星のカービィ メタナイトとあやつり姫

登録日:2015/02/17 Tue 00:22:20
更新日:2023/11/22 Wed 21:56:04
所要時間:約 17 分で読めます





『星のカービィ』シリーズ初の特別編!


メタナイト難事件挑む!!



星のカービィ メタナイトとあやつり姫』とは、2015年2月15日に角川つばさ文庫より出版された小説シリーズの第4弾である。

作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと(※姉妹イラストレーター)
対象年齢:小学中級から
定価:680円(税別)



概要

星のカービィシリーズのノベライズ作品第4弾。
去年の第2弾と同じ3月…より少し早い2月での刊行となった。


今回は星のカービィシリーズのイケメン担当ことメタナイトが主役の特別編。
それ故、最近ゲーム版での活躍が非常に少ない反動もあってかメタナイトを中心に物語が進み、カービィを除くレギュラーキャラの活躍は少し控え目に描写されている。

前作までのユルめなストーリーと比較してシリアスな雰囲気が強く、舞台こそメルヘンチックだが殺伐とした空気も多々見られる。
(一応カービィやデデデ大王達によるいつものギャグパートもそこそこある)
第1弾を読んでから本作を読んだら凄まじい温度差にビックリすること請け合い。
もっとも、高瀬美恵女史は過去に『ペルソナ2』『グローランサー』『ファイアーエムブレム』等のRPG作品のノベライズを手がけた経歴がある為、本作はある意味で女史の本領発揮ともいうべき作品である。
ゲーム版のストーリーの方が好きだというファンでも楽しめると思われるので、「児童文庫だし…」と敬遠していた人もこれを機会に手にとってみてはどうだろうか。



なお特別編である関係か、サブタイトルに「~の巻」が付かない。
ちなみにそのサブタイトル自体も一部では「劇場版アンパンマンっぽい」とネタにされたりしている。


あらすじ

今回の物語は、メタナイトが主人公の特別編!
ケーキ作りで有名なシフォン星という星へ向かおうとしていたメタナイトは、とある用事のため、カービィたちのすむプププランドに立ち寄っていた。
しかしそのころ、シフォン星ではマローナ姫が行方不明になる事件が起こっていて!?
カービィ、デデデ大王たちとともに、急いでシフォン星へと向かうメタナイト。
だけど、たどりついた先では意外な展開が待っていた!!


(裏表紙より引用)

登場人物

レギュラー

常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

「やつをにくむ気持ちは、私も同じだ。だからこそ、冷静にふるまわなくては」

今回の主人公。
シフォン星の国王とは友好な関係で、かつて部下が世話になった恩もあり、国王の誕生日パーティの前にプレゼントを用意しようとコックカワサキの元を訪れる。
だが、新聞で国王の娘マローナ姫の失踪を知るところとなり、部下達と共に急遽自前の戦艦ハルバードでシフォン星へと向かった。
そこでは深い因縁のある宿敵との再会が……

主役だけあっていつも以上に「正義のヒーロー」の側面が強く、それ以外のキャラクター面でも深い掘り下げが行われた。
カッコイイ見せ場も相応に多い。
特に中~終盤でマローナ姫に彼が語る言葉は必見。
その一方、フリーダム過ぎるカービィとデデデ大王にはかなりイラついており、頼んでもいないのに(食い物目当てで)半ば強引にハルバードへ搭乗して以来二人をまとめて「積み荷」呼ばわりするようになった。
デデデに関しては間違っていないのが何とも言えない。
ただし完全に嫌いという訳ではなさそうで、終盤のあるシーンでは彼らへの本心を窺い知ることができる。

余談だが、以前『星のカービィ 参上!ドロッチェ団』の開発者インタビューではスタッフが「いつかメタナイトやドロッチェが主役のスピンオフも作ってみたい」と語っていたことがある。
本作でメタナイトが主役になったことで、メディアミックスながら間接的にその願いは叶ったものと言える。


