂崩れが発生し、立野~赤水間の線路が押し流されてしまい、全線の復旧までには4年の歳月を要した。


路線図

*1

○運行形態

概ね肥後大津・宮地・豊後竹田の3駅で運転系統が分断されている。

熊本~肥後大津

日中も1時間あたり3本程度ある他、朝夕の通勤ラッシュ時は1時間に5本も運転されSUGOCAが使えるなど、大都市路線並に優遇されている。
また九州新幹線開通に伴い始発が5時、終電が0時まで延長された。
基本的には電車での運行だが、非電化となる肥後大津以東直通の列車には気動車が使用される。

肥後大津~宮地

1時間あたり1本程度運転されている。この路線はスイッチバックが存在する。
熊本行きの電車に接続するようダイヤが組まれていたり、夜には熊本駅直通列車も設定されている。
不便点といえばICカードが使えないことぐらいだろうか。

宮地~豊後竹田

超過疎区間。1日5往復+下りの区間列車1本のみである。
特に波野と滝水は朝が7時台の熊本行きと10時台の宮地行き、下りが7時台の豊後竹田行き1本しかなく、次の13時台まで3~6時間の間列車が無い。

豊後竹田~大分

大分への通勤通学路線として大分~豊後竹田間の直通が1時間あたり1本、大分~中判田間の区間列車が入って2~3本の運転となり、SUGOCAが利用できる。
朝晩には犬飼・三重町発着の列車もあり、一部は日豊本線亀川まで直通する列車もある。


○使用車両

  • 815系
肥後大津電化開業に合わせて導入された電化区間の主力車両。因みに窓ガラスは、紫外線96%カットの「UV96」使用。
*2
  • 817系
交流電化区間ならどこでも顔を出す2両編成。
基本は単独での運転だが、815系との併結運転も可能。
クロスシートのため運用は朝ラッシュ時のみ。
*3
  • 821系
2019年に登場した「イカ釣り漁船」の愛称でおなじみの形式。熊本での運用開始は2021年から。

  • キハ183系1000番台
特急「あそぼーい」で運用。
キハ183と名乗っているが北海道の車両とはメカ以外別物で、運転台が2階にある小田急ロマンスカーのような展望席となっている。
元は約30年前に「オランダ村特急」用の車両として登場したが、何と5回にも渡る改造を経て今も現役活躍中。
*4
  • キハ185系
特急「九州横断特急」「あそ」で運用。1992年にJR四国から譲渡された車両。
2両編成で運転される場合、特急にもかかわらずなんとワンマン運転を行っていたが、2016年から非ワンマン化された。
*5
  • キハ40系
ぶれない国鉄車両。特急「かわせみ・やませみ」として熊本〜宮地で運行。
かつては肥後大津~宮地間やキハ47形のみ宮地~豊後竹田間の普通列車として運用されていた。
  • キハ125形
JR九州のローカル線では御馴染みの車両。宮地~豊後竹田間で運用。
*6
  • キハ200・220形
熊本~宮地間で運行される赤い気動車。
*7
  • 南阿蘇鉄道MT-4000形
2023年の南阿蘇鉄道線全線運転再開に伴い、肥後大津〜宮地間へ乗り入れるようになった。

過去の車両

  • 415系
ラッシュ時に熊本~光の森間のみで使用されていた。

◎駅一覧

熊本…九州新幹線鹿児島本線三角線、熊本市電幹線・田崎線(熊本駅前電停)乗り換え。
熊本県の県庁所在地である熊本市の代表駅。
近年復元が進んでいる熊本城の最寄駅でもある。

平成…元号駅名シリーズの一つ。所在地も平成で、平成初期に造成工事が完了したことに由来する。
サウナーにはお馴染みの湯らっくすの最寄り駅。

南熊本…駅名は南だが所在地は中央区。戦火を逃れた駅舎が残る。
熊本市電を当駅まで伸ばす構想あり。

新水前寺…熊本市電水前寺線(新水前寺駅前停留場)乗り換え。
元々市電への乗り換えの不便を解消する為に設けられた駅であり、2010年には両方の駅を合体させJR側は高架駅となった。
熊本市中心部への東の玄関口として機能しており、利用客数は熊本県第2位。

水前寺…北口が県立熊本高校や県立劇場を始めとする文教地区、南口が住宅地区に分かれている。
そして2003年に完成した駅舎はマンション併設型となった。

東海学園前…文字通り東海大学熊本キャンパスの最寄駅。
かつては駅舎が大学の構内にあった。他に大学構内にある駅としては名古屋市営地下鉄名城線名古屋大学駅などが挙げられる。

竜田口…山の名前は「立田」、地名は「龍田」、駅名は「竜田」…統一しろよ!

