ダンジョン飯

登録日:2015/03/06 Fri 00:12:29
更新日:2024/04/24 Wed 20:15:46
所要時間:約 34 分で読めます





ダンジョン飯…それは食うか食われるか

そこには上も下もなく、ただひたすらに食は生の特権であった

ダンジョン飯、ああ、ダンジョン飯



『ダンジョン飯』とは、漫画誌「ハルタ」で連載されている九井諒子の漫画作品。
2015年~2023年までの期間に連載された。全14巻。



~あらすじ~

九井諒子、初の長編連載。待望の単行本化!
ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、
金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。
再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。
そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう!」
スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!!
襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、
ダンジョンの踏破を目指せ! 冒険者よ!!
(Amazonより抜粋)


~概要~

要は典型的でオーソドックスなファンタジーRPGの世界観の中で、通常は倒す対象でしかない「モンスター」を調理して食べてしまおう、とする主人公達の物語。
冒頭の台詞からすれば某バトルグルメ漫画のような血肉湧き踊る作風を連想するかもしれないが、むしろ全くの別物。

少し世知辛いがゆるい雰囲気も強く、
「このモンスターどう食べようか」「絶対イヤ!」
という風に問答しながらモンスター飯が描かれていく。
肝心の食事に関しても、料理漫画にありがちな極端にインパクトのあるリアクション等はなく、落ち着いた反応を見せる。

そして魔物との戦いはあくまでも真剣で、ダンジョンを進む目的もシリアス。
他冒険者との関係も基本シリアスなので冒険ファンタジーの色合いも強い。
また、ファンタジーやRPGの「お約束」を現実的に解釈した考察漫画としての趣きもあり、その対象は全体的な世界観から魔物の生態に至るまで随所に及ぶ。
というかストーリーが進む毎に「ファンタジー考察の合間に飯を食う」くらいの配分の話が多くなっている。
そんな感じのシリアスほんのちょっぴり 笑いなかなか 涙……涙? とゆる~く笑いながら楽しめる作風になっている(※個人差があります)。

連載当初から話題を呼び賞を受賞するなど人気を博したが、原作完結後の2024年1月からついにテレビアニメが放映開始。
アニメ制作は『SSSS.GRIDMAN』シリーズのTRIGGER*1

第1クールOP:BUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」
第2クールOP:sumika「運命」
第1クールED:緑黄色社会「party!」
第2クールED:リーガルリリー「キラキラの灰」

~世界観~

前述したように、オーソドックスで典型的なファンタジーもの。
wizardryやドラクエなどのメジャーなゲームを想像してもらえば大体あってる。
どちらかと言うとwizardryライクのイメージが色濃い。特に食糧の現地調達要素を考えると、今は亡きFTLの名作『ダンジョンマスター』が一番近いか。

物語

様々な種族が住む異世界の孤島が舞台。
ある時、島の地下から黄金の都市の国王を名乗る男が現れ、「狂乱の魔術師」に国が地下に封じ込められていると語った。
そして「その魔術師を倒した者には国のすべてを与えよう」と言い残して塵になって消えたという。
真偽はさておき、それから魔物が地下から出てくるようになったのは確かだった。
未知なる何かしらを求めたり、腕試しで迷宮に潜る人が多数集まるようになった事で、島は活気づいていく。

そんな最中、主人公であるライオスとその仲間達は、現在踏破されている最下層まで辿り着くも、炎竜(レッドドラゴン)と出会ってしまう。
しかし食糧が尽き空腹だったこともあり、パーティーは壊滅状態に。ライオスもあわや炎竜に喰われそうになるも、妹ファリンが庇って食べられてしまう。
ファリンは飲み込まれる直前に転移魔法で仲間達を地上にワープさせ、ライオス達は全滅を免れたのだった。
だがファリンは取り残されてしまったうえ、荷物も失い再び潜るだけの金銭の余裕もなく、そのせいで仲間が二人も離脱してしまう。
妹が竜に消化される前に助け出さなければと急ぐライオスだったが、装備もなく潜るのは自殺行為だった。
それでも何とか手持ちの金だけで潜る為に、ライオスは出費を削る一つの方法を提案をする。
それは………食糧の現地調達、すなわち『魔物(モンスター)を食べて食い繋ぐ』というものだった。

◆種族◆

トールマン(人間)、エルフ、ドワーフ、ノームなど、古典的ファンタジー定番の種族が一通りそろっている。
作中では基本的に『共通語』と呼ばれる言語でコミュニケーションをとっているが、種族単位・地方単位での言語も存在する。
また、言語のみならず「エルフ文字」「ノーム文字」「古代ドワーフ文字」などもあり、作者独自の種族の解釈・価値観なども見所。

◆ヒト…「人間」で括られる種族。
耳や体格はそれぞれかなり違うが、カブルーによると「みんな同じところが急所で体の動かし方も同じ」だという。(第5巻31話より)

なお、亜人のオーク達のいう「人間」は微妙に範囲が違い、エルフは別枠らしく。
第2巻でライオス一行を見たゾン(この時のオークの族長)は「人間やエルフ」という表現を使っていた。
(この時ハーフフットのチルチャックもその場にいたので「人間」にハーフフットを含めている。)
第5巻に出てきたリド(ゾンの妹)によると、各自のオーク流の呼称は「足長(トールマン)」「耳長(エルフ)」「小人(ハーフフット)」「地底人(ドワーフ)」らしい。

