無限の剣製

登録日:2009/06/21(日) 20:14:16
更新日:2024/03/14 Thu 22:18:55
所要時間:約 19 分で読めます






────体は剣で出来ている。(I am the bone of my sword.)


出典:PS Vita版「Fate/stay night[Realta Nua] OP(製作:ufotable) ©TYPE-MOON/KADOKAWA SHOTEN

無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)
UNLIMITED BLADE WORKS

ランク:--(E~A++)

Fate/stay night』に登場するサーヴァントアーチャーの持つ「唯一」の宝具
ちなみに、「アンリミテッドブレイドワークス」は『SN』の√の副題ともなっている他、
さらに言うと開発段階のタイトルは『Fate/Unlimited Blade Works』だったとかなんとか。
ファンからの通称は読みの英語表記の頭文字をとって「UBW」。



※この項目は激しいネタバレを含みます











●目次


【概要】

アーチャーこと英霊エミヤ、及び衛宮士郎が展開できる固有結界


厳密には宝具ではないが、彼の象徴という事で事実上アーチャーのものは彼の宝具とされている。
担い手のいない多数の剣の突き刺さった赤い荒野が展開される。現実世界との境界線は地を走る炎。


◆能力

空間内には「剣」を構成するあらゆる要素を内包しており、一度オリジナルを視認して登録しておけば容易にそれを“投影”して複製することができる。
ただし、宝具クラスのものを複製した場合、複製品はオリジナルよりも能力のランクが一つ落ちる。
また、「剣」に限らず、白兵戦で用いられる武器であればオリジナルを視認することで結界内にストックされ、複製が可能。
盾や鎧などの防具類も、白兵武器と比べて投影・複製する際の通常の2~3倍の魔力を消費するというデメリットがあるが、オリジナルを視認さえしていれば複製が可能。

ちなみに、この「ランクが一つ落ちる」という表現についてはファンの間でも解釈が分かれており、
単純に「宝具ランクが一つ落ちる」と解釈する者もいれば、「贋作故に神秘が落ちる」という意味と解釈する者もいる。
前者の反論としては『無限の剣製』の宝具ランクがE~A++(ランクが一つ落ちてA++のモノがあり得てしまう)事が反証として挙げられる。
後者については、作中の描写で、練度次第ではオリジナルに限りなく迫ることが出来るとも言及されていることから、
複製品も練度如何でオリジナルと変わりない能力を発揮できると思われることが論拠となっている。
また、劇中ではオリジナルに複製品をぶつけて相打ちさせている描写があるが、相打ちさせられる時点で能力に大差がない*1と判断できることから、
こちらも後者の論拠として挙げられる。

一方で、アーチャーや士郎が劇中で最も多く投影し、使用している双剣『干将・莫邪』については、
オリジナルならばジルの『螺湮城教本』で召喚された異界の邪神やゴルゴーン等も両断できる、破格ともいえる破魔の能力を有するというが、
アーチャーたちが用いている際にそのような描写は*2見られず、オリジナルより複製品の能力が劣っているかのような描写もある。
 .......かのように言われていたがFGOのイベント『サーヴァント・サマーキャンプ~カルデア・スリラーナイト~』にて複製品の『干将・莫邪』にも魔性に特攻があることが判明した。

また、投影時にオリジナルに宿る戦闘の経験や元の担い手の技量などを読み取るため、術者は一時的に元の担い手に近い戦闘能力を得ることができる。
セイバー√では、士郎は本来なら見切れるはずもない剣戟を、投影した『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』に宿るセイバーの技量によって捌き、凌いでいた。

結界形成時に既に用意されている武器は魔力は消費しないが、結界の形成・維持のために魔力を消費し続けるのに加え、
破壊された物を再度複製する、もしくは結界を展開した後に新たに視認したり無かった武具を複製する場合は著しく魔力を消耗する。
ただ、凛√において士郎が凛からの魔力供給を受けてこれを発動した時、凛曰く「ちょっときつい」程度の消耗で済んでいるので、
少なくとも宝具の中では維持にかかる魔力消費量は少ないほうだと思われる(ただし、士郎とアーチャーの魔力消費量に差はないのか、あるとしたらどのくらいなのかは不明)。

きのこ曰く、真っ当な方法での修行では基礎に10年、使いこなすのに更に10年かかるとのこと。
固有結界の性質上、アーチャーと同じく士郎も『無限の剣製』を展開できる魔術回路は持っているのだが、
本編時点では、士郎には固有結界を維持どころか展開に必要な魔力を賄えるほどの魔力量すらないため、
外部から魔力提供*3を受けないと展開自体不可能である。


