ス・ノーマン・パー

登録日:2015/03/22 Sun 12:44:23
更新日:2024/02/15 Thu 14:06:00
所要時間:約 6 分で読めます






人生ってなかなか思ったようにはいかないものよ?
そこが面白いんだけどね。

かっこいい王子様がかわいい王女様を助けるなんてお話は―
もう飽き飽きよね。




現れたな!オカマ魔女め!おりゃーッ!


なんかこうゆうガツガツした熱い子って、あたしの好みじゃないわ。
あたしも。いい体してるんだけどね、もっとクールな男の子の方が好き。


ん~消えちゃえ。


ぐあああああああッ!!


うふ。次に会う時はもっとクールな男の子にしてあげる。
さ、ここも終わりね。また新しいとこ探さなきゃ。





僕はもうダメだ。誰かメモリミモリ姫を……ヘンダーランドを救ってくれ……























ノーマンパーは、『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』に登場するキャラクター。
声:古川登志夫

左手がボクサーグローブ、右手がゴム手袋、お尻の所に赤いパーのマークが描かれている雪だるま。
名前に拘りがあるようで、「スノーマン」と間違えられると「ス・ノーマン」と改めるように強く主張する。



【概要】

ふたば幼稚園に現れた県の教育機関から来た人物(?)
明るく人当りの良い性格。やや乱暴な口調で話すが声が柔らかいためキツい印象はなく、仕事上必要となれば敬語も普通に使いこなす。加えてしんのすけのボケにのっかってギャグを決めるノリの良さも持ち合わせる等、高いコミュニケーション能力の持ち主。
また、イジめられていたマサオを助けるなど正義感にも溢れているようだ。
特にしんのすけとは仲が良く、彼を「兄貴」と呼んでおり、自分も「スーちゃん」と呼ばれている。

「春日部か……いや懐かしいぜ! 初めて来たけどな!」

「よう婆さん、死ぬまで生きろよ!」

「もっと舐めて~~」(しんのすけに舐められた時の返し)





……上述の内容は事実ではあるが、あくまで表の顔。
その正体はマカオとジョマが派遣したヘンダー城の新幹部。
トッペマ・マペットはおろか、同じ幹部のクレイGマッド、チョキリーヌ・ベスタすら彼が登場する直前まで知らなかった。

普段はノリの良さと社交的な態度から周囲から「良い人」と言われ信頼されているが、その本性は冷酷かつ狡猾。
直接的に暴れたりするのではなく相手を精神的・社会的にじわじわと追い詰めた上で目的を果たすという、巧妙な策を用いる。
表の顔を演じているときは女好きな高校生の様なおちゃらけ声だが、本性を表したときは南斗聖拳使いの様な、威圧的な低い声になる。


怖いもの知らずでシリアスなシーンでも平然とボケる事に定評があるしんのすけに対し、味方を減らすことで明確に「恐怖」を植え付け、確実にしんのすけを追い詰めた、非常に珍しいキャラである。
他には大群かつ全裸で追跡して来たとにかく明るい安村ぐらいのものであろう。

子ども向けの映画で出すキャラか?」と思うくらい陰湿且つえげつない手段は、ホラー映画に出てもおかしくないくらい怖い。
本作のトラウマシーンの大半はコイツが生み出したため、そのインパクトから劇場版キャラの中でも知名度が高い。

その一方で、作戦タイムを二回も認める潔さ、間違えて弱点を言ううっかりな面もある。
腐ってもそこはやっぱりクレしん映画のキャラクターである。


雪だるまらしく、体を-100℃の超低温に保ったり、全身から魔法のエネルギーを放つといった能力を持つほか、体から様々なものを取り出して、大人を騙すのに利用したりすることもできる。
劇中では書類やビールを取り出して見せた(魔法の氷で作られているらしく、時間が経つと溶けて無くなってしまう)。
また、家が火事になるかもしれない「アクションビーム」と家が壊れるかもしれない「カンタムパンチ」を受けても無傷なため、防御面も相当強い。
他にも足をローラースケートにして高速移動することもできる。



【本編での活躍】

あーもーやだねやだねー! 他人のドジのせいでこの俺が、
このス・ノーマン・パー様が、直々にガキの相手をしなくちゃいけないとはねー!

