ザ・ワン(ULTRAMAN)

登録日:2014/12/29 (月曜日) 17:30:10
更新日:2024/02/22 Thu 05:09:52
所要時間:約 7 分で読めます







死ね!


俺の邪魔をする奴は皆殺しだ!!






ULTRAMAN」に登場するクリーチャー。本作唯一の敵にしてラスボス。
正式名称はビースト・ザ・ワン


【概要】

宇宙より飛来した謎の知的生命体。出自や目的は一切不明。
「他の生命体を取り込み自身へ同化させる」能力を持ち、『餌』さえあれば極短時間で原型を留めないレベルで進化することができる。

非常に攻撃的かつ残虐性の強い邪悪な生命体であり、人質を盾にしての攻撃や相手の心を弄ぶ事に愉悦する一方で、
自身の障害となる敵には明確な殺意を露わにし排除しようとする狡猾な面を併せ持つ。

「ザ・ワン」という名は特務機関BCSTが「日本」で初めて確認された、
若しくは最初に来襲した地球外生命体であることから付けられたコードネームであるが……


以下、ULTRAMAN全体のネタバレにもなるので注意




未確認飛行物体として観測され太平洋沖へ墜落し、調査へ訪れた海上自衛隊の深海潜水艇を破壊。
乗っていた有働貴文二尉(演:大澄賢也)を「喰い」、彼と完全に融合・同化した*1

生還した有働の証言から正体不明の「青い発光体」の存在が確認されたが、不可解な状況が多数あったため、有働は硫黄島研究所にて監禁状態となる。
暫くして角や鱗のようなものが生え始め、異常なまでの感覚の鋭敏化や第六感が発現。
「自分を追って宇宙からもう一つ発光体が来る」事を予言し、邪魔になる「そいつ」を始末するために活動を開始した。


ザ・ワン(イドロビア)

身長:3メートル
体重:920kg

ザ・ワンが紛れ込んだヤモリを取り込んで体内でその能力を顕在化させ、高い敏捷性や壁に張り付く手足、強靭な尾を発現させた形態。
更に見張りの隊員を襲って捕食し、質量を増大させてより強力な身体を作り上げた。
人間の面影が眼を残して消失したものの、所々に垣間見えるヒトの要素がエイリアンのようなグロテスクさを醸し出している。

拘留されていた硫黄島研究所施設内を破壊し脱走を図り、駆けつけた隊員達の銃撃に物ともせず殺しを楽しんでいた。
外壁を破壊してあと一歩で脱出という所で、有働の婚約者でありBCSTの監察官・水原沙羅に毒物を撃ち込まれるが、
有働の姿・人格を顕在させて彼女の動揺を誘い銃撃を躊躇させ、海に飛び込み逃亡。
BCSTは行方を探すものの、その間にも漁船を襲い乗組員を全員殺戮するなど被害は拡大していく。

沙羅は有働の予言にあるもう一つの赤い発光体、コードネーム「ネクスト」と衝突し、
高度1万フィートから奇跡の生還を遂げた真木舜一二等空尉を囮にザ・ワンをおびき出すことを提案。
自衛隊に協力を要請し郊外の廃棄された施設に真木を監禁する。

邪魔者を殺すためにまんまとおびき出されたザ・ワンは、待機していた隊員達から以前の毒と同じものを装填された銃撃の嵐を浴び、死に絶えた。
……かに見えたが、ザ・ワンは沙羅の予測を遥かに超えるレベルで毒に耐する免疫抑制を強化しており、何事もなかったかのように起き上がると咆哮を上げて体を発光させ……


ザ・ワン(レプティリア)

身長:10メートル
体重:4万4千トン

周囲に生息していた大量のトカゲを集めて体内に取り込んで巨大化したザ・ワンの進化形態。
足元からトカゲを取り込む→肉の塊になるほど身体の質量を大幅に増大させる→不要な体積を破裂させて身体を形成する
というかなりグロい方法で誕生した。
怪獣らしくなったが、顔つきがベルツノガエルっぽい。
その巨体から自衛隊員を軽く蹴散らし、沙羅をも襲おうとするが、ここで拘束を自ら解いた真木が登場しターゲットを変更。


「やはり……ここにいたか」

お前……邪魔だ……だから……殺す!

