サソリ(NARUTO)

登録日:2014/11/10 Mon 17:41:41
更新日:2024/03/27 Wed 00:34:46
所要時間:約 19 分で読めます




何だ? あの爆発が芸術だってのか? 長く美しく後々まで残っていくもの…

永久の美こそが芸術だ





サソリとは『NARUTO‐ナルト‐』及び派生作品『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』の登場人物の一人。


CV:櫻井孝宏(ヒルコ内在時:青山穣 幼少期:矢島晶子

●目次

◆プロフィール

所属:砂隠れ→暁
年齢:35歳
誕生日:11月8日
星座:さそり座*1
血液型:AB型
身長:164.1cm
体重:47.3kg
好きな(嫌いな)食べ物:食べ物は必要ない

◆概要

砂隠れの里の抜け忍で、の一員を務めている。
暁での相方はデイダラ

赤髪で茶色い目をした小柄な男で、普段は傀儡ヒルコの中に入って活動している。
里を抜けてから20年ほどの月日が経ち、35歳という年齢であるにもかかわらず外見上は全く年を取っていない。その理由は後述。
指輪の文字は「玉」。はめているのは左手の親指である。
後述する幼少期の経験からか人を待つことはもちろん、逆に人を待たせることも嫌っている。

砂隠れの里の相談役を務めるチヨバアの孫で、サソリは彼女から『傀儡の術』について学んだ。

◆能力

里を抜ける前は傀儡部隊の天才造形師と謳われており、彼の操る傀儡によって砂漠の一面の砂が忍達の血で赤く染め上げられたことから「赤砂のサソリ」という異名を持つ。
カンクロウの所有する3つの傀儡人形『烏』『黒蟻』『山椒魚』を造ったのは彼であり、それを示すようにこの3つの傀儡には赤い(さそり)が描かれたラベルが貼られている。

人間の死体を傀儡に作り変えることでその人物のチャクラを残し、生前習得していた忍術を扱える『人傀儡』を造れる唯一の人物で、
殺してきた人間を人傀儡に作り変えてコレクションしており、その数はチヨバアとサクラを殺せば300人になるほどであったという。
彼の口から語られた人傀儡の製作過程は臓物を引きずり出して皮膚を剥ぎ、綺麗に洗って血抜きしてから腐らないように処理した後に仕込みを組むという、中々にエグいものであった。

彼が普段入っている『ヒルコ』という傀儡もそんな人傀儡コレクションの内の一体であり、
常にヒルコの中に入って行動していたせいでかつて部下であったカブトや、同じ暁の仲間であるゼツも彼の死後まで彼がヒルコから出ている所を見たことは無かったらしい。

ちなみに彼は毒物にも非常に造詣が深く、傀儡の武器には全て彼が調合した猛毒が塗られている。

◇主な傀儡

  • ヒルコ
普段中に入って活動している人傀儡。丸々太った小柄な老人のような姿だが、これが生前のヒルコの姿なのか、サソリが改造したものなのかは不明。
通常の傀儡と異なり術者は傀儡の中に入った状態で操作する。

傀儡師は人形の操作をしている時隙が生じやすく接近戦に弱いのだが、その弱点を克服したのがこの傀儡である。
この傀儡の中に自身が入ることで傀儡が武器だけでなく、鎧の役割も果たす。
主に口の部分から出る千本や鋭利な尾で攻撃する。
サソリはまだ砂隠れにいた頃からこの傀儡を使っていたようだが、里を抜けてから背中の装甲を更に頑丈にした他、左手に新たな仕込みを追加したらしい。

  • 三代目風影
歴代でも最強と名高い風影である。殺す時には苦労したらしく、それだけにサソリの持つ人傀儡の中でも一番のお気に入りとのこと。
血継限界・磁遁の使い手で、彼の場合は砂鉄を操る。
砂鉄は磁力を帯びているため鉄や鋼で出来た武器は効かず、砂鉄が傀儡の中に潜り込むとその傀儡は使い物にならなくなる。
チヨ婆は勿論のこと、サソリにとっても天敵に等しい能力といえるのだが、生前の三代目風影をどうやって仕留めたかは謎である。

