アレクサンドル・コザチェンコ

登録日:2015/02/15 Sun 14:29:51
更新日:2023/11/01 Wed 10:31:26
所要時間:約 7 分で読めます





「俺たちが分かるか? お前たちがテロリストと呼ぶ者だ」



アレクサンドル(サーシャ)・コザチェンコとは、『バイオハザード ダムネーション』の登場人物の1人。

CV:デイヴ・ウィテンバーグ/檜山修之



東スラブ共和国の反政府勢力の主要メンバー。通称「バディ(相棒)」であるが、サーシャと呼ばれる時もある。
元は小学校の教師であったが、後述の事件をきっかけに現在は幼馴染のJDと共に独立派を名乗ってゲリラ活動に参加している。
性格は冷静沈着かつ理知的、その場に応じて非情な判断を下す事も辞さない愛国者。

反政府勢力長老議会の指導者であり、リッカー使いであるイワン・ジュダノビッチ(通称「アタマン」)が作戦の途中で命を落とした際には、自らアタマンの後継者となってリッカーを操るための支配種プラーガを躊躇なく自身に投与する等、独立派の勝利のためなら他人はおろか自身すら犠牲にできる程の強い信念の持ち主である。

しかし、一方で政治をも視野に入れた戦略家ではなかった。
事実、彼らの行なった「独立運動」の目的が「B.O.W.という武力で大統領府を占拠して、富裕層の傀儡に成り下がった現政府を打倒。それによりの独立派の発言力を強化し、民族の誇りと国を守るための革命を起こす」
…と、何ら具体的な政治的、戦略的打算があったわけではなく「座して死を待つくらいなら」といった心境で行った側面が強い。

更に言えば、独立派自体が一枚岩であったわけでなく、口では戦う気満々だったJDは内心乗り気ではなかった様子であり、
独立派を支援していた長老達(アタマンを除く)に至っては政府側に買収される形で独立派を裏切る有様であった。…もっとも、政府側はその後に約束を反故した上、用済みとして長老達を全員処刑。その罪を独立派に擦り付けようとした。

東スラブ共和国の大統領であるスベトラーナ・ベリコバからは、駄目押しと言わんばかりに自らの置かれている状況や身の程を忠告に近い形で指摘されたが、それに対しサーシャは感情任せに逆上するだけであり、頑なに認めようとしなかった。



◆経歴◆

彼は東スラブの、貧困層の家庭で生まれ育った。
劇中では描かれていないが、小説版によるとその国の貧困層の多くが低所得で親は自分の面倒で精一杯な上、生まれた子供は幼い頃から自分で稼がなければならない生活を強いられるほど劣悪な環境であった。
だが、サーシャは幼少の頃から成績が優秀だったおかげで長老議会から援助を受けられる優等生となり、大学を出る事ができた。
その後、小学校の教師となり、生徒達に囲まれて順風満帆な生活を送っていた。
やがてサーシャは、同じ教員である幼馴染のイリーナと婚約して、幸せの絶頂かと思われた、はずだった…

しかし、悲劇が訪れる。

学校が政府軍に爆撃された

それは普段と変わらない授業の最中に起きた突然の出来事であった。
その理由が、校舎を独立派の拠点と間違えて爆撃したというあまりにも理不尽なものであった。
一方的に爆撃されて校舎は崩壊し、多くの罪のない人間が犠牲になった。…その中には結婚するはずだったイリーナも含まれていた。
その日からサーシャは今まで持ったことがなかった銃を手に取り、政府に反旗を翻す戦いに参加することを決意したのであった。



◆本編での活躍◆

東スラブ共和国の内戦でB.O.W.のリッカーをプラーガで操るアタマンを筆頭にゲリラ戦を開始。
その際、単独で国内に潜入していたレオン・S・ケネディを捕らえた。
地下のアジトでレオンを尋問しようとしたが、政府軍にアジトを発見されたのに加え、アタマンが投与したプラーガの影響で苦しみ出したため、侵入してきた兵士を倒してその場から移動した。

リッカーを操っていたアタマンは元々高齢だった上に投与したプラーガの影響で体が弱りきっていた。
悪化が進むと最後は理性を失ってガナードと化してしまうため、己の限界を悟ったアタマンはサーシャに対し、
「新たなる未来はお前たちで作れ」と訴えて自分を殺すように頼んだ。
サーシャはアタマンの悲痛な願いを受け入れ、人生の師をその手にかけた。