なお、この二人の投影はあくまで固有結界からこぼれ落ちたものであり、厳密には本来の「投影魔術」とは性質が異なる。
例えば、本来の「投影魔術」で生み出されたものは時間経過で消えるが、この二人の「投影」で生み出されたものは時間経過では消えないという特徴を持つ。
そのため、本来の「投影魔術」とその特性を知る切嗣や凛は、士郎の「投影」に正体は分からないながらも何か異質なものを感じ取り、
切嗣は魔術指導において「効率が悪いから」等と称して「投影」を使わないように誘導し、凛は「投影」を目にした際に殺意を覚えていた。
現代魔術師では足元にも及ばないという、神代の頃の稀代の魔術師であるキャスターですら士郎の「投影」の特異性に興味を持ち、
あるBAD ENDでは手ずから魔術標本にしているのを鑑みるに、神代の魔術師の観点でもかなり異質、かつキャスターでも独力では使えない代物のようだ。
魔術協会の魔術師も士郎の「投影」を見れば封印指定、もしくはキャスターと同じ行動に出る可能性まであるため、
そういった魔術協会のやり方を知っている凛は、士郎の「投影」及び固有結界については決して協会に知られないように注意している。
ちなみに、凛曰くこの二人が「投影」した複製品は、一般人はもちろん、魔術師でも容易には「偽物」と見破れない*4といい、悪用すれば富を築くこともできるとか。

また、士郎は「投影」と固有結界だけでなく、「モノの構造を読み取る力」、つまり構造把握能力に関しても異質な才能を持っており、
モノであれば設計図まで把握でき、宝具や武器の場合はその歴史や使用法、伝承、制作者及び使用者のことまで把握できる。
構造把握能力そのものは魔術行使における基礎技術であり、例えば幼い頃から魔術の手解きを受けた凛も当たり前に出来るが、
士郎ほど出来る者は珍しいようで、彼のこの才能に気付いた切嗣は、「なんて無駄な才能*5だ」と驚いたという。
ちなみに、劇中では『無限の剣製』や宝具を「投影」する際にこの能力が役立っているため、これも「投影」同様に固有結界の副産物と推測するファンがいるが、
この能力に関する詳しい説明は、劇中ではなされていない。


投影可能なもの

前述の通り剣だけでなく、防具等も複製可能だが、通常の2〜3倍の魔力を消費する。
なお、本来出来るわけない能力だが剣属性に特化しているから何とか実現できた、みたいな説明がされており、これはきのこによくある設定の矛盾である。
飛び道具については下記の通りごく一般的な範疇の物に限るようだが、例外もあるようで、もしも衛宮切嗣が士郎にきちんとした魔術鍛錬を施し、起源弾を士郎に見せていたら起源弾も投影できたらしい。
きのこ曰く対策を取られないようにここぞという時に使うべき、との事。


また、魔術礼装などではないごく普通の物も投影可能な様子で、アーチャーが普段使用する洋弓も投影による複製品である。
アーチャーはその他にも、日常生活でも高級釣具やらピザ窯やらを投影してやりたい放題している。
士郎曰く複雑な物になればなるほど「中身の伴わないハリボテ」になるというが、
劇中でアーチャーが投影したものはどれもちゃんと使用可能な完成度になっているため、使い手の練度次第ということだろう。

この結界の中にはこれまでに視認した剣が既存しており、発動すれば全ての投影のプロセスを省略して使用可能である。
また、莫大な魔力を内包した宝具を無限に投影できることから、本来英霊に取っては禁じ手といっていい『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』を躊躇いなく使用することもできる。

◆神造兵装の投影

コンマテ3によると神造兵装の投影は”原則”不可能。そのため、後付けで強化された『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』も不可能となる。
一方で、同じくコンマテ3で「似たような性能の型落ち品は存在するかもしれない」とも語られており、√で明らかにエクスカリバーだと思われるものを士郎が「投影」するシーンがあるが、
当然ながら威力はセイバーの持つオリジナルに比べ劣るとされており、さらには公式曰く魔力不足で全性能を引き出すこともできないため、
セイバー√でセイバーが行ったライダーの『騎英の手綱(ベルレフォーン)』の迎撃は難しいとされる。
但し『約束された勝利の剣』ですらアーチャー曰く「完全な複製はできないが真に迫ることはできる」と語っている他、
「たとえエクスカリバーを撃ちあっても相打ちにはもっていける」とまで言っているため、正確には投影できないというよりも、
「使い手が自滅覚悟であれば投影して全力で一発放つくらいならなんとか可能」くらいに解釈するのが妥当か。
実際に√でエクスカリバーらしきものを投影した士郎は(元々末期のような体のため直接の原因かは不明だが)そのまま死亡している。

