クロウ(牙狼-GARO-)

登録日: 2014/12/03 (水) 18:28:28
更新日:2023/12/03 Sun 22:48:43
所要時間:約 17 分で読めます






正式に元老院から命令が下りました。
今日よりあなたの『手』となり、『足』となり、『影』となって戦いましょう。


クロウとは、深夜特撮『牙狼-GARO- 魔戒ノ花』の登場人物。
演じるは水石亜飛夢氏。


【概要】

初登場は第2話『害虫』。『影の者』という一団の出身で、影に生きて、影に消え行く隠密の魔戒騎士
『人知れず闇を刺し、人知れず闇を斬る』使命を持つ幻影騎士・吼狼(クロウ)の称号を持ち、昼間はモノから発生するゲートの封印、夜はホラーの退治に徹する。
本名は不明であり、両親家族はおろか、温かく迎え入れてくれる場所もないと本人は言う。
番犬所の「石板の封印を解き、エイリスを野に放ったものを突き止め、処分しろ」という指令を受け、
博物館に古代の遺物として展示されていたアディーの石版の跡を探索、
ここから焼けた札を手にした後、石板のホラーの一体・エクスタを追跡する中で雷牙と遭遇。
雷牙本人の前では「『白』の管轄から来た」と告げるが、特定の管轄には属せず、独自に行動。
第5話『星図』にて元老院の命を受け、項目冒頭の台詞を告げて以降は雷牙に仕え行動を共にする。

『影の者』の出身なのか、鴉の羽を両肩に施したレザージャケット(魔法衣)だけでなく、その下のTシャツとズボンも黒一色で統一、
レザージャケットを固定する胸部のベルトの中央部に、少女の横顔を模した『魔導具・オルヴァ』を身に着けている。

振るう魔戒剣は日本刀にも似た形状をしており、
第20話『鉄人』冒頭のように捨てられたモノに宿った、持ち主の陰我(クロウ本人曰く『過ぎ行く時に刻まれし苦い記憶』)を切り払うことも可能。
戦闘時にはこの魔戒剣だけでなく、円参(えんざん)という手裏剣にも似た投擲武器も使用。
この円参は『影の者』の共通武器のようで、彼の師である毒島エイジも使用している。


【戦闘力】

雷牙のアクションが『GARO斬り』に代表されるスタイリッシュなものだったのに対し、クロウのアクションはストイックなもの。
忍者を思わせる身のこなしの軽さと素早い剣技、そして円参を用いた戦法を得意とし、
魔戒剣を構える際は刀身を前方に出す、あるいはその刃を右上に掲げ、左親指・左人差し指と左中指で印を作るのが特徴。
また、状況の把握と自身の分析にも秀でており、第2話で雷牙の下に向かおうとするもののオルヴァの制止を受け、
「彼は黄金騎士だし、心配はいらないか」と静観、彼の実力を見極める。
雷牙に仕えることになった第5話では「少しはやれるってとこを見せとかないとね」と石板のホラー・ステラスの邪気を探知し互角に渡り合う。
第7話『神話』では主たる雷牙の身体に溜まった邪気に反応し暴走したグラウ竜の牙に投擲し窮地を救う。
第13話『凶獣』では『影の者』が振るう魔戒剣に封じたホラーを吸収する魔獣バルグの暴走を封じるため、
『影の者』の生き残りであるゲントと共に札と魔戒剣を用いて『魔導陣』という結界を張り、雷牙にとどめの一撃を与えさせた。

『影の者』のみで構成される毒島エイジ率いる『影の部隊』で鍛えられ、優秀な弟子として育っているはずだが、
『魔戒ノ花』本編では主に雷牙の影となりサポートするのが目立っており、単独で倒したホラーもいない、と騎士としての実力は不明瞭に終わる。


【性格】

慇懃で他人行儀な面が目立つが礼節は心得ており、主たる雷牙の命令には基本的に従う方で、
彼の意に応じてマユリを正式名称ではなく「さん」付けで呼んでいる。
当初は彼女を人の形をした魔導具とみなしていたが、13話で傷だらけのバルグを庇うその姿を見た瞬間、彼の中で何かが変わる。
魔道具の少女を連れ去るバルグから救い出し、自らの命を捨てる覚悟で同じ境遇のバルグを封じようと邪気を封じる『籠』を開けたのを見たクロウは、
バルグの墓の前で「大丈夫だ。私は普通じゃない」と気遣う雷牙に対する彼女の姿に向かい叫ぶ。

何を言うんです!?あなたは『獣』でも『器』でもない、『心』を持った人間だ。
でなければ、バルグと分かり合えるはずがない!だからこそ、僕はあなたを助けた!!