トールマン
いわゆる普通の人間。ただし平均身長170~180cm程度とやや大柄で、大柄なヒト種族がマイノリティなオーガぐらいなのもあって、その名の通り背の高さが特徴となっている。
体格のわりに小柄なドワーフより力がない(ドワーフから見れば「図体の割に脆弱」)が、その分疲弊しにくい体質で重装備しやすい。
その他、長命種が多い中では平均寿命60前後と比較的短命種な為、歴史も浅く他の種族からは幼い者と扱われる事が多い。
オークからは「足長」と呼ばれている。作中でも最も割合が多い種族でモブのほとんどは彼等。
ヒトの中では身体能力は高い方で魔法適性もある為、器用貧乏だが冒険者向きな種族とも言える。
またナマリ曰く、素人でも歌や踊りが得意で歌ったり踊ったりする人の多さが他の人種では珍しいとのこと。
「距離が近い感じがする」とも評されていて、おそらく共感性・協調性・感受性が高い傾向にあると言われている……とも取れる。
異種族との間でも子孫を残すこともでき、その爆発的な人口増加能力がエルフなどから問題視されている。
ただし本編中ではトールマンとエルフとの間のハーフエルフには繁殖力がないと明言。
公式ガイドブック『冒険者バイブル』の説明では、これ以外にドワーフ・ノーム・オーガ・ハーフフットとも交配可能と記された。
さらに後者オーガとハーフフットの2種族となら繁殖力のある子供も生まれるらしい。
エルフ
細身で耳が長い。背はあまり高くない。魔法や魔力に長けている反面、運動神経が比較的悪く体力も無い。
みな美男美女だが、オーク視点だと「野蛮で醜い」容姿。ドワーフやノームとは種族的には仲が悪い関係。
耳長という蔑称で呼ばれる事もある。寿命は500歳程度だが、昔はもっと長命だったとも言われている。
特に「西のエルフの王国」は他種族に対して高圧的に接しており、一定の合理はあるものの大変な秘匿主義。
抗議しようにも“大人のやることを分かっていない子ども”のようにいなす保護者のような上から目線が多く、まともに取り合わないのが常。
これでも意識改革は前進しているほうで、他種族への『短命種』という呼び方はエルフ内でも差別になってきているとのこと。
昔は短命種を『劣等種』と呼んでいた……と聞いて囚人すら呆気にとられ真っ青になるなど、まだまだ意識の差は大きいが一応進んではいるのである。一応。
長命種ゆえに価値観がズレることも多く、他種族との交流が少ないエルフの言う「ほんの少し」は「数年以上」の場合も。
ハーフエルフ
トールマンとエルフという両親から生まれた存在。異なる血が混ざるせいか長命だが子を為せない体質になるという。
またハーフエルフの成長速度は不安定で、エルフなら50歳で100歳前後の容姿まで成長する。ラバみたいなもん
エルフからは『不完全な者』『半端者』と呼ばれており、エルフからの扱いも基本的にあまり良くない。
尚、実はハーフドワーフやハーフノームもすでに劇中に登場している。探してみよう。
ダークエルフ
謎に包まれた種族。混沌の導き手とされ、ほとんどが古代魔術に精通している。
エルフのマルシルですら「大体ダークエルフってなに!?」と言っているほどで、やはり謎が多い。
劇中には褐色肌や真っ黒ベタ塗の肌をしているエルフがいるが、それをダークエルフと称しているわけではない。
ハーフフット
いわゆるホビットやハーフリングの類。
見た目はトールマンの子供ぐらいで小柄で知覚が鋭いが、非力であまり戦闘には向いていない。魔法も苦手。
耳がやや大きく平均寿命は50歳とトールマンよりもさらに短命。14歳で成人。チルチャックは細身の長身で、一般的にはもう少しずんぐりむっくり。
手先が器用で体重が非常に軽い為に罠が反応しないなどシーフに向いている。
腕力はないが感覚が鋭敏な為か、弓矢などの射撃の精度も高い。が、魔物の外皮を貫通し有効打を与えられるかはまた別問題。
戦闘になるとその小柄さゆえに足元に気を使ってられない味方に悪意なく突き飛ばされ身動きが取れなくなってしまいかねず、
割り切った者はすぐさま離れ身を隠し邪魔をしないことに専念する。
尚、中年になっても見た目に変化があまり出ない。
名前の由来は「盗みを働いて片足になったものが多い」と言う俗称が少なくともイツヅミの故郷の東方諸島では広まっているようだが、
『冒険者バイブル』でのチルチャックの説明によるとエルフが彼らの足跡を見つけた際、なぜか「トールマンの半分ぐらいの足のサイズの奴ら」と
他の人種基準で命名したらしいといういわれがあるという。
他の呼称として「ハーフリン■・インプ■・グ■・■ボックル・こびと・■リパット・ゴブリ■」など俗称が多い。
ちなみにハーフフット内の自称は共通語にすると「発音を憚られる言葉」だという。
ドワーフ
トールマンよりやや小柄だが頑丈で体も頭も固い。熱に強く怪力で鉱石や鍛冶に通じる。三半規管も鋭い。
反面、魔法の才能は最も無い部類で魔力酔いなども起こしやすい模様。魔法自体を嫌う傾向もある。
個人差はあるが高度の上下に鋭敏なため、そのせいで転移魔法などを使うとすぐに目を回してしまう。魔法耐性も低い様子。
平均寿命200歳とそこそこ長命らしく30代で少年程度、60代で青年(トールマンの約2.5倍)。オークからは「地底人」と呼ばれている。
また力は強いがその分体力の消耗が激しい為、トールマンより持久力はない。主に斧を武器とする。また、職人気質で結構器用。
迷宮には古代ドワーフが関わっている物もあり、それらは世界観より先進的な技術(蒸気機関や電気設備)が使われている。
ノーム
ドワーフより小柄で体は丈夫ではないが、知識豊富で精霊や神々に親しい。魔法も得意で、主に知識分野に強い。
平均寿命240歳とエルフに次ぐ長命の種族。劇中に出たタンス夫妻で200歳ちょい。
見た目はドワーフに似ているが耳がやや上の方についており、体格も筋肉質ではなく、手袋をつけたような大きな手が特徴。
ドワーフとノームの間に繁殖力のある子供も生まれるので、どちらなのか微妙な人もいる。視力があまり良くない。
古代から魔法道具開発の専門家(エンジニア)が多い。同じく魔法を得意とするエルフと特に仲が悪い。
ドワーフとエルフとの戦争ではドワーフ側についていた。ドワーフと仲は悪くないが粗暴な扱い。
ちなみに土の精霊もノームと呼ぶのでややこしい。様々な種族の文字に精通し、解読をする事ができる。その為、研究職が多い。
オーガ
額から角が伸びており、トールマンやオークよりも更に長身で屈強な鬼人族。共通語も喋れるし、特に野蛮な性格ではない様子。
シュローの従者の一人、イヌタデが該当。膂力は若い女性でさえ男のドワーフを軽々捕らえるほど。
胴丸しか装備してない上に混乱して無防備な状態でドラゴンの攻撃が直撃しても即死しない頑強さも誇る。
亜人と思われていたが骨の数で判別するらしく、オーガも一応ヒトの一種らしい。平均寿命はトールマンに準ずる。
また東方では「オニ」と呼ばれ、東方には逆に「ニンゲン(トールマン)」と「オニ」しかいない。
このため東方人から見ればエルフやドワーフも亜人であり、オークなどと区別している意味が分からないらしい。
かつては大国を築いていた時期もあったが、ニンゲンが武勲を挙げる為に討伐したせいで現在では絶滅の危機に瀕している。

