疾風迅雷(FE)

登録日:2014/12/16(火)19:22:00
更新日:2023/12/05 Tue 21:00:39
所要時間:約 11 分で読めます




疾風迅雷とは、ファイアーエムブレムシリーズに登場するスキルの一つである。
初登場は『覚醒』。


●概要

●覚醒

ダークペガサス( ペガサスナイトの上級職の一つで、槍に加えて魔法も使える)がレベル15になると修得する。
その効果は「自分から攻撃して敵を倒すと、1ターンに1度だけ再行動できる」というもの。
過去作の騎馬兵の再行動等とは違い、そのまま2回目の攻撃を行う事も可能となっている。

素早い進軍や先制攻撃が重要なこのゲームにおいて非常に強力な効果であり、
疾風迅雷の有無が前衛アタッカーとしての明暗を分けると言っても過言ではない。
他のスキルが微妙でも、疾風迅雷のためだけに育成することも十分あり得る。

なお、初期クラスがペガサスナイト系ではないユニットでも、
ペガサスナイトの資質があればチェンジプルフによる転職で疾風迅雷を習得できる。
以下は、このスキルを使用できる自軍ユニットの一覧である。

男性キャラ


女性キャラ


……そう、シリーズをプレイしてきた方ならご存知であろうが、FEにおけるペガサスナイトは女性のみである。
男性ユニットはペガサスナイトの上級職であるダークペガサスにはなれないため、当然「疾風迅雷」も習得できない。
使用できるケースは「母親からスキルを継承できる息子」か、「特別なスキルを習得した状態で配信されるユニット」のみ。
親世代最強と言われるルフレであっても、男性ならば疾風迅雷は習得できないのでその辺の女性キャラに後れを取りがち。

●疾風迅雷の重要性

基本的に高難易度ほど重要性が増す。ルナティックまでは相手をよく見ればなくてもどうにかなるが、ルナティック+ではないと話にならないレベル
というのも、敵が強力な錬成武器を装備しているほか、
今作最高難易度のルナティック+では相手の防御力を確実に半減する「月光+」と絶対にこちらに攻撃が当たるようになる「絶対命中」による絶対命中+絶対発動効果のある月光による致命傷確定コンボ
自分が受けたのと同じダメージを跳ね返す「カウンター」といったチートスキルそこらへんに出現するあらゆるユニットが備えている可能性があり、
いくら自軍ユニットが強く育っていても、待ちの戦法では大ダメージを受けかねない場面が多いのである。
そのため、こちらから間接攻撃やデュアルアタック等を活かして波状攻撃を掛け、「殺られる前に殺る」積極進軍が重要となってくる。
そうした状況下で2回まで先制攻撃を仕掛けられる疾風迅雷は、自軍フェイズで1体でも多くの敵を処理し、有利な状況を作る要である。

火力が上がると一度の戦闘で敵を倒しやすくなるため、自軍ユニットが育てば育つほど有効活用できる。
自分から攻撃して敵を倒した時に最大HPの50%回復するスキル「生命吸収」と併用すれば、HP1桁から1ターンで全快することも可能。
難易度ルナティック以上や有料DLC「最も強き者の名」等に挑戦すれば、このスキルの有無でどれほどの差が出てくるかが分かるだろう。

●男性ユニットは使いづらい?

一応、男性ユニットにも女性ユニットにはない有用なスキルは存在する。
蛮族の資質があるユニットなら命中が5低下する代わりに必殺が10上昇する「一発屋」、HPが半分以下になると必殺が20上昇する「怒り」、
斧を装備した時に攻撃力が5上昇する「斧の達人」といったスキルを習得できる。
また、有料DLCで魔戦士に転職することで「魔防+10」と、自分から攻撃した時に攻撃力が10上昇する「居合一閃」を習得できる。
特に「斧の達人」や「居合一閃」は敵のパラメータやスキルが強力になるほど存在感が増し、高難易度でも重宝する強力なスキルである。
総じて、男性専用スキルはアタッカーとしての能力を強化するものが多いと言える
(ただ、戦士・ウォーリアーのスキルは耐久力が大して上がらない「HP+5」や、必殺が5しか上昇しない「熱い心」と貧弱なものが多く、
 敵に回すと厄介な「カウンター」も自軍で使うとリスクとリターンが釣り合わない*1上に「最も強き者の名」の敵には無効化されるため、
 中盤以降はルフレの娘に「力の叫び」を継承させる時ぐらいしか有り難みがない。しかも男性は同じくペガサス素養が必要な「速さの叫び」や完全な女性専用で強力なDLC専用スキルの「愛の叫び」が使えないので叫び要員としても女性に劣りがち)。

