ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

登録日:2014/12/14 (日) 22:30:34
更新日:2024/02/21 Wed 06:27:19
所要時間:約 14 分で読めます




THE LORD OF THE RINGS

THE RETURN OF THE KING









『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』はアメリカのファンタジー・アクション映画。
J・R・R・トールキンの大長編小説『指輪物語』の第三部『王の帰還』の映画化である。


概要


北米公開日は2003年12月17日、日本公開日は2004年2月7日。
上映時間は203分(3時間半弱)。未公開シーンを加えたスペシャル・エクステンデッド・エディションは250分と、なんと4時間以上もある。
監督は前二作と同じくピーター・ジャクソン。
今作は、三部作の完結編として、前二作の伏線をまとめながら、壮大なクライマックスへと進んでいく。
前作同様合戦シーンを盛り込みながらも、ストーリーも十分に見ごたえのある脚本となっている。

その合戦シーンだが、前作が範囲が限られた籠城戦だったのに対し、今回は大平野が舞台となっており、
広大な平野を埋め尽くす兵士やクリーチャー達が七転八倒の大戦闘を繰り広げる様はまさに映画史に残る出来である。
戦闘シーン以外のキャラクター描写も、役者の演技と三部作の集大成ともいうべき濃密な描写によって、極めて高い評価を得た。


評価は三部作の中でも最高の声が高く、特に評価すべきは第76回アカデミー賞を作品賞を含めた11部門ノミネート、および受賞するという高い成績を叩きだした。
これは、「大衆向けのファンタジー映画は賞を取れない」というジンクスを覆す結果であり、獲得賞数は『ベン・ハー』、『タイタニック』に並ぶ史上最大記録である。

今作をもって、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作は映画史にその名を残す有終の美を飾り、『指輪物語』完全実写化は大成功のうちに幕を閉じたといえよう。



物語

滅びの山へと、一つの指輪を捨てに行くフロドとサムの旅は続いていた。
だが、山に近づくにつれて増していくサウロンの存在感により指輪の力はますます強くなり、険しい山肌の道と相まって、徐々に、そして確実に、フロドの心は闇に蝕まれつつあった。
そんな極限状態の彼らに付け入るかのように、道案内役のゴラムは、「いとしいしと」=指輪を奪うための策略を巡らせていく。
フロドに取り入って信頼を得た彼は、サムの悪口を吹き込み仲違いをさせ、遂に怒りが爆発したフロドに、サムを追い出させることに成功する。
そして、ゴラムによって大蜘蛛の巣へと導かれたフロドは、生死を彷徨う危機に陥る。
そこへ、彼を助けにサムが舞い戻るのだった。

一方、闇の軍勢からローハンを守ったアラゴルン一行は、エント達と協力しアイゼンガルドを壊滅させたメリー&ピピンと合流。
勝利の宴を上げる彼らだが、そこでピピンがサルマンのパランディアを通して、サウロンの目的がゴンドールのミナス・ティリス侵攻だと知ってしまう。
ガンダルフはピピンと共にゴンドールへと向かうが、執政デネソールはアラゴルンの存在を恐れ、ローハンからの援助を拒絶し、やむなく独断で援軍要請をせざるをえなくなる。
戦いの準備をするローハンに、裂け谷のエルフ・エルロンドが現れ、アラゴルンにアルウェンから頼まれ鍛え直された王の剣「アンドゥリル」を託す。
そしてアラゴルンは、自らに課せられた王としての使命を全うするため、先代イシルドゥアに忠誠を誓った騎士達の霊の眠る「使者の道」へと向かうのだった。

ついにミナス・ティリスへのオーク軍侵攻が始まった。
疲弊しきったままで防衛に出るゴンドール軍。ローハン軍も、大騎馬隊を率いてペレンノール野へと集結する。
その中には、城で留守を命じられていたメリーとエオウィンの姿もあった。
そんな中でも、デネソールは深く心を閉ざし聞き入れず、それを見たファラミアは嘆き、ガンダルフは閉口するのだった。
そして始まる死闘。激しい戦いの中、多くの命が散らされる中で、人々は戦場に舞い戻った「王」の再来を見る。

