ベイマックス

登録日:2014/12/30 (火) 09:12:47
更新日:2024/01/24 Wed 21:53:13
所要時間:約 19 分で読めます




!注意!
この項目には、2014年冬に公開された映画「ベイマックス」のネタバレを含みます。



(●―●)「私はベイマックス。あなたの心と身体を守るケアロボットです。」

ベイマックスとは、2014年に公開されたCGアニメーション映画。第87回アカデミー賞長編アニメーション部門受賞作。
制作は「シュガーラッシュ」や「アナと雪の女王」などのディズニーアニメーションスタジオ。
同じディズニー配給かつCGアニメなのか「トイ・ストーリー」シリーズや「モンスターズ・インク」シリーズなどでおなじみのピクサー作品と誤解されがちだが、こちらとは別部署なので注意。
原作はMARVELのアメコミであり、原題は「BIG HERO 6」。映画化にあたって大幅なアレンジが施されている。

なお「BIG HERO 6」は珍しく日本を拠点とするヒーローチームで、リーダーは西川貴t…シルバーサムライである。
ディズニーがX-MENの映画化権を持っていないため何人か出せないキャラが居るのはご愛嬌。

アナ雪のファンを取り込むためか、日本でのプロモーションはアメコミ要素を隠して感動要素が押し出されている。
実際には王道のディズニーアニメにヒーロー要素がうまく組み合わさったものになっており、「ベイマックスは立派なMARVELヒーロー」「いい意味で予告詐欺」「グレンラガン的」といった感想が多く見られる。

同時上映は短編アニメ「愛犬とごちそう」
一匹の小犬の食事を通して飼い主の人生を描いた心温まる飯テロアニメである。
小犬をジャンクフード漬けにして育てている愛犬家激怒の内容で賛否両論を引き起こしたが、こちらもアカデミー賞短編アニメ部門を獲得し、本作とのダブル受賞を達成した。

2017年にはディズニーXDにて映画の後日談を描くSPアニメ『帰って来たベイマックス』と、さらにその後を描くテレビアニメ『ベイマックス ザ・シリーズ』が制作され、2018年には日本でも放送開始された。

また2019年発売予定のキングダムハーツ3への登場が決定。マーベル原作作品のKHシリーズ参戦は初めてである。
原作終了後のオリジナルストーリー(設定はアニメ『ベイマックス ザ・シリーズ』と同時期)が展開され、闇の心に染まった黒いベイマックスとの戦いが描かれる。




【あらすじ】

高校を14歳で卒業した天才少年「ヒロ・ハマダ」
しかし、優れた才能を場末のロボットファイトで浪費する事に、彼の兄「タダシ」は悩んでいた。
ある日、タダシはヒロを連れ、大学の研究室に連れていく。
「研究オタクの集まりなんて…」
そう思っていたヒロだったが、彼らの研究を目の当たりにしたことで考えを改め、大学に入学するための研究開発に力を入れる。
そして、彼が開発した「マイクロボット」が見事認められ、大学への入学が叶ったが、その直後研究の発表会場から火災が発生。
タダシが残された教授を助けるために会場に戻るが、その直後会場は爆発し、教授とタダシは帰らぬ人となってしまう。
傷心のヒロは部屋に引きこもってしまい、タダシの残したロボット「ベイマックス」にも冷たい態度をとる。
しかし、ひょんなことから、火災で全て無くなったはずのマイクロボットが、まだ存在していることを知る。
「兄さんの死は自分の研究成果を横取りしようとした何者かの仕業ではないか」
そう考えたヒロは、タダシの死の真相に迫るため、ベイマックスと共に戦う決意をした!