尾で叩き飛ばしダメージを与えるも、真木は融合していた「ネクスト」の姿に変身。遂に対決することになる。
殆ど互角の戦いだったが、沙羅を尾で攻撃してネクストに庇わせる卑劣な戦法を取り、
そのまま首に巻きつかせて締め上げて優位に立つも、ネクストの輝く腕により切断される(断たれた尾はトカゲ…もといゴモラよろしく動いていた)。
これによって勢いづいたネクストから連続攻撃を受け、劣勢に追い込まれたザ・ワンだが、ネクストは急激なエネルギー切れを起こしてダウン。
その状況に、ザ・ワンはネクストが融合した人間=真木の人格を尊重し、敢えて彼を完全に取り込まない段階で融合状態を留めていることに気付く。


「……なぜ苦しむ?」

「そうか、貴様人間と、完全な融合をしていないな……?」

好機とばかりに襲いかかり捕食しようと企むが、最後の力を振り絞って放ったネクストの光刃の直撃を受けてしまい深手を負う。
状況を不利と判断し、攻撃の余波で空いた穴からバリケードを突破し逃走した。

その後は新宿の地下へ身を隠しつつ人間を捕食して傷を癒していたが、戦う覚悟を決めた沙羅と、直前に二人の関係を知って覚悟の鈍った真木が討伐に到来。

ここで一旦有働の姿へ戻り、何も知らない振りをして沙羅に語りかけるという外道っぷりを披露し、
沙羅が毒素を強めた弾丸を大方外した所で片腕のみをレプティリア形態へ顕在させて掴み、嘲笑った。


「沙~羅、5発撃って命中はたった1発だけだぜ? ちゃんと狙わなきゃだめじゃないか……」

「涙で目が曇っちまったんだな。甘い奴だ、フフフ……」

しかし、沙羅の悲壮な覚悟を込めた最後の一発を胸部へ食らい激昂。
背中から2本の突起物を生やし沙羅に飛び掛かるも、ザ・ワンの非道な行いに怒りを燃やす真木が間に入った。


「貴様はもう人間じゃない!」

「俺はお前を!! 許さなあああああいっ!!」

「ハハハ! 邪魔だ!!」

組みあったまま同時にネクストとザ・ワンへ変身し、2度目のバトルが始まった。
以前の戦いからザ・ワンは他の生命体を取り込んで強くなっていたが、ネクストは真木との融合が進んだ為かそれ以上の強さになり圧倒される。
地下反響を利用した強烈な咆哮でネクストを一時行動不能にしたザ・ワンは、再び身体を発光させた。


ザ・ワン(ベルゼブア)

身長:50メートル
体重:9万9千トン

周囲に生息していた大量のネズミを集めて体内に取り込んで巨大化したザ・ワンの進化形態。
レプティリアへ進化したときと同様に余分な体積は破裂させる。

前の形態に比べ生物的な要素は減ったが、骨格が露出したかのようなグロテスクなボディ、凶悪な形相と外見はちびっ子が怖がるには充分な迫力。
肩口にネズミの頭部を模した器官があり、偶に鳴くが全然かわいくない。

最大の武器は、口から吐けるようになった青白い火炎弾。他に肘の側面に形成された鋏状の補助爪や先端が二股に分かれた尾が確認できる。

凄まじい巨体から天蓋を破壊し新宿へ出現、避難する民衆をよそに街を蹂躙していく。
自分を追って地上へ現れ、逃げ遅れた母娘を助けるために真木との融合が進み進化したネクストに火炎弾で不意打ち、最後の決戦を行う。
一進一退の攻防が続くものの、至近距離からの火炎弾でネクストを圧倒する(ネクストの光刃はやや溜めが必要なのか地上で連発する描写はない)。
機敏な身のこなしで火炎弾を避けるネクストは跳躍し、さらなる追撃を飛行する事で回避する。
自由に飛び回るネクストに空の利を取られんと、ザ・ワンは三度咆哮を轟かせた。


ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)