◆亜人…上記の種族以外の人型生物の総称。大体が基本的な共通語は話せる。「ヒト」との括りは骨の数などで区別されている。
コボルト
犬を直立二足歩行にしたような亜人。カブルーのパーティーのクロが該当。西方大陸に集落が点在している少数種族。
嗅覚が特に優れ聴覚も中々と斥候に向いている。また五本指の手なので普通に武具も扱える他、牙や爪も鋭い。強い毒耐性を持つ。
他の種族の繋がりなどは不明だが、作中他種族と冒険者として活動している姿は見かけたりと比較的友好な関係らしい。
ただし多くの場合平等な関係とは程遠く、捕まって見世物にされたり奴隷のような扱いを受けている。
長らく知能がヒトより劣ると思われていたがそれは間違いで、母国語を持ち知性はヒトと同じぐらいある。
声帯の構造上共通語の発音が不得手。平均寿命は55歳とトールマンとハーフフットの中間ぐらい。
闘争心が非常に強く、一度戦闘に入れば死ぬまで戦いを止めないと言われるほど。
オーク
両脚が蹄で豚のような顔の大柄で野蛮な亜人。戦に負けて迷宮での生活を強いられており、人間やエルフを憎悪している。
知性があり料理や家畜の飼育などもしているが、本質的には略奪して生きているので他種族との関係性は劣悪。
オーク側も対立の歴史から他種族には排他的な傾向が強いが、知識の交換などを行えば友好的な関係を築けることも。
別に他種族の女を攫ったりはしない模様で、美意識も独特(種族特有)でエルフのことは醜く見えている。
また、他種族の見分けは苦手なのか基本的に臭いである程度識別している事が描写されている。
角のように見えるものは生えているわけではなく、自ら人為的に皮膚下に埋め込んでいる装飾らしい。
幼少期は猪のウリ坊のように、背中にシマ模様が入っており、未成熟の証になっている。
平均寿命はコボルトと同じだが、成長速度が相対的に速い傾向にある早熟種。
トロール
亜人の一種だがあまり目撃例のない種族。特徴は多種多様で情報が錯綜している。共通語が話せるかも不明。
チルチャック曰く、ハーフフットの言葉でトールマンを指し、化け物扱いはお互いの交流が薄かったころの警戒として子供に言い聞かせてたものが起源だという。
なお、この通りだとチルチャックの故郷に伝わる「子供がトロールになったチェンジリングの話」は「ハーフフットがキノコの力でトールマンに変わってた」という事になる。
しかし実際はキノコの変化に方向性はなく、亜人を含めて人型なら変化する為、これも情報錯綜の原因と思われる。
フェアリー
花冠をつけ虫のような羽根の生えた小さな妖精。西のエルフが伝令を伝える為に通信端末に使っている。
一応小動物程度の自我があり、操られている状態でなければ道化のような仕草を見せている。扱いとしてもヒトではなく動物寄り。
正式名称は9巻カバーより。尚、遠距離通話の場合は喋っている話し手の顔が反映される。エルフが魔法で形状を変化させたりもする。
操ってない状態で共通語を話したりもしているが、カナリア隊と同行しているフェアリーはホムンクルスの一種であるらしい。
ちなみに西のエルフが通信に用いる妖精は精霊のように術者の血を与えて育てるらしく、見た目も血の持ち主に似てくる。
ゴブリン
第2話と第9話に名前だけ登場している亜人。森ゴブリンという種族がいるらしい。弓矢を扱い葉の隙間から獲物を射るなど知性がある。
結局劇中では登場しなかったため共通語が話せるかどうかも不明だが、野菜の取引相手の予想候補に挙がるぐらいなのでオーク同等の文明・知性なのかもしれない。
なお、『冒険者バイブル』のハーフフットの説明の項で「他の呼称」として挙げられているものに「ゴブリ(語尾隠れて不明)」がある。
なので、もしかするとゴブリン=ハーフフットの可能性もあり得るが、第9話でチルチャックが
「(センシの取引の相手っていうのは)オークか…せいぜいゴブリンだと」と同族を呼ぶにしてはおかしい言動をしているので、
チルチャックも知らない別の地方での呼称起源か、単純に被差別民族としてハーフフットもゴブリンと一緒くたにされただけのどっちからしい。
ワーウルフ
人狼。実際には亜人ではなく、ヒトが古代魔術で変化した存在。闘技場などでよく見られる。
他にもワーベア、ワータイガー、ワーラットなどもいるが、なれるかどうかは体格に恵まれているかどうかで決まる。
下記の人工獣人と違い、人間形態と獣人形態を自由に行き来できるが、術後に体調や性格の変化が起きる場合がある。
ヒトよりも戦闘力が高いので、戦争などに利用されたりもしているとのこと。


◇その他…確認されている正式名称不明の種族。
・人工獣人(仮称)
コボルトとは違い、魔物とヒトを黒魔術で融合させた人造種族。アセビ(イヅツミ)が該当。
ライオス達が「獣人なのかな」という言葉を使っているので、正確にはコボルトのような亜人系獣人が複数種存在するものと思われる。
コボルトよりも人間に近い容姿であり、トールマンの全身に体毛を生やし、尻尾と獣耳をつけたような見た目をしている。
イヅツミはトールマンベースで猫型魔獣の特性を受け継いでいるのか、身体能力が高く非常に身軽で気性も自由奔放。
ちなみに黒魔術を使用している上に人権侵害も甚だしいため、存在自体がド違法中のド違法とされる。
また、人間形態に戻れるワーウルフ系とは根本的に違うらしく、完全な獣化する事はできても人間には戻れない(獣ベース)らしい。
リザードマン(仮称)
54話の扉絵に登場したトカゲ型の亜人。亜人が住み着いてトラブルになる一例に出てくる為、モンスターではなく外部から来た亜人であることがわかる。
モンスターに騎乗していたりと、他の種族に比べて魔物との距離が近いのが特徴。武器や道具、家畜を使うが共通語が喋れるかは不明。

×亜人系モンスター
ヒトから「亜人」で一括にされる事が多いが、共通語を使いこなし知性もあるコボルトやオーク達と違い、種族ではなく単なる魔物(モンスター)
迷宮の侵入者を襲うよう仕向けられており、基本的に意思疎通もできない。知性はないが動物程度の自我はあるらしく、迷宮内に独自の生態系を築いている。
魚人、人魚、ドライアドの花、マタンゴ、ミノタウロスなど色々いるが、多くは「人型の魔物」「人を模した魔物」を指す。
そもそも殆どは単なる擬態であり、哺乳類ですらない場合の方が多い。一部は家畜として飼われているものもいる。
でも食材にすると倫理的に色々アレなので、マルシルはこれらが食材になるのを必死で止めようとするのが恒例行事。
魔物と動物の違いは魔力を養分とするだけらしいので、現実で考えるなら人面魚や人面犬を食べようといったところか…。


