DJサガラ

登録日:2014/11/16 Sun 17:35:07
更新日:2024/04/13 Sat 18:59:40
所要時間:約 7 分で読めます






HELLO〜!沢芽シティ!!
DJサガラの!生配信へ!ようこそ!


DJサガラとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダー鎧武』の登場人物。

演:山口智充


【概要】

沢芽市でラジオ番組を放送しているDJ。
インベスゲームを流行らせた張本人にして、鎧武らを「アーマードライダー」と命名した立役者。
沢芽市内でストリートダンスやインベスゲームの様子を実況・中継や格付けを行うネットラジオ「ビートライダーズホットステーション」を配信。
ノリのいい軽快なトークや巧みな言葉遣いもあってビートライダーズ達の中でも注目度が高く、その立場を利用してチーム間の対立を煽りに煽りまくっている。
要はアジテーターで、シドのディーラー業と合わせてインベスゲームを流行らせた張本人の一人である。
また、本作の仮面ライダーこと「アーマードライダー」の名称は、第2話で彼がアドリブで名付けたもの*1

その実態はユグドラシル・コーポレーションの外部協力者。
つまり本来は部外者である。
ラジオ番組を放送しているのは、ユグドラシルが推し進める「計画」の隠ぺい工作の一環。呉島貴虎の命令で上記の通り
  • インベスゲームの活発化(扇動)
  • ロックシードの流通促進
  • ヘルヘイム・クラック隠蔽の情報統制
を担当している。
しかし、肝心の彼自身も、フルーツバーラーのオレンジからカチドキロックシードを生成したり、
その時に周囲の人間に気付かれずに紘汰にコンタクトを取ったり、謎の少女を「始まりの女」と呼び、知覚しているなどとても人間には見えない行動が見え隠れしてきている。

ビートライダーズとユグドラシルの両陣営を文字通り言葉巧みに引っ掻き回すその姿は正しくトリックスター。
一方でアーマードライダーに対して何か個人的な思惑があるようだが…



【本編での動向】

序盤での暗躍

上記の通りビートライダーズ間の対立を煽り、インベスゲームを活発化させることでユグドラシルの計画の進行を早めるその傍らで、
葛葉紘汰に度々干渉しゲネシスコアやロックシードを渡すといった、ユグドラシル側にとって不利なはずの行動を取っている。
また、ビートライダーズを軽視していた貴虎達に対して「甘く見ない方がいい」と釘を刺したりと、明らかにユグドラシルとは違う思惑を持っていたことがうかがえる。

第25話の城乃内秀保によると、「ビートライダーズホットライン」のランキングがその頃には無くなっていたらしく、表舞台から姿を消したと思われる。
また、湊耀子の調べによると報酬として指定の口座に振り込まれた金にも一切手をつけていないままの失踪という形である。
だが、その後も物語を追うに連れて、次第に彼の思惑が紐解かれていくことになる。
それと同時に、彼自体の描写も徐々に人間からかけ離れていく。

衣装は基本的にディスクジョッキーらしい姿だが、場面によっては蛇を思わせるスーツや民族衣装を身に纏う。


紘汰への援助

上記の通り、何故か葛葉紘汰に目をかけており、しばしば接触しては有益なアイテムを渡す場面が多い。
具体的にはゲネシスコア及びレモンエナジーロックシードやチューリップホッパーロックシードなど。
特にカチドキロックシードは、ドルーパーズのオレンジを彼の手の中で変換・生成した、他のロックシードの製造過程を考えると明らかに異質なシロモノ。

なお、カチドキアームズ初登場の第23話ではユグドラシルタワーで激闘を繰り広げる紘汰を背にオルタナティブ舞を認知し、
「お前(オルタ舞)がアイツ(紘汰)を気にかけるからだよ、始まりの女」
「俺には未来を見通せない、だがアンタの正体は知っている。アンタに選ばれたことが何を意味するかも、な」
等、非常に意味深かつ重要な発言を放った。

反面、(紘汰に対して)フェムシンムの好戦性や極ロックシードの副作用についてといった、意図的に肝心な事までは教えないため、
結果的に勘違いやとんでもない結果を招いている。勿論、これも彼の後述する目的の為であると思われる。
まぁ、これでもあの契約厨と比べたら善良な部類だが…