トッペマ・マペットを倒すも、「スゲーナ・スゴイデスのトランプ」の回収には失敗したチョキリーヌ。
このままではトランプの魔力に守られたトッペマが、その場に居合わせたしんのすけにトランプを託すのではと警戒するマカオとジョマ。
さりとてクレイGとチョキリーヌは既に顔が割れているため、しんのすけに近づいてトランプを取り戻すのはまず不可能。そんな二人に代わって差し向けられる形で春日部に来訪。
正直外見的にはこの二人より遥かに目立っている気がするが…。

そこで出会ったマサオくんから、しんのすけがふたば幼稚園にいると知った彼は、魔法で偽造された書類で幼稚園に侵入する。

当初は気のいいお兄さんとして園児たちと馴染み、しんのすけとも仲良く振る舞うス・ノーマン。
だが、しんのすけと2人きりでトイレで立ちションをしてる最中、遂に正体を明かす。



オイラちょっと変わったトランプを探してるんだけど、知らないかい?

し……知らない……。

そうかい……。
……今日、アニキの家に遊びに行っていいかい?

う……だ、ダメだゾ……!


探りを入れて彼がトランプを持っていると確信したス・ノーマン。
あまりの動揺で図星である事を隠し切れなかったしんのすけ*1は、狼狽えながらトイレから逃げるように立ち去った……。


しんのすけはス・ノーマンが敵と気付くも、前日に出会ったマサオくん*2以外は誰も信じてくれず、途方に暮れていた。*3


落ち込みながら家に帰宅したしんのすけ。
だがそこには……


おかえり、アニキ。

ひ、ひぃいいい!?
うわぁー! かーちゃん!かーちゃん!?

既に野原家に訪問してみさえを懐柔し、泊まりの約束までして居間でくつろぐス・ノーマンが待ち構えていた。
ただでさえ怯えている状態の中、家にス・ノーマンがいるのだから相当怖かっただろう。

夕飯を食べながら楽しく談笑するみさえとス・ノーマン。
その間、しんのすけは俯いて最後に残された味方である、父ひろしの帰りを待つしか無かった。

(かーちゃんはおバカだ。すっかりコイツにだまされている……とーちゃん、はやくかえってこい!)


だが、ス・ノーマンは「ご主人の留守中に自分が上がり込んでるのはマズい」と言い突然帰ってしまう。
呆気に取られるしんのすけだが、特に仕掛けもしないで帰った事に安堵したのか直ぐに眠りについた。
しかし……


それからしばらく時間が経った夜中、しんのすけは帰宅したひろしの声で目を覚ます。



どうも……

駅前の『老衰の滝』で席が隣んなって、すっかり気が合っちゃってさ!


ひろしの隣にはス・ノーマンの姿があった。
彼は帰宅途中のひろしに接触して飲み合って仲良くなり、抜け目なく懐柔して再び野原家にやってきたのだ。
これにより、「ひろしにス・ノーマンを追い出してもらう」というしんのすけの目論見は完全に潰えてしまった。

とうとうしんのすけの最後の良心であったみさえとひろしですらス・ノーマンの手に落ちた。
そして、二人を魔法のビールで眠らせた後、ス・ノーマンは全国の天気予報がどこも晴れである事を愚痴りつつ、本性を表してしんのすけを襲撃する。



ちっ、どこもかしこもお日さまマークかよクソ面白くねぇ
雪が良いよなぁやっぱ……それも身も凍りつくような吹雪、そう思わねえか?なぁ、小僧!

とーちゃんとかーちゃんに何をした!?

ちょいと眠ってもらったのさ、朝までは何があっても起きねぇ。
さて、やっと二人きりになれたわねぇ……しんちゃん?


テメーのそのじゃがいも頭ぶち割って脳みそストローでチューチューするぞ!ガキ!!


腹を括ってス・ノーマンと戦う決意をしたしんのすけは、怯えながらも「スゲーナ・スゴイデスのトランプ」を取り出すが、呪文を間違えてしまい何も起こらない。



「スゴイナ・スゲーデス」!!


はっはっはっはっはっ!

間違ってやんのバーカ! 「スゲーナ・スゴイデス」だ!

あっ……。


しかし、うっかり口が滑って正しい呪文を教えてしまい、(※ここで一旦ホラーパート終了)
しんのすけがトランプの力で呼び寄せたアクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもんと戦闘。

だが、攻撃を尽く無効化され、ス・ノーマンに歯が立たない。挙句に形勢が不利と見るや、案の定ぶりぶりざえもんはス・ノーマン側に寝返ろうとする始末。


貴様やっぱりそういう奴だったのか!

