スーパーロボット レッドバロン

登録日:2015/02/14 Sat 23:41:10
更新日:2024/03/26 Tue 20:29:15
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『スーパーロボット レッドバロン』とは、宣弘社が製作、日本テレビ系にて1973年7月4日から1974年3月27日にかけて放送された特撮TVドラマである。
全39話。




あらすじ

日本で開催されていた万国ロボット博覧会に展示されていた世界各国のロボットがデビラー博士率いる“鉄面党”に奪取される事件が起こった。
警護にあたっていた科学秘密捜査隊 “SSI” の一員・紅健の兄である紅健一郎博士も自作のロボット・飛龍ごと拉致されてしまった。

拉致された健一郎は鉄面党と戦う為にに密かに開発していたスーパーロボット・レッドバロンを渡すよう迫られるが、命と引き換えにそれを健に託した。
健はレッドバロンとSSIの仲間達と共に鉄面党に立ち向かうことを誓う。

だが、鉄面党の戦いは長く辛い戦いの始まりでしかなかった…




概要

本作は元々、日本テレビの一職員であった渡辺一彦氏と斉藤汎司氏が個人で制作したという特殊な経緯で企画されたものであった。

粘り強い制作会社への売り込みと局上層部への説得の結果は実り、『アイアンキング』で知られた宣弘社に企画が引き取られ、
日本テレビ開局20周年記念番組の一角として放送が決まったのであった。

内容はロボットものを基軸としながらもスパイ、ガン、チェイスなど様々なアクションを取り入れ、明朗ながらも重くハードなドラマに仕上がっている。
他作品からの脚本流用などもあったり放送開始から2ヶ月頃は視聴率が奮わなかったものの、やがて人気番組へと伸し上がり、
版権収入も当時の日本テレビとしては新記録の1億円の売り上げを成し遂げた。


だが、世は折しもオイルショック
メインスポンサーの日本空気販売が倒産すると制作費の調達が不可能となり、人気絶頂の中打ち切られてしまった。

本作は後に『スーパーロボット マッハバロン(日本現代企画)』や『小さなスーパーマン ガンバロン(創英舎)』と共に
“特撮ロボット戦記バロンシリーズ”としてひとくくりにされたが、その全てが人気絶頂の中でスポンサーや局の事情で打ち切られている。
その中でちゃんと物語を終えられたのはレッドバロンだけである。

1994年に『レッドバロン』のタイトルでアニメ化(製作は鉄人28号ゴッドマーズで有名なトムス・エンタテインメント)しているが、あちらはほぼ別物。
一応デザインなどオリジナルを想起する要素はそこかしこにあった。
格闘ゲームブームに乗っかったロボットプロレスというテーマで放映開始したものの、
放送から数か月後に『機動武闘伝Gガンダム』が始まってしまい、まさかのネタ被りという事態に。
ローカルネット放映だったのもあり視聴率は伸び悩んだものの、玩具がかなり売れたためクール延長する程度には人気があった。
ちなみに本作主演の山口勝平氏はGガンでサイ・サイシー役で出ており、「世界各地のロボットと戦う格闘ロボットを操る少年」を同時並行で演じていたことになる。

2017年には同じく宣弘社系特撮ヒーローである『シルバー仮面』とニコイチにする形でリブートした新作映画『BRAVE STORM ブレイブストーム』が発表された。


なお、前年から放送されていた『マジンガーZ』とは似た要素が多く、その影響が指摘されることもあるが、企画そのものはこちらの方が早い。




登場人物

◆紅 健 (演:岡田洋介)
主人公であり、レッドバロンを唯一操縦出来る青年。
鉄面党に家族を全て奪われながらも勇気と優しさを忘れない熱血漢。
レッドバロン操縦席の入り口は首の左側にあるのだが、健は毎回全長40mのレッドバロンの肩までジャンプして上っている。
どれほどの脚力があるんだ…



◆松原 真理 (演:牧れい)
鞭を使った戦闘が得意なSSIの紅一点。健に好意を寄せている。
中の人の熱演により、パンチラしながら敵のメカロボをブチのめすアクション派のヒロインとなった。


