ゴミジゲン

登録日:2014/12/28(日) 05:00:00
更新日:2024/02/27 Tue 10:08:48
所要時間:約 3 分で読めます




※推奨BGM:鳥人戦隊ジェットマン


アコをママと慕う次元獣・ゴミジゲン。

それは、アコが捨てたクマのぬいぐるみであった!

そして、アコの必死の願いは
ゴミジゲンに届くのか!?

「やめてプータン!これ以上乱暴しないで!!」*1


鳥人戦隊ジェットマン!


歩くゴミ




はじめまして!僕、ゴミジゲンのプータンです!


鳥人戦隊ジェットマン』第21話に登場した次元獣。
CV:松本梨香


【概要】

トランがいたずら半分に人間界に落としたマリアの次元虫がゴミにとりついて誕生、マリアの配下となる。
段ボールやゴミ袋、古新聞、テレビ、生ゴミなどでできた胴体にクマのぬいぐるみの頭という風貌で、壊れた物を直すことができる心優しい性格の持ち主であったが、ゴミでできているだけに臭いがきつく、またその姿から人間に怪物扱いされて石を投げられてしまう。
トランはそんなゴミジゲンの姿を見て嘲笑し、無様な姿で自分に恥をかかせたことに憤ったマリアは、自らの手でゴミジゲンを始末しようとする。
ゴミを投げつけて応戦するも実力差は歴然としており、偶然通りかかったブルースワロー/早坂アコに助けを求める。

何よ!臭いわね!

貴様…それでも次元獣の端くれか!これ以上恥をかかすな!

直後にレッドホーク/天堂竜達が駆けつけたためマリアは撤退。
その後、大事そうに鈴を見つめるゴミジゲンの姿から、アコは彼がかつて可愛がっていたぬいぐるみのプータンだと気付く。
ゴミジゲンもアコが自分の「ママ」だと気付き追いかけ回すが、

臭いんだから追っかけてこないでくれる!?

嫌い!大っ嫌い!顔も見たくないわ!

などと酷い事を言われてしまう。

露骨に嫌がっていたアコだったが、空腹で倒れてしまったゴミジゲンを見かね、処理場のおじさんに時給800円で紹介。
おじさんはゴミなら何でも食べてしまう能力を気に入り、無邪気なゴミジゲンを迎え入れる。
アコとも談笑する中で業者による不法投棄が行われ、物を大事にしない態度にゴミジゲンの怒りが爆発

ここに捨てるもんじゃない!!みんな持って帰れ!!

ゴミを段ボールごと押し戻し、バンで逃げようとする業者も押さえつけて成敗した。

悪臭が染み付いたままスカイキャンプに戻ったアコは、警戒を続ける竜達に一連の出来事を嬉しそうに報告するなど、すっかりゴミジゲンの事を気に入っていた。

ところがある夜、ゴミジゲンは不法投棄を行っていた業者に寝床をブルドーザーで襲われる。

ハハハハハハ!人間の恐ろしさを思い知ったか!

不法投棄を注意された腹いせであったが、彼らはゴミジゲンが「化け物」という理由だけで笑いながら報復を行っていた。
すぐに処理場のおじさんが現われたことで事なきを得たが、ゴミジゲンもその場から姿を消していた…。
なお、この業者に不法侵入罪と器物損壊罪が適用されるのは間違いない。

やめて…僕は、何も悪い事してないのに…!

人間が憎いか?

姿が違うというだけで差別し、憎しみ、抹殺する…それが人間だ。
人間こそ腐ったゴミなのだ!

命からがら逃げ出したゴミジゲンは人間の心ない仕打ちに怒り、マリアの手で巨大化させられて暴れ出してしまう。

やっとわかったようね、人間の醜さが。

今こそ生まれ変わり、人間共に復讐の刃を叩き付けるのよ!

この時のゴミジゲンは禍々しい顔つきに変わり、目からどんなものでもゴミ同然に(人間は白骨に)変える光線を発射したり、ジェットイカロスをノックアウトしたりと、下手な次元獣よりもよっぽど強い。

アコはおじさんと共にゴミジゲンを説得しようとするがその声は届かず、せめて自分の手で倒そうとジェットイカロスに合流する。

プータンのバカ…!バカ!