EXTRA CCC』では『永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)』というエクスカリバーの模造品が登場したが、
こちらはマテ曰く本編時より錬鉄可能条件がアップしてるため可能になったためであるとの設定上の理由が付けられているが、
メタ的には当初予定に無かったものの3Dスタッフがいつの間にかモーションデータを作成してしまい、
「せっかく作ってくれたのに没にするのはもったいない」という理由で採用した、という経緯らしい。
エクストラマテによるとランクEXの宝具も投影は原則として不可能だが、持ち主の協力さえあれば可能とも説明されている。

ちなみに神造兵装の他、近代兵器も投影できないとされている。
その割に電動リール付き釣竿は投影できたりするが、そこは突っ込んではいけない部分なのだろう。
電動リールは「兵器」じゃないし、そもそもギャグシーンだし、きのこも忘れてくれって言ってるしね!
ただ、FGOのイベント『サーヴァント・サマーキャンプ~カルデア・スリラーナイト~』では、
普通に釣り竿どころか釣具一式を全て作ってしまうはっちゃけぶりを披露している上、さり気なく当時からアップグレードもしている模様。

『EXTELLA』では『約束された勝利の剣』の姉妹剣である『転輪する太陽の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』、『突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)』を投影して見せているが、
前述のとおりEXTRAの無銘は例外として「神造兵装の類は投影できない」ことも度々言われており、
例えば『FGO』でデミ・サーヴァントとなったマシュが振るっている『盾』も、神造兵装なのか、それともランクが高過ぎる為か、投影出来ないと言われている。


【発動詠唱・心象風景】

同じ固有結界とはいえ士郎とアーチャーのものを比べると、発動の際の詠唱に差異があり、士郎が詠唱する呪文が日本語であるのに対しアーチャーは英語。
士郎の物と比べるとアーチャーは呪文の内容に悲壮感が漂う。

呪文

アーチャーver詠唱

I am the bone of my sword.
(体は剣で出来ている。)


Steel is my body, and fire is my blood.
(血潮は鉄で、心は硝子。)


I have created over a thousand blades.
(幾たびの戦場を越えて不敗。)


Unknown to Death.
(ただの一度も敗走はなく、)


Nor known to Life.
(ただの一度も理解されない。)


Have withstood pain to create many weapons.
(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う。)


Yet, those hands will never hold anything.
(故に、その生涯に意味はなく、)


So as I pray,UNLIMITED BLADE WORKS.
(その体は、きっと剣で出来ていた。)

士郎ver詠唱

体は剣で出来ている。
(I am the bone of my sword.)


血潮は鉄で心は硝子。
(Steel is my body,and fire is my blood.)


幾たびの戦場を越えて不敗。
(I have created over a thousand blades.)


ただ一度の敗走もなく、
(Unaware of loss.)


ただ一度の勝利もなし。
(Nor aware of gain.)


担い手はここに独り。
(Withstood pain to create weapons,)


剣の丘で鉄を鍛つ。
(waiting for one's arrival.)


ならば我が生涯に意味は不要ず。
(I have no regrets.This is the only path.)


この体は、
(My whole life was)


無限の剣で出来ていた。
( "unlimited blade works")


士郎とエミヤの違い

呪文詠唱に加え、二人の”無限の剣製”には結界内の風景にも差違がある。

どちらも地面が荒野なのは共通しているが、アーチャーの固有結界は空を錆び付いた巨大な歯車がひしめいているもの。14年版アニメでは固有結界内の剣も錆び付いている描写がある。
対して士郎は何も遮る物のない燃えるような赤い空となっている。
これは固有結界が心象風景ということが要因であり、士郎とアーチャーの内面の違いからである。

また、桜ルートでは士郎は移植したアーチャーの腕から記憶を読み取って宝具を投影していたが、固有結界は使用できないと判断している。
これは腕から入ってくるのはあくまで「英霊エミヤの『無限の剣製』」であるため、エミヤならぬ衛宮士郎には彼の世界は作れないから。*6
後日談では修行しなおせば固有結界を使えるようになると凛が推測しており、それによって展開される『無限の剣製』はまた違った景色のものになると思われる。