これ以降はやや丸くなり、第20話でも女子高生サキを原動力にするホラー・ドゥオクトに羽交い絞めにされた自身を救った雷牙の加勢にも
「これは僕の指令で僕の得物です。でも…手伝ってくれるとうれしいですね」と了承。
最終的にサキを救い出した雷牙の姿から「命ある限り、必ず人を助けるのが騎士の使命」を学ぶ。

『影の者』という隠密の騎士であり、雷牙が省みる『日の当たる生活』の何もかもが眩しすぎると言いながらも、
師たる毒島エイジからは『自分の剣や心に迷うな』『我々は番犬、何があろうと指令に従うのが使命』と教えられ、優秀な弟子として成長。
陰我に満ちたホラーの持論を聞いても冷徹に切り返し、守りし者の使命を貫き通してきた。
それだけにエイリスの封印を解いたエイジの暴走には激しく動揺し、
「『余計な情は捨てる、自分の使命を貫く』……それが魔戒騎士の生き方じゃなかったんですか!?」と悲痛な叫びと共に制止しようとするが
「たった一人の命を守るのがなぜ許されない?」という、恋人アカリに対する彼の強すぎる妄執の前では意味をなさなかった。

雷牙がエイジを止めるため戦う中、雷牙の命を受けクロウはマユリの下に向かい
彼女に憑依せんと触手を伸ばすをエイリスに剣を振るうが、結界に阻まれてそれを切り裂く事ができない。

やめろエイリス!憑依するなら…僕に憑依しろ!!
そんな女の身体より、魔戒騎士の僕の身体の方がお前にとって都合がいいはずだ…!
僕は空を飛べるぞ……僕がお前を運んでやる!!

追い詰められたクロウは、マユリを救うため、エイリスに無謀な取引を行い憑依され、操られるがまま開花の地へと飛ぶ。
そして雷牙も轟天を召還し、開花の地にして数多のホラーが眠る『慟哭の湖』へ……。


教えてやる。ホラーは死んでも、星にはなれない。

【幻影騎士・吼狼】

クロウが魔戒剣を天に掲げ、逆時計回りに素早く円を描き印を組むことで吼狼の鎧を召還。
装着時間は99.9秒で、使用武器の幻影剣は装着前とほぼ同じ形状をしている。
通常は、その名の通り鴉(=Crow/クロウ)を模したフルフェイスのマスクだが、状況に応じて展開。
マスク部が耳部分の突起となり、今までの騎士の鎧と同様の狼の顔を見せる。
腰部の菱形の額縁の中に菩薩像にも似た紋章が施されているのと裏腹に、その顔は白い目で憎悪に満ちた面で敵を睨み付ける意匠がやや暗黒騎士に似たダークヒーロー的なものになっている。
披露回である第5話ではステラス/ルークの持論に対し上記の台詞で切り返し召喚。
装着時に八咫烏にも似た構えを見せ、雷牙がステラスを撃破した後、雨宮監督直筆による筆文字エフェクトと共にマスク展開。
その時の演出は第1期の絶狼の鎧披露を思わせるものとなっており、なかなかカッコいいが、
牙狼の鎧を纏った雷牙と対峙する場面は「邪悪な宿敵と対峙する主人公」の図に似ており、終盤に闇堕ちしないかとハラハラさせた。

この形態でも円参は使用可能で、第9話ではこれを牙狼剣に投擲しその摩擦から電気を発生させリザリーを撃破させる。
また、無数に携帯しているのか、エイリスが憑依した第23話ラストでは魔導馬・轟天を走らせ追跡する牙狼に向けて投げつけた。

鎧の背部から翼人牙狼を思わせる翼を生やし鴉天狗のごとく空も飛べるが、使用時に装着限界時間を20秒も削るデメリットを持つ。
訓練時に一度飛んでおり、実戦ではステラスを追撃するに飛んだのが最初(この時が二度目に当たる)。
単独飛行だけでなく、背中に騎士を乗せる事も可能で第16話『絶叫』では魔戒の底に落下寸前だった牙狼を乗せて脱出させた。

烈火炎装の使用および魔導馬の召還の有無は不明。
第2話でホラーに憑依した人間を探知する際に例の魔導火を発するライター(色は白に近い空色)を使用、
第20話では魔導火を魔戒剣の剣先に灯し、剣を構えたまま探知するというテクニックを使用しているため、烈火炎装の使用は可能だと思われる。


