ポケットモンスター 金・銀・クリスタル

登録日:2009/09/09 Wed 23:15:34
更新日:2024/01/22 Mon 01:56:30
所要時間:約 10 分で読めます




ポケットモンスター 金・銀』(Pokémon Gold / Silver)は、1996年に発売された『ポケットモンスター 赤・緑』の続編として、1999年に発売されたゲームボーイ用ゲームソフト。
ゲームボーイカラーにも対応している。


さらに+αの要素を加え翌年『クリスタルバージョン』(Pokémon Crystal Version)が発売された。こちらはゲームボーイカラー専用。
クリスタルはシリーズの歴代作品の邦題で唯一、「バージョン」まで含めた名称が正式なものとなっている。

ピカチュウ版発売の前から存在が噂されており、『ポケモン2』として話題になった。
1997年頃に発表された情報では『ポケットモンスター2 金・銀』と言うタイトルになっている。

しかし発表から2年以上の時を経て、何回かの先延ばしを繰り返しながら、最終的に1999年11月21日に発売された。
そのため、発売のかなり前から一部出現ポケが判明していたりする。

だが、幾度か繰り返された延期の間に大幅な作り直しが行われ、事前に発表されていた情報の多く(御三家ポケモンやスケボー、パソコンを扱える主人公の兄、グラフィックやマップチップや町のレイアウト等)は没になっている。
この『作り直し前』の内容については、長らくは当時の雑誌のキャプ、もしくは1997年11月に幕張メッセで開催されたイベント「任天堂スペースワールド」にて一人10分間のみの体験版を実際にプレイした人間の伝聞のみとなっており、情報量の少なさ、何より当時から20年以上の時間が流れており全容の解明は絶望的……
と思われていたが、2018年になって上記の体験版のROMが発掘・流出されるという大事件により全ての内容が明らかとなった(詳細は当該項目を参照されたし)。


舞台は関西がモデルのジョウト地方


パッケージデザインはホウオウルギア。クリスタル版ではスイクン


第1世代からの追加要素や変更点は
  • 朝昼夜の時間の概念の追加とそれに伴った出現ポケモン
  • 同時発売にも関わらず金と銀で殆どのポケモンのグラフィックが違う(金は静止したポーズ、銀は動きのあるポーズが多い)
  • 特殊が特攻と特防に分かれた
  • 急所と一撃死技の確率が素早さに依存しなくなった
  • ゲームボーイカラーの赤外線通信機能を活かしたふしぎなおくりもの
  • カントーへの移動
  • ポケギアの追加
  • 木にずつきでポケモンとエンカウント
  • 新たなわざマシン/ひでんマシン
  • ポケモンに持ち物を持たせることができるようになった
  • 登場ポケモンは251匹に。既存ポケモンの進化形や進化前
  • 第1世代各作品との相互通信
  • ラジオで音楽を流し、BGMを変更可能
  • ぼんぐりでのボール作り
  • 新タイプあくはがねの追加
  • 本作新登場のジムリーダーは全員、前作ジムリーダーが使用しなかったタイプを使用
  • 性別がつき繁殖が可能に
  • 色違いポケモン
  • 電話番号登録でミニスカートやピクニックガールと電話できる
などなどの多くの要素を増やして発売され、ゲームボーイのソフトの中では最高クラスの売り上げを見せた。

カントー地方にも行けるというシステムや、ラストダンジョンにて前作主人公と戦うイベントがあるなど、前作ファンを興奮させるイベントもある。

その高い完成度から、全ポケモンシリーズの中でも特に人気がある。
現在の世代をプレイしていないプレイヤーは第3世代以降は認めないとさえ言うファンも少なくないほど。

また上記の変更点に加え、前作のチートじみた技の数々の性能が見直されため戦略の幅が広がり、特殊が特攻特防に分かれて偏ったパワーバランスがやや改善された。
ほのおむしどくかくとうといった不遇だったタイプの扱いも少しマシになった。
開発側が本格的に対戦を意識して開発したのはこのシリーズが最初である。
(ポケモンバトルのシステム的な成熟は更に年月を費やすことになる)