出典:劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song/©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC/2020年8月15日(土)公開

無限の剣製を使ったわけではないが、映画『Heaven's Feel 第3章』では、
vs黒化バーサーカーで投影をする際、「───ついて来れるか」と問いかける心象のエミヤを士郎が追い越す時に風景が砂塵から青空に変わる描写、
熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)を投影する際に青空の下の荒野の心象風景が映る描写がなされた。

ちなみに、『プリズマ☆イリヤ』の衛宮士郎も、詠唱や風景が大きく異なる『無限の剣製』を使用している。
元々本編の設定とは異なる描写があり、公式からも「気にしないでほしい」とアナウンスされている『プリズマ☆イリヤ』だが、
加えて『プリズマ☆イリヤ』の士郎は本編の士郎・アーチャーとは目的や成り立ち等が異なるため、それも理由の一つと推測されている。


【主な投影品】

干将(かんしょう)莫耶(ばくや)
勝利すべき黄金の剣(カリバーン)
全て遠き理想郷(アヴァロン)
偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)
熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)
絶世の名剣(デュランダル)
是・射殺す百頭(ナインライブス・ブレイドワークス)
宝石剣ゼルレッチ
破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)
約束された勝利の剣(エクスカリバー)永久に遙か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)
赤原猟犬(フルンティング)
右歯噛咬(ザリチェ)左歯噛咬(タルウィ)
突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)
転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)
原初の火(アエストゥス・エストゥス)
◇ジュワユーズ
◇黒い洋弓
◇対魔眼用の魔鏡


◇20万3000円相当の釣り竿&リール
◇いつもの赤いコート
◇綿飴製造機……というかお祭り定番屋台メニューは一通り投影できる模様
◇ピザ窯
◇ステーキ用の高熱鉄板
◇砥石
◇水入りボウル
◇各種雑貨品
◇おまる(未遂)


この他にもアーチャーは徐福が作り出した仮面の呪具に対抗出来る防御礼装(ただし個人用らしいが)などの他、千を超える宝具を貯蔵しており、その宝具から様々な戦闘技術を獲得しているという。
ただし『全て遠き理想郷』はアーチャーは既に記憶が摩耗したために正確なイメージができず、またセイバーとの契約も絶たれているため投影出来ない。


【相性】

一見ものすごく強そうに見えるが、強力なサーヴァント相手だと「多少厄介」程度のモノとされている。
なぜなら、投影した贋作では一つの武器を究極まで極めた担い手には対抗出来ない為。
作中では「千の武器も究極の一には及ばない」と表現されている。
あれこれと武器を持ちその使い手の技能を借りた所で、「本物とその使い手」にはユニットの実力で及ばないのである。*7

しかし劇中ではFate(セイバー)ルートにて、『生前のセイバーですら1回殺すだけでも困難な難敵』であり、
『Aランク以上の攻撃しか通用しない上に12回殺さないと消滅せず、しかも同じ攻撃は効かない*8』というデタラメなスペックのバーサーカーを、
アーチャーは倒すことこそ出来なかったが、イリヤの言では6回も殺しているという。
また、マスターが凛になることによって、万全な状態のセイバー相手であっても、
「マスターの機転のみが勝敗を左右する」つまり「サーヴァント同士は互角」と言っていい状態に持ち込むことが可能とされている。
そのため、「多少厄介な程度」という解説に対して、「性能詐欺」「七不思議レベルの謎設定」等と言う突っ込みがファンから多々入っている。

この矛盾に関しては、「闇雲に使うと多少厄介な代物止まりだが、相性や状況に合わせて宝具を適切に使う事で真価を発揮する宝具である」という解釈が存在する。
※ちなみにこの解釈は英霊エミヤの個人スキル「心眼(真)」の存在にも補強されている。
まずは死にそうになりながらでも打ち合う。敵のステータス(出来れば真名)を解明して、そこから有効な手段を見極めて反撃にかかる。
何しろ無限の剣製の手札の数は無限に近いので、有効な武器(あるいは組み合わせ)はほぼ確実に用意出来るのだ。
未知の敵でも1~2ターン打ち合って生き延びれば相性有利武器や特効武器を持ち出して反撃できるその特性は、
ファイアーエムブレムのマスターナイトと預かり所が一体化したユニットと呼べば理解しやすいかもしれない。
あるいは、劇中では士郎は色々な宝具(の原型)を用いるギルガメッシュの『王の財宝』と相対したことで、
アーチャーは生前・死後の戦いを通して多くの宝具を目にしていたと思われることで、固有結界内に多種多様な宝具の情報が登録・蓄積されているが、
そういった「経験」をないものとして考え、『無限の剣製』の能力のみで戦うという前提で評価した場合、
敵サーヴァントに対抗するには、そのサーヴァントの持つ宝具を「投影」するしかないが、
『無限の剣製』で投影した宝具だけでは本来の担い手が振るうオリジナルにはまず勝てないとされているため、多少厄介という上述の評価も妥当と言える。