  • 自分自身
人傀儡の技術を応用して自身の体を傀儡に改造している。
それ故に彼は永遠に年を取らない。暁に入った時のいざこざの際も"自分"を使って戦ったらしい。

両肩には飛行と切断を兼ねたプロペラが付いており、腹部には毒が染み込み先端が尖ったロープがある。
背中にある巻物を使用することで、両掌の穴からは炎を(アニメでは高水圧の水流も)放てる。

チャクラを扱うためには生身の部分がどうしても必要なのだが、サソリの場合は「蠍」と書かれた胸の核がそれに当たる。
他の人傀儡と違い、デイダラ曰く少しずつ肉体を改造して傀儡になったらしい。
デイダラはサソリが死亡した後にそれを「弱点丸出しの造形」「あんなでかい弱点胸に付けてるから」と言っているので、
彼はサソリの本体を見たことがある上に詳細まで聞かされていたようだ。

◇使用術

  • 傀儡の術
基本中の基本。チャクラ糸で傀儡をコントロールする。
チャクラ糸を切られれば当然動かないと思いきや、上級者はチャクラ糸を切られても瞬時に繋ぎ直したり、自らチャクラ糸を一旦切ってまた繋ぐフェイント、他人のチャクラ糸に自分の物を繋げて引っ張り込む等、超高等技能を容易くこなす。

  • 赤秘技・百機の操演
傀儡師は一度に扱える傀儡の数でその実力が計られると言われており、本来「指の数(十体)」が最多であるはずなのだが、この術はその常識を覆し百体もの傀儡を一度に操れる。
自身の核と傀儡を直結させることで、指で手繰らずに術者の意志が傀儡にそのまま反映される。そのため、本来指で傀儡を操る際に生じるタイムラグも無い。
サソリはこれで一国を落としたとのことで、実際に小国を落とす所がアニメオリジナルエピソードで放送された。
ただし、「指の数」たる『白秘技・十機近松の集』の完全上位互換とは言えず、流石のサソリにとっても数が多過ぎる分、各傀儡の操作精度は落ちてしまう欠点もある。事実、サクラとチヨバア*2には多くの傀儡を破壊されまくった。

  • 縛刺縄
腹に仕込んである毒つきロープ。

  • 赤秘技・火劇
両手の仕込から火炎を放つ。
その火力は人間の背を超える大岩を融解させかける程。

  • 千手操武
傀儡の腕に展開機構と口寄せの札を仕込み、傀儡の腕を次から次へ口寄せすることで敵を追い込む。
更に逃げ場を失った相手に毒霧を噴射することで死に至らしめる。作中ではサクラの両手足を縛って動きを封じつつ毒霧を浴びせたが、自傷覚悟の起爆札で脱出されてしまった。

アニメオリジナル「自来也忍法帳 〜ナルト豪傑物語〜」で使用した。サソリはこの術で大量の傀儡師を呼び出した。

  • 砂分身の術
アニメでカンクロウの黒秘技・危機一発に対処するために使用した。

  • 潜脳操砂の術
極小サイズの針を相手の脳の記憶中枢に埋め込むことで対象者の記憶を封印する術。術者の任意のタイミングで封印が外れて記憶が蘇る。
サソリはこの術をかけた部下を各地にスパイとして放っている様子。ただし記憶を失っている間、暁の不利益になるような行動を取ることもあるので、デイダラは初登場時にそのことでサソリに文句を言っていた。

人傀儡「三代目風影」を介する術

生前の三代目風影の技と思しきものに加え、砂鉄にも特別調合した猛毒の液体が仕込まれている。

  • 砂鉄時雨
砂鉄を微小な粒状に固め、散弾の如く一斉に発射して攻撃する。砂鉄を鋭利な針状に変化させ、殺傷能力を上げるなどの攻撃パターンも存在する。
磁力の反発により、発射後に弾速を急速に上げることも可能。
目くらましにもし易く、かつ砂鉄を周囲に拡散させ易いため、関節部にチャクラが込められた砂鉄が詰まれば動かす術がなくなる傀儡には特に有効な技。