【登場人物】

◆ハマダ・ヒロ(演:ライアン・ポッター/本城雄太郎)
僅か14歳にして高校を卒業した少年。
そのおかげで大学に行ってもつまらないと感じ、違法であるはずのロボットファイトに興じる日々を送るが、タダシの友人たちの研究を目の当たりにしたことで、真面目に研究をし始めた。
思春期らしい心の迷いが描かれており、タダシを失った悲しみで引きこもったり、兄の死の真相を知るとベイマックスを暴走させて仮面の男を殺そうとしたりと、感情が抑えられないことが多い。
しかし、兄が大勢の人達を助けたい思いからベイマックスを必死に開発していたのを知り、自分の間違いに気付いて仲間達に謝罪。
仮面の男の過去と真の目的を知ると、彼の暴走を止める決意を固めた。
ヒーローとしては特に能力はないが、その天才的な頭脳でベイマックスのカスタマイズや、様々な指示を出す。

◆ベイマックス(演:スコット・アツィット/川島得愛)
マシュマロボディの介護用ケアロボット。デザインモチーフは神社の鐘で、こんな顔→(●―●)
予想外の事態が起こると「ああっと」と言うのが口癖。
ロボットとはいっても機械なのは骨格のみで、体のほとんどは風船で覆われている。
タダシ曰く「思わず抱き付きたくなるようなデザイン」を目指したとのこと。
1万通りにも及ぶ医療データをインプットされており、対象の体をスキャンする事で適切な処置が行える。
ただ、あくまでアドバイスができるだけで、別に薬を出したりできるわけではない。
また、医療以外の事はからきしで、歩くときはよちよち歩き、パンチやキックなどの基本的な動きですら満足に行えない。
おまけに融通がきかないロボットであるためうかつな命令をするとどこまでも勝手に行動してしまうのも欠点。
でも、それはタダシの作った医療用データでの話。
ヒロが戦うために作ったデータをインストールすることで、機敏な動きやカラテをマスターした。
ヒーローとして戦う時はヒロの作ったアーマーを身に纏い戦う。
アーマーは最初は単なる防具のみだったが、後に飛行能力やロケットパンチを装備した、「バージョン2.0」へとパワーアップした。ちなみにKH3の公式サイトに掲載された姿もこれだったり。
白く丸い外見からスノーマンと言われることも。
メカデザインは『HEROMAN』や『トップをねらえ2!』のディスヌフを手掛けたコヤマシゲト。監督がヒーローマンのデザインにベタ惚れしたことが契機で起用された経緯がある。実際似てるけど。
初期稿では原作寄りのゴツいデザインで、ベンケイモードという鎧武者のような姿が用意されていた。

◆ハマダ・タダシ(演:ダニエル・ヘニー/小泉孝太郎)
ヒロのたった一人の実兄であり、ベイマックスの生みの親。
優しく頼れる兄貴だったが、キャラハン教授を救うために燃え盛る建物に飛び込み、帽子とベイマックスを遺してその短い生涯を終える。

◆フレッド(演:T・J・ミラー/新田英人)
怪獣の着ぐるみやSFヒーローを愛する変人。原作ではアイヌの原住民で、恐竜のスタンドを出して戦う。
エコと称してパンツを4日連続履き続けるが、家は実は大金持ち。
専門分野は特にないが、ヒーローとしては凄いジャンプ力と火を吐く能力を備えた怪獣の着ぐるみを愛用する。

◆ゴー・ゴー(演:ジェイミー・チャン/浅野真澄)
黒のショートヘアに紫のメッシュを入れた女性。巨大なハサミを武器にして戦うわけではない。
原作では栃木の元レディース「ゴーゴータマゴ」。
かなりのスピード狂であり、非常時とはいえ人の車で滅茶苦茶なカーチェイスを披露した。
電磁力をサスペンションとして利用する研究をしており、その技術を応用した自転車を開発していた。
ヒーローとしても、その車輪を駆使した高速移動や投擲を得意とする。

◆ワサビ(演:デイモン・ウェイアンズ・jr./武田幸史)
図体はでかく陽気っぽく見えるが、実際は小心者で生真面目な黒人。
名前の由来は「服にワサビをこぼしたことがあるから」
レーザー工学に長けており、ヒーローとしても、何でも切り裂くレーザーブレードを操った。