やがて、中つ国を舞台とした光と闇の軍勢の戦いは終着点へとたどり着く。フロドとサムの死地への旅も、滅びの火口を前にして終わりを迎えようとしていた。

すべての旅が終わり、新たな物語が記される―――。




登場人物


≪モルドール道中≫
フロド・バギンズ
演:イライジャ・ウッド/吹き替え:浪川大輔
主人公、もとい真のヒロイン
本作では極限状態の旅を続けた結果見事にやつれ果て、最早人間不信の域にまで達してしまう。第一部の彼と比べれば一目瞭然である。
悪い奴に騙された挙句毒蜘蛛に刺されオークに半裸に剥かれて拉致されるという二度にわたる生死の危機を迎えるも、
彼の一番の親友に救われ、文字通りのパートナーとなって滅びの山へと向かう。
そして遂に滅びの火口を前にするが、その瞬間、彼の心は瓦解してしまい…。

◆サムワイズ“サム”・ギャムジー
演:ショーン・アスティン/吹き替え:谷田真吾
本作最大の漢にして、ある意味真の主人公。
どんなに主人から疑われ、罵られても最後までフロドを助け、文字通り支え(というより担いで)、彼の旅に付き合った。
本作が腐…もといお姉様方に人気になった最大の要因でもある。
さらに一時的に指輪の所有者にもなった(しかも指にはめた)*1

◆ゴラム/スメアゴル
演:アンディ・サーキス/吹き替え:長島雄一(現・チョー)
フロドの信頼を得、モルドールへの道案内をするが、心の奥底では指輪を奪う機会を虎視眈々と伺っていた。
今作では、指輪を手に入れるため友人と殺し合いの末奪い取ったという過去も明かされる。
フロドとサムの仲を裂いて、洞窟の中の毒蜘蛛の巣に彼を誘導し指輪を奪おうとするが失敗し、彼の前から姿を消すが…。


≪死者の道≫
◆アラゴルン
演:ヴィゴ・モーテンセン/吹き替え:大塚芳忠
ゴンドール王の血を引く剣士。
自身の王としての使命に悩んでいたところ、娘の意思と助言を伝えに来た養父エルロンドに励まされ、自らの使命を自覚し、
イシルドゥアの意志を継ぐ者としてかつての同盟の霊に命令を下す。
幽霊騎士達を率いて、果敢に闇へと挑むその姿はまさに人類の王の再来であった。

◆レゴラス
演:オーランド・ブルーム/吹き替え:平川大輔
高貴なエルフ王子。
本作では弓矢戦闘がさらにパワーアップ。もう全部あいつだけでいいんじゃないかな…
SEE版では酒豪であることも判明。ギムリとはすっかり名コンビであった。

◆ギムリ
演:ジョン・リス=デイヴィス/吹き替え:内海賢二
下品だけど一周回って可愛いドワーフの戦士。
最初はいがみ合っていたレゴラスとも、絶望的な戦いでも肩を並べるほどの絆で結ばれた。

◆死者の軍勢
かつてゴンドール王イシルドゥアに忠誠を誓ったものの、その使命を果たせず亡霊となってこの世に留まり続けていた騎士の軍勢。
危険を顧みず死者の道を通ってきたイシルドゥアの末裔・アラゴルンに懇願され、彼に再びの忠誠を誓い、心強い味方となる。
原作と異なり、映画ではミナス・ティリスまで同行しチート召喚獣と化す。


≪ローハン≫
◆セオデン
演:バーナード・ヒル/吹き替え:佐々木勝彦
誇り高き騎馬の国の王。
世界の命運をかけ、かつての同盟国ゴンドールへと全軍を率いて援護に向かう。
姪エオウィンの身を案じ、国に残って民の支えとなるよう願うが…。

◆エオメル
演:カール・アーバン/吹き替え:山寺宏一
前作で命を落とした王子セオドレドに代わり、王の後継者となる。ローハンの騎士団長として、叔父と国のため、その命を懸ける。
数十万の大軍にも怯まない気迫で、巨大な獣ムマキルにさえも臆することなく果敢に挑んでいく。