◆堀 大作 (演:保積ペペ)
SSIのムードメーカーでコメディリリーフ。
熊野警部と共に暗くなりがちなストーリーの清涼剤となる存在だったが…


◆坂井 哲也 (演:加藤寿)
SSI随一の射撃の名手。冷静なようで意外と熱血な性格。


◆大郷 実 (演:大下哲矢)
SSIの隊長。通称ボス。
任務には厳しいが、温和で頼れる人物。
鉄面党との決戦でデビラー博士を見事討った。
だが…


◆三神 四郎 (演:潮哲也)
SSIが再編されるに伴って科学顧問兼司令官に着任した若き科学者。レッドバロンの追加装備であるスペースウィングスの開発者でもある。
バイクを飛ばしたり戦闘にも積極的に参加するなど学者とは思えない程アクティブな人物。
「博士」と呼ばれるのを嫌い、「三神さん」と呼ばせている為にますます科学者らしくない。
たぶん彼の先祖は獅子の剣士。


◆熊野 一平 (演:玉川伊佐男)
SSIに協力する警視庁科学捜査科の警部。本作のコメディリリーフ2号。
常にサイレン付きの自転車で移動するので通称“自転車警部”。
いつも持ってる蝙蝠は弾丸をも弾き、機関銃が仕込まれた優れ物だが、彼自身もSSIに負けず劣らずの戦闘能力を持つ。
宇宙鉄面党が登場すると、なぜかヒッピー風の衣装に身にまとって潜入捜査をするようになった。
部下にフランス帰りの美人警官・水木ひかる(演:雨宮貞子)がいる。


◆紅 健一郎 (演:石田信之)
健の兄のロボット学者。レッドバロンの開発者。
鉄面党に拉致され、レッドバロンを渡すことを拒否した為に奴隷人間(人間爆弾)に改造され、健の目の前で爆死させられた。
二次元人と地球人のハーフではない。


◆堀 大助 (演:丸山久和)
大作の弟。11歳。
友達の林八郎、山田浩、村田ヨシ子と共に熊野警部と行動していることが多く、SSIの勝利に貢献することも多々あった。


◆デビラー博士 (演:伊海田弘)
鉄面党の首領。傲慢かつ人間不信でまさしく悪党といった人物。
体をサイボーグ化していて、右手の手袋の下には高熱を発するグロテスクな赤い手がある。
後に彼は中間管理職に過ぎないことが判明する。
本部からの使者エンジェル・キリーに突き付けられた最後通牒に焦ってSSIに決戦を挑むが、最期は基地に潜入した大郷によって討たれた。


◆紅 健太郎 (演:高桐真)
紅兄弟の父。彼も科学者で、妻や末息子共々4年前に鉄面党によって拉致され、協力を拒んで殺された筈だったが…?


◆ギラスQ (声:依田英助)
宇宙鉄面党の支配者。誰が、いつ、何処で造ったかもわからない自我を持った謎のコンピューター。
本拠地たる火星基地の全機能を司り、基地そのものがギラスQであると言えるだろう。
某ミスターブレインよろしく本体が破壊されても5分後に自らの複製が生産され、復活する。




レッドバロン

身長:40.0m
重量:150.0t
走行速度:時速500km
飛行速度:マッハ10
水中速度:500ノット
出力:100万馬力


鉄面党の存在を予期した紅健一郎が4年の月日をかけて密かに開発していたスーパーロボット。
動力は素手で取り扱える程安全かつ小型の小型中性子ロケットエンジン、装甲は10万度の高熱にも耐える特殊合金バロニウム。
そのボディには必殺のエレクトリッガーをはじめとする数々の武器と夢とロマンが詰め込まれている。
原子力で動いている為に燃料補給の必要はないが、潤滑油として「BR70」という特殊なオイルが必要となる。

パイロット登録は指紋と声紋で行われ、最初に登録した健以外には動かせない。
また、コックピット内部には防御シャッターがあり、爆弾を仕掛けられてもパイロットや操縦系を守ってくれるなど、セーフティも万全。

本編を通してスペースウィングスなどの補助装備やアームミサイルなど武装の追加、機体の改造が進められていった。
特に宇宙鉄面党のスカイシャークとの戦いをきっかけに発案された7つの強化案により

