破面(BLEACH)

登録日:2014/12/20 Sat 20:33:25
更新日:2024/02/05 Mon 02:05:35
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破面(アランカル)」とは、漫画『BLEACH』に登場する種族名の一つ。


●目次


【概要】


一般的に作中で(ホロウ)と呼ばれるものの中で、死神の能力を手に入れようとする集団、あるいは既にその力を手に入れた虚が該当する。
破面となった虚はその仮面が外れ、白い死覇装を纏い、己の真の姿と能力を封じ込めた「斬魄刀」を携えている。
この状態では限りなく人間に近い、いわゆる「成体」と呼ばれる姿になる。
ただし、完全に人間と同様の姿になれるのは最上級大虚(ヴァストローデ)に限られ*1
中級(アジューカス)最下級(ギリアン)や通常の虚に関しては虚だった面影が強く残っていたり、あるいは身体の一部が不完全なままとなったものもいる。
また、破面化後の姿が虚に近ければ近いほど、知能・戦闘能力共に低い傾向にある(ただし、例外が何人かいるため絶対的なものではない)。
崩玉以前*2に破面化していたグランドフィッシャーはアイスリンガーによる治療&破面化手術の際に仮面を外されたが、
このことからアシッドワイヤーのようにただ無理矢理仮面を外しただけでは破面にならないらしい。
「虚の死神化」らしいので、改造や進化によって身体の構造を組み替える必要があるのだろう。
仮面の名残が残っている者も多く、その仮面を無理やり剝がされることは相当な屈辱とされているようで、作中ある十刃が他の十刃への挑発としてその従属官へ行っている。

一応虚だが、虚と違って理由もなく欲望のままに人間の魂魄を襲うことはほとんどなくなり、理性や感情、良心、人間らしい心を持ち併せている。
捕食本能を持っている個体も存在するが、それでも食欲の赴くままに捕食することはほとんど無い。
作中ではヤミーが気まぐれで魂吸(ゴンズイ)という形で空座町の人間を理不尽にも捕食しているが、
これは元々上司である藍染惣右介が空座町をターゲットにしていたために現世に出向いたついでということが大きい。

故に破面になる「過程」は悪霊にしろ、この破面になった段階では実質悪霊ではなくなっており、
作中では黒崎一護達の味方として戦った者達や、仲間意識を強く持った破面達も多く登場している。
それ故に逆に一護達に助けられることもある。

食料も必ずしも人間の魂魄である必要はなく、現世の果物や食用霊蟲などでも事足りるらしい。
その性質から虚というより、虚の力を扱う人間(もしくは死神)に近しい存在になっている。

破面になる過程で心も死神化したのかもしれない。


【用語】


彼らに関する用語は、作中では「スペイン語」から取られている。

◆能力

◇─ 帰刃(レスレクシオン)
破面の刀剣解放。死神の斬魄刀解放と同じように、解号と共に名前を呼ぶ。
解放することによって虚本来の肉体と攻撃能力を呼び覚まし、斬魄刀と一体化する。

解放後の姿は様々で、解放前とさほど変化がないものや、虚そのものに近い姿へと変貌するものもいる。いずれにしても、虚時代の姿に近付くというところは一致している。
その特徴故、帰刃後の姿でその破面がどのタイプの大虚なのかが分かるという説もある(人型ならヴァストローデ、人外ならアジューカスなど*3)、

戦闘不能、あるいは死亡すると本体の意志に関係なく解放前の姿に戻る点は死神と同じ。

浦原喜助によれば、能力の原理の一部は死神の卍解に似る部分があるとのこと(その一つと言えるのは卍解・帰刃の欠損は原則元には戻せない)で、
『千年血戦篇』では滅却師(クインシー)がメダリオンによる能力掠奪を行なっていないことで、卍解を取り戻すための手掛かりになった。
また、彼曰く帰刃すると「破面」の霊圧から「虚」の霊圧に完全に変化するらしい。

解号があることや一段階目の解放であるという設定などから当時は始解にあたる能力だと思われていたが、前述した通り『千年血戦篇』において卍解に相当する能力であることが明かされた。
帰刃が卍解に当たることから、帰刃前から発揮している固有能力(バラガンの触れただけで敵を骨折させる能力など)が始解に当たると思われるが、詳細は不明。


