善悪の屑(漫画)

登録日:2015/03/07 Sat 11:09:12
更新日:2024/01/03 Wed 21:42:28
所要時間:約 8 分で読めます





オマエにとっての「善い事」それは誰かにとっての「最悪な事」



『善悪の屑』とはヤングキングで連載されていた漫画である。作者は渡邊ダイスケ。
2016年8月号からは「外道の歌」というタイトルで第2部がスタートし、2023年まで連載された。

キャッチコピーは「世の中の屑には、屑による制裁を!! 社会に、人々の心に、「正義」の意味を問う衝撃の問題作!!」


▽目次

◆概要◆

主人公であるカモトラが依頼人の無念を晴らすために復讐代行という形で裁く、ぶっちゃけ現代版必殺仕事人
神隠しの捜査官怨み屋拷問ソムリエと同じく非合法で加害者に制裁を加えて闇に葬るという内容であるが、作中で行なう制裁は猟奇的な拷問殺人がメインであり、主に加害者を拉致して人気の無い場所でかなりえげつない仕置きを与えてから処刑するというスタイル。

具体的に挙げると…

  • 声帯とタ○キ○を切り落としてそれを加害者に食わせた挙句、鉄橋に宙吊りにして口からハラワタをぶちまけて殺害する。
  • 加害者のア○ルに鉄パイプをぶち込んで、そこからコンクリートを詰めて殺害。
  • 洗脳ババアのア○ルに避雷針をブッ刺しそのまま放置、その後ババアは複数回の落雷にあって死亡。
  • 大勢の幼女に暴行を加え殺害した変態を、殺した幼女たちの傷や己の年齢の計算結果に合わせ196個の肉片にする。
  • 拘束した加害者を生きたまま鑢で削ってミンチにする。
  • ルール違反者やクレーマーに対し過剰な制裁を加えた半グレコンビの頭を、焼却炉に突っ込んで殺処分する。

などとグロ表現の耐性のない読者にとっては非常に辛い内容となっている。

一見するとやり過ぎ感が否めないが、本作に登場する加害者のほとんどが法の盲点や少年法を悪用して大した罪に問われず、その後は悪びれる様子も反省もなくのうのうと暮らしている同情の余地の無いクズばかりであり、その多くが実在の事件をモデルにした腐れ外道であるため、むしろ殺されても仕方ないと言える。
一方、復讐屋はこの手の作品ではありがちな「闇の正義」とか「必要悪」としては描かれず、あくまで底辺の屑が同じ屑を食い物にする構図であることが強調されている。そのためか、外道が地獄に落ちるという展開でありながらどこかしら後味の悪さが残るのも特徴である。
この容赦のない復讐劇や作中で主人公が発した「もう二度とうんこできないねぇ」等の名言からネット上でもかなりの人気を博している。
2019年には『青い春』等で有名な俳優の新井浩文主演の実写映画版(監督:白石晃士)が公開予定であったが、新井の不祥事の発覚により、公開中止となり、そのままお蔵入りになってしまった。


◆あらすじ◆

街中にひっそり佇む小さな古書店。
そこで営む2人の男 が本業とは別に担う仕事は「復讐の代行」
彼らは「復讐屋」を名乗り、法の裁きから逃れた加害者を被害者の代わりに壮絶な復讐をもって裁きを下す処刑人であった。
凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者やその遺族が「無念」を晴らすため、カモ達の元を訪れる。
殺人、イジメ、強姦、リンチ…様々な悪意によって魂を踏みにじられた被害者達の心に安らぎが戻る時は来るのか…



◆用語◆

  • 復讐屋
カモとトラの2人組が行なう復讐代行業。
法の壁によって犯罪者をまともに裁く事もできずに泣き寝入りを強いられている依頼人の代わりに様々な方法で加害者に復讐するというもの。
一応、依頼料は取るものの一律「○○(例:給料・年金・小遣い)3ヶ月分」となっており、この手の依頼によくありがちな法外な額ではない。カモ曰く「食ってくためにやってるんじゃない」

社会的抹殺がメインである怨み屋とは異なり、基本的に拷問殺人を前提とした実質的殺害で加害者に対して死を持って償わせる。
ただし、状況によっては加害者をあえて殺さずに生かしておく場合もあるが、情けをかける訳では無く死んだ方がマシという位の目に遭わせて生き地獄を味わせる。*1

一例を挙げると、
依頼人の孫を壮絶なイジメで自殺に追いやった中学生のクソガキ3人保身のためにイジメ被害者を見殺しにしたDQN教師が自身の悪行を棚に上げた人権論や少年法を振りかざして見苦しく命乞いをした際には…

