女帝ジューザ

登録日:2014/12/07 (日) 21:10:30
更新日:2024/02/27 Tue 10:07:45
所要時間:約 8 分で読めます




※推奨BGM:鳥人戦隊ジェットマン



バイラムの女帝ジューザが復活した!

人間の苦しみを吸収する事により、
最強の魔獣を誕生させようとするジューザ。

そして、裏切り者となったラディゲは
人間の姿にされ地上に堕とされた!*1


鳥人戦隊ジェットマン!


復活の女帝






ラディゲ、見ていなさい。私はこの世界を地獄の底へ叩き落とす。

今の私には、人間どもの苦しみや悲しみが必要なの!



女帝ジューザとは、特撮テレビドラマ『鳥人戦隊ジェットマン』に登場する悪役である。

演:高都幸子


概要

見た目は20代半ばから30代前半くらいの妙齢の美女で、白を基調とした丈の長いローブ風の服の上から簡単な甲冑のようなものを身につけている。
手には錫杖風の武器を携え、戦闘では主にこれを使用。

ジェットマンの敵である次元戦団バイラムの首領格だが、本編開始前に始まった裏次元侵略戦争において行方不明となり、部下たちには死んだと思われていた。
その為、バイラム4幹部の中で、地球侵攻後の新参であるマリアだけはその存在を知らなかった。


戦闘能力

首領だけあってその実力は幹部陣を遥かに凌ぎ、強力な光弾による直接攻撃から瞬間移動、念動力のような超能力系まで幅広く使いこなす。
じゃあ接近すれば良いかといえば格闘戦でもやたら強く、まさに「女帝」にふわさしい実力の持ち主。
更に、怒りが限界を超えると、完全に怪物に近い「魔獣ジューザ」の姿となり、一段と強力になって襲いかかってくる。

また、額の宝石から発する光は、人間の身体に結晶を生やし、それが一定以上増殖すると人そのものを結晶に変えてしまう力がある。
ただし、この力を司っているのも額の結晶らしく、それを割ることができれば結晶化した人も元に戻る。

これだけでも手がつけられないが、彼女の本当の恐ろしさは、自ら生み出す「魔獣セミマル」にある。
セミマルは産み落とされると、人間の恐怖や悲しみを栄養にして成長するという伝説の魔獣で、完全に成長したその力は一瞬で大地を割り、天を焦がすと程と伝えられる。


活躍

登場回は第17話「復活の女帝」。
小型の隕石に乗って地球に飛来、駆けつけたジェットマンに一撃だけ加えた後、バイロックに帰還する。
離れていたラディゲたち部下との再会の後、地上を恐怖に叩き込むために自ら出陣。
セミマルの卵を産むために、額からの光で人々に苦痛を与え、それを胎内のセミマルに吸収させていく。

このシーン、視聴してみればわかるが、実は結構恐ろしい。

まず人々の体から結晶が生えてくるシーンだが、特撮にはよくある、「体の上にチョコンと結晶が乗っている」というものではない。
尖った結晶が赤い肉を突き破り、血を流しながら腕や足から生えてきているのだ。
めちゃくちゃ痛そうである。
ついでに言うとこの結晶、一本生えて終わりではなく、時間の経過とともに1本、また1本とニョキニョキ生えてくる。
こんなもの生やされれば、確かに苦痛や絶望は計り知れないだろう。
セミマルにとっては文字通りメシウマである。

ハハハハッ!お前たちの苦しみや悲しみが、我が子セミマルを育てるのだ!

ご満悦のジューザの元へジェットマンが駆けつけ戦闘になるが、彼女の圧倒的な戦闘力に5対1でもまるで歯が立たず、逆に香を庇った結城凱に結晶からの光を当ててリタイアさせ、格の違いを見せつけた。

この辺、凱役の若松俊秀氏のマジで痛そうな迫真の演技と、次回予告のタイトル「凱、死す!?」のインパクトと相まって、当時の少なくない子供たちに軽いトラウマを植え付けた。

満足して帰還し、先の戦いで進んで加勢に来たラディゲの忠誠心を褒めるジューザ。

4幹部にジューザが加わり、正に完璧な布陣となったバイラム。

地球を本格的に侵略するべく、一団となってジェットマンを潰そうと動き出していく…!






