ヒラメキ・プログラム(デュエル・マスターズ)

登録日:2014/11/24 (月) 17:52:50
更新日:2023/06/24 Sat 18:40:18
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《ヒラメキ・プログラム》とは、デュエル・マスターズのカードである。


概要

デュエマで「プログラム」と聞くと、かつて様々なコスト踏み倒しデッキを生み出し、現在はプレミアム殿堂入りしてしまっている《転生プログラム》を思い浮かべるだろう。
転生プログラム R 水文明 (3)
呪文
S・トリガー
クリーチャーを1体選び、破壊する。そうした場合、そのクリーチャーの持ち主は、自身の山札の上から進化ではないクリーチャーが出るまでカードをすべてのプレイヤーに見せる。そのプレイヤーは、出たクリーチャーをバトルゾーンに出し、表向きにしたそれ以外のカードを持ち主の墓地に置く。
確かに《ヒラメキ・プログラム》もまたコスト3水文明コスト踏み倒し呪文なので似てると言えなくもないが、その実効果は全く違うものとなっている。

ヒラメキ・プログラム R 水文明 (3)
呪文
自分のサイキックではないクリーチャーを1体破壊する。その後、自分の山札の上から、その破壊されたクリーチャーよりコストが1多いクリーチャーが出るまで、カードをすべてのプレイヤーに見せる。そのクリーチャーをバトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。

最初は「ん?」と思う人がいるかもしれないが、要するに「破壊したクリーチャーよりコストが1大きいクリーチャーを踏み倒す」というものである。

《転生プログラム》の強みであった「軽量クリーチャーを切り札級の重量級クリーチャーに変化させる」ということができなくなってしまったのだ。

サイキック・クリーチャーを指定できないのは、サイキック・クリーチャーは覚醒させることで簡単にコストが大きいクリーチャーを確保できてしまうためである。
ただしエピソード2の呪文なので、後に登場した、サイキックと同じように裏返ることでコストが大きいクリーチャーになるドラグハート・クリーチャーは破壊対象にすることができる。

転生プログラムとの違いは他に、
■「S・トリガー」がついていない
相手のクリーチャーに使用することができない。
■外れたカードは山札に戻してシャッフルする
■条件を満たせば進化クリーチャーも踏み倒せる
■めくったクリーチャーを出せるかは任意
等があげられる。

なお、同じ会社のMtGにも似たような効果を持つ《出産の殻/birthing pod》というカードがある。
おそらくこの《出産の殻》をデュエマ用に調整したのが《ヒラメキ・プログラム》である。
《殻》との明確な違いは「殻はデッキからサーチして持ってこれるのに対してこちらは最初にめくれたカードをランダムに踏み倒す」ところか。
他にも両者の細かい違いなんかを調べてみると面白いかもしれない。

使い方

《ヒラメキ・プログラム》(以下ヒラメキ)をメインに据えたデッキを組む場合、構築の段階で気にしなければならないのはマナコストである。
上記のとおり《ヒラメキ》で踏み倒せるクリーチャーはデッキをめくって無作為に決定されるため、踏み倒したいクリーチャーのマナコストと同じコストの別のクリーチャーが踏み倒される可能性もある。
そのため、マナコストが被る他のクリーチャーは、可能であればデッキに入れるべきではない。

次に「如何に生贄となるクリーチャーを早く召喚できるか」である。
コストが重いクリーチャーを踏み倒すにはそれに相応しいコストのクリーチャーを破壊しなければならないので、せっかく踏み倒しのために重いクリーチャーを入れても《ヒラメキ》を撃つ前にマナがたまらず負けてしまったり、逆に《ヒラメキ》を使わなくても普通に召喚できてしまったりすることもあるかもしれない。

これは踏み倒す生贄に何かしらのコスト軽減やコスト無視能力を持つクリーチャーを選ぶことである程度解消できる。
コスト無視能力としてはS・トリガー、ストライク・バック、G・ゼロや、面白いところではドロン・ゴーなんかも有効かもしれない。

なお、このカードを使いクリーチャーを踏み倒すことを俗に「閃く」ということもある。

主な悪行デッキタイプ

ヒラメキスネーク(以下ヒラスネ)