「観客」としてのスタンス

その一方、ギリシャ神話や北欧神話、聖書等の世界各国の神話における「禁断の果実」がヘルヘイムに存在するのではないか?
と考えを持ち、貴虎とは違い、野心で動いていた戦極凌馬達に「禁断の果実は奴ら(オーバーロード)の手の中にある」と情報を与え、
更に果実の争奪戦を激化させ、後の貴虎の失脚やユグドラシルの崩壊の遠因となっている。
曰く、「俺はただの観客」「一方が有利になる試合運びは気に食わない」とのことで、紘汰・凌馬両方に対して情報を与えているのもこのため。


フェムシンムへの干渉

デェムシュレデュエ・ロシュオ・シャムビシェといったフェムシンムの中でも「オーバーロード」と呼ばれる面々と面識があるようで、実際にサガラがフェムシンムの言葉で会話するシーンもある。
その際、フェムシンム側からは「蛇」と呼ばれており、実際直前のシーンでは蛇の姿で這いよっていた。
また、レデュエは(フェムシンム語で)「今は彼奴等の姿に?」と発言しており、その時点で姿形は自由なことが判明していた。


追記・修正よろしくお願いします。











以下、終盤のネタバレ














我らは永遠に蔓延るもの、空を越えて茂るもの

古き民に変革を促すものであり、或いはただ単に「蛇」と呼ばれたこともある

そうだな…お前達がくれた呼び名で名乗るのもいいかもしれない

そうなると、我が名は「ヘルヘイム」…ということになるか


登録日:2014/11/16 Sun 17:35:07
更新日:2024/04/13 Sat 18:59:40
所要時間:約 7 分で読めます




【正体と真意】

これまでの描写から「フェムシンムとは違うヘルヘイムの関係者」ではないかとは推察する視聴者は多かったが、
第43話で遂に明らかになった正体はヘルヘイムの森の意思そのものという、更に予想を凌ぐものであった。
「DJサガラ」という姿もヘルヘイムの植物を媒介とした地球人と関わるためのアバターでしか無く、フェムシンムの様な異なる文明に対しては全く別の姿で干渉していたと思われる。

陽気な性格から一転本性を見せた後は淡々とした口調で他者と接する。
人類に友好的な態度を取りながら、人知を超えた超越者であるが故に無自覚的にだが限られた寿命しか持たない人類を見下しているような節があり、
人類を「ちっぽけな人間」と呼び、「生きている現在よりも死ぬまでに何を残せるか」を重要視する、「結果こそ全て」という考えの持ち主。
要約すれば「俺の課した試練のおかげでお前達は進化出来るが、もし試練に失敗すれば俺が繁殖するための種を運び、ついでにお前達の文明は滅ぼす」という上記の営業マン以上に質の悪いもの。

その目的は「黄金の果実を託す『始まりの女』を選定し、人類から誰が黄金の果実を手に入れるのかを見届ける」という一点のみであり、ヘルヘイムの侵食による世界規模の災厄もその手段にすぎない。
「何故文明を破滅させてまで生物を進化させるのか」という理由についても


滅びそのものは手段に過ぎない。

魚には蜥蜴になって欲しい、猿には人になって欲しい。

何故と問われても困る。俺はそのように生まれ、そして無数の世界を変えながら宇宙を渡ってきた。


と悪びれもなく返しており、ヘルヘイムの侵略行為も「種族が新たな段階へ進化するための手段」としか考えていない。
対立を煽ることについても「進化の本質は闘争」という持論を述べており、ユグドラシルの計画に便乗していたのもそれに起因していたようである。

つまり災害そのものである一方、生物が進化するためのファクター、即ち進化論における「淘汰圧」である。
彼の言によれば「始まりの男」=新たな人類の始祖であるというべき者の選定は彼ですら本来非常に難しいらしいのだが、
今回(鎧武本編)はオルタ舞に直接の干渉を受けた人間が3人も居たため楽だったとのこと。
これまで紘汰を支援したのもそれが理由で、貴虎には仕事上の上下関係を除いてシカト決めてた(=候補ですらなかった)のもそれが主か。
前述のカチドキロックシードもヘルヘイムという「世界そのもの」が創りだしたもの、と考えれば他のロックシードと生成過程が全く異なるのも合点がいく。
なお、ヘルヘイムの侵食は歴史上何度かあったとは凌馬の推察(それがバナナ型神話の由来と唱えている)だが、それがどの程度のレベルまでかは不明。