追記・修正お願いします。























あ~あ、まいったなぁ。ジューザ様が生きてたなんて…

“裏次元伯爵”と謳われたラディゲが、あんな女に額づくとは!アハハハ!!

違う!このラディゲ、今更ジューザの下で働くつもりはない。
必ずこの手で奴を倒す!奴が『セミマル』を産み落とす前に!!



誰も喜んでなんていませんでした。


あれ?



そもそもバイラムは、他人に従うことが大嫌いだけど実力は凄まじく高い4幹部が、「ジェットマンを倒した者がリーダー」という勝手に定めた独自ルールの元でそれぞれ好き勝手にやり、それで釣り合いが取れていた組織だった。
ジューザが帰ってきた時にはその体制の元で4人は自由を満喫しており、既に首領などというものの権威も居場所もなかったのである。
実際、ジューザが戻ってきていくらもしないうちに上記の陰口を叩いており、まるで現役だけで楽しくやっていた所に面倒くさいOGが帰ってきたような雰囲気となってしまった。

以前から仕えていたはずのグレイとトランは彼女の指揮に不満を隠そうともせず、新参者のマリアに至っては(一応)女帝だと聞かされた後も何の権威も認めていない始末。
中でもラディゲは傲然とジューザへの反逆を宣言し、表向きは以前と変わらず忠誠を誓いながら絶えず機会をうかがっていた。
ジューザがセミマルを成長させてしまえばもうチャンスはなくなると踏んだラディゲは、自分の忠誠心を労うジューザに対して遂に行動を起こす。

突如斬りかかるラディゲに対して驚きを露わにしながらも、そこは流石に首領で、不意を突いた剣は錫杖にあっさり弾き返される。


この私を裏切るとは…!どれほど目をかけてやったのか忘れたのか!?


信頼を裏切られ、怒り心頭のジューザは魔獣形態に変貌。
ラディゲを叩きのめし、惨めに生きる屈辱を与えるために、記憶を消した上で人間へと変えて、地上へ追放した。

その後は引き続き自ら出撃、結晶化が進み、苦痛が増していく人々の悲鳴をセミマルに与え続ける。
もちろんジェットマンも出撃するが、先の戦いで凱がリタイアし4人となった状態で止められるはずもなく、このまま行けば勝利は確実と思われた時、予想外の出来事が起きる。

記憶を無くしたはずのラディゲが、ジェットマンとジューザの戦いを目撃したことで復活。
ジェットマン側に立って参戦してきたのである。

驚き焦るジューザは、ラディゲの一撃で錫杖を取り落としたところを、彼の指示で額の結晶を狙ったジェットマンにバードブラスターの4本集中攻撃を受ける。
何とかこれは弾いたものの、その隙を突いて飛び込んだホワイトスワンの剣で額の宝石を割られてしまう。

顔を傷つけられた事で怒りMAXとなり、ジューザは魔獣形態に変化。
圧倒的な力で4人+ラディゲを追い詰める……が、どこまでも不運なジューザにまたも予想外の事態。




ラディゲ…!今こそジューザを倒す時!

グレイ・トラン『(無言のガッツポーズ)』

ジェットマン撃て!ジューザの額の結晶を狙うんだッ!




