アルレッキーノ(からくりサーカス)

登録日:2015/01/06 Tue 23:56:53
更新日:2023/08/21 Mon 13:47:17
所要時間:約 8 分で読めます







お初にお目にかかる

私は最も古くフランシーヌ様にお仕えする、アルレッキーノと申す者




漫画『からくりサーカス』の登場人物。
CV:福山潤


自動人形(オートマータ)の集団「真夜中のサーカス」一員であり、団長フランシーヌ人形に仕える最高幹部「最古の四人」の一体。
“真夜中のサーカスの楽士”の異名を持つ。

他の三人と同じく元々は白金がフランシーヌ人形を笑わせるための余興役として用意した人形。元来は明確に自我を持たぬ人形であったが、フランシーヌ人形から疑似体液を与えられたことで現在の人格を得た。


名前はイタリアの即興喜劇コメディア・デッラルテに登場する道化役から取られている。
ちなみに、この役柄は国によって呼び方が異なり、フランス語では「アルルカン」、英語では「ハーレクイン」と呼ばれている。


【人物】

長身の男性型人形。
顔つきは整っているが左目に瞳が無く右目に二つの瞳が並んだ特異なデザイン。左頬には三日月のような模様が描かれている。
布付き帽子を被っているため分かり難いが髪は腰に届くほど長い。
「楽士」と呼ばれるだけあって常に鳥の装飾をあしらったリュート(弦楽器)を所持している。

初期は造物主とフランシーヌ人形から賜った楽士風の白い衣装を着ていたが、中盤でボディを交換した際各部に赤い菱型が描かれた道化師風の衣装(喜劇におけるアルレッキーノの衣装)に改められた。


パンタローネ達と同様に主たるフランシーヌ人形に絶対の忠誠を誓っており、彼女の命を受け彼女の為に行動することを至上の悦びとしている。
団員の中で最も長くフランシーヌ人形に仕えている「最古の四人」の一人であるため彼女が「笑顔」を得ることを非常に強く願っている。
ただしあくまで「フランシーヌ人形の為に行動すること」を基本原理とする、ある意味柔軟性に欠けた思考を持つため、彼女の為なら造物主に対する反逆行為すら行い得る。
このようなとても自動人形らしい価値観の持ち主だったため、使命を果たすために多くの人間を苦しめることに対して全く躊躇が無く、登場当初は非常に冷酷な悪役として描かれていた。

また、彼個人としては死に向かう短い生の中で文化や強さを築き上げていく人間の姿に”死による美しさ”を見出しており、同時に死から遠のき自動人形の破壊のみに生きる「しろがね」を『醜悪』『もっとも醜く唾棄すべき生物』と称し激しく嫌悪していた。
しかしこの”死の美しさ”という考えはある男との出会いをきっかけに少しずつ変わっていくこととなる。



【能力】

200年という時間の中で自らのボディに改良を加えてきた結果、後発の自動人形をも凌駕するトップクラスの戦闘能力を誇る。
鳴海を片手で吹き飛ばす程のパワーの他、疑似体液を破壊する拳法の「気」によるダメージも遮断できるようになっている。
これらに加え"緋色の手"やリュートによって特に中距離戦で高い攻撃力を発揮する。

中盤にボディが旧型になったことで性能が低下。
しかし、地力と戦闘センスの高さ故か、新型ボディを与えられたはずの他の自動人形やOをも上回る強さを保っていた。


○装備・技

◇-緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)
両手の指先をはじめとして全身からチューブ状のパーツを伸ばしそこから火炎を出して目標を焼き尽くす技。
単に炎を出す以外にも炎を弾丸状に固めて掌から放つことも可能。
旧型ボディになってからは指先から炎を出すことしかできなくなった。
アルレッキーノが最もよく使う技である。

◇仕込み刀
リュートのネック部分に収納されている諸刃の剣。仕込み刀自体にギミックは無いが金属製のOを両断する切れ味を誇る。

◇-諧謔曲(スケルツォ)神をたたえよ(ベネディカムス・ドミノ)
手にしたリュートを演奏し発生した音波を強力な衝撃波にして周囲にある物体を吹き飛ばす技。
一発でも相当の威力だが攻撃範囲が広く弾数制限なども無いため遠距離攻撃能力の無い相手ならこれを連発するだけで完封出来る強力な技。
ただし技の性質上自分の近くにいる味方にまでダメージを与えてしまうため単独戦闘時しか使えない。これに加えアルレッキーノ自身のこだわりから最終戦まで使われていなかった。




【劇中の活躍】


~からくり編~

ルシールの回想の中で他の最古の四人メンバーと共に白金に作られた直後の状態で登場。
クローグ村襲撃時には白金の指示で緋色の手を使い村人達が逃げ込んだ教会を炎に包み多くの村人を殺害した。
白金が去った後は屋敷に放置されていたがフランシーヌ人形の手で自我を与えられ、彼女の「笑顔になる」という願いを叶えるため旅を開始。
真夜中のサーカスを結成し、200年に渡りゾナハ病をばら撒きしろがねと争い続けた。


現代において新たなしろがねとなった鳴海に興味を抱いたアルレッキーノは旧しろがね本部に侵入。鳴海、ギイ、ルシールの三人を前にその強さの片鱗を見せたが顔見せ程度のつもりだったため勝敗をつけることなくその場を去った。

