タイムファイヤー/滝沢直人

登録日:2015/02/08 Sun 12:13:51
更新日:2024/03/21 Thu 20:58:59
所要時間:約 6 分で読めます




※推奨BGM:JIKU~未来戦隊タイムレンジャー~



ネクスト・タイムレンジャー!

浅見、俺は力を手に入れる。
絶対にな!

直人!やめろ!!

あのスーツは…!?

タイムレンジャー!


Case File 29

炎の新戦士






レールには乗るもんだ。降りた途端に敗者になる。


タイムファイヤー/滝沢直人(たきざわなおと)は、『未来戦隊タイムレンジャー』の登場人物。
演:笠原紳司。

本作における『第6の戦士』ポジション。


【概要】

頻発するロンダーズの犯罪に対抗して、大企業の浅見グループが、浅見渡会長のもと結成した民間武装組織『シティガーディアンズ』の隊員。

クールで皮肉屋、どこか人を見下した様な物言いが多い青年で、ドモン曰く「アヤセに輪をかけてスカした奴」。

しかし、治安維持部隊としての任務には真摯であり、
タイムファイヤーの力を手に入れてからは対ロンダーズの最前線に立ち、図らずもタイムレンジャーと共闘することになる。

住まいはアパートに一人暮らしで、トラとサクラという二羽の文鳥を可愛がっていたが、後述の本部長就任後にアパートを引っ越す際に近所の少女に譲っている。
銃を構えるとき銃身を左手の甲にコツコツと打ち付ける、変身時には帽子を宙へ放り投げる等の癖がある。

竜也とは大学時代の同期で同じ空手部だったが、
後述する理由で親しかったとは言えず、2年の夏に彼が突然大学を中退してからは消息も不明だった。
初登場話はCase File.28「再会の時」で、初出動したシティガーディアンズの一員として竜也達の前に姿を現す。

高校時代、空手の選手権において決勝戦で竜也を下しており、その優勝によって推薦入学で竜也と同じ名門大学へ進学するが、
毛色が違いすぎた為に上流である他の学生から見下され、「何の後ろ盾もない者は恵まれた奴の取り巻きにしかなれない」という現実を思い知らされる。
唯一、そんな事を気にせずに接しようとした竜也も、彼にとっては自分の恵まれた立場を自覚していないお坊ちゃんにしか映らず、
この時から彼の中では「力(特に権力)こそ全て」という信条が絶対的なものになっていく。

お前はいつも恵まれてて、なのにそれを恥じて嫌って逃れようと必死だった。

けど俺みたいに何も持たない人間から見れば、そんなのはお坊ちゃんの我儘だ。

こうした経緯から、浅見グループという恵まれた立場を恥じて捨てた竜也に激しく対抗心を持っており、
竜也が家を出てから自分で作った会社『トゥモローリサーチ』も、「お坊ちゃんの遊び」として認めていない。

そしてCase File.29「炎の新戦士」にて、未来からタイムファイヤーの変身ブレスレット・ブイコマンダーが飛ばされてくると、
執念を燃やしてタイムレンジャー・ロンダーズ双方より先にこれを確保。
音声認識システムを利用して自分の声を登録し、変身能力を手に入れてタイムファイヤーとなる。

更にCase File.30「届け炎の叫び」では、
同じ未来から時空を超えて出現した巨大恐竜型ロボ・ブイレックスもコントロールに成功し、
この功績が認められて、負傷した土方隊長に代わりシティーガーディアンズの隊長に任命された。

Case File.37では本部長として復帰した土方の妬みから救援信号を無視されてピンチに陥るが何とか切り抜けると、
逆にそれが原因で更迭された土方に代わって本部長職まで兼任。

ブイコマンダーは音声ロックにより直人しか使用できない為、
シティガーディアンズ内でロンダーズにまともに対抗できる唯一の存在として、自身が熱望していた「力」への階段を順調に駆け上がっていく。
またこのエピソードで、ユウリたち4人とロンダーズが30世紀のものであるという事実も知る事になる。