◆ハニー・レモン(演:ジェネシス・ロドリゲス/山根舞)
明るい性格のブロンド美女。メガネっ娘
化学薬品の扱いに精通しており、金属を脆くする薬品などを開発した。
ショルダーバッグを模したツールから様々な薬品を作り出して戦う。

◆ロバート・キャラハン(演:ジェームズ・クロムウェル/金田明夫)
サンフランソウキョウ工業大学の教授であり、タダシらの恩師。
ヒロの才能を見抜き、彼の研究も認めたが、発表会の日に火災によって帰らぬ人となった。

◆キャス(演:マーヤ・ルドルフ/菅野美穂)
両親のいないヒロとタダシの親代わりを務める、彼らの叔母。
叔母という割にはかなり若く、かわいい。
ハグは2度やるタイプ。
飼い猫は毛むくじゃらな赤ん坊こと「モチ」という三毛猫。

◆アリステア・クレイ(演:アラン・デュディック/森田順平)
かなり強引な手段でのし上がった、クレイテック社の社長。
ヒロの発明を堂々と金で買おうとしたり、過去の強引な実験で犠牲者を出したにも関わらず、それを「失敗」の一言で片づけたりと、
人情という物は無いらしい。

◆ヒースクリフ(演:デイビット・ショーネシー/こねり翔)
フレッドの家に仕える執事。
ヒーロー達の能力の実験に顔色1つ変えずに付き合ったり島に残されたヒロ以外の4人をヘリで救出したり、地味に活躍する有能な老人。

◆ヨーカイ(カイジン)(演:?/?)
本作のディズニー・ヴィラン。
歌舞伎の隈取りを思わせるマスクをかぶり、失われたはずのマイクロボットを操って暗躍する謎の男。
膨大な量のマイクロボットによって、「何か」を作っているようだったが…

なお劇中では仮面の男やカブキ面の男と呼ばれているが、設定上はヨーカイ(日本版はカイジン)と名前が付けられている。
日本未発売のおもちゃもヨーカイ(英語の綴りはYOKAI)の名前で発売されている。

以下、正体のネタバレ。

その正体は、死んだと思われていたキャラハン教授。
あの火災は自身の死を偽装するために仕組まれた人為的なものであり、実際はマイクロボットを耐火シェルター代わりに利用して一命をとりとめていたのだ。
しかし、それはタダシが無駄死にだった事を意味しており、彼を巻き込む気はなかったものの、「余計な気遣い」だと評したため、一時は本気でヒロに命を狙われる羽目にもなった。

彼の目的は、クレイへの復讐。
実はクレイは過去にワープ装置の開発を行っていた。
だが、その時のトラブルを「誤差の範囲」として強引に進めたため、実験に参加していたキャラハンの娘「アビゲイル」が異次元に消えることとなってしまったのだ。その為ある意味ではクレイもまたディズニー・ヴィランとも言える。

クレイの目の前で再度ワープ装置を作り、彼の築き上げた会社をすべて飲み込もうとするが、ヒロ達の活躍によって阻まれてしまう。
しかし、そのワープ装置のおかげで娘は無事、ベイマックスに助け出されることとなった。




【用語】

◆サンフランソウキョウ
作中に登場する架空の都市。
名前の由来は「サンフランシスコ」+「東京」
名前の通りアメリカ風な大学やスラム街、派手なネオンのついた看板が多く存在する。
だが、看板の表記は日本語のものも多く、ブレードランナーやニンジャスレイヤーの都市を彷彿とさせる。
また製作陣によれば街の風景の一部は実際の東京の街並の写真を加工したものだという。

◆マイクロボット
指でつまめるサイズの機械。マイクのロボットではなく、マイクロなロボット。
ヒロがロボットファイト用に作ったロボのパーツを小型化したもの。
ヘッドギアからの脳波コントロールによって、自由自在に動かせる。
1つ1つは小さいが、無数に集合することで巨大なモニュメントの作成や、移動にも活用できる。