食いしんぼうで元気いっぱい。
吸い込んだ相手の能力をコピーして使える。

「ぼくらは、メタナイトの友だちだよ!よく、いっしょに遊んでるんだ!」

本来の主人公だが今回は一歩引いた形となり、完全に横から首を突っ込んできた部外者の印象が強い。
そもそもメタナイトに同行した本音が「シフォン星のお菓子をいっぱい食べたい」という欲望に起因するものであり、到着してからもデデデ大王共々正義感より食欲が先走りまくっている。
しかし、(本来の)主人公らしく決めるところはしっかりと決める。


自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「ハッ!催眠術なんて、おろか者がかかるものだわい」

やっぱり「(ゲーム+アニメ)÷2=これ」でした。
カービィと同じく事件に無関係な部外者で、前作は鳴りを潜めていた自分勝手さが再び戻ってしまった。
よその国の王様にも尊大な態度を取るあたりブレなさは相変わらず。
一応正義感があることはあるのだが、推理するためと言いつつカービィと一緒に王宮のお菓子を片っ端から食べまくるわ、首都の人気店をワドルディにメモさせるわと食欲が先行しまくっている。
お前は何しに来たんだ。
黒幕の催眠術には(本人が豪語する割に)耐性が無かった為、今回ばかりは満足に戦えないという悔しい思いをさせられることに。

そんなデデデ大王だが、最後のメタナイトに対する言葉を見る限り、やはり彼の事は強き者として信用している様子。

ちなみに、ギャグ漫画系を除くと本作で大王はゲームアニメ・小説の各媒体で敵に操られた三冠王を手にしたことになる。
不覚…だがやむをえまい…。


デデデ大王の部下で苦労人。
カービィとは友だち。

「がんばってね、カービィ!ケガをしないでくださいね、メタナイト様!」

毎度おなじみの苦労人。
彼だけは食欲が動機ではなく純粋な人助けのためであり、メタナイトの部下以外では貴重なまじめ要員となっている。
デデデ大王と同じく敵の催眠術にハマリ、操られてしまうのだが……
その時のワドルディの言動は必見。†闇のプリンス†ダーク・ワドルディ†


メタナイトの部下

  • ソードナイト
仕えるメタナイトをとても尊敬している。

「ガリック……やつが、またしても悪事を!」
  • ブレイドナイト
メタナイトの部下。ちょっと怒りやすい。

「メタナイト様!こうしてはいられません!」

メタナイトの忠実な側近コンビ
テレビアニメ版のそれと比較して落ち着いた雰囲気はそれほど無く、ソードナイトはちょっとだけお調子者でブレイドナイトは若干怒りっぽい。
(まあ2度も「なんとかナイト」って名前を間違えられた時は二人揃って怒ったが)
忠誠心が非常に強く、万が一メタナイトに何かがあったら心配のあまり寝込んでしまうほど。

今回の黒幕とは過去に騙されて催眠術をかけられた苦い記憶があり、不本意に上司への裏切り行為を働かされてしまった事がある。
それ以来黒幕を激しく憎悪しており、名前を聞いただけで冷静さを著しく欠いていた。
今回の事件では、何としても復讐を果たそうと躍起になるが……

ちなみに、その黒幕は二人を唆す際に「メタナイトは宇宙の平和を乱す大悪人」などとうそぶいて刷り込んだのだが、
皮肉にも後の第8弾では本当に宇宙の平和を乱す事態を引き起こしかけてしまうことになる。


  • バル艦長
「メタナイト様、ワープ完了ですぞ!本艦はまもなくシフォン星に到着します!」

ハルバードと言ったらこの方。
調子のいい豪快な人(鳥)物として描かれており、調子が良すぎて事前にワープの告知をしないぐらいにはズボラ。
メタナイトとは古くからの仲間で、共に銀河をまわって旅したことがある。

ちなみに作中では乗組員の存在について触れているが、彼らがメタナイツであることは次回作で判明する。


オリジナル

  • メレンゲール十三世
シフォン星の王様。やさしい性格。

「誘拐よりも、もっと深刻な事態なのだ。というのも、姫がわが国の宝を持ち出してしまったのでな」

シフォン星の国王であり、有名な美食家でもある。
立派なヒゲを生やした心優しい王様だが、愛娘のマローナ姫の変心と失踪に心を痛め、元気が無くなってしまった。
このまま帰ってこなければ誕生日パーティの取り止めも有り得る、という所で事件を聞きつけたメタナイトとの再会を喜び、過去の縁もあり協力を依頼することになる。

国を挙げてケーキ作りに注力する傍ら、「国民の健康を守ることが王の務め」という強い信念を持つ。
実際、甘いものばかりで虫歯にならないよう「虫歯防止法」なるものを制定するなど、国民の健康を第一に考えている指導者の鑑。
恐らく星のカービィ世界の権力者では貴重な良識人と思われる。
どこかの浮遊大陸の独裁女帝とはえらい違いdぐふぁぁっ!!