  • 装甲をニューバロニウムに強化・換装
  • 新装備ドリルアロー
  • 内部メカの改修
  • 防御の甘いバロンミサイル発射口と目の改修
  • エレクトリッガーとバロンパンチの威力倍増
  • 宇宙用ロケット弾の装備
  • 宇宙航行・空中戦強化ユニット「スペースウィングス」との合体機能の追加

など、対宇宙ロボット用に大きく強化された。


200万円かけて製作されたグラスファイバー製スーツはロボットの硬質感を見事に表現している。
だが、ガラス繊維であるグラスファイバー製スーツでのアクションは大変困難だったようで、アクション用にラバー製スーツが使用された。



レッドバロンの装備と武器

◆エレクトリッガー
両拳を打ち付けることで頭部両端の電極から発射される1億ボルト(強化後は2億ボルト)の放電光線。
必殺武器としては最も多用され、多くの敵ロボットを撃破した。
ビッグオーのクロム・バスターの元ネタ。


◆バロンビーム
喉から発射するビーム。

◆バロンパンチ
両腕を合わせて撃ちだす、所謂ロケットパンチ
毎回画面いっぱいの字幕スーパーをブチ抜いて飛んでいく為、インパクトは抜群。
スーツの都合か、腕が外れた状態のレッドバロンが画面に映ったことはない。
後の仮面ライダーゼロワン……になったかどうかは不明。

◆バロンキック
両脚で相手を蹴るドロップキック、もしくはミサイルキック。
同じくスーツ都合で、撮影では脚パーツだけ別撮りで相手に脚をぶつけている。

◆バロンミサイル
両胸に内蔵された強力なミサイル
度々止めにもなったメインウェポンの一つだが、中盤までハッチ部分の装甲が薄いのが弱点だった。

◆バロンハンマー
普通のラリアット。ただし100万馬力のな!

◆バロンブレイク
100万馬力のパワーから繰り出すタックル。
地味な技だが、ブラックマサイを葬っている。

◆ハンマーパンチ
高速回転しながらのパンチ。

◆バロンバリア
光の壁を作り出し、攻撃を防ぐ。
元々防御力が高い為か、あまり使用されていない。

◆アームミサイル
7話から追加された武器。
握り拳が手首を支点に上下に割れて発射される。主に空中戦で多用された。
手の構造について考えてはいけない。

◆スクリュービーム
あらゆる攻撃を反射するベドウィンGの磁力反射ミラーに対抗する為にミラーの開発者である藤堂博士が開発した。
右目に搭載され、見事ミラーを粉砕した。
8話のみの登場。

◆バロンスピン
高速回転して霧や煙幕を吹き飛ばす。

◆ジェットファイヤー
足裏のジェット噴射を直接相手に浴びせる。
敵の意表を突ける上に威力もあり、しばしば逆転の一手になった。

◆バロンフルパワー
レッドバロンの切り札。全エネルギーを集中して数倍のパワーを発揮出来るが、1分以上使えば自爆してしまうので、多用は出来ない。
劇中では武器回路が破壊されて一切の武器が封じられたガルニゾンエース戦、潤滑油BR70の補給を断たれて動けなくなる寸前になっていたモンゴルスター戦など、
極限状態でのみ使用されている。

◆ドリルアロー
7つの強化案の1つ。
強力なドリルミサイルで、敵ロボットに突き刺さってから爆発する。
発射台ごと基地から飛来し、肩部に合体してから発射される。
だが、オプションであることが幸いして30話ではリモコン装置を内蔵し、奪われたレッドバロンのコントロールを奪回した。

◆スペースウィングス
三神博士が開発した真紅のブースター。強力なロケット弾を搭載し、飛行能力の強化と宇宙航行が可能となる。
あくまで空中戦、宇宙戦用の装備なので地上戦の際には分離する。
38話で火星に到着した直後にディモスZの奇襲で破壊されてしまった。
真紅の翼で飛行ユニットというとジェットスクランダーを想起させるが、構想自体はこちらが先。