特例としてギルガメッシュに対しては有効とされており、
それは『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』にとって『無限の剣製』が天敵と言えるほど相性が悪いことに由来する。
大雑把に言うと、「大量の宝具を操る」という点は同じだが、
目当ての宝具を探して引っ張り出す必要のある『王の財宝』とは違い、『無限の剣製』は「既にそこにある」ので、宝具を出すタイムラグが無い。
また、ギルガメッシュはあくまで「所持している」というだけなので、その宝具を本来の担い手が振るった時ほどの能力は引き出せないが、
アーチャーと士郎の『無限の剣製』による投影では、宝具のみならず、それを振るってきた担い手との戦闘経験も読み取ることである程度ならば再現できるため、
同じ宝具(の原型or投影)を用いる場合は、後者の方がより能力を引き出し、使いこなせるアドバンテージもある。

原作ではアーチャーよりも未熟な士郎の展開した『無限の剣製』ですら、ギルガメッシュと互角以上に立ち回れたことからも、その相性の悪さがうかがえる。
新たに発売されたアニメのビジュアルガイドでは、「音速の斬撃を繰り出すのが当然のサーヴァントが相手」で、
かつ「セイバーですら通常の斬撃で圧倒は出来るがすぐには仕留められない腕前のギルガメッシュ」に士郎が勝利を納めた理由の一つとして、
『士郎が十年前の言峰同様、人生で最も輝いていた瞬間(サーヴァントでいう「全盛期」)であり、通常より遥かに身体能力が向上していた』という若干無理のある説明がされた。
もっとも、これはギルガメッシュが想定外の事態に焦っていたことなども勝利の要因らしく、士郎曰く「相手が冷静になったら敗ける」とされている。

14年版アニメにおけるビジュアルガイドでは、ギルガメッシュは意地を張って、士郎相手ではCランクの宝具しか使おうとしないためだとされている*9
高ランクの宝具にもなればなるほど複製に時間がかかり、さらに投影・使用する際の魔力消費も多大なものとなるため、
もしバーサーカーの時と同様にAランクなどを使用していた場合、ビジュアルガイド曰く複製に時間が掛かってしまい追いつかなかったとのこと。*10
もっともこれはアニメでの話で原作でも同じかは不明。

なお、2015年時点で、
  • 音速域で斬りかかる英霊の攻撃に対して、無手の状態から後出しで武器を出して防御しても十分間に合う程『王の財宝』のタイムラグも短い
  • 本気を出せば千を優に超える宝具を瞬時に展開してのけた
等の描写(どちらも別の土地での話ではあるが)から、現在ではこの相性論に関しては疑問の声も挙がっている。
とはいえ、アーチャーが唯一自身の正体看破をおそれず全力を出せる状況になったUBWルートでもアーチャーはマスター不在で魔力が不十分な状況であり、
未熟な士郎ではなくアーチャーが十全に無限の剣製を操ったことが本編ではなかったことも相性論では考慮する必要がある。

他にも、「戦術やプライド的にも奥の手である乖離剣を抜く前に、高ランクの宝具を使用するのではないか」とか、
「投影出来る物は白兵戦武器に類するもの(とせいぜいが防具程度)なので、ギルガメッシュの方は投影出来ない宝具の原典を多数所持しているはずである」とか、
色々突っ込みどころがある解説だが、きのこの設定や解説があてにならない・なかったことにされるのはよくあることなので話半分に聞いていたほうがよい
???きのこの言うことを信じるやつは型月ファンとして二流」(「だけどコハエースのいうコトを信じてるようでは型月ファンとしては三流!!」)
…一応解釈のひとつとして、タイムラグが0.1秒だろうが0.01秒だろうがそれ以下だろうが「既にある=完全な0秒」相手では出遅れているのは確かなので、
前述の「士郎側は全盛期で身体能力が向上していた」という設定と併せれば「むしろ音速レベルで戦うからこそ、その刹那の差が致命的だった」という見方も無くもない。多分。