最初に選べる三匹はチコリータヒノアラシワニノコ
前作では草・水が序盤は楽だったが、金銀では序盤は炎が楽。


人気は高いが問題点として
  • 容量の限界でマップが狭い。
  • モノクロハードとの互換性の関係上、カラフルなグラフィックが使えず、戦闘画面で人物やポケモンの色が微妙
  • これまた容量の都合で施設やダンジョンが閉鎖・縮小されているためカントー地方が物足りなく感じる
  • ガチ対戦だと努力値の仕様の関係で耐久ポケ至上主義になりがちで対戦が長引きやすい
  • 皆さん期待の新タイプあく、はがねタイプのポケモンを序盤に出し惜しみし過ぎ(あくは大半がカントー編まで捕獲できない*1)
  • 朝しか出ないポケモンがほぼいない(朝限定出現は銀のレディバのみ)
  • 第3世代以降のような新シリーズというより、続編という位置付け(前述の通り初期は「2」と呼ばれていたのでBWBW2の関係に近い)なので、序盤などで新ポケモン出現割合が微妙
  • 技の総数をポケモンの数と同じ251に絞ったため、新技が86種類と少なく、むしタイプやドラゴンタイプには使いやすい高威力技がなかった。
  • ジムリーダーの使う切り札的ポケモンに前作出現のポケモンの場合が多い(マツバゲンガーハヤトのピジョン等)
  • 強さを調整するため、ジムリーダー・四天王・チャンピオンの手持ちは金銀単体で覚えられない技*2を覚えている。
などなど。
とはいえここら辺はシステム上の限界による部分も多く、むしろ金銀は当時の限界までコンテンツを詰め込んでいる。
GB/GBCソフトとしてはかなりボリュームがあり、一般的にはやはり高評価であるといえる。


そして、ポケモンに性別の概念が登場し、タマゴによる繁殖が可能になった!
レアポケを揃えて自慢していた人にとっては初代御三家やブイズなどの収集価値が下がってがっかりだったかもしれないが、御三家パブイズパを組みやすくなったので、友達との通信対戦で繰り出した人もいたことだろう。

このタマゴシステムのお陰で単なる埋葬ポケでしかなかったメタモンも大きく株を上げた。


また、ピチューやピィ、ププリンのようにタマゴでしか見つからない所謂ベイビィポケモンが登場した。


クリスタル版ではシナリオにイベントが追加された他、システム面も大きく改善されている。
  • シリーズ初となる女の子主人公が登場。これ以降、主人公の性別の選択機能がデフォルトに。
  • 男女でリュックやポケギアのデザインや色が違う。女主人公は通信ルームに入るとき、男主人公に変身するミニイベントが毎回発生する。金銀に女の子主人公のグラフィックがないためだろう。
  • エンジュシティの伝説のポケモンに関するイベントを変更。スイクンを追う謎の青年「ミナキ」が登場して、各所で遭遇することになる。
  • イブキに勝った後のイベントを大きく変更。りゅうのあなで長老の質問に適切な答えを言うと、通常では覚えられない技「しんそく」を覚えたミニリュウが貰える。
  • 当時は威力95だった三色技(かえんほうしゃ、10まんボルト、れいとうビーム)の「わざおしえ」が追加。かえんほうしゃ以外は第1世代ではマシン技だったが、金銀でわざマシンが没収されていた。
  • 時間帯別の出現率を大きく見直し。一部エリアで朝のみゴマゾウやヒメグマが出るようになるなど、朝限定のポケモンが増えた。夜しか出ないポケモンの種類も増えており、水辺近くの草むらには夜のみ水タイプが、洞窟近くの草むらには夜のみズバット系が出現するようになった。
  • ポケモンのグラフィックを修正。多くは金銀からの流用だが、いずれも色調やディテールを修正して公式イラストに近いデザインとなった。マグマラシやゴローンなどは完全新規のグラフィックになり、ヘルガーとライコウは特に人気が高い。モンジャラ、ニューラ、デルビルなど多数のポケモンが元絵に近い配色になった。色数制限が残る中、デザインと色合いが最大限に改善されている。
  • 相手ポケモンがバトルの場に出たときや、自分のポケモンのステータスを確認したとき、ポケモンがアニメーションをするようになった。これを利用し、静止画は金準拠で動きは銀準拠になっているポケモンもいる。
  • 金銀では人物問わず性別ごとに一律固定パターン化していた、電話登録できるトレーナーのセリフを全て変更。元々のキャラ設定に基づくセリフへと変更された(ex.ツンデレなエリートトレーナーのナツホは電話登録後もツンデレ)
  • 電話登録できるトレーナーに対して、決まった曜日と時間帯にこちらから電話を掛けると再戦を申し込まれるようになった。
  • 電話登録できる一部のトレーナーから稀に、進化の石などのアイテムを貰える。金銀だと殿堂入り後のイベントで1個ずつ貰える以外はふしぎなおくりものでID依存の超低確率入手だったので、相変わらず運要素は残るものの入手難易度は大きく下がった。



