コンボデッキ(TCG)

登録日:2015/01/16 Fri 00:12:18
更新日:2024/01/03 Wed 22:06:33
所要時間:約 22 分で読めます





「《クラーク族の鉄工所》と《起源室》と《研磨基地》が出るまで待っててよ。あっと、あと2枚目の《マイアの回収者》もいるな。」

《Johnny, Combo Player》のフレーバーテキストより


コンボデッキはTCGにおけるデッキの分類のひとつ。


概要

TCGの「コンボ」とは、2枚以上のカードの相乗効果でカード単体での結果以上の結果を出すことを指す。
例えば「相手にカードを引かせる呪文」と「相手がカードを引いたらダメージを与えるクリーチャー」という2枚のカードを組み合わせて、
相手に一気にダメージを与えることが「コンボ」である。こちらも参照?

そしてコンボデッキはその名前の通り、「特定のコンボを主軸にした」デッキのことである。


TCG黎明期では単にシナジーがあるカードを合わせただけのデッキもコンボデッキなんて呼ばれた時期もあったが、
現在ではビートダウンやコントロールでも軽度のコンボは展開補助などの当たり前の理由で仕込まれているため、
「コンボ一つの成立で勝利がほぼ決定する」コンボ、つまり「即死コンボ」をメインとすることが多い。
またコンボの成立のための時間稼ぎに若干のコントロール要素を含んだデッキが増えつつある。

デッキの勝ち筋を分類したものを『アーキタイプ/Archetype』と呼ぶ。
この中で最も大きい分類では「ビートダウン」「コントロール」「コンボデッキ」の3分類に分けることができる。
また異説では6つとも9つとも基本のアーキタイプは存在すると言われているが、
この場合ビートダウンとコントロールが細分化される一方でコンボデッキ自体は単独で扱われることが多い。
基本的にはどちらにも分類しにくいからだろう。

この3分類では相性があるといわれている。
大昔は、ビートダウンの稼いだダメージをひっくり返すことが出来るためコンボはビートダウンに有利。
コントロールは打ち消すべきものが分かりやすく明確なのでコンボはコントロールに不利。
と言われていたが現在では逆転している。

ビートダウン相手にはコンボ成立前に殴りきられてしまうことも多いため、基本的には苦手。
一方コントロールは攻めてくるまでに時間がかかるためその間にコンボを成立させやすく、戦い易い相手である。
もちろん、デッキのコンセプト次第で「意外なところでひっかかる」ことはあるので油断は禁物。
また、カウンターを搭載しているコントロールデッキなら、止める点さえわかっていればコンボデッキは簡単に対処できてしまう。

優れたコンボデッキは製作者が賞賛され、時にはそのプレイヤーのレシピがコピーされることも多い。
だがコンボ成立のために余計なものをそぎ落としていることが多いため、多様性は少なくなりがちで、
かつ勝ち筋も同じ、決まった瞬間にどうしようもないことからメジャーになるにつれてヘイトを稼ぎやすくなる。

また最近では「ループコンボ」をメインとしたデッキが増え、ソリティア性をしばしば指摘される。
こうなると公式もキーカードを規制する方向に動き、やがてデッキ自体が息しなくなる。

とくにコンボデッキのキーカードは単体ではどうしようもないスペックのカードも多いため、
主流な他のデッキには影響を与えにくいことから規制に反対するプレイヤーが少ないこともあり、コンボデッキは流行してから衰退するまで短い。

ただし開発者になれれば逆に憧れの対象となることは間違いなく、
遊戯王の【ドグマブレード】やデュエル・マスターズの【ヒラメキドレーン】なんかは開発者は多大なリスペクトを集めた。
フォロワーはプレイを拒否されることも多かったようだが……。


用語集

  • 即死コンボ
そのコンボが決まった瞬間、勝敗が決するようなコンボ。

  • ループ・無限ループ
例えば「場にあるカード1枚をコストにカードを1枚引けるカードA」と「カードを引いたときに場にカードを1枚出せるカードB」が揃ったとしよう。
Aの効果でドロー、するとBの効果でカードが場に出せる。そしてBで出したカードをコストにまたドロー……
という様に特定のカードの組み合わせにより同じ行動を繰り返す事をループと呼ぶ。
その中でも本当に無限に続けられるものが無限ループである。
上記の例でいえば大抵のTCGではドローしていけば最後には山札が尽きるのでそこでループは終わり。もしドローではなくライフ回復なら無限に続けられる無限ループという事になる。
ドローが絡むコンボでも山札を回復させる手段を挟み、本当に無限にループすることが可能なものも存在するが。
無限ループとは言っても終わることの無い狭義のの意味での無限ループは少なく*1、実質無限に繰り返せるループを無限ループと呼ぶことが多い。

  • 即死ループ
そのループが決まった瞬間、勝敗が決するようなループコンボ。
ループが開始した段階で相手が気付くことも多く、時にはカット要求されることもある。
ちなみにカットしないと7時間にわたってゲームが続くことすらある。
また、むしろ「制限時間を使い切る」ために無限ループを挿入するパターンもある。*2