ラディゲの復活と戦況を見て、今がチャンスとばかりに、マリア、グレイ、トランの3幹部までもが反旗を翻して参戦してくる。

「こいつら、対ジェットマンの時より、こっちの方がよっぽど結束してね?」というのは言わない約束。

さらに、ジューザの額の宝玉が割れたことで凱も復活。
ジェットコンドルから飛び降りて、ブラックコンドルに変身すると(第6話のバンク)連続攻撃を叩きこみ、
全員揃ったジェットマンのファイヤーバズーカがジューザに炸裂した。

瀕死となり海岸まで逃げたジューザは、最後の力を振り絞ってセミマルの卵を産み落とした直後、追ってきたラディゲの投げた剣に貫かれ、完全に消滅した。
しかし、彼女の産んだセミマルの卵はラディゲが拾い上げて第18話ラストで孵化し、ラディゲは自分の手足とする為にエネルギーを与え続けていく。

そのセミマルは第23話「新戦隊登場」にて完全に成長。
ジューザの時を上回る絶望と犠牲をジェットマン達に与える事となる……



こうして、前年度の戦隊の敵たる銀帝軍ゾーンの銀河皇帝メドーに続く女首領にも拘わらず、何と2話でオサラバと、前代未聞の早期退場となってしまったジューザ。
戦隊シリーズの他の作品を見てみても、『電子戦隊デンジマン』のヘドリアン女王→バンリキ魔王を始めとして、組織内のクーデターでボスの座を追われる首領は他にもいる。
が、そういった例はあくまで、あるリーダーが他の者に取って代わるという単純な政権交代がほとんどであって、
最初に幹部陣だけで物語が始まり、中盤ようやく首領の復活という形で登場してなお、こうもあっさりと粛清されるリーダーは彼女くらいなものだろう。
そのせいか、色んなところで「情けないボスキャラ」と呼ばれることも多い。

が、冷静に見てみれば、少なくともその実力は本物であったことがわかる。

最初にラディゲが反逆した際、物陰からこっそり覗いていた3幹部はラディゲが不利になっても助けずに黙って引っ込んでいるが、
これはライバルが一人消えるという考えがあったのかもしれないが、それを抜きにしてもたとえラディゲを助けに入ったところで、4対1でもジューザには勝てまいと踏んだからだろう。*2…というか下手に横槍でも入れようものなら「抹殺か、幹部全員記憶を消され人間にされ追放。ジェットマンはそのままジューザというラスボス戦へ」という流れも充分あり得た。
額の宝玉を割られた時も、魔獣形態に変化してからは完全に押しており、
倒すことができたのは、3幹部参戦・凱の復活からの連続攻撃と、予想外の事態による動揺を突いて一気に押し切った部分も大きく、正攻法で戦ったならどうなったかわからない。

単純に力で言えば、ボスを名乗るのに不足はなかったわけである。次元戦団バイラムは度々「戦隊史上最強の敵組織」とのファンによる仮説が多い。
故にこの仮説が成り立つなら、スーパー戦隊シリーズ史上最強の敵であった可能性も高い。

彼女の敗因は何と言っても、「他人を見る目が無かった」こと、そして「部下からの人望が無かった」ことに尽きるだろう。

ラディゲに剣を向けられた際、本気で驚き、ショックを受けている所から見ても、信頼していたことがうかがえるが、
そもそも反骨心と狂気的なプライドの塊のようなラディゲをそこまで信用し、他の幹部達も含めて心から自分に忠誠を誓っていると思い込んでしまっていた辺りは認識が甘いと言わざるを得ない。

また、その信頼を裏切られ、可愛さ余って憎さ百倍で、ラディゲに「死ぬ以上の苦しみ」を味わわせるために人間にして追放してしまったが、これも決定的な敗因となる。
後に同じようにラディゲを半端に生かしておき、結果として廃人にされてしまった帝王トランザの例からも分かるように、
凄まじい執念深さとゴキブリ並みの生命力を持つラディゲに対して、「生かして屈辱を与える」などという選択肢はその時点で100%バッドエンド直行のフラグである。