  • 砂鉄結襲
膨大な量の砂鉄を高密度に圧縮させることで、巨大な鋼鉄製の武器を瞬時に生成する。
作中では巨大な槍のような形状にして突き刺したり、直方体に固めてから落として押し潰したりしていた。

  • 砂鉄結襲・五寸釘
砂鉄を釘状に固めて突き刺す。

  • 砂鉄界法
おそらく三代目風影の術の中でも一番の大技と思われる。
サソリにとっても消耗するチャクラが多く使用を控えている。
磁界の反する二つの高密度の砂鉄の塊を結合し、磁力を一気に高め、その磁界の反発力で広範囲に砂鉄の針を棘の如く拡散させる。
その軌道は不規則で完全に見切るのは難しく、砂鉄に含まれた毒のせいで掠っただけでも致命傷となる。回避に成功したとしても、退路を絶たれた相手には次なる攻撃が迫る。

  • 合作・究極芸術
ゲーム「ナルティメットストーム」シリーズにおけるデイダラとの連携奥義。
C1で牽制した後、C2ドラゴンに三代目風影の磁遁で砂鉄を混ぜ込んで突撃させ、起爆。
起爆粘土の爆発芸術なので、デイダラ曰く「即興にしては上出来」、サソリに言わせれば「くだらねぇ」作品。


◆来歴

◇過去

幼い頃のサソリは砂隠れの里に暮らすごく普通の少年だった。
だが、ある日戦争中に「木の葉の白い牙」こと、はたけサクモとの戦いで彼の両親が戦死してしまう。

アニメではこの時のサソリとチヨバアの様子が描かれており、両親がいない寂しさに暮れるサソリを慰めるためにチヨバアが『傀儡の術』を教えたこと、
チヨバアが「お前の父と母は戦争後にすぐ別の任務に行ったからまだ帰れないだけ」と嘘を吐いたこと、
そしていつまでも帰らない両親の真実に気が付いたサソリが寂しさを紛らわせるために自分の"父"と"母"を模した人形を造ったことが明らかとなった。

この両親の人形こそが彼の最初の作品である。父と母にもう一度自分を抱き締めて欲しいという幼気な願いから作り上げたものだった。
2人の人形を操り、自分を抱擁させるサソリ。だが所詮人形は人形。温もりが無ければ言葉も無く、その目にも命ある者の光は無い。
そして、チャクラ糸が集中力の乱れから切れる。父と母の形をしただけのそれは力無く地面に崩れ落ちていく。それを見下ろす彼の目は冷たかった。

サソリはその後、傀儡部隊に入隊する。

ちなみにアニメでは、この当時に彼の数少ない友人が手を欠損した際に代わりの手を傀儡の技術で造ったことや、
その手に仕込んだ毒針の扱いに失敗したことで友人が死んでしまった時に、悲しみに打ちひしがれる彼の母親に依頼されて、その友人を象った人形を造ったことが描かれている。
この話では、サソリが遠回しに友人を故意に死に追いやったことが示唆されていた。

両親の死、チヨバア曰く「砂隠れの悪しき風習と教え」、更には彼が誰よりも優れた傀儡師であるが故に人形の限界を思い知ったことによりサソリは歪み、
人間を人形へと作り変える「人傀儡」に傾倒していく。


経緯は不明だが、十代半ばの頃彼は里を抜け、更に暁の一員とまでなった。
ゲーム「ナルティメットトストームレボリューション」の原作者監修「忍活劇・"暁"創生」では、小南と戦い、彼女に敗北を認めて暁に参入したこと、
大蛇丸の勧誘に彼とペインが当たったことが明らかとなっている。
当初は大蛇丸とコンビを組んでいたらしく、「暁では元々大蛇丸と組んでたから色々やったが…」と話している。
ゲームでは最初からデイダラと組んでいるっぽいんだが、つまり…どういうことだってばよ?

