宗谷本線

登録日:2014/11/21 (金曜日) 17:06:59
更新日:2023/10/24 Tue 19:33:15
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宗谷本線(そうやほんせん)は、旭川駅から稚内駅を結ぶJR北海道の鉄道路線(地方交通線)である。

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路線総延長259.4kmとJR北海道の路線の中では3位であり、日本の全地方交通線の中で日本最長の長さを持つ路線である。
(幹線を含めると山陰本線が日本最長、全路線の中で最長は東北新幹線
古くは明治時代に樺太との連絡鉄道として建設が進められ、終戦まで北海道と南樺太を結ぶ大動脈であった。
その為、戦時中も本数を減らされる事無く優遇され、樺太との連絡路線の役目を喪失した後も道北とその周辺を結ぶ路線としての役目を果たしており、支線が相次いで廃止された後の2000年に高速化と特急運転開始され、2003年には旭川駅高架化と周辺地区再開発による運転所の移転に伴い3駅だけ電化された。
但し、高速化は旭川~名寄間のみである。この区間は特急以外にも快速「なよろ」が運行されているため、多少は優遇されている。
対して高速化されていない名寄~稚内は普通列車1日4往復、特急を合わせても7往復しかない。
特に音威子府~幌延間は特急と普通列車がそれぞれ3往復のみとなっている。

因みに北海道でも指折りの秘境地帯を走行する為、人身事故の死者よりも動物の接触事故による死亡数の方が多かったりする…。
2021年3月ダイヤ改正以前は牛山氏による全国秘境駅ランキング200駅のうち、
  • 約1割に当たる23駅がランクインする
  • TOP50位内の中に絞れば2割に当たる13駅がランクインする
  • 糠南~南幌延は5駅連続で秘境駅
など、
文字通り「秘境駅の宝庫」の二つ名に相応しい路線だった。
つーか永山以北は特急停車駅以外ほぼ秘境駅。

2016年夏ごろにいくつかの秘境駅に廃止宣告が出されたが、自治体がそれの協議を拒否したり維持管理費を負担する姿勢を取ったりした為、一旦は全駅が存続することになった。
しかし2021年3月以降は、いくつかの駅が廃止となっている。

2019年現在、JR路線として最北端を走る路線である。

2019年4月からは稚内~幌延間で佐川急便と地元のタクシーが連携した貨客混載事業を始めている。

使用車両

キハ261系0番台…特急「宗谷」「サロベツ」で使用。半室グリーン車の4両編成が基本で、車体傾斜装置が採用されている。(特に冬は)時々故障することがある。

キハ261系5000番台…特急「宗谷」「サロベツ」で使用。常に運用に入るわけではなく、他線区に投入される月もある。使用される列車はJR北海道のホームページに記載されている。

キハ183系5200番台…「ノースレインボーエクスプレス」というジョイフルトレインで、2階建て車両付きの5両編成。
定期運用に就いているわけではないが、時々故障する261系に代わって「宗谷」「サロベツ」の代走をすることが多い。

キハ40系…旭川~音威子府間の普通列車で使用される。通常は音威子府以北には入線しないが、臨時急行「花たびそうや」などで全線運行した実績はある。
H100形導入により数を減らしつつある。

キハ54形…全区間で使用。急行「礼文」で使用されていた急行仕様もあるが、現在は区別なく運用されている。

H100形…旭川〜名寄で運用。

DF200形…旭川~北旭川間の貨物列車で使用。

過去の使用車両

キハ183系
2017年3月まで特急「サロベツ」で使用。寝台車を連結して夜行の特急「利尻」に使用されていた時期もあった。

駅一覧

  • 旭川
函館本線石北本線富良野線乗り換え。
始発駅。日本最北の有人高架駅でもある。
上川総合振興局(旧上川支庁)所在地で、上川地方の中心かつ道内第2位の人口を持つ旭川市の代表駅。
旭山動物園などの観光施設も周辺に多く、それらへのバスも発着する。
ここから2駅隣の新旭川駅まで電化されており、JR最北端かつ最東端の電化区間である。
しかし、旭川運転所が北旭川駅隣接地にあるのに伴う列車の出入庫の為にあるので、営業運転には使用されない。

  • 旭川四条
四条とある様にブロック上に区分けされた旭川市の住宅街のど真ん中にある無人高架駅。
当然利用客も多い。
一部の快速が停車。
かつては日本最北の路面電車・旭川電気軌道の起点だった。

  • 新旭川
石北本線とはここで分岐する。ここまでは旭川の市街地にある為、利用客も(路線内では)多い。

(・北旭川)
JR貨物の駅かつ日本最北の貨物駅。宗谷本線はここから非電化・単線となる。

  • 永山
旭川市永山地区の中心駅である為、駅の東口は市街地で栄えている。
快速停車駅・交換可能駅で当駅発着の列車あり。

  • 北永山
一部の普通列車が通過。北海道旭川農業高校最寄り駅。

  • 比布
比布町の代表駅で快速停車駅・交換可能駅。
読み方は「ぴっぷ」で、かつてピップエレキバンの広告に使われて話題を呼んだ。
無人駅だがカフェが入居している。
一部列車は当駅発着。