かつてトップメタの一角を占めたデッキ。
正確には「ヒラメキドレーン」と呼ばれるデッキで、フィニッシャーによって《ヴォルグ・サンダー》を使うライブラリアウト型と《偽りの名 スネーク》を用いたワンショットキル型に分類されるが、ここではワンショットキル型を解説する。

偽りの名(コードネーム) スネーク VR 水/闇/自然文明 (8)
クリーチャー:アンノウン 11000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを1枚引き、その後、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の墓地のカードを裏向きにしてシャッフルし、山札の一番下に置く。
W・ブレイカー

このスネーク、普通であればコスト8支払って出したところでそれほどうまみはなく、かといって墓地などから引っ張り出そうとすると対応カードが《魔龍バベルギヌス》ぐらいしかないため、出た当時はそれほど高評価はされていなかった。

しかし《ヒラメキ》の登場によってにわかに勢力を拡大し、一気にトップメタに上り詰めた……

わけではなかった。

この頃のトップメタには「カレーパンはどこじゃあ!」と叫びながら相手のデッキを貪り食うアイツが君臨していたため、ドローとマナブーストでアドを稼ぐこのデッキでは相性が悪く、それほど流行らなかったと思われる。

厳密にはこの動きのデッキタイプは存在してはいたのだが、ヒラスネ型ではなく安定して勝てるライブラリアウト型の方が主流だったようだ。(この辺情報が定かではないので知ってる人修正お願いします)

しかしカレーパンのお預けを喰らってご機嫌斜め気味にデッキを食いまくる《ヴォルグ・サンダー》に対して、天敵ともいえるカードが登場した。


何処からでも墓地に落ちればデッキを回復できるこのカードの登場によって、ライブラリアウト戦術は安定しなくなりトップメタからは退場。
そしてコンボパーツが再録で手に入りやすくなったこともあって、代わりにヒラスネ型が流行することとなった。

メインのコンボパーツとしては《ヒラメキ》以外に以下のカードが存在する。
デビル・ドレーン R 闇文明 (3)
呪文
自分のシールドを好きな数、自分の手札に加える。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
デッキ名の「ドレーン」の部分に当たる重要カードで、基本的には盾全部手札に加えてコンボパーツの回収に使われる。

そして《ヒラメキ》を撃ち込むコスト7の生贄には次の3種類が選ばれた。
光姫聖霊ガブリエラ SR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/メカ・デル・ソル 7000
G・ゼロ-自分のシールドが1枚もなく、バトルゾーンに自分の《光姫聖霊ガブリエラ》が1体もなければ、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。
W・ブレイカー
相手のクリーチャーの攻撃によって、相手がゲームに勝つ時、かわりにこのクリーチャーを破壊してもよい。そうした場合、相手はゲームに勝たず、このターン中クリーチャーは攻撃できず、自分の次のターンの終わりに自分はゲームに負ける。

予言者ローラン R 光文明 (7)
クリーチャー:ライトブリンガー 2000+
このクリーチャーを召喚するコストは、自分のシールド1枚につき1少なくなる。ただし、コストは1より少なくならない。
自分のシールドが2枚以下の時、このクリーチャーのパワーは+4000され、「ブロッカー」を得る。

予言者プロキオン R 光文明 (7)
クリーチャー:ライトブリンガー 2000
Sバック-光
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
このクリーチャーが破壊される時、墓地に置くかわりに手札に戻す。

《ローラン》は2ターン目に出せる、《ガブリエラ》は上記《ドレーン》でG・ゼロで出せる、《プロキオン》《ドレーン》でシールドを手札に加えるときにストライク・バックを発動させて出せる、とそれぞれ早期に出せる上に全員なにかしらの防御能力を持っているため、《ドレーン》で盾をゼロにしてもなんとかなる。

そして次のターンで上記いずれかをヒラメいて《スネーク》を出し、さらに《巡霊者ウェビウス》《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》などのG・ゼロもちクリーチャーを大量展開、最後に《ダイヤモンド・ソード》で一斉攻撃したり、《緊急再誕》を使って《ガブリエラ》《聖霊王アルファディオス》に進化させて殴るのがヒラスネの流れである。