◆文化や文明◆

カーカブルードという架空の土地の近くが舞台。こちらも古典的ファンタジー定番とも言える設定。
しかしよりリアリティを追及しており、RPGやファンタジーにおける率直な疑問に辻褄を合わせるような設定が見られる。


~登場人物~

主人公パーティー

ライオスをリーダーとするパーティ。元は6人パーティーだったが、現在は5名。
ファリンを失ったせいで純粋な回復役がいないのが難点だが、経験の豊富さは随一。
◎が物語開始時からのメンバー、×が離脱者、〇が新加入。

  • ライオス(CV:熊谷健太郎):トールマンの戦士でリーダー
  • xファリン(CV:早見沙織):ライオスの妹でプリースト、炎竜に喰われ失踪
  • ◎マルシル(CV:千本木彩花):エルフの魔法使い
  • ◎チルチャック(CV:泊明日菜):ハーフフットのシーフ(鍵師)
  • xナマリ(CV:三木晶):ドワーフの戦士、離脱
  • xシュロー(CV:川田紳司):トールマンの侍、離脱
  • 〇センシ(CV:中博史):ドワーフの戦士、一階層で加入
  • 〇イヅツミ:人造獣人の忍者、五階層で加入

以前在籍していた2人は、前から他ギルドに勧誘されていたことや手持ちが一文無しになったことから離脱。ロクな説明もできず急ぎの旅になってしまった為、世間からは仲間割れしたと思われている。
何度かドラゴンを討伐したことがあり、レッドドラゴン相手に余計な事を考えていられる程度の経験を持つ。
冒頭では最下層近くまで到達しているなどかなりの実力者が揃っており、大手のパーティだったようだ。
詳しくは個別項目を参照。


■その他登場人物■

◆ナマリ

だから恐怖は忘れるな。何があっても生きることを考えろ

ドワーフ族の女性。61歳。トールマン換算で27歳くらい。
元ライオスギルドのメンバーで現タンス氏パーティーの一員であり、片刃のハンドアックスを得物とする生粋の女戦士。

レッドドラゴンとの戦闘でパーティが崩壊した際、「こっちも生活がかかってるんでな」と言い残しライオス達の元から去った。
現実主義で金銭にうるさく、金銭がらみのいざこざが絶えないと冒険者の中でも有名だが、色々としっかりしているので汚れ仕事はせずに済んでいる。
タンス氏に雇われた理由も「金払いが良いから」
とはいっても完全に金の亡者というわけでもなく、パーティを離れた後でもマルシルやファリン、ライオスを気遣う等、むしろ情には厚い方で気に病んでもいた。

抜けたことを糾弾される覚悟はしていたが、かつての仲間が喜々として魔物を喰らう光景を目の当たりにするとは露とも思っておらず、真っ青になってドン引きした。
経緯と事実を知り実食を勧められた時は「(これもある種の罰か……)」とうなだれていた。
一応食べてみると意外と悪くなかったので納得した…魔力補充が主目的の料理だったので魔力酔いしたけど

タンス氏には大金をもらっている代わりに、毎度強制肉盾として扱われていることに対してたびたび抗議していた。
しかし帰還前後には気持ちが整理出来たり、交流を深めることができたためか「仲間にして欲しいんだ」と言い、ライオス達との合流を許可されても従わなかった。
一度帰還した後の交流も描かれており、ちゃんとした仲間になれたと思われる。

ドワーフらしく武器や防具には人一倍うるさく、特に怪しい剣(動く鎧)を使っているライオスには日頃から口うるさく言っていた様子。
本人も思わず口を出してしまうことを気にしているが、ライオスからは「武器の扱いは誰よりも信用している」と言われた。
初めて扱うクロスボウを土壇場で正射してみせたり、ドラゴンを何度も倒したことがある腕前の持ち主。
腕っぷしに関してはライオスギルドでも随一であったと目される。

過去に父が商売で不正を働いたという噂が流れているらしく、そのせいで同族には煙たがられている。
その裏の事情や真実は不明だが、がめついことや、ハーフフットが店員をやっている店では買い物するなと警告していることはこれが関係しているのかもしれない。


ちなみに「長い足が好き」と周囲からからかわれているが、これは故郷での扱いを知る同族に疎まれて他種族(ドワーフより足が長い)の仲間とつるんでいることを指したもの。
本人としては、多様な人種に合わせて調整され装備がピッタリと着用できる光景に惹かれ、そういう意味ではドワーフとの差異として意識される足も好き、とのこと。
この見解も決して嘘ではないだろうが……どうやらそれはそれとしてレッグ・ポーチフェチである事が示唆された。

□タンス夫妻のパーティー□

迷宮の研究者であるノーム、タンスと妻とその一行。現在はナマリが入った。

◆タンス夫妻
ノームの老夫婦。古代の呪術を研究している学者で、ナマリの新しい雇い主。
老齢の術者らしく治療師としての腕は高く、傷の治療もあっという間、死者蘇生すらも難なくやってのける。
現在は迷宮にかけられている「魂を縛る不死の呪い」の調査をおこなっている。名前は夫がタンス・フロッカ、妻はヤーン・フロッカ。
冒険者とは異なり、領主の依頼を受けて行動していることもあってか、かなり金回りが良い模様。
夫の方はせっかちな気風で妻の方はかなりおっとりしている様子。年齢は夫が210歳で妻が204歳。夫の方はノームにしては目つきの悪い方らしい。
カカとキキというトールマンの扱いは血が通った家族のように丁寧。その理由は後述の二人の折り畳み部分に記載。
反面、傭兵の扱いは悪くナマリを金を払ってるんだからと肉盾に使っていたが、前述の通り多少改善した模様。
西のエルフが押し寄せてきた際、島主の相談役として話し合いに同席したが、エルフ達には完全に軽くあしらわれて怒っていた。

【タンス夫妻の従者】
  • カカ(♂)、キキ(♀)


□シュローのパーティー□

◆シュロー

……なぜレンガを齧っていたんだ

細身で長身のトールマンの男性。東方の出であり、他冒険者から元々カタギの人間ではないと推察された。
黒い長髪をポニーテールのように流している東洋風装備の人物。武器は日本刀と思われる。いわゆるサムライ。
スカウトされてたり、技術を要する竜の止めも担当していたことから戦闘技術は相当のもので、ライオス曰く大抵の冒険者より強いとのこと。
東方群島・ワ島の半本家の嫡男であり、マイヅルの幼少期での話から多少なりとも忍術を使える様子。
3年前「海の外で"面白いもの"を見つけてこい」との父の命令により島を訪れた際にライオスと出会い、5時間にも及ぶ質問攻めと強引な勧誘によりパーティーに加わった。