【その絆】


クロウに関連する人物と、その関係。

  • オルヴァ
クロウのパートナーたる魔導具で、できる女を気取る小悪魔じみた生意気な性格。かわいい。
髪の毛の部分に目が配置されており、そこを円斬の中央に施された穴に配置する『裏技』でホラーの邪気を探知することができる。

第2話で邂逅、当初は生意気な口調で彼と対話したが牙狼の継承者たる赤鞘の魔戒剣を見て謝罪、第5話で彼に仕える。
雷牙自身もクロウには一定の信頼を寄せられており、無茶をしないように促している。
クロウ自身もまた、戦いの中で彼の優しさに感化されたのか、慇懃な態度を軟化させていったが、
皮肉にもその優しさがクロウにエイリスが憑依し*1、開花の地に向かわせるという結果に導いてしまう。

  • マユリ
第2話ラスト、エイリスの邪気を封じる様を見てその正式名称『マ号ユリ型』を雷牙に告げるが、あくまでも彼は彼女を人間として扱っている。
それに従い、クロウも表向きは彼女を人間として対応していたが当初の仲は微妙だった。
第13話から彼女に対する態度を改める中、戦いの中でクロウは雷牙への彼女の想いに勘づいていく。

  • 倉橋ゴンザ
冴島家に仕える執事で、第6話『風鈴』ラストでクロウが雷瞑館に来訪した時に彼に挨拶。
彼も雷牙とマユリ同様、クロウを家族と思っており、クロウもまたゴンザを家族と思うようになっていった。
第15話『紅茶』では、ゴンザにこっそり前髪を気にして整えるクセを見られていた模様。

  • ジイル
『青の番犬所』を司る神官で、雷牙とクロウの上司的存在。
クロウの師であるエイジには雷牙同様強い信頼を寄せていた模様で、その裏切りに対して困惑。
長い事連絡がないのに対して、彼もエイジのように裏切ったのではないのかと訝しんだが、
あくまでも仲間だと信じる雷牙の言葉を受け、その想いと優しさにすべてを託しエイジの確保とエイリス討伐を命じた。

  • メメ
神出鬼没の元老院の使い。魔戒騎士に番犬所からの手紙を手渡すのが仕事。
終始無言にもかかわらず、第20話ではクロウが切り払ったモノを見つめながら「闇に濡れた光が一番恐ろしい……そうだよね、メメ?」の台詞に応えた。

元老院付きの魔戒騎士で、クロウの師たる『影の者』。彼はエイジを『隊師』と呼び慕っている。
恋人の魔戒法師・アカリを不治の病で失った悲しみの中、エイジの名を呼ぶマユリに彼女の意志が残ってると思い込み、
博物館に展示されていたアディーの石版を術で破壊し、エイリスの封印を解き放ちマユリを器にしてアカリを蘇らせようとした。
弟子たるクロウも師の豹変に戸惑うが、最終的に和解。エイリスの手で強制的に心滅獣身に陥った雷牙を救わんと共に鎧を纏い立ち向かったが、
最終的に雷牙を心滅から救ったのは、幼い日に彼がアカリに託した鈴の音色だった。

  • ゲント
クロウ、エイジと同じ『影の者』で、彼はクロウの腕を評価。クロウもまたエイジに次いで彼を慕っている。
その関係は、バルグの動きを封じるために『魔導陣』を共に張った事から明らかである。


【開花の地にて】

『慟哭の湖』に辿り着いたクロウと雷牙は互いに鎧を解除、エイリスは彼の心の陰を利用する。
自分が影の者として生き、どれほど苦労を重ねて騎士になり、指令を受けてきたのか……憎しみの赴くまま剣を振るう。それを受け止める雷牙。
両者の剣が弾き飛ばされ、素手で殴り合う二人。

どこまでも優しい人だ……その優しさが……大嫌いです!

この言葉と共にクロウは雷牙は羽交い絞めにする。駆けつけたマユリの前でクロウは叫ぶ。

あの人に対してもそうだ!『マユリは人間だ、魔導具じゃない』!
本当にそうですか…『人間』ですか!?

今のお前も同じ想いのはずだ、と叫ぶ雷牙に対し、クロウはなおも言う。

あなたは誰も傷つけない…だから、本当の想いを口にしない!
マユリさんは『人間』ではない……『女』です。
あなたも…そう思っているはずです!

ついに雷牙の秘めた想いをマユリに告げるクロウ。男は女を守るもの…そして慈しみ、愛するもの。
クロウの告白までも受け止めながら、雷牙は立ち上がる。

ああ……確かにそうだ!
しかし……マユリは『女』である前に、俺達の『仲間』だ!
そうは思わないのか!?