ドローカードが多めに積まれたためこの手のコンボデッキにしては割と安定しており、爆発力も凄まじい。
加えてこのデッキの仮想敵として想定されていたのが、公式が送りだしてしまったわぁい!ショットキルコンボデッキ「メルゲループ」なので早さも十分。

そして構築面で入手が難しかった《デビル・ドレーン》が、開発部のヒーローズカードとして黒箱に再録されていたため、以前より入手に苦労することはなくなった。

そんなわけで、メルゲループが早々に規制されて環境から一歩引いてからも環境で暴れ続けたヒラスネだったが、2014年5月の殿堂入りで《ドレーン》《ローラン》が制限されてしまったため、安定性が目に見えて低下。ようやく環境から退くこととなった…。



……と思っていたのか!? コンボパーツなりえるカードはその程度で環境から退きはしない!
超天篇ではこのカードをフルに生かし、僅か3ターン目に勝敗を決定づける極悪デッキ【ウォズレックバジュラズテラ】が誕生したのである!

まずは手札のコスト3以下呪文を唱える《ミラクル1 ドレミ24》から、墓地にあるコスト3以下の呪文を一度に二枚唱えた上で山札に戻す《サイバー・K・ウォズレック》にヒラメキ(一回目)、山札にあるコスト4以下の呪文を唱える《龍素記号Og アマテ・ラジアル》へ変換。そして《アマテ・ラジアル》からコスト8の《クイーン・アマテラス》にヒラメキ(二回目)、ターン終了時墓地のクリーチャーを一気に蘇生させる《Dの地獄 ハリデルベルグ》を山札から出す!
こうして《ドレミ24》と《ウォズレック》、《アマテ・ラジアル》をターン終了時に蘇生させ、《クイーン・アマテラス》をタネに《超竜バジュラズテラ》にヒラメキ(三回目)相手のマナを壊滅させる!こちらのマナも壊滅状態になるが、切り札が大量展開されているので勝負あり!


やはり、《ヒラメキ・プログラム》はプレミアム殿堂にするしかありませんでした…。
山札から切り札出すのって凄いんだなぁ。

なお、ヒラメキは踏み倒しであるため言うまでもなく《異端流し オニカマス》などを始めとした踏み倒しメタを立てられると何もできなくなるが、当時の環境は踏み倒しメタの効かないGRクリーチャーを主体としたデッキが支配していた関係で既存の踏み倒しメタは軒並み採用率が落ち込んでおり、その隙につけ込む形で《ヒラメキ》も活躍できたのであった。


スーパーデッキMAX

「シンカイサーチャーの力を借りれば確実にパワーアップできる!と、カツドンは突如ひらめいたのだった。」
(《シンカイサーチャー》のフレーバーテキスト)
アウトレイジめ余計な事を....
これ以前から数えて2年ぶりに発売されたスーパーデッキ、「スーパーデッキMAX カツキングと伝説の秘宝」は、このヒラメキがデッキのメインコンボパーツとなっている。
フレーバーテキストにも書いてあるくらいなので、恐らくメーカーも想定したデザイナーズコンボである。

それに相応しく、ヒラメキは最初から3枚入っているので、ガンガンひらめいていこう。

無(アウト)敵(ロー) ドン・カツドン P 火/自然文明 (5)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 2000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
パワーアタッカー+3000
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《無敵》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《無敵》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。

シンカイサーチャー VR 水文明 (6)
クリーチャー:ブルー・モンスター 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札を見る。その中からカードを1枚選び、手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。

無(アウト)敵(ロー)剣(カリバー) カツキングMAX P 火/自然文明 (8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー8000以下のクリーチャーを1体破壊する。
自分のターン中、クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから召喚してもよい。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《無》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《無敵》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。

《ドン・カツドン》に《ヒラメキ》を撃ってコスト6の《シンカイサーチャー》あるいは《蒼狼の始祖アマテラス》をバトルゾーンに、《サーチャー》の効果、あるいは《アマテラス》の効果で唱えた呪文で《カツキングMAX》を手札に呼び、そのままドロン・ゴーさせるというデザイナーズコンボ。
このためこのデッキのS・トリガーにはコスト6《アクア・サーファー》ではなく、出したときに自壊させなければ効果は使えないがコスト5《アクア・バースター》が採用されている。