もっとも、男性専用スキルに頼らずとも、アタッカーとしての能力を強化する手段は数多く存在する。
女性専用の「槍の達人」や、一定確率で相手の防御を半減する「月光」といった他のスキルで代用したり、武器を錬成するほか、
仲間からの支援効果やデュアルアタック、パラメータを強化する「○○の叫び」等のスキルでサポートして貰う手もある。
また、汎用武器を使うぐらいなら「武器節約」で錬成武器を無限に使った方が余程火力が高くなる。
何より同じ有料DLC前提ならより凶悪な「限界突破」「全能力+2」も使えてしまうのだ。
火力では男性ユニットが上と言っても、女性ユニットでも火力不足で困るようなことはほぼないのである。

男性ユニットは踊り子であるオリヴィエの「特別な踊り」がなければ行動回数を増やせないのに対し、
行動回数に勝る女性ユニットたちはこれらの要素を利用することで、男性ユニットとの火力の差さえ容易に埋めることができるのだ。
それぞれの総合的なメリット・デメリットを考慮しても、やはり男女の格差は大きいと言える。

しかし、先に例外として挙げた疾風迅雷を使用できる男性ユニットに関して言えば、
男性専用スキルと疾風迅雷を併用できることから、自軍全体から見ても優秀な部類に入る。
特に自軍フェイズで攻撃力が10上昇する「居合一閃」は、疾風迅雷と非常に相性が良い。
つまるところ、一番強いのは女性ユニットではなく両方が使える「疾風迅雷」を遺伝した息子キャラ、
もしくは「疾風迅雷」を持つ一部の男性の魔符ではあったりする。

できるだけ子世代を強くしたい場合、基本的に息子達は母親から継承するスキルは「疾風迅雷」一択で良いだろう。
「疾風迅雷」を継承できないジェロームとロランはダブル状態、特に後衛として役立つ「デュアルサポート+」安定。
娘達が「斧の達人」「怒り」「一発屋」「力の叫び」等役割によって選択の幅が広いのとは対照的である。
無論、稼ぎプレイ縛りや早解きが目的なら習得が早い割に強力な「深窓の令嬢」や叫び系スキルも選択肢に入るが。

ちなみにシャンブレーは女性専用スキルを一切継承できない上、母親のドラゴンナイトの資質が蛮族になるという落とし穴がある。
父親にドラゴンナイト資質のあるユニットを選ばない場合、ビーストキラー対策の「槍殺し」か汎用性に優れる「ホットスタート」等のうち、必要なスキルは継承しておきたい。

●疾風迅雷のないユニットはどう使う?

では、疾風迅雷が使えないユニットは弱小ユニットでしかないのか?
一概にそうとは言い切れない。

このゲームはデュアルシステムの存在から「前衛」と「後衛」と言う概念がある。
疾風迅雷が使えないユニットは後衛として他のキャラのサポートに回ることで立派に役に立てるのだ。
支援効果の発生する組み合わせであったり、「デュアル○○+」等のスキルがあれば、より強力である。
元々の火力が高ければデュアルアタックの効果も増すことができ、男性専用スキルとの相性も良い。
嫁や彼女のお尻にくっついて戦うことになるので、絵的にどうなのかという話もあるが。

ジェロームは設定上、単騎無双を基本スタイルとする子世代のエースなのだが、
ゲーム上は「疾風迅雷」を覚えず、このように後衛としてサポートに回ることが多いので良くネタにされる。
実際、「デュアルサポート+」の存在や母親譲りの攻撃と守備の高さから後衛に向いている。

ダークマージの資質があるユニットなら、ソーサラーとなりリザイアかインバースの暗闇を装備し地雷戦法を取れば前衛としても使える。
上記の通り火力インフレにより壁や地雷といった戦法は取りづらい環境だが、与えたダメージの半分だけ回復する効果による延命が可能。
子世代のロラン等はこの戦法との相性が良いと言える。

というか親世代の時点でも育てたサーリャやヘンリー(疾風迅雷が取れない)の後ろにルフレ男(「方陣」要員)を装備して投げ込めば驚異的なレベルの必殺率で次々にリザイアの餌食にしてくれる。
無限育成が大前提のようになっているため疾風迅雷が大正義のように扱われているが、強い戦術は他にもあるのである。