  • マローナ姫
シフォン星の王女。ケーキが大好き。

「お父様は国王の座にふさわしくありません。今すぐ、退位すべきです!」

本作のヒロイン。
甘いものとかわいいものが好きで、父親のメレンゲール十三世と似て心優しい王女。
…のはずであったが、黒幕の手で催眠術をかけられてからは攻撃的な性格に変貌。
父親と政策に対して「国民全員虫歯にしようと企んでいる」というトンデモ陰謀論で一方的に悪者と決め付け、甘い食べ物全てを憎むようになってしまった。
シフォン星のケーキを全て滅ぼし、あろうことか黒幕を新たな国王に仕立て上げようと動き出す。
しかし、裏にはどうも複雑な心中があるらしく…

サブタイトルの「あやつり姫」は言うまでもなくマローナ姫のこと。
彼女が誰かを操っているという意味ではなく、あやつり人形とかけているのだろうか。



  • ガリック男爵
正体のわからない、闇の紳士。

「よく見たまえ、姫よ。この美しきマリス・ストーンが、君のけがれた心を清めてくれるだろう」

本作唯一の明確な悪役であり、小説版どころか星のカービィシリーズきっての悪の権化。

細長いヒゲを生やしたカメレオンみたいな顔の男。
一人称は「我が輩」。
誰彼構わずエレガントな振る舞いで親身に接する、とても話し上手な男だが、その本性は狡猾で冷酷な犯罪者。
宇宙規模のスケールで盗みを働く「闇の紳士」の異名を持ち、貴重な宝物を盗むためなら手段を選ばない。
(ただし、同じ盗賊家業のドロッチェのことはコソ泥と見下している)
そして、目的の障害となる敵には命を奪うことも一切躊躇しないという正真正銘の悪党である。

武器は大量の投げナイフ。
本人の身のこなしもあって卓越しているが、最大の武器は赤い宝石「マリス・ストーン」。
宝石の力で人々に催眠術をかけ、目的のために利用したり、自分の部下にして代わりに戦わせたりしている。
(その過程で無関係な人物でも洗脳することがある)
だが、ガリック自身はそうして引きこんだ部下達のことを「褒美で釣っておけば簡単に従う」道具、ないし捨て駒程度にしか見ておらず、メタナイトのような心の底からの信頼や気遣いなどといった感情は皆無である。


「また、君たちと食事をともにしたいものだよ。おろかで単純な者たちと話すのは、実に楽しいからね!」

彼の主な犯罪の手口は、まず紳士的な態度で「いい人」を演じてターゲットに近づき、親しい関係を築き上げていくことから始まる。
得意の巧みな話術で相手の気を引き、「自分の言葉を信用させられる」所まで仲を進展させていく。
最後は、その人にとって親しい人物が「実はおぞましい悪人である」かのような虚言を吹き込み、宝石の力を使って催眠術をかけ、完全に信じ込ませ操るのだ。
性質の悪いことに催眠術が切れたとしても、その人は宝石で洗脳された記憶だけがすっぽり抜け落ちて思い出せないため、ガリックの仕業という証拠が一切残らない。物的証拠も一切残さない。
彼が犯罪を重ねながらも捕まらない所以である。
そしてガリック自身、催眠術で操られた人々が優しい心を失う様に愉悦を見出しており、非常に悪趣味。

過去にメタナイトの「宝剣ギャラクシア」をも欲し、レストランで前述の手口を使ってソードとブレイドに近づき、二人にメタナイトへの憎しみを植えつけた事があった。
最終的にギャラクシアを運ばせる所までは成功したが、ドロッチェの妨害により失敗。
この事件がきっかけでメタナイト達との間には並々ならぬ因縁が生まれた。
(事件そのものについては第3弾でも端的に語られている)


