メタルギア・エクセルサス

登録日:2015/01/24 (土) 18:19:49
更新日:2023/07/20 Thu 18:45:56
所要時間:約 9 分で読めます






アームズテック社顧客用Q&A

Q:民家が障害物となって大型兵器が投入出来ませんが、昨今の戦場では、大型兵器以外はサイボーグの傭兵達に
対抗するのは困難です。弊社は彼らへの対策に苦慮しているのですが、御社に打開策となる商品はございますか?

A:みんかとかきにしなければいいよ! ぜんぶそうじするすごいのかいはつしたよ!!





メタルギア・エクセルサスとは、METAL GEAR RISING REVENGEANCEに登場する上院議員搭載型大型多脚歩行戦車の名称である。


■機体解説

・開発経緯と名称の由来

核搭載型二足歩行戦車の代名詞であるメタルギアの名を継いでいるが、コイツは核搭載しない前提の兵器である。
この名を冠したのは、商業戦略の観点からこの名称で商品登録したい、という開発元の軍事兵器開発会社・アームズテック社の都合に因るもの。


一時期経営難に陥ったアームズテック社は、世界に根を張った戦争経済と自社の月光等のAI兵器の
大ヒットによって息を吹き返したが、再び苦境に立たされつつあった。
この時期、愛国者達の情報統制が解かれた結果、拡散した炭素繊維開発技術によって、
PMC所属の傭兵のサイボーグ化が急速に浸透。
高出力、高耐久のサイボーグ達が跋扈する戦場では、パワーが少々勝る程度で思考の柔軟さと機敏さで劣る
中型以下のAI兵器では活躍出来る余地が小さくなっており、自社製品が過去の遺物扱いされつつあったのだ。

そんな戦場のパワーバランスを覆し、アームズテック社の栄華を取り戻そうと考案した意欲作こそ、
このメタルギア・エクセルサスなのである。
エクセルサス=至高の、という凄まじい名前からして、その自信の程が窺える。


このエクセルサスはアパトサウルス、かつてはブロントザウルスと呼ばれた全長23m前後の大型恐竜の
名称でもあり、歴代メタルギア同様に恐竜を意識した名称でもある。
メタルギアシリーズ独特の恐竜染みた咆哮も健在。

ぶっちゃけ、メタルギアREXの項にもあるように、
これはパーツ同士の摩擦によって軋んで発生する音であり、明らかな欠陥であるにも関わらず、
21世紀に入っても相変わらず改善される気配は無い。
どうやら開発者は浪漫に生きているらしい。

ちなみに、このブロントと言うのは、古代ギリシャ語で「ブロントス=雷」の意もあるので
日本語では雷竜とも訳される。
サイボーグ技術が普及する以前から月光を狩りまくって「雷電の月光退治」なる逸話を打ち立て、
更には月光の対処法をマニュアル化してPMC業界に広めた、アームズテック社にとって怨敵だろう
子持ちの厨二病Mr.雷の存在を多少なりとも意識したと推測される。


・機体スペック

話を変えて、この兵器の外観を簡単に説明すると、全長4mの月光程の足のついた巨大な脚6本と
脚に似た形状の長い2本の腕を備えている、さながら超巨大な金属の蜘蛛。正確には多脚戦車と言うべきか。

月光から目測出来る全高は歴代メタルギアより少し高い程度で大差は無いが、
この外に投げ出すような複数の脚部と、そのバランスをとる為と思われる頭部や後方に伸びた腹部が二足歩行戦車とは一線を画す。
この形状の影響で投影面積は極めて広くなっており、視覚的にはかつての二足歩行型戦車など比較にならない程の巨大兵器となっている。

動きは緩慢にも見えるが、何しろ脚が凄まじい長さの為移動速度も高く、雷電も距離をとるために全力疾走する必要があった程。

AI兵器に限界を感じたのか有人の搭乗型兵器に戻っており、使う人間の腕を問う代物になった。
そのサイズに反して搭乗員一名で制御でき、胴体後部に収納された球状のカプセル内部の操縦席から操縦されている。
操作系は思いのほかシンプルに纏められており、ゲームをしているようにすら見えてくる。
ワイシャツメガネのオッサンがスクリーンに囲まれた椅子に座ってネクタイを緩め、眉間に皺を寄せてキーボードを叩きジョイスティックを握る様はそれだけで笑いを誘う。