カブトに人体実験のデータと穢土転生についての情報を入手するよう指示して大蛇丸の元にスパイとして潜り込ませた他、
デイダラに暁に入るよう説得に当たった際にもイタチ鬼鮫に同行しており、彼を「早死するタイプ」と評した。



◇第二部

一尾・守鶴の人柱力である我愛羅を拉致するために故郷の砂隠れへと潜入した。予め忍び込ませていたスパイの手引きにより、簡単に里に入り込んだ。

デイダラが我愛羅を捕獲した後は彼と共に里を去り、暁のアジトへと向かうが、その道中で自分達を追跡していたカンクロウと交戦する。
カンクロウの使う傀儡は3つともサソリが造ったものであったため、彼はそれらの仕込みの手順を全て熟知しており、戦闘描写省略で圧勝した。アニメでは経緯が詳しく描かれている。
勝利後、毒で体が痺れて動けなくなっても未だ抵抗を続けるカンクロウを見てトドメを刺すことを止めるのだが、これが後に彼にとって不利な展開に繋がることは予想だにしなかったようだ。

その後は、カンクロウが完全に動けなくなる直前に奪い取ったサソリの服の切れ端の匂いを元に、
忍犬で暁のアジトの位置を割り出したカカシ班とガイ班の足止め役として、イタチと鬼鮫の偽物を作り上げる『象転の術』の生贄用に部下2人をペインに提供した。

カカシ班が暁のアジトに到着してからは、我愛羅の死体を餌にナルトカカシを引き付けたデイダラが場所を移したことにより、
残ったサクラとチヨバアの相手を引き受けることになった。

他者を殺してきた数、そして実戦経験の差を感じさせるサソリの気迫にサクラは気圧されるが、サソリを良く知るチヨバアは平静を保ち、チャクラ糸を付けたクナイを彼にぶつける。
サソリはそれらを軽くいなして傀儡・ヒルコの姿を現し、戦闘に入る。
ヒルコの口から大量の千本を放ち、更に左手の仕掛け(里を抜けた後に改造した物らしくチヨバアは知らなかった)を発動させて先程の何倍もの数の千本を放出するも、チヨバア、サクラに全て回避された。

チヨバアはともかく、サクラまで自分の攻撃を避けきっていることに疑問を抱きつつも、正面から向かってきたサクラにヒルコの尾で攻撃しようとするが、サクラに当たる直前で尾を動かせなくなったことでチヨバアの策に気付く。
チヨバアはサソリに放ったクナイに付いていたチャクラ糸をヒルコの尾に素早く付け替え、さらにサクラにもチャクラ糸を付け、操って攻撃を回避していたのである*3。隙が出来たサソリにサクラはパンチを叩きこみ、ヒルコを粉々に破壊。

ヒルコから抜け出たサソリの姿にチヨバアは驚愕する。里を抜けた頃から全く年を取っていなかったことに。
そしてサソリは自身のお気に入りのコレクションであるという三代目風影の人傀儡を披露する。
サクラはサスケを連れ戻すという必死の想いから三代目風影による猛攻撃を切り抜けた後、サソリに啖呵を切る。
そんなサクラにサソリは容赦無く追撃をしかけるのだが…。


女がしゃべってる時は男は静かに聞いてやるもんじゃ

ああ…それか……

そうじゃ…お前が造った最初の傀儡…"父"と"母"じゃ


チヨバアが二体の傀儡で彼女をサソリの攻撃から守ったのだ。
今更そんなものを出した所で手の内はバレバレだと一笑に付すサソリを見つめ、チヨバアはこの二つの人形と戯れていた幼き日のサソリの姿を回顧する。