  • 蘭留
一部快速停車し交換可能。
らんらんるーらんる」と読む。
マクドナルドが近くにあるわけではない、最寄り永山だし。

  • 塩狩
一部快速の停車駅だが、牛山氏の全国秘境駅ランキング87位。交換可能。
この駅付近には塩狩峠があり、かつて長野政雄という人物が、旅客列車の連結器が外れて客車が暴走しかけたとき、自らの命を犠牲にして暴走を止めた事で有名な駅。
この事を三浦綾子が小説化した事から現在顕彰碑と塩狩峠記念館が建てられている。

  • 和寒
和寒町の代表駅で全列車停車駅。何気に2面3線の駅。
「わっさむ」といかにも極寒の地にありそうな名前をしているがもっと寒い所は他にある。

  • 剣淵
剣淵町の代表駅。快速停車駅。交換可能。

  • 士別
士別市の代表駅で全列車が停車。2面3線の駅。
作者の出身地のせいか、最終兵器彼女でこの駅がよく出てくる。

  • 多寄
上りの一部快速が停車。

  • 瑞穂
一部普通列車が通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング70位。

  • 風連
快速停車駅で交換可能。

  • 名寄高校
文字通り、北海道名寄高校のすぐ近くにある。
元は東風連駅として今よりも1.5kmほど南にあり、その頃から高校生の利用は多かった。
元々一部の普通すら通過する駅だったが、移設ついでに快速も止まるようになり、止まる電車がいきなり3倍に増えた。とんでもない出世駅である。

  • 名寄
旭川以北では稚内市に次ぐ規模の名寄市の代表駅。全列車が停車。
普通列車の運行系統の境界駅。快速「なよろ」もここまで。
現在は単独駅だが、かつては名寄本線、深名線と接続するターミナル駅であった。 現在でも深名線の代替バスが発着する。
また、その名残で留置線を含めた駅構内は結構広く、旧名寄本線の線路上にあのキマロキ編成が静態保存されている。
列車が100km/h以上出せるのは当駅まで、以北は95km/h以下に制限される。

  • 日進
駅のすぐ隣にゲストハウス/カフェハウス日進があり、少し足を延ばすとユースホステルやキャンプ場もあり、割と便利。

  • 智恵文
駅前にレンタサイクルあり。

  • 智北
普通列車が一部通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング69位。

  • 美深
美深町の代表駅で有人駅。全列車停車。
かつてはこの駅で営業係数3859を誇った伝説の「日本一の赤字線」である美幸線と接続していた。

  • 初野
一部の普通列車が通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング68位。

  • 恩根内
普通列車の一部が通過。2021年3月廃止予定だったが地元の要望により再度存続が決定した。

  • 天塩川温泉
一部の普通列車が通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング48位。
駅から1.5km、徒歩20分で天塩川温泉がある。

  • 咲来
「さっくる」とよむ。
すぐ近くにライダーハウスあり。

  • 音威子府
JRの特急列車の停車駅の中では、最も人口の少ない自治体である音威子府村の代表駅(2019年末の時点では人口730人ほど)。
一部の普通列車は当駅で折り返し。
かつて1922年~1930年まで宗谷本線だった旧線区間を走る天北線と接続しており、天北線資料館が駅舎内に設置されている。また代替バスが今でも発着する。ちなみにこの代替バスは稚内から宗谷岬まで行くバスと全く同じ路線なのでやろうと思えばここから宗谷岬に行ける。ただしそこまで行けるのは1日1本。
音威子府そばの駅そばが有名だったが、残念ながら店主が亡くなり閉店している。そばを製造していた業者もその1年半後に廃業している。

  • 筬島
牛山氏の全国秘境駅ランキング54位。
元々は地名の「物満内(ものまない)」という駅名になる予定だったのだが、
3文字は面倒臭い」という凄い理由で今の駅名になった…

  • 佐久
無人・特急通過駅だが駅舎は立派で佐久ふるさと伝承館が併設されている。
交換可能。
筬島駅との距離は18kmと線内一。

  • 天塩中川
中川町の中心駅。何とこの記事が出来る2週間前に駅舎が新築された。
特急が停車する。

  • 問寒別
北海道ではよくある貨車の待合室ありの無人駅だが、周辺がそこそこ大きめな集落からか近年になってその待合室が改修された。

  • 糠南
牛山氏の全国秘境駅ランキング9位。宗谷本線内の秘境駅の中でトップに君臨する秘境駅。
そしてかつては当駅から上幌延までは日本で唯一5駅続けて秘境駅という凄まじい秘境ゾーンだった。
近年は幌延町がこの駅を中心に、秘境駅を観光資源として活用した取り組みを始めている。
因みに秘境駅ランクTOP10以内というかなりの高順位だが、近くに道路が有りそこへの道も整備されてる為、順位の高さの割には比較的容易に訪れられる。
待合室がヨド物置な事でも有名。

