ノンマルト

登録日:2014/12/12 Fri 18:53:48
更新日:2023/12/14 Thu 21:19:17
所要時間:約 7 分で読めます





人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど、本当は侵略者なんだ


ノンマルトとは、『ウルトラセブン』の第42話「ノンマルトの使者」及び『平成ウルトラセブン1999最終章六部作』の最終話「わたしは地球人」に登場した種族。


概要

『ウルトラセブン』に登場したノンマルト


別名:海底人
身長:170センチメートル
体重:70キログラム

かつて、人間よりも先に地球で繁栄していた種族だったが、人間に地上から追われて現在は海底で生活している。
その海底にも人間の開発の手が伸びてきたことに怒り、報復を開始した。
蛸怪獣ガイロスを操るほか、人間から奪った原子力潜水艦グローリア号で攻撃を行う。また、手持ちの武器としてレーザー銃を携帯している。

ウルトラセブンの故郷・M78星雲では地球人のことを彼らの自称する種族名と同じく「ノンマルト」と呼称するが、実際に彼らのことを指しているのかは不明。
本当に彼らの言うとおり現代の人類がノンマルトを海底に追いやったのかについても劇中では明かされていない。

ノンマルトは海底開発に対し、まず謎の少年・真市をメッセンジャーにして、ウルトラ警備隊に海底開発を中止するように警告。
しかし、開発が止まらなかった事から海底基地開発センターのシーホース号を爆破し、さらにガイロスを出現させて城南大学の海底探検部の船を襲わせる。
そして、グローリア号で海辺の町を攻撃し始めたがウルトラ警備隊のハイドランジャーによって轟沈され、ガイロスもウルトラセブンに倒された。
ノンマルトの海底都市は宇宙人の侵略基地とされて跡形も無く爆破されてしまった。

ノンマルトの海底都市は完全に粉砕した!

我々の勝利だ!海底も我々人間のものだ!

これで再び、海底開発の邪魔をする者はいないだろう!

デザインの元ネタは「半分に切ったキャベツ」とのこと。


『平成ウルトラセブン』に登場したノンマルト


別名:地球原人
身長:160センチメートル
体重:43キログラム
演:渡辺典子

自らを地球の先住民族であると自称する女性。
セブンに対してノンマルトは地球人類に侵略されたという事実の宇宙への告発、
地球防衛軍に対してノンマルトへの攻撃の実態が記録されているというオメガファイルの公開を求める。
ウルトラ警備隊はオメガファイルの公開を地球防衛軍に求めるも、地球防衛軍はそれを渋り、
業を煮やした女性は怪獣サバンギを出現させて強引に公開させようとする。

実は「ノンマルトの使者」でノンマルトが言っていた過去の地球人類がノンマルトを侵略したというのは事実であり、
だからこそ地球防衛軍はオメガファイルの公開を渋っていたのである。
そのことを地球防衛軍の管理下にある中国のノンマルトの遺跡で知ったセブンは「侵略を行った地球人類に味方することはできない」と考える。
(宇宙において侵略行為は御法度であり、侵略行為を行った者達だけでなく彼らに味方することも大罪とされているため)

しかし、ウルトラ警備隊の活躍によって宇宙に対してオメガファイルを公開されても女性はザバンギを撤退させず、
公開されたという事実をもみ消そうと発信施設を襲わせようとする。
セブンは迷いつつも、地球人類が要求通りのことを行ったにもかかわらず破壊を続けるザバンギから地球人類を守るために変身してサバンギを撃退。
ザバンギを撃退されたことで女性はセブンに「もはやお前の居場所は宇宙にはない」と辛辣な言葉を浴びせ、撤退した。

ちなみにこの女性、ノンマルトを自称する割には「ノンマルトの使者」で登場したノンマルト本来の姿に変身していないだけでなく、
彼らの同胞が、ノンマルトの遺跡でセブンに過去の侵略が事実であることを告げた人物に見せたという数万年前の侵略行為の光景は、
地球人類(と思しき侵略者)が乗る空飛ぶ円盤がノンマルトを攻撃している場面だけで肝心の侵略行為を行う地球人の姿はまったく映されていないこと、
自分がオメガファイルの公開を要求したにもかかわらず、その要求を受けた人類がオメガファイルを公開してもザバンギを撤退させずそのまま破壊活動を続けさせたこと、
そもそも「ノンマルトの使者」で跡形もなく破壊されたノンマルトの海底都市から生還できたなど普通に考えればありえないこと等から非常に胡散臭い所が多く、
ノンマルトの名を騙って過去の侵略行為を暴露することでセブンを地球から撤退させ、
邪魔者を排除した上で地球人類を滅ぼそうとした別の宇宙人である可能性を指摘するファンもいるが*1……真相は脚本家のみぞ知る。

平成セブン最終章6部作のノベライズ『EPISODE:0』では、映像作品と異なり若かりし頃のアンヌの姿でダンと接触する心理作戦を試みるも、
逆に姿だけ模倣したはずのアンヌの精神に徐々に引きずられ、最終的にはノンマルトとしての意思では無く
アンヌとしての「置き去りにされた」女の怨恨でダンに対する憎悪を募らせるようになってしまう。
最終的にはオメガファイル公開後、完全にアンヌ側に傾いた暴走状態でこの世の美しいものを滅ぼすようザバンギに命令し、
主の言葉に忠実に従ったザバンギにその身を焼かれるという、
見ようによってはダン=セブンにとっての「かつての愛と青春との決別」とも受け取れる結末を迎えた。