この様に上昇思考の強い人間だが、自分の任務をただ出世の為のものと考えている訳ではなく、
いざ、ロンダーズとの戦闘が始まると住民の避難や囚人の排除には全力を尽くす。

また、竜也は除くとして、ユウリら30世紀組とは割と普通に接しており、
初期に「ユウリ達4人+直人」の5人で新部隊を作る話が持ち上がった時にも嫌がる素振りは見せなかった(ユウリ達が断った為に、お流れになったが)。

性格的なものもあって、表立ってタイムレンジャーと共闘する事は無かったが、
Case File.32「犯罪者を救え」ではシオンの命懸けの説得に、最終的には改心した囚人を見逃すなど、彼らのやり方にも一定の理解を示すようにもなっていく。

ヘルズゲート囚エンボスによるレダーウィルス感染時にはドルネロ逮捕を優先しすぎてアヤセに殴られているが、
その後はワクチンの製造と護衛に専念しており、彼なりに一本筋の通った使命感は持ち合わせている。

上記のエピソードで互いの主張をぶつけ合った為か、タイムレンジャーの中でもシオンやアヤセとは比較的打ち解けたやり取りをしている場面が多い。

特にシオンには頼れる存在と見られているようで、Case File.38「ぐっどないと」で彼の夢の中に登場した際は、
「待たせたな(キリッ)」とタイムレンジャーのピンチに颯爽と助けに来る役回りになっている。

更に年末に差し掛かったCase File.45では、稼ぎがなく家賃を滞納して倒産しそうになったトゥモローリサーチに対し、
力を貸してくれというアヤセの願いをあっさり断りながら、最後に大金を払ってブイレックスの清掃を依頼しに来るという見事なツンデレぶりを見せる。

この時、シオンにタイムレンジャーとお揃いのエンブレムを作ってもらい、戸惑いながらもそれを受け取っている。
使い道が無いのでは?とその時点では思われたが、年明けの対クライシス戦ではタイムレンジャーと同じ仕草で堂々と名乗りに使用。
実は結構気に入っていたらしい。

肝心の竜也に対しても衝突は多いが、竜也の生き方を認めている面もあるらしく、息の合った連携を見せることも少なくない。



V-Commander mounted.V-Commander mounted.

I'll record your voice.

Input a start up code,

TIME FIRE. TIME FIRE.

ナビゲーション付きとは親切だな。


タイムファイヤー!!



タイムファイヤー


スーツアクター:今井靖彦

テーマソング:「真紅の同志 ~タイムファイヤーのテーマ~」(歌:高尾直樹)

未来から飛ばされてきたVコマンダーを手に入れた直人が変身する6人目の戦士。
真紅のスーツはタイムレッドに酷似しているが、各種の基本性能はタイムレンジャーのそれを上回る。
また、各種装備を呼び出すクロノアクセスが使用できない代わりに、剣・銃両方に変形するDVディフェンダーを装備し、単独で囚人を圧縮冷凍する事が可能であるなど、様々な面で異なっている。
また親切にも英語音声のナビが付属しており、各種武装の使い方をレクチャーしてくれる。隊長用の装備としては違和感がある機能なので、黒幕が直人のために説明書代わりとして用意した機能かもしれない。

変身時には直人がVコマンダーに「タイムファイヤー!!」と叫ぶことでその音声を認識、変身が完了する。
変身シーンは『宇宙刑事シャリバン』の赤射シーンに、そして変身後にDVディフェンダーの銃身をブイコマンダーに「カチン…カチン…」と鳴らす仕草はバイオハンター・シルバに酷似している。

タイムレンジャーと同型でありながら、データがタックの中にも存在せず、
また現代人である直人がブイレックス共々手に入れた際も、保護局は奪還命令も出さない等、幾つも謎があったが、
これは全てある目的の為に、データが改ざんされていた為。