◆バロンサーチャー
頭部から照射する透視光線。煙幕の中でも見通せる。

◆アースマーカー
高速スピンすることで地中に潜る。
あまり遠くまで移動出来る訳ではないようだ。

◆レインボーショット
火星での決戦に備えて三神博士が開発した武器。
色違いの7つの吸着爆弾を発射し、隕石やディモスZを粉砕した。
発射口はアームミサイルと同じ。

◆ニューバロニウムの盾
バロニウムをも溶解してしまうスカイシャークのアシッドファイヤーに対抗する為に開発された。
スカイシャーク打倒後も開発が続行されていたようだが、結局本編未使用のまま終わった。

◆にせレッドバロン
レッドバロン改修作業の時間を稼ぐ為に製作されたアルミ合金製のハリボテロボット。
本物とすり替わってキングデビラーに破壊されることで鉄面党の目を一時的に欺いた。




主な組織

◆SSI (Secret Science Institute)
「エス・エス・アイ」と読む。
全員が素手で戦闘アンドロイドを破壊出来る超人である、“現代の忍者”と称されるエキスパート集団。
普段は市井の市民としてカモフラージュしているが、警視庁などの国家組織と共に鉄面党の作戦を阻止する為に日夜戦う。

鉄面党との戦いでボスと大作が殉職し、宇宙鉄面党の存在が露見した為に地球防衛軍傘下の組織として再編された。

武器は専用車両のアイアンホーク以外にはせいぜい普通のピストルかライフルくらいだが、前述のように全員が素手でアンドロイドを破壊出来る程の戦闘力の持ち主である。



◆鉄面党
デビラー博士率いる秘密結社。
劇中の4年前から既に暗躍しており、第1話にて万国ロボット博覧会の会場から世界各国のロボットを強奪、本格的な侵略を開始した。

戦闘員メカロボを始めとして幹部などのメンバーはサイボーグやアンドロイドであり、拉致した人間に爆弾を埋め込み、奴隷人間として酷使、毒ガス作戦や爆弾テロなどを平然と行う悪逆非道の組織。
実は宇宙鉄面党の地球支部に過ぎず、本部から最後通告を突き付けられた為にSSIに決戦を挑み、壊滅した。

あまり大きなロボット工場がないのかそれとも経費節約のためなのか、主戦力は各国から奪ったロボットが殆どで、自前のものはトロイホース、キングデビラー、未完成のロボの3体しかいない。




◆宇宙鉄面党
火星に拠点を持つ鉄面党の本隊。正確には“鉄面党銀河連邦総本部”というらしい。
銀色の怪人エンジェルキリーやテレポート能力を持つディモスZをはじめとして鉄面党より強力な幹部やロボットを保有しており、レッドバロンを苦しめた。

実は地球侵略は宇宙鉄面党が銀河系に進出する為の実験に過ぎず、最終的には衛星フォボスをミサイルとして地球を破壊しようと企んだ。



オープニング曲・エンディング曲

◆レッドバロン (第1 - 26話OP)
作詞:阿久悠 / 作曲:井上忠夫 / 編曲:ボブ佐久間 / 歌:朝コータロー

前期OP曲。冒頭のサビ前からねちっこく鉄面党への憎しみを歌い上げる。

◆S・S・I (第1 - 26話ED)
作詞:江利知己 / 作曲:比呂公一 / 編曲:ボブ佐久間 / 歌:ミュージカル・アカデミー

前期ED曲。レッドバロンのアクションシーンをバックに歌が流れるのが印象的。

◆飛べ!宇宙のレッドバロン (第27 - 39話OP)
作詞:阿久悠 / 作曲:井上忠夫 / 編曲:ボブ佐久間 / 歌:団しん也 

後期OP曲。歌っている団しん也氏はモノマネ芸人として有名だが歌手としても活躍している。だが氏の歌はちょっと大人びた曲とかが多いのでこうしたアニソン系の曲に起用されるのは異例。

◆斗え!レッドバロン (第27 - 39話ED)
作詞:輔田正男 / 作曲・編曲:ボブ佐久間 / 歌:団しん也、グリーンピース

後期ED曲。軍歌か、という感じのハイテンションな曲調が特徴。こちらも団しん也氏が歌う。



ようし、行くぞレッドバロン!追記・修正!

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最終更新:2024年03月26日 20:29

*1 勿論、右手のハンマーで撃つ。いや、打つ。