武蔵塚…駅名は近くにある宮本武蔵の墓(とされている)から。
特急停車駅。

光の森…特急停車駅で一部の普通列車が折り返す。
ゆめタウン光の森の目の前にあり、利用者は多め。
熊本市の駅はここまで。

三里木…富士フイルムの工場やビジネスホテルが周辺に立地している。

原水…菊陽町の代表駅。

肥後大津…大津町の中心駅で熊本空港へのアクセス駅として機能しており、「阿蘇くまもと空港」が副駅名となっている。
因みに大津の名前は加藤清正が参勤交代で滋賀県の大津に向かう際に最初の止まる宿場町、「大津(に向かう)一(番目)の宿」と命名したのが由来。

立野…南阿蘇鉄道高森線乗り換え。
2009年に駅舎が改築され、近未来的な駅舎になった。
構内は肥薩線真幸駅のような逆Z型のスイッチバック構造になっていて、熊本方面と大分方面を直通する列車は2回進行方向を変えることになる。
その為、全列車が必ずホームに入ることになる。

瀬田…琵琶湖線にも同名の駅がある。しかも当駅は大津町、あちらは大津市にある。

赤水…立野駅からもう一度スイッチバックして辿り着く駅。特急停車駅。

市ノ川…有蓋車を思わせる待合室がある。駅前がドライブインの駐車場。

内牧…震災で駅舎が被災し、プレハブのような簡素な駅舎に変わった。

阿蘇…阿蘇市の観光拠点駅で、ななつ星in九州の停車駅でもある。
道の駅、日帰り温泉や病院の他、ウソップの像が駅前にある。

いこいの村…キャンプ場から駅名が取られているが、現在そちらは閉鎖されている。

宮地…2度目の運転系統分断駅。阿蘇市の代表駅・阿蘇神社の最寄り駅はこちら。産山村へのアクセス駅も兼ねる。
特急列車「あそ」はこの駅が終着駅となっている。
機関区があった頃からの転車台があり、SLあそBOY運転時は実際に使用されていた。

波野…ここと隣駅の滝水は1日5本しか停車しない秘境駅レベルのダイヤだったりする。
宮地駅からは10km以上離れている。
九州一標高の高い駅(754m)。

滝水…熊本県最東端の駅。

豊後荻…これより大分県内。特急停車駅。始発の豊後竹田行きの普通列車が1本設定されている。

玉来…扇森稲荷神社の最寄り駅で駅舎もそれをイメージして造られている。

豊後竹田…2度目の運転系統分断駅。竹田市の代表駅で全列車停車。
「荒城の月」で有名な岡城(竹田城)の最寄駅で、列車到着時には入線メロディ代わりに「荒城の月」がホームに流れる。
最近では同じく廃城で有名になった兵庫県の竹田城と区別する為に、豊後竹田城と呼ばれたりする。
あと、意外な所だと日露戦争で戦死し初めての軍神となった広瀬中佐を祀る広瀬神社の最寄駅だったりもする。

朝地…特急が停まらないローカルな駅だが観光案内所併設。

緒方…日本の滝百選に選ばれている原尻の滝へのバスが発着する。病院などが駅前にある、地区の拠点駅でもあり特急が停車。

豊後清川…駅前の国道を少し西に行くと道の駅がある。

三重町…豊後大野市の中心駅で全列車停車。
ここ始発着の区間列車がある。
とある移動番組では佐伯港からのフェリーに間に合わせるべく、急遽特急をこの駅で降りてタクシーを飛ばして佐伯を目指した(ちなみに山越えをしなければならないので結構な無茶だったりする)。

菅尾…菅尾磨崖仏が歩いて25分ほどのところにある…くらい。

犬飼…根岸崇一の地元の駅。

竹中…ここから大分市。
地味に南こうせつとかぐや姫でネタにされている秘境駅。

中判田…特急停車駅。ここから先は更に普通列車の本数が増える。

大分大学前…文字通り、大分大学のある丘のすぐ下にある。

敷戸…周辺のニュータウンからの利用を見込んで作られた。

滝尾…住宅街と山に囲まれ、場所が少しわかりにくい。

大分…日豊本線久大本線乗り換え。
大分県の県庁所在地である大分市の代表駅にして終着駅。
2012年に駅舎が高架化された他、2014年のダイヤ改正で終電が1時間延長された。


今後の予定

  • 熊本空港へのアクセス線として、肥後大津駅から分岐して空港ターミナルへ直通する路線の建設が決定した。2034年度開業を目指している。
  • 三里木~原水間に新駅の建設が決定した。これは熊本に絶賛建設中のTSMC半導体工場へのアクセスおよび周囲の渋滞緩和を狙ったもので、2027年春に開業予定。



追記・修正宜しくお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 地方交通線
  • JR
  • JR九州
  • 熊本県
  • 鹿児島本線
  • 電化
  • 単線
  • 日豊本線
  • 阿蘇高原線
  • 阿蘇山
  • 路線
  • 鉄道
  • 大分県
  • 非電化
  • 荒城の月
  • 岡城
  • 秘境駅
  • 地方交通線
  • スイッチバック
  • 豊肥本線
  • 路線シリーズ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月23日 17:16

*1 出典:Wikipedia URL: http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fc/Hohi_main_line_ja.png 日時:2016/01/04 出典者:ikaxer

*2 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/815.jpg 日時:2016/01/04

*3 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ec/817kumamoto.jpg 日時:2016/01/04

*4 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/train/786/110528%20%5Baso-boy%5D183%20at%20mojiko%20etc%20032.jpg 日時:2016/01/04

*5 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/kiha/kiha185e.jpg 日時:2016/01/04

*6 出典:Wikipedia URL: http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/66/JR_kyushu_DC125-21_20070812.jpg/798px-JR_kyushu_DC125-21_20070812.jpg 日時:2016/01/04 出典者:LERK

*7 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/kiha/kiha200.jpg 日時:2016/01/04