ドン・ドルネロ

登録日:2015/02/12 Thu 22:46:58
更新日:2024/04/09 Tue 17:46:00
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よーし、一つ街に繰り出すか!

いつの時代も、金がなきゃ始まらねぇ!!




ドン・ドルネロとは、特撮テレビドラマ『未来戦隊タイムレンジャー』に登場するキャラクターである。

CV:大友龍三郎
演(人間体):千本松喜兵衛*1*2


【概要】

タイムレンジャーの敵である犯罪組織『ロンダーズ・ファミリー』を束ねるボス。
名前の由来は通貨単位の一つである「ドル」。
物語後半では人間体も使い分けており、その時は「金城銅山」という偽名を使っていた。


太ったクジラが二足歩行しているような外見で、見かけからもわかるとおり完全な異星人。
動きは一見のっそりしているがいざという時の動作は機敏で、時間保護局の警備ロボットをパンチ一発で破壊するなど筋力にも優れている。
背後からオナラガスのようなものを噴射して短時間なら飛行することもでき、戦闘時にはこれを利用してフライングボディプレスをかましたりもする。

30世紀では名を知られたマフィアだったが、本編開始時点では有名になりすぎて稼ぎにくくなっており、20世紀への高飛びを決意
高跳びの為にわざと時間保護局に捕まり、前もって保護局に潜入させておいたギエンとリラの働きでまんまとユウリたちの時間移動に便乗、西暦2000年の日本にやって来る。
(この時、ボタンひとつで圧縮冷凍されるところまで行っており、脱獄作戦にはけっこう身体を張っている)

一緒に時間移動してきたロンダー刑務所の建物(最上部の収監タワーのみ)を20世紀でのアジトに定め、刑務所の名を取って『ロンダーズ・ファミリー』を結成。圧縮冷凍状態で収監されていた囚人たちを次々に解凍し、様々な犯罪を行っていく。
ちなみに演技で捕まった時の看守の台詞によれば、今までに犯した罪は圧縮冷凍1000年分に相当するらしい。

その目的はズバリ言って『金儲け』
世界征服でも、人類皆殺しでも、強大な力を持つ何やらを手に入れる事でもない、本当にお金を儲けること自体が目標であり生きがい。
スーパー戦隊シリーズでは非常に珍しい目標設定である。

序盤で「地球にでっかい城を立てて豪勢に暮らしてやるぜ!」などと言ってはいたが深い意味はなく、稼いだ金もレストランやリゾートで派手に遊んだり、次なる金儲けの資金源にしたりしている。
要するに金の持つ輝きと重み、それを動かすことで生み出される次の金儲けそのものに快楽を覚える根っからのマフィア。
一応「ドン」を名乗りファミリーを束ねる立場に居るものの、特に彼らの主人というわけではないので、幹部であるギエンやリラも、部下というより対等な付き合いの仲間という関係。
出てきた囚人もドルネロに忠誠を誓うわけでもなく全員がタメ口で応対しており、またドルネロの方もいちいちそれを咎めるような事はしていないが、
ファミリーへの裏切りや反逆行為を働いた囚人には非情な制裁を下すなど、締める所はしっかり締めるタイプ。


【性格】

普段は組織のトップらしく冷酷でどっしり構えている一方、稼いだ金額についてわざわざ眼鏡をかけそろばんを駆使した上で細かく家計簿をつけていたり、稼ぎが少なくて金が手元にないときには金恋しさに熱を出して寝込んでしまったりと、妙に庶民的なところもある。
時には20世紀のメロドラマに感動してハンカチ片手に涙を流すことさえあった。

「ファミリーは仲良くしなくちゃならねぇ」「仲間内のいざこざは嫌いなんだ」とファミリー内での揉め事を忌避しており、昔馴染みであったアーノルドKが復帰して大きな顔をし始めた時には、「金で繋がった仲間を取る」とあっさり彼を切る一方、
「(ギエンやリラに)殺されるよりマシだろう」とざわとタイムレンジャーに逮捕、圧縮冷凍させることで双方の面子を守れるように取り計らうなど、基本的にファミリーの仲間は大事にしている。

特にリラに対しては文字通りのダダ甘。
ゼニットをお供に街で豪遊するなど、場合によってはタイムレンジャーよりよっぽど多くの損害をドルネロに与えているにもかかわらず、せいぜい軽く叱る程度に留めている。
これはリラの「金があるからドルネロが好き」という、欲に忠実であるが故に裏表もなく正直なところを気に入っている事、彼女がどこか自分の母に似ている事が理由。
(おそらく彼の母は地球人型と思われる)

