ウシワカ(大神)

登録日:2015/04/16 (木) 23:34:14
更新日:2024/04/12 Fri 05:33:31
所要時間:約 10 分で読めます




天呼ぶ 地呼ぶ 海が呼ぶ…

物の怪 倒せと 我を呼ぶ!


人倫の伝道師 ウシワカ イズ ヒア!


大神(ゲーム)に登場するキャラクター。
陰陽師の衣装にカラス天狗のようなお面、独特な長髪(に見える帽子の飾り)、高下駄で必死に補っている短足と特徴的な外見をしている。
言動も特徴的であり、木の上から笛を吹いた後に上記のセリフを叫び、アマテラスに対して「傾いた(かぶいた)ルックスだけどその実力は本物かな? ベイビィ」等と煽り、更に木からジャンプしそのまま水面に降り立つのがこいつの初登場シーンである。
たいていのプレイヤーは、ウシワカの第一印象をこう思うだろう。 うぜえ と。 ルックスに関してはお前が言うな。

彼は十六夜の祠の警備を担当していたが、都に帰っている間に絶対に抜けないはずの宝剣『月呼』が抜かれる事件を起こしてしまい、それの解決を図っているらしい。
さらに本人曰く「どんな未来さえも(知りたくない事であっても)見通す力」を持ってるようだが、
『月呼』が抜かれる事件は見通せなかった模様。なんとも胡散臭い。

どうやらアマ公のことを知ってるようで、信仰の薄い者には見えない隈取も見える模様。
だが大した理由も告げずに戦闘を仕掛けてきたり、敗北したくせにスローペースな旅をしてるだの
アマ公の力にガッカリするだの見下す発言をしてくる。しかもルー語で。うぜえ
しかもこいつはアマ公の旅する先々に現れ、そのたびに悪態を付いたり助言なのか狂言なのかわからない言葉を投げかけてくる。
そして最後には自身の未来予知を生かしてアマ公に予言の言葉をプレゼントする。小指を立てながら。
その予言も実に曖昧な短文で役立つものとは言い難い。うぜえ

なお戦闘スタイルは二刀流で、片方はライトセイバーのような愛刀『ピロウトーク』である。
時代設定間違ってるだろ!とかなんつー恥ずかしい名前つけてんだ!とか突っ込むプレイヤーは大勢だろうが、大神とはそういうゲームなので仕方ない。
ちなみにピロウトークは収納時に笛の役割も果たせる。

まともな正体も明かさないままアマ公の前にたびたび現れ、そのつど逆なでするような言動を見せる。
とあるボスを倒した後には、「無様な立ち回り」だの「不甲斐無い者が世直しの旅という荒波の中へ船出しようなんておこがましい」だの言いたい放題。
案の定イッスンには周囲に巻き起こる異変の黒幕疑惑を掛けられ、非常に毛嫌いされている。
一方のアマ公はウシワカと対面しても普段と変わらずポアッとしているので、彼のことをどう思ってるのかプレイヤーから心中を察することはできない。
ウシワカ戦の曲名は『ウシワカと遊ぶ』。戦闘BGMに『遊ぶ』が使われているのはウシワカ戦だけである。

旅の途中、ウシワカがヒミコ率いる『陰陽師特捜隊』(通称陰特隊)の隊長であることが判明するが、
200年近く続いている陰特隊の歴代隊長の名前が全て”ウシワカ”であることも判明するなど、
ますます胡散臭い印象を与えることになる。
謎を抱えたまま物語が進行するわけだが・・・。



以下物語の核心に触れるネタバレなので注意










…多くの天神族を 死に 追いやり
下界をも 汚した ミーの罪は ―

どんな事をしても
リセット 出来ないんだ!

ウシワカの正体は月の民。
200年以上前に、月の文明で作られた『箱舟ヤマト』と共に何らかの理由でタカマガハラへ来たのだが、
星の海からヤマタノオロチがタカマガハラに襲来、アマ公をはじめとする天神族と共闘した。
必死の抵抗も虚しく結果タカマガハラは滅ぼされ、ウシワカは生き残りの天神族と共に箱舟に乗り避難することを決断。
しかしその箱舟は、何千何万という妖怪が潜む貨物船だった。
船内の天神族は成す術もなく全滅し、しかも箱船ヤマトが地上(カムイのラヨチ湖)に落ちたことがきっかけで、
下界に大量の妖怪が解き放たれてしまった。

船内で生き延びたのはウシワカ唯一人であり、船内に潜む妖怪の存在を知らなかったとはいえ、
結果的に天神族滅亡のきっかけをつくったウシワカは、自らを「月の国から落ち延びた忌まわしい月の民」
と自嘲するほどに心に大きな傷と罪悪感を残すことになった。
予知能力があるにもかかわらず一連の惨劇を防げなかったことも罪悪感の一因かもしれない。