チヨバアはこれらの傀儡を操り、三代目風影を駆るサソリとオラ無駄合戦顔負けの壮絶なる傀儡合戦を繰り広げた。
業を煮やしたサソリは三代目風影が最強の風影と謳われた由縁である「砂鉄」を使い始める。
チヨバアは『砂鉄時雨』を防ぐために"父"の傀儡の腕からチャクラの盾を張るが、
砂鉄が傀儡の腕の中に入り込み、その磁力によってチャクラの盾を再び張ることが出来なくなってしまった。
更にサソリはサクラとチヨバアの両方を砂鉄時雨で追撃する。チヨバアが"母"の人形のチャクラの盾でどちらを守ろうとも、必ず一方は死ぬと確信するサソリ。
だが、2人とも死ななかった。実はチヨバアの片腕は傀儡に改造されており、その腕からチャクラの盾を張ったのだ。

それでもサクラとチヨバアが不利な状況であることに変わりは無い。チヨバアはサクラに逃げるように言うが、サクラは諦めず、自分を傀儡として使って戦うようチヨに頼む。


確かに私には傀儡みたいに立派な武器は仕込んでありませんが…師匠譲りの負けん気が嫌というほど仕込んでありますから!


サクラの言葉に気を引き締め直したチヨバアは再びサソリとの戦いに臨み、サソリも『砂鉄結襲』で応戦した。
あのまま砂鉄時雨を撃ち続けてれば余裕で勝てたんじゃね?とかツッコんではならない。

サクラはチヨバアに操られながらそれに対処する内にサソリの癖を見抜き完全に攻撃を見切るようになる。
このままでは埒が明かないと判断したサソリは『砂鉄界法』を繰り出す。
サクラは重傷は免れたものの掠ってしまい、毒で動けなくなったが、
なんと以前カンクロウを解毒した時に作った解毒剤を服用して立ち上がり、向かってきた三代目風影の傀儡を破壊。
解毒剤というものは毒を作成したサソリすら調合比率表を見なければ作ることが困難なほどの難解な代物であり、
それを作ったというサクラにサソリは驚嘆し、この漫画ではお決まりの台詞で認めた。


三代目風影をばらすような相手に他の人傀儡を使った所で時間の無駄だと判断したサソリは、暁のコートを脱ぎ捨て"自分"で戦うことを宣言する。


本当に久方ぶりだ…………"自分を使う"のはな


自らの全身を傀儡人形に作り替えていたサソリ。
数々の仕込み絡繰りで襲い掛かるサソリを捕まえ、サクラは渾身の一撃を喰らわせる。サソリはバラバラになり倒されたかに見えたが、すぐに体を結合させて元通りになった。
この戦いを幕引きにする覚悟を決めたチヨバアは二度と使うまいとしていた『白秘技・十機近松の集』を解禁する(三代目風影は壊れたので腕も傀儡も使用可能になっていた)。
サソリも自身の切り札である『赤秘技・百機の操演』でそれに応えた。
こうして彼らの戦いは終幕へと差し掛かる。


膨大な数の傀儡に苦戦しつつもサクラはチヨ婆から渡された忍具「獅子首観音」をサソリにぶつけ、『封印術・獅子閉哮』を発動させ彼の全ての術を封じた。
今度こそ勝利したと彼女達は確信する。しかし、サソリは封印術を食らう直前に体内の核の部分だけを他の傀儡に乗り移らせることで生還していたのだ。


サクラは新たな体を手に入れたサソリの攻撃からチヨバアを庇い、代わりに瀕死の重傷を負ってしまう。
そしてサソリがチヨバアをも手にかけようとしたその時、父と母の傀儡がその手に持った刀でサソリの胸の核を刺し貫いた。まるで我が子を抱き締めるかのように…

サソリはついに敗北した。


戦いには勝ったものの、サクラは今しがた負った傷のせいで死にかけている。
チヨバアはサクラの傷を懸命に治そうとした。医療忍術ではなく己の生命エネルギーを分け与える転生忍術で。
この術を編み出したのはチヨバア自身だ。だが、それはサソリが傷付けた者を救うためではない。


そもそもこれは…お前のために長年をかけ編み出したワシだけの術じゃ
この術があれば傀儡にすら命を吹き込むことが出来る…術者の命が尽きるのと交換でな…
じゃが…今となってはもはや叶わぬ夢だがの…