思いますよ!!
優しいあなたに感化されて……そう思うようになってしまいました……

『女』である前に『仲間』だ……雷牙の言葉を受け、クロウの憎しみが涙へと変わっていく。
やがて、慟哭にも近い叫びと共に幾度となく殴りつけていく。

俺は……俺は望んで優しい騎士になったんじゃない!
俺には……この生き方しかなかった……!!

クロウの拳を受け止め、殴り返す雷牙は友(ザルバ)の施された左手を見る。
そこに浮かび上がるのは、幼い日に次元の狭間に消えた母と父、そして魔戒騎士の道を示してくれた恩人達。

救える命は何があっても救う……ただ、その約束を果たして生きてきた!それだけだ!!
それが優しいというのなら……そう言えばいい!!
しかし……お前が『友』であることに変わりはない。

『影』ではなく、『友』と呼ばれた事でクロウの心は完全に氷解。エイリスは彼から離れ、真の姿を露わにする。
湖畔に根を張り、花を咲かせんとするエイリスに、雷牙はひとり向かっていく……。


戦いの末、エイリスが封じられた後、雷牙とマユリと別れたクロウは幻影騎士の道を往く。
魔戒剣を振りかざし、夜の街を歩く中、彼の耳に鈴の音色が響いて……。


【余談】

◆クロウの本名は最後まで不明のまま。
第13話から流れた後半OP『雷牙 ~Tusk of Thunder~』で『刃 子守唄を 深い慈悲を 奴の陰我に』の部分で
クロウの鎧や円参を構えたクロウがクローズアップ、ストイックかつスピーディな殺陣が披露されたときに
「刃:もしかしてクロウの本名?」と噂されたが…別にそんなことなかった
もし本名だったら灼熱騎士・ヤイバと被りそうだが。
また、第13話EDの〆にはクロウが立つショットになっていたが、クロウ主役回もあるのか?と思われたが別にそんなことは(ry

◆『魔戒ノ花』本編で活躍できなかった鬱憤はスピンオフで晴らせるか?と思いきや、第18話『紅蓮』に登場した媚空に先を越される、ととことん不遇だった。

しかし、牙狼シリーズ10周年記念作『牙狼 魔戒烈伝』第8話Bパート「試金石」にて、隊師ことエイジとのイメージ内で真剣勝負。
年期の差で剣術と体術に苦戦するが、符術を円斬でかき消し、鎧を召喚し、心の弱さと過去の罪を抉られながらも怒りの刃を叩き付けんとする。
途中、エイジの想い人たるアカリの幻影に戸惑うが意を決し切り払った。

あなたの知ってる……昔の僕とは違う!!

この言葉と共にイメージが解除。己の弱さと向き合うことができたと隊師に感謝する。
エイジもまた、「優しさはお前の武器であり、心の隙でもあることを忘れるな」と警告しながら、次の隊師はお前だと自身に勝利した愛弟子の姿を褒める。

僕は代理人にすぎません。我々の隊師は……あなたです。

謙るクロウに対して、エイジは「俺は罪を犯した。もうの資格はない」と自嘲げに吐き捨てる。
膝をつく彼に対し、クロウはなおも言う。

あなたの心の中の迷いは、さっき僕が切り捨てた。
もう……あなたの心から、闇は完全に消えたはずです。

この決闘は、未熟だった自身を育てあげ、磨き上げてくれた隊師のためにクロウ自身が望んだものだったのだ。

僕は待っています。あなたの下で、共に働ける日を……

かつて未熟だった己自分にそうしたように、隊師に手を差し伸べるクロウ。
そんな弟子にかつての自身の鏡のごとく映ったのか、エイジは「たわけ」と言わんばかりにその手を跳ね除け、檻から去るその背中を見送るのだった。

◆クロウを演じた水石氏は『魔戒ノ花』では遅れて参加したのか、焦りながらも撮影の合間にアクション班の指導でストイックに稽古していた。
果たして、「雷牙狼」シリーズ劇場版『月虹ノ旅人』では、成長したクロウの雄姿は見られるのだろうか。
今は、続報を待つしかない。


クロウ「さて、仕事」

オルヴァ「また人知れず…ね♪」

クロウ「そうさ。昼は項目の閲覧……夜は荒らしコメントの削除……
人知れず追記し、人知れず修正する……
それがwiki篭りの仕事」


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最終更新:2023年12月03日 22:48

*1 当初はエイリスにとりつかれたクロウの鎧が素体ホラーの如く醜悪に変形した『エイリスクロウ』と呼ばれる形態が登場する予定だった。結局ボツになってしまったものの、ラフデザインは雨宮監督のTwitterで確認が可能。