「見ザル・いわザル・聞かザル」に見立てて、4人全員の眼球をガスバーナーで焼き、声帯と耳の奥にある規管を切除して
二度と「見る」「話す」「聞く」ができない状態にする。

といった感じ。
揃いも揃ってヘレン・ケラーも真っ青な障害者にされ、犯人の顔や詳しい経緯を相手に伝えることもできずに一生過ごすという極めて悲惨な末路であるが、
4人が生前の被害者に対して行なった悪行がそれ以上に陰湿かつ悪辣だった上、自殺に追いやった後は反省どころかネットやマスコミを利用して加害者の親と共に被害者を誹謗中傷して逆に悪者扱いした挙句、自分は何も悪くなかったとアピールする等、全く同情の余地が無い。*2


  • カモメ古書店
カモとトラが経営する古書店であり、復讐屋の拠点である。
どこからか復讐代行の噂を聞きつけて復讐屋の存在を知った依頼人がたびたび訪れている。


  • 朝食会(ブレックファストクラブ)
中盤から登場した復讐屋の同業者。
復讐屋と同じく依頼人の無念を晴らすために非合法で加害者に制裁を下すのだが、最大の違いは依頼人自身の手で加害者に復讐させるという点である。

依頼人自身の手で加害者に復讐させる

大事な事なので2回言いました(笑)
「被害者の側に立った復讐プランを提供する」という名目で依頼人の希望に合わせて復讐の下準備を整えるのがメインであり、直接自分達で制裁はしない。
主に通信で依頼人に的確な指示を命じたり、足がつかないよう確実なルートや指定場所を伝えて上手く誘導したりと復讐屋とは似て非なるスタイルと言える。*3



◆登場人物◆

  • カモ
本作の主人公。
サングラスをかけた坊主頭で額に傷跡がある男。本名は鴨ノ目武
基本無口でぶっきらぼうだが、犯罪者を追い詰めるときは「○○ねェ」「○○だねェ」と人を食ったような口調になる。

普段はカモメ古書店の店主であるが、依頼人が店に訪れれば復讐屋として犯罪者を容赦なく処刑していく。
一見冷酷非情な人物に見えるが、犯罪の被害で心身共に傷ついた依頼人を曲がりなりに救おうとする人情味あふれる一面を持つ。
だが、同情の余地の無い悪人に対しては相手が女子供であろうと、一切の容赦はない。
だがその容赦の無さの割には詰めの甘さも目立ち、読者からはおっちょこちょいとまで言われる。

かつては妻と娘の3人家族であったが、本編開始以前に起きた強盗殺人で妻と娘を失っており、特に当時は幼かった娘は加害者に惨い暴行を受けた末に殺害される等、依頼人と同じく悲惨な過去を背負っている。
その経緯からか、卑劣な悪人を決して許さない正義感を持つようになるが、本人はその事を触れられるのを嫌っているようであり、
作中で仕事の最中に娘の話を持ち出して茶々を入れてきたトラをいきなり壁に叩きつけて殺意に満ちた目つきで「二度と娘の話をするな」と睨みつけていた。

バナー広告での顔がどっかのyoutuberに似てると評判に。というか作者自身もいずれネタにしたいと言い出す始末である


  • トラ
カモの良き(?)相棒。
髪型がセミロングで関西弁を喋る青年。本名は島田虎信
義侠心にあふれた硬骨漢であり、カモに劣らず悪人を憎む心は人一倍強いが、感情移入するあまり復讐屋のやり方に背いてまで悪人を速攻で殺そうとする等、真っ直ぐな性格故にカモと意見がぶつかる事もある。
その一方では、カモと比べると非情になりきれない部分もあり、加害者なら相手が未成年でも容赦なく復讐代行を実行するカモに対して苦言を呈する時もあるが、やる時にはやる男である。
腕に隠しブレードを仕込んでおり、有事の際にはどこぞの蜘蛛男そのまんまなポーズでブレードを袖口から展開して相手を攻撃する。

元々は母と二人で暮らす地下格闘技(いわゆるアングラ)の常連で、道行くチンピラたちに喧嘩を売る超がつくほどの喧嘩好き。母親からは怒られたり呆れられたりしながらもそれなりに親子仲良く暮らしていた。
しかし母親が自分のために銀行から貯金を下ろした際に不良少年達による引ったくりに遭い、バックを離すまいと必死に捕まっていたが振り落とされガードレールに激突。文字通り頭が割れて死亡している。
その後犯人の不良少年の裁判に出席したが刑は軽く、加えて犯人は反省の色もないふてぶてしい顔で退出しようとしたため怒りが爆発。とっさに犯人へ飛びかかろうとし、弁護士や警務官に取り押さえられながらも「殺させろ…」と殺意を露わにしていた。
感情的になって悪人を殺そうとするのはこうした過去がある為。一度それによって暴走した為カモからはきつく釘を刺されている。