【余談】

◆上記にあるように日本では感動路線が推されタグにある予告詐欺としてネットを少し騒がせたが、
この方面で宣伝されたのは日本だけではなく、ヒーロー映画としての面を推したCMも見られた。
日本は感動モノが売れるという判断された訳だが、実際前年のアナ雪抜きでも、ディズニー映画全体でその傾向があるので、
ヒーローとしての面が抑えめだったのはそのためと思われる。

◆原作のBIG HERO 6だが少々埋もれていて単体シリーズとしては一年足らず(5話)で終わっており、今回原作として選ばれたのも有名だから人気だからという側面は弱い(むしろだからこそといったところ)。
そのため設定の一部を借りてきたくらいのレベルである。
そういう経緯もあってか原作に関しては読むとしたら電子書籍で入手することになるだろう(邦訳はされてない)。*1
チームとしてはリーダーだった人物に日本所属のヒーロー兼ヴィランのシルバーサムライがいたり、スパイダーマンと絡んだこともある。

◆日本では映画の評価とは別に、本作のアカデミー賞受賞に対して複雑な思いを感じる声が多かった。
というのも、多くのアニメ映画賞を本作と争い、アカデミー賞では最大の対抗馬とされながらも、様々な事情で日本での展開が未定となっていた
『ヒックとドラゴン2』の受賞を期待する声が多く、アカデミー賞次第で同作の日本公開の可能性も高くなると思われていたが、本作の受賞から間もなく劇場未公開が決定したためである。
この影響もあってか、日本では洋画アニメはディズニー作品しかヒットしない風潮が浮き彫りとなってしまったが、
ユニバーサル配給のイルミネーション・スタジオ作品が2015年の『ミニオンズ』を皮切りにディズニーに匹敵する人気を獲得し、その風潮に歯止めをかけた。

◆ディズニーのキャラクターが登場するRPGKINGDOM HEARTSシリーズにもKINGDOM HEARTSⅢで登場。
時系列としては原作映画の後になっており、シリーズの主人公ソラがベイマックス達BIG HERO 6のメンバーと協力して町に現れたハートレス*2を退治していく。
しかしワールド後半に原作ファンも驚く衝撃の展開となる。
真ⅩⅢ機関のダーク・リクの策略により出現したハートレス「ダークキューブ」はかつてヒロの開発したマイクロボットに酷似していた。
そして、ダーク・リクは異空間に廃棄された初代ベイマックスのボディを回収。
サンフランソウキョウに漂う負の感情を吸収したダークキューブを纏わせることで「ダークベイマックス」に変貌させたのである。
ダークベイマックスの中にはヒロが開発した戦闘チップがそのまま組み込まれており、いうなれば復讐にとらわれていた過去の自分との対面でもある。
ソラとベイマックスの活躍によりダークベイマックスは倒され、ヒロは戦闘チップがかつてのベイマックスの心でもあるとわかったうえで自らチップを破壊する。
そして自らの手で初代ベイマックスを修理したヒロは二人のベイマックスに囲まれるのだった…。

◆「よさぬかベイマックス」というサジェストが出てくることがあるが、作中にその様なセリフは一切出てこない。
説明は省くが、二次創作での台詞である。


(●―●)「『ベイマックス、もう大丈夫だよ』と言うと、追記修正を終了します」























◆フレッドの父(演:スタン・リー/大木民夫)
パンツの4度履きをフレッドに教えた元凶。
いつも島にバカンスに行っていると思われたが、フレッドが絵画の裏の隠し部屋に気づくと姿を現した。
彼の存在が、本作がマーベルヒーローの映画であることを決定づけた。


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最終更新:2024年01月24日 21:53

*1 というより敵方の設定が結構センシティブなので多分出来ない。

*2 KHシリーズオリジナルの魔物