ジークフリード・システム(蒼穹のファフナー)

登録日:2015/04/16 (木) 20:24:42
更新日:2024/03/17 Sun 13:37:30
所要時間:約 5 分で読めます







クロッシングの為に機体を登録する…5秒待て!



クロッシングクリア…―全機ポイントを維持!下手に動くなよ、敵の親玉が近くにいる。全員無事に帰るぞ!誰も「いなくなった」ら駄目だ!





ジークフリード・システムとは、TVアニメ「蒼穹のファフナー」シリーズにて登場する分離統括型指揮管制システム。
その役割は、ファフナが島を守るための剣とするとジークフリード・システムはパイロット達を守る為の頭脳であり盾。
主人公達の属するAlivsにおけるシステム担当者は1期では皆城総士近藤剣司と鏑木彗にも資質があり、時期によって彼らも担当している。
1期最終話で総士がフェストゥム側へ旅立った際に一度彼と共に砕けたが、その後再建されたらしくHAE以降に登場するジークフリード・システムは謂わば2代目。

まず、前提としてフェストゥムは人の思考を読む「読心」を持っている為何らかの対策を取らなければパイロットの行動等が筒抜け状態に等しく、そのためにファフナーという「心を隠して戦える兵器」が開発された。
だが心を隠すという事は、パイロット同士、及び兵士と指揮官の通信をも難しくしてしまう。
そのために用意されたのがジークフリード・システムであり、これを介してシステム搭乗者とのクロッシング(心の接続)を行い、フェストゥム達から思考を隠したままパイロット間、及び指揮官との相互コミュニケーションを可能としたのである。
クロッシングはパイロットとシステム搭乗者の皮膜神経細胞を通して繋がった状態を指し、これにより的確な戦況判断が可能となりシステム側からの機体管制も可能となる。
(クロッシングにはシステム搭乗者のよる機体コード承認が必要であり、1期23話のニヒトは無理矢理機体コードを承認させたことになる)
数(と時には質)で勝るフェストゥムに対し組織的な抵抗が可能になる、作中における実質唯一の手段として重要な役割を担っている。
ちなみにジークフリード・システムによるクロッシング自体にも、読心を防ぐ効果がある模様。
なお、ジークフリード・システム側から放映版ではエルフが、HEAVEN AND EARTHではドライが使用した無人航空機リンドブルムの遠隔操作が可能であり、カモメを模した小型偵察機「バード」による簡単な哨戒偵察も可能。

このシステム、当初は機体にシステムを丸ごと搭載し、指揮官を置かずにパイロット同士でクロッシングする一体型相互扶助タイプが採用されていた。
だがこのやり方はシステム搭載により機体そのものが大型化してしまうのはまだしも、パイロットへの負担が目に見えて激増するという重大なリスクを抱えている。
ティターンモデルの実戦運用で初めて露呈した事ではあるが、システムを一体化していると同化現象の進行速度が爆発的に上がってしまい、どれだけ同化耐久率が高くても1回の搭乗時間にタイムリミットが課せられ(耐久率トップクラスの僚ですら15分が限界)、その運用ですらも長期的な搭乗は不可能であった。
プロトモデルのゼロファフナーは負荷の大きさから、後述の改良が施された後かつパイロット二人乗りですら1度の搭乗が限界である。
L計画と平行して建造された第三世代であるノートゥング・モデルはジークフリード・システムを切り離して指揮所を別途設置することでダウンサイジングしたモデルであるが、前述の経緯からこちらが主力として採用されることになる。
ちなみにノートゥング・モデルでもジークフリード・システムを搭載することはできるが、トップクラスの耐久率を持つ総士が同乗するというプランですら彼の生存限界は48時間未満とされる。
(このプランが提案された際に主要開発者の近藤彩乃は「何のためにあれを分離したと思ってるの!?」と抗議している)

ジークフリード・システムを分離して指揮所を置くことでより効率的な指揮が可能になったが、この方法は指揮官がシステム内のパイロット全員と同時にクロッシングして指揮を執る事になるので適性を持つ人員が極端に限られる事が挙げられる。
前述の通り作中で統括指揮型に適性を持つのは総士、剣司、彗の三名のみであり、パイロットの総数から考えても極端に少ない。
また、元々ファフナーパイロットから統括指揮型の担当になった剣司と彗はともかく、総士は当初パイロット志望だったが一体化に失敗したため別の役割として指揮官に任命されたので、「前線に出ず安全なところから友人たちの命を左右する」事を嫌がっていた。