…くだらねぇ…くだらねェな…いつからボケた? ババア


チヨバアの転生忍術の甲斐もあり、サクラは一命を取り留める。
サクラは致命傷を負ってはいたものの死んではいなかったため、チヨバアもまだ辛うじて生存していた。
そのことを残念だと吐き捨てるサソリにサクラは激昂し殴りかかる。それでも傀儡の体を持つサソリには痛みなどない。


オレは血の繋がったそのババアが死のうが何も感じはしない
心も……この体と同じだ


彼の発言が許せないサクラは人の命を何だと思っているのか、肉親を何だと思っているのか、何故そんな考え方しか出来ないのか問い続ける。


お前もこの体になってみるか? そうすれば俺の言ってる事も少しは分かるだろうぜ
朽ちぬ体だ…傀儡人形ならいくらでも造り直せる……
人など傀儡でいくらでも…造り出せばいい……

……欲しけりゃだが……


それでもサクラは納得出来ない。


………アンタは…一体何なんだ…!?

………あえて言うなら…人形になりきれなかった人間……か………
オレは傀儡だが…生身の"核"を持つ不完全な傀儡だ…
人でもなく…人形でもない…


チヨバアとサクラの行動を「女は無駄なことをするのが好きな奴ら」と笑っていたサソリも自分がもうじき動けなくなることを悟り、自分を倒した褒美として"無駄なこと"をした。
大蛇丸の元に送り込んだスパイと接触する予定の日時と場所をサクラに教えたのだ。

それを喋った所でサソリは息絶えた。そして父と母の人形と共にその場に崩れ落ちたのだった。

目の前で両親の人形と並んで横たわっている孫を見つめながらチヨバアは呟く。


…本来なら倒されていたのは………ワシの方じゃった…
サソリにはワシの最後の攻撃が見えとった…
じゃが…どういうわけかかわせなかった。少しの隙が生じた…

……それって…






果たして、サソリが人形になりきれなかったのは体だけだったのだろうか…





◇その後

サソリが倒された後、彼の体だった人傀儡「蠍」は回収され、カンクロウが自分の傀儡として使用している。
五影会談の際に会場を襲ったサスケとの戦いで使用された。




追記・修正は人形になりきれた方にお願いします。

















◇第四次忍界大戦



オレの傀儡か……今となりゃその体もくだらねェ……今のオレはまさに朽ちることのない本物の人形そのもの! かつて望んだ体だ!


第四次忍界大戦の戦力として穢土転生薬師カブトに再びこの世に呼び戻され、再登場。

一緒に穢土転生されたデイダラ、サイの兄・シン、霧の中吉も加わった奇襲陽動小隊として戦場に差し向けられる。
まずは逃げ惑う木ノ葉の先発偵察隊の隊員達を捕らえ、忍達を生かしたまま『傀儡の術』で操り、忍連合のカンクロウ率いる奇襲部隊を襲撃する。

カブトもそこまでは手を回さなかったのか回らなかったのか傀儡人形はなく*4、また穢土転生の性質上生身の体であり、毒による攻撃もできないため、
暁時代のアドバンテージが完全になくなった状態での戦いを強いられる。

戦いの中で彼はカンクロウの傀儡師としての成長を褒めつつも、生前のサソリの本体の傀儡を使用する彼に対して、今の自分は生きていた時とは違い、本物の人形そのものとなったのだと宣う。
そして、木ノ葉の根で感情を殺すように育てられたサイに対しては共感を抱く。


心を無くせば迷いは無い…それが本当の強い忍だ
"根"のお前はオレに近い


自分の兄の体内に爆弾を埋め込んだ状態で操るという彼らの非情な戦い方に激怒したサイは、『超神偽画』という術で巨大な仁王のような絵を実体化させ、デイダラとサソリを殴り飛ばす。

この時のサイの表情は鬼気迫る非常に迫力のあるものなのだが、「ナルトス サイコラ」で検索すると…

彼らが飛ばされた先にはカンクロウの傀儡が待機しており、黒秘技・機々三発で彼らを拘束することに成功した。
そのままカンクロウはサソリに傀儡師としての信念と矜持を問いかける。