実力があるだけに、部下の心理面まで読むことをしなかったのが彼女の早期退場をもたらしたと言えるだろう。


この次の年のスーパー戦隊も、敵組織のボスは魔女バンドーラという女性で、パッと見のイメージやチートじみた能力も共通する。
が、こちらは裏切られる*3どころかシリーズ屈指のアットホームな雰囲気の組織であり、損得抜きにして幹部全員から実の母のように慕われていた。
ちなみに演じたのは先述のヘドリアン女王役の曽我町子氏。年期と人徳の差というのはこのことか。



もうジューザ様は泣いていいと思うよ、マジで。





追記・修正は記憶を消されて追放されてからお願いします。






















……ジェットマン……

お前たちはこの星にいてはならぬ者たち……存在を許されぬ者たち……



当然ながら、TV版を基とした小説版にも登場。
役割としてはTV版同様バイラムの首領である。

だが、その存在感はTV版のそれとは全くの別物である。

挿絵では恐ろしい顔が描かれているものの、「優しく、美しい、女神のような顔立ち」と称されるほどの美女。
前述のセリフは、ジェットマンの力の源であるバードニックウェーブが地球とは別の星から発見されたエネルギーであり、地球にあってはならないものである為に発せられたもの。
人類の進歩しすぎた科学を憂い、人間の胎児を作り変えることで、人間とは別の生命体で地球を再生しようとしていたのだった。

バイラムの幹部達を生み出した母のような存在でもあるが、彼らからは疎まれるどころかガチで恐れられており、ジューザの支配を逃れようとしていたようだが、
ラディゲの肉体を乗っ取って見せることで逃れることのできない恐怖を植え付けた。
作中での言葉を借りるとすれば、人間、バイラム、どちらからも『』の如き圧倒的な力を持った存在だったのだ。

その実力も本物で、ジェットマンを宇宙空間まで弾き飛ばせるほどの衝撃波を放ち、一撃で勝負が決まるほどのエネルギーを持っていた。
しかし、打倒ジューザの共通目的があるラディゲらが一時的にとはいえ屈辱に耐え、ジェットマンを救った。
そして、竜・凱・香・雷太・アコらジェットマンと、ラディゲ・マリア・トラン・グレイのバイラム幹部達が、ジューザへと立ち向かう。
戦いの中でトランを自らに吸収し、マリアをも取り込もうとするが、マリアをかばったグレイのプログラムを超えた能力、本来できないはずの自爆によりダメージを負ってしまう。
そうして弱ったところをジェットマンとラディゲの剣によって貫かれ、バードニックウェーブとラディゲの妖気の奔流によってようやく消滅した。

ジューザを消滅させた後、ラディゲとマリアとの共闘も終わりを告げ、竜は最後の決着を付けようとしていた。
だが、そこに消えたはずのジューザの声が聞こえる。
ジューザを完全に倒すことはできていなかったのだ。
しかし、ジューザは竜に語り掛ける。「人類の可能性を見せてみろ」と……
そして竜は、ラディゲとの戦いの中で、マリア……いや、リエへの愛を見せる。
2人の戦いが終わる頃、人間の愛を見たジューザはその目を閉じ、永い眠りにつくのだった……



見ていなさい。私は必ずやこのWikiを地獄へと変える。

今の私には、Wiki篭り共の追記・修正が必要なの!


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最終更新:2024年02月27日 10:07

*1 以上、本放送の予告。DVDの予告では「バイラムに女帝ジューザが復活した!ジューザは、人間の苦しみを吸収する事で最強の魔獣を誕生させようとする!」。

*2 逆に言えばジェットマンと協力すれば倒せる可能性が出てきたからこそ、3幹部は、その時参戦したのだと思われる

*3 一応第35話「忍者戦士ボーイ」では、一度だけトットパット&ブックバックコンビとグリフォーザーが「ある目的」からバンドーラを出し抜こうとする場面もあったが結局失敗、彼女にバレてお仕置きを受ける羽目になるが、それ以上の処罰は下されなかった。