余談だが、ゲーム中ではコイツとの戦いで発生するバグによって、戦場を空中歩行したり、あらぬ場所を歩ける。
その際にこの機体の全容を遠方から眺められて対戦時には分からない細部や造り込まれたフィールドを確認することも可能である。
リセットするかわざとやられないと復帰出来ないが。

この機体に搭載された武装は、まだ製品化されてない影響からか数は少ない。

まず1つ目が、大型のブレードに変形する2本の腕。
巨大な鉈と化した腕を敵目掛けて振り下ろし、横薙ぎに切り払う。太刀筋は極めてシンプル。
だが、刃には並の高周波ブレードを遥かに凌ぐ切れ味があり、機体の全長に近い馬鹿げた長さの腕を振り回す為、驚異的な物理攻撃になる。

続いて2つ目。胴体上部、肩にあたる部分に大型プラズマ砲が設置されている。
こいつの射程と火力はなかなかのもので、最早出てる作品を間違えてると思える勢いで射線上の物体を焼き払う。

だが、この機体で最も強力な武器は操縦席のアイツを除けば脚だろう。
岸壁からこの巨体が落ちようとも壁をよじ登って見せる強靭な出力を誇る足による踏みつけは、並のサイボーグなぞ比較にならない雷電でもまともに喰らうと死ねる威力を持つ。

相変わらず対空火器に関しては不安がある兵装だが、比較的弱い装甲の脚部ですら
高周波ブレードでも容易には切断出来ず、胴体部は戦闘ヘリが積める程度のミサイルなら
直撃したところでダメージにもならない。驚異的な防御力を秘めている。

ゲームをプレイしてたら、上院議員が拳で胴体をブチ抜いてた?……彼はスポーツマンだ!

尚、輸送の際は自らが輸送機形態に変形して空を飛ぶというとんでもない設定が資料で確認できる。
男のロマンである変形機能を搭載している兵器の数少ない一つである。


・運用コンセプト

ここまで読んだところで、本作を知らない人は
こんなデカブツ、現代を舞台にした作品で運用する余地があるのか
という疑問を抱くかもしれないが、それが常人の思考というものだろう。

そもそもこの兵器は、先述の通り

高出力と柔軟な思考、更には市街地でも自由に動ける小型の筐体を持つサイボーグ相手では、中型や小型AI兵器では太刀打ち出来ない。
ならばいっそ、超高出力モーターも積めて質量攻撃も出来る、超大型兵器でゴリ押してやれば良い

といった、逆転の発想を通り越した極めてシンプルな脳筋理論によって産み出されたものである。
当然ながら
「市街地が戦場となるケースが多い以上、民間人や民家を巻き込むからこんな兵器の運用は不可能。」
という結論に至る。普通はな。


が、アームズテック社に常識は通用しない。

「派遣されたアメリカ軍の兵士が死んだらアメリカ国民は大騒ぎする癖に、
 戦闘機が間違えて民家を爆撃した時はアメリカ国民はさして気にしなかった。
 だから、現地人の粗末な民家なんて、全部踏み潰して更地にしても誰も気にしないさ
「それにこんなにデカイのを見れば普通なら逃げる。逃げない奴はよく訓練されたゲリラだ。だから遠慮なく踏み潰せ。
 ホント戦争は地獄だぜ。」

という、別の次元の中で生きている。
そもそも巨大な足を装着させたのは、精々2,3階建ての中東部族の建築物なぞ空き缶の如く踏み潰して走破する為である。
動けない重傷・重病人が逃げ遅れた可能性などを含め、無辜の民間人の生活なぞ考慮していない。


馬鹿みたいな発想によって生まれた馬鹿みたいな巨体とパワーを誇るエクセルサスは
当然ながら発表時には観衆が我が目を疑うようなキチ○イ兵器として話題を掻っ攫い、
本当に需要があるのか疑問視する声も多く挙がった。

…………だが……………



■作中の活躍等

文民政府と対立するパキスタン軍統合情報局がならず者PMC・デスペラード社と結託してクーデターを起こし、
パキスタンのシャバッザバード基地に会談に来訪したアメリカ大統領を基地内で暗殺。
という濡れ衣をパキスタン軍統合情報局に着せて、パキスタンをテロ国家に仕立て上げて対テロ戦争を再燃させる。