ダークマージの資質がない場合は上述の「生命吸収」のほか、一定確率でリザイアと同じ効果を得る「太陽」、
自軍フェイズ毎に最大HPの30%だけ回復する「回復」といったスキルを使うことで自力での回復が可能となる。
「生命吸収」との相性では「疾風迅雷」持ちには見劣りし、高難易度では無双や地雷に使えるほどの安定性はないが、
回復効果が一切得られない状態よりも確実に生存率は上昇する。

それらに加えて「大盾」「聖盾」「疾駆」「集中」「回避+10」「後の先」「ホットスタート」「ラッキー7」等の生存力や回避率に直結するようなスキルを本人に出来る範囲で取り付ければルナティックまでならある程度実用可能な地雷要員を作ることは十分可能。
この時、後衛も「デュアルガード+」「デュアルサポート+」「深窓の令嬢」「赤の呪い」「方陣」等のサポート特化スキル構成にするとなおよし。
後衛でも問題なく発動するスキルがあり、残念ながら複数キャラで重複こそしないが十分な効果を得られる。

それ以外でも、状況に応じて疾風迅雷ができるパートナーと前衛と後衛を交代したり、
敵が多い場所で行動終了してしまった場合はレスキューで救出する等、手数を補う手段は存在する。

素直に後衛に徹する場合、親世代男性キャラは「デュアルサポート+」など当然使えないので後衛としての質でもジェローム等に劣るが、「デュアルアタック+」や「デュアルガード+」があるだけでも嫁の助けにはなる。
アタック+はロードクロム専用、ガード+はグレートナイトになれるフレデリクソールカラムが習得できる。
なおリズやマリアベルは奥義を習得できない一方、一人で疾風迅雷とデュアルサポート+を両立できるので親世代夫婦の弱みである支援補正の貧弱さを補える。

●総評

非常に有用なスキルではあるが、全員が「疾風迅雷」を習得をするにはある程度ストーリーを止めて遭遇戦で戦う必要があり、そこまでせずともノーマルやハードでは(男キャラ縛りでさえ)全く問題なくクリア可能。
ルナティック以上では自由な育成には有料DLCが必要だし何よりモードのテーマに反する。
男女格差を気にするべきはごく一部の高難度DLCのマップに限った話であって、そこまで気にすることでもないのでネタに走った誇張表現に惑わされないようにしましょう


if

次作の『ファイアーエムブレムif』においては、通常のプレイでは疾風迅雷を習得できなくなっており、
「白夜」「暗夜」の2ルートを購入すると貰える特典アイテム「黒天馬の翼」でダークファルコン(『覚醒』のダークペガサスに相当)に転職できる。
ダークファルコンはレベル上限40の特殊なクラスとなっており、レベル35で疾風迅雷を修得する。
なお、『if』では男性ユニットも天馬武者系(『覚醒』のペガサスナイト系に相当)やダークファルコンに転職でき、『覚醒』より扱いが良くなっている。

とは言え、流石に『覚醒』での暴れっぷりが問題になったのか、
『if』では「攻陣」「防陣」(『覚醒』の「デュアル」の仕様を一部変更したようなシステム)を使用している時は発動せず、
「一人で攻撃して敵を倒した時のみ再度行動可能」と言う風に弱体化された。
それでもなお一定の有用性があり、FEにおける再行動がいかに強力な能力であるかが分かる。

また『覚醒』ほどソーサラーや魔法が万能ではないため、疾風迅雷以外に飛行能力や武器の使い分けといったクラス自体の性能も評価されるようになった。

ダークファルコンとステータスが噛み合うキャラとしてはピエリレオン等が存在し、特に前者は個人スキルと疾風迅雷の相性も良い。

  • 写し見人形
同じく1ターンに行動できる回数を増やせるスキル。
薬商人、忍の上級職である絡繰士をレベル15以上にすると習得する。
「写し身」コマンドを使用するとHPを共有し、個人スキル以外のステータスや持ち物をコピーした分身を生み出せる。出撃人数制限を無視して、動かせる自軍ユニットを1人増やせるという常識を打ち破るバランスブレイカー。
再行動能力こそないものの行動回数を増やせることがいかに強力な能力であるかがわかる。

ヒーローズ

FEHにも登場。
デフォルトでは、リン、ティアモ、総選挙ロイ総選挙セリカ、シャンブレーが習得する。
遠距離ユニットおよび竜以外にのみ継承可能(要は、剣、槍、斧、獣が習得できる)。