  • 開成奈々子
中盤から登場した眼鏡の女性。
以前は引きこもりであったが、ある日家に押し入った男に両親と従姉妹を殺害されて現在は1人暮らしである。
初登場時は家族の無念を晴らすために依頼人としてカモメ古書店を訪れていたが、加害者がカモ達を振り切って逃走したため、
依頼が完了するまでカモメ古書店にかくまわれる形で現在はカモ達の同居人となっている。

とあるエピソードでは、集団レイプの被害に遭った依頼人に同情して自ら囮役を買って出る一幕があった。*4


  • カモの叔父
スキンヘッドでヤクザ風の外見であるが、れっきとした刑事。
身内であるカモが行なっている復讐代行に気づいているようであるが、あえて黙認している。
ただし、カモを探している依頼人をカモメ古書店へと連れてきた際には忠告として
「口を挟むつもりはないが、いざって時助けるつもりもない」と釘を刺す等、締めるところはキッチリ締めるようである。


  • 園田
奈々子の家族を殺した犯人。通称は「練馬区の殺人鬼」。
表向きは出版社「ゴアゴアコミック」の編集者であるが、その本性は自らの「取材」のために、
なんの躊躇もせず平気で殺人を犯す作中最狂最悪のサイコパスであり、彼女の家族を奪ったのも、その歪んだ創作意欲から来るものである。
ただし、園田曰く「あくまで取材のためで、殺人自体が趣味じゃない」とのこと。
一度はカモ達に捕まりそうになったが、運良く逃げ切って現在ものうのうと生活を送っている。
意外な事に動物好きなのか、「磯次郎」と言う名前のカエルをペットとして飼っている。
最近では彼を主役にした「園田の歌」と言うスピンオフも作られている。


  • 加世子
「朝食会」の運営者。
黒髪のロングヘアーが特徴のOL風の美女。
慇懃な物腰であるが、復讐の指示からプラン立案までこなす手腕と顔色1つ変えずに依頼人の復讐の手助けを実行できる冷酷さを持ち合わせている。
成り行きでカモ達と出会った際には「いかにも“被害者遺族”の発想」「“被害者”になった人間の本当の気持ちをまだわかってない」と皮肉交じりに復讐屋のやり方を嘲笑していた。
そして、復讐屋に依頼する予定だった被害者遺族が自分達に依頼してきた事によって対立が有耶無耶に終わり、すぐさま依頼に取りかかる形でカモ達の前から去って行った。


  • 鶴巻
「朝食会」のメンバーであるアフロの男。
体術に優れており、ターゲットとなる加害者を瞬時に拘束して拉致する等、実践派のトラと似たようなポジションであるが、彼とは対照的に口数が少なく寡黙な性格。
主に加世子のパートナーとして依頼人のサポートをしており、彼女が後方から指揮する軍師タイプであることに対し、鶴巻は現場で依頼を実行する戦士タイプである。
カモ達と対峙した際には加世子に食ってかかろうとしたトラをねじ伏せる程の怪力を披露していた。






追記・修正は、依頼人の復讐代行を引き受けてからお願いします。

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最終更新:2024年01月03日 21:42

*1 とあるエピソードでは特例で見逃された悪人も登場している。もっとも、その悪人はカモ達に捕まった時点で既に自暴自棄の状態で死んで楽になる事さえも望んでおり、その様子を見かねた被害者が「苦しみながら生きろ」と口にしたために制裁を受けることなく解放された。

*2 カモに制裁された教師は、のちの第2部にも登場している。キーボードで意思を伝える程度には回復しており、朝食会にカモ達への復讐を依頼するが「理不尽な逆恨みによる、復讐は引き受けられない」と断られた。

*3 プランによっては復讐屋と同じようにターゲットを人気の無い場所へと拉致する場合もある。

*4 ターゲットとなる主犯の男と対峙した際には、案の定レイプされそうになったが、ちょうど現われたカモ達の介入で事なきを得た。ちなみに主犯の男はその後カモに性器を切断され、切り取られた性器を強引にアナルに入れられた挙句、まんぐり返しの全裸姿で公の場で晒しものにされるという因果応報の末路を迎えた。