身長:50メートル
翼長:250メートル
体重:12万トン

周辺に生息する夥しい数のカラスを背部後方の湾曲した角に集め、同化させる事で凄まじく巨大な翼を形成させた形態。
肩口のネズミの口からは、カラスに似た頭部が内部から食い破るように生えてきた。
翼を大きく広げたおぞましい姿はレポーターや沙羅、そして真木から「悪魔」と形容される。
早速羽ばたかせて空を飛び、ネクストと対峙するのだが……

この映画の一番の見所である、CGを駆使した超高速空中戦が始まる

両腕で巨大にした光刃を放つネクスト
尾で反撃し火炎弾を撃つザ・ワン
翼を折り畳んで流線型となり音の壁を突破するザ・ワンと追撃するネクスト
絶え間無く弾幕を展開しながら高機動で躱すドッグファイト

特撮史上でも1、2を争う美しい空中戦なので、是非DVDを買って何度も見ていただきたい。


「燃えろ! 人間どもを焼き払え! ハッハッハッハッハ!!」

そのまま高度を下げると眼下の街へ火炎弾を放ち焦土へ変えていくが、
これを見逃すネクストではなく火炎弾から街を身を盾にして守り抜く。


「もう限界か!」

更に火炎弾を連続で直撃させ、度重なるダメージと不完全な融合によるエネルギー切れにより、一度はネクストを下す。


「また力が……なぜだ」


「貴様は不完全な形で同化した」

「俺みたいに完全に、人間を食っちまえばよかったものを!」

「このバカが!!」


しかし、諦めない真木の想いが再びネクストを蘇らせる。
ザ・ワンはネクストの渾身の力を込めた怒涛の連続パンチで劣勢になるも、
一瞬の隙を突いて尾で絡め取り羽交い締めにすると、尾をネクストに叩きつけてエネルギーを奪う。


「この死に損ないが!」

だが、真木の元同僚であり親友たる倉島の率いる空軍のF-15によるミサイルの援護を食らい拘束を解いてしまい、
ネクストの両腕から放たれた光刃を両翼へ受けて切断され、カラスの同化が解除されてしまう。

飛空能力を失ったザ・ワンは超高空から堕ちて地面に落下したもののなお立ち上がるが、
続いて地上に降り立ったネクストが腕を十字に組んで放った光の奔流の直撃を受ける。
それでも逃れようともがくも、やがて全身が輝く青い粒子と化して崩壊した。

光が風と共に流れ行く神秘的な光景を見て、沙羅は悲痛な表情を隠せなかった……


余談


ULTRAMANが初代ウルトラマン第1話の現代風リメイクなだけあって、ザ・ワンのモチーフはベムラーである。
  • 青い発光体となって水中に潜伏
  • 口吻が短いためシルエットが似る
  • 口から吐く青い火炎弾
  • 悪魔と呼ばれる
などが該当する。
他にも、切断された尾が動くのはゴモラ、鋏状の補助爪はバルタン星人、地底から現れるのはテレスドンなどが垣間見える。
また、エネルギー吸収能力は同じベムラーがモチーフの怪獣ヤナカーギーからか。

あまりソフビ・フィギュア化に恵まれておらず、まともなものはレプティリア形態くらいしかない。
グロいイドロビア形態はともかく、フォルムやディティールが独特で装飾が多く、
CGで作られた巨大な翼がネックなベルゼブア(コローネ含む)形態がないのは仕方ないのかもしれない。
後にCASTから組み立て式のフィギュアが発売されており、かなりの完成度を誇る。











ウルトラマンネクサス」の後半、TLTの隠蔽する機密を得た中で、ネクストとザ・ワンが新宿で闘っているムービーが発見された。
そして、困惑する「ナイトレイダー」の隊員達に説明するために現れたのは、TLT北米本部監査官となった水原沙羅だった。


以下、最後のネタバレ


ザ・ワンの正体はウルトラマンネクサスで怪獣に値するスペースビーストであり、
ネクサス本編に現れたビーストは全て、ネクストの攻撃で散ったザ・ワンの青い粒子の細胞から生まれたビーストであった。
ザ・ワンとは、全ての元になったもの
かつてアメリカに来襲した最初のスペースビースト「ゼロ」の次に現れたもの、という意味合いが含まれている。
(BCSTはアメリカとの共同機関であるため、この時点でTLTが絡んでいたのは間違いない)

