森見登美彦

登録日:2015/04/05 (日) 13:52:53
更新日:2021/07/26 Mon 07:02:59
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目標を立てても達成できないことが分かった。失望するだけであることが分かった。
失望をするとやる気がなくなるだろう。やる気がなくなるのが一番悪いことだろう。
だとすると、はなから目標など立てないことが一番いいのだ。
今を生きる。今を生きるだ!




森見登美彦とは日本の小説家である。
1979年1月6日生まれ。 奈良県生駒市出身。

京都大学農学部卒。在学中に執筆した『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビューする。

2006年に出版された『夜は短し歩けよ乙女』は山本周五郎賞、本屋大賞(2位)などを受賞し、直木賞候補にもなった。

本屋大賞にはたびたびノミネートされているほか、『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞受賞、
聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞を受賞している。


登美彦氏が京大出身ということもあり、京都を舞台にした作品がほとんど。
また、ヘタレな男子大学生が登場することが多く、その描写は実にリアル。
リアルすぎてたまに傷つく。
恐らく登美彦氏の実体験も入っているのではないかと思われる。
ちなみに登美彦氏は2009年に30才で結婚しているので、今項目を見ているヘタレ大学生諸君も諦める必要はない(多分)。





基本的に一巻完結だが、世界観は共通しており、別の本の登場人物や用語が出てくることもある。

ちょっと癖があるが、作風は基本的に明るいものが多い。
最初読み始めたらくだらない話に思え、読み進めるとやっぱりくだらないのだが、実はその根底には極めて真面目なテーマが隠されていることがだんだんとわかっていき、
最後まで読み終えると明日からは今よりも少し前を向いて歩いていこうかなって気分になれる、そんな作品が多い。

一方で「きつねのはなし」など、ホラー調で少し不気味な作品もある。

少し古風がかった独特な文体も特徴のひとつ。


◆主な作品リスト

「私の大学生活には華がない。特に女生とは絶望的に縁がない。
三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。
しかし水尾さんはあろうことかこの私を振ったのであった!」
長男:太陽の塔 (2003年、新潮社→2006年、新潮文庫)



「大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。
異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。
責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。」
次男: 四畳半神話大系(2005年、太田出版→2008年、角川文庫)



「闇の中で、ケモノが笑った」
三男:きつねのはなし(2006年、新潮社→2009年、新潮文庫)



「これは私のお話ではなく、彼女のお話である。
これは彼女が酒精に浸った夜の旅路を威風堂々歩き抜いた記録であり、また、ついに主役の座を手にできずに路傍の石ころに甘んじた私の苦渋の記録でもある。
読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながら熟読玩味し、杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味わわれるがよろしかろう。
願わくは彼女に声援を。」
長女: 夜は短し歩けよ乙女(2006年、角川書店→2008年、角川文庫)



「芽野史郎は激怒した。必ずかの邪知暴虐の長官を凹ませなければならぬと決意した。
芽野はいわゆる阿保学生である。汚い下宿で惰眠をむさぼり、落第を重ねて暮らしてきた。
しかし厄介な事に、邪悪に対しては人一倍敏感であった。」
新釈 走れメロス 他四篇(2007年、祥伝社→2009年、祥伝社文庫)



「私はいわゆる狸であるが、一介の狸であることを潔しとせず、天狗に遠く憧れて、人間を真似るのも大好きだ。
したがって我が日常は目まぐるしく、退屈している暇がない。」
毛深い五男: 有頂天家族(2007年、幻冬舎→2010年、幻冬舎文庫)



美女と竹林(2008年、光文社→2010年、光文社文庫)



恋文の技術(2009年、ポプラ社→2011年、ポプラ文庫)



宵山万華鏡(2009年、集英社→2012年、集英社文庫)



「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。 そうすると心が大変平和になるんだ」
ペンギン・ハイウェイ(2010年、角川書店→2012年、角川文庫)



四畳半王国見聞録(2011年、新潮社→2013年、新潮文庫)



「主人公だから頑張らなければいけないなんて、いったい誰が決めた?」
聖なる怠け者の冒険(2013年、朝日新聞出版)



「面白く生きるほかに何もすべきことはない。まずはそう決めつけてみては如何だろうか。
この道のほかに我を生かす道なし。ようするに、面白きことはよきことなり!」
ふわふわの末っ子: 有頂天家族 二代目の帰朝(2015年、幻冬舎)



このうち四畳半神話体系と有頂天家族はアニメ化もされており、どちらも文化庁に表彰されるなど完成度は高い。






胃に良いものは以下の通りである。
  • ローカル線の小さな駅
  • 生駒山
  • 風にのってくる夏草の匂い
  • 入道雲
  • 簾を揺らす夕風
  • 高校生の頃に読んだ海外ミステリ...等々たくさん

胃に悪いものは以下の通りである。
  • 締切

とあるように登美彦氏は2011年に一度体調を崩し、編集者の方々と会合を行った結果、締め切りを一切反故にする存在「締切太郎」を召喚し、作家としての活動を一時休止していた。


その後作家活動を再開し、「十周年記念作品」として「聖なる怠け者の冒険」「有頂天家族 二代目の帰朝」「夜行」を発表したが、結局十周年の内に出たのは「聖なる怠け者の冒険」だけであった。
そのため登美彦氏はやむなく十周年を延長し続けている。
最後の1冊「夜行」が出版されるまでこの呪われた十周年は終わらない予定で、いつまで続くかは未定である。




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最終更新:2021年07月26日 07:02