◆エオウィン
演:ミランダ・オットー/吹き替え:本田貴子
姫でありながらも、心にくすぶる炎を抑えきれず、伯父と兄に戦いたいと懇願するも拒否され、メリーと共にこっそり戦場に出る。
そして、幽鬼に襲われる伯父の窮地に推参し、「女」としての戦いを見せつけた。
アラゴルンを密かに想っていたが、死を覚悟して使命を果たそうとする彼の想いに負け、彼を諦める。
SEE版では最後にファラミアと恋仲になる。

◆メリアドク“メリー”・ブランディバック
演:ドミニク・モナハン/吹き替え:村治学
ローハンで戦士達の様子を見るうちに、セオデン王に忠誠を誓い、自分も戦いに出ることを望むが、自身の体格を理由に拒否される。
だが、エオウィンと利害が一致し彼女の馬と共にこっそりと戦士の中に紛れ込み、合戦に参加。
戦場にてエオウィンとの連係プレーを見せた。

◆ギャムリング
演:ブルース・ホプキンス/吹き替え:立木文彦
セオデンの近衛隊員。 何気に出番が増えた。


≪ゴンドール≫
◆デネソール
演:ジョン・ノブル/吹き替え:勝部演之
ゴンドール執政官。
聡明な名君であったが日に日に追い詰められていくゴンドールの将来を悲観し、頑なに心を閉ざしてしまった。
さらに最愛の息子・ボロミアの死を伝えられ絶望し、次男のファラミアの言葉すら耳に入らなくなり、自暴自棄に陥ってしまう。
ゴンドールの品位に固執し、それを脅かす者はサウロンだろうと王の血を引くアラゴルンだろうと許さないほど性根が歪んでしまった。

◆ファラミア
演:デヴィッド・ウェンハム/吹き替え:宮本充
デネソールの次男。
ゴンドール領のオスギリアスの防衛にあたっていたが、力を増したオーク&幽鬼軍に押され撤退するも、
そのことで父からは労いの言葉もかけられず、兄と悉く比べ、蔑まれる現実に失意を感じてしまう。
それでもミナス・ティリスを死守しようとするが、重傷を負ってしまい…。

◆ガンダルフ
演:イアン・マッケラン/吹き替え:有川博
ミナス・ティリスの危機を伝えるためゴンドールへ向かった白馬乗りの魔法使い。
助言を聞き入れようとせず現実を見ないデネソールに怒りを覚え、自ら応援を要請するために奮闘。
ミナス・ティリス戦では魔法…というより杖による白兵戦で敵を圧倒していた。
ラスト、フロド達と再会するために使った手段で観客から突っ込まれることになるが、それはあくまで制限がされていたからなので気にしてはいけない。

◆ペレグリン“ピピン”・トゥック
演:ビリー・ボイド/吹き替え:飯泉征貴
サルマンの持つパランディアを通して、サウロンの目的を覗いてしまい、避難の意味も込めてガンダルフと共にゴンドールへと向かう。
そこで持ち前の天真爛漫さを見初められデネソールに奉公することになるが、日に日に狂気に蝕まれるデネソールの身を案じ、彼の心を氷解させようとするが、
同時に悲惨な末路を目撃することになる。
演じたビリー・ボイドが歌手であることから作中では美しい歌声も披露する。


≪エルフ≫
◆エルロンド
演:ヒューゴ・ウィーヴィング/吹き替え:菅生隆之
裂け谷の領主。
迫り来る闇の脅威から逃れるため、一族を連れて裂け谷から不死の国へと旅立とうとしたが、
未来を見たという娘の説得を受け、アラゴルンのためにイシルドゥアの剣を鍛え、彼に剣と共に娘の未来を託し、助言する。

◆アルウェン
演:リヴ・タイラー/吹き替え:坪井木の実
父に連れられ裂け谷を離れようとしたところ、自分とアラゴルンの子供達の未来を垣間見て希望を抱き、裂け谷に残ることを提案。
さらに、折れた王の剣・ナルシルを鍛え直すことを提案するも、サウロンの魔力に冒され、徐々に衰弱していってしまう。