◇─ 刀剣解放(レスレクシオン)第二階層(セグンダ・エターパ)
破面の二段階目の刀剣解放。ウルキオラ・シファーのみ、「刀剣解放(レスレクシオン・)第二階層(セグンダ・エターパ)」という、二段階目の解放を会得している。
第二階層は帰刃をパワーアップさせた能力である。

当時は戦闘の流れや二段階目の解放という設定などから卍解にあたる能力だと読者に思われていたが、
前述の通り『千年血戦篇』において帰刃が卍解に当たる能力であることが判明したため、卍解より上の次元の解放ということになった。
ウルキオラの固有能力ではなく、理屈上は他の破面も鍛錬によってこの解放を会得することができる。


◇─ 探査回路(ペスキス)
霊圧を探る能力。


◇─ 鋼皮(イエロ)
霊圧による強固な防御力を持つ破面の体表。
帰刃前から並の攻撃では傷一つ付けることはできない。


◇─ 響転(ソニード)
高速移動術。死神の「瞬歩」や滅却師の「飛簾脚」に当たる。
原理は不明だが、それらとは異なる移動方法のため、瞬歩用の探知能力では探知できない。


◆藍染関連

藍染は部下にした破面達に数字を与えて管理している。

◇─ 数字持ち(ヌメロス)
十刃、十刃落ち以外の2桁の数字を持つ破面。
大半が中級、最下級大虚だが、崩玉で破面の完成度が高まったことにより限定解除していない状態の隊長格を圧倒する実力を誇る。
中には「従属官(フラシオン)」として抜擢される者もいる。


◇─ 十刃(エスパーダ)
数字持ち(ヌメロス)」の中から選び抜かれた、破面の中でも特に強力な実力を持つ十体の成体破面。
それぞれ1~10までのナンバーが与えられ、身体のどこかに数字の刻印が刻まれる。
「十刃の数字は1から10じゃねえ、0から9だ」
さらにそれぞれが司る「死の形」が存在し、それに由来する固有能力を持っている。
元々は七つの大罪を司り、1~7の番号が割り当てられていたようだが、人数が増えて今の10人になった。

一度十刃になれば永遠にそのままというわけではなく、より強いものが現れたり何らかの理由(体の一部を失うなども含め)で弱体化すると、
十刃落ち(プリバロン・エスパーダ)」となって「3ケタ(トレス・シフラス)の巣」に送られる。
ただし、再び力を付ければ十刃の座に返り咲くことも可能である。


【作中で登場した破面達】


十刃従属官十刃落ちに関しては各々の個別項目を参照。

◆藍染配下

  • ルヌガンガ
CV:武虎

虚圏の白砂の番人。
ギリアン級の巨体を持つ破面で、身体が砂で出来ており、物理攻撃は効かない。
虚宮からの逃亡者や、虚圏への侵入者を排除する役目を持ち、蟻地獄を起こして獲物を閉じ込める。
一護達を襲うが、水が弱点だったために朽木ルキアに氷漬けにされて敗北。
アニメでは大人の都合で2体目が登場し、大人の都合補正でルキアに勝利し、メノスの森編を開始させている。


第3十刃(トレスエスパーダ)
詳細は個別項目を参照。

CV:菅沼久義

作中で唯一の改造破面。
詳細は個別項目を参照。

  • デモウラ・ゾッド
CV:飯島肇
No.18
帰刃:なし

虚宮22号地の番人。顔の上半分に仮面の名残がある大男。
不完全な状態の破面で、知能は低い。力任せの接近戦を得意とする。
近接戦の苦手な石田雨竜を窮地に追い込むが、交代した茶渡泰虎(チャド)に一瞬で敗れた。

  • アイスリンガー・ウェルナール
CV:竹本英史
No.17
技:翼状爪弾(ウニャ・ティロテアル)
帰刃:なし

虚宮22号地の番人。鳥のような仮面をした男。
グランドフィッシャーを治療した張本人で、デモウラ同様不完全な状態。
一応知能は低いらしいのだが、チャドと石田の行動がおかしいことに薄々気付くなど洞察力はそこそこある模様。
人間のことを見下しており、滅却師や飛廉脚のことも知らなかったものの、それ以外で特にそれらしい描写はなかった。
蔓のような腕と指を持ち、その先から最大108発の弾丸を放てる。
遠距離戦との相性が悪いチャドに攻撃の隙を与えず苦戦させるが、交代した石田に一瞬で敗れた。