  • 瞬殺コンボ
すぐにキーカードを揃えられ、すぐに勝ちに行けるコンボ。
コンボの開始が早い、という事は妨害手段も少ない。しかもコンボが決まるかどうかで文字通り一瞬で決着がついてしまう。
どんな相手でもメタを読むことなく勝利できる一方、相応のヘイトは稼ぐ。
一説には「コストを支払っていない」のではなく、「友人の減少という多大なコストを支払っている」とされる。
TCGではなによりもきついディスアドバンテージではある。

  • チェイン・コンボ
何らかのドローカードを連打し、それから引き当てたコンボパーツを発動して勝負を決めるタイプのデッキ。
Mtgのストーム系デッキや、下記の【ピットサイクル】、遊戯王の【図書館エクゾディア】等がこれに該当する。
上記の即死コンボデッキとは違い、「ドローの為のカードを大量に使う」事そのものがアドバンテージに繋がる物が多い。
性質上少ない手札からでも強引にコンボを起動していける反面、リソースが尽きる前にパーツを引けないと死ぬという欠点も持つ。
そのためコンボを始動してゴールまで到達できるかという見極めが重要であり、習熟難度は高い。

  • デザイナーズ・コンボ
カードの開発段階から意図してデザインされたコンボ。「デザイナーズ・デッキ」とも。
遊戯王OCGにおけるテーマ(カテゴリ)やヴァンガードにおけるクランなどが良く挙げられる。
これらでは、切り札召喚までのカードの組み合わせや一定のダメージを与える流れ(勝ち筋)までは開発段階で調整されている。
また、墓地肥やしが得意、ダメージを与えるのが得意など、テーマ毎に個性が与えられることも多い。
また、特定のカードを指定する効果や公式のガイドブックやカードカタログに掲載されているコンボはデザイナーズコンボと言っても差し支えがないだろう。
国産TCG(特にコスト制でないもの)ではデザイナーズ・コンボによる動きを中心にデッキが組めるように調整されたものが増えている。
コンボに必要なカードが分かりやすいため初心者でもデッキを組みやすいというメリットがある一方で、デッキの多様性やコンボを考える楽しみが減る要因として嫌う人も少なくない。

逆に意図していないカード同士を組み合わせたコンボは「非デザイナーズ・コンボ」などと呼ばれる。
開発段階で見落とされていた凶悪なコンボの場合、規制されてしまうこともしばしば。

  • コンボパーツ
特定のコンボを完成させるのに必要なカードのこと。
基本どんなコンボでもコンボを成立させるカードはこう呼ばれるが、
特に注意がない場合はそのとき流行りのコンボデッキに使われているカードを指す。

  • シナジー
複数のカードや能力による相乗効果のこと。
コンボは基本的に勝利に直結するようなものを差すが、「勝利に直結しなくても、良い相乗効果が見込める」組み合わせをシナジーと呼ぶ。
「コストで手札を墓地に送るカードと墓地から使用できるカードはシナジーがある」という風に使用される。
逆に悪い相乗効果を発揮する(相性の悪いカードの)組み合わせを「アンチシナジー」や「ディスシナジー」と呼ぶ。

  • 出張(パーツ、ギミック、セット)
特定のコンボパーツ(特にデザイナーズ・コンボ)を別のデッキに投入すること。
数種類で完結可能なコンボパーツが選ばれることが多く、新たなコンボが産まれたりする。

  • グッドスタッフ
コンボを意識せず、単体でも機能する汎用性の高いカードを詰め込んだデッキのこと。コンボデッキとは対極の存在。
コンボデッキの弱点である手札事故とはほぼ無縁であり、小難しいコンボも覚える必要がないが、爆発力は控えめ。
遊戯王OCGの【グッドスタッフリンク】のように、グッドスタッフと名が付くものの実態としてはコンボデッキという場合もある。


コンボデッキの例

Magic: The Gathering

コンボという概念を生み出したTCG開祖。
ここでは紹介しきれていないが、必要なマナがかかり過ぎたり、コンボパーツが多すぎるため現実的でないコンボも多数存在する。
逆に言えばトーナメントレベルのコンボは必要カード枚数も必要マナ数も非常に少なく収まるようなものである。

ちなみにだが、回避方法の無い無限ループが成立してしまうとその場で引き分けとなってしまう。
例えば《卓越》により「ライフ20以上で敗北」が成立したが、場に《白金の天使》が出ていて「敗北しない」状況。
《卓越》の敗北条件は常時チェックされるが、これを《白金の天使》で打ち消してしまうと「敗北する→しない」が無限ループしてしまうので引き分けとなる。
《白金の天使》+勝利条件or敗北条件カードは結構な割合で回避不能無限ループ引き分けが発生するので、両者の併用にはご注意を。
とはいえ相手の《ダークスティールの反応炉》+こちらの《白金の天使》で無限ループになってしまうこともあるが。