第46話ではヘルヘイムの試練を乗り越えて黄金の果実を手に入れ、始まりの男になった葛葉紘汰とオルタナティブ舞の前に最後の使命として出現。
地球を滅亡寸前に追いやりながらも相変わらず自分の行為に一切の罪悪感を見せず、2人に新たな生命と世界を生み出すため旧い世界を滅ぼすように迫るが、
紘汰と舞は「未知の惑星に地球に蔓延ったヘルヘイムの植物もインベスも全て移住させ、自分と舞もそこで生きてゆく」という結論を見出しサガラの主張を真っ向から否定する。
2人の出した結論に憤慨し食い下がるサガラであったが、フェムシンムの末路を見ていたことで思うことがあったのか遂に2人の気迫と決意に根負け。


予想外の結末だが………決めるのはお前らだ。

アンタはただ見守るだけ…だろ?

『蛇』と呼ばれた俺が言うのもおこがましいが……

産めよ!増えよ!地に満ちよ!…さもなきゃ、どうにもならんぞ?


という激励を送り新たな宇宙に旅立たんとする2人の神の前から撤退。
元々ただの人であった2人が、最後の最後まで人類を掌の上で翻弄し傍観し続けていた神の如き森の化身の思惑を超え、言葉で打ち負かした瞬間であった。


そして最後に、地球とはまた別の異種族が住む世界に姿を現すと、


祝福された世界を追われ、荒野へと去った男と女。新たな創世の神話が、また一つ……

さーて次は、どんな種族が進化の試練へと向き合うやら……


と語り、その世界の黄金の果実を実らせて別の世界にヘルヘイムの試練を引き起こしている姿を見せながら、ヘルヘイムの使いは何処かへ去っていった。

ちなみにTV本編の後日談となる映画『仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル』に登場するメガヘクスはヘルヘイムの侵食を(惑星改造を含めて)機械化によって乗り越えた存在。
つまり、冬映画で紘汰達が多大な迷惑を被ったのは相変わらずサガラのせいである。

世界観が違う夏映画『劇場版 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』でもアジテーターとしての立ち回りは変わらないのだが、紘汰・光実と同様に同一の存在であるかは不明。
もっとも、順応性は高いから本人でも、よく似た別人でもおかしくないので問題ないのだが……。
少なくとも、「本編と同一のサガラ」と見られる存在がラピス=シャムビシェに銀のリンゴロックシードを渡している。



【モチーフ】

ビートライダーズ同士の抗争、紘汰のユグドラシルへの反感を煽り立てる一方で、
物品や有益な情報をバラまくという立ち回りからトリックスターと言える行動から、モチーフは北欧神話のトリックスターであるロキか。
実際、ロキはグングニールやミョルニルといった神器をアース神族に齎している(詳しくはロキの項を参照)。
また、フェムシンム側からは「蛇」と呼ばれており、旧約聖書でイヴを唆した蛇=サタンも取り入れられているか。

なお、ヘルヘイムとはロキの娘である半身が腐敗した女神ヘルが住む地で、死者の国ニブルヘイムの中に存在すると言われる。
女神ヘルも英語地獄の意である「Hell」の起源なんだとか…まぁ『鎧武』のヘルヘイムの森もたしかに地獄よね。
上級インベス=果実を食べてしまった人間と考えれば「死者の国」であることもすんなり飲み込めるはず。
事実を知って戸惑う紘汰に対して貴虎が言い放った「果実を食って理性を失えば、もう死体と同じだ!」というセリフから端的に現れている。

また、「異なる世界の果実を食べてしまったがためにその世界の存在になってしまう」というのはペルセポネや龍玄・黄泉の由来となった黄泉戸喫が元ネタか。

ヒトの進化を促すとか言っておきながら、やらかして文明崩壊しても放置するスタイルは脚本家が同じ例の営業マンにも通じる




俺は大歓迎なんだがね、ウチの追記・修正も盛り上がってるし

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最終更新:2024年04月13日 18:59

*1 TVではそのように描写されているが、小説版において狗道供界が消滅した直後の時点で既に「アーマードライダー」という名称を知っていたため実際には初めから決まっていた名前のようである。