  • ルドボーン・チェルート
CV:山口太郎
No.61
帰刃:髑髏樹(アルボラ)
解号:()い上がれ「髑髏樹」
能力:無数の髑髏兵士を生み出す

任務に失敗した破面達の粛正者「葬討部隊(エクセキアス)」の隊長。
顔が牛の頭蓋骨のような仮面で完全に覆われており、部下の兵士も顔が髑髏の仮面で完全に覆われている。
慇懃無礼な丁寧語が特徴で、任務には一縷の情も見せず粛々とこなす。
十刃達に対して畏敬の念を抱いている。
実は葬討部隊の兵士達は全て彼の能力によって生み出された存在。
ルドボーンの命令に従って自律行動することができる。
そのため、葬討部隊は実質的には彼一人であるといえる。

ザエルアポロ・グランツの命令で十刃落ちの面々を始末した。
その後はルキアと交戦するが、「髑髏樹」の枝を凍らされ能力を封じられてしまい手詰まりとなる。
トドメを刺されそうになったが、乱入したヤミー・リヤルゴに吹き飛ばされて退場。
そのまま死亡したと思われ、『千年血戦篇』にも姿を見せなかったが、
小説『BLEACH Can't Fear Your Own World』によるとちゃんと生存していたようで、能力を鍛え上げて枝を地面からも生やすようになった。
また、『見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)』との戦闘にも参加していた模様。

  • ロリ・アイヴァーン
CV:武田華
No.33
帰刃:百刺毒娼(エスコロペンドラ)
解号:毒せ「百刺毒娼」
能力:あらゆるものを溶かす猛毒

藍染の側近を自称する(作中の描写から本当に藍染の側近である可能性が高い)、ゴスロリ風の格好をしたツインテール女子。
左眼に仮面の名残がある。
性格は陰湿かつ残忍で、かなりのメンヘラ。
新参の井上織姫に嫉妬して彼女を2度もボコるが、その度に格上の破面にボコり返されることがお約束になっている。
ちなみに織姫の能力を目の当たりにして以来、彼女を化け物扱いしている。
アニメでは少しだけいい人になっており、ヤミーと交戦する理由が織姫を守るためというものに変更された。

虚夜宮ではメノリ諸共ヤミーに殺されかけたが、石田に助けられ、なんだかんだで生き延びていたらしく、『千年血戦篇』で再登場。
殺されかけたところでキルゲ・オピーに抵抗するが、流石に力及ばず2人仲良く一瞬で敗北してしまった。
その後、小説『Can't Fear Your Own World』で生存が判明し、ルドボーンの部下になっている模様。

  • メノリ・マリア
CV:原田ひとみ
No.34
帰刃:不明
解号:不明
能力:不明

ロリの相方で、親友。右眼に仮面の名残がある。恐らく藍染の側近の一人。
相方に比べて幾分冷静だが、さみしがり屋な一面もあり、ロリの行動を黙認することもある。
一度グリムジョー・ジャガージャックに上半身を吹き飛ばされて殺されたが、織姫の能力で復活。
当初は藍染に好意を抱くロリを悲しませる彼女のことを憎み嫌っていたが、これを機会に彼女への襲撃は消極的になる。アニメ版ではさらにロリを説得しようとするなど、より消極的になった。

夜虚宮ではロリ諸共ヤミーに殺されかけたが、何だかんだ生きていたようでロリと共に『千年血戦篇』で再登場し、初めて斬魄刀を見せたが解放する間もなく2人揃って敗北。
その後、小説『Can't Fear Your Own World』でロリと仲良くルドボーンの配下についたことが判明。

詳細は個別項目を参照。


◆『見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)』所属

  • アズギアロ・イーバーン
CV:駒田航
誕生日:6月18日
身長:181cm

  • リューダース・フリーゲン
CV:濱野大輝
誕生日:8月12日
身長:184cm

『千年血戦篇』で登場した破面。虚園(ウェコムンド)から『見えざる帝国』に奴隷として連れて来られた者たち。
斬魄刀は没収されており、滅却師の武器を与えられ、末端兵士として活動している。
アズギアロは一護に戦闘を吹っかけたが、メダリオンによる卍解掠奪が機能せず、万全な状態の一護を相手にしたためあっさり敗走。
リューダースは宣戦布告を行うために尸魂界へ赴いた。
その後、リューダースはユーハバッハへの報告で質問にないことを答えたために処刑され、
アズギアロは可もなく不可もない成果だったことと平和への礎という名目で、ユーハバッハの手で理不尽に処刑された。