関連人物・怪獣

◆蛸怪獣ガイロス
身長:30メートル
体重:1万トン

ノンマルトの操るタコ型の怪獣で、海上を通る船を襲う。
背中は海亀の甲羅のようになっており、非常に硬い。全身にフジツボ型の吸盤がついているのが特徴。
一度は倒されたかに見えたが実は死んだふりで再び出現。しかし、今度はセブンに阻まれアイスラッガーで足を切断されて力尽き、海底へ沈んでいった。

当初はノンマルトの正体が不明だったため、ウルトラ警備隊からはガイロスがノンマルトのことだと思われていた。

桑田次郎の漫画版では複数個体が出現。
デザインは怪獣デザインコンクールで入賞した「ガイロス星人」が元になっている。

余談だがタコ型の怪獣には『ウルトラマンタロウ』に登場したタガールとか『ウルトラマン80』でギマイラがその辺にいた蛸を変形させたダロンとかがいる。
タッコング?あれはたこ焼きの怪獣だ。


◆真市
演:町田勝紀

ノンマルトの使者として、アンヌやウルトラ警備隊に海底開発をやめるように警告する謎の少年。
あくまでも海底はノンマルトの物と主張し、警告を続けたが遂に受け入れられることは無かった。
実は2年前にで亡くなっており、その正体は謎のままである。ナレーションでは疑問形で語られているが、
脚本では真市のがノンマルトの使者として現れていたと断定するダンの台詞が存在した。


◆守護神獣サバンギ
身長:59メートル
体重:8万6千トン

ノンマルトを自称する女性の呼び声に応えて出現した、ノンマルトの守護神と言える怪獣。
全身をゴツゴツした鎧のような体皮で覆った正統派怪獣で、ラスボスにふさわしい強豪。
守護神だけあって非常に強く、オメガファイルを宇宙に向けて発信していた電波研究所に進撃するサバンギを止めようとした
ミクラスウインダムを2対1にもかかわらず逆にボコボコに圧倒して撤退させた。
しかし意を決して変身したセブンにより、アイスラッガーの一撃で喉元を斬り裂かれ、倒された。


『ノンマルトの使者』

本作は『ウルトラセブン』最大の問題作として知られる。
脚本の金城哲夫氏が沖縄出身であることから、本土の人間と沖縄の関係を元にしているとの見解をよく持たれるが
金城氏本人は特にそういった事に言及しておらず、当時の関係者も否定しているという。
尤も、後年のシリーズにおける扱い(特に平成セブン)を考えると、
少なくとも金城氏の意図とは裏腹に「本エピソードの作風=『セブン』の本質」みたいな受け取られ方をされてしまった側面は否定できない。

ノンマルトの名前の由来は戦いの神「マルス」に否定の「ノン」で「戦わない者」という意味。
ノルマントン号事件がモデルだと思っていた人も多いのでは?
実際はレーザー銃やグローリア号で攻撃してきたり、ガイロスを暴れさせたりと平和種族とは言い難い面が目立つが、
海底開発が行われるまで長きに渡って海底でひっそりと暮らしていたことを考えると、
自分たちの故郷に人間たちの手が伸びない限りは戦うつもりはなかったのかもしれない(もちろん虎視眈々と地上奪還を狙っていた可能性もあるが)。

アンヌ役のひし美ゆり子氏は『ウルトラセブン』でいちばん好きな作品を聞かれた時に、本作を挙げることにしているという。
理由は「アンヌが出ずっぱりで活躍するし、リゾートファッションなど、自由な服が着られたからです」とのこと。
当時はスタイリストという職種はなかったので、アンヌが身に付けている衣装は全て自前だそうで、その中には当時人気だったバンド「ザ・タイガース」のTシャツもあった。

冒頭に砂に埋まるシーンがあり、スタッフから旅館の風呂に入るように勧められて入った所、実はこの風呂は魚が一緒に泳いでいる「水槽風呂」で、外からは丸見えだったという。

TV版の冒頭、シーホース号の通信シーンで二瓶正也氏と会話する隊員は、後に作家となり
『スクール☆ウォーズ』の原作『落ちこぼれ軍団の奇跡』などで有名になる馬場信浩氏である。

シナリオに注目がいきがちな作品だが、リゾートファッションのアンヌや、真面目に聞き込みをするアンヌの後ろで、キャッチボールの真似をするなど全くやる気のないダンなど、他にも見所のある作品である。


余談

ゲームボーイアドバンスソフト『ウルトラ警備隊 モンスターアタック』では、
現地球人に追いやられた地球先住民達が地底と海底に分かれて、それぞれ地底人(『ウルトラマン』に登場した奴)とノンマルトになったという設定になっている。
このゲームではガイロスが登場せず、代わりにタッコング6体と恐竜戦車2体とシー夫婦という、
かなりの戦力を送り込み、科学特捜隊&ウルトラ警備隊と戦った。

漫画『ウルトラマン超闘士激伝』では宇宙のとある星の海底都市で深海怪獣たちと共に平和に暮らしていたのだが、
エンペラ星人の送り込んだメタルモンスに襲撃され逃げまどっていた。
新章ではゼラン星人などと共にスマホで時代遅れのノタニー博士を尻目に情報収集する姿が描かれた。
また『超闘士激伝』の玩具展開の方では「闇闘士ガイロス」がリリースされている。

ウルトラマンオーブ』でクレナイ ガイ役を演じた石黒英雄‏氏はノンマルトの話をやりたがっているらしいが、田口清隆監督曰く「あれは誰もが手を出しづらい」とのこと。


追記・修正も我々の物だ。

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最終更新:2023年12月14日 21:19

*1 実際のところ、脚本の武上純希氏が執筆した平成セブンのノベライズ『ウルトラセブン EPISODE:0』では明確に「正真正銘のノンマルト」としての記述となっているため「そういうこと」なのだろうが。