竜宮島製ファフナーはフェストゥムの持つ読心能力対策を施した弊害で各ファフナー間での通信に難があり、短距離の有線通信でしか通信できない。
その為クロッシング中のシステム搭乗者を中継する形で漸く通信可能となり、AlvisのCDCとは双方向に通信可能だがファフナー間の通信となると若干の手間が生じている。
図式で表すとするならば「ファフナー←→CDC」は双方向の通信は可能だが「ファフナー←→ファフナー」は有線通信のみとなり無線通信の場合「ファフナーA→ジークフリード・システム→ファフナーB」という伝言ゲームとなる。
この形式を取っているが故に総士ごとシステムが同化されていた1期23話ではファフナー間の通信がほぼ不可能になり、EXODUS2話の戦闘で暉がスフィンクスB型に強襲され絶叫したにもかかわらず誰も気付いていない(里奈は双子故か即時気付いたが)。
ファフナー間での無線通信が出来ない事がわかりやすいシーンとしては上記の他に1期22話で衛が態々総士へ「一騎に、手を貸してって…」と一騎に指示を出すよう求めている場面が挙げられる(無線通信が可能であれば態々総士を中継せず一騎へ直接進言出来る)。
また22話の同シーンで有線通信をしなかったことに関しては、スカラベR型を2機の間に挟んだ状態だった為、単純に通信用のアンカーを飛ばせなかったという事情がある。
EXODUS後半、及びTHE BEYONDではある程度解消されたのか、指揮官を経由しないパイロット間のやり取りがスムーズになっている。

また、運用面においても以下の難点を抱えている。
  • 島の専守防衛を主眼に据えている為、有効範囲は竜宮島全域が限界。
  • 搭乗者の意識がシステムの電源代わりであるため、何らかの要因によって搭乗者の意識がなくなるとシステムダウンを起こす。
    • EXODUS9話でシステムを担当した剣司の意識が無くなったと同時にシステムが僅かの間ながらダウンした為、接続状態の機体が過度の被弾を被るとシステムダウンに直結してしまう危険性がある。
  • システムダウンを起こしてしまうという事はクロッシングによって形成される「心の盾」が無くなるに等しく、読心能力の対抗手段が減る事になる。
    ファフナー自体は読心を防ぐ効果があるがわざわざジークフリード・システムという二重の防壁を張っていることからも分かる通り、ファフナー単体での読心を防ぐ能力はそこまで高くないと思われる。
    • 1期における道生の死因は正にこれが関係しており、ジークフリード・システムがダウンしていた為イドゥンに「フェンリルを起動→脱出してアインを自爆させる」という行動が読まれてしまい、射出されたコックピットブロックをキャッチされダンクシュートを決められてしまった。
    • 更にパイロット間の伝言板的な役割もあるため、システムダウンするとパイロット間の意思疎通も不可能になってしまう。
      • え?1期2話で一騎がクロッシング状態だったのにフェストゥムに心を読まれてるって言ってた?知らんな
  • 最大12機とのクロッシングが可能である反面、最大12人分の知覚・思考・痛覚が否応無く脳内に流れ込んでくるため、それらを捌き切るだけの情報処理能力が必要。
    • 搭乗者は膨大な情報を戦闘中処理し続ける必要があり、適性者以外が搭乗した場合は脳に負担が掛かってしまい重度の船酔いに似た症状を起こしてしまう。
    • 必要に応じてCDC側に各種要請を送る事が出来るという利点がある反面、それにより処理すべき情報が最大だと「12機+CDC+リンドブルム操縦+バードによる哨戒偵察」に増えてしまう。
    • クロッシングを行う関係上適性者はフェストゥム因子が必要であると思われ、必然的にパイロット達と同世代の子供に限定されてくる。
      つまり指揮官の判断一つで友人や後輩が命を落とすことになるプレッシャーに晒される。
      • ファフナーに乗れない年齢になってもジークフリード・システムの運用は可能である模様。ただしTHE BEYONDにおける描写を見るにこれにも年齢限界はある様子。
  • ファフナーと接続状態のパイロットとの感覚共有を行う為、パイロットが受けた痛覚が全てシステム搭乗者にフィードバックされる。
    • 例えばファフナーAの頭部が吹き飛ばされると、パイロットとシステム担当者にも自分の頭が吹き飛ぶ痛みが襲いかかる。
  • システム搭乗者は搭乗中にフィードバックされた痛みがシステムを降りた後も突発的にフラッシュバックしてしまうため、精神的強靭性が要求される。
    • EXODUSで剣司が戦闘後に医務室でへたばっており、剣司より痛みのフィードバック・フラッシュバックに慣れている総士ですら戦闘後に鎮痛剤と思わしき薬物を投与している描写がある。
    • 総士はかつて「安全な場所で……」と溢したが実際はパイロット全員の痛みを背負うという過酷な役回りである。
  • また、システムに接続した状態のパイロット及びシステム担当者の感情もお互いに逆流してしまうので、自分のことも客観視する必要がある。
    • 総士はこの状態であれば言葉を介さずとも一騎とコミュニケーションできていると勘違いしてしまい、彼とのすれ違いを招く羽目になり真矢から叱られた。