元ギルドメンバーでナマリとは別のツテを頼りに行動していた。
武者修行中の身だっただけで本来はいいトコのお坊ちゃんらしく、ライオスのギルドを抜けた後は数人のお付きを護衛に付けている。
36話の扉絵からシュローの世話や警護をするためか、お付きは元々島についてきていた模様。
本当の名前は半本 俊郎(なかもと としろう)らしいが、シュローという名はライオスが初見で聞き間違えてしまい、訂正しようとするも勢いに押されそのまま定着してしまった。

ファリンに心底惚れており、求婚までしていたほどだった事が後に判明。
ライオス達は最短で潜りなおし、更に考えうる限りの近道を通っているため、シュローもかなり急いではいるがライオス達よりはやや遅れる形で救援に向かっていた。
後にライオス達も色々な出来事を経て停滞・一時撤退したおかげで黄金郷の町跡の入り口で再会した。
なお思い立ったがなんとやらな勢いの、刹那的とも言える求婚を知った人は「えっ? いきなりプロポーズしたの? 怖くない?」と困惑を見せたが、
同時にチルチャックが「そういう世界のヒトなの!」と何とも言えない表情で返している。
冒険者ということもあろうが、カタギではない立場を思ってのことだろう。

性格は育ちが良く真面目らしいのだが、真面目過ぎるゆえに自罰的でもあってやや繊細で内にこもりがち。
色々考えているが相手を気遣ったり単純に踏ん切りがつかず言い出せない気質で、絶対的な口数も少ない。
深い付き合いでもなければ露見しないライオスとは別ベクトルの、現代でもイメージしやすいタイプのコミュ障と言える。
その為、柔らかい拒絶では意に介さない上に悪意がないので対処しづらいライオスのことが実は苦手だった。
彼曰く「大雑把で鈍感で間が悪い」とのことでそれとなく伝えてはいたが、この島に来て初めての友人で舞い上がっていたライオスには通じておらず、6巻にて初めて喧嘩した。
喧嘩の後にも彼の発言にイラっとしたが、それを「お前のそういうところが……妬ましいよ」とのことで、ライオスの悪く言えば奔放、良く言えば裏表のない素直な性格を羨ましいとも思っていた模様。
その後のやり取りからも、苦手に思っていても友情も確かにあったようだ。ただ帰還後もライオスが適当にしまった伝言の鈴が延々鳴り続けて更に苛立たせているが

なお、シュローは魔物を食べる必要もなければ機会もなかったため、終始ドン引きしていただけで魔物食を食べてはいない。
また再会時点では想い人の危機もあり焦りと疲労で衰弱し、非常事態や鬱憤の爆発が重なったため彼の平時における言動は少なかったと目される。
お付きの面々は彼に労われた際滂沱の涙を流していたあたり、立場だけの関係ではなく人望も篤いらしい。

【シュローの従者】
基本的にシュローの家来で構成されている。
全員、顔のどこかにホクロのような小さな点状の星の入れ墨を入れているのが特徴。
  • マイヅル
  • ヒエン
  • ベニチドリ
  • イヌタデ
  • アセビ
黒子のような出で立ちの忍者。詳しくは主人公ギルドのイヅツミの項目を参照。





□カブルーのパーティー□

狂乱の魔術師を倒し迷宮の呪いを解くため、ダンジョンに潜る新米を抜け出した程度の冒険者たち。
ライオスとは逆に人間観察が得意なトールマン・カブルーをリーダーとした6人パーティを組んでいる。
ライオス達と同様に個性豊かな面々で様々な種族の混成パーティになっている他、コボルトも仲間に居る。

その目的は島から魔物を根絶することであり(一部メンバー除く)、冒険者に溢れている現在の島の様子を好ましく思っていない。
そのため、現状打破のために他の冒険者よりも早いダンジョン踏破を目指している様子。

各自才能はある様子がうかがえるが、ライオス一行に比べるとまだ魔物に関する知識やダンジョンの経験に乏しい。
少なくともライオス達は二度も全滅した彼らを救助しているなど、経験値の差が圧倒的であるのは明らか。
今までは2Fまでを探索していて余裕になってきたので、ライオスがセンシを仲間に入れて再突入した際、彼らは3F以降に初挑戦した。
だが3F以降は未知のエリアな上にある事情や誤解などから急いでいることもあり、たびたび全滅しては誰かに蘇生されることを繰り返していた。
ただしリーダーであるカブルーは幼い頃からカナリア隊の副隊長直々のしごきに耐えて鍛えており、特に人間相手の戦闘なら強い模様。

◆カブルー
トールマンの青年。浅黒の肌を持つ爽やかなイケメン。年齢は22歳。
特に人間に対しての洞察力に優れており、その高い判断力と行動力はリーダーに相応しい。
非常事態に遭っても冷静かつ、ダンジョンや魔物に関する知識も備えているが、前述のようにやはりまだ新米の域からは脱せていない。
かつて迷宮で栄えた東方の町ウタヤの出身であったが、15年ほど前に迷宮から魔物が溢れ、魔物に両親を食い殺された過去がある。*5
高い志や魔物への敵愾心はそこに由来するのかもしれない。そのため当然ながら魔物食への拒絶感はマルシルの比ではない。
ライオスに興味を持ち近づこうとしているが、当のライオスにはカブールだのカプルーだのまともに名前を憶えてもらえていない。
素早い身のこなしの他、前述の判断力に徒手空拳や人体の構造にも長けているため人間相手ならば強い。
だが逆に魔物とは相性が悪く、触りたくもないし見たくもない上で戦っているせいか後れをとりがちで、本編では魔物戦は「負ける」か「他者に助けてもらう」が大半を占める戦績の悪さで、
単独で戦って勝っているのが確認できるのは「ゾンビ(第2巻)*6」、「刃魚(第3巻)」、「歩き茸(第8巻)」だけ。