地下を出た後、拠点である旧市街の教会でJDと合流。ついでにJDが連れてきたレオンをぶん殴った。
アタマンの後継者となるための支配種プラーガを取りに行く為に無謀にもガナードがウジャウジャいる旧市街へと飛び出して行った。
ちなみに教会付近を徘徊しているガナードは後述の理由で流出したプラーガによって次々と生み出された個体である。

何とか無事にプラーガを入手して戻ってくるも、取りに行ってる間に教会がガナードに襲撃されており、更には政府軍がB.O.W.の駆除と称してサーシャ達がいる旧市街を爆撃していた。
教会の中に入ってJDと合流したが、彼はガナードにプラーガを植え付けられて既に手遅れの状態になっており、瞬く間にプラーガに乗っ取られてガナード化してサーシャに襲いかかった。
だが、長年苦楽を共にしてきた幼馴染を見捨てる事ができず、それを見かねたレオンは完全にガナードとなったJDをやむなく射殺した。
そして、レオンはサーシャに「B.O.W.は敵味方関係なく戦うための大義も人間として尊厳も全て奪ってしまう」とB.O.W.の恐ろしさを説いてプラーガを取り上げようとしたが、

「少なくとも俺にとっては、銃もB.O.W.もたいした違いはない。どちらも人殺しの道具だ」

同じ人間の手によって大切なものを奪われてきたサーシャにしてみれば、レオンの言葉は偽善にしか聞こえず、
更に「悲劇を繰り返したくないというならお前こそ銃を置け」と反論した。
痛いところを突かれたのか、レオンは決定的な言葉を言い出せず、お互いに平行線をたどるだけであった。
その後、政府軍の爆撃が教会にも及んで天井が崩落し始めたため、その場から脱出した。

爆撃の翌日、残った仲間と一緒にリッカーをトラックに乗せて大統領府へと向かった。
…サーシャはこの時既に支配種プラーガを肉体に取り込んでいた。
従属種プラーガを植え付けたリッカーを操って政府軍を襲撃、双方に多くの損害を出しながらも正面突破に成功。
大量のリッカーと共に大統領府の地下深くにある研究施設に潜入、ちょうどその場所に居合わせたレオンとスベトラーナ率いる特殊部隊の両方に攻撃を仕掛けた。
仇敵であり、プラーガを旧市街に流出させた黒幕であるスベトラーナを仕留めようとしたが、あと一歩のところで、あらかじめ設置しておいた特殊な防弾ガラスのバリケードに阻まれて失敗に終わる。
その直後にサーシャはアダマンと同様、プラーガの副作用で突然苦しみ出してしまう。

ガラス越しでスベトラーナは勝ち誇ったような表情で明確なビジョンすら持たない独立派の浅はかさを突きつけ、地面に這いつくばるサーシャをコキ下ろした挙句にその場から逃走。
そして、置き土産と言わんばかりにタイラント(しかも大きさが5メートル以上のデカブツ)が現れ、
ついでに時限式で施設内を丸ごと焼却するシステムが作動して絶体絶命のピンチに陥るもレオンに半ば強引に連れ出される形で助けられ、汚物と一緒に消毒される前に何とか地下から脱出できた。

地上に出た直後、2人を待ち構えるように配備されていたタイラントが襲いかかる。
プラーガで弱りきっていた体に鞭打ってレオンと共に立ち向かい、数体のリッカーをSATSUGAIされながらもタイラントをバーベキューにして一度は退けたのだが、シリーズのお約束通りにタイラントが暴走、スーパータイラントとなって復活。
再度リッカーを差し向けるも、相手が悪すぎるとしか言いようがなく、リッカーは次々と文字通り血祭りに上げられ、レオンが放ったロケットランチャーも歯が立たずに大苦戦であったが…

「こいつと張り合って勝てると思うのか!」

レオンが時間を稼いでる間にサーシャは近くに置いてあった歩兵戦闘車*1に乗り込んでタイラントに突撃してきたのだ。
ちなみにサーシャが乗った歩兵戦闘車はBMP-3*2という歩兵戦闘車の中でも軽量クラス*3のものであるが、それでも重量が18トンを超える。