フェストゥムから見てもこのシステムは極めて興味深いものであったらしく、「情報」という概念を理解した後のフェストゥムは様々な手段でもって竜宮島のジークフリード・システムを調べていき、最終的にシステム自体を総士ごと強奪していった。
だが彼らはジークフリード・システムの使い方が分からず、総士を生かしておりそれが一騎達の「希望」たる蒼穹作戦へと繋がっていく。
その(第一次)蒼穹作戦時はミョルニア(真壁紅音)の助言によって同化現象のリスクが大幅に軽減されたジークフリード・システムが4機のファフナー(ドライ・アハト・ジーベン・ザイン)に内蔵された。
これは元々1個の一体型相互扶助タイプを4分割しての搭載だった為、4人でクロッシングを行い(なのでダメージを受けると全員が痛みを感じる)1人でも欠けるとクロッシングを維持できないのでフォーマンセルのクロスドッグを維持し続けなければならないという欠点を有していたが、
逆に「全員で生き残り作戦を完遂する」というモチベーションに繋げつつ4機の絶妙な連携で敵陣を突破していった。
その後HAEではシステムが改良され、全ての機体にジークフリード・システムが内蔵され欠員が生じた場合もクロッシングの維持が可能となった。
この時は総士が不在であり第二候補の剣司が現役パイロットだったので、統括指揮型は採用されていない。
真矢は「痛みも怖さもみんなで背負うの」と説明していたが機体のダメージが他のパイロットに伝播している描写もないのでこの点も大幅に改善されている様子。

EXODUSでは総士の帰還に伴い再び統括指揮型が運用されたが、島外派遣の機体には分割型が採用されており状況に応じて使い分けができるようになっている(その場合コックピットの周囲にコンソール系統が追加される)。
また、ジークフリード・システムの親戚と言える「スレイプニール・システム」が登場。
こちらは無人機開発用に前線を退いていたマークドライに搭載され、無人機であるトルーパーモデル4機とのクロッシングを行い戦闘を行う前線指揮官的な役割を果たす。
出撃時にはジークフリード・システムとのクロッシングを行い、あくまでイメージではあるがシステム担当者同士が背中合わせになる。
咲良は後方支援に徹するように忠告されたが、半ば無視する形で見事な連携を見せつけ、スフィンクスB型と対等に渡り合う活躍を見せた。
次いで、エインヘリヤルモデル版のマークアハトにも搭載された。
さらにエインヘリヤル版アハトは、元々ジークフリード・システム担当になっていた剣司が戦場に出るにあたり、技術の革新によってついに非分割のジークフリード・システムまで搭載されることとなった。
(流石に全体の指揮と戦闘、そしてSDP「薬」の並行作業は厳しかったのか、アハト本体はそこまで積極的に戦闘はしていない)

THE BEYONDにおける第5次蒼穹作戦では美羽ちゃんサークル前線組は分割型、退路を確保する後方組は統括型を使用している。
問題だった統括型が島内でしか使用できないという弱点については、システム自体をAlivsのサブボートであるLボート・Rボードに持ってくることで解消している。
一方でフェストゥムの側も、クロッシングを利用して同化するという反則技を使用。
これによって統括型ジークフリード・システムを介して同化攻撃を喰らってしまい、後方組は壊滅寸前に追い込まれシステム使用者の剣司もあわや同化される直前まで追い詰められた。