戦闘中に逃げ遅れた少女を助けるためにアコは外へ出て、そのまま少女をかばってガレキの下敷きになってしまう。
ゴミジゲンはマリアの命令でトドメを刺そうとするが、少女のぬいぐるみにつけられた鈴や母親に助けを求める声から、アコと過ごした日々を思い出して元の姿に戻る。

少女を逃がしたのを見届けると、ガレキの下からアコを助け出す。
そして襲いかかるマリアからアコをかばい、悲惨な最期を遂げた…

「所詮、出来損ないの次元獣などこの程度か」と嘲る姿に激怒したアコは、一騎打ちの末にマリアを撃退。

戦いの後、夕暮れのゴミ処理場に立てられた十字架に鈴を供えるアコ。
処理場のおじさんからは「あんなに人間らしい奴はいなかったぜ。プータンには、ゴミの方が過ごしやすいのかもしれねぇな」と偲ばれ、仲間達も「プータンもこれで幸せだよ」とアコを慰めたのだった。

しかし、その後も不法投棄は終わる事なく……


バカヤロー!!


繰り返される悲劇に対しアコの悲痛な怒声だけが響くという、非常に後味の悪い終わり方を迎えた。



【解説】

スーパー戦隊シリーズにはしばしば「悪になりきれない怪人」が登場する。
その末路はドライヤージゲン(ジェットマン)やゴーマ3ちゃんズ(ダイレンジャー)、ヤツデンワニ(アバレンジャー)のようにギャグ要員になって生き延びるか、ザシキワラシ(カクレンジャー)や炭火焼きオルグ(ガオレンジャー)のように無理やり戦わされた挙句に悲惨な死に方をするかのどちらかになるのがほとんどだが、ゴミジゲンは後者、それも「生まれたことを誰にも喜ばれない」という、スーパー戦隊屈指の報われない怪人であった。

人間からは怖がられて壊れた物を直しても感謝されることはなかったし、トランからは笑いものにされ、マリアの態度も最初から最後まで冷たいものであり、アコもゴミを食べる能力を目にするまではつれなかったし、そもそも彼が誕生するきっかけはアコがプータンをゴミの回収に出したからであった。
唯一、ゴミジゲンを損得無しに感謝してくれたのはスターファイブ自分のおもちゃを直してあげた男の子だけであり、その時ですら、その子の母親に「黴菌でも移ったらどうするの!!」と拒絶されている。

アコや処理場のおじさんと心を通わせたのはわずかな救いだが、ゴミジゲンに報復した不法投棄の業者はアコが鈴を供えた直後に何事もなかったように処理場にあらわれている。
ラストシーンが業者に向かって「バカヤロー!!」と叫ぶアコで終わっているのもやるせない。


【余談】

第21話のタイトルは「歩くゴミ」という、身も蓋もないタイトルが多い『ジェットマン』の中でもあんまりなもの。
これは夕刊のラテ欄の枠の狭さを考慮したものだと思われる(当時のスーパー戦隊シリーズは夕方放送)が、本編の内容からするとダブルミーニングである可能性も考えられる。一つはゴミジゲン本人、もう一つは…

のちの第35話「鳩がくれた戦う勇気」もアコ主役回であり、そのエピソードで登場したバイオ次元獣である毒ガスネズミが奇しくもゴミジゲンと同様に人間が捨てた廃棄物から生まれた怪人であった。
脚本も今回と同じ荒木憲一氏が担当。

何事もなかったように不法投棄する人間や姿形が違うだけで迫害するその様は、第2話でブラックコンドル/結城凱が自身をジェットマンに誘う竜と小田切綾長官に言った「しかしよぉ、いっその事人間なんざ滅んだ方がいいんじゃねえのか?公害問題に人種差別…確かに人類って愚かなもんだ」という言葉を文字通り体現させた話と言える。

ラストで不法投棄する業者を演じたのは、当時助監督であった渡辺勝也と竹本昇。
竹本監督のツイートによれば、渡辺監督のミスで本来やる予定だったエキストラが帰ってしまったため、仕方なく自分達で演じるハメになったとの事。





追記・修正は、かわいがっていたクマのぬいぐるみをゴミに出す前にお願いします。


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最終更新:2024年02月27日 10:08

*1 以上、本放送の予告。DVDでは「アコをママと慕う次元獣・ゴミジゲン。それは、アコが捨てたクマのぬいぐるみであった!そして、ゴミジゲンは街を破壊する!」。