だが、タイラントも負けじとばかりに恐るべき怪力で進行するBMP-3を正面から押さえ込んで戦車を止めてしまう。
その隙にレオンは空いている砲塔のコクピットに乗り込み、砲手を担当。
狙いを定めるのに苦労しながら、リッカーでタイラントを目隠しして動きが鈍ったところを砲撃。
タイラントは頭部を吹き飛ばれて死亡。これで一件落着…と思いきや、

スーパータイラントが2体出現

これでもかというぐらいに難易度の高い増援が現れ、2人は命がけの鬼ごっこを強いられてしまう…もういい加減にしてくれ。
戦車は既に大破し、武器も尽きて今度こそ絶体絶命…と思いきや、

タイラントが上空からの機銃掃射でひき肉となった

頭上にはアメリカ軍のA-10が飛行しており、後始末と言わんばかりに残ったタイラントもミサイルで瞬殺した。GJ!
東スラブの状況を重く見たアメリカがロシアと手を組んで軍事侵攻を開始。圧倒的な武力にものを言わせて政府軍を降伏させ、スベトラーナの陰謀は打ち砕かれたのであった。

その後、スベトラーナは大統領を辞任する形で失脚、支持者達と共に国外へと逃亡。
いかなる犠牲を払ってでも倒そうとした東スラブの政権はあまりにも皮肉な形で倒壊してしまったが、政府や米露の手のひらの上で踊らされた挙句に何もかも失ったサーシャは自暴自棄になっていた。
共の戦った仲間も人生の師も、そして戦う理由すらも失った事に加え、プラーガで確実にガナード化しつつある自分に絶望して銃で自殺を試みたが、それを良しとしないレオンはとっさに銃を取り上げて制止、サーシャに対してこう言った。

「 俺たちに自ら命を絶つという選択肢はない。これ(武器)を手にした以上、
死んだ奴らの分まで生きるしかない。たとえ不自由な体になったとしても 」

「死にたいのはわかるけど、五体不満足な体になってでも生き続けろ(意訳)」とレオンに諭され、 プラーガを脊髄ごと撃ち抜く という荒療治で半身不随になりながらもプラーガの呪縛から解放された。

その後、生き証人として身柄を引き渡されたが、東スラブの内戦自体がスベトラーナの陰謀によるものという事でサーシャがB.O.W.を使用した行為に関しても不問となり、かつての教師として復帰を果たした。

本編の後日談らしきエピローグでは、半身不随で車椅子生活を送りながらも小学校に通勤しているのが見られる。
…そして、彼の車椅子にはJDの形見であるスキットルをぶら下げていた。



◆余談◆
  • サーシャの中の人は本作のナレーションも担当している。
  • 容姿が『バイオハザード ガンサバイバー』の主人公アーク・トンプソンに似ている。あちらはレオンの親友であり、彼も物語の終盤でタイラントと戦っていた。
  • ジャック・クラウザーとは、奇しくも「体内にプラーガを投与して理性を保ち、レオンの相棒として活躍した時期があった」という共通点がある。しかし、サーシャが「テロリストに成り果てた一般人で当初はレオンと敵対したものの、戦いを通して彼の相棒となり、プラーガから解放されて社会復帰できた」のに対し、クラウザーは「かつては真っ当な軍人でレオンの相棒として活躍していたが、思想の不一致で敵となり、プラーガの力に取り憑かれたまま破滅する」という相違点があり、そのような意味ではサーシャはクラウザーのアンチテーゼとも言える。




追記・修正は支配種プラーガを体内に取り込んでからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • バイオハザード
  • 檜山修之
  • 勇者王
  • ガナード
  • プラーガ
  • リッカー
  • ダムネーション
  • 相棒
  • トレーナー
  • テロリスト
  • 充血
  • 愛国者
  • 教師
  • 障害者
  • 不幸
  • サーシャ
  • アレクサンドル・コザチェンコ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月01日 10:31

*1 装甲戦闘車両の種類の一つ。装甲兵員輸送車の様な兵員輸送能力を持つ他、歩兵支援用の火砲(多くは20~40mm)、更には対戦車ミサイルを装備している。その見た目上一見戦車にも見えるが、あくまでも兵員輸送や歩兵への火力支援を主な任務としているため装甲は比較的薄く、対戦車戦闘は不得手

*2 旧ソ連の歩兵戦闘車「BMPシリーズ」の一つ。100mm低圧砲等、歩兵戦闘車の中でも珍しい重武装が特徴

*3 例としてアメリカのM2ブラッドレー歩兵戦闘車で30.4t、日本の89式装甲戦闘車で26.5t