またギエンに対しては、彼の嫌う無差別破壊を何度も繰り返していながら、本格的な処罰には踏み切れないでいるなど、当初から不思議な点が目立っていた。

ロンダーズ・ファミリーを率い、多彩な能力を持つ囚人たちに合わせて様々な犯罪行為に手を広げているが、
その内容は銀行強盗や宝石泥棒、武器密売などのオーソドックスな犯罪から、後述の地上げと土地転がし、違法カジノやサラ金の経営、結婚詐欺に恐喝、インチキなカウンセリングやカルト宗教の運営、
ちょっと変わったところでは30世紀の技術で作った栄養ドリンクを20世紀の企業に売りつけるなんてこともやっており、商売の範囲は裏表問わず非常に手広くやっている。

このやり方が表すように、ドルネロの判断基準は「金になるか、ならないか」が基本でありそれ以外の細かい方針や指示は特に出していない。
配下にいる囚人たちは定期的にアジトに顔を出して儲けをきちんとファミリーに収めていれば、後は寝ていようが遊んでいようがほぼ自由。囚人の稼ぎが芳しくないときも、「随分細かい稼ぎだな」「やることはやってるから良いじゃねえか」と言うに留めるなど、ノルマなども特に設定はされておらず、職場環境としては非常にホワイトであることがうかがえる。
当然アクの強い囚人も在籍していたが、その様を「誰でもどこかはイカれてるもんだ。度が過ぎなけりゃそれはそれで面白えってもんよ」と笑い飛ばしていた。
ただし、裏を返せばファミリーに害をもたらしたり利益にならない者には容赦がなく締めるところはキッチリ締める主義。
例えばCase file.32におけるD.D.ラデスのように、自分のしてきた犯罪とそこから来る後悔から協力を拒んだり、更生を考えているような囚人には即座に抹殺指令を出すなど厳しい態度で臨む。

身内だけでなく、一般人にしても同様で、この手の敵ボスがよくやる傷害・殺人・破壊行為は基本的に好まない。
ドルネロの金儲けはあくまで20世紀の経済ルートを利用して稼ぐものなので、社会が崩壊してしまっては彼も困るのである。
Case File.1では街を派手に襲って金品を強奪するといういかにも戦隊シリーズの悪役らしい立ち回りをしていたが、それは20世紀の資金が無かったが故。
ある程度組織を維持・運営できるレベルの元手ができてからは純粋な殺人や破壊活動はほとんど行っていない。

ただし、逆を言えば、儲けになると考えればそれらの行為も「あり」と考える。
Case File.24では無差別な破壊を繰り返すギエンに対して「金になる破壊を見せてやる」と豪語。
解凍したチンピラ囚人を好きなだけ暴れさせ、破壊されて更地になった土地を住人から安く買い叩き、開発計画を考えている企業に高値で売りつけるという方法(要するに地上げ)で金を稼いだ。

また、30世紀において自分を追っていた捜査官(ユウリの父親)を暗殺者マッドブラストに家族もろとも抹殺させているなど、「放っておくと稼ぎの邪魔になる」と判断すれば殺人行為も厭わない。

こうした現実主義のドルネロである為、戦隊シリーズの敵ボスにしてはタイムレンジャーと対決した回数も非常に少ない。
ドルネロ自身が出向いた犯罪や遊興の場で直接戦闘になる場合もあるが、大抵しばらくやりあった後「こんな事しても稼げやしねえ」などと言ってはさっさと逃走してしまう。

また、戦隊シリーズの他のボスのように1体ずつ囚人を差し向けるだけではなく、描写されていないだけで複数人を同時に解凍して別々に金儲けを行わせているのも特徴。
劇中でタイムレンジャーに邪魔されて失敗しているのはその一部であり、またその作戦にしても発覚した時にはドルネロが十分に金を稼いだ後という事も多い。
物語後半では20世紀の裏組織とも取引を行っている。
物語序盤は組織の地盤や人脈が整っていなかった事に加えて、タイムレンジャーの妨害や20世紀の経済に関してそこまで詳しくなかったこともあり、家計簿が大赤字なことを嘆いたり、リラの浪費を咎めるなど、金欠にあえぐ描写も多かったが、
中盤以降は少なくとも数千万単位の金は自由に動かしており、組織の経営自体はうまくいっていた様子であり、悪の組織としては珍しくそれなりに目標を達成出来ていた事がうかがえる。

過去に自分に愛想を尽かして捨てた母親を金の力で取り戻した経験があり、人の情より金を優先する性格もその辺りからきている模様。
ただし「いつの時代も世の中金だ」と豪語してはいるものの、本当に世の中の全てのものが金で解決するとは考えてはおらず、上記の母親についての過去をリラに話した際にも、「ここ(自分の心)に空いちまったでっけぇ穴だけは、どんなに金があっても埋められねぇ」と寂しげに語っていた。