サハラの戦いでもリィナをあっさりと殺し鳴海の前に立ちはだかるが、成長した鳴海の放った鎧通しの技を受け撃破寸前まで追い詰められる。しかしとどめを刺される寸前で鳴海が力尽き、事なきを得た。
直後にルシールのアンジェリーナ人形が放った「ひかえよ」の言葉を前に動けなくなってしまうがパンタローネと共に自力で呪縛を跳ね除け復活(この時禁忌を犯し自壊したドットーレに対して侮蔑するような視線を向けている)。
長足クラウン号を呼び出しフランシーヌ人形と共に逃亡を謀る。
しかしロッケンフィールドや死んでいった仲間達の想いと人形の手足を受け継いだ鳴海が復活、圧倒的な実力でパンタローネを撃破されてしまう。

最古の四人で唯一残ったアルレッキーノはフランシーヌ人形を守るため三度鳴海と対峙。
よりしろがねに近付いた鳴海を「醜悪」と評し"緋色の手"による抜き撃ちで殺そうとする。しかし「生きて笑うこと」の美しさを信じる鳴海が放った聖・ジョルジュの剣の一撃でボディを真っ二つにされアルレッキーノは完全敗北を喫してしまったのだった。



~からくりサーカス編~

サハラでの敗北後、フェイスレスの差し金によりパンタローネ、コロンビーヌ共々頭部を回収された後、旧型ボディを与えられ復活。
しかし幹部から一転、「新真夜中のサーカス」ではかつての部下だった自動人形から旧式と罵られ冷遇される。
少しでも役に立とうとパンタローネと共に勝への挑戦権を賭けてシルベストリに挑むがあっさりと敗退し惨めな姿を晒すこととなった。



~機械仕掛けの神編~

最後の四人」が作られたことでより一層冷遇される。
更に自分たちが修復された理由が「その姿が滑稽だったから」ということ、そして自分たちが仕えていたフランシーヌ人形が途中から影武者で本物は90年も前に消滅していることをフェイスレスの口から告げられ自分たちの存在理由を見失ってしまう。

しかしその直後出会ったエレオノールにフランシーヌ人形の姿を重ね彼女を「フランシーヌ様」と認識することで新たな主に仕えるようになる。
以降はパンタローネ、コロンビーヌ共々エレオノールを甲斐甲斐しく世話するようになり、彼女に自分の知っている鳴海の話を聞かせる場面も見せた。
またこの時彼女から「これ以上人間を傷つけてはならない」という命令を下される。

その後モン・サン・ミッシェルで偶然出会ったリョーコとへーまをエレオノールの命令に従い救出。
この時リョーコの”笑顔”と”感謝の言葉”を受け、「それまで味わったことのない、しかし不快ではない奇妙な感覚」を得る。
その後リョーコ達への協力は拒否したものの、彼女たちの危機に再び駆け付けブリゲッラと交戦。
高い格闘能力を持つブリゲッラに叩きのめされてしまうが、かつて鳴海が語った「生きることの美しさ」を胸に再起。さらにリョーコの機転もあってブリゲッラを退けることに成功。

戦闘後はパンタローネと共にフェイスレス派の自動人形から完全に離脱、エレオノールに従い鳴海たちと合流する。


シャトル輸送の際にはエレオノールの護衛として列車に乗るが彼女の想いを汲みあえて勝と鳴海の再会を止める気遣いを見せる。
その後、接近するブリゲッラ、ハーレクインを足止めするため、エレオノールのことを自分より強く彼女自身が選んだ鳴海に託し、主の「戦え」という命令に歓喜し出陣。
そして列車を下りる直前、手作りした木彫りの鳥を取り出したアルレッキーノはそれをリョーコに渡すよう法安に託した。


もしも…それをリョーコが気に入れば……
その時の顔はおまえが見ておいてくれ、法安

私が前に感じたように、その顔が……
そよ風に波立つ湖面に映る、星屑のように煌めいているかを



列車を下りたアルレッキーノは再度ブリゲッラと交戦。
格闘技を得意とするブリゲッラに対しアルレッキーノはこれまで使わなかった『神をたたえよ』を発動、間合いの外から攻撃を繰り出し、ブリゲッラを追い詰める。
だが、ブリゲッラが自ら封印していた小型ミサイルを使ったことで顔とボディの左半分を吹き飛ばされてしまいアルレッキーノは敗北してしまうのだった。
……しかしこの時ミサイルを使ったことが原因でブリゲッラは後の鳴海戦に敗北することになる。



半身を失ったアルレッキーノだったが、エレオノールの身を案じどうにか自力で動き出し、ハーレクインに敗北して機能停止したパンタローネの頭部も回収、彼女を追いかける。

そして教会のある小さな町に辿りついたアルレッキーノ。
そこで彼が見たのは最愛の相手と想いが通じ合ったことに喜び心からの「笑顔」を見せるエレオノールの姿だった。


見よパンタローネ、
フランシーヌ様が笑っていらっしゃるぞ!

人の…運命とやらを司る神など…私達にはいないと思っていたが…
機械仕掛けの神も…どうやら、おわすらしい…

なァ、パンタローネ…お美しいな…フランシーヌ様は…

なァパンタローネ……見ているか…?


機能停止したパンタローネは何も答えない。だがその顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。


…なんだ…見ているじゃない…か…


自分たち自動人形の使命が果たされたことを見届け満足したアルレッキーノは町の片隅で静かに機能停止した。



そして数年後、彼が法安に託した木彫りの鳥はサーカスで活躍する一人の少女が大切に持ち続けていたのだった――







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最終更新:2023年08月21日 13:47