「我が輩が国王か!おもしろくなってきたぞ。どれ、もう少しばかり、おてんば王女に付き合ってやるとしよう」

今回はシフォン星の宝である「秘伝のレシピブック」を手に入れるため、由緒ある家柄を詐称し王家に近づいた。
マローナ姫やその侍女に身内への憎しみを植え付け洗脳し、王女にレシピブックを盗ませることに成功する。
ガリックとしては本さえ手に入れば王女など用済みだったのだが、彼を王位に就かせると言い出した彼女の言葉に「国王も悪くない」と気を良くして乗り気に。
しばらくは暴走に付き合ってやる事にし、その最中で因縁のメタナイトと再び出くわす…

(ゲームの)カービィ以外で「彼」の素顔を目撃した2人目の人物。
ヘルパー?ありゃノーカンだ







その他

メタナイトの所有する戦艦。今回は戦闘に使わない。
デザインはスマブラX以降のものであり、宇宙を飛べるのでアニメ版とのハイブリッドに近い。
最新鋭の技術の結晶だが、ワープ航法の実行時における衝撃が強すぎるのが欠点。
バル艦長曰く「乗組員は超頑丈だから平気」。


  • シフォン星
本作の主な舞台。
辺境にあるが、その実ケーキ作りで有名な星であり、「お菓子のパラダイス」とも評される。
数々の名パティシエを輩出した伝統ある養成学校が存在し、国の総力を挙げて甘いお菓子作りに取り組んでいる。

特筆すべきはケーキ屋の数。
一つの通りにケーキ屋がびっしり並ぶほど店舗数があまりに多く、その数は国王の住む首都だけで1000軒以上。
そこへ他の町、いや星全体を含めると合計2419軒ものケーキ屋が存在している。
競争の激しそうな業界である。
が、それだけ多く店があっても王立ケーキ工場で製造されるケーキの美味さには敵わないらしい。

ちなみにケーキ屋の内訳は、去年が1992軒、今年までに新しく増えたものが427軒。
つまり、初代『星のカービィ』の発売年日である1992年4月27日のこと。

聞いているだけで胃もたれしそうで歯がむずむずしそうな星だが、現国王メレンゲール十三世の政策(虫歯防止法)により国民は正しい歯の磨き方を教えられており、常に健康を保っている。
同時に歯科技術の分野もトップクラスで、万が一虫歯になってしまっても安心。
ブレイドは過去に虫歯を患った時、この星の歯科技術で治してもらった事がある。

見かけによらず大昔には戦争の時代もあったらしく、首都郊外には廃墟と化した砦がある。


今の所シフォン星の名有りキャラは(同じ由来だが出身地不明のガリック男爵を除けば)食べ物関連のネーミングであり、第1弾に登場したパフェスキー夫人もここの出身である可能性は考えられる。
(しかし、パフェスキー夫人はお菓子以外の料理も普通に食べられるので完全には断定できない)


  • 秘伝のレシピブック
シフォン星の王家に代々伝わる宝。
ケーキやクッキーなどのお菓子のレシピが数千種類も載っており、そのどれもが極上のレシピばかりである。
シフォン星が宇宙一ケーキのうまい星にまで繁栄することができた最大の理由。
普段は王立ケーキ工場の金庫に厳重保管されているが、それを狙ってガリックがマローナ姫を利用して持ち出した事が事件の始まりとなった。


  • マリス・ストーン
ガリックが所有する謎の赤い宝石で、彼の力の源。
炎のようにゆらめく輝きを放っており、光を見てしまった者は強い催眠状態に陥ると同時に憎しみで満たされる。

基本的には、ガリックの言葉によって大事な身内を憎悪するなど彼の思い通りに操られるが、特に何もしなかった場合は憎しみのまま暴走する模様。
実際、店内でマローナ姫を連れ出すために発動した時は、巻き込まれた店員や客が殺気立って互いに罵り合い、あわや乱闘寸前に発展したこともある。
催眠術としては非常に強い拘束力を持ち、凄腕の実力者たるメタナイトでも(部下が被害に遭っただけに)警戒するほど。
要は光を見なければ済む話だが、そうなるとガリックを視認できない相手は戦闘自体が困難になる。
さらにタチの悪い事に催眠術が解け、操られていた事を自覚しても催眠術をかけた「方法」であるこの石については思い出す事は不可能。この性質に加えガリックの慎重さのせいで彼は未だ逮捕に至っていない。
数少ない欠点は、「あるもの」がきっかけとなれば催眠を打ち破れること。更にもうひとつは…