また、あの慢心が体の一部である英雄王ではまずありえないが、切り札たる乖離剣は投影不可能なこともあり、最初から持ち出されたらまず勝てない。
しかし、ギルガメッシュにとって「大事なものは命ではなく自分の伝説をかたどってきたもの」であり、
乖離剣エアを使いたがらないのも「格下相手にエアを使っては今までエアに破れてきた勇者達に顔向けできない」という理由が存在するため、
たかだか「雑種」に過ぎない士郎に対して乖離剣を抜いてしまえば、例え彼を殺したとしても、自分が殺されるより重い敗北として屈辱を味わうとのこと。
凛√では士郎の優勢に焦ったギルガメッシュが『王の財宝』から乖離剣の柄を取り出したが、それを見た士郎が咄嗟に柄を掴んだ手を腕ごと断ち切って使用を阻止しているが、
14年版アニメではこの設定を意識してか、ギルガメッシュが取り出した乖離剣の柄を掴むのを、まるで使用を躊躇うように一瞬躊躇し、その隙に腕を断ち切られて阻止されている。

Fate/EXTRA CCC』などの後付けでどんどんとんでもないことになっている王の財宝』の多種多様な宝具ならば、『無限の剣製』の打破自体は可能と思われるが、
「格下」の「雑種ですらない贋作」である士郎相手にギルガメッシュが本気を出すこと自体が、上述の通りギルガメッシュには敗北に等しいため、
「本気を出すことそのものが非常にハードルが高い」ということが、士郎や彼の『無限の剣製』がギルガメッシュにとって相性の悪い相手である理由と言える。


『エミヤ』

”無限の剣製”を使用する際に流れるBGMは『エミヤ』という曲で、神曲と名高く、アニメや劇場版、『EXTRA』等、士郎やアーチャーが関係する作品でほぼ毎回アレンジが作られている。
もちろん展開時でなくとも流れるが、ほとんど士郎の投影魔術の使用時やクライマックス。

幾度もアレンジが作られているが、この曲が流れると英霊エミヤは誰が相手であっても『必ず負ける』ある種の処刑BGM。『EXTRA』では真名も曲のタイトルも変わっているのでノーカン。
一方で彼以外の戦闘、例えば士郎の戦闘時で流れた場合はほぼ勝ちが確定する、『約束された勝利の曲』。逃したのはUBWの最後の金ぴか戦でハプニングが起こったぐらい。

何故かNHKのスパコン特集の終盤にこの曲が流れた事がある。


【メディア展開において】

TVアニメ『Fate/stay night』

VSバーサーカーにて発動。発動後、バーサーカーと相対すると同時に暗転、凛の令呪が消え去りアーチャーの運命が暗に描写される。
敗北したものの、バーサーカーのライフストックを6つ奪う事に成功した。

TVアニメ『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』

放映当時、アニメオリジナル要素として士郎の心象風景は青空らしき描写が存在したが、BDでは修正されている。

『EXTRA』

アーチャーの宝具として登場。詠唱はフルボイスではないが、演出はかっこいい。
その効果は「投影スキル(投影宝具での攻撃)の威力を引き上げる」というもの。展開中に放たれる『偽・螺旋剣』や『鶴翼三連』の威力は半端ではなく、まさにトドメ専用宝具。
展開して投影宝具を連発し、『錬鉄の英雄』の本懐を魅せてやろう。

ただ、キャス狐の宝具と違ってスキルに必要なMPはしっかり消費する。下手すると展開したのにMPが足りなくて投影スキルが使えない、なんてことも。
またこの宝具を使った手では相手も普通に行動をとるため、相手のガードに合わせるなり、スタンで補助するなりしてやらないと、
下手をすれば「BGMが流れて敗ける」なんていう無駄な原作再現をするハメになる。ご利用は計画的に。

続編の『EXTRA CCC』では、上記のとおり無限の剣製発動中のみ使用できる新技『永久に遥か黄金の剣』を取得する。
名前で察しがつくと思われるが、エクスカリバーを投影して敵を斬りつけるという超火力技。
夢とロマンにあふれ、性能も申し分ないが、MP消費量はギルガメッシュの『乖離剣・エア』(消費MP150)に次ぐ120。キャスターもびっくりである。
さらにギルガメッシュのようにMPの時限回復スキルも、キャスターのように消費MPをチャラにする宝具も持たない為、
1発だけならまだしも、連発して使うにはよほどレベルを上げない限りマスターによる補助が必要不可欠。


無銘ver詠唱(Fate/EXTRA Record)