◆ガラドリエル
演:ケイト・ブランシェット/吹き替え:塩田朋子
今回はストーリーの主軸には関わらないが、戦争終結後、力を使い果たしたため西方の不死の国へと旅立つ決心をする。

◆ケレボルン
演:マーソン・トーカス/吹き替え:家中宏
妻ガラドリエルと共に、西方へと同行する。


≪ホビット≫
◆ビルボ・バギンズ
演:イアン・ホルム/吹き替え:山野史人
指輪を手放して以来、心身ともに衰弱し、かつての快活な姿は見る影もなく年老いてしまった。
そして、自らの限界を悟り、最後の旅を決意するが、その表情は、あらゆる枷から解放された穏やかなものだった。


≪闇の軍勢≫
◆冥王サウロン
指輪が近づいたことに歓喜し、さらに力をつけていく闇の王。
そして人間の王の後継者と再び相まみえることになるが…。

◆サルマン
演:クリストファー・リー/吹き替え:家弓家正
SEE版でのみ登場。
アイゼンガルドでガンダルフ達に追い詰められ、実に呆気ない最期を迎えた。

◆蝶の舌/グリマ
演:ブラッド・ドゥーリフ/吹き替え:金尾哲夫
追い詰められ、サルマンを裏切ろうとしたがついでのようにあっさり死亡する。

◆指輪の幽鬼(ナズグル)
指輪の持ち主を探し続けるかつての人間の九人の王。
サウロンの軍勢の最大戦力として、戦争でも桁外れの実力を持つ。

◆アングマールの魔王
ナズグルのリーダー格で、かつて人間の王国1つを滅ぼしたこともある、とりわけ強力な存在。
敵対したエルフにより、「人間の男には殺せない」という予言を受けている。
やけに不自然な予言に聞こえるが、実はかなり苦し紛れの翻訳の結果であり、原義に近づけると「人間(man)には殺せない」となる。
セオデン王を窮地に追いやるが、直後現れた貧弱な騎士に…。

◆ゴスモグ
演:ローレンス・マコーレ/吹き替え:宝亀克寿
魔王の副官。顔が醜く変形したオーク。半身不随だが、凶暴なオークやトロルの大軍を束ねる残忍で狡猾な指揮官。

◆シェロブ
ミナス・モルグルからモルドールへ続く途中の峠に巣食っている巨大な雌の毒蜘蛛。
洞窟の中に無数の糸を張り巡らさせ、通行人を捕えては血を吸い尽くす。




用語集

◆パランティア
いわゆる千里眼の道具であり、魔法使いが使う遠くのものを見るための石。

◆ナルシル/アンドゥリル
サウロンを撃ち滅ぼしたゴンドールの王・イシルドゥア(アラゴルンの先祖)が愛用した名剣。
サウロンとの戦いで折れてしまい、以後裂け谷に保管されていたが、アルウェンの提言で再び鍛え直され、新しい剣「アンドゥリル」として生まれ変わる。

◆ミナス・ティリス
ゴンドールの首都。
断崖絶壁に沿って築かれ、巨大な白い城壁に守られた美しい大都市。

◆オスギリアス
かつてはゴンドールの首都だったが相次ぐ戦乱で荒廃して放棄され、本編時点では川を挟んでモルドールとの睨み合いの最前線。

◆ミナス・モルグル
かつてはゴンドールの都市のひとつだったがモルドールに落とされ、幽鬼により支配されている。

◆黒門
モルドールの入り口にある巨大な正門。
多数のオーク兵が駐屯している。

◆死者の道
死者の霊が出るとされ、恐れられている地下道。
生前、イシルドゥアに忠誠を誓った騎士達の霊が眠っている。











THE END





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最終更新:2024年02月21日 06:27

*1 劇場公開版では全く影響を受けていなかったが、SEE版では指輪の誘惑に飲まれかけるシーンが存在する