見損なったぞ、ぶりぶりざえもん!

戻ってこーい!

断る!私は常に強い者の味方だ。


無論、要らないとばかりに即座に蹴り飛ばされたが、このままでは埒が明かない。


作戦ターイム!

認める。



私はいつでもOKだ。…で、何をするのだ?

このバカ豚…!

脳みそあんのか…!

少し…


作戦タイムを認めてもらったうえで「おしっこで雪を溶かす」最低な作戦を立てたしんのすけ達。
だが、ス・ノーマンは自分の体は-100℃の超低温に保たれており、おしっこをするとチンチンも凍って砕け散るとわざわざ警告して中断させる。
流石に自分の身体でチンチンが粉々になって敵が自滅する姿は見たくないだろうし……



二度目の作戦ターイム!

認める!



第二の作戦「おしくらまんじゅう」で攻撃をしかけるしんのすけ達四人。
最初のうちは「マッサージになる」と嘲笑うス・ノーマンであったが、しんのすけ達のおしくらまんじゅうで放つ熱気は想像以上で、
尚且つ彼らの熱いハートはス・ノーマンが忘れている何か重大なことを思い出させようとする。


こ、こいつ等!熱いぜ!すげぇマジだぜ!
この熱気!がむしゃらなパワー!俺に何かを思い出させる…

何だ!う…うわぁぁぁぁッ!! あ、頭が痛てぇ!!
はっ! 溶けだした!頭も割れそうに痛てぇ!!


気がつけば、彼の体は徐々に溶け始め、足元には水滴がしたたり落ちてきている。
これに危機感を覚えたス・ノーマンは、とうとう「覚えてやがれ!」と小物全開な捨て台詞を吐いて逃げ出してしまうのだった。


だが、その際に(妙に達筆な文字の)置き手紙とヘンダーランドの招待券を残して行く。本当に抜かりない。

昨晩に何があったのかを知らずに「ス・ノーマンの厚意が勿体無いから」と誘いに乗ってしまったひろしとみさえは、嫌がるしんのすけを連れてヘンダーランドへ遊びに出かける。
一人憂鬱なしんのすけをよそに、アトラクションを満喫するひろしとみさえ。

そして、遊び終えて帰宅しようとする野原一家の背後にはス・ノーマンの影が……
彼はトイレに行ったひろしとみさえを襲撃して捕らえ、魔法の操り人形にすり替えていたのだった。

本当えげつないわこの雪だるま…



【正体】



【余談】

改めて本編を最初から見ると
  • 冒頭、「次に会う時は、もっとCOOLな男の子にしてあげる」というマカオの発言
  • トッペマは勿論、仲間であるチョキリーヌ達もその存在を知らなかった(=ヘンダーランド侵略時には居なかった)
  • 「ス・『ノーマン』」と名前を区切るよう念を押す(=韻を踏んでいる)
  • 本性が粗暴な割に礼儀作法はしっかりしており、実は育ちが良いのではと伺わせる言動が多い
など、正体を匂わせる伏線は随所に存在していた。
記憶は無くとも、深層心理にはゴーマン自身の意識があったのかも知れない。

TVアニメではラジコンとしてたびたび登場している。
映画7作目の同時上映アニメ「メイド・イン・埼玉」では、身長300m程度の巨大怪獣として登場。
町で暴れ回っている所をヒーローたちに囲まれるが、誰が倒すかで仲間割れを始めたヒーローに呆れて帰ってしまった。



追記・修正ターイム!

認める。

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最終更新:2024年02月15日 14:06

*1 この時点でのしんのすけは、先の遠足にてトッペマと幹部達との争いに巻き込まれた影響ですっかり怖気付いてしまっており、その後のトッペマの協力を断ったりするなど、ヘンダーランド関係の話は極力避けようとするくらいには弱気になってしまっていた。

*2 前日に会った時、しんのすけを探している様子だったこと等からやや不審に思っていたが、怖がって帰ってしまった。

*3 この時、ス・ノーマンは周りの人間に十分取り入った上で、しんのすけにだけ正体を気付かせている。これにより、しんのすけは友達・家族から話を信用されずに孤立し、味方を奪われてしまう形となった。