ただしコンシューマーFEとは仕様が違いすぎて、ただ単に装備させれば強いというものではない。
その最大の理由としては、本作で『奥義』として扱われているためである。
「月光」や「流星」などお馴染みのものから、「月虹」、「凶星」などオリジナルもある本作の奥義は、
攻撃を与えるか受けるしてカウントを0にする必要がある。
しかも「疾風迅雷」の必要カウントは最大の5。素の状態では3ターンに1回程度しか発動できない。

また、本作のスキルは「A」「B」「C」「補助」「奥義」に分かれ、それぞれ1つしか装備できない。
すなわち、疾風迅雷を使うには他の奥義を捨てることになる。

初期の時点では非常に使いづらい……というか半ば産廃に片足を突っ込んだレベルの評価だったが、
総選挙ロイの登場を皮切りに改善が始まる。
彼の持つ烈剣デュランダルは、「攻撃が相手より高ければ奥義カウントが多く減る」効果があり、
これが有効な状況下では「自分の攻撃→反撃→追撃」だけでカウントが5進むため、かなりの頻度で再行動できる。
その後、烈剣デュランダルと同効果の「剛剣」聖印の登場などカウント加速効果が普及したり、
迅速な進軍が求められる広範囲マップ制圧戦の登場により評価が急上昇。
また、限られた手数での総ダメージを競う巨影討滅戦では、キャンセル付与の杖と並んで必須級のスキルになっている。

総じて現在では、相性が良いユニットは限られるものの強力なスキルである。
とはいえ他の奥義を入れるのももちろん可能だし、あくまで選択肢のひとつという認識でよい。

そして現在は神階英雄のネルトゥスが「奥義カウントが多いほど強くなる」という専用武器を持っており、
更に専用Bスキルのグラビティ効果でヒット&アウェイも容易、おまけにただでさえ高い速さを専用武器とA・Cスキルで強化しており、
戦渦の連戦や想いを集めてなどで何故か出禁にされておらず、史上最悪のストッパーとして悪名高いルキノすらもワンパン可能。
ちなみに、そのルキノが発動できうる数少ない奥義の一つでもある。

先に述べたように遠距離ユニットは装備できないスキルだが、
伝承英雄リーフおよび比翼リーフは専用スキル「ノヴァの聖騎士」としてカウント3の疾風迅雷を専用スキルとして持っている。
再行動時にグラビティがかかるデメリットこそあるものの、1人だけ覚醒時代の疾風迅雷が使えるかのような殲滅力・機動力を発揮する。


無双

『ファイアーエムブレム無双』にも登場。
固有スキルだが最初に習得できるのはティアモではなく最終DLCで追加されたオリヴィエ。
まあ彼女もペガサスナイトになれたことがあるし、ティアモの方も転職先の太陽だし問題ないか。
また絆レベルAにした数に応じて仲間にスキルを獲得させられるという仕様上、男性でも問題なく習得できる。よかったよかった。

気になる性能は「強敵を倒すと無双ゲージと覚醒ゲージが少し増加する」。覚醒中でも有効。
つまり、無敵状態の必殺ワザである無双奥義を連発しやすくなるし、ドロップ運か三すくみ有利の相手を殴らない限り使えるようにならない覚醒も使いやすくなると、強すぎるわけではないがかゆいところに手が届く良スキルに。
特に弓・魔法持ちは覚醒ゲージを溜める手段をデフォルトで持っていないため重要度が高い。

が、それ以上にチキとの相性が抜群。
なぜかと言えば、このキャラは強1で無双ゲージを覚醒ゲージに変換し、覚醒することで竜になり暴れまわるというこどもリンク枠覚醒特化の性能だからだ。
強敵を倒せば覚醒の残り時間が回復し、強1で覚醒ゲージに変換できる無双ゲージも貯まる…と覚醒の維持時間がこれだけでもガッツリ上がる。

オリヴィエは最後に追加されたキャラのため絆上げが大変かもしれないが、
ここまで来たプレイヤーなら絆上げの手立ては十分に見つけているだろう。


●余談

ファイアーエムブレム 風花雪月』では廃止。DLCでダークペガサスが追加されたが一緒に追加されたりはしなかった。

…が、ただ一人のみほぼ上位互換の戦技が使える。
詳しくは該当キャラの項目参照。




追記・修正は尻に敷かれてもめげない人にお願いします。

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最終更新:2023年12月05日 21:00

*1 頭数の少ないプレイヤーは数で突っ込んでいく自爆テロ運用ができない+攻撃を受けないといけないうえに、わざと被ダメージを大きくするためにHPだけ伸ばして守備魔防速さを下げる特殊な育成が必要+どれだけ工夫してもダブルを使うとデュアルガードの効果で不発することがあると癖が強すぎる