遊戯王OCG

近年のテーマデッキは大体コンボ(それも無防備で受けたらほぼ即死級)を有しているので、主にそれ以外の物を紹介。
なお、中には主要カードのエラッタやルールの変更でできなくなったものもある。


デュエル・マスターズ

クリーチャーによる攻撃を前提とするゲームシステムを否定するようなものが多数。
DMデッキ開発部においてはコンボデッキ紹介役のユウヤ君という名物キャラを生み出した。


Z/X -Zillions of enemy X-



バトルスピリッツ

ゲーム開始後はデッキのシャッフルを行わないTCG。
デッキ全体から探すサーチカードが存在しないため、コンボデッキは組みにくい。
それでもトーナメントレベルになる場合は大半がループソリティア系に属するため、ソリティア(TCG)の紹介の方が詳しい。
ここではループ以外のコンボデッキを例に挙げる。


カードファイト!!ヴァンガード

全体として使えるコストが少ないためループやチェインコンボが成立しづらい。デザイナーズコンボ系統は多いが明確にコンボデッキを名乗るデッキはあまりない。
しかし稀に環境に顔を出すような凶悪コンボデッキが登場することがある。
またクラン制限のないエクストリームファイトではかなりの数の無限コンボ即死コンボが存在していた。



あとは追記と修正を引ければコンボが成立するのに…

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • TCG
  • TCG用語
  • コンボデッキ
  • 遊戯王
  • MtG
  • デュエル・マスターズ
  • ソリティア
  • 相手は死ぬ
  • ロック
  • ワンキル
  • バトルスピリッツ
  • Z/X
  • DM
  • わぁい、コンボー!
  • コメント欄ログ化項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月03日 22:06

*1 試合や大会運営に支障をきたすためルールや裁定で、終わらせることができない無限ループコンボは不可能となっているTCGもある。

*2 大抵のTCGでは一戦辺りの制限時間が設けられており、制限時間いっぱいになると強制的にターン制限が設けられ規定ターン終了までに決着がつかなかった場合盤面に関わらずライフ差等で勝利が決まるルールが採用されている。意図的に制限時間を使い切る事でルールによる勝利を狙いに行くれっきとしたプレイングの一つであるが当然ながらかなり嫌われる行為なので注意。

*3 下記の【Super Cravy Zoo】開発者「伊藤淳」氏。

*4 サヒーリが場と墓地合わせて2枚以上にある状況で《太陽のタイタン》をキャスト→3マナ以下のパーマネントを墓地から戻す能力が誘発、墓地からサヒーリ・ライ》を釣る(1枚戦場1枚墓地の場合、この段階にてレジェンドルールで能力を使ってある方を1枚墓地に送る)→-2能力を使用、《太陽のタイタン》のトークンを出す→3マナ以下のパーマネントを墓地から戻す能力が誘発、墓地から2枚目の《サヒーリ・ライ》を釣る→レジェンドルールに従い1枚目のサヒーリを墓地に落とす→2枚目のサヒーリで-2能力使用、《太陽のタイタン》のトークンを出す→以降ループ、1000体ぐらいの速攻持ち《太陽のタイタン》でアタック、相手は死ぬ。

*5 解説すると、先手のターン中に後手がワンキルする。自分の1ターン目が来る前の勝利なので0ターンキル

*6 墓地にあるマナコストが1以下のアーティファクトを手札に戻す。

*7 同じ色でもマナクリで加速して高マナ域を即座に出すランプデッキ【ステロイド】もある。

*8 《絵描きの召使い》で相手のデッキの色に共通な1色を加える事により、カードを2枚墓地に送り、同じ色のカード2枚が落ちた場合もう一度繰り返す《丸砥石》の能力がライブラリが空になるまで持続するようになる。

*9 クリーチャーX体が出るまで相手のライブラリーをめくり、めくれたクリーチャーをこちらのコントロールで出す…だが、クリーチャーに限らず墓地に落ちるはずのカードが追放されるので、結果として全てのカードが追放される。

*10 タイムオーバー・デス。時間切れでの勝利

*11 当時《ファイアウォール・ドラゴン》はアニメの主人公の切り札であったため、容易に規制ができない事情があったものと思われる。その後アニメ放送期間中に《ファイアウォール・ドラゴン》も禁止カードに指定されたのだが。

*12 「イシズ」は遊戯王原作での【現世と冥界の逆転】使用者の名前

*13 特にアルケーは色を問わずまさしく傭兵として暴れている。

*14 バトスピは緑の方が属性の順序が先のためこう記述するが、実際のところは語呂の良さから【青緑】の方がメジャー。

*15 作品名である【ガンダム00】と呼ばれることのほうが多い。

*16 母艦「プトレマイオス」のこと。【ソレスタルビーイング】のバトスピ最高峰とも言われる手札交換を支えていたネクサス。