  • 雄信内
牛山氏の全国秘境駅ランキング52位。
天塩中川~幌延間で唯一列車交換が出来る駅で駅舎も残っている。
因みに故・ポール牧の実家の最寄駅だったりもする。
駅周辺はゴーストタウンと化しており、少し怖い。

  • 南幌延
牛山氏の全国秘境駅ランキング43位。

  • 幌延
幌延町の代表駅で全列車が停車する。
かつては留萌から日本海沿いを南北に走る羽幌線と接続していた。
上記の秘境駅の観光資源化や貨客混載など、鉄道を活かした取り組みが多い。

  • 下沼
牛山氏の全国秘境駅ランキング23位。
景色はスゴイイイらしい。
近年待合室が塗り直され可愛らしい見た目になった。

  • 豊富
豊富町の代表駅で全列車が停車する。
駅前に救援車が展示されてある。

  • 兜沼
その名の通り兜沼の隣にあり、景色は良い。
交換可能駅。

  • 勇知
駅に花壇あり。

  • 抜海
牛山氏の全国秘境駅ランキング29位。
因みに日本最北端の秘境駅&無人駅であるが、木造駅舎が残る交換可能駅。
当駅から南稚内までの景色は沿線屈指。
2021年3月に廃止予定だったが存続を求める声もあり、ひとまずは稚内市によって2023年度までは維持される予定。

  • 南稚内
ここで音威子府で分岐した天北線と合流していた。つまり1989年まで日本最北の接続駅であったのであった。
現在は日本最北の転てつ器、出発信号機、場内信号機が設置された駅となっている。列車交換駅としても日本最北。
稚内の中心市街地はどちらかというと当駅が最寄り。宗谷岬に行く路線バスも付近を通るので時間が厳しいときはあえてこちらで降りて乗り継ぐ客もいる。

  • 稚内
日本最北端の駅にして終着駅。駅舎が改築され、バスターミナルと共有で商業施設も兼ねた物凄い近代的な駅舎になった。
しかし、2010年1月に2番線が廃止されてしまい1番線の線路以外はすべて撤去されてしまった。
ホームに1列車しか進入できない為、駅舎に反して構内は寂しい感じに…。
駅のすぐそばにはアローラロコンとアローラキュウコンをあしらったマンホールがある。
少し歩くと戦前樺太と本州を結んだ稚泊航路の記念碑とかつての稚内桟橋駅の跡地に行ける。駅から見える防波堤ドームがそれ。

主な廃駅

  • 南比布
一部の普通列車が通過。カタクリ群生地で有名な突哨山・男山自然公園の最寄り駅。
2021年春廃止。

  • 北比布
一部の普通列車が通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング115位。読み方は「きたぴっぷ」。
2021年春廃止。

  • 東六線
一部普通列車通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング62位。
2021年春廃止。

  • 北剣淵
一部普通列車が通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング33位。
2021年春廃止。

  • 下士別
一部普通列車が通過。2021年春廃止。

  • 北星
一部普通列車が通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング22位。
毛織の北紡と書かれた看板がある。
2021年3月廃止。

  • 南美深
普通列車が一部通過。牛山氏の全国秘境駅ランキング48位。
2021年3月廃止。

  • 紋穂内
一部の普通列車は通過する。牛山氏の全国秘境駅ランキング30位。
2021年春廃止。

  • 豊清水
牛山氏の全国秘境駅ランキング21位。
特急通過駅だが交換可能で、旭川始発稚内行きの普通列車は当駅で上り特急の通過待ちをする。
2021年3月ダイヤ改正以後は信号場となっている。

  • 歌内
牛山氏の全国秘境駅ランキング46位。
何処もかしこも似たような雰囲気の多い駅が多いなか何気にロータリーがある駅だったりする。
2022年3月廃止。

  • 安牛
牛山氏の全国秘境駅ランキング31位。
駅名は、牛が安いからではなくアイヌ語の「ヤシ・ウシ」(網を引く)から来てる。
2021年3月廃止。

  • 上幌延
牛山氏の全国秘境駅ランキング44位。
なんと秘境駅順位と駅順が一致していた稀有な駅。
JR北海道の路線には他にも同様の区間があるがその中でもトップに位置していた。
ここで秘境ゾーンは終了だった。
2021年春に廃止。

  • 徳満
徳光ではない。
牛山氏の全国秘境駅ランキング82位。
一応国道と集落は幾つかあり、駅から少し歩いた所にある展望台からはサロベツ原野を見渡せるがそれ以外は何もない。
2021年3月に、かつて隣駅だった芦川駅と同様廃駅になってしまった…。


追記・修正宜しくお願い致します。

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最終更新:2023年10月24日 19:33
添付ファイル

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/kiha/kiha261.jpg 日時:2016/01/03