その探究心や好奇心を原動力に回りに回る口が災いして、本来なら避けられたはずの思わぬ困難にも見舞われる苦労人ポジ。
が、それもこれも観察・分析・相手に取り入るのための自業自得な帰結であることが多い。いわく、「人の懐に入るためならなんでもする男」。
また、お人好しのトーデン兄妹は本当は屑ではないかと考え、笑顔を浮かべながらその本性を個人的な嗜好で知りたがっているなど、慧眼な一方で趣味は悪い。(実際トーデン兄妹は純粋にお人好しなのでその意味での目論見は外れた)
後にひょんな出来事をきっかけとして、スイスイ進行出来てライオスと出会うことが出来た。
他人の懐に入り込むことが得意な上に冷静で常識的な判断に基づいて行動出来るが、目的の為なら過激な行動も辞さない。
そのことと人間観察から、ライオスの表情や態度によって自分たちの誤解(一部止むを得ない事情があったとは言え真実)などの可能性にも気付いてみせた。
そしてライオス一行がダンジョン踏破に最も近いと思いダンジョンを封印してくれればそれで良しと思っているが、
そうならない可能性も考え内心ではかなり不穏なことも考えている……が、具体的にどんな行動を取る気なのかは現状では不明。
彼の望みは単純に「かつての故郷のような事を起こさないこと」であり、何かをひた隠しにしてきた西のエルフ達に対して恩人ではあるも猜疑心も持っている。
地上に帰還するも西のエルフ先見部隊「カナリア隊」が現れ、更には迂闊に姿を現した「狂乱の魔術師」と戦闘が勃発。
ダンジョンを再び故郷のように多大な犠牲の上にエルフの手によって封殺されそうになり、仕方なく隊長ミスルンを人質に取った。
しかし狂乱の魔術師が魔物化したファリンを召喚し、迷宮地下に逃れる為に足場を破壊したことで一緒に崩落に巻き込まれてしまう。
迷宮地下でカナリア隊に仲間を人質に脅され、ミスルンの世話係をしながら、彼の秘密と西のエルフがひた隠しにしてきた『迷宮の真実』を知った。

【カブルーの仲間】
  • リンシャ(リン)
  • ダイア
  • ホルム
  • ミックベル(ミック)
  • クロ


□その他のパーティー□

◆ドニのパーティー
トールマンの戦士であるドニと、泣き虫のエルフ魔導士のフィオニル。迷宮に挑戦し始めてまだ三ヵ月の新米パーティー。
塩漬け豚を炙って食べてた際には6人パーティーだったので、恐らく他の4名は死んで行方不明と思われる。*7

  • ドニ(CV:野上翔)
軽装鎧と兜を装備したトールマンの戦士。弱い。18歳で農家の出身、武器はショートソード。
コカトリスに襲われて、毒で瀕死になっていたところをライオス達に助けられた。
センシのアドバイスを受けて冒険を続けたが、結局人食い植物に捕まって全滅した模様。
後に迷宮の混乱の際に久しぶりに姿を見せ、恩人ライオスの事を善人だと力説した。
北中央大陸出身の泣き虫エルフ。弱い。62歳。カブルー達と面識がある。
パーティーを組むために島の冒険者に手当たり次第に声を掛けていたドニに、エルフと知らずスカウトされた。
熱魔法で塩漬け豚を炙っていた。耳がマルシル同様、普通のエルフより尖っていない。

◆弱小初心者パーティー
第1話に出てきた歩き茸一匹に全滅させられかけていた名前もない弱小パーティー。
尚、その歩き茸はマルシルが杖で一発で倒せる程度のザコ。

■ダンジョン内の人物■

◆シスル/狂乱の魔術師
CV:小林ゆう

黄金郷を迷宮にした張本人、狂乱の魔術師と呼ばれるエルフ。ダークエルフとも。
外見は褐色の肌に薄金色の髪の小柄なエルフで性別は一見女性にも見える中性的な美少年。
初めて登場したのは「動く絵画」の中で、うろついていたライオスに気付き激しく敵意を向けて攻撃して追い出した。
レッドドラゴン討伐後にライオスの事に気付いており、ライオス達を「盗賊」・「簒奪者」と罵って憎んでいる。
古代魔術を使用してライオス達を一蹴、人間として蘇生したファリンの中の炎竜を操りキメラに変えてデルガル王の探索をさせている。
デルガルの父王に道化として雇われ、デルガルとは兄弟のように育ち、王位に就いたデルガルの薦めで魔術を学んだ。
才能を発揮しはじめたはいいが黒魔術に傾倒したあげく、目の前で先王が暗殺された事で王国に「不死の呪い」を施した。
基本的に己の感情のみで行動しており、一切の話も聞く気もなくデルガルが死んだ事も知らないまま探し続けている。
迷宮への侵入者が増えた事で浅層まで様子を見にきたせいで、西のエルフのカナリア隊に発見されてしまう。
その際ミスルンにデルガルの死を教えられるも、信じようとせず逃れる為に魔獣と化したファリンと共に床を崩落させ、迷宮地下深くへと逃れた。

◆ゾン族長

人間やエルフを憎悪しており、他種族に対する略奪行為を生業しているオーク達の族長。こう見えてまだ21歳である。
センシがゴーレムで栽培した野菜を買ってくれるお得意様であり、センシとは顔なじみである。ゾン族長は多妻持ち。
最初は地下3階の取引所の酒場を襲撃し、そこにいる冒険者や店の者を皆殺しにして物資を奪っているところでライオス達と遭遇。
センシが取り引きする為に持ってきた野菜も奪おうとしたが、そこで顔見知りである事に気付いてもらえて事無きを得た。
ちなみに息子の名はバハイ。両親はミン、ガグ(故人)というらしい。ドン、バンという兄(or姉)もいた(過去形)模様。(豆本「生活の記録」より)



◆リド(ゾン族長の妹)

雌のオーク。名前はハルタの特別付録の豆本から。地下5階の集落のオーク一団を総べている。
ライオス達は侵入者と見做され危うく殺されかけたが、一行にセンシがいたことで難を逃れている。
兄との因縁を知ったことと、ライオスたちがレッドドラゴンを倒したことから、ライオス一行を手助けしてくれた。
治療法は口に含んだ怪しい秘薬をディープキスで口移しするという凄まじいもの。
なお、兄から「炎竜を殺せば狂乱の魔術師に襲われる」と教えてもらっていたので避けて生活していた。
勇敢で義に厚く、チルチャックが仲間に嘘を吐いて騙してでも地上に戻ろうとしていると知ると凶悪な顔で苛立ちを見せた。*8
設定資料から14歳と判明。ほれ14歳の少女のディープキスだぞ、喜べ。

◆黄金郷の住人

デルガル王の孫ヤアドを始めとした王国の住人。狂乱の魔術師ことシスルの呪いによって不老不死となって閉じ込められている。
黄金城の『城外』に位置する厳重な結界が張られた異空間に住んでおり、そこはかつての王国の姿をそのまま残されている。
地下ダンジョン内のはずなのに空があり昼夜もあり、農耕や牧畜も営んでいるが、不老不死の呪いのせいで空腹も感じず死にもしないので不要。
これらは悠久の時を閉じ込められた彼らが、自我を失い狂わない為に「人間らしい行為」を行っているだけである。
そのためか料理には味がなく、作った物もオークなどのダンジョンに住む亜人にあげていたりする。
なお、耐えられずに村から出ようとすると呪いが中途半端に解け、悪霊となって迷宮を彷徨う事となる。
迷宮に出る悪霊の正体も彼らであり、浅層で出現する者はすでに自我がないものの、深層に出現する者はまだ理性を残している者も多い。
また『村』は基本的に外界からは全く見えず分からない為、結界を越えて村の中に入るには彼ら(迷宮内の霊)の手引きが必要である。
村にはほとんどが若者しかいないが、これは迷宮で生まれた者達だから、外の世界への渇望があまりないため。
逆に迷宮の外の世界の事を知っている者達は耐えかねて村から出て行ってしまい、亡霊やグールとなって迷宮を彷徨っている。