必殺技はDVディフェンダーのファイナルモードを発動し、敵を切り裂いて圧縮冷凍する「DVリフレイザー」
当初直人は圧縮冷凍について知らなかったため英語音声のナビゲーションに困惑。「圧縮冷凍…? 何だか知らないが了解!」と言いながら、圧縮冷凍に成功している。それでいいのか直人。
なお「タイムレンジャーはロンダー怪人を殺処分している」という誤解がその後Case File.32に至るまで続いていたため、直人は圧縮冷凍を致死兵器と勘違いして使っていたようである。実際、冷凍した怪人を毎回放置して帰社している。それでいいのか直人。一応、回収自体はタイムレンジャーがやってはいるが。



以下、本編のネタバレ









本部長の地位まで上り詰め、揺るぎない地位と人望を手に入れたかに見えた直人だが、
ヘルズゲート囚ハーバルの襲撃で浅見渡会長が意識不明の重体となってしまう。

幸いにも渡は一命を取り留める、が…。
一度は家を出た筈の竜也があっさり再び迎え入れられそうになる光景を見て危機感を覚えた直人は、独断で内務省治安維持局の伊吹貴敬長官に接近。
タイムレンジャーとロンダーズが未来から来た存在だという情報を密かにリークし、
入院中の渡が十分に動けない隙を突いて、シティガーディアンズを浅見グループから切り離し、治安維持局の管轄下に置くことでほぼ独立した存在にまで持っていく。
クーデターの様な形で強大な権力も手に入れた直人は、その後もタイムファイヤーとして、対ロンダーズ戦線に留まる。

そして、Case File.48において、ギエンが戦闘ロボ・ネオクライシスを操縦して、市街地で暴れ始めた。
リュウヤの手で緊急システム発動を止められ、タイムロボが出撃できない中、唯一の巨大戦力・ブイレックスと共に立ち向かうタイムファイヤー。

しかし、ブイレックスとギエンに内蔵された高密度のλ-2000の影響で、ずっと危惧されてきた「大消滅」が始まってしまう。
戦闘中断を訴えるタイムレンジャーに対し「戦わなければは暴れ続けるだけだ」と取り付く島もないタイムファイヤー。
そして遂にタックから「もう一つの歴史的事実」が告げられる。

「歴史的事実…?」
「何だよ、それ?」
「…『ブイレックスのパイロットは2001年の今日、死亡した』と…!」

「……“俺”が?」
「歴史上はそうなっている…!」
「フッ、そんなバカな…」

そんな事がある訳ないと一笑に付して戦うが、想像以上だったネオクライシスの力の前にブイレックスは敗北。
ブイレックスは修復の為に休眠状態に入り、その間、ネオクライシスを止める者はいなくなってしまった。

歯がゆい直人はシティガーディアンズ隊員に今後の指示を出す。
しかし告げられたのは、直人がシティガーディアンズに関わる全権を剥奪された事。
復帰した浅見渡によって、伊吹長官が過去の不正を暴かれて失脚。直人は後ろ盾を失くしてしまったのだ。
切り札であったブイコマンダーの音声ロックも、技術班によって既に解除済み。タイムファイヤーもブイレックスも直人だけのものではなくなっていた。*1
ブイコマンダーを没収しようとする隊員を殴り倒して逃げる直人は、渡を称賛しながらもブイコマンダーの力で再起を図ろうとする。
しかしゼニットに襲われている少女を咄嗟に庇って重傷を負ってしまう。

駆けつけた竜也に助けられた直人は、これまで二人が激しく対立してきた「力」について語り合った。
「力をそんなに求め続けた先が見えてるのか」と尋ねる竜也に、直人もまた「お前のように力から逃げ続けて、その先に何がある?」と返す。
二人共ずっと「力」に踊らされ続けていたんだと認めつつ、
それでも「生き方は変えられる」と戦いに向かう竜也の姿に、直人も初めて、これまでの生き方を見直そうとするのだった。