アマ公とオロチは戦いにより共に下界に墜ち、オロチは十六夜の祠を拠点に生け贄を求めるようになる。
なんとしてでも倒したいアマ公であったが、ここでウシワカの予知能力が発揮された。
「“予言の者の力がなくてはオロチを倒す事は出来ない”」
アマ公はウシワカの予言を信じ、予言の者イザナギが動くまで100年もの間待ち続けた。
99人の生け贄を出すことになり、神木村の住民にオロチの使いと思われ忌み嫌われることになってでも。
その姿にウシワカは感動し、全盛期とはほど遠い現在のアマ公であっても信じ続け、陰ながら旅のサポートをしていたのだった。
なおこの100年の間にイッスンの祖父であるイッシャクと出会い、交遊を持ったものと思われる。
イッシャクの書いた天道絵巻物にはウシワカと思われる人物の記述がぼかされる形で紹介され、大事に思われているものだと推測できる。

ラスボスである常闇ノ皇を倒した後は、アマ公と共に「世直しの旅という荒波の中へ本格的に船出」することになる。


ここで、彼がストーリー中に発した台詞の一部を振り返ってみよう。

天呼ぶ 地呼ぶ 海が呼ぶ…
物の怪 倒せと 我を呼ぶ!

初登場の台詞。初見だとただのナルシスト発言にしか思えないが、
ウシワカが妖怪を下界に発生させ終盤まで罪の意識にとらわれていることを考えると、違った見方もできる。
普段ちゃらんぽらんなスサノオですら、オロチを復活させてしまったあと
「神さまが…お天道さまが我をずっと見ているろら!
お前を絶対許さらいって―オロチと戦って退治するまで許さらいって追って来るろらぁ~っ!!」
と気を病んでいたので、ウシワカもそれに近い心境で発した発言にも思える。


アマテラス君 ユーの力には ガッカリしたよ
昔 ヤマタノオロチと 大立ち回りを 演じたのかも 知れないけど…
そんな 過去の栄光に 慢心して ボンヤリ してたもんだから ―
今は もう スッカリ 衰えちゃってるんじゃないの?

初登場での初戦撃破時の台詞。初見だと負け惜しみから出た挑発にしか聞こえないものの、
全盛期のアマ公と共闘した自身だからこそ言える台詞であり、ウシワカ自身も内心ショックを受けている可能性はある。
ヤマタノオロチや常闇ノ皇を倒せる実力を取り戻してほしい一心で発した言葉にも思える。
メタ的に言えば、この戦闘はストーリー序盤に発生するためプレイヤーの腕前が未熟で、大した立ち回りができないのも当然である。
ストーリーが進めばプレイヤーの実力も上がり、最後にアマ公は全盛期の力を取り戻す。
ゲームならではの特徴を生かした秀逸な演出であろう。


分かってると 思うけど あまりに 不甲斐無い 者が―
世直しの旅という 荒波の中へ 船出しようなんて…
おこがましいよ!

高宮平での2戦目開始前の台詞。
実力のないアマ公をけしかけているのかもしれないし、
まともな絵も描けないまま家を飛び出し祖父の絵を盗んだ上、自分の絵と称して絵師を名乗ってるイッスンを批判してるのかもしれない。
親友と思われるイッシャクの孫がやったことであれば、なおさら許せない気持ちが大きいであろう。
さらにここで、エンディングの台詞、アマ公と共に船でタカマガハラへと向かう場面に注目。

さぁて アマテラス君!
世直しの旅という 荒波の中へ ―
本格的に 船出しようじゃないか!
…ミーたちの 旅は まだまだ 終わらない
ユーは タカマガハラに 帰って 國を 建て直し ―
現し世を 泰平に 導かなくては ならないんだからね

ウシワカにとっては、常闇ノ皇を倒したことさえ、『世直しの旅という荒波の中へ船出する』ための準備に過ぎなかったようである。


…まあゲーム中や外部メディア(神谷英樹氏のツイッター含む)でははっきりと語られていない部分なので、
実際の彼の心境は察し得られないものである。
ゲーム中での行動や発言からでは想像も付かないレベルで"重い"ものを心中に抱えたキャラクターと捉えるプレイヤーがいる一方、
それを知ってか知らずでか珍妙な言動を繰り出すウシワカに対して「月へ帰れ」と熱い声援を浴びせるプレイヤーもいる。
ウシワカに限らないが、大神は2周目で見ると印象が変わるキャラクターの行動や台詞などが多く見受けられるので、
ぜひともイベントスキップせずに注目してほしいものがある。

また、余談ではあるが、アガタの森にいるぼくせんババの占いを全て見ても、ウシワカに関することは一度も出てこない。
わざわざウシワカイベント直前に占いを聞いても「今はなにも言えることがない」というようなことを言われてしまう。しっかり金は取られる。
その他メインストーリーに大きく関わり、且つ占いに一切登場しないキャラがスサノオとオキクルミであることを考えると、「過去のウシワカによる予言に関わっているものは占えない」という仮説も立てられる。
クトネシリカに纏わる救世の予言もウシワカによるものだとすれば、という注釈は必要であるものの、
「天への道(=箱船ヤマト)」について言及している時点で十中八九ウシワカによるものだと考えられる。


さらにPS2版公式サイトの『トップアニメーション総集編 7/7~』では、
石と化して100年の眠りについているアマ公に愛刀ピロウトークの音色を聴かせているシーンが確認できる。
愛刀ピロウトークの名前の由来は、ひょっとしてこれなのだろうか。
そうだとしたら、どこまで重いんだお前は。


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最終更新:2024年04月12日 05:33