◆翼獅子

黄金の国の守護獣といわれ未来を予言する能力を持ち、「狂乱の魔術師を打ち倒す者」の出現も予言した。
現在は狂乱の魔術師によって迷宮の最深部に囚われているが、夢を介して今なお黄金郷の住人たちを導く。
サキュバスの罠に陥り気絶したライオスの夢の中に現れ、彼に迷宮の主となったビジョンを見せたが……?
結構砕けた気安い性格をしているが、ミスルンの語った話から察するに、その正体は古代人を滅ぼした『悪魔』の一種と思われる。
今は本に封印された上に二冊に分けられ、一冊(半身)をシスルが持って力だけ引き出されている。

■島外の人物■

◆カナリア隊

西の国のエルフ達。ダンジョン調査を目的とした特殊部隊で、半数以上が古代魔術(黒魔術)に精通した罪人で構成されている。
罪人二人に対し看守一人の割合で構成され、その看守は貴族の子息で構成されている。
戦闘能力は非常に高く、その辺の冒険者や用心棒などが束になって掛かっても軽く返り討ちにされるほど。
また共通した特徴としてパッタドル以外、耳が一部欠けているが、これは罪人の印である。
隊長がシスルが逃げる為に穿った穴に落ちた際は、パッタドル以外は焦る様子も見せなかった。


◆ミスルン

カナリア隊の隊長。本名は『ケレンシル家のミスルン』。185歳。
小柄で華奢だが、これでも立派な男性。容姿端麗だが過去の事件で右目を失っており義眼。また、両耳も先端から三分の一がない。
チェンジリングでトールマンになると、かなり凛々しく屈強な傷だらけの30代ぐらいの男性になる。(実際エルフ時も傷だらけ)
転移魔法を得意とするが方向音痴で、触れたものを片っ端から転送していしのなかにいるにする。
他にも位置交換魔法を応用し、敵の肉体と物体を置き換えて防御を無視して損壊させたり、手頃な物が無ければ人間で代用する。
基本的には手段を選ばないかなりエグい戦い方をするうえ、目先の敵を倒せればそれでいいとばかりに後先考えない“入れ替え”を多用するので、気を付けていないと味方も巻き込まれる。
その正体は『元・迷宮の主』。
40年前に他の遺跡にあった、見た者の欲望を映す魔法の鏡に魅入られた事で、そこを悪魔につけこまれて「カナリア隊に入隊しなかった人生」を夢見た。
最初は何不自由ない生活だったが、次第に迷宮の侵入者の対応に追われ、一人、また一人と仲間も失っていき気力も削がれていく。
そして成長を遂げた悪魔により、あらゆる『欲望』を吸い取られきって「生きる欲求」すら失い死ぬところだった。(右目と耳はこの際に失った)*9
しかし「悪魔への復讐心」のみが欲望として残った為、救助にきた後発のカナリア隊に見込まれ、ただひたすら悪魔を追って迷宮に潜るカナリア隊の特攻隊長となる。
身長は155cm前後で瞳が「黒」*10、名前は愛用のミスリル帷子由来?言葉に訛りがないことから「中央の出身」とまで読んでいる。
「欲」を全て奪われている為、食欲もなければ睡眠欲も排泄欲もない。この為、エルフでは考えられないほどタフに動き続けられる。
しかし「欲=肉体の信号」がないだけであり、体力が切れれば突然倒れるし、自発的に食事をしないので衰弱し、排泄を促さないと漏れ出すまでトイレにも行かない。
そのため専属の世話役がいないと最悪無自覚のまま自滅してしまう危険性がある。

  • パッタドル
  • シスヒス
  • オッタ
  • リシオン
  • フレキ
  • フラメラ
真っ黒(?)な肌色をしたエルフの女性で、待機部隊を指揮する副隊長。引退したミルシリルの後任として抜擢された。
年齢は170歳、割りと小柄だが体格はがっしり。性格は粗野粗暴で他種族を見下しており、短気なのか常にイライラしている。
主に多数の剣を召喚して操る魔法を駆使する。自身もゴーレム相手にコブラツイストやヘッドロックするなど武闘派。
ちなみに西のエルフの女王ヘイメアとは遠い血縁関係にあたり、黒曜石の肌、銀の毛、赤い瞳は「真の王族の証」とされている。
双子の姉がいたが上述の特色を持っていたため、姉はすぐ女王の養子として連れて行かれてそのまま原因不明で死亡。
次は自身がその標的になると察し、カナリア隊に入隊したという経緯を持つ。孤児になったリンシャを隊に連れ帰った。

  • エリケ、ミーシル
フラメラの直下隊員。エリケは古代魔術の知識の売買によって捕まり収監された褐色肌の女性エルフ。
その後刑期を終えるもカナリア隊の看守側が人手不足だったのでスカウトされて入隊、フラメラの相棒となる。
ミーシルはエリケ担当の囚人。古代魔術に関する知識の伝聞および詐欺で捕まった。前髪ぱっつん。
大した悪さもしておらず戦闘力も実戦経験もほとんどない木っ端だが、隊員不足だったのでカナリア隊に採用された。