機体管制はパイロットの承諾なしに可能で、作中にあるだけで脱出装置の強制作動や操縦権剥奪、作動したフェンリルの解除に痛覚遮断システムの作動と多岐に渡る。
特に痛覚遮断システムは複数回行使されており、システム搭乗者が危険と判断した場合に作動させている。
現状、痛覚遮断に関しては下記の3つが登場している。
  • ペインブロック:破損部位をパージして痛覚の発生源を遮断する。こちらは該当部位の接続を切らない。
  • ペインキル:破損部位のパージはペインキルと同じだが、ペインキルの場合該当部位の接続を切る(三美香の場合は右腕の接続を切っている)。
  • ネクローシス(強制崩壊):機体内部にまで侵蝕された等の理由によりペインブロック不能と判断された場合の最終手段。該当部位を文字通り壊死(ネクローシス)させる事でパージし、再接続不可能になる(左腕をパージした際はニーベルングの指輪も弾け飛んでいる)。
    • 該当部位を壊死させるということは、自分の腕が腐り落ちてもげる感覚がパイロット及びシステム担当者にもフィードバックされる。
THE BEYONDでは前述したクロッシング同化攻撃への対策として「マインドブロック」が新たに登場。具体的な効果は不明(対象となった総士は苦しむ描写がある)だがこれによって被害を防いでいる。

人類軍は当初ジークフリード・システムを有していなかったが、人類軍が開発したザルヴァートル・モデルはシステム内蔵型(EXODUSでの総士の発言から。一期からそうだったのかは不明)であり未知の技術という訳ではなかった様子。
当時のエース機であるメガセリオン/ベイバロンは竜宮島のシステムとの接続は可能だが、ノートゥング・モデルと比べクロッシングが不十分であったそうな。
その後EXODUSでは人類軍のファフナーである大隊指揮官機のトローンズモデルにジークフリード・システムが搭載されており、島における分割型に近い運用が行われている。
こちらは他の機体より精神的負荷が大きいという弱点はあれど、島の統括型ほど極端に適性者が限定されるわけではない。










スーパーロボット大戦シリーズにおいて
K・UX共通で、ジークフリード・システムはシステム担当者である総士が同能力所持ユニットの共有サブパイロット扱いとなり、
特殊能力としてのジークフリード・システムの効果によって読心能力を防ぐ事が出来る。
クロッシング・システムの場合、Kでは「パイロット能力を4人分参照し、それぞれもっとも高い数値に変更する」、
UXは「戦闘マップに出撃中のクロッシング・システム所持ユニット数に応じた能力のプラス補正」という効果をもたらす。
UXではゼロファフナーとマークニヒトにはクロッシング・システムが搭載されないので、特にゼロファフナーは運用に注意が必要になる。
一方、原作ではクロッシング・システム導入前にいなくなったゼクスバインとマークアインにはちゃんと搭載される。
マークデスティニー?あれはモビルスーツモデルだしパイロットも同化現象を自力で制御できるので…

多数の機体の共有サブパイロット扱いとなる仕様上、総士のレベルはもりもり上がるが
精神コマンドを使いすぎるといざという時に限ってスッカラカンという事態が頻発する。
Kでは蒼穹作戦後に総士が帰ってきて復活する(クロッシング・システムは削除される)が、UXでは第2部終盤で総士が離脱した後、HAEの再現が終わって総士が帰ってきても復活しない(クロッシング・システムのまま)。
このため、UXのファフナー組は加速役がいなくなるため一部を除いて足の遅さに悩まされる事になる。
その代わり、総士が復帰すると、ジークフリード・システムから解放されて戦術指揮だけに集中できるからか、
離脱以前の地味すぎる戦術指揮効果に連続ターゲット無効が追加されて急に優秀になる。

なお、スパロボにおいてはそもそもファフナーが無線通信できない設定は作劇の都合上無視されている節があるし、ジークフリード・システムも戦艦に搭載したりしている。
(後者はTHE BEYONDでほぼ同じ形で実現しているが)


ツヴォルフ、ポイントを維持。残り各機はポイントを交代…敵を入れ替えて、仲間を護り合え。全員で、生き残るんだ。



全員だ。どんな危機においても、ジークフリード・システム内の全パイロットを僕が守る。





この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 蒼穹のファフナー
  • EXODUS
  • RIGHT_OF_LEFT
  • HEAVEN_AND_EARTH
  • ジークフリード・システム
  • クロッシング
  • クロッシング・システム
  • 無限サンドバッグ
  • 被弾=システム担当者も痛い
  • 擬似体験
  • 死ぬほど痛いぞ
  • 総士は特別な訓練を受けています

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月17日 13:37