傀儡使いの魂は傀儡に宿る。サソリもまた、自らを傀儡と化しつつその魂を消しきることは出来なかった。
でなければ、彼はあの時チヨとサクラに負けることはなかった。
それこそサソリが一流の傀儡使いであった、何よりの証。

だが、穢土転生―――死者を口寄せし使役するその術は、言い換えれば人を傀儡にすることと同じ。
傀儡を操るサソリが、今度は誰かの意志で操られている。それは本当にサソリの求めた「不滅の美」だったのか?

アンタは傀儡を操る一流の忍だった。誰かに操られるようなゲスじゃなかったハズだぜ
傀儡使いが操られたらおしまいじゃん! アンタにもアンタを操ってる奴にも…こっちは意地でも負けらんねェー
同じサソリを操ってるならなおさら、"本物"を操る傀儡忍者としてよ!

自らの肉体をも傀儡と化したサソリ。
今や本来の主、本来の魂なきそれはしかし、カンクロウという操り手を得てその真価を存分に発揮している。
この世に縛られた魂、操り人形と化したサソリではなく、傀儡としての「蠍」が勝ったのは、まさにその一点だった。
傀儡使いとしてのサソリの魂は、傀儡と化したかつての肉体、そこに宿り、そして受け継がれている。

アンタの技術…そして造った傀儡は朽ちる事のないもんだ…
そこに宿る魂を受け継ぐ後世の操演者がいてこそな!

カンクロウの言葉によってサソリは悟った。
自分の技術と傀儡は、そこに宿る魂を受け継ぐ後世の操演者がいる限り朽ちることはない。
そして、それこそが永久の美…自分の望んだ芸術の形なのだと。


"父"と"母"の傀儡もお前に託す……そしてお前が死ぬ時はさらに次の者に託せ…
…あの二体は…

ああ…もちろん分かってる


サソリが死んでも彼の傀儡は残る。今はカンクロウへ、そしてさらに次の世代へ。
傀儡と共に受け継がれる誇りと魂。
ようやく己の芸術の在り方を見いだすことの出来たサソリの魂は穢土転生の呪縛から解き放たれ、再びこの世を去ったのだった。


アニメ版ではこの後、穢土転生されたチヨ婆とカンクロウが相対した際、カンクロウは「蠍」「父」「母」の3体を駆使してチヨに対抗。
傀儡という形ではあるが、サソリと両親が肩を並べた場面が描かれた。



ロック・リーの青春フルパワー忍伝

ヒルコには入っておらず、基本的に本編同様クールな性格…なのだが、
「暁のコート(クローゼットからくすねた物)を着ているから」という理由でアジトに潜入したリー達を何故かゼツがスカウトした新人と早合点して見逃したり、
デイダラの起こした爆発でホウキ頭になったり、そのことでデイダラにキレて攻撃する際にチャクラ糸をうっかり他のメンバーに引っ掛けて転ばせてしまうといったとぼけた一面を見せている。
芸術観の違いからデイダラと口論になるのは原作通り。

彼が存命しているにもかかわらず、本編では形式上は彼の後任であるトビも暁のメンバーとして活動していたりする。


◆おもな人間関係

祖母。サソリに傀儡の術を教えた師でもある。
両親が早死にしたせいかサソリの事はかなり可愛がっていたらしく、「」に我愛羅が連れ去られ里の上役のバキに協力を求められた際
「この世に未練があるとしたら20年前に抜け忍となってしまった孫に一目会いたいと言うことかの」
と呟いたり、サソリの両親を復活させる為に己生転生を開発するなどしている。