なお、このゲームは内蔵時計があるため、他のソフトよりバックアップ用電池が消耗しやすい
そのトラウマに涙する子供も多かった。

一応電池切れ前に任天堂へ送ればセーブデータを保持したまま電池を交換してもらえたが、現在は終了しており、自力で分解して直すしかない。


そのため、昔、子供だった僕らが持っているカセットは電池切れにより使用不可になっている場合がある。
もうあの頃の自分には戻れないのだな、と切ない気分にさせられる。
分解して電池を入れ替えればプレイは出来るが、一度電池切れを起こしたカートリッジは苦楽を共にした相棒達が既に消えてしまっている。

初代程ではないが、バグ技もかなり豊富で、有名なバグとしてポケモンをボックスに預け「ある行為」をする事でポケモンを無限増殖する事ができた。
持っているアイテムも無限に増やせる。
他にも虫取りバグというすさまじく好き勝手にいろいろ改竄可能なとんでもないバグもある。任意コード実行なんかも可能。


『金・銀』開発の際、最初は日本全国を舞台にするというアイデアがあったようだが、さすがに無理があったため新しい舞台のジョウト地方をメインにする方向性で落ち着いたようだ。
しかし今度は開発の途中でカントー地方のマップも盛り込むというアイデアが浮上。2作分に近いマップデータをピカチュウ版と同じ容量のソフト1本に収めるという無茶な話だったため、開発スタッフは苦労したらしい。
このとき、当時HAL研究所社長だった故岩田聡氏が事情を聞き、グラフィックデータの容量圧縮を行うツールを開発したことで巨大なマップデータをソフト1本に収めることができたという。
ゲーフリスタッフは岩田氏の多大なる貢献に感謝の意を表し、彼の名前をスペシャルサンクスとして金銀クリスタルのエンディングに記載している。
ここら辺のエピソードは、発売が岩田氏の没後となったUSUMでも隠しイベントで語られている。

2009年9月12日には第4世代仕様にモダナイズされたリメイク版『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』が発売した。

また、2016年の20周年でバーチャルコンソール版が配信された赤・緑・青・ピカに続き、金・銀もバーチャルコンソールでの配信が決定した。
『ポケモンバンク』への対応や通信機能はもちろん赤・緑のVC版に準じているが、本作の特徴であった赤・緑との通信交換(タイムカプセル)もしっかり実装される。
VCはバッテリーバックアップでなくmicroSDカードにセーブデータを保存するため、経年でセーブデータが消えるような心配も無くなった。
のろい」や「みきり」「でんじほう」等、この世代でのみわざマシンに収録されている技もあり、それらを覚えたポケモンを送ることができる。
なおこの方法で送ったポケモンは隠れ特性持ち・モンスターボール入りで固定されるのでオシャボ勢や型バレを恐れる人は注意。
PDW限定だった隠れ特性のジョウト御三家やオオタチハリーセンも再入手可能となり、フリー専用だがの隠れ特性も初解禁された。
更に2018年1月26日からはクリスタル版も配信された。モバイルアダプタGBの機能はさすがに再現されなかったため、残念ながら一部施設は飾りと化してしまった。
しかし、モバイル接続しないと入手できなかったセレビィのイベントがモバイルモードなしで発生するように仕様が変更され、セレビィを通信なしの通常プレイで捕獲できるようになった。
色違いブロックルーチンもかかっていないため、今回で色違いセレビィも初解禁されたことになる。
(そもそも第2世代の色違いは、今と違い個体値に依存しており、判定自体を細工しないとFRLGの三聖獣みたいなことになってしまうため、個体値を固定しない限り色違いが出ないようにするのは不可能だろう)


追記・修正よろしくお願いします。


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最終更新:2024年01月22日 01:56

*1 というより、クリア前に通信交換以外で悪タイプを入手するにはイーブイをブラッキーに進化させるしかない。

*2 ワタルのプテラのいわなだれが有名だが、他のジムリーダーや四天王にも前作マシン技を覚えているポケモンがいる。