体は剣(けん)でできている

その体は鉄と炎

戦場を選ばず

折れる事はなく

築く事はなく

勝利を分かつ事もなく。

故に、生涯に意味はなく

その体は、きっと剣で出来ていた。

"UNLIMITED BLADE WORKS"

プリズマ☆イリヤ

アーチャーのクラスカードとしてエミヤ(の能力)が登場。
夢幻召喚(インストール)』によってアーチャーのクラスカードと一体化したイリヤと、
アーチャーのクラスカードを寄り代にイリヤから分離したクロが使用している。
クロはクラスカードと常に一体化しているために使えてもおかしくはないが、アーチャーの「真名」を知らないためか『無限の剣製』は使用していない。

後に登場した、原作に近い並行世界の衛宮士郎(ファンからの通称は美遊兄)は投影魔術に加え、
彼自身のモノローグや敵のセリフから『無限の剣製』の展開も可能なようだが、その時は諸事情により展開できなかった。

……しかし、後に語られた回想編にて判明したことによると聖杯への願いによって美遊を送り出したのち、アンジェリカとの決戦で使用。
カードの英霊に浸食されることで限定的に使用可能となったとのこと。結界内の大半の剣はエミヤから得た情報によるものと思われる。
アンジェリカがイガリマとシュルシャガナを使った際には目視直後にハリボテ品を投影し、ぶつけて軌道をそらしている。
その心象風景は「無数に剣が突き刺さり、星が見えずかろうじて上弦の月が士郎を照らす闇夜の雪原」という、詠唱もエミヤや本編士郎のものとは違う、非常に衝撃的な光景であった。
『PRISMA material/pre』では、回想におけるアンジェリカとの戦いで、士郎が固有結界を展開・更には使いこなし、ハリボテとはいえイガリマとシュルシャガナを投影したことなどについて、
聖杯(美遊)の加護を受けていたためと説明されており、美遊が別世界に飛んだ後、魔力パスが途絶えて固有結界を維持できなくなった。

そして時間軸的には後の本編内にて再度イガリマを投影、ジュリアンの元への架け橋として利用し、彼の元へ向かおうとするも立ち塞がるアンジェリカと再戦。この戦いで固有結界を再び使用しようとしたが、先の加護がなかったことや、本人の発言からするに、
「英霊エミヤへの置換」という侵食による拒絶反応やすでに体がボロボロだったことで体が耐えきれずに失敗に終わっている。


美遊兄ver詠唱

体は剣で出来ている。
(I am the bone of my sword.)


血潮は鉄で心は硝子。
(Steel is my body,and fire is my blood.)


幾たびの戦場を越えて不敗。
(I have created over a thousand blades.)


たった一度の敗北もなく、
(Unaware of begining.)


たった一度の勝利もなし。
(Nor aware of the end.)


遺子はまた独り。
(Stood pain with inconsitent weapons.)


剣の丘で細氷を砕く。
(My hands will never hold anything.)


けれど、
(───yet,)


この生涯はいまだ果てず
(my flame never ends.)


偽りの体は、
(My whole body was)


それでも
(still)


剣で出来ていた───!!
(“unlimited blade works”)

Grand Order

エミヤの宝具。詠唱はやはり省略版だが、使用時にはちゃんと『エミヤ』が流れる特別仕様。
ゲーム内ではBuster属性の防御無視の全体攻撃で、相手の攻撃がダウンする。宝具強化があるので忘れずに強化しておこう。
全員に多段ヒットする上にエミヤ自身がスター発生率アップのスキルも持つため、Buster宝具にも関わらずQuick宝具並にクリティカルスターがいっぱい出る。
本人的には水と油に近い英雄王は同じアーチャー故に周回でまとめて起用されることが多いのに加え、
強力なスター集中率アップスキルを持つため、2wの敵をエミヤで一掃しつつ星を出し、3wの敵に乖離剣をぶちかましてそれでも生き残る相手には
スターを全部吸い上げたギルガメッシュがクリティカルを叩き込んでトドメ…という流れが使いやすく強いため、何気に相性は良い。

魔術→投影魔術→回路接続という2段階のスキル強化を経て、スキルに宝具のカードタイプを変更するという効果が追加。
Buster宝具であるのをArts宝具に変更する事ができ、これによりスターが出にくくなるものの、宝具の攻撃そのものでNPを回収できる。
元からArtsやQuickの宝具である他キャラと違い、宝具によるNP回収率を全くイジらないで宝具タイプ変更能力が備わったため、
このスキルの効果を載せた1発のみではあるが凄まじい量のNPを回収して連射する事が可能。