  • コムシ
アニメオリジナル回に登場したサソリの砂隠れ時代の唯一の友人。
サソリとは対照的にお喋りな性格の持ち主。彼が家族に愛されているのをサソリは複雑な面持ちで眺めていた。
任務で負傷したことで片腕を失ってしまった彼のために傀儡の技術で義手を作った。その義手は毒が塗られた針も仕込まれているという便利だが危険な代物であり、誤って己の身を傷付けたコムシはその毒のせいで命を落としてしまう。
そしてサソリはそれを予期していたかのようにコムシの傀儡を作り上げており、「目測ではもう少し成長するかと思ったがギリギリ規格のサイズに収まった」という彼の言葉を聞いたチヨは孫が抱く心の闇、そして自分のせいで彼がそのように歪んでしまったことに思い至り、罪悪感を抱く。

暁での相方。
彼もまたサソリと同様に芸術家気質ではあるのだが、サソリが「永く後々まで残ってゆく永久の美」を芸術と解釈しているのに対し、
彼にとっての芸術は「美しく儚く散ってゆく一瞬の美」であるため、意見が合わず度々衝突している。
デイダラはサソリの芸術について「びっくり人形喜劇」「弱点丸出しのあの造形は自信過剰なんだよ」と酷評してはいるものの、
暁のメンバーの中で彼だけを「旦那」という敬称で呼んでおり、*5
「同じ物造りとして旦那…アンタのことは尊敬するが」「サソリの旦那はオレよりも強いぜ…多分な」と認めるような発言もしていた。

  • 由良
部下の一人。
一定の時期が来るまで記憶を封印する「潜脳操砂の術」を仕掛けた後、砂隠れの里に潜入させた。
四年も上役を務め、里の者からの信頼も厚かったが、記憶が戻ったのを機にサソリとデイダラが里に侵入出来るよう手引きする。不意を突いたとはいえ一人で砂隠れの警備部隊を全滅させる程の力の持ち主だった。
その後は、イタチのチャクラ3割の偽物を作り出すための「象転の術」の生贄となって死亡した。
ちなみに鬼鮫の偽物を演じさせられた方の男の名はムカデ。こちらもサソリの配下である。
流石に自分の部下を二人も生贄にされてしまったことに関してはサソリも憤慨していた。もっともペインは「一度限りとはいえ暁のメンバーになれたことに感謝して欲しい」と全く気にも留めていなかったが。

元部下。
こちらにも潜脳操砂の術をかけており、大蛇丸の下にスパイとして送り込んだ。
しかし、実際はカブトは初めから大蛇丸の部下であり、二重スパイとしてサソリの情報を大蛇丸に流していた。
サソリは「お前は使える 音を消しニオイを消し己を消す…まるでオレの傀儡のようだ」と気に入っていたが、
カブトの方は「いつも傀儡の中に隠れてる陰気な奴」と余り良くは思っていなかった模様。ぶっちゃけお互い様…

砂隠れの傀儡部隊の後輩。
生前戦った時には「自分のお下がりを使うかわいい後輩」などと一笑に付していたものの、穢土転生で蘇ってからは彼の傀儡師としての成長と矜持を目の当たりにして、自身の後継者として認めた。


余談

穢土転生された際のサソリは里抜けした当時の姿であったが、穢土転生の術は口寄せする死者が死んだ当時の姿をまんま再現すること、生身でない部分は一切反映されないことを考えると、自らを人傀儡に改造した時点で人間としては死んでいたことになる。


追記・修正は人形の魂を受け継いだ方にお願いします。

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最終更新:2024年03月27日 00:34

*1 作者の岸影様と同じ日だが、「ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-」の特典DVD収録のインタビューによると特別にこだわってこの日に設定したわけではなく、「サソリはさそり座でいいか」→「自分もさそり座だからいっそ同じ誕生日にしよう」という経緯だったらしい。

*2 一応、彼女は彼女で最後に奥の手を繰り出してはいたが

*3 糸はチャクラ量を調整して限りなく見えにくい状態にしていた。油断したとはいえサソリ程の熟練者相手に相当な技巧である

*4 サソリの傀儡は全て破壊されてしまい、自分自身を改造した傀儡の体もカンクロウに奪われてしまった

*5 アニメのおまけコーナーでは一度だけ鬼鮫のことも旦那と付けて呼んだことがある