もし《ドン・カツドン》をヒラメいたときに《カツキングMAX》が既に手札にあれば、《サーチャー》で2体目の《MAX》を持ってきてもいいし、さらに強力なドロン先である《無(アウト)法(レイジ)伝説(ビクトリー)カツマスター》を持ってきてもいい。
《アマテラス》の場合はさらに《ヒラメキ》をサーチし、《MAX》をさらにヒラメいて強力な9コスト域のクリーチャーにアクセスするのもアリ。
ちなみにスーパーデッキ無改造の場合は、《アマテラス》《サーチャー》をヒラメくと《ボルバルザーク・エクス》あるいは《ガンリキ・インディゴ・カイザー》につながる。

《MAX》の性能は構築済みデッキの切り札にしては珍しいシステムクリーチャーだが、元来のシステムクリーチャーが抱える「場持ちの悪さ」を、標準的なパワーとドロン・ゴーによってある程度補っている優秀なクリーチャーで、エグザイルクリーチャーとしては唯一環境入りを果たした。

ヒラメキナッツ、ヒラメキモエル


上記スーパーデッキMAXのように、破壊されることで能力を発揮するクリーチャーと《ヒラメキ》の相性は抜群である。
そのことを利用したコンボデッキもいくつか存在する。

真実の名(トゥルーネーム) ナッツ・スパゲッティーノ R 自然文明 (7)
クリーチャー:ジャイアント/アンノウン 7000
W・ブレイカー
このクリーチャーが破壊された時、自分の山札を見る。その中から好きな枚数の進化ではないクリーチャーを、コストの合計が6以下になるように選び、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。

鬼の襲撃(ラブアタック) モエル UC 火文明 (6)
クリーチャー:ヒューマノイド/ハンター/エイリアン 2000+
パワーアタッカー+4000
W・ブレイカー
このクリーチャーが破壊された時、自分の山札を見る。その中から、コスト8以下の進化ではないハンターを1体選び、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。

エピソード2で登場した上記2体は、破壊されると山札からクリーチャーを呼べる。
特に《ナッツ》は開発部にてわぁい!されたこともあるので興味があったら調べてみてほしい。


総じてかなりコンボ向きのカードであり、カードプールが増えるたびに実用性の有無を問わず様々な悪巧みが閃かれているだろう。



似たようなカード

転生スイッチ R 水文明 (5)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。その後、そのプレイヤーは、選ばれたクリーチャーよりコストが小さいクリーチャーを1体自身の手札から選び、バトルゾーンに出してもよい。

《ヒラメキ》と同じく《転生プログラム》の調整版であろうカード。
コストは増え、破壊ではなく手札に戻し、さらに戻したクリーチャーより軽いクリーチャーしか出せなくなっているが、サイキックを指定できるので大型の踏み倒しは割と容易。
出たのはこっちが先。

蹴断の閃き(ヒラメキック) マトリクス VR 水文明 (6)
クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体破壊してもよい。そうした場合、相手は、自身の山札の上から、破壊されたクリーチャーのコスト以下の進化ではないクリーチャーが出るまで、カードをすべてのプレイヤーに見せる。相手はそれをバトルゾーンに出す。その後、相手は自身の山札をシャッフルする。
W・ブレイカー

出したときに相手のクリーチャー1体を破壊できるが、そうした場合相手は破壊されたクリーチャー以下のコストのクリーチャーを踏み倒せてしまう。
「より小さい」ではなく「以下」なので、下手すると破壊したクリーチャーと全く同じクリーチャーが出てくるかもしれないし、破壊したクリーチャーのコストによっては更にヤバい奴が登場しかねないのでまず使われない。
一応相手がクリーチャーを踏み倒すのは強制なので、相手のデッキを地味ーに破壊できないこともない。


百発人形早撃人形「「追記・修正したければ、代償は支払わないとな。」」

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最終更新:2023年06月24日 18:40