ちなみに、マリスの意味は英語で『悪意』。


もくじ

核心を避けた上で軽く紹介。

  • 1 シフォン星の事件
コックカワサキにシフォン星の国王へのプレゼントを作ってもらうため訪れたメタナイト一行。
しかし、彼の口から今のシフォン星に起きている大事件を知る。

  • 2 国王の大事な話
積み荷のカービィ達を連れ、メレンゲーナ十三世と再会するメタナイト。
聞けば事件には忌々しい因縁の宿敵「ガリック男爵」が関わっていた…

  • 3 ガリック男爵とマローナ姫
マローナ姫を操り、まんまと王家の秘宝を手に入れたガリック男爵。
彼は宝のみならず、国の王位すらも狙おうとしていた。

  • 4 二人との再会
ケーキ屋で聞き込み調査を行うメタナイト達の前に突然、マローナ姫が襲撃してきた!
更にあのガリックも現れ、彼の恐ろしい力を目の当りにする。

  • 5 王立ケーキ工場での対決
マローナ姫が次に標的として定めたのは、思い出深いはずの王立ケーキ工場だった。
カービィ達はそこでガリックと激闘を繰り広げる。しかし…

  • 6 メタナイトの推理
取り戻したマローナ姫から思わぬ真実を打ち明けられるメタナイト。
それを聞いて一旦は彼女を見放すが、彼にはある思惑があった。

  • 7 赤い宝石の力
ガリックの隠れ家に乗り込んだメタナイト達。
マリス・ストーンの厄介な力で思うように戦えなかったが…

  • 8 決着の時
いよいよ全てに終止符を打つための決戦が始まった。
最後に勝つのは誰だ?

  • 9 仮面をはずして
決戦が終わり、王宮への帰路につくマローナ姫。
彼女には心に決めていたことがあった。

  • 10 姫との別れ
事件解決後、国王の誕生日パーティは無事に開かれた。
そして…………


余談

比較的ゲーム寄りのメディアミックスである小説版『星のカービィ』シリーズには、今までゲーム版のような本格派の悪役が存在しなかった。


「非常識・悪い大人」という意味での悪役なら、過去に料理のあら捜しに留まらず、気に食わないシェフ達をヒステリーで監禁したパフェスキー夫人や、森番を装って森の宝物を独り占めしようとした泥棒等のキャラは居ることは居た。
大人に限定しなければ、第2弾のカエルトリオも一応その分類か。
だが、このガリック男爵はそんな連中が至って可愛く見えてしまうクズ全開の外道であり、邪悪を体現したキャラクター性は最早ゲーム版の黒幕たちと肩を並べても遜色ないし(というかゲームの方のガチ系悪役も大して変わらないが)、テレビアニメ版に出してもこれまた違和感がない。


また、他人に
「親しく近づき」
「ありもしない事を吹聴して」
「騙し」
「操って」
目的を達成するという、彼の手口を構成する要素はそれぞれ玉乗りピエロ虚言の魔術師絶世独立女王等といったゲーム版の悪役達を彷彿とさせる。
虚言「アノガックリ男爵、新参のクセに生意気ダヨォ。クッククク!」
女王「その赤い宝石、神に等しき美貌のわらわに捧げるがよい!」
重要なのは、ガリックが邪悪たる所以は強欲さ、支配欲といった他のラスボスにもある願望や悪事のスケールだけではないこと。
明確な悪意をもって意図的に他人の絆を引き裂き、メチャクチャにすることを楽しむゲス野郎である事が彼を一層外道たらしめているのである。
見方によっては上記のラスボス達よりも性根が悪い。


これって表向きは対象年齢「小学中級から」の作品だよね?
まあ訓練されたファン的には通常運転ともいえるが





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最終更新:2023年11月22日 21:56