ちなみにモーション改修時に宝具演出も変わっており、改修後はアニメUBWのような豪華演出に変わっている一方、旧モーションでは投影した剣の中にしれっと『偽・螺旋剣』が混ざっていた。

後に追加されたエミヤ・オルタの宝具も同様に"無限の剣製"だが『"の剣製(アンリミテッド・ロストワークス)"』と読みが異なるほか、『限』の部分に傷のようなものが入っている。
この宝具は「固有結界を内包した銃弾を敵に撃ち、内部で破裂させる」という凄惨なもの。
また一瞬だけ映る固有結界の心象風景は「黒い荒野と血のように赤く染まった空、そしてひしめく巨大な歯車の動きを鎖が縛っている」という、これまでの三人とはまた違う光景。
こちらはArts属性の防御無視の単体攻撃である。


【余談】

  • 他者が”無限の剣製”は使えるのか?
ロマンに溢れる性能や詠唱のせいか、web小説では「ぼくのかんがえたさいきょうのしゅじんこう」に付加される能力の最右翼にあげられる。

これについて設定上、固有結界は「術者の心象風景を展開する」という理由から、“無限の剣製”を展開できるのは事実上「衛宮士郎」だけであり、
また、HFルートにおいて、上述の通り元は同一人物でありながらも「心象風景が違う」ためにエミヤの“無限の剣製”は士郎には使えないとされている*11ため、
設定を重視するならば、“無限の剣製”そのものは「衛宮士郎」にしか使用(展開)できないとするのがおそらく正しいと思われる。

ただし、『Zero』においてイスカンダルの宝具『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』は、展開する際の号令こそイスカンダルがかけるが、
固有結界の維持は、同じ心象風景を持つが故に召喚された王の軍団全員で行っているという特殊な例がある他*12
ホロウのミニゲーム『花札道中記』においてイリヤが「固有結界は継承可能」という言葉を発しており、
Fate/Grand Order』のイベント「魔法少女紀行 ~プリズマ・コーズ~」では実際に引き継ぎが行われたりするなど、
流石に誰でも使えるわけではないだろうが、一概に「衛宮士郎にしか扱えない」とは限らないのではないかという声も上がっている。


───そうだ、剣を作るんじゃない───

───俺は、無限に剣を内包した世界を作る───

───それだけが、衛宮士郎に許された魔術だった───




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最終更新:2024年03月14日 22:18
添付ファイル

*1 明らかにオリジナルに能力面で劣っているなら一方的に砕かれると思われる。

*2 そもそも『SN』ではそれらと対峙していないが

*3 凛√では凛との間にパスを繋ぎ、彼女から魔力のバックアップを受けている。

*4 外見もそうだが、魔術的に解析しても本物と相違ないため

*5 通常の魔術行使で構造把握を行う際にはわざわざ設計図まで把握する必要はなく、要点だけ読み取れればいいため。

*6 忘れられがちだが「英霊エミヤ」と「衛宮士郎」は違う世界、違う人生を歩んだ(またはこれから歩む)「別人」である。固有結界が心象風景の具現化である以上、たとえ起点が同じであろうが、たとえどれほど似通った性質であろうが、別人とまったく同じ心を持ち合わせることは不可能。

*7 原作での士郎曰く、「ギルガメッシュにはあるが自分にはそれだけの身体能力がない」とのこと。実際同じ戦法で筋力以外はエミヤとステータスに差がない冬木でのギルガメッシュは英霊殺しと言われるまでの強さを見せている。投影宝具と原典宝具の違いも含めても、あくまで人間である士郎の戦法にのみ当てはまるものだろう。

*8 ただし、これを忠実に再現すると強すぎるため、後に耐性獲得に改められ、さらにFate原作一つを取って見ても描写には非常にブレがある

*9 士郎の見立てではそのランクならば、アーチャーなら同じ物をぶつけずとも双剣で切り払えるとのこと

*10 尤も、投影に要する時間に関しては昔からゲームの中で本人が指摘していたことであり、だからこそ、莫大な消費がかかっても所要時間の問題を全て取り払える固有結界を展開する必要があった。

*11 後日談では凛が「訓練すれば使えるようになる」と称しているが、これは「衛宮士郎の“無限の剣製”」を使えるようになるというニュアンスだと思われる。

*12 英霊の座に号令をかけられるのは「イスカンダル」のみと思われるが、その影武者をしていたフェイカーも(固有結界のランクは落ちるが)号令はかけられる。