という、黒幕のM禿とその手足のPMC、ワールドマーシャル社の狂気によって展開される
テクムセ作戦の進行を阻止するべく、デスペラード社が隠密裏に制圧していたシャバッザバード基地を駆け巡る雷電の目の前に、黒幕自らがエクセルサスを駆って地中から岩盤を突き破りながら派手に姿を現した。

上記の劇的な登場を始めとして操縦中のM禿上院議員の言動には玩具を自慢しているような節があるが、これは
「デスペラード社がエクセルサスのような高価な兵器を運用出来る訳が無い。
ならば、やはりパキスタン正規軍のような資金力のある組織が力を貸したに違いない。」
とアメリカ国民に見せつける意図があってのこと。まあ自慢したいのも嘘じゃないだろうけど。

その直後、本音交じりの虚言を弄しながらの大演説をぶった上院議員は意気揚々と
コクピットに再搭乗し、上院議員にしてやられて動揺する雷電の始末にかかる。


ゲーム中において、雷電はアーム攻撃をかわしつつアームや脚部を攻撃してダメージを与え、
ダメージが蓄積したら脚を切断するという戦い方になる。
エクセルサスの物理攻撃はシノギで受けても完全にはダメージを相殺できず、カウンターもほとんどできない。
削りダメージを嫌うなら回避主体となるが、直撃してしまうとそれなりに痛い。
なお無敵判定になりながら攻撃できる攻防一体の技が特に便利となる。

プラズマ砲は月光が現れた時にしか使ってこない。軌道を見極めて回避に徹すればあまり当たらない。
ちなみにプラズマ砲に月光を巻き込んで倒すことで、斬奪して回復するチャンスとなる。


メタルギア・エクセルサスは力の限り善戦した。しかし、相手が悪かった。
所詮地を這う蜘蛛と雷神の化身たるジャック・ザ・リッパーとでは、文字通り天地の差があったのだ。

月光を軽々踏み砕くストンプ攻撃を軽くいなし、巨大ブレードの斬撃やプラズマ砲を巧みにかわし、
エクセルサスの巨体すら背負い投げをしてのける。
そして、巨大ブレードをも投げの反動と膂力を活かしてもぎ取ってしまう力量の持ち主たる雷電に
エクセルサスは着実に追い詰められていく。

それでも尚、奪った巨大ブレードを振るう雷電に挑み続けて刃を交えるエクセルサスだったが、最期には雷電に解体され、空しく散ってしまった。


……何かおかしい気がするかもしれない。だが、実際こんな戦力差であり、戦況だった。
だって所詮は前座だもの

上記の通り、コイツはネタ要員としては優秀な要素を持つなかなかぶっ飛んだ機体である。
が、己を見つめ直し、ジャック・ザ・リッパーと呼ばれた本能と上手く折り合いをつけた雷電の前では
準備運動の相手に過ぎないのだから。
上院議員にとっては良くて良質なお食事(バッテリー)か高価な玩具。実質的には無駄に巨大な拘束具に等しい。



作中では出番も少な目でそこまでの脅威を感じなかったこの兵器だが、
他とは桁の違うサイボーグである雷電でも多少梃子摺った戦闘力はなかなかの物であることは間違いない。
もしも雷電がアームストロングの目論見を粉砕できなかった場合について、ドクトルは
「アームストロングが勝利すれば、連邦直轄部族地域(俗にいうトライバルエリア)をエクセルサスの群が開発コンセプト通りに蹂躙する」
と予測している。

雷電が自分やサニーのような存在を生み出す元凶の一つとして憤る
「世界に対する無関心や無自覚、誰かのミーム(文化的遺伝子)に流されてただ享受するだけの人々」
が多数派で、代理戦争による戦争経済が成立し得る世界観だからこそ存在し得る化け物である。
メタルギア・エクセルサスは狂気の落とし子などではなく、現代社会において必然的に生まれた怪物と言える。

そんな社会的価値観を嫌悪する雷電とアームストロングの二人のうち、
アームストロングは「自分の理想の実現の為には仕方ない」と妥協して嫌悪する対象の象徴たるエクセルサスを利用し、
雷電は問答無用で真正面からブッタ斬る。

この時点で二人の明暗は分かれていたのかも知れない。


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最終更新:2023年07月20日 18:45