一方、西暦3001年の世界では、時間保護局のリュウヤ隊長がデータベースにアクセスし、新たな歴史的事実を入力しようとしていた。
「データが誤っている」とコンピュータは拒否しようとするが、リュウヤは「正しい歴史だ」と強引に入力を承認させる。

「2001年2月3日。タイムレンジャー4名、ユウリ・アヤセ・ドモン・シオンが31世紀へ帰還。
同日、ブイレックスのパイロット・滝沢直人、死亡」と……。




以下、結末に対するネタバレ












「浅見…お前は、変えてみせろ」





元々、タイムファイヤーに選ばれ、ロンダーズとの戦いによって死亡する運命だったのは直人ではなく、ユウリ達を送り込んだ時間保護局のリュウヤ隊長のはずであった。

その運命を事前に知ったリュウヤは、自らの死を逃れる為、別の誰かを「生贄」にして生き延びる事を画策。
結果として選ばれたのが直人*2であり、直人が手に入れたブイコマンダーを取り返さずそのまま放置していたのも、
タイムファイヤーに関するデータがタックの中から消去されていたのもその為だった。

逃げてしまった小鳥を探す少女の代わりに避難所の外に出た直人は、見つけた鳥を鳥かごの中に戻したのだが、
「滝沢直人死亡」に合わせるかのように、ゼニットの銃弾が直人を襲う。

駆けつけた竜也に対し、直人は「お前は明日を変えてみせろ」と言い残し、ブイコマンダーを託して息を引き取った。
その亡骸を抱え、竜也は号泣するが、彼の遺したブイコマンダーは、ブイレックスと共に竜也に引き継がれ、
最後の敵ネオクライシスを破壊する切り札となり、2つの世界を救う事に成功する。

そしてそのリュウヤも21世紀に戻ろうとするユウリ達に苛立ち、アヤセから懐柔しようと試みるも揉み合いになった挙げ句銃が暴発、致命傷を負うとこれまでの行いの理由を明かして息を引き取るというあまりにも皮肉な最後を迎えていた…


Case File.50のエピローグではエンディングが流れる中、「直人の分まで精一杯生きる」と決意し、街をランニングする竜也。


その彼も気づかず、視線も合わない街のとあるペットショップに、優しい笑顔で少女に小鳥を見せる、直人そっくりの青年の姿があった―――。



因みに、直人のこの最期に関しては、実は演じていた笠原氏たっての希望。
直人を演じる中でかなり早い時期から、
「直人はそこまで突き抜けた方がいい」「すんなりとタイムレンジャーの仲間になったり、タイムロボの横にブイレックスを立たせたくない」と考えていて、
脚本の小林靖子氏に何度もそうしてくれるよう頼んでいたとインタビューで語っている。


Vシネマ『未来戦隊タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ』では、タイムレンジャーとゴーゴーファイブが時空の彼方に飛ばされ、
窮地に陥ったタックとモンドをピエールの攻撃から身を張って救い、2大戦隊を現代に戻す為の作業にも協力した。
お祭り作品という事もあって、比較的素直な直人が描かれたが、モンドに協力したのは良心だけでなく、恩を売っておく為でもあったのかもしれない。
現代組ということもあって、竜也と同様に救急戦隊ゴーゴーファイブ及びビクトリーロボの事を知っており、後者の登場には感激している様子を見せた。


海賊戦隊ゴーカイジャーにおいて】
第18話にて、死亡した追加戦士にして恐竜要素繋がりの戦士でもあるアバレキラードラゴンレンジャーと共に
伊狩鎧の夢に現れ、タイムレンジャーの大いなる力豪獣ドリル」を託した。
台詞こそなかったが、DVディフェンダーでブイコマンダーを鳴らす仕草も健在。



「だいぶ遅れたな。ブイレックス、『追記・修正』!!」

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最終更新:2024年03月21日 20:58

*1 裏を返せば、渡が直人にタイムファイヤーを続けさせていたのは「直人を認めていたから」ともいえる。

*2 この残酷な事実は、直人に好意的だったシオンを激怒させた。