◇他のカナリア隊

◆ミルシリル
字名は「陰気なミルシリル」、本名はトール家のミルシリル。189歳。好物は子供の体臭。
カナリア隊の副隊長をしていた女性でかつてミスルンに「隊随一の剣客」とまで言わしめた程の剣士。
40年前に「迷宮の主」となり死に掛けたミスルンを発見し、もう長くないであろう事から介錯をしてやろうとした。
しかしそんな状態でさえ尽きなかった彼の「悪魔への復讐心」だけの妄執に賭け、彼を助けた。
後にウタヤで保護したカブルーの育ての親となる。こう見えてかなりの武闘派で、カブルーもその強さを見て師事を願ったほど。
貴族であり剣術に長けるほか、有事にはいつも連れ歩いているぬいぐるみを魔法で操り、サポートさせる。ぬいぐるみとの同時攻撃はまるでファンネル。
仕事であれば基本的に陰鬱とした表情で伏し目がち、冷静かつ冷酷な判断を下すが、プライベートでは甲斐甲斐しく優しい性格。他人種の子供を拾って世話するのが趣味。
親としては「猫可愛がり」という言葉が浮かぶ過保護な溺愛っぷりで、エルフの時間感覚を思えば「ずっとここにいればいい」と恐らく本当に一生涯面倒を見る勢い。
望めばエルフの文化や言語、戦闘技術等を惜しみなく、自分の労力もいとわず伝授してくれたり、
辛い目にあってほしくない気持ちは本心で愛情は間違いなくあるだろう。
……同族かつ、あまり他種族への偏見を持たないほうのオッタには「(短命種の寿命や精神年齢を考慮せず)愛玩動物として見ているだけ」と言われているが、難しいところである。
『迷宮』の恐ろしさを熟知しており、それ故他の全ては与えてもカブルーが冒険者になる事だけは反対していた。歴戦によるものか、両腕には無数の傷跡がある。
カブルーを諦めさせる為に(そして恐らく迷宮でも生き残れる程度にする為に)、彼に地獄の特訓を架していた。カブルーが対人戦に異常に強いのはこのため。
普段から罪人のヘルキ(♂エルフ)を従えており、ヘルキは保護された後のカブルーの訓練相手も務めている。
自立心の高い少年にとっての過保護、曰く「本当に死ぬかと思った」苛烈な訓練を経て巣立って(?)いるが、
エルフに捕まっても彼女が口を利いてくれる前提でいたことや、ダダ甘っぷりに思うところはあっても嫌ってはなさそうな様子を見るに、円満に別れたと思われる。

ちなみに人形を使うのは幼少からコミュ障で上手く喋れず馬鹿にされ、人形を使い魔にして友達としていた為。
カナリア隊は絶対の権威者である女王からの要請で動く部隊であり、危険性等はさておいて公には非常に名誉な役職。
曲がりなりにも勇名を馳せたその正隊員に“陰気”な、などとあだ名するあたり、彼女の同族内での印象がなんとなく窺える。
現在はウタヤの件で嫌気がさし隊を引退、西方の山奥に引き籠り隠遁生活をしているが、たまに連絡も無しにカブルーに会いに来る。

当時の他のメンバーは
  • 俊足のフンギル(罪人)
  • 千里眼のコヨーテ(浅黒肌、罪人)
  • ミケパスの息子オパ(罪人)
  • 早耳のシータ(ショートで浅黒肌の看守)
  • 美声のユギン(罪人)
  • 双子のパーサとポーサ(どちらか不明)
  • スノー(浅黒肌、どちらか不明)
  • へルキ(罪人、ミルシリルの助手)
  • ニルス(浅黒肌、罪人)
(※ミスルンを発見したミルシリルとヘルキ以外の生死は不明。大半の隊員は迷宮に喰われたらしい。)



◆エルフの女王 ヘイメア
第82話にちょっとだけ登場した西のエルフの国の女王。フラメラ同様真っ黒(?)な肌色をしている。
大量の鳥類を使役しているような描写があるが詳細は不明。

~魔物とダンジョン飯~

この作品最大の特徴。
「ダンジョンの魔物を狩って調理し食べる」という他のファンタジー作品ではあまり見られない狂気の斬新なシーンを見る事が出来る。
地味に美味そうなのが何とも言えない。
よく見るとかなり無理やりなものも中にはあるが、そこはご愛敬。
詳しくは個別項目を参照。

  • 大サソリと歩き茸の水炊き
  • 人食い植物のタルト
  • ローストバジリスク
  • マンドレイクとバジリスクのオムレツ
  • マンドレイクのかき揚げと大蝙蝠天
  • 動く鎧のフルコース
  • ゴーレム畑の新鮮野菜ランチ
  • 盗れたて野菜と鶏のキャベツ煮 略奪パンとご一緒に
  • 天然?おいしい 宝虫のおやつ♪
  • 特製♪ 無国籍風聖水
  • 厄除け祈願! 除霊ソルベ
  • 茹でミミック
  • ジャイアントクラーケンについてたジャイアント寄生虫の蒲焼き&白焼き
  • 水棲馬の焼き肉
  • テンタクルスの酢和え
  • ウンディーネで煮込んだテンタクルスと水棲馬のシチュー
  • テンタクルスのニョッキ
  • レッツ炎竜にカツレツ
  • 炎竜のディナー(ローストレッドドラゴン、ドラゴンテールスープ、タマネギのピザパン)
  • ドラゴンボンレスハム
  • ジャック・オー・ランタンのポタージュとドライアドのチーズかけ蕾ソテー
  • コカトリスのアイスバイン風とドライアドの蕾のザワークラウト風
  • コカトリスの石焼き親子あんかけ
  • ハーピーの卵で作った卵焼き
  • スイートドライアド
  • 墓地でとった茸とオークからもらったチーズリゾット
  • 夢魔の酒蒸し
  • アイスゴーレム茶碗蒸しとアイスゴーレムに入ってた魚に熱を通したやつ
  • バロメッツのバロット(あるいはバロメッツチョップ)
  • 魂のエッグベネディクト
  • スカイフィッシュアンドチップス
  • グリフィンのスープ・ヒポグリフのスープ
  • ヒポグリフの水餃子
  • ダンプリングをフェアリーリングでチェンジリング
  • ハンバーグのチェンジリングソースがけ
  • サキュバスホットミルク
  • サキュバスとバイコーンの脳ドリア

追記・修正は魔物を食べたいと思った方がお願いします。

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最終更新:2024年04月24日 20:15

*1 ちなみに、前年に上映されたSSSS.GRIDMANの映画作品「グリッドマンユニバース」のラストシーンの麻中家の食卓でTVに本作の映像が映っている。ダイジェストでクラーケン戦までが流れるが、仮にも息子がガールフレンドを連れてきている食卓で流すアニメがこれとは……なかなか変わった一家である

*2 第3巻p.116

*3 そしてそんな魔術師は大陸から偶にしか来ないなど非常に数が限られる

*4 食べる分に関してはそこらの動植物と大差無いと考えてもよい

*5 その際に孤児となった為、カナリア隊の当時の副隊長に数年間引き取られ育てられた。

*6 ただしカブルーのトドメの一撃描写しかないので、そこまで仲間が攻撃してた可能性あり。

*7 屈強そうなドワーフ♂、後ろ姿でよく分からないがエルフとハーフフットらしき二人、あと足だけ見えてる謎の人物。もっとも二階層でほぼ全滅しているので全員弱い。

*8 ただしこれはチルチャックがライオスを思っての事であると理解し、それを汲んだ後は「だったら素直に死んで欲しくないと言えばいいのに」とアドバイスをしている。

*9 ちなみにその悪魔は「食い足りなかった」らしく、彼が発見された時はすでにどこかに行ってしまった後だった。

*10 黒はエルフには珍しい。青年時代は銀色