以下、本編のネタバレ










1、2、3、4…ギエン、懐かしいよなぁあの頃が……



タイムレンジャーの妨害にもかかわらずファミリーの経営は大方のところ順調で、「地球のてっぺんに城を建てる」という当初の目標達成もそう遠くないと思われたが、一方でギエンの破壊行動が次第に常軌を逸したものになっていく。

元々ギエンは普通の大人しい人間であり、過去にドルネロを敵対組織から匿ったことから瀕死の重傷を負い、それに恩義を感じたドルネロが闇医者に頼んでサイボーグとして蘇らせたのが現在のギエンだった。
しかし、この時大量に増設された電子頭脳の影響で、ギエンは強い殺人と破壊の衝動を引き起こすようになってしまう。

昔の恩義と、優しかった頃のギエンを知っていることからドルネロは本格的に彼を切れずにいたのだが、逆にその事でギエンはますます増長し、凶悪犯揃いのへルズゲート囚による大量殺戮や、大量破壊しか使い道のないロボの開発など、暴走に歯止めがきかなくなっていく。
ドルネロ自身は前述の通り「昔馴染みの仲間より金で繋がった仲間の方が強い」という思想の持ち主であったが、
それでも「瀕死の重傷を負ってでも自分を匿ってくれた」という義理堅い言動を働いてくれたギエンを見限る事が出来ずにいたのは、ドルネロもまた温情を捨てられない性格であった証である。

Case File.39では、30世紀のレダーウィルスに感染した囚人エンボスまで解き放ってしまい、我慢の限界に達したドルネロは万が一の為と医者から渡されていた封印キーを使ってギエンを強制停止させ、世間に蔓延したウィルスも「免疫のある自分の血液」からワクチンを作らせて事態を収拾した*3

しかし、時間保護局のリュウヤ隊長によってギエンは再び解き放たれてしまう。
やむを得ずタイムレンジャーに情報を流して再度作らせた封印キーの使用も、これまたリュウヤの妨害で失敗する。

もうすぐ地上の3分の2が壊滅する「大消滅」が起こる事、その原因がギエンである事を知った事で、ついに自らギエンを始末してけじめを付けるしかないと決意。
万が一ギエンを殺し損なった時のことを考え、囚人たちを呼び戻して圧縮冷凍し直した*4後、後始末をリラに任せてギエンの下へ向かった。

破壊ロボ・クライシスを暴れさせてご満悦のギエンの前に現れたドルネロは、ギエンを後一歩のところまで追い詰めるが、弱々しく命乞いをする彼に昔の面影を見てしまい、銃の引き金を引けずにいたところを逆に不意討ちをくらい致命傷を負ってしまう。

竜也とユウリが駆けつけた時には既にドルネロは瀕死の状態で、2人にアジトの場所とそこに圧縮冷凍してある配下の囚人たちの事を教え、30世紀に戻してやってくれと頼む。
そんなドルネロに、ユウリはかつて自分の家族を殺させた事を覚えているだろうと詰め寄る。が…


……覚えてねぇな。そんな事は、飽きるほどやってきた。


彼女が10年間、決して忘れる事の出来なかった惨劇を、ドルネロは残酷なほどにあっさり「忘れた」と言い放つ。
激怒して掴みかかろうとするユウリと、それを止める竜也の前で、最後にリラの面影を思い浮かべつつ息を引き取った。



俺も、おしめぇか……。リラ、もう一度顔を見たかったぜ……。

お前、俺のおふくろにそっくりだって、知ってたか……?



ドルネロの最後の言葉が、文字通り本当に覚えていなかったのか、あるいは悪党として懺悔のような真似は意地でもしたくなかったからなのかは、永遠に謎のままである。



パワーレンジャー・タイムフォースでのドルネロ】

此方では、悪のコメディリリーフという設定で登場し、オリジナルキャラのランシックが首領となっている。
ランシック達が刑務所を乗っ取った際、その場にいた為、そのまま彼の部下となった。
終盤、ギエンが暴れる中、最悪の事態から逃れる為、自らの意思で圧縮冷凍カプセル行きを選んだ。
因みにランシックは、姿かたちこそアメリカ版オリジナルキャラだが、立ち位置等は原作におけるドルネロの要素を一部引き継いでいる。



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最終更新:2024年04月09日 17:46

*1 声は大友氏のまま

*2 Case File.45ではトゥモローリサーチの建物の大家役(何故か女性)としても出演している。また、ドルネロの人間態と違い、千本松氏本人の声である。

*3 なお血液自体は5億円で売りつけたうえ、完成したワクチンも強奪→転売で儲けようとしており、金儲けのスタンスは全くブレていない。

*4 20世紀の「大消滅」からの緊急避難、という事情は説明していた様子。