◆その他

  • グランドフィッシャー
CV:茶風林
帰刃:不明
解号:不明
能力:不明

一護の母・黒崎真咲を殺した元虚。
虚の頃は頭部の疑似餌に人間の姿を取らせ、疑似餌の部分を見ることができた霊力の高い人間のみを食らっていた。
この疑似餌が見えた一護はグランドフィッシャーに近寄り、本体まで見えていた真咲は一護を守ろうとして命を落とした。
その後、死神代行となった一護との戦闘では戦闘経験の差とその能力をもって追い詰める。
そして今までで一番弱い死神だったと評しながら止めを刺したと思った時に一護に捕まってしまい、手痛い反撃を受けて撤退した。
一護曰く「テメー程度の奴を倒すのには…その(怒りで)鈍った刃で充分だ!」とのこと。
一護との戦いの後で破面もどきとなり、しばし休養。

その後、『破面篇』で再び現世を訪れた際には一護の身体に入ったコンを一護と誤認して襲いかかるが、
死神の力を取り戻した黒崎一心が救援に現れ、斬魄刀を抜くが解放することもなく瞬殺された。

死後、『千年血戦篇』においてユーハバッハの聖別(アウスヴェーレン)で滅却師の力を奪われてさえなければ真咲は一護を庇いながらでも余裕で戦えたことが判明。
どうやら彼女でも万全なら大した敵ではなかったようだ。
まあ破面もどきとはいえ、元はギリアンですらない普通の虚で、しかも破面化しても鈍っている状態の一心が斬魄刀解放せずに瞬殺なのだから、修練を積んだ滅却師にとっても楽勝だろう。

破面化しても殆ど虚と大差ない姿をしていた。
後に虚に近い(人型から遠い)姿をした破面は知能が低いという話も出たが、これはあくまでそういう傾向にあるというだけである。
もっとも、嫌らしい能力を持つ一方で初期から霊圧は相応に高かった一護に舐めてかかり続ける、破面化してからはぬいぐるみではなく一護の体に入っていたとはいえ一護とコンの見分けがつかない
霊圧ではなく斬魄刀の大きさで敵の強さを判断する、それに対し一心が余裕でいることに疑問を感じないなど、元々あまり賢いとも言い難がったが。
とはいえ、虚時代の頃から疑似餌を使用する、一護に「迂闊だと言われなかったか?」と歴戦の戦士らしくアドバイスをする、真咲の姿で逃亡するなど、極端に知能が低いようには思えない。
好意的に解釈すれば、相手の実力が掴めないときは慎重に行動するが、自分が有利だと思うと舐めプに走る傾向があるといったところか。
撃破後に一心は単に不完全な破面もどきだから(虚に近くて)大したことなかったのだろうとも考察していたため、成体になっていた場合はきちんと死神に近い容姿になっていた可能性もある。


【破面の家族関係】


作中では二組の兄弟が登場している。どちらも特殊なケースで、尸魂界のような家族関係は一般的ではない模様。

  • ペッシェ・ガティーシェドンドチャッカ・ビルスタンネル・トゥ
義兄妹。ドンドチャッカとペッシェは一護達には「かわいいのでネルを妹にした」と語っていたが、実際は古くからの関係があった。
詳細はネル・トゥの項目を参照。

本編ではザエルアポロがイールフォルトを兄と言及しただけだが、小説『BLEACH Spirits Are Forever With You』では生前、実の兄弟だったと設定された。
詳細はザエルアポロの項目を参照。




追記・修正は帰刃してからお願いします。

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最終更新:2024年02月05日 02:05

*1 劇中で最上級と明言されているのはスターク、バラガン、ハリベル、ザエルアポロ、ワンダーワイスの5体

*2 浦原の物を入手する以前から藍染自身も作成していたが、そばにい続けたギンですら知らないほど秘匿していた(幼少期に崩玉に魂魄の欠片を与えている場面を目撃しているが、どの道その正体までは分からなかった。)ので表立っては使っていなかったはずである。

*3 ヴァストローデ自体、あくまで人間と同サイズなだけで必ずしも人型とは限らないため、人間サイズならヴァストローデ、巨人サイズならアジューカスという説もある。