特にノスフェル、リザリアスはそれぞれネズミ、トカゲとザ・ワンの取り込んだ生物が色濃く出たビーストであり、
ガルベロスはザ・ワンの中枢が犬と融合して生まれた設定があり、この三体は上級ビースト扱いされている。
(ヤモリやカラスのビーストは確認されていないが、放送短縮で未登場のビーストにカラス型がいたという)

ネクサス世界での5年前、隕石の衝突によって新宿が壊滅的被害に陥った「新宿大災害」とは、先のネクストとザ・ワンの闘いがレーテによって改竄されたものだった。

最強のビーストたるイズマエルは、ガルベロス(中枢)を中心にザ・ワンが元に戻ろうとした姿であり、
背中には見たことのある湾曲した角が生えている(実際にザ・ワンのスーツもパーツに使用されている)。


初期案では、副隊長の西条凪の親を殺したのはザ・ワンであったとされる。
(凪の回想での背中から突起物を生やした有働っぽいシルエットはこの名残。また、有働と沙羅の娘が凪であったとも)

そして最強のウルティノイドダークルシフェルであったと云われる。
  • ルシフェルの背部はザ・ワンのベルゼブア形態と同じ
  • ザ・ワンはネクスト=ノアと同じ存在のような言及
  • 劇中で現れたビーストの中でネクサスと会話するものは皆無
  • 取り込んだり人間体になったりとその性質はむしろウルティノイドに近い
と辻褄は合う。
しかし、ネクサス放送短縮の結果、すべての黒幕はザギさんとなり、
ザ・ワンはザギさんがノアを地球へ呼び寄せると同時に倒させ、スペースビーストを繁殖させてネクサスと闘わせ光を強化するための餌の存在になった。

PS2ゲーム「ウルトラマンネクサス」にもベルゼブア・コローネ形態が隠しキャラで参戦。
圧倒的な攻撃力を誇る。



ウルトラマンF』にも登場。

超次元微小経路――つまり別宇宙への小さい入り口を1g程度の細胞で通過してM78世界へとやって来た。
その際発せられた波動がパターン・ウルトラ……つまりはウルトラマンと同じものだと井手隊員は勘違いしていた。

その後ベルゼブア・コローネ形態へと急成長して、新宿を壊滅させた。

そしてウルトラアーマーを装備し、実地試験のためにやって来た巨人兵と交戦する。

巨人兵はザ・ワンに向かってマッドバズーカを発射、
右側の頭部を破壊し、空中へ逃げようとするザ・ワンにスパーク8で追い打ちして落下させる。
ザ・ワンは翼を無数のカラスに変え四方へと飛び立たせたが、嵐隊員がマルス133で全羽撃墜した。

ザ・ワンはボロボロになっていたが巨人兵もエネルギー切れが近づいていた。そこで科特隊は無重力弾を使用する事を決意。

無重力弾は見事的中、ザ・ワンは最後の悪あがきと言わんばかりに巨人兵に尻尾を巻きつける。
例えザ・ワンの爆発に巻き込まれても巨人兵にはバリヤーがあるから大丈夫だと科特隊は安堵した。
しかしそこで恐ろしい事に気付く。

先ほどザ・ワンは翼をカラスに変えていた……つまり細胞一つ一つが1個の生命体へとなるのでは……?と。

もはやザ・ワンの爆発を止める事は不可能であり、東京中に細胞が散らばる事は避けられない。


しかしそこで井手隊員は一つだけ打開策を見出し、
巨人兵のバリヤーの範囲を拡張した……それも巻き付いていたザ・ワンも包み込むように。
それと同時にザ・ワンは爆発、けれどビースト細胞は全てバリヤーに阻まれ燃え尽きた。


こうして東京はビーストの脅威から守られたのであった。
しかし巨人兵が暴走してしまい――






また項目が、なぜ削除依頼に……

貴様は不完全な形で作成した

俺みたいに完全に、Wikiをコピっちまえばよかったものを!

このバカが!!



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最終更新:2024年02月22日 05:09

*1 融合直後は辛うじて有働二尉の人格が残っていたと思われるが、後述のレプティリア形態時点では既に取り込まれてしまっているため、